どんなに暗くとも、私がどこまでも寄り添うと決めたのだ。 作:竹@竹林にて。
原作:VOICEROID
タグ:R-18 ガールズラブ 残酷な描写 UTAU 重音テト 足立レイ 百合 ふたなり
キメラだから、三十路だから。
そんな油断がもたらした危機を抜け出して、キメラはロボにある“願い”を託した。
あと、ボイボ寮の面々に友情出演してもらいました。あの子達便利すぎて困る。
油断していた、というのが重音テトの率直な感想だった。久しぶりの飲み会で気分が良くなっていたのもそう。時間もそれほど遅くないからと、飲み会に出掛ける前のレイの忠告や仲間達の心配も無視して徒歩で帰ろうとしたのもそう。そして、早く着きたいからと近道に薄暗い公園を突っ切るようにして帰り道に選んだのもそうだった。加えて言うのならば、テト自身は三十路だからと自覚は薄いが外見として若々しく可愛らしい女性であることも、キメラだから多少の乱暴を受けても軽くいなせると思っていたのも油断の一部であっただろう。何はともあれ、テトは油断していたのだ。酔って少々ふらついた足取りで家路を急ぐ彼女が朦朧とした頭で背後から近づく人影に気付けというのも無理な話だったのだ。
「…っ、おらっ!動くな、暴れんなよ!」
「んっ!?む、むぅ…っ!?」
背後から接近した人影はテトの細く軽い身体を抱き締めるように抱え込んで、テトの動きを封じようとする。彼女が抑え込まれたのを見て仲間と思しき若い男達も数人姿を現した。テトと抑え込む男を取り囲むと一人はテトの足元に転がった彼女の鞄を取り出して中身を物色する。それに気付いてテトは返せと言わんばかりに口元を抑え込む背後の男の掌に噛みついた。
「ぐっ…!い、痛ぇじゃねぇかよ!」
「あっ…!いっ…、や、やめろぉ…!」
「やめるやつがあるかよ、おい!無駄に抵抗すんじゃねぇよ、雑魚が!」
「ぐぁっ…!」
噛みつかれた掌を拳に変えて殴られたテトの身体は地面に投げ出される。そうして仰向けに体勢を変えたテトの身体に別の男が馬乗りになる。そのままテトの頬に痣が残るほどの拳を加えると、抵抗が微かになって顔を守るように身体を横向きに丸めたテトから立ち上がりその腹部へ向けて一つ蹴りを放った。
「ぅ…!ぐ、うぅ…!」
「へっ!顔がいいからって調子乗ってんじゃねえぞ!…んで、鞄の中身はどうだよ?財布くらいはあるよな?」
「あるにはあるが…、現金は二万円でクレカも無し。大外れだな」
「なんだよ、クソが!飲みにもいけねぇじゃねぇか、そんな額じゃよぉオイ!」
「ぁぐっ…!」
鞄を漁られて暴力を振るわれて、睨むテトの腹部にもう一度蹴りが放たれる。おかしい、普段ならキメラの身体でこんなの痛くもないはずなのに。そんなテトの疑問も無視して頬も腹もじくじくと痛みを訴えた。
「てか、こいつあれじゃね?じゅうおん、テトだかいうやつ?」
「知ってんのか?なに、こいつ有名なの?」
「知らねぇ?最近よく見るボカロのやつ。なんか別口らしいけど」
「ほーん…。まぁ、有名なら丁度いいんじゃね?」
「お、久しぶりにやるか?」
「下手に顔売れてんなら変な真似もできないだろ?そこの便所の陰でもいいから、やっちまおうぜ」
「な、なにを…!それに、僕は“じゅうおん”じゃなくて“かさね”…、いゔっ!?」
「誰が喋んの許可したよ?お前は黙っとけ」
「はーい、じゅうおんちゃーん?大分若い感じだけど初めてはもう体験済みだったりするかなぁ?そうじゃなかったら、俺らが奪っちゃうからごめんねぇ?」
手を踏みつけられて悲痛な声を漏らしたテトはそのまま引き摺られて身体を運ばれる。その身体を擦られる痛みに耐えながらテトは痛みで麻痺する思考で男達の話していた意味を考える。初めて、体験済み、奪う。その言葉をキメラとして耳年間に重ねた知識で噛み砕いて、これから自分に降りかかるであろう災難を想起して、
「ぃ、いやぁあああっ!!やだ、やめてっ!離してよぉっ!」
「うわ、いきなり騒ぐな!うるせぇんだよ!」
「んぐぅっ!ゃ、いや…!お願い、離して…!離してぇ…!」
「はーい、離しませーん。黙って俺らにその膣内の感じ教えて頂戴ねぇ」
頬に伝わる硬く痛い感覚に涙を漏らしながら、テトは必死で抵抗する。普段なら男一人二人程度簡単にいなせるはずなのに、何故か今はその抵抗も空しく男一人に簡単にずるずると引き摺られてしまう。それにすら意識も回せないテトはいつの間にか連れてこられた公衆トイレの後ろの街灯の光も届かない砂利の上に投げ捨てられた。そのまま仰向けに体勢を変えられて頭の上で腕を拘束されて、もう一人下衆な笑みを浮かべる男に馬乗りにされてその服に手を掛けられた。
「あ、ちょっと暇なら照明やってくんね?隠れてやるっつったってこうも暗いと味気がねぇからさ」
「仕方ねぇなぁ…、あいよ」
「いや…!もう、ゆるし…、いっ!?」
「ごめんねぇ、俺こいつらの中なら優しい方だと思うんだけど、あんま抵抗されると流石に気分も悪いからさぁ。大人しくしてたらそこまで酷いようにはしないから、分かるよね?にしても、お前さぁ…。こんな綺麗なお腹に痣作っちゃうとか、女の扱い心得てねぇなぁ…。そんなんだからモテねぇんだぞ?」
「うるせぇなぁ。こうやりゃどうせ女を抱くのには困んねぇんだからいいんだよ、別に」
服をずり上げられて露わになった脇腹に作られた痣に手を伸ばされて悶えている傍らその耳元で脅すように言われたテトは思わず身震いをしてその言葉に従う様にひっそりと声を静めた。それに満足したように笑った馬乗りの男はそのまま服をずり上げて胸元まで露わにすると、微かに膨らんだ胸元に顔を埋めていやらしく舌先を動かしながら恐怖で僅かに起ち上がった蕾を舐る。
「ん、ぴちゃ…。なんだ、テトちゃんちゃんと乳首膨らんでんじゃん。案外乗り気?」
「へぇ…。そりゃ都合がいいや、乱暴された方が興奮する淫売とはなぁ」
「ち、ちが…!ひぃ…っ!?」
「誰が文句言っていいって言ったかなぁ?大人しく感じててねぇ?」
「ひ…っ!ぁ、ああ、あっ…!」
恐怖なのか性感なのかすら定かでない声を漏らしながらテトは身体を震わせる。その様子にひとしきり満足して、馬乗りになっていた男はそれまで周囲に意識を向けていた男に声を掛ける。
「おい、そろそろ混ざるか?口なら多分使えるぞ?」
「え、マジ?じゃあやるわ」
「おい、なんでだよ。普通ずっと押さえつけてた俺の方が先じゃね?」
「見張りやってた俺の方が先でいいんじゃねぇか?そこは」
「まぁ、どっちかやってもいいからよ。お前は?照明疲れねぇ?」
「いや、完全に大人しくなってからでいいわ。そんなにでかくねぇから俺的にはいまいちだし」
「りょうかーい。まぁいい具合に参加すればいいだろ、もういい加減大人しくなったろうし」
身勝手に自分の身体の行く末を決める男達に、しかし力でも意志でも抵抗を阻害されて恐怖に怯える。そんなテトの顔面にそれまで腕を拘束していた男の男根が押し付けられる。生々しい臭いと温度に顔をしかめて反射的に腕を動かして押し返そうとするが、それまで見張りをしていた男が納得いかない様子で拘束されるのに阻まれる。そうしている間にも、抵抗の素振りが見えたテトの顔面に男の拳が刺さった。
「あぅ…!」
「あぁ、ごめんな?俺も殴りたくないんだけれどさぁ、コレ突っ込んで噛まれるとか勘弁願いたいんだわ。ということで、俺コレを口にぶち込むけど噛まないでくれよ?噛んだら、分かるよな?」
「ひぃ…っ!」
頬を殴った男根を露出する男の言葉に身を震わせて怯えた様子で顔を縦に振るテトに満足して男はテトの開いた口を自らの男根で貫いた。
「んぶぅ…っ!?」
「へぇ、温かくて案外気持ちいいじゃねぇの。おら、もっと喉も使ってくれよ?」
「んぶ、ぶぅっ?んぐ、むぐぅ…!」
「おいおい、テトちゃん壊れちまうだろうがよぉ。そんな乱暴に扱ってやるなって」
「んぐっ…!?む、ぅうっ…!」
「そう言いながらお前も大概ひでぇことしてるがな。そこまで引っ張ったら流石に痛ぇよ」
「はは、まぁ躾ってことで」
そのまま乱暴に腰を前後させながら口をオナホの様に扱われ、更に馬乗りになった男に乳首をぎり、と強く摘まれてテトは恐怖と肉体的な刺激に身体を震わせる。そろそろいいか、と馬乗りになっていた男はテトのスカートに隠れていた下半身に手を無遠慮に突っ込んで下着に指を這わす。くちゅり、と小さな水音が鳴った。
「おぉ、嫌がってる素振りの割には身体は正直じゃん?じゃあ、初めてはお前に譲ってやるよ。代わりに押さえとくからさ」
「マジ?んじゃあ、有難く頂くわ」
「あいよー。んじゃあ、テトちゃん?お待ちかねの挿入タイムですよぉ?」
「ぷぁ、ひ、ひぃ…!?や、やめ…んぐっ!?」
「はいはい、ちょっと黙りな。あんまり騒ぎすぎると面倒だからよ」
「ひゃ、やぇ…!」
思わず悲鳴が漏れそうになったテトの頬を、口淫を途中で止められて苛立ちが出た男が頬を握り締める。それでも、テトの恐怖は拭いきれるものではなく声を漏らした。しかし、男達はその動きを一向に止めようとはしない。
「はいはい、諦めなー?あ、もしかして初めてー?大丈夫大丈夫、最初がこれなら、次からはもうこれ以上に悪いことにはならないんだからさ?」
「うわ、マジで結構濡れてる。準備万端じゃん?」
「んむぅ…!ん、ぶぅ…!」
いよいよ本当に初めてを奪われるのではないかという寸前まで到達して、テトは恐怖の余り目を瞑って襲い来る絶望に耐えようとただ身を震わせた。その時だった。
「…さーん?テトさーん?」
その声に、男達の気配がざわりと離れるのを感じる。その声はテトが一番に望んだ、あるいは望まなかったもので。
「やべ、逃げるぞ…!」
「おい、待てって…!まだズボン履けてない…!」
「さっさと履き直せ、馬鹿!顔見られたら終わりだってのに!」
「くっそ…、折角いいとこまで行ったのに…!」
「んなもん後だ後!どうせ、後から脅せばたんまりやれんだよ!今は逃げ、んぶぁ!?」
逃げようとした男達の内の一人が、顔面を殴られてその身体をコンクリートに沈める。それが自分達より余程大柄な男の一撃によるものだと気付いて狼狽えてその場に一瞬立ち竦んだのが男達の命運を分けた。
「貴方はこちらです」
「んぐぁ!?」
感情の読めない声が背後から聞こえたと気付いた頃には、ずり上げてベルトを通そうとしていたズボンをそのまま押し上げる様に入れられた股間への一蹴りに男は悶絶してその場に倒れ込んだ。
「あぎっ!?」
「ごめんねぇ。あーしか弱いJKだからさ、道具に頼るしか知らないわけ」
「お、お前ら、どっから…、ぐぇっ!?」
「お前らに知る必要はねぇよ、どうせもう目なんか覚めねぇんだからよ」
茶髪のジャージを着崩した若い女性のスタンガンと、最初に一人を無力化した男ほどではないにせよそれなりに鍛えられた男の首絞めに全ての強姦魔達が無力化された。辛うじて顔面を殴られただけの男に、股間を蹴り上げた女性、正確には女性アンドロイドの表情の読めない、その筈であるのに怒りが透けて見える視線が迫る。
「…貴方、ですか?」
「ひ…!」
「貴方が、テトさんを殴りましたか?」
「い、いや…!違う…!あいつだ、あの、スタンガンでぶっ倒れたやつ…!」
「そう、ですか…。では、口に汚いものを入れたのは?」
「そ、それは…、お前が蹴ったやつだ…!」
「…嘘、ですね。あまり、やりたくなかったのですが」
「ひ…っ!や、やめ…、許して…!」
「許すつもりなんて、さらさらないです。それじゃあ、死んでください」
そこまで言ってアンドロイド、足立レイは男の頭にケーブルを挿し込んだ。画鋲を力いっぱい挿し込まれたかのような鋭い痛みに鈍い悲鳴を漏らす男に冷え切った視線を向けながら、レイは周囲にまき散らさない程度の、しかし確実に息絶えさせるに十分な絶妙な加減で電気を流す。途端、身体を激しく痙攣させて男の意識はその生命と共に途絶えた。
「んじゃあ、こいつらさっさと運んじまおうぜ」
「あぁ、二人なら同時に運べるからつむぎと武宏は残り二人を任せた。足立、お前はテトさんを頼む」
「…分かりました。ありがとうございます」
「いいってことよ!…んで、龍星くん、武宏くん。あーし非力だから男の人とか運べないんだけど」
「仕方ないな…。虎太郎呼ぶから二人で運んでくれよ」
「りょー」
そう計画立てをしながら行方不明者になることが決定づけられた強姦魔達を運ぼうとする三人を背に、レイは挿入寸前まで身体を弄ばれ満身創痍のテトへと歩み寄りその頬に努めて優しく手を添わせた。
「テトさん、意識はありますか?」
「レ、イ…」
「…もう大丈夫です、あの男達は無力化しました。今は、ゆっくりと休んでください」
「ん…、ごめん…」
「…大丈夫、です」
そう呟いて、目を瞑ったテトの身体を抱き寄せてレイは優しく抱え上げると用意されていたワゴンに乗り込んで公園を後にした。
***
「ふぅ…」
「…っ!剣崎さん、テトさんの様態は…?」
「あぁ、命に別状はないし、身体も無事だ。…初めても奪われていない、らしい」
「…らしい?」
「あぁ、詳しくはTちゃんとはーさんに聞いてくれ」
そう言って苦々しい顔をしながら後ろから並んで出てきたはうとTを指差した剣崎に従って、レイは二人の元へと駆け寄った。
「Tさん、はうさん。テトさんは、無事なんですか…?」
「お、落ち着いてください、レイさん。少なくとも身体の方は無事です。…殴られたり蹴られたりした痣はありますが、命に別状はないです…」
「ですが、少し精神的に問題があります」
はうはレイの無表情ながら確実に焦っている様子を感じ取って諭すようにレイに言い聞かせる。一方でTは努めて事務的に、正確にレイに言葉を告げる。
「精神、的に?」
「はい。無防備なところを複数の男性に襲われたことで混乱したようでキメラとしての力が使えなくなっているようです。今の彼女は体格相応の非力な女性でしかありません。加えて、性的にも酷い扱いを受けてしまったこともあり男性に対して恐怖症めいたことになっています。診察中に剣崎先生が近づくだけで反射的に怯えてしまうくらいには、追い詰められているようでした」
「まぁ、そういうことなんだ。…すまない。こればっかりは僕も力になれないから、彼女の心が安らぐまでレイさんが他の子達と協力して支えてほしい。特に、レイさんならテトさんも心を許してくれるだろうからね」
「…分かり、ました」
そう言って、覚悟を決めたように変わらないはずの表情を引き締めたレイは診察台の上に身体を抱く様にして座っていたテトを抱き上げて、テトとレイの自室へと運んでいった。
***
「テトさん、部屋に着きました」
「…ん、ありがと」
抱き上げるときには少し身体を震わせはしたが、レイの身体に包まれる感覚にテトも幾らかは落ち着いたようで抵抗の素振りなど幾ばくも見せずに大人しく運ばれた。一つだけ置かれた少し広めのベッドの上に横たえられてテトは僅かに息を呑む。それを、今日の一連の悲劇のフラッシュバックだと思って様子を見つつ彼女を落ち着かせようと一旦離れて好んで飲んでいた柚子湯を用意しようとしたレイの背に、テトの悲痛な声が届いた。
「どこ、行くの…?レイ…」
「いえ、テトさんの好んでいた柚子湯を用意しようかと。温かい飲み物は気持ちを落ち着かせますから」
「そ、そう…。…早く、戻ってきてね…?」
「…分かりました」
普段の彼女らしからぬその様子に言いようのない不安感を覚えたレイはいつもより手早く柚子湯を入れると、テトの元へと運ぶ。その間にもテトは自らの不安を押し殺すように抱き枕代わりの丸い竜のぬいぐるみを強く抱き締めてかたかたと震えていた。こういう機微に疎い自分に腹立たしさを感じずにはいられない。レイは本来不要な筈の思考を抱えていた。
「どうぞ、テトさん」
「…ありがとう、レイ。…ん、美味しい」
「なら、よかったです」
そんな普段なら互いに軽口を叩きながら笑い合えるひと時にさえもどこか軋みのようなものを覚えて、改めて今回の一件を引き起こした強姦魔達への怒りが沸々と湧き上がるのを感じる。後始末を龍星や武宏に任せたが、自分ももう少し、いやそんな言葉では足りないくらいにあいつらを痛めつけておけばよかった。そんな人間めいた思考を振り払いながら、レイは飲み干したテトのカップをそっと受け取ってテーブルの上に置くと、自分は充電用のケーブルを普段の待機場所であるソファ近くのコンセントから外してベッドの側へと持ってきた。
「とりあえず、テトさんが落ち着くまでは私はずっと起きています。充電効率は落ちますが、それくらいはマスターも許してくれるでしょう。テトさんは安心して眠ってください」
「…っ、れ、レイ…。まだ、充電足りる?」
「…?朝まで余裕で持つくらいには大丈夫ですが」
「じゃ、じゃあさ…。お願い、一つ聞いてもらってもいい…?」
「はい。私に出来ることであれば」
「そ、それじゃあさ…。ぼ、僕を抱いてくれないかな…?」
「…はい?」
「だ、男性型の、女を抱くとき用のボディもあるって言ってたよね?それで、僕を抱いてくれないか…?僕の初めては、レイに捧げたいんだ…!」
「…そのような行為は、現状行うには不適切だと思われますが」
「じょ、冗談じゃないんだ…!…怖いんだ、怖いんだよ…!今日、あの男達に襲われた時、好きでもない相手に初めてを奪われるかもって思った時、凄く怖かった…!それで、その時に真っ先にレイの顔が浮かんだんだ…!初めては、レイに貰ってほしかったって、確かに思ったんだよ…!だ、だから…!お願いだから…!レイの初めてで…、怖いのを塗り潰してくれよ…、お願いだよ、レイ…!」
「…そういうことなら。ですが、少し準備が必要なので、少々お待ちください」
レイは相変わらずの無機質な表情を僅かに歪ませ、しかし覚悟を決めてそう呟いた。
***
「まずは、体を慣らしますね」
「う、うん。お願い…」
三十分ほどで準備を終えて、相変わらず身体を震わせたままのテトの元へ戻って来たレイはパジャマで包まれたテトの身体にゆっくりと指を這わせて、少しづつその肌を顕わにしていく。上着のボタンを外すまでにたっぷり十分ほどかけて身体を撫でて慣らしていく性急さのないレイの愛撫に、テトは思わず泣きそうになりながら微笑む。
「…ふふっ」
「どうか、しましたか?」
「いや、レイに身体を触られるの安心する…。あいつらと全然違うや…」
「…そう、ですか」
努めて冷静に、時間をかけてじっくりと染み渡らせるようなレイが与える刺激に、テトは確かに恐怖の伴わない快楽を感じていた。そうして更にじっくりじわじわと炙るような刺激を与えながら、上半身に纏っていたパジャマの上着とナイトブラをレイは密やかに剥ぎ取るとテトの胸に掌を這わせてその丘陵を柔らかく揉み上げた。
「んっ、ふぅ…っ」
「怖い、ですか?」
「…すこ、し…。でも、レイだと思うと、不思議と安心もするんだ…。だから、もっと。お願い…」
「…了解、しました」
レイは呼吸もないはずの自分にとって初めてであろう息苦しさを感じ、それを忘れようと、しかし恐怖だけは感じさせないように巧みな愛撫をテトに施す。その度に短く喘ぎを漏らしながら自身にしがみ付く力を強めるテトの身体を優しく抱き締めて、レイは一方の手をまだ衣類に包まれた下半身へと伸ばす。片手であるため上半身ほど優しくとはいかなかったが、それでも一般的な性交とは比較にならない程丁寧な所作でパジャマのズボンと下着を剥ぎ取ってみせた。そうして露わになったテトの秘孔はレイの緻密な愛撫によって既に濡れそぼっており、何度か優しく指を前後させただけでレイは受け入れるに十分な程度には濡れていると判断した。
「テト、さん。テトさんの身体は、私のものを受け入れるのに十分だと判断します」
「そ、そうか…。じゃあ、任せてもいい、かな…?」
「えぇ、当然です」
そもそも快感を感じられない自分が長々と行為に及ぶ必要性が無いのもあるし、何より今回の行為はテトの為のものなのだから彼女の身体を慮ったものでなければならない。ならば、自分は徹底して彼女の為に尽くすべきだと考える。そうして、レイは今までそれを隠すように纏っていたスカートを脱ぎ去って自身の疑似男根を晒した。
「…お、おぉう…。結構、大きいね…?」
「一応、これでも初めてでも大丈夫なように細いものを選んだつもりなのですが…。今日は止めておきますか?」
「う、うぅん…。こういうのは早いうちにやっておきたいんだ…。だから、お願い…」
「…はい、分かりました」
思わず制止の声が漏れそうになるのを、テトの意思を尊重してぐっと堪えながらレイは彼女の膣口に自身の合成ゲルと機械で作られた疑似性器の先端を添えて腰を押し進める。
「んぅ…っ!?」
「…痛いですか?少し、休みましょうか?」
「い、いや…。大丈夫、だから…。早く…」
あからさまな無理を感じつつも、望まれたのならばそう動かなければなるまい。レイはテトの望みに頷いて腰を動かす。そうして、ぱちゅんぱちゅんと身体を跳ねさせてテトの性感を高めようとレイは努めて献身的な愛撫を施した。しかし、間もなくテトの様子に変化が訪れる。
「…ゃ」
「…え?」
「や…、い、いや…!ご、ごめんなさい…、許して…!いや、いやぁ…!」
そうして、明らかに性的興奮や快楽ではない様子で身体を跳ねさせて怯えるテトの様子に、レイは僅かばかりの動揺を覚えながらテトの身体を抱き締めた。
「大丈夫、です…、テトさん…!ここには、テトさんを傷つけるやつはいません…!私は貴方を傷つけたりはしませんから…!」
「や、ち、違うの…!分かる、分かって…!ひ、ご、ごめんなさい…!」
混乱しているのか不明瞭な言葉の羅列を謝罪と共に並べて身体を震わせるテトの様子を見かねて、レイは頭を抱えるテトの手を少し乱暴に剥ぎ取って自身の腕を後頭部に回すと彼女の唇に自身のそれを重ね合わせた。
「んぅ…っ!?」
「ん、ちゅぅ…!はむ、れる…っ」
そのまま人工の潤滑液で濡れた舌をテトの口内へと潜り込ませると、レイは自らの舌を大きく動かして彼女の舌を包み込むように動かしながらテトの混乱を抑え込む。落ち着いたのか次第に弱まっていく身体の震えを感じながら、レイは頭に回していない方の手をテトの背に伸ばしてゆっくりと撫で下ろした。
「ちゅ、ちゅる…っ。は、ぁあ…っ」
「ちゅ、れる…。大丈夫、ですか、テトさん…?」
腰を動かすのもとうに止めたレイの不安げな質問に、落ち着いたらしいテトは荒く切れた息を整えながら、小さく笑う。
「う、うん…。落ち着いた…。ごめんね、レイ…。めんどくさくて…」
「いえ、そんなことは…。こちらこそ、無遠慮に振る舞って申し訳ございません」
「そんなことないよ…。それに、レイにファーストキス、捧げちゃったし…」
「…は?」
「うん、ははは…。これで、上も下も、初めてはレイになったね…。やったや…」
「…テトさんは、それで、いいのですか?」
「んぅ?勿論、いいよ。誰かに取られるくらいなら、初めてはレイにもらってほしかったから…」
「…そう、ですか」
「…それより、レイ?もう、大丈夫だから…。最後まで気持ちよくしてよ、お願い…」
「…はい、テトさん」
そうして、レイは腰の動きを再開する。ぐちゅりぐちゅりと鳴り響く淫らな水音や腰元に響く秘孔を穿つ快感にもテトは怯えたり恐怖する様子は見せない。ならば、と僅かに腰の動きを激しくするが、それでも快楽に声を漏らしてレイの背に回された手の力を強くするのみだ。
「ん、ふぅ…っ!ふぁ、あぁ…!」
「テトさん、大丈夫、ですか?」
「ん、うん…!れ、レイ…!お願い、ちゅー、して…!」
「…っ、はい…。テトさん、ちゅ…」
「んむぅ…!ふ、ちゅる…!」
そうして涙を流しながら強請られたキスでテトの心を癒してやれば、自分から舌を差し出す先輩の姿に起こることなど無いはずの眩暈を感じてレイは腰の動きと共に半分無心になりながらテトの口内を快楽で満たす。そこまでしてやれば、テトの終わりは早かった。
「んむ、ふ、ぅ…!ふぅ、ん、んぅ~~~~っ!!!」
「んむ、んぅ…」
自ら望んだ快感で打ち震えながら、テトは絶頂へと持ち上げられた。悲鳴にも似た嬌声や疑似性器で感じるテトの膣の締め付け、背後に伸ばされたテトの手に込められた力の変化でそれを感じ取ったレイは自身のテトを抱く力もまた自然と強くなるのを感じていた。
「ぷ、ぁ、あぁ…」
「ぷあ。どうでしたか、テトさん?」
不備はなかったか。自分はちゃんと気持ちよくさせることが出来ていたか。今日の胸糞悪い出来事を忘れさせることが出来たか。それを問おうとして口を開こうとしたレイに縋るようにその背中にテトが回していた腕に込めていた力が僅かに強められた。
「テトさん…?」
「え、へへ…。レイ、僕、今凄い幸せかもしれない…。レイ、レイ…」
ただそれだけ呟いて、テトは夢の中へと旅立った。その表情はつい数時間前に強姦の被害に遭っていたものの顔とは思えないほどに穏やかで、それにどうしようもない安心感と同じくらいの焦燥感に駆られながらレイはテトの細く柔らかな身体を抱き締めた。
***
「…あの、レイ?」
「どうしましたか、テトさん」
「いや、歩きにくいっていうかさ。最近の君、僕に対して過保護が過ぎないか?」
「先週どんな目にあったか思い出してください」
「…ぐ、ぐぅ…」
後ろから抱き締めるようにしてテトの身体に腕を回しながら、レイはここ数日彼女の後を付いて回るようになっている。当初はテトが受けた被害が被害だっただけに心配十割で見られていたそんな光景も、回復の兆候が著しく見えるようになったこの頃には周囲の、とりわけ自分達が仮住まいとして住まわせてもらっているボイボ寮の面々にはその様子は生暖かい視線で見られていた。
「で、でも…!もうキメラの力も戻ったし、男性恐怖症もほぼ完治したじゃんか!ほら、剣崎さんとか龍星君とか…、あとは武宏君に虎太郎君に、あと人間で男なマスターとも普通に喋れるし、仕事の打ち合わせも昨日は大体平気だったしさ!」
「それでも、まだ少し怖がっている様子があるので、私はテトさんについて行きます。いつ発作が起きてもいいようにしますから。それにいざ暴漢に襲われても私が守ります」
「そ、そんなに信用が無いかな、僕…?」
「…信用が無いとかそんなこと関係ないです」
そこまで言ってレイはテトに回した腕に力を込め直して、自身の身体にテトを抱き寄せる。後ろに引き寄せられたことで、テトもその歩みを止めてその場に立ち止まった。
「私はただ、テトさんが大事なだけです。今回の件で改めて実感しました。だから、私はもうテトさんから離れません。ずっと、テトさんの側でテトさんを守りますから」
「…ん、そっか」
テトは自身に向けられた思いの強さを受け止めてただ頷いた。そうして自身を抱き締める腕に手を重ねて、機械であるゆえにそれほど感じないはずのレイの肌から与えられるその熱を改めて確認した。