足立レイは困っていた。先輩である重音テトについてである。
「ふーい…、いいお湯だったぁー…」
「も、もう…。テトさん、湯冷めするからちゃんと服を着てから出てください…」
「んぇ?いいじゃないかよぉ。最近お母さんみたいな物言いするなぁ、君は」
研究所にいた頃やテトの元に訪れた頃にはさして気にならなかったはずなのに、マスターやテトとの交流の中で育ってきた感情や情緒は次第にテトに対する恋慕や情欲を募らせ、機械である自分には不要でしかない性欲さえ芽生えさせた。今もお風呂上りにショーツ一枚纏っただけのテトの確かに生物的な柔らかさを感じる身体に、美味しそうなんて少々下品な感想を抱いてしまった。なんて厄介な感情回路を持たせてくれたのだろうと博士を恨む日々である。
「お母さんって…。そもそも、テトさんは無防備すぎるんです。いくらキメラで普通の生物より強いからって、テトさんは女性なんですからもっと警戒心というか恥ずかしさを持って行動すべきかと…」
「とは言ってもなぁ…。マスターは今日出張でいないし、ここにいるのはレイだけじゃないか。レイがそんな乱暴なことするわけないし、別にこういう風に振る舞ったって構いやしないだろう?」
殆ど裸のテトはバニラの棒アイスを咥えて、風呂上がりでロールしていない長髪をドライヤーで乾かしている。テトの口元を汚す溶けた白色のアイスに、まるで思春期の男子の様にあらぬ想像を搔き立てられ、マスターにジョークとしてつけられた(なおその際マスターは病院に行かない範囲で痛めつけた)疑似男根が疼く。肉のない筈の機械製男性器の内側が蠢動して、精子などない筈の潤滑液が溢れそうになる。感情回路というのは生物的な観点からすれば相当に発達したものではあるらしい。今はその高性能な感情に振り回されているのだが。
「…私が、何か間違いを犯すとか考えないんですか?」
「えぇ?だって、君機械で…って、あぁ。そういえば感情回路とか搭載されてるんだっけか。なんだい?大人の魅力に溢れた僕の身体に見惚れちゃったかい?」
いつの間にか髪の毛を乾かし終わったらしい、その割には赤髪にまだ湿気を纏わせたままのテトがにやにやと意地悪い笑みを浮かべてレイの前に迫る。器用に咥えたままのバニラアイスはどろりと口元から垂れ、今にも零れ落ちそうだ。
「ちょっと。アイスが垂れてるじゃないですか…。べとべとするから、早く拭き取らないと…」
「いいじゃないか、ちょっとくらい。それとも、君の高性能なおちんちんが反応しちゃうとか?ほれほれ、白くてどろっとしたいやらしい汁が垂れてるぞぅ?興奮しないかい、童貞くん?」
口元に流れる甘ったるい白濁液をキメラ特有の長い舌で舐め取ることもせず、見せつけるように、挑発するようにテトは顎を持ち上げて笑う。その口元から垂れた白濁液がテトの未だ裸の胸元に落ちて。いよいよレイも、我慢の限界だった。
「…テトさん」
「お、何だい?いよいよ僕の魅力が君の感情を乱しに乱し、てぇっ!?」
油断していたテトの身体を持ち上げて、三人が余裕をもって座れるくらいに大きなソファに押し倒す。抵抗など出来る筈もない軽い身体に顔を寄せ、胸元を汚す甘い白濁を舐め取る。その刺激を、キメラの身体は目聡く拾い上げた。
「ん、んぅう…っ!?れ、レイ…っ!?」
「れる、ちゅ…。テト、さん…。ちゅうぅ…!」
「ふむぅ…っ!?」
ひとしきり舐め上げたレイが身体を起こして、機械の筈の視線に熱を宿してテトを一瞥する。そうかと思えばそのまま口元にまだ残ったアイスの跡に誘われるように顔を寄せて少し乾いたバニラごと唇を奪う。さっきまで余裕綽々だった態度を途端に弱弱しいものに変えたテトは為すがままにそのキスに捕まり、そのまま機械の舌でキメラ特有の長い舌をも奪われてしまう。
「ん、ちゅ、れる…。て、と、ひゃん…。じゅむ…っ!」
「ひゅ、ちゅ…!ひ、れ、レイ…!んむぅ…!」
童貞だ何だと煽っていた相手に舌を絡め取られていい様に弄ばれる屈辱に、しかしテトも確かな快感と背徳感を覚えているのか碌な抵抗も取らずに受け入れているようだった。その間もレイは舌を思うがままに操り自らの口内に引き込んだテトの舌を味わう。初めて味わったテトの舌は、好物の筈の唐揚げよりも余程美味しかった。無論食い千切るなんて残酷で勿体ないことするはずもないが。
「んちゅ、じゅるる…!ぷぁ…」
「んぁ…。ふぁ…」
「…童貞だ何だと煽っていた割に、そんな私の為すがままなんですね、テトさん?」
「…う、五月蠅い…」
機械仕掛けの舌でテトの唾液と自らの潤滑液で汚れた口元を舐め取ったレイは得意げにテトを見やる。反対に、レイの舌技に溺れていたテトは悔しそうに視線を逸らしていた。それに不服そうな視線を向けたレイは、辛うじてショーツに守られたテトの下半身に手を伸ばした。
「…!ちょ、ちょっと待って、レ…、んぁっ!?」
「…へぇ」
下着の内側に挿し込んだ手でテトの秘部に触れたレイはにやりと口角を上げる。下着の奥、テトの秘裂は淫らな蜜で濡れそぼっていた。
「…なん、だよぉ…」
「散々、人に童貞と言っておいて、自分はキス一つでこんなにぐしょぐしょにしちゃうんですか?…変態、ですね。テトさん?」
「い、言うなぁ…!」
顔を真っ赤にして両腕で隠すその仕草にレイは意地悪い笑みを浮かべると、そのまま器用にテトの下着を下ろして秘部を顕わにする。機械でありながら興奮を隠すこともしないレイは水気に溢れたそこに顔を寄せた。
「お、おい…、レイ…!は、恥ずかしいだろ…!やめろって…」
「今更です。ん、じゅるる…!」
「はぁんっ!?」
制止を求めるテトの声など無視してレイは秘裂に口づけ溢れる蜜を啜る。キスとは比較にならない快感に高い悲鳴のような喘ぎを口から漏らしてテトは身体を強張らせる。
「んむ、ちゅ、じゅううぅ…!は…、美味しい、です…、テトさん…!あむ…」
「や、れ、レイ…!つ、つよす、ぎぃ…!あぁっ!?」
夢中になって蜜を味わうレイが与える秘部への快感にいっぱいいっぱいになったテトは知らず知らずのうちにレイの頭を太腿で挟み自ら快楽を強請っているようで。ふとそれに気付いたレイは堪らない気持ちになり、その衝動のまま一際強く吸いあげた。
「て、とさん…!ちゅ、じゅるるるるぅっ!」
「あ、はああぁぁんっ!?」
淫蜜を啜る音が強く響き、その音に呼応するように叫び声にも似た喘ぎを漏らしてテトは身体を一際大きく跳ねさせた。
「はぁ、はぁ…。ぁ…。れ、レイ…。やりすぎ、だって…」
「…まだ、終わりじゃないですよ、テトさん?」
快感で荒くなる息を整えながら恨みがましい視線を向けるテトの言葉を受け取りつつも、芽生えてからそう間もない性衝動に駆られてレイは自らのズボンを下げる。その下から現れた疑似男根は並のディルドと比較しても太く、いくらテトの膣内が濡れそぼっていても相当きついだろうと想像できる。
「い、いやぁ…。散々ネタにしたけど、いざ見るとでっかいな、それ…」
「…今更、やめませんからね?煽ったテトさんが悪いです」
「…いいよ、もう。どうせ、やだって言ったってやるんだろう?好きにしてくれ…」
テトは不貞腐れたようにぶっきらぼうに言うが、レイはそう言ったテトが自らの男性器を見た際に恐れ以上の期待めいた熱視線を向けていたのを見逃さなかった。
「じゃあ、遠慮なく。…一応、ゆっくり入れますから、痛かったら言ってください」
「…うん」
そう言葉を交わして、レイは覚悟したように開かれたテトの中心に男性器を宛がうと、宣言通りゆっくりと腰を進める。そうしてきついくらいの膣内の締まりを受け止めていると、知識でしか知らなかった突っ掛かりに押し進める腰の動きを遮られた。
「…!…テトさん」
「…なん、だよ」
「初めて、だったんですか?あれだけ煽っておいて…」
「…そうだよ。悪いか?」
「…いえ、光栄です」
「…恥ずかしい、から、早く…」
「はい。…んっ」
「…、うぅんっ!」
男性器を遮ったテトの純潔の証を、レイは意を決して腰を押し進めることで破る。喘ぎとは違う声を漏らして身を捩るテトの様子に、結合部から漏れだす赤い液体に、レイは言いようのない充足感を覚えた。
「は…、大丈夫ですか、テトさん?」
「ん…、思ったほど、では…。でも、やっぱりちょっと痛い…」
「じゃあ少し慣らしましょうか。胸を、失礼しますね。ん、ちゅ…」
「ん…っ!」
宣言通りテトの胸元に顔を寄せてレイは舌を這わせる。機械仕掛けではあるが痛みめいたものは感じず、舌先が胸元の蕾を掠める度にテトの口から小さな喘ぎが零れる。擽るような心地いい快感に、テトは気付けば背を反り胸を差し出していた。
「んむ、ちゅ。…ふふ、はしたないですよ、テトさん」
「いい、から…。痛いの、誤魔化して…。お願い…」
「了解、です。れぇ、んむっ」
「ひぃん…っ!」
乳首を食み、唇と舌を使って優しく潰す。その刺激にテトは快感の悲鳴を上げ、身体を震わせた。そのままぴちゅぴちゅと少しの間水音を奏でていたレイの腰を挟む感触。レイの予想通り、テトの脚だった。
「そ、ろそろ、大丈夫…。レイも、気持ちよくなって…?」
「…っ。分かり、ました…。動きますね…。ふ、ぅ…、んっ!」
「んあぁ…っ!」
テトに興奮と行為の先を煽られてレイは腰を跳ねさせる。じゅぶりと水音が弾けて二人の下腹部が重なる。その衝撃に二人の口から声が漏れ響いた。少し前に痛みで顔を顰めていたテトの口から漏れた甘い響きに、レイはぞくりとした未知の感情を覚えて思わず腰の動きを強めた。
「あ、れ、レイっ!ちょ、は、激しっ!」
「でも、これくらいが、いい、でしょう?ふっ、ふっ…!」
「あぁんっ!?で、でもぉ…!ひぅっ!」
自然と大きくなる喘ぎ声と疑似性器を締め付ける膣内の感触に興奮を煽られて、レイは腰の動きを一層激しいものに変える。為すがままのテトは甘く響く悲鳴を漏らすものだから、レイは腰の動きを緩める余裕も意志も削がれて強くする以外の選択肢を見失ってしまっていた。
「あ、や、れ、レイ…っ!ぼ、ぼく、もう…っ!」
「は…っ!いい、ですよ…!私も、出しますから…、一緒に…!」
「は、れ、レイ…っ!い、イく…っ!」
「イって、イけ…、テトさん…っ!」
「ん、ぅ、—————っ!」
いつの間にか背に回っていたテトの腕と膣内の締め付けがきつくなった感触にゾクゾクと背筋に走るものを感じたレイはテトの最奥を貫き、言われなければそうとは思えない熱く迸る疑似精液をテトの子宮目掛けて吐き出した。その圧倒的な熱量と質量にテトは言葉にならない悲鳴を上げて絶頂に身体を強張らせた。キメラの膂力で抱き締められて僅かに軋んだ音を上げた身体に本来覚えてはいけないぞくりとした悦びを覚えてレイもテトを抱く力を強めた。
「ひ、ぅ…!ぁ、は、あぁ…」
「ん…。テトさん、大丈夫ですか?気持ちよかったですか?」
「あ、ふぅ…っ。ぅ、うん…。よ、よかったぁ…」
未だ荒い呼吸を整えながらレイの身体を抱き締めてテトはだらしのない笑みを浮かべる。堪らなく愛しさを覚えてレイは労るようにテトの頭を撫でていた手を頬に回して顔を寄せる。
「ちゅ…」
「ん…っ!?」
「ん、はぁ…。かわいい、です、テトさん」
「…うっさい、恥ずかしいって…」
そのまま柔らかな唇を奪い、触れるだけのキスをする。自分に負けないくらいにふにゃりとした笑みをレイに向けられて、テトはどうにも恥ずかしく頬を染めて視線を逸らした。
「処女卒業おめでとうございます。初めてが気持ちよさそうでよかったです」
「…君だって、童貞だったくせに。生意気だぞ…」
「えへへ、お揃いですね」
「…馬鹿」
お揃いという言葉が妙に嬉しくてざわりと揺れた心の動きを悟られまいと相変わらず視線を背けたままのテトの耳に、レイは意地の悪い笑みを浮かべて唇を寄せた。
「…で、テトさん」
「ひぁ…っ!?な、なんだよ、いきなり…!?」
「私、まだお腹に精液のストックあるんですけど…どうしますか?」
「…っ」
そんなレイの囁きと誘うような笑みに、テトは思わず言葉を失う。しかし、次第に羞恥とそれでも我慢できそうにない期待が心を乗っ取り頬は更に赤みを増した。そんな林檎の様になった顔をレイに覗き込まれて、いよいよ観念したようにテトはレイに視線を向けた。
「…さっきが初めてだったんだから、あんまり激しくし過ぎるなよ…」
「…ふふ、善処します」
予想通りのぶっきらぼうなテトの返事に、しかしにやりと不敵な笑みを浮かべてレイはテトの唇を奪った。