※この作品はR-18です。

貞操逆転世界で異能と体質で差別され男性の精液を定期注入されないと動けなくなる ”眠り戦姫” たちを性欲にまかせた婚約セックスで救いまくる話   作:ぽぶきち

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第八十一話 青桐アオイの心情

 

 

 

 

 朝、寝室。

 

「…………」

 

 青桐アオイは、兼高ユウキの寝顔をみつめていた。

 

 自分のような強力な眠り戦姫(ソメイユ)が近くにいると言うのに、それへの恐怖や不安をいっさい感じさせない寝顔。

 

 

‐‐‐

 

 

 青桐アオイは、強力な眠り戦姫(ソメイユ)である。

 それは、眠り戦姫(ソメイユ)としての身体能力や、異能含めた強さに比例する傾眠性の高さなどから推定できる客観的な評価である。

 

 青桐アオイは、九州の学園に通っていた。

 

 そこでは、青桐アオイは突出して異能が強かった。

 

 強かったからこそ、恐れられた。

 

 地方の戦姫育成学園に配属された男子のなかで、野望を抱いている者は少ない。

 

 そんな男子たちにとって、青桐アオイは"恐怖の象徴"でしかなかった。

 

 誰も、青桐アオイの源液提供をしようとしなかった。

 土下座をして頼み込んでも、男子は逃げるように去るだけだった。

 

 青桐アオイの傾眠性は高い。

 泥眠状態(アンアライブ)にならずに生きていくためには、睡眠負債薬を使うしか無かった。

 

 青桐アオイには母がいたが、青桐アオイが眠り戦姫(ソメイユ)になると、自責の念から発狂した。

 

 その治療と介護費用を負担していた青桐アオイには、通常の睡眠負債薬や睡眠負債そのものを解消する膣薬は手が届かなかった。

 

 だからこそ、安価な睡眠負債薬を利用した。

 

 傾眠性の高い青桐アオイは、利用する睡眠負債薬の量も相当なものとなる。

 

 青桐アオイは、武術にのめり込んだ。

 強さを極めれば、自分にも価値が生まれるかも知れないと思ったからだ。

 

 金銭的に裕福でもなく、

 男子を安心させられるような愛想もなければ、

 事を思惑通りに運ぶ政治力もない。

 霞んできた視界を補完するためのメガネは、地味さに磨きをかけていると男子が陰口を言っていたのを聞いたことがあった。

 

 もっと強くなれば、すべて解決するはずだ。

 

 学園にある総合武術部で、青桐アオイは入学早々から負けなしだった。

 先輩すらも相手にならない。

 顧問ですらも、青桐アオイが試合を要求するとやんわりと断る。

 

 そこまでの強さを得てもなお、男子からの提供を受けることは出来ず、むしろさらに距離を置かれるようになった。

 

 元より、傾眠性の高い眠り戦姫(ソメイユ)は、武力(インパクトランク)を求める男子からも避けられる傾向にある。

 男子が求めるのは、傾眠性に対して能力が高い眠り戦姫(ソメイユ)だ。

 傾眠性が高く提供含む維持コストがかかるものは、男子そのものの着床値が高くない限りは避けられる。

 そしてそれほど着床値が高い男子は、元より地方には残らない。都心のほうがより高等な男性専用施設が揃っているからだ。

 

 つまり、

 青桐アオイは、

 学園に入学した時点で詰んでいたのだ。

 

 それに本人が気づいたのは、学園最強の立ち位置を手にして相当な時間が経ったあとのことだった。

 

 卒業時、

 すでに青桐アオイの中毒症状は、取り返しがつかないレベルにまで進行していた。

 

 学園を卒業して、徴兵される。

 戦場に立ち、青桐アオイは主に後方での抑えを担当することになった。

 敵前逃亡する眠り戦姫(ソメイユ)たちを食い止める役割だ。

 

 無論、前方の部隊が逃げられるか壊滅した際は、後詰めとして完全に接敵することもあった。

 

 それでも青桐アオイは戦果を残した。

 

 少なくとも、自分より後ろに敵を通すことはなかった。

 

『物体を止める異能』

 

 触れたものの相対的な運動エネルギーを自らと同一にする。

 銃弾が当たっても、皮膚に触れた瞬間ぽろりと地に落ちる。

 どんな重い槌を振り下ろされても、触れた瞬間ただの頭上の荷物となる。

 

 敵の戦略に呑まれ、三方を敵に囲まれたことがあった。

 

 先陣は壊滅し、

 青桐アオイたちは、十倍ほどの人数を相手に激しい戦闘を繰り広げ、

 結果、勝利した。

 

 その偉業を知る味方は、青桐アオイを「第二の前線」だと呼んだ。

 彼女の背後は必ず安全だと。

 

 その偉業を知る敵は、青桐アオイを「進軍最大の障壁」と呼んだ。

 不退の彼女は目下の難敵だと。

 

 異名『通行止め(デリネーター)』の眠り戦姫(ソメイユ)、青桐アオイ。

 

 

 徴兵期間が終わり、

 戦姫奨学金も全て返済した。

 

 退役後は戦姫育成学園の教師の道を選んだ。

 

 慣れない仕事。

 見えない文字。

 

 不自由な生活に追われている最中、

 青桐アオイの前に校長、大和道デンサイが現れて───、

 

 

 いつしか、青桐アオイは傀儡となっていた。

 

 睡眠負債薬の中毒症状は、とてつもなく進行していた。

 

 校長に縋ってでも睡眠負債薬を使い続けるのは、

 命が惜しいからではない。

 泥眠状態(アンアライブ)が恐ろしいからではない。

 

 幻覚が何よりも怖かった。

 

 少しでも負債薬の使用を遅らせると、

 現実の映像が消え、

 節足の毒虫が何十匹も体中を這い回り、

 人影が遠くから地を這って近づいてくる。

 

 影は、

 青桐アオイがなぜ生きているのかと、

 なぜ自分たちは死んだのに、お前は生きているのかと、

 叫んでくる。

 

 部屋の隅に逃げても、壁と背中の間から這い出てて、早口でまくしたててくる。

 

 呼吸しているはずなのに、常に溺れているような感覚が続く。

 

 ある時、迫る影を振り払おうとした。

 気づけば、窓ガラスを割っていた。

 

 自分が幻覚を見れば、いつか人を殺してしまう。

 

 異能を込めた真剣で、自殺しようとしたこともあった。

 

 だが、首筋に当ててから、刃が進まない。腕が動かない。

 なぜか大粒の涙がぽろぽろと溢れてくる。

 

 幻覚に耐える心も、

 自殺する勇気もない。

 

『誰か、私を……殺して、ください…………』

 

 青桐アオイは願った。

 自らを打倒し、殺害してすべてを終わらせてくれる存在が現れることを。

 

 ──だから、兼高ユウキと立ち会いをした際、

 

 この男子が負ければ、逆上して暗殺をしてくるのではないか、と考えた。

 

 側にいる呉井マナは、自分を殺すのに十分以上な力を持っているからだ。

 

 そして、試合が開始され、

 

 青桐アオイは敗北した。

 

 兼高ユウキは、明らかに武道を学んでいた。

 男子が、武道をだ。

 戦う必要も、働く必要もない男子が、護身術ではない制圧のための武道を学んでいた。

 

 必死な表情で自らを押し倒す姿に、

 青桐アオイの子宮がうずいた。

 

 女性の自分では敵わない、強い力。技量の差を埋める膂力。

 

 青桐アオイの体は、兼高ユウキを"雄"だと認識してしまっていた。

 

 そんな男に監禁される。

 

 処女で、男子から近づかれたことすらない青桐アオイの体は、一世一代のチャンスにボロボロの各機能を懸命に起動させた。

 その結果、熱にうかされたような体の疼きがずっと止まらなかった。

 

 兼高ユウキは、青桐アオイを寮へ連れ帰り、

 

『先生の薬物症状をなくします』

 

 と宣言した。

 一週間は完全に自身の部屋でともに過ごすと。

 常に触れることで騎士性による身体能力低下を起こさせ、暴れても周囲に被害が出ないようにする。

 そのために、武道を学んだのだと伝えられた。

 

 幻覚にしては、その声ははっきりとしすぎていた。

 

 青桐アオイは、その言葉だけでよかった。

 それだけで救われていた。

 

 だが、兼高ユウキは本当に成した。

 

 青桐アオイは、治療後に桐一葉メトリから監視カメラの記録を渡されている。

 

 兼高ユウキは、

 十回もの源液提供で、あれほど悩まされた睡眠負債を、もうどうしようもなくなった睡眠負債を短時間のうちに解消した。

 

 それから、幻覚を見る自分を抱きしめ、励まし続けた。

 

 対し、

 青桐アオイは、兼高ユウキをレイプしてしまった。

 自分を看病し、ずっと側にいてくれた男子を、性の対象にしたのだ。

 

 だがそれさえも、兼高ユウキは受け入れた。

 

 うまく動かない青桐アオイの体を労りながら、自らが動いて青桐アオイの性欲を解消させた。

 

 それからも、

 何度も嘔吐する自分を労り、シーツを清潔なものに替え続け、

 脱水にならないように手ずから経口補水液を呑ませてきた。

 具合の良いときには、食料も口に運んできた。青桐アオイが摂取した食事をすぐに吐いてしまっても、兼高ユウキはただ青桐アオイの心配をするだけだった。

 浮かぶ汗を、人肌に温めた濡れタオルで拭かれた。

 末端が冷え切らないように、定期的にマッサージをされた。

 

 目が見えなくなった自分の手を、常に握ってくれた。

 

 幻覚がひどいときは、抱きしめられた。

 どうして男性の声はこんなにも落ち着くのだろう。

 胸元にいざなわれると、心音が聞こえる。

 

 離脱症状最後の日、

 浴室で、青桐アオイは婚約指輪を受け取った。

 

 最初は理解ができなかった。

 指輪を渡す婚約は、通常の婚約とは意味を異にする。

 末永くともに寄り添うことを意味するのだ。

 

 混乱しているのに、高鳴る心臓が抑えられなかった。

 

 兼高ユウキは青桐アオイを人間に戻した。

 

 言われた言葉ひとつひとつまで、青桐アオイは記憶している。

 

 

 ‐‐‐

 

 

 兼高ユウキのいる図書室に向かう途中。

 

 青桐アオイは、教員とすれ違った。

 

 校長室にいた、大和道デンサイの側近だ。

 

「お前が男子側につくとは驚いた」

 

 すれ違いざまにかけられた言葉に、足を止める。

 青桐アオイの前を先行していたメトリが、怪訝な表情で振り返った。

 

「ある程度利害を考えて動ける同僚だと思っていたんだが、目先の性欲に負けたか」

 

 目先の性欲。

 青桐アオイはちらりと教員を一瞥してから、歩き出した。

 

「あなたにはきっと、わからないでしょう」

 

 振り返らずに歩く。

 言ってから、確かに性欲もかなりあると、青桐アオイは自分を恥じた。

 

 

 

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