本作はpixivにも掲載しています。
また、本作は過去に執筆していた作品を、現在あらためて公開しているものです。

戦術人形ウェルロッドは、指揮官から指輪を贈られた一人だった。
しかし、彼の隣にいる時間が多いのは、同じく指輪を受け取ったトンプソン。ウェルロッドはそれを不満として表に出すことはない。ただ、機械であるはずの自分が、なぜその指輪を大切にしているのか、なぜ彼の世話を焼くことを当然のように受け入れているのかを、静かに考えていた。

そんな中、グリフィンに緊急任務が下される。
孤立した友軍の救出。そのために、ウェルロッド率いる第二小隊は、夜戦部隊〈レッドベレー〉と共同し、敵の注意を引きつける陽動作戦へ投入される。

夜の林に隠された鉄血の弾薬補給所。
ウェルロッドは仲間たちと連携し、静かに、正確に、そして大胆に敵の拠点を崩していく。

任務を終え、基地へ帰還した彼女を待っていたのは、指揮官からの不器用な愛情だった。
道具として作られた身体。任務のために整えられた思考。けれど、その奥にある感情だけは、誰かに命じられたものではない。

これは、戦術人形ウェルロッドが、任務の夜と指揮官の腕の中で、
自分の中にある“心”と“欲しいもの”の形を確かめていく物語。

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本作はpixivにも掲載しています。
また、本作は過去に執筆していた作品を、現在あらためて公開しているものです。

当時の若気の至り、ただ、この熱量は再び日の目を見させてあげたかった……。
割とがっつりやってるやつなので、子供は読んじゃだめだぞ!

メインはウェルロッドなので彼女のファンは是非お勧めだい!!


二つの指輪

 熱気のように感じたものは男、いや、雄の匂いだ。

 その香りを嗅ぐと同時に背筋にゾクゾクとした感覚、そして神経系が高ぶるのを感じる。

 すでにその仕事はしていないとはいえ中々に厄介な機能がこの体に残されていると思う。

 空いた扉から顔を出したのはトンプソンであった。

 戦闘用として使うには豊満すぎる二つの胸は隠すことなく見せつけ、一応配慮しているのかショーツだけは履いているようだ。

 

「あぁ、ウェルロッドか……すまないな、ボスはまだ寝ている、起き次第食堂へよこすよ」

「……またですか?いくらなんでも頻度が多すぎませんか?」

「いやはや……相性が良すぎるってのも考えもんだと思っているさ。前のボスは完全に道具扱いだったし、私もそれでいいと思っていたんだが……いやー……丸くなるといかんな」

「はぁ……朝っぱらからのろけは聞きたくないです、それじゃさっさと起こしてくださいね、前で待っていますから」

「わざわざ待つこともないと思うがね……まぁいいすぐに起こす」

 

 トンプソンと私に指揮官は同時に指輪を渡してきたのはいつだったか……。

 それからしばらくたったが朝のやり取りはだいたいこんな感じだ。

 トンプソンと指揮官の夜は長い、深夜までたっぷりと楽しみ、起床は私任せ。

 さらにトンプソンが彼の身だしなみに気を使えるかと言われると微妙なので、結局部屋から出て来た指揮官のネクタイを締め直し、寝癖を直すのは私の仕事だ。

 指輪を渡された意味をたまに考えることがある。

 所詮私たちは機械だ、それも民生品の量産品だ。

 それに対して真似事かつ、機能拡張のために指輪を渡すとはどういうつもりなのだろうかこの指揮官は。

 ただ、グリフィンのPXでも指輪が売られていたりするので会社として推奨というかなんというか……何を考えているのだろう本当。

 ただ、貰ったときは嬉しかったし、今も常に身に付けている。捨てようなんて一回も思ったことはない。

 私達も人と同様の感情があり、誰かを好きになることもある。よくできたAIを作った人がいるものだと思う。

 ただ、私が接収され銃器と紐づけされるまではそんなことがあるとは思っていなかった。

 接収前には夜の仕事したこともあるし、させられたこともある。でもそんな感情は何も芽生えなかった。

 ……深入りはしない方が良いかもしれない。私たちの根幹にかかわることなどグリフィンが都合の良いように倫理観などがいじられているだろうから。

 

[newpage]

 

 ただし、体の反応は間違いなく昔の仕事の名残だ……私としては必要ないと今は思っているのだけれど……。

 

「よっし、起こしたぞウェルロッド」

「ありがとうございます、指揮官。ネクタイ締めて、襟も歪んでいますよ。……はい、直りました、寝癖は……今日はおとなしいですね、さぁ行きますよ、みんなもう起きて出撃準備しています」

「あいかわらず甲斐甲斐しいねぇ、私じゃ無理だ。着替えて追いつくから先に行っててくれ」

「トンプソンさんも、一回シャワー浴びた方が良いですよ。匂い、すごいですから」

「そうか?ま、素直に従っておくよ」

 

 そうしてトンプソンと別れ、指揮官と食堂へ。

 すでに集まっていた他の戦術人形やスタッフたちとミーティングも兼ねて朝食を取り終え、すぐに上から作戦指示が飛んでくる。

 先ほどまで寝ぼけていたと思えないほど司令官は与えられた任務に対して適切な指示を出す。

 現在進行中の作戦は軍と連携した鉄血が占拠している製造工場の奪還、軍輸送部隊の護衛などだ。

 トンプソンは第一小隊所属のため一番激戦区である製造工場の奪還に派遣されている。

 私は今のところ出撃指示は来ていないので指揮官の手伝いだ。

 とそこへ緊急連絡用の備え付け電話が鳴り響く。指揮官は躊躇することなくそれをとった。

相手は誰だろうが関係ない、上が依頼を受け受諾した内容がこちらへ命令として伝達されるだけだ。

 何度か指揮官は確認を行い正式に任務を受諾、同時に指令室の端末へ任務の詳細情報が飛んでくる。

 内容は孤立した別チームの救出作戦、ただし、すでに包囲され脱出ルートが潰されているため追跡の手が緩む今晩に作戦が決行されることになり、白羽の矢が立ったのは私が率いる第二小隊と“レッドベレー”と指揮官が自ら名付けた夜戦部隊である第五小隊の二小隊の共同で行われることとなった。

 そして日暮れと同時に、グリフィンの輸送ヘリが私達を所定のポイントへと投下して離脱していく。

 それを見送り、小隊員たちに向き直った。

 G41、ステン、100式、M14、第二小隊設立以来あまりメンバーの変わっていない慣れ親しんだメンバーだ。

 

「さて、レッドベレーが目標救出の主任務を担当してくれます、私達は副次目標である破壊工作による陽動を行い、脱出ポイントまでの移動を援護します」

「りょうかーい、しっかりやってご主人様に褒めてもらおう!」

 

 とはいえ、派手にやりすぎてこちらが包囲されてはたまったものではない、離脱ポイントを意識して火災でも起こすようにと指揮官から指示が来ている。

 

≪こちらレッドベレーリーダー、移動を開始。しばらくしたら陽動を頼みます、第二小隊≫

「了解、そちらも重々に気を付けて、通信終了」

 

 作戦開始後、定期的にレッドベレーから敵の排除や回避の連絡が入ってくる。その頻度が増えてきたところを見るに目標に近づいているのだろう。

 そろそろ陽動をかけたいところだが……。

 

[newpage]

 

 

「ウェルロッド、ちょっといい?」

 

 カバーに利用している建造物の屋根に上り周辺警戒をしていたM14が飛び降りてくる。

 

「ここから東300mに偽装された弾薬補給所を発見したよ、鉄血の奴だね。もらえる物貰いつつ、ここを爆破したらいい感じじゃない?」

「派手にするなとは言われていますが……良いでしょうその案を採用します。他、反対意見などはありますか?」

 全員沈黙。

 肯定とする。

 状況を整理すると、目標の建物は現在いる場所から東に300m、林の中に擬装網などで巧みに隠されており、日中での航空偵察でも見つけづらい物だった。

 配置されている間抜けが灯火管制を破りランタン一つを外に置き忘れてくれたおかげでM14が発見できたという寸法だ。

 作戦はこうだM14と100式にこのまま待機してもらい、ここを離脱ポイントとする、そして私が目標補給所のここから見て、さらに東側から爆薬による陽動を仕掛ける。

 指揮官には伝達済みだが、陽動開始と同時に上空を飛んでいるドローンからジャミングを展開して通信網を一時的に封鎖。

 その後ステンとG41でさらに側面攻撃を行い、基地内部の警備を排除して制圧。

 最初の爆発を派手にしかけてこの地区全体の鉄血にこの場所が襲われたことを示して、全体がこちらへ動くように仕向ける。

 なお制圧後、時間があれば使用可能な弾薬や糧食などを基地外へ運び出しておいて、日中にでも回収する。

 後は適当な検問や警備所を襲撃しつつ撤退することで、わざとこちらを追わせ、レッドベレーが目標の回収と撤退を可能なようにする。

 相手は今捉えている戦術人形の救出に部隊が来ることは読んでいるだろう、陽動もどこまで効果があるか分からないが、擬装している弾薬補給所が爆破されるのだ、いくらなんでも動かないわけにはいかないだろう。

 

「作戦開始」

「よっし、ステンちゃん行くよ!」

「待って、さすがにセンサーぐらい敷設してあると思うから慎重にいぃぃぃぃぃ……」

 

G41に引きずられるようにしてステンがエコーを残して闇夜に消えて切った。

 

「そいじゃ周辺警戒と目標指示頼むね、百ちゃん」

「分かりました、サプレッサーは……」

 

 100式はM14からの言葉に頷き、ベストのポケットからサプレッサーを取り出そうとする。

 

「私が撃つときはドンパチにぎやかになってからだから大丈夫だよ、さ、上へ行こう」

 

 再度上へ上るために降下に使ったロープを引きながらM4は私にウインクする。

 

「信頼されていますね……私」

 

 即ち、M14は戦闘に入らない限り支援射撃はしないということだ。夜間の環境音すら少なくなるこの時間帯にサプレッサー無しで射撃しようものなら位置なんて一瞬で露見する。

 そのリスクは冒せないということだろう。

 

[newpage]

 

 

「そもそも、今から襲撃かける位置で孤立したらさすがに助けられませんから、頑張って」

「了解、合図を待ってください」

 

 弾薬補給所のコンテナなどの障害物でそもそも射線が取れないから援護射撃は無し、当然か。

 仲間に別れを告げ、私も走り出す。

 補給所があるのは古い洋式の街並みその街はずれの林になっている場所で、舗装道路に近く、さらに隠すならそういった場所の方が有効だろう。

 だが、おかげでこちらが建物を使い高所からの狙撃態勢を整えられたのは大きい。

 補給所の責任者は余り周囲の地形情報を考慮しなかったのだろうか?

 

「ウェルロッド、配置についた。M14、敵に動きは?」

≪増援や補給トラックの類もなし……いや、丁度基地内の配置換えの時間みたい、多少動く、待て≫

「了解」

 

 配置につき草むらに伏せながら爆薬の準備をする。

 成型爆薬に信管を差し込み、一旦ウェストポーチの中へしまい、匍匐前進で距離を詰めていく。

 

≪こちら100式、敵の配置換え完了、通信量が減少したのを確認≫

「定時連絡の間隔は?」

≪発見した後さかのぼってUAVの情報を見てみたけど、通信量が増えるのが10分に一回と1時間に一回、10分の方は補給所内、1時間が外部との通信とみられる様子。さきほど1時間の方の通信が終了、チャンスだと思う≫

「了解……M14スポットお願い」

≪……こっちからは無理かな、見えない。UAVでの支援を要請……これでどう?≫

 視界とリンクしている部隊内の戦術リンクにUAVによって敵がマーキングされ、視界には赤い縁取りと三角形の小さなマーキングが表示される。

 総数は12体、3分隊強、大した数ではない。

 

「ありがと。そのまま射撃準備、指揮官型を優先、存在しなければ脅威度に応じてターゲット設定、100式は奇襲、及び敵偵察部隊の巡回を警戒」

≪了解≫

「G41とステンは最寄りの敵をマーク、合図を待って」

≪りょうかーい≫

 

[newpage]

 

 

 通信をやり取りしながら、警戒していると、外周の警備が歩いてくる野が見えた。標準的な鉄血の戦術人形が二体。

 

「あの位置で監視に立たれると、陽動の仕掛けを用意できないな……」

 

 私と同じ名前の銃をホルスターから抜き、照準を付ける。

 ウェルロッドMk-2、ボルトアクションで動作するハンドガンだ。本体のほとんどがサプレッサーで構成されており、有効射程距離を維持し屋外で使用する場合の騒音レベルはよほど気を付けていなければ分からない程度。

 ただし、欠点は動作音を可能な限り小さくするために動作方式がボルトアクションとなっている。

 一発撃つごとに手動で排莢しなければならずターゲットが一つなら兎も角、2つ以上を銃一本で狙うにはかなりの錬度が要求される。

 

「まぁ……私の場合は……」

 

 両手にウェルロッドMk-2を握り、それぞれを巡回で歩く鉄血人形へと向けた。

 二丁拳銃というものは基本的に視線と銃口の向きに大きく乖離するため命中はほぼ期待できない撃ち方だ。

 所謂映画などのエンタメ向きのものであるが……。

 私達のように機械で高度な弾道演算が可能な存在であれば多少実戦的に使うことができる。

 

 照準が定まり、敵の動きが止まった瞬間、トリガーを引き絞る。

 クグもった破裂音とハンマーが雷管を叩く小さな金属音が辺りに広がる。

 

「ぐっ」

「ぎゃっ」

 

 同時に放たれた二発の弾丸は綺麗に人形の頭部、即ち機能中枢を撃ち抜いた。

 ドサリと文字通り糸の切れた人形のようにその場に二つの戦術人形が転がる。

 それを見届け、私は予備弾薬などを入れているウェストポーチから先ほど用意した成型爆薬を取り出し手近なコンテナへと張り付ける。

 コンテナのマーキングは……迫撃砲弾。

 

「派手になりそうね」

 

 10分ごとの基地内の定期連絡でばれる可能性があるので待機しているG41とステンの下へと走る。

 

「作戦開始」

 

 遠隔起爆装置を起動、雷管に通電、同時に成形炸薬が炸裂して甚大な爆発を引き起こした。

 そして、その爆発に巻き込まれて迫撃砲弾も誘爆をおこし、一斉に誘爆しだす。

 

[newpage]

 

 

≪いやっはぁ!派手にいくよ!!≫

≪こちらステン、攻撃開始!≫

 

 体に響くほどの大爆発、それを感じ取りつつ、草をかき分けて移動を続ける。

 

≪通信量増大、UAVジャミング展開、制圧を開始します≫

 

 敵襲と判断したか消火活動も行わずにG41たちの方へ敵の人形たちは応戦を開始した。

 

≪敵スナイパータイプを補足≫

 

 遠くでわずかなマズルフラッシュが見え、一寸於いて見張り台の上からG41を狙っていたスナイプタイプの頭部が吹き飛ぶ。

 

「ナイスショット」

≪どうも、残敵8、G41とステンの突撃がだいぶ利いてるよ≫

「爆発で陽動してからですので、側面取っているようなものです、それぐらいしてもらわないと」

≪何でもいいから援護ちょうだい!向こうのが地形的有利だよ!ひゃーっ≫

≪了解っと≫

 

 再びのマズルフラッシュから着弾。

 よくもまぁM14でこの距離を当てるものだと思う。

 こうして損害ほぼ無しで無事に補給所を制圧。

 その後予定通り先ほどの爆発と比べ物にならないほど派手に爆発させ陽動は成功。

 最小限の追跡部隊を易々と退け、救出対象をレッドベレーは救出し撤退。

 私達も見事囮をこなしてレッドベレーに充てるつもりで配置されていた追跡部隊を釣り上げたところで撤退に成功し、任務は無事に終了した。

 東の空が少し白んできている。睡眠も休息も基本必要ないのだが……、それでも朝日が昇る所を見ると不思議と眠気が吹き飛ぶような感覚に襲われる。

 なぜだろう?人に近いからこういう感想を抱くのだろうか……。

 悶々と色々と考えているうちにあっさり基地に到着、小隊員達を解散し、任務終了を告げるために指揮官が詰めているだろう指令室へと向かった。

 

[newpage]

 

 

「戻りました……ってあれ、指揮官は……」

 

 見慣れた指令室、数人のオペレーターがモニターとその向こうで行動している部隊員と悪戦苦闘している。比較的暇そうにしていたオペレーターが私の方に振り返った。

 

「先ほど部屋へ戻られましたよ。ウェルロッドさんの作戦、常に気にしていましたので、それ以外にもいくつか夜戦案件があってそれの対応もしていました。それで、ようやく別の指揮官への引継ぎが終わって明日の朝まで休憩とのことです」

「了解、報告書をまた上げておきます」

「了解。あ、伝言がありました、戻ってきたら部屋へ来てほしいそうですよ」

「……指揮官はせっかくのお休みなのに?」

「さぁ?まぁどうぞごゆっくり。戦術人形の修復や訓練などもありますのでしばらく出撃はありませんので」

「了解、拝命します」

 

 何の用だろうか?

 私も宿舎へ戻る理由もなかったので指揮官の部屋へと直行する。

 

「指揮官、ウェルロッドです」

 

 扉をノックすると指揮官から返事があり、私は部屋の中へと入った。

 いつもの指揮官、部屋は多少乱雑気味に物が置かれているが汚れ物などはない、その辺りはいつも入り浸っているトンプソンが何やかんやでこなしているのだろう。

 私からすればまだまだですけれど。

 

「あの……指揮官、なんの用でしょうか?」

 

 私がおずおずと尋ねると、指揮官は大したことはないよと断りを入れて椅子から立ち上がった。

 そして私を抱きしめる。

 

「……んな!?」

 

 一瞬思考停止してしまった。すぐに気を持ち直してもぞもぞと、女性の平均的な筋力数値で彼の腕の中でもがいてみるが割と力を入れられており、戦術人形としての本気を出さないと抜け出せそうにない。

 が、ここで振りほどくのは多分野暮なのかも。

 そして、彼が口を開いた。

 抱きしめた理由は案の定トンプソンから焚きつけられたかららしい。

 指輪を貰ったのは2人、しかし夜を一緒にするのはトンプソンばかりであり、ウェルロッドのほうはほったらかしになっている。

 どうせ今晩は出撃で相手できないのだから、ウェルロッドにも私にそそぐのと同じ愛情をちゃんと注いでやってほしいとのことだった。

 トンプソン……がさつに見えて意外に気が回るようですが……ちょっと世話が過ぎますね。

 私自身は肉体関係など欲していないというのに……。

 ……いや本当にそうだろうか。

 自分自身の躯体の変化は捉えている、現にこうして抱きしめられていると何か期待するような感情があることも事実だ。

 しかし、これは私が徴用される前の反応だと思う。

 男に抱かれ、男を喜ばせることに製造理由が一部あったころの名残だ。

 しかしまぁ……、難癖付けても仕方ない、たまには流されてみてもいいだろう。

 そんな考えで司令官を受け入れることにしたのだが……。

 やはりというかなんというか、徹夜明けの妙なテンション、さらに言えば一眠りして眠気もなくなり、おなかもなんか別に空いてないなー暇だなーってなった男性というのはこうも性欲が高まるのだろうか。

 ちなみに、誰かから聞いたか忘れたが有名なエッチな動画配信サイトの統計を見ると朝と深夜にかけて利用率が上がるらしい。

 これを見るに、起きてから一発抜くという習慣がある男性が一定数は居るようである。

で、指揮官はこの深夜から朝方にかけての分が十分にたまっており、徹夜したテンションで若干ガタが外れていた。

 最初は互いにゆっくり愛撫しながらだ。

 敏感になった指揮官のあれを虐めるのは楽しい。

 もちろん私には絶頂するところまで行かないがぬるま湯に浸かり肩の力が抜けて身を任せたくなるような緩い快楽を指揮官が与えてくれる。

 思わず口から甘ったるい吐息が漏れた。

 一通り楽しんだ後、とりあえず指揮官をベッドにあおむけに寝かせ、そのまま胸へ舌をはわせた。

 指揮官の体が驚いたのか僅かにはねる。でも構わずにそのまま乳首、みぞおち、下腹部へと動かしていく。

 下へと移動していくと当然、物足りないとばかりに起立したソレがそこにあったが、あえて触れずに陰核を軽く口に含んでコロコロと転がす。

 でもかわいそうなので竿の方も左の手でちょっとだけ擦ってあげる。

 その後、わざとらしく吐息を何度も吐き掛けうち太もも、アリの門辺りまで舐め付けた。

 ここで指揮官がギブアップ宣言、仕方ないので手をやめて口でしてあげることにした。

 ほんの少し漏れ出した我慢汁を舌で掬い取り、そのまま躊躇することなく口に含む。

 そりゃ当然美味しいものではないけれど、愛しい人物のそれだ、歯を立てないようにしてゆっくりとストローク。

 でもそれだけだとその辺の性処理器具の方がよほど気持ちいいだろう。

 なので、それではできない、舐めるという動作を中心にすることにする。

 綺麗にした竿を口から出して、そのまま裏筋、亀頭、鈴口と舐めたり、吸い付いたりする。

 テラテラと唾液まみれになった竿はこれでもかと堅く起立し、先程手で擦っていた時よりももう少し立派になっていた。でもまだだ。

 竿から陰核へ攻め手を移し、もう一度丹念に口の中で転がす。

 指揮官は情けない声を上げながらなすがまま、トンプソンもああ見えて甘々の包容力前回のエッチをすると本人から聞いている。意外に指揮官はされるがままタイプなのかもしれない。

 陰核と竿を同時に刺激されているため、あっという間にググっと指揮官の腰と足に力が入るのを感じたのでここで一旦手を止め、指揮官にのしかかる。無い胸が指揮官の硬い体に触れる、……ちょっとだけ申し訳なく思う胸さえあればもう少し奉仕できるものを。

 

[newpage]

 

 

「出す場所は?」

 

 分かり切っていることを私は聞いた。そもそも私達戦術人形に対して出す場所の遠慮はこれっぽっちもない。当然指揮官の回答は、中をご所望だった。

 しかしまぁ……それは果たして気持ちの良いことなのだろうか?

 機械のみである私達には多分理解の及ばない理屈があるのかもしれない。

 例えば雄の雌に対するマーキング本能のようなもの……。

 すでに、何でもするレベルで堕ちていると自覚している身としてはもはやこの程度の行為で何も揺るがないのだけど……むしろもっとという感情が芽生え始めていた。

 最初は乗り気でなかったけれど一度体を重ねてみるとそういう物なのだろう。

 トンプソンがハマる理由もなんとなく理解したし、これからも入れ替わりか、それとも同時に相手してもらおう。

 まずは目の前の指揮官に気持ち良くなってもらおう。

 とはいうものの、夜勤明けなこともあって、端々から疲れが感じられる。昨日も遅くまでトンプソンとこなした後だったのだろう、というわけで、一回で満足してもらえるようなスローセックスに持ち込むことにした。

 

「じゃあ、目隠しだけしますね」

 

 指揮官には目隠しをしてもらう、とはいうものの手は拘束しないので嫌ならはずせるものだ。

 そこから座位で私は司令官の物を受け入れた。

 最初の愛撫で内分泌される愛液代わりのローション、疑似愛液は膣内に満ちており程よく温められたそこはズルリと彼を抵抗なく入る。

 プログラムされた物か、それとも別の部分から来ているのか分からないが、充足感が私を満たしていく。

 挿入後、彼の頭を抱き、ギュッと体を寄せた。

 耳元へ口を寄せ吐息を聞かせる。彼の体がゾクゾクと震え、指揮官の快楽指数が高まるようで、一段と堅くなった。

 

「動きます……」

 

 囁きと共に腰を前後に動かす。

 待っていましたと言わんばかりに指揮官が私を抱いた腕に力が入り、私の動きに合わせて多少腰をずらしてくる。

 浅く、深く、浅く、深く、堅くそそり立った指揮官のソレを私の膣内で丁寧にほぐすように包み、あやす。

 少し動きが早くなりそうだったので、足で指揮官の腰を掴み、動きを止めさせる。

 その間は舌を絡める深いキスを交わしながら背中、肩、互いに様々な場所を触る、時折指揮官が私の頭をなでてくれるのがうれしい。

 何度か動かす、止める、全身を互いに愛撫することを繰り返し、徐々に興奮を高めていった。

 僅かに出し入れするだけで絶頂寸前のような甘美な、そして抵抗し難い快楽が襲い掛かる。

 指揮官もそうらしく、歯を食いしばり、訪れようとしている射静感を抑え込んでくれているようだ。

 ここまで来て自分の欲望だけを押し付けないように我慢してくれている指揮官に対して私はとても嬉しく思い、そうして、そろそろ互いに限界、と思われるタイミングで私は膣から彼を開放する。

 なぜといった様子で困惑していた彼の手を取り、私はそのままベッドに倒れ込み彼を引き寄せる。

 そして空いている手を使い彼を再び膣へと誘導し、目隠しを外してあげる。

 

「……お待たせしました、お召し上がりください……」

 

 ギュゥと彼を抱き寄せ、同時に再び彼が私の中に戻ってきた。

 息が荒い、だが、ここまでゆっくりとしたセックスだったので緩やかな挿入。

 

「んぁっ……!」

 

 しかし膣壁を彼の物が刷り上げる感触に我慢せず声を遠慮なく出した。

 はしたないと普段の冷静な自分なら思っていたかもしれない。

 だが、そんなものここでは無粋だ。

 目の前の女を指揮官は全力で愛してくれている。それに対して疑問はもってのほかだし、余計なことを考える必要もない。

 与えられる快楽、与えることができる快楽を互いに享受し、交換し、ひたすらに溺れればいい。

 

「ひぁっ、おくっ……きもちぃです……」

 

 指揮官はゆっくりと、だが、最奥まで押し込むように腰をつき込んできた。

 疑似愛液が押し出され内股を伝いおしり、そしてベッドを汚していく。

 そして指揮官はそこからまたゆっくりと引き抜き、先端すれすれまでいったかと思えば最奥まで突き入れる。

 これを何度も、何度も、私の中を自分の形に作り替えるように、覚え込ませるように繰り返してきた。

 男を喜ばせるために作られた人間の女性には無い機構が突き入れられると共に快楽を私の神経系に叩きつけ、そして引き抜き膣壁がカリ首に引っかかれると、じわじわとした身震いするような、腰が引き抜かれるような感触が私を支配する。

 何度も出し入れされることでもはや私からは正常な判断、いや意識と言えるものは殆ど残されていなかった。

 頭の片隅はさすがに冷静な部分があるが、もはや与えられる快楽の前にそれの出番はない。

 微細な絶頂が繰り返され、その裏にある大きな波が次第に近づいてくる。

 ぎゅぅと膣壁が彼の物を締め上げ、その形が手で触れなくともすべて分かってしまうほどに密着し、亀頭が膨れ上がる感触が伝わってくる。

 指揮官は短く私に出すぞと、告げた。

 私はこれに頷く代わりに、足をもう少し開き腰を浮かせ、密着させることで答えた。

 そして快楽の流れを何とかせき止めていた理性を外し、なすがままに受け入れる。

 膣、腰、背中、足先、胸、乳首、首筋、ありとあらゆる性感帯から快楽が押し寄せ一度内側へと入り込み、そして意識を支配する。

 もう、快楽しかない。それもとてつもなく甘い、今まで仕事で味わっていた物ではなく、これこそが本当の……

 そこまで行ったところで、彼が私の中へと射精した。

 

「っ……んぅ……」

 

 温かい精液がとろけきった膣内へと放たれる。

 勢いのある射精ではない、トプトプと注ぎ込む優しい射精。でも、しっかりと焦らされた彼にとっては待望の射精だ。

 それはジワリと染み込み、快楽一色だった私の意識が言い表しようのない幸福感へと切り替わる。

 絶対的な快楽と、それを超える幸福感。

 なるほど……これはトンプソンもハマるわけだ……。

 快楽だけを得るだけのセックスではなく、幸福感を最大にするセックス。

 こんなもの一度知ってしまえば手放す気にはなれない。

 

「はぁっ……はぁっ……ふふ……まだですか?」

 

 私は雄としての本能か、必死に最奥で人間にしては長めの射精を続ける指揮官にいたずらな笑みを浮かべた。

 彼は余裕のない表情で私を見ると少しばつが悪そうに眼をそらす。

 

「どうぞ、好きなだけ……」

 

 どれだけ射精しようが妊娠は間違いなく無い。人間の卵子など搭載してないからだ。

 でも、たぶん、今の私は生身の人間であれば彼の子を孕むつもりであるし、言葉は少なかったが、双方が十分に相手を思いやったセックスだった。

 ようやく射精が終わったのを感じ取ると、私は足をほどき、指揮官が腰をおっかなびっくり引き抜く。

 男性は特に射精後先端が敏感になるそうで、それがあるのだろう。

 引き抜かれた彼の竿は疑似愛液と精液にまみれていた。

 

「ん、指揮官ベッド脇へ座れますか?……はい、じゃあ失礼して……」

 

 私の言葉に指揮官は素直にベッド脇に腰掛ける、そこから私は彼の股座に顔をうずめ、色々まみれてしまった象徴を丁寧に舐め、口に含み、綺麗にしてあげた。

 亀頭とその裏筋辺りを舐めるとくすぐったさがあるのか、ビクビクと腰が動き、尿道に残っていた精液が押し出されるようだ。

 しかし、少しばかり時間がたつとそれもなくなり、すっかりおとなしくなってしまった。

 口から解放すると役目を終えたと言わんばかりに力なく垂れさがる。

 

「……えっと……その、ご満足いただけましたでしょうか?」

 

 思い返してみれば、今回のセックスはトンプソンのような豊満な体ではない私がしたものだ。

 少し冷静な部分が戻ってくると満足できる部分があったのか少し不安になる。

 私のテクニックはあくまで基本に忠実で、製造から刷り込まれていたものであり、指揮官の趣味に合うかどうかは分からなかった。

だが指揮官は私の言葉に首を振り対面座位の形で私を抱き上げ、キスをし、そうして、今までほったらかしにしてごめんと言いながら、もう一度しっかりと抱きしめてくれた。

 正直言えば別に気にしては無かったのだが、私は一瞬考えるフリをして。

 

「殆ど気にしてなかったのですけどね。まぁ、こうして一度体を交えてしまえば、もう戻れません。ですので、明日以降は覚悟してください、トンプソンとまとめてみてもらうか、ほぼ毎晩どちらかとなりますので」

 

 満面の笑みで言い放ってやった。

 彼は苦笑いを浮かべたが、拒否はしなかった。

 多分、これ以上指輪を増やすつもりは無いだろうけど。

 




当時の勢いで書いたやつなので、現在この熱量では書けないかも

楽しんでいただけたら幸いです。

気が向いたら最近の流行りで書くかも?
書かないかも?

おさらばっ!

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