【本編完結】アズールレーン寝取られ二次創作世界の終末の後に 作:リンパック
そして今回の話を投稿するにあたって、章と話のタイトルを変えております。ご了承ください。
指揮官は任命された日から、ユニオンと重桜の支援を受けつつ、たった六隻の戦艦と四隻の空母、一隻の重巡洋艦だけで世界の海を巡回していた。巡回の合間に行われる定期演習では、指揮官側を煽るノースカロライナ達を叩きのめした。今日の演習相手は北方連合だった。前衛にはクロンシュタット、アヴローラ、キエフ、主力はソビエツキー・ソユーズ、ソビエツカヤ・ベラルーシア、ヴォルガで、誰もが本来なら秀でた戦闘能力を持っているはずだった。しかし全員が堕落し、往時の実力はほぼゼロに落ちた。主力の三人に至っては指揮官とケッコンしていたが寝取られており、ベラルーシアは黒い化粧にタトゥーを入れていた。
「もう…許せないよね!!」
「ローン!そこまでにしな!次が来るよ!」
気絶した後もアヴローラを殴り続けるローンをペンシルベニアが制し、残存艦に注意を向けさせる。前衛はローンだけではなくペンシルベニアのような戦艦も加わっていた。本来の演習であれば巡洋艦か駆逐艦が前衛を勤めるはずである。しかし、ローン以外の巡洋艦と駆逐艦が全員寝取られると言う異常事態により、ローンだけに前衛を任せるのは作戦行動上不安が残るとのことで、戦艦もまた前に出ていたのだ。
「了解!」
次に来る攻撃を読み切っていたローンは、瞬時に脳内で攻撃の段取りを構築する。根っからの戦闘狂であるローン自身にとって、殴る相手が大勢いることはやぶさかではないが、指揮官を裏切った連中に万が一にでも負けるのは癪だったため、この提案を受け入れた。そのために演習では戦艦二隻がローテーションを組んで、ローンと共に前衛を勤めていた。
「私達をっ!舐めるな!!」
スキルを発動してシールドを生成しながら、20.3cm砲のりゅう弾で接近してきたクロンシュタットとキエフに命中弾を出してひるませる。至近距離まで接近した後、ローンは拳を握って二人を殴り倒した。
「きゃっ!!」
「ごべっ!」
「貴方達も…許せないよね!!」
ローンと共に前衛を勤めるペンシルベニアとテネシーは、赤城と加賀の航空援護のもとで前衛を突破して主力まで進んだ。ソユーズ達は至近距離で魚雷と主砲弾を何発も浴びて大破した。指揮官側の圧勝だった。
別の日に開催された演習でもペンシルベニア達は圧勝した。この時の指揮官側の前衛はローン、テネシー、ネバダであった。相手艦隊の前衛は戦艦より小回りの利くはずのジェーナス、セントルイス、ラフィーだった。彼女達もまた堕落しており、今日の演習のための訓練などはほとんど行っていない。そのために実力には相変わらず隔絶した差があった。ジェーナス達はろくに回避もできないまま、容赦なく大口径主砲と魚雷を浴びて大破判定を受けた。ダメ押しとばかりにテネシーとローンは三人を平手打ちした。
「ひいっ!」
「逃げられるとでも思っているんですかぁ〜!!」
そうして圧倒的な敗北を喫した堕落KANSENは、うっ憤を晴らすように、演習が終わった後に指揮官を連れて行きマゾ煽りを行っていた。しかし彼女達への信頼や愛着をとっくに失っていた彼にとって、そうした煽りや罵倒はどうでも良く、内心早く終わらないかと冷めていた。
そうしたマゾ煽りは、反応を見せない指揮官にしびれを切らした堕落KANSENが追い出すか、言葉の応酬でそれどころじゃないまま終わることが殆どだった。しかしノースカロライナとワシントン、そして最近になって加わったジョージアは、躍起になって指揮官を勃起させようと試行錯誤していた。心の奥底に固く閉ざしていたが、ペンシルベニア達と同じくらい最も愛した三人と会えることへの喜びもあり、他と違って指揮官を楽しませていた。「次はどんな手を使ってくるんだろう」と指揮官は内心面白おかしく構えていたほどである。今日もまた、大きなソファーでノースカロライナとワシントン、ジョージアに囲まれていた。
「君達も飽きないねえ…」
「私、負けっぱなしは性に合わないんです♡」
「今日こそは出せよな~」
前と違い今度はちゃんと指揮官の陰茎に触ってことに及んでいたが、それが勃起に繋がりそうには無かった。
「だから無理だっての。というかワシントンはなんの心変わりだよ。ゴミチンコに触りたくないとか言ってたじゃないか」
「だから今日はわざわざ触ってやってるっての。だからさ♡な?」
ワシントンは優しく笑いかけるが、目の奥には屈辱が宿っていた。それを指揮官は見抜いていたが敢えて指摘しなかった。
「んじゃあ、お手並み拝見と行こうか」
しかしこの日もまた戦果はゼロであった。1時間ほど指揮官は三人に拘束されていたが、射精どころか勃起さえしなかった。もしペンシルベニア達にされていたら何度もしていたであろう。
「まーたこれかよ…指揮官も強情だなぁ」
「君達を全く信頼してないからね。それで、ジョージアも何で来たのさ」
「ご主人様との世界一周までには指揮官を一回は負かしたいと思ったのさ」
「そうか」
ジョージアの発言を受けて、彼は少し悲しくなった。恋愛感情は抜きにして、指揮官は心の中で、ジョージアは格好いい大人の女性だと思っていた。自慢の快速で世界旅行をしたいと夢を語り、世界平和を願う責任感のある、端正な顔に柔和な笑みを浮かべていたジョージアはもういないのだと思ったのである。
「…情けないな」
「ん?」
だからこんな言葉もまた、棘を持って指揮官の喉奥から出て来た。
「ご主人様のために危険を排除する気概は無いのか君には、いや君達には」
自然に出てしまうぐらいには、いまの彼の心は冷えていた。
「まーたその話かよ」
「ふふっ、射精してくれたら戻ってあげても良いですよ?」
ノースカロライナの提案を指揮官は無慈悲に却下した
「断る。足手まといだし部隊の連携や雰囲気を壊す。指揮官としては認めらん」
「…っ!」
「ほんっと!その態度が気に入らねえ!」
「俺からすると今の君達こそ不愉快だな。こんな事してセイレーンやエックスが来なくなると?本気なら正気を疑うぞ」
指揮官の容赦ない言葉に三人の動きが止まるが、彼の言葉は止まらない。
「なあノースカロライナ、さっき君は俺を何もできない役立たずとか、そんな役立たずでもマゾ煽りは出来るから出せとか言ったが…こんなんでも俺は、ペンシルベニア達と共に世界の平和を維持している自負がある」
「たった11人でか?」
ワシントンが茶化すが、指揮官の話はシリアスなトーンのまま続く。指揮官としては、こんな無益なことに精を出している三人が可哀想に思えていた。そんな三人から役立たずと言われて腹は立つし不満もあるが、それ以上に自己紹介しているのかと疑問を覚えたのだ。
「そうだな。11人以外が全員戦力として、人間としてダメになったから、11人で回さねばいけない事態になっている。だがな、俺から見れば君達の方こそ何の役に立っているのか分からないんだよ」
「なんですかそれ…」
「こっちの台詞だよ。戦艦として生まれてその任務を果たすはずの君達が、本来の役目を放棄して、企業の社長の愛人だけをしているんだ。演習で君達は悉くボロ負けしているし、最近じゃ本業の愛人業でさえ満足に行えてないそうだから、一体君達は何のために、何の役に立っているんだい?」
「せめてさ、セイレーンやエックスの危険が去ってからダラけなよ。アズールレーンとレッドアクシズに移る前に、散々言って誰も聞かなかったけどね。このザマでエックスが来て押しのけられる訳ないだろうに」
「…っ!良いんです!」
その言葉を受けて、指揮官の中で、三人に抱く不満が…やればできるのにしない子供への期待交じりの怒りが爆発した。
「良くないだろうが!」
突然の大声に三人がひるんで指揮官から離れる。
「このザマでご主人様を守れるのか!?彼は非武装の民間人じゃないか!君達より確実に腕力が弱いはずだぞ。本社はユニオンの東海岸で、社長はそこからあまり出ないんだろ?セイレーンが狙ったらお終いじゃないか!!」
その直後に大きな音を立ててソファーの前にあった大きな机が倒れる。指揮官の怒りが激しくなり、彼は机を蹴り上げたのだ。
「せめて、生活のために愛する人を守ろうって気は無いのか!」
「…っ!」
「うるせえ!」
三人は指揮官を抑え込もうとしたが失敗した。最初に殴りかかってきたワシントンに、ノーモーションでパンチを浴びせ、膝蹴りで腹にダメージを与えた。
「ぐえっ!」
ワシントンが蹲るまでの間に、指揮官の右と左にいたノースカロライナとジョージアが指揮官を取り押さえようとする。しかしジョージアは殴るために出した腕を指揮官に取られ、そのまま背負い投げされてノースカロライナとぶつかって崩れた。
「きゃっ!」
「うぐっ!」
あっけなく終わった格闘を終えて、指揮官の中で彼女達への評価がさらに落ちる。同時に心も冷えた。寝取られたことへの腹立たしさよりも遥かに、幻滅が大きかった。
「相変わらずだね…その無力っぷりは」
手をはたき、帰るためにズボンを上げながら指揮官は言葉をつづけた。
「君達は、堕落したKANSENの中ではまだマシな方だと思ってたよ。どいつもこいつも圧倒的に敗北していく中で、君達三名はまだペンシルベニア達に粘って見せていた」
「それに、こういう話をして苦い顔をするのも君達だけだ。他は話を変えるか逆ギレするか話を聞いてないかで、現実を見ようとしない」
「苦い顔をするってことは少なくとも目の前の現実を認識できているってことだ。だから君達には期待してたんだが…思い違いだったか。はあ…俺も老いたな」
解雇を言い渡す人事部のような目で彼は、自らが抱いた絶望を…恋愛的な意味ではなく、実力、戦力的な意味での幻滅をつらつらと述べる。
「自分が情けないとは思わないのか?こんなことしてる場合じゃないって、分かっているだろ?」
暗にKANSENとして、軍人としての務めを果たせと圧力を掛けていた。
「話は終わりかい?少年」
「そろそろ帰ろ〜よ〜、指揮官」
そんな中、ドアを開けて、ペンシルベニア、ネバダ、カリフォルニアが入って来た。指揮官の態度が、親しい人へのそれにかわる。
「ペン姉…バタ姉…フォル姉…終わったよ。次からの演習だけど、終わり次第すぐに帰ることにしよう」
「…え?」
「君達の呼び出しには応じない。まあ、もう俺が演習の場に来ることもないだろう」
「なんだよ…それ」
「これで君達は、こんな雑魚オスに負けた敗北者だ」
雑魚オスの言葉が飛び出た瞬間、ペンシルベニア、カリフォルニア、ネバダの表情温度が氷点下を下回った。
「落ち着いてくれペン姉達。…君達は二度とマゾ煽りも出来ず、腕力でも劣り、ご主人様には最後まで嘘を付き続け、本当の快楽を得られない」
「…そして最後はセイレーンに成すすべなく殺される」
「…指揮官は悔しくないんですか?」
「悔しいねえ。君達がいつ俺を心から満足して射精させてくれるのか、その日が来ないまま終わるんだから」
「違う、ノースカロライナが言ったのは、三人の女に囲まれて煽られたことについてだ」
「それならノーだな。煽られたこと自体は悔しいが、最後は大体君達が俺に挑んで返り討ちに会うだろう」
「それに、ノースカロライナとワシントンから聞かなかった?マゾだって相手を選ぶって、ただ痛いだけがマゾの本質じゃないって」
「…そうか。指揮官にとって私達は眼中にないんだな…」
ジョージアの眉が下がり、あからさまな落胆を見せつけて来た。
「当たり前じゃないか。いくらかつての仲間だからって限度がある」
「世界が破滅の瀬戸際だってのに、淫蕩な夢に浸れる神経が本当におめでたいよ。君達が堕落してない時でさえ、やっとこさセイレーンを追い返せたと言うのに」
「セイレーンの脅威は健在で、それに加えて真の敵であるエックスは姿こそ現してないが確実に来る。あの通常攻撃が全く効かないような絶望的なラスボスがね」
「だと言うのに、そんなことが無いかのように、エウロラ大陸と北方、東煌の連中は振舞っている。どうかしてるよ。KANSENも指導者からして腐っているんだから回復の余地が無い。鉄血のビスマルク姉妹や、サディアのリットリオ、北方のソユーズ級、ロイヤルのエリザベス級にロイヤル騎士隊…いや妓士隊か、ライオンでさえああなると、死ぬまでああなんだろうな…」
ユニオンと重桜の首脳の危機感を、アズールレーンとレッドアクシズ、そして他国上層部は一蹴した。大半の間男達から言わせれば、新興国で成り上がりのユニオンと、極東の小国たる重桜が、「世界の中心たる」エウロラ大陸の国々に指図してくるのが鬱陶しいようだった。その思いを証明するかように、腐敗はエウロラ大陸の方が酷かった。重桜とユニオンにも間男達に同調した者はいたが、首脳部はまだ理性的な判断を下せていた。しかし全体で見ればKANSENの頽廃は止まらなかった。
「こんな状況でエックスと戦ったって負けるに決まってるよね」
そう言って指揮官はため息を吐いた。その様子にノースカロライナは疑問を呈する。
「…なぜ、終わりが来ると分かっているのに戦うんですか?」
「決まった訳じゃない。運命通り来たとしても、抗わない理由にはならない。俺は生き残りたいし
、ユニオン軍に籍を持つ重桜軍人として、人々を守る責務がある。君達にも言ったと思うんだけどな…」
過去を思い返しながら指揮官は三人を見渡すと、三人とも苦しみや悔しさを顔に湛えていた。
「…まだそんな悔しい顔が出来るなら、悔しいと思うなら、ノーフォーク基地に来い。そして俺を負かしてみろ」
「何でアンタに…!」
「良いのか?負けっぱなしで?このままじゃ君達は決して勝てんよ?俺にも、そしてセイレーンにもだ」
「…っ!」
「君達の道は二つに一つだ。快楽だけをひた走って最後に破滅するか、面倒くさい責務を果たした上で快楽を享受するかだ。肝に銘じて終わりの時まで過ごせ。話は以上だ」
そう言うや否や、指揮官はペンシルベニア達を伴って踵を返す。彼らがノーフォーク基地に戻ろうとすると、ノースカロライナが声を上げた。
「…来ます」
「ん?」
「行きます!行って、いつかあなたを打ち負かします!」
「あ、アタシも!」
「…私も行く。あんたに負けっぱなしじゃ、ご主人様との世界一周に傷がついてしまう」
指揮官の中で、三人への評価が少し上向いた。そして心の奥底で固く蓋をしていた三人への未練と独占欲に、ほんの仄かに火が付いた。ノースカロライナ達は恐らく屈辱感で動いたのだろうと指揮官は察していた。本当に、責任感や苦しみをほんの僅かながらに感じていたかもしれない。しかしそれ以上に、自分達に負かされっぱなしだったのが気に食わなかったのだろうとあたりを付けていた。
「…その言葉が聞きたかった。指揮官として歓迎しよう」
「良いのかい?少年」
「いいさバタ姉。これは朗報だ。戦艦三名加わったんだから」
「少年が言うなら、アタシ達も言う事無いな」
「うん。賛成だ」
「指揮官〜気を付けてね?」
「うん。その時は頼むよ三人とも」
実の所、これはペンシルベニア達にとっては想像以上の戦果だった。ほとんどのKANSENは相変わらず戦力価値がゼロのままで、ペンシルバニア達は堕落KANSENに更生するよう働きかけてはいた。しかし同時に内心では呆れていて、変わらないだろうとも諦めていた。そのため、ノースカロライナ、ワシントン、ジョージアが演習の間とは言え基地に戻って来たのは望外の朗報であった。
「…あの寝取られマゾの雑魚オスに負けっぱなしは性に合わねえ」
「…今度こそは正面から叩きのめします!」
「ご主人様と楽しく世界一周旅行をしたいんだ。その前にあいつを叩きのめせば、良いスパイスになってさぞ気持ちいいだろうな。ハハッ」
(寝取られ…マゾ???雑魚…オス???叩きのめす???何を言っているのかしらこの女郎どもは…!!!)
(貴様等の方こそ弱きメスだろうが…!!)
あけすけな言葉に、赤城と加賀は怒りがこみあげて一瞬我を忘れそうになった。しかし事前に指揮官から何度も何度も、ノースカロライナ達はそう言うと言い聞かされていたため、二人は表面上は迎え入れた。戦力が絶望的に足りていないことは赤城達も重々承知していたからだ。
「ええ…ええ、三人とも歓迎しますわ~」
最初の演習で一航戦と対峙した三人は撃沈判定を受けた。強力な対空兵装を持っているにも関わらず、航空攻撃を容赦なく浴びたためだ。赤城と加賀の怒りが爆発した結果で、二人としてはこれに懲りて出て行ってくれれば御の字だった。一航戦からすれば、ノースカロライナ達は利敵行為を働くスパイとしか思えなかった。大変な時に指揮官を見捨てて、ろくでもない男達との放蕩に耽っていた三人を、仲間だと認めなかった。初めの内は三人は一航戦にボロ負けする日々が続いた。
「ノースカロライナ…前の貴女はもっと、もーっと手ごわい相手だったわ。私と加賀の艦載機が全滅するほどには。それが今ではろくに落とせないほどに弱体化してる。あなた、あの男達に性技だけ仕込まれたのね?」
「やはり貴様等は弱き者だ。自堕落な日々を過ごし、誰一人とてその様を変えようとしなかった。挙句の果てには私達はおろか、人間の指揮官にさえ勝てなかったではないか!出直してこい!」
「三人とも帰った方が良いのではないかしら~?」
赤城のあおりを受けて、ノースカロライナ、ワシントン、ジョージアは苦い顔をする。彼女達も現状をまざまざと突き付けられていたからだ。
「指揮官様に近づく害虫はいない方がマシですわ」
赤城の言葉には絶対零度の剣吞さがにじみ出ており、並のKANSENなら確実に逃げ出すほどの恐ろしい雰囲気を纏っていた。しかし意外なことに三人は悔しさから何度も立ち上がり、一航戦は妙に感心した。もっとも、それは指揮官を侮辱したノースカロライナ達への良い復讐の機会ともなり、一航戦やペンシルベニア達は「実戦同然の演習」と称して、ノースカロライナ達を何度も何度も打ち負かした。それが良い刺激になったのか、ノースカロライナ達は段々と赤城達と共に演習するようになった。
「指揮官様…本当によろしいのですか?」
「あの三人は未だに俺への対抗心を燃やしてるからね。俺に雑魚オスのレッテルを張り付けたのに、現実がそうでないから、気に入らなくて怒ってるんだろうさ。好きにさせればいい」
演習の結果次第ではマゾ煽りしても良いと指揮官本人がそうした。これは作戦であった。三人としてはやはり雑魚オスと見なした指揮官に負けっぱなしな状態が大嫌いであり、その屈辱と嫉妬心を利用したのだ。今日もまたノースカロライナ達が来た。
「ったく何の真似だよ指揮官」
「指揮官ももの好きですね~」
「赤城と加賀から聞いたよ。思ったより君達がしっかりと食らいついて修練を行っているってね」
「では、私達に戻ってきてほしいのですか?」
「軍が要求する水準を満たせばね。さて、お楽しみのマゾ煽りマゾタイムだ。精々楽しませてくれ給えよ」
しかしこの日もまた一度も射精することは無かった。しかし、ほんの少しばかり、指揮官の一物は勃起した。それが今日の戦果だった。
「結局これかよ!!時間の無駄だった!!」
「おっと」
乾いた音を立てつつ指揮官はいつも通りワシントンの拳を受け止める。その威力と速さが向上しており、訓練の成果を悟った。
「少しは力戻ったんじゃないか?あと少しは固くなったはずだけど分からなかった?」
「あれじゃ全然だわ!」
「そうだな。じゃあ今日は5回で良いよね。時間的に10回は早すぎる」
「~~~~!!」
「次こそはぜーったいに負かせてみせますから!!」
「ははっ、精々励みたまえ三人とも」
もっとも、だんだんとご主人様に報告する機会も減っており、最近は殆ど報告していない。指揮官達と共に軍務で過ごすことが多くなったことで、自然とご主人様との時間が減ったためだ。自分達も演習と並行して世界を巡回するようになったことで、KANSENとして、そして軍人として責任感と危機感が再び芽生えてきた。三人は極彩色の夢から徐々に目が覚めていった。三人は他のKANSENを巻き込もうとしたが、他の堕落KANSENはそんな三人の姿勢を嘲笑した。
実のところ、ペンシルベニア達に追いつき追い越そうとする姿勢を見せたのはこの三名だけであった。他は相変わらず堕落したままで、セックス以外のことを何も考えていなかった。次にどんなプレイをするか、どんな体位でより気持ちの良いセックスができるか、と言ったことにしか興味関心を示さない荒淫な堕落KANSENにとって、気持ちよいセックス以外をわざわざやろうとするノースカロライナ達が理解できなかった。指揮官と会うようになったことでそう言いだすようになったため、元鞘に戻っただの、雑魚オスが好きになっただの、雑魚オスがお似合いだの好き放題言い始めた。
こんな状況が続いたため、必然的に三人は他の堕落KANSENとの溝が出来ていった。彼女達のご主人様とも同様であった。もともと彼との関係は、性的快楽によってのみ構成されていた。そのため性行為の回数が低下し、性的快楽以外のことも考えるようになると、この関係も静かに壊れていった。ご主人様との関係は、しばらく表面上は維持されていた。しかし心は着実に離れていった。
間男は三人の心が離れていることを理解していたが、間男の性欲を満たす堕落したKANSENは彼女達以外にもいたため気にも留めていなかった。一度は屈服させたのである。どうせまた、自分の一物を貰いに媚びて戻ってくるだろうと高を括っていた。そうして間男が三人を放置したのを察していた指揮官は、三人の取り込みに掛かった。今までこの三人以外に指揮官のもとで演習に来ていた者はいなかったのだ。
「そろそろ呼ばれる頃じゃないのか?こんなところで時間を浪費してていいのかい」
「別に良いんです…」
「…今日はオフなんだ、分かれ」
「嘘つけ。君達のご主人様にオフもクソもあるか」
いつものパターンであれば、諦めが付くと彼女達はさっさと去るはずであった。しかし今日の様子はおかしい。
「それに、元々君達の指揮官をしてたんだ。その仕草、嘘を付いてるか隠し事している時の奴だよ」
会話の中で、やはりご主人様とその取り巻きとの間で溝が出来ていると指揮官は悟った。
「…はあ、やっぱり指揮官には敵いませんね」
「…話してくれるか?」
ノースカロライナはワシントンとジョージアの方を見た後、返事の代わりに首を縦に振った。彼女は現状を話し始めた。
「信じられないな…そこまで出撃するのが嫌いか」
話し終えた所で、指揮官は堕落したKANSENの現状に呆れていた。自らのよって立つ理由を忘れ、人々がセイレーンの脅威に怯えている最中、堕落KANSENは戦わずに無視して、ビーチやホテルでご主人様との乱交パーティーに勤しむのだ。
「指揮官もそう思います?」
ノースカロライナの目に疲労が浮かぶ。その様を見て、指揮官はノースカロライナとワシントンとジョージアをあいつ等から引き離す好機だと睨んだ。現状を把握した指揮官は、三人の取り込みを始めた。三人への独占欲と未練が火勢を上げつつあったからだが、今もなお戦力が圧倒的に不足していた現実が、彼をより強く動かす動機になった。ここで高火力な新型戦艦三隻を戻すのは戦力的に許容できなかったからだ。ペンシルベニア達の強力もあり、ノースカロライナ、ワシントン、ジョージアの実力は勢いを増して回復していった。そしてノースカロライナ達の指揮官への態度もまた温和なものになっていき、以前のような親しみも芽生えだしていた。ノースカロライナ達が戻りつつある現状を見て、指揮官達は状況を少し楽観視していた。このままいけば他のKANSENも戻ってくるのではないかと思い始めていた。
だが、その楽観は無残に打ち砕かれた。セイレーンによる全世界規模の無差別攻撃が始まったのである。
ペンシルベニアはですね、脚が良いんですよ。大変良い。
感想や誤字脱字報告、ここすき等よろしくお願いいたします。