達也くんアフター(※充希がいないバージョン) 作:minnie_remon
「あ、お疲れ様ですっ」
提供を終え、美桜が待つ車へと戻る達也。
「もう終わったんですか?今日は速かったんですね」
「美桜ちゃん、男子に『速い』は禁句だぞ」
「す、すみませんっ。決してそういう意味ではないですのでっ…」
もちろん達也もそんなことは分かっているから、それ以上何か言ったりはしない。
「もしかして、今日の女性は好みじゃなかったから手っ取り早く終わらせてきた、とかですか?」
「美桜ちゃん…俺のことをどういう感じで見てんの?」
「冗談ですよ冗談、あははは…」
とはいえ、本当はもっと速く終わらせた方がいいんだろうなあ…と達也は思う。
スピードと効率を求めるなら、自慰行為で射精直前まで持って行ってから挿入するべきなのだが、それを実行する気にはどうしてもなれなかった。それは女性の感度を高めて…もっと言えば女性をイカせてから中出しした方が妊娠率が高いという説があるから…というのは達也の建前で、実際は単に精子提供直前に自慰行為なんてダサくて絶対嫌だから、という個人的なプライドの問題に他ならなかった。
ただ今回の美織もそうだったように、達也が思うようにスムーズにコトを進められず、女性に余計な負担を与えてしまうというケースは珍しくない。
今後どうすべきかなあ…と一応は考える達也。
まあ、考えた所で結局は今のやり方を変えないのだけど…
………………………………………
達也からの精子提供を受け終えた美織だが、まだやるべきことが1つ残っていた。
それは、夫の健一と性行為を行っておくことである。これを怠ると、もし精子提供で妊娠した際に一体誰の子どもなんだということになってしまう。
もっとも美織の場合は別にセックスレス夫婦という訳ではないので、健一と夜の営みを経ることは難しくなかった。健一のモノは達也と違って美織の奥までは届かなかったが、それでも美織は健一に抱かれてこれ以上無い幸せを改めて感じた。やっぱり私の愛する人は健一さんただ1人なんだ…と。
数週間後、迎えた運命の結果確認日。
告げられた結果は…陽性。美織は、我が子をその胎内に宿したのだ。
結果を知って最初に感じたのは驚きの感情だった。達也の精液検査の数値の凄さは知っていたとはいえ、いくら何でも1回の提供での妊娠は難しいだろうと思い込んでいたから、予想外の結果に驚いて何も考えられなかった。
でも、驚きは一瞬。すぐに喜びの感情が湧き上がってきた。そしてそれは、一度込み上げてくるともう止めらなかった。止める必要も無かった。
約10か月後、美織は無事に元気な男の子を出産した。出産には当然、健一も立ち会った。
産まれたての赤ん坊を抱き上げて喜ぶ夫の姿を見て、美織は思った。
この子は…私と健一さんの子なんだ…そうに違いない…と。
もし遺伝子検査を行えば、この子の生物学的な父親は達也であるという結果が出る可能性は極めて高いだろう。達也と健一の精子力の差を考えれば、ほぼ100%と言って間違いない。
それでも美織は、この子は愛する夫、健一の子であると信じることにした。
最新の科学の力を使ってまで真実を知る必要は無い。嘘であったとしても、私が信じ続ける限りそれが真実なのだ。それでいいじゃないか、と…