「ふぁあ…」
ボサボサの頭を掻きながら、ふんわりあくびする俺。200人は入る大きな講義室の片隅にて、1人ぽつんと突っ伏している。他の学生たちはスマホをいじったり、隣の人と駄話をしたりして時間を潰しているようだ。俺は首と目が痛いので、スマホは見ずに寝たふりを続ける。
「…ジェレミー・ベンサムの最大多数の最大幸福に対し、j.s.ミルは快楽の質を重視しました。満足した豚よりも不満足なソクラテスの方が良いという台詞、正しくは…」
教授の話は、bgmの如く右から左に流れてゆく。あぁ〜早く終わってくれぇ。誰とも話さず、硬い椅子の上でつまらない長話を聞かされるだけの日々。なんせ、もう秋学期の中盤に差し掛かったのに、全く友達ができる気配がないのだ。後ろの席で屯している巨大な陽キャの群れは勿論、いくつか点在する2、3人の小規模な陰キャグループにすら俺は入れない。本当に友達作るのが下手くそだ。
「ってかこの後の飲み会どうする?」
「行く行く!」
「あ!二次会カラオケらしいよ〜!」
「えぇ〜最高じゃん!」
斜め前の女子たちがLINEを見ながらはしゃいでいる。みんないいな〜。普通に友達作れて。俺も2年生になったらできるのかな?…いいや、無理に決まってる。実際、同級生たちからは腫れ物のように扱われている。この前のグループワークの授業は特にひどかった。同じ学科の1年生同士で4人グループを作ったのだが、他の3人はウェイ系の仲良しで、異物の俺は結局一言も発さずに終わった。他のグループを組んだ時も、俺は1、2回小声の相槌を打つだけで、まともに会話できたことなどない。そのせいか、俺はなんとなくキモがられている気がする。いいや、確実にキモがられている。体育の授業とかでも、明らかに俺に対するパスだけ少ないし、2人組作る時も俺は毎回余る。とにかく、こういう生粋のぼっちにとっちゃ、キャンパスライフなんぞクソ喰らえだね。苦労して入って親に高い学費払わせてるのに、なんでこんな惨めな思いしなきゃならないんだ。畜生。
キンコンカンコーン
「…!」
救世主だ。鈍いチャイムの音が、古びたスピーカーから鳴り響く。
「今日の講義はここまでです。オンラインの振り返りシートを、後で必ず記入してください。」
教授がそう言った瞬間、俺は荷物を持ち、出席票を教卓の横の机に置き、真っ先に講義室を飛び出した。
人混みをかき分けて階段を降りて行く。1階に着くと、体育館くらいの大きさの、吹き抜けのラウンジがある。中央には貫くように太い通路が通り、その先の正面口から広場に出ることができる。
学生たちが行き来する中、俺は空を見上げた。地平線付近のオレンジ色以外ほとんど真っ暗だ。多くの学生たちはそのまま正門へと直進するが、俺は右折し、別の校舎の方へと向かう。
石畳の広場を抜けると、アスファルトで舗装された道になる。普段は閑静だが、授業終わりの夕方は割と人通りが多い。おそらく部室に行く学生や、研究室に向かう教員たちだろう。道路と建物の間には小さな林があり、道路とは茂みで隔てられている。俺は人目を盗んで、こっそり林の中に隠れた。雑草が茂る地面の上にリュックを置く。校舎の窓から漏れ出る光が、辺りを薄暗く照らしている。改めて、周囲に人やカメラがないことを確認し、俺はセーターを脱いだ。ひんやりとした10月の夜風が心地よく素肌を撫でる。
「どこ集合だっけ?」
「地下の多目的ホールだった気がする。」
「え?でも、確か中川たちが使うんじゃなかったっけ?」
「…あ、そうだったわ!やっべどうしよ。どこで練習する?」
「どっか別の所借りるしかないんじゃね?」
草むらを挟んですぐ隣から、軽音部と思しき学生たちの会話が通り過ぎていく。だが、別に羨ましくなんかないね。俺の青春は、彼らのそれのように輝かしく見栄えの良いものではないが、それに劣らない高揚感を齎してくれる。心臓を高鳴らせつつ股間に手をやると、既に勃起したペニスが、ジーンズの厚い生地を持ち上げているのがわかった。俺はズボンを下ろす。そしてパンツ越しに硬直した息子を優しく撫でる。
「はぁ…はぁ…」
さらにランニングシャツを脱ぎ捨て、乳首をいじり始める。寒さと興奮でコリコリに固くなっているそれを、親指と人差し指の先でねじり回すのだ。
「…んぁ…はぁ…あはぁ…」
俺は喘ぎ声を漏らしながら、パンツの布から滲み出た我慢汁を指で取って舐めた。そして、焦らすようにゆっくりとパンツを下ろしていく。
「…はぁ…はぁ…」
ビンビンに充血した性器が露わになる。建物からの黄色い光が反射して、亀頭の先っぽが煌めいている。
「あぁ…うぅ…んぁっはぁ…」
俺は腰をくねらせながら右手を動かす。俺は変態だ。大学のキャンパス内で、素っ裸でちんぽ扱いている変態オナニー狂だ。サークルにも入らず、友達も作らず、こんな淫らな趣味に耽っている自分が心底情けない。しかし、その事実に対してもますます興奮してくる。
「んぁ…気持ち…いぃ…♡おちんぽ気持ちいいよぉ…♡早く…ドピュドピュしたい…♡…いっぱいおちんぽ汁出したいよぉ…♡」
俺は周囲にギリギリ聞こえない声量で呟きつつ、激しくシコり続けた。
「んぁ…あは…ヤバい…いぃ…んぁッ♡ああ…うぅ♡」
手の刺激に股間の奥が疼いてくる。最近はバイトで忙しかったのでかなり溜まっている。思ったより早くイってしまいそうだ。
「…んん…イキそう…やばぁい♡…おちんぽ…いっちゃうぅ…」
「えええ!!マジで!?」
「!?」
突然、甲高い声が響き渡る。建物の方を見ると女子が2人ベランダに立っていた。およそ10m。余裕で目が合う距離。俺は大急ぎでズボンとパンツを上げ、脱ぎ捨てたランニングとセーター、そしてリュックを持って草陰に隠れた。
「確かに、なんか匂わせてはいたよね…。」
「うわ嫌だな〜。絶対気まずくなるじゃん。」
「ってか付き合うなら付き合うでいいんだけどさ〜。こっちに気を遣わせるなって話よね。」
「うん…。これ以上うちの雰囲気悪くなったら下級生にも申し訳ないしィ…。」
よくわからんが、どうやら恋愛のことで揉めているらしい。よかったぁ!見つかったのかと思った…。
「はぁ…冬合宿が思いやられるわ〜。」
「いや、流石にあの人来ないでしょ!」
「そうかな〜?そうだといいんだけどさぁ…。」
彼女らはサークル内の人間関係で悩んでいるようだが、俺からすれば、そんなのは子供のお飯事よりも取るに足らないことだ。俺は気配を殺して2人が去るのを待つ。やはりこの場所は、スリルと引き換えにリスクが高すぎる。一歩間違えれば自分の人生をドブに捨てる羽目になるのだ。しかし、そうと頭ではわかっていても、俺の股間は命知らず。一層激しく勃起し、野外で白い汁を吐き出したがっている。
数分ほど経ち、俺は2人が消えたことを確認すると、荷物を持ってキャンパスの外れの方へと向かった。
15分ほど歩くと、廃墟のような寮が並ぶ一帯に着いた。塀の外の住宅街の電灯以外の光は一切なく、人もほとんど来ない。木と建物の黒い影に覆われた真っ暗闇だ。俺は寮の壁際の茂みに荷物を隠し、服を全部脱ぎ捨てた。そして靴だけを履いて、道路の真ん中で仁王立ちする。あぁ…なんという解放感!初めて来た場所だが、まさに露出狂のユートピアだ。誰にも見つかることなく、ここまで堂々と曝け出せる。
俺はえっちなダンスを踊った。腰を前後に振りながら、ちんぽをパタパタさせる。
「んぁっはぁっ…んぁ♡あぁ…♡…あぁんあっはぁああ〜っ!」
そしてみっともない声を上げながら、オナニーを再開する。唾液を亀頭に塗りたくり、強く握りながらこねくり回す。クチャックチャッといやらしい音が鳴る。寒い風が吹いていたが、俺は興奮で汗をかいていた。カウパー腺液と共に、再び快感が込み上げてくる。
「んぁあ…んんぎもぢいいうっ♡おぢんぼぎもぢいいぁあ…♡」
自分の喘ぎ声と、ちんぽの皮が擦れる音以外、俺には聞こえなかった。舌を出しながら獣のように熱中していると、いよいよオーガズムが近づいてくる。
「んあぁ…いぎそ…やばぁあい♡んぐううぁ…あへあぁ…♡」
下半身に力が入る。俺は膝を曲げ、胴体を反らせながら、乳首をグリグリつねった。
「あへぁ…いぐうっ!…いぐぅ〜♡」
顔を上げて狂ったように喘ぎ散らかす。しかし、ふと遠くの景色が目に入った。数100メートルほど先、キャンパスの中心部の方から何者かが歩いてきている。暗くてよく見えないが、2、3人はいるだろうか?俺は手を止める。だが、もう限界だ。鈴口から先走りがポタポタと滴り落ちる。
「…んぁっもう無理ぃいっぢゃうぅう!んぁあッ♡」
ビュバッ!
ザーメンが飛び出す。1mくらい空を切ってから地面に叩きつけられ、ピチャッと跳ねる。ちんぽは痙攣しながら、何度も白い糸を吐いた。我ながらすごい量だ。膝をガクガクさせながら、俺はありったけの汁を存分に放出した。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
それにしても、ずいぶんと大胆に撒き散らしてしまった。掃除する余裕もないので、俺は急いで草むらの方に駆け込み、身を隠した。
しばらくすると先ほどの人影が近づいてくる。どうやら運動部の男子学生3人のようだ。半袖短パンのスポーツウェアを着ていて、髪は短く、筋肉質である。
「…え!?」
1人が気づく。
「…何これ…これって…」
「…え!?ヤバくね…!?」
「ええええ!!?」
3人は笑いながら、目の前に散らばる俺の残骸に驚愕している。やはり体育会系の人は声がデカい。あまり騒がないでくれ。
「誰かここでシコったってこと!?」
「やっば!ガチやん!」
「え?これ、通報した方が良くね…?」
まずい。露出活動を始めて以来の大失態を犯してしまった。頼むから通報だけはやめておくれ。頼む。
「…いや、めんどいからいいわ。ってかバイト遅れるぞ!」
「あ、そうだったわ。」
「時間ヤバくね?急ごうぜ!」
3人は何度かザーメンの方を振り向きつつも、足早に去っていった。確かに、この先には小さい門があり、西側に抜けるのには1番の近道なのだ。滅多に使わないため完全に忘れていた。彼らがいなくなると、再び辺りは静寂に包まれる。俺はこっそり道路に出て行き、水筒の水を地面にかけた。そして、持ってきたタオルで白濁液を綺麗に拭き取った。警察かなんかにDNA鑑定されて、俺の身元が特定されるような事態はこれで起こらないはず。その後、近くの茂みで小便をし、ついでにもう1発抜いてから帰った。
ベッドに入ってもまだ興奮がおさまらない。今日はマジで危なかった。イクのが数秒でも遅かったら、彼らに見つかっていた可能性は十分にある。だが、かけがえのないスリルと高揚感を体験できた。目撃されるギリギリであんな大量射精ができるなんて、露出狂としては幸福極まりないことなのだから。しかも、自分の大量精液を他者に見られるという、素晴らしいハプニングも起きたことだし。これからはあの場所がお気に入りスポットだな〜。そんなことを考えているうちに、またもやムラムラしてきたので、残ったザーメンを捻出してからその日は寝た。
どんなに危険でも、俺はこの趣味を止めるつもりはない。野晒しの裸体を淫らにくねらせ、激しく精液を撒き散らす放課後の営み。これこそ、寂しい俺に唯一与えられた、最高の生きがいなのだ。