くしゅん、とくしゃみをした声がいつもと違うのに気づいて、木村はハッと自分の体を見た。予想通りのことが起きており、ぱっとずり落ちそうになっていたズボンを引き上げる。ウェストがぶかぶかのズボンに反して胸元だけはパツパツのピタピタになっており、着ていたシャツのボタンは今にもはち切れそうだ。
気に入ってたのにな、コレ、と思いながらベルトの穴をギュッと締める。何とか骨盤で止まってくれるようになり、木村はふうと息をついた。
木村が身体が女性になってしまう病気になって久しい。それはまるで風邪のように発症して、木村達也という男の体を女に変えてしまう。ぽよんと突き出たまあるい尻に、激しく主張する胸。筋肉のつきにくい華奢な体は丸みを帯びて柔らかい肉を帯びる。
こうなってしまった以上、治癒方法は膣に精子を注いでもらうーー中出しセックスしかないと医師に言われた。木村はなし崩し的にジムの先輩である鷹村と関係を持つことになった。身近な男性のことを考えてみれば、幼馴染の青木には彼女がいるし、片思いの相手がいる幕之内は初心すぎて論外だ。板垣からは性の匂いがあまりしない。そうなるとエロ大王の異名を持ち、毎日のように自慰をする男である鷹村にしか頼めなかったのである。
かつては一度のセックスで治ったものだが、罹患する回数が増えるにつれて必要な回数が増えてきた。身体が女性体になるのも慣れつつあるが、いまだにセックスの快楽の強さには面食らうし、その快楽に流されるがまま、時折女のままでいいかとすら思ってしまう自分がいる。そのことが少し恐ろしい。
閑話休題。往来で突然発症した木村は、とにかく着替えが置いてある鴨川ジムへ急ぐことにした。鴨川ジムの面々にはこの病気のことは知られており、ボクシングはできない体になるが、ジムの掃除やスパー時のタイムキーパーなどの手伝いをすることを許されている。
突然の身体の変化を隠すように、張り出した胸を両腕で隠す。まるで痴女みたいだなと思いながら、木村はパカパカとうるさい靴でなんとか歩みを進めた。
「ちぃーす」
できるだけ平然を装って鴨川ジムの戸を開く。しかし声は女のそれで、最近入ったばかりの練習生なんかはギョッとした顔をしている。木村は「まあそうだよな」と苦虫を潰すような顔をした。
「おい! またなっちまったのかよ!」
すぐに異変を察した青木が近づいてくる。「道端でいきなり」と木村が答えるといよいよもっていついかなるときも油断ならない状態になったことに青木は頭を抱えた。今までは眠っているうちに体が変化することが多かったのだ。
ロッカールームにいそいそと入って女性もののTシャツとジャージに着替える。木村はハアとため息をつきながら、こんなことに慣れたくないもんだなと思う。治る時は条件が決まっているのに、女になる時はランダムなんてたまったものではない。
着替えを終えてロッカールームから出ると、ちょうどロードワークに出ようとしている鷹村と幕之内に遭遇した。幕之内はいまだに女性化した木村を見ると初心に頬を染める。まあ男所帯のジムの中に女性がいるのは異質であるし、木村が動くたびに大きく張り出た胸が柔らかくぽよんと揺れるのは扇状的だ。治し方については鷹村以外に教えていないが、教えてやればどんな反応をするのか興味深いなとも木村は思う。
「ロードすか」
「おう。お前またデカくなってねえか?」
鷹村は最初期は目を丸くして木村の胸を鷲掴みにしたりしたが、今では木村の女性化にも慣れたもので、挨拶がわりと言わんばかりに胸を揉むようになった。どうせ練習が終われば木村の治療という体でセックスするというのに、何故このタイミングで胸を揉むのかと木村は少しムッとする。
「今日はブラしてんのな」
「さすがに慣れっこですからね。ていうか揉まんでくださいよ」
「気持ちよくなっちまうか?」
「ならねえ。さっさと行ってください」
しっし、と虫を追い払うようにあしらうと、鷹村はにやりと笑みを作って目を白黒させる幕之内と共に外に出ていった。
さて、と木村はジムの中を見回す。先ほどの鷹村とのやりとりを見ていたのか、練習生たちは木村から露骨に目を逸らし、ストイックなフリをしてトレーニングに励んでいる。どいつもこいつも、と木村は顔を歪めながら、リング上でシャドウをしている男の方へ向かった。
「青木は?」
「っス、あ、バイト先から呼び出しがあったって言ってました」
「アイツもコレには慣れたもんか。あんがとな。……おまえプロ試験もうちょいなんだっけ?」
腕を組むとたわわな胸がぎゅっと寄せられてさらに強調される。練習生はそれを見ないように目線を逸らしながら「っス!」と返事をした。
「スパー手伝っちゃろか?」
「は、はぁ!?」
「まあカラダはこんなだから一歩とか……アイツらの相手はさすがに無理だけどな。俺もカラダ動かしたいし。まあ試験の相手くらいの動きはできんだろ」
よいしょ、と幾分大きいグローブをはめて、木村はリングに上がる。練習生はどぎまぎしており実にからかいがいがありそうだ。木村はぽすぽすとグローブの具合を確かめると、よし、と練習生に向き合った。
「よーし、やるかぁ」
ヘッドギアもサイズが合わないのでつけず、木村は練習生に向き合った。まあ力は落ちるが足を使った移動はさほど変わらないだろう。
慣れてきたとはいえ女性の体でボクシングするのは初めてだ。最近では治るまでも時間がかかるため、ある程度慣れてブランクが開かないようにしたいのは事実としてある。ここでうまくやれれば練習生たちの相手くらいはできるだろう。
「ゴング鳴らして〜」と木村が言うと、他の練習生がオロオロしながらカン!と打ち鳴らした。
「……ッ?」
木村が目を開けると視界には天井の蛍光灯が入ってきた。何が起きた?と頭をおさえながら起き上がる。バケツを持ったスパー相手がオロオロとした様子でこちらを見ていた。なるほど自分は意識を失っていたらしい。
「ごめん、腕のリーチが男のときと全然違うの忘れてた」
あでで、と顔をさする。思い起こせば、木村は得意の足を使って翻弄したが、ブローを繰り出そうとしたタイミングで相手の拳がいい感じに入ってきた。男の体であれば腕の長さ的に先に木村のパンチが入っただろうが、腕の長さも異なることを忘れており綺麗なカウンターになってしまった。
普段ならこの程度でダウンはしないが、慣れ親しんだ男の体ではない。踏ん張りが効かずに脳が揺れたときにそのままダウンしてしまったのだろう。
スパー相手の練習生の顔を見ると頬が紅潮している。木村は自分の姿を改めると、あー、と間延びした声を出した。
「服着替えてくるわ」
水に濡れて身体にぴったりと吸い付いたTシャツとジャージは、扇状的なボディラインを浮き彫りにしている。Tシャツは白いものを着ていたため、着用しているブラジャーが透けてしまっていた。
替えの下着用意してたっけな、と木村が立ちあがろうとすると、がばりとスパー相手に抱きつかれた。そのままリングに押し倒される。
「ぐえ」
色気のない声が出た。まさか、と自分の身体の上に乗る男の股間を見ると、あからさまにテントが張られている。
「勃起しちまって練習にならねえ!木村さん責任とってくださいよ!」
そう叫ぶと男は木村のたわわな胸をがしりと掴んだ。
「そうっすよ! なんだよその身体! あんた減量できてんのか!?」
気がつけば周りでトレーニングしていた男たちもリングの上に上がっていた。木村はまずい、と体を捩ろうとするが、背後からガッチリと押さえ込まれてしまった。前と後ろから押さえつけられては身動きが取れない。
濡れたTシャツを捲り上げられると、ぷるん!と胸がまろびでた。ブラジャーを乱暴にずらされてピンクの乳頭が露わになる。「お、おい!」と木村は抵抗するも、押さえ込まれているので声を出すことくらいしかできない。背後から羽交締めにしている男の硬いものが背中に当たって、まずいことになったと木村は悟った。
青木がよく言っていた。お前は警戒心がなさすぎる、と。だから鷹村には不用意に胸を揉まれるし、こんな事態に陥るのだ。そんなこと言われても普段は男なのだから、女性としての危機感など抱けるはずもない。
じゅう、と乳頭に吸いつかれる。乳首は幾度も行われた治療の結果、鷹村に開発された性感帯のひとつだ。思わず「あッ」と声が出てしまう。
「こんなエロい身体で……男に戻っても乳首で感じるんですか?」
「や、ち、ちがっ……」
「違わないだろ!」
両乳首をギュッと強くつねられてびくん!と身体が跳ねた。
「やっ、あっ、ちくび、やぁ……ッ」
木村は身を捩り手から逃げようとするが、がっしりと押さえつけられている。
「やだ、やめ……」
「やめられるわけないでしょ」
かぶりをふる木村の口元に勃起した陰茎が差し込まれた。「噛まないでくださいね」と忠告をうけながら、喉奥まで突っ込まれて苦しさに喘ぐしかない。下半身は別の男がついており、責苦によって得た快楽で濡れた木村の蜜壺に指をつっこんで掻き回す。
「んぅっ!! んっ、んんっ!!」
ぐちゅぐちゅと音が聞こえるほど濡れていることに木村は羞恥を覚えるが、クリトリスをきゅ、と触られると何も考えられなくなる。強烈な快楽、陰茎によってふさがれた口元の息苦しさ。
「あぁ、先輩の口たまんねえ……!」
木村の口で淫行に耽っていた男の怒張が膨れ上がり、びゅる、と精子が注ぎ込まれる。喉に向かって直接射精された白濁を吐き出すことはできず、ねばつくそれを飲み込むと、木村の口はようやく解放された。
「けほ、けほっ……!」
飲み込みきれなかった白濁を吐き出しながら咳き込む。その瞬間また下腹部に刺激を与えられ、その甘い快楽に木村は「やぁっ!!」と仰け反りながら喘ぐしかない。くるしい、きもちいい。そればかりが頭を埋め尽くす。
「くそっ、エロすぎるだろ……!」
「おい! 俺にもやらせろよ!」
「こんなデカいおっぱいちらつかされてトレーニングするとか拷問なんだよなぁ」
ずるりと現れた怒張が木村の秘部に差し込まれようとした。木村はふるふると震えながら、男たちの劣情を受け入れるしかできない。「そんな、つもりじゃ……」といやいやと首を振るが彼らは止まる様子もない。
「じゃ、先輩まんこ失礼します!」
そう言って挿入しようとした瞬間、練習生の身体が横っ飛びに吹き飛んだ。「ひっ!」と怯えた声が背後の男からあがる。
「おい、ナニやってんだてめぇら」
ジムの長でもある男、聞き慣れた理不尽ばかり言う声。解放された木村はそのままリングにぽすんと横たわった。
「木村さん! 大丈夫ですか!?」
幕之内が駆け寄ってきて自分を抱き起こす。男の時と違って華奢な体。
「いっぽ、たかむらさん」
与えられていた快楽で身体の疼きが止まらない。ひく、ひく、と秘部が男を喰らいたそうに蠢く。
「たかむら、さん……ッ」
木村が甘い響きを纏わせて名を呼ぶと、鷹村は木村に向き直ってずるりと下着ごとズボンを脱いだ。
「鷹村さんっ!?」
「おい、一歩。練習生ども。これからオレ様が世界王者のセックスってやつを見せてやる」
「な、なに言ってるんですか!!」
大きくそそり立った陰茎は女性化する度に挿入されてきたものだ。そのカタチを本能は覚えており、木村の下腹部がきゅんと甘い疼きを覚える。
「たか、むらさんッ……!」
木村がそう強請ると鷹村はすっかり濡れそぼった木村の秘部に、自身の陰茎を一気に差し入れた。どちゅん!という粘膜が触れ合って起きる音。覚えしかない圧迫感。それは木村が待ち望んでいたものだった。
「ぁあっ!!」
「た、鷹村さん!! なにして……!!?」
腰を大きくグラインドさせて陰茎を抽送する。その度に熟れた身体が悦びに震えた。
「ぁんッ! やぁ、アッ!」
「木村! もっとまんこ絞めろ!」
「す、すみませッ、ンッ!! あっ、あっ!!」
幕之内や練習生たちが見ているのも忘れ、木村は与えられた欲望による快楽に陶酔する。これがほしかった。これじゃないといやだ。
「たか、むらさんっ!!」
「んだよ」
「世界王者ちんぽ、きもちいいッ!! きもちいいよぉ……!!」
「オラッ!! 世界王者のちんぽでイけっ!!」
ズン!と勢いよく差し込まれた鷹村の怒張が木村の子宮口にキスをした瞬間、びくん!と膨れ上がり勢いよく精液を中に吐き出す。その熱い本流と強烈な甘い衝撃に、木村は仰け反って絶頂を迎えた。
「ぁ、あーー……ッ あーッ……」
与えられた快楽に酔いしれていると、鷹村は間髪入れずに木村の胸を鷲掴んだ。たわわに実った乳房を乱暴に扱われ、痛みを感じているはずなのにそれすらも脳が快楽にすり替えてしまう。
「世界王者の味を知ってるくせにデビューもしてねえ奴らで感じやがって」
「す、すみません……ッ!」
「小物は女になっても小物止まりなんだなぁ?」
鷹村はそのまま抜かずに抽送を再開する。収まりきらなかった精液が滑りを増やし、強烈すぎる快楽に木村はかぶりをふるしかない。幕之内は目の前で行われるセックスショーを、呆然としながら見ることしかできなかった。
「しゅきっ! たかむらさんっ!! 世界王者ちんぽしゅきぃ!!」
見られている。見られている! たまらなく恥ずかしいことだ。それなのにどうしようもなく目の前の雄がほしい。強い雄の精子で子宮をぱんぱんにしたい。どろどろのぐちゃぐちゃの思考は他のことが考えられない。ほしい、ほしい、ほしい! 目の前の自分を食う男の遺伝子が欲しい!!
「イくっ! イッちゃう!」
「オラッ、世界王者ちんぽでイけっ!! イき狂え!!」
「ーーーッ!!!!」
もはや声も出ない。再度勢いを失わずに注ぎ込まれる。気持ちいい、気持ち良すぎる。木村の頭にはもう鷹村の陰茎が、雄が欲しいという考えしかなかった。
鷹村が体をどかすと、木村の膣からどぷどぷと注ぎ込まれた精液が漏れ出した。「おい、オレ様の精液を漏らしてんじゃねえよ」と叱咤する鷹村に木村はうっとりとしながらコクリとうなづく。周りを見ると練習生たちは前屈みになり、煽られた性欲で身動きがとれなくなっている。
その中で幕之内だけが冷静だった。「なにやってるんですか鷹村さん!!!!」と大きな声をあげ、慌てて大きなバスタオルを持ってくると木村の肢体を覆う。木村はくったりと横たわり、色づいた吐息を吐いていた。
「しゃーねえだろ。コイツはオレ様のちんぽじゃないと満足しねえんだから」
「なに言ってるんですか!? そもそもこんなところでそんな、え、エッチだなんて!!」
「そもそもの発端はそこの練習生どもだろ。ったく、木村ごときのデカパイに興奮しやがって」
「そ、そりゃ男、ですから……」
消耗した木村はバスタオルに包まり気を失っている。鷹村はそのバスタオルをぐるぐると木村に巻きつけると、荷物を抱えるように肩に担ぎ上げた。
「鷹村さん?」
幕之内が疑問を投げかけると鷹村は「帰る」とだけ言って身支度もそこそこに木村を抱えてジムを出て行った。
「おまえら綺麗にしとけよ。幸いジジイが対戦相手探しだかでいねえから良かったが、バレたらお前ら全員破門だぞ」
あんたはどうなんだ、とその場にいた全員が思ったが、言ったところで理不尽が飛びかかるだけだ。ハキハキと返事をしてその後ろ姿を見送った。
木村が目覚めると、そこは太田荘の一室ーー鷹村の自宅だった。しけた布団の上に寝かされていたらしい。体にはバスタオルがぐるぐると巻き付いている。
しゅる、とバスタオルを解くと、胸も陰部も丸出しで「ぎゃ!」と木村は叫んだ。ボクシングのビデオを見ていた鷹村はその声でようやく木村の方を向く。
「起きたかよ淫乱」
「俺が淫乱ならアンタは性欲の権化っすね」
股の濡れた感触でたっぷり中出しされたことを思い出す。練習生たちに犯されそうになってカラダはスイッチが入っていたが、実際に挿入して自身を喰らい尽くしたのはこの人だ。……そしてそれを求めたのは自分自身で……。
木村は「んもーっ!」といいながら頭を両手で掻きむしる。鷹村はボクシングのビデオに向き直ると「静かにしろ淫乱」と言った。
「っんとに、あんだけ好き勝手やっておいて……着替えどうしよ……」
ほぼほぼ裸のまま運ばれたのでこのままだと帰れない。木村は一歩か青木に連絡して持ってきてもらうか、と考えた。鷹村の家の電話を借りようと手を伸ばすと、手首をギュッと掴まれた。そのまま振り向いた鷹村に布団に押し倒される。
「ちょっ! あんたビデオ見てたんじゃねえすか!?」
「つまんねえ。男に戻ってねえみたいだしもうちょい楽しませろ」
「やっ、」
拒絶の言葉は唇に吸い込まれた。ぬるりと舌が口内に入り込む。木村はそれに応じて舌を絡めると、鷹村はニタリと目を細めた。
じゅるじゅると唾液が交わり合う音が耳を蹂躙する。息継ぎの仕方を忘れた魚みたいに、木村は鷹村の舌技に溺れた。苦しくなって背中をたしたしと叩く。案外すんなり解放されて木村は咳き込みながらたっぷり息を吸い込んだ。
「良い顔じゃねえか」
涙の浮かんだ紅潮した顔を見て、鷹村は満足げな表情を浮かべた。木村はムっと眉根を寄せるが、鷹村には関係のないことだ。「おい」と声をかけて陰茎を曝け出す。木村はその意図を組んでハァとため息をついた。
「あんだけ出しといてもう元気になってるんすか」
「馬鹿野郎。あんな程度で枯れてたまるかよ」
鷹村の胡坐に木村は顔を埋める。飴でも咥えるようにゆるやかに勃起した鷹村の陰茎を口に咥えた。カリの部分をジュ、と吸い上げると、「ふ、」と鷹村から色めいた吐息が漏れた。
木村は気をよくして口淫を激しくする。竿の裏筋を舐め上げて、鈴口を舌でほじくれば、鷹村の体はびくびくと跳ねた。じゅっぷじゅっぷと淫猥な音を分かりやすく立ててやれば、ますます鷹村は満足そうな顔をする。この男を、世界王者の強い雄を悦ばせることができることに木村は堪らなく優越感を抱く。そうして女の体になる度にこの男に組み敷かれ、子種を注がれることに後ろ暗い悦びを覚えるのだ。
じゅるる、と吸い上げると鷹村の身体がびくんと跳ねて精子が口の中にたっぷり吐き出された。二度出したのにまだまだ元気なことに、元の男としても素直に尊敬する。見せつけるように舌を出してからごっくんと飲み込むと、鷹村は満足げに口角を上げた。
「ほんっと、淫乱野郎だな」
「性欲魔人にいわれたかないですね」
鷹村は木村の胸をおもむろにわし掴んだ。たっぷりとボリューミーな柔らかな肉はしっとりと手に吸い付く。そのままやわやわと揉みしだいてやれば、木村は気持ちよさそうに目を細めた。
「ホント、小物のくせにデカいな」
ぴん!と乳首を弾くと木村の体は快楽で跳ねる。「きゃん!」と子犬のような声が出てしまった。鷹村は気をよくするとそのまま無骨な指で乳首をぐりぐりとこねくり回す。
「んぅ、は、ァ……」
与えられる快楽に甘い吐息が止まらない。じくじくと下腹部が熱をもつ。ほしい、ほしい。木村は鷹村の陰茎を掴むと、「コレ」と物欲しげな子供のようにねだった。形を確かめるように撫でると鷹村はニヤリと笑む。
「コレがどうした?」
木村は眉をひそめる。分かっているくせに木村を辱めるためにこのように煽るのだ。
「……ちんぽ、ほしぃ……」
木村が懇願する。鷹村は木村の様子をおかしそうに見つめながら、「それが人にモノを頼む態度かね?」と木村の桃色の乳首を弾いた。
「ンひっ、た、たかむらさんの、ちんぽ、ほしい、です」
「んん? どこに?」
「ーーーッ!」
「ほれ、早く言いたまえ」
いつものように悪ふざけを言って木村を辱めるのは、鷹村の十八番芸だ。木村はかぁぁと顔をりんごのように紅潮させる。
「俺の、まんこに、たかむらさんの、ちんぽ、ずぶずぶって入れて、せーしどぶどぶ注いでください……ッ」
「最初っからそう言やいいんだよ」
鷹村はニタリと笑うと木村の体を押し倒して股を開かせた。陰部はすでに濡れそぼっており、ひくひくと物欲しげにしている。「はやく……ッ! きて……!」と木村が懇願すると、鷹村は己の怒張を木村の蜜壺に一気に挿入した。どちゅ!と粘液が衝突する濡れた音が響き、木村は歓喜の嬌声を上げる。ほしかったもの。たまらなく愛おしい熱量。
「たかむらさん、しゅきぃ」
逃してたまるかと鷹村の鍛え上げられた体に手足を巻き付ける。密着度が上がり、挿入はより深まった。ズンと子宮に響く甘い衝撃に木村は仰反る。その白い首筋に鷹村は顔を埋め、捕食するようにがぶりと噛みついた。
「すきっ、たかむらさんのちんぽすき……ッ!」
「……んの淫乱が!」
煽られるがままに激しく抽送を開始すると、木村はその衝撃にひゃん、と泣いた。なんて気持ちがいいんだろう。世界を統べる男が自分の体に溺れて遮二無二腰を動かしている。自分たちの間に愛などあり得ない。だがそんなものは無くていい。欲望と快楽。目が眩むようなどうしようもない陶酔。それだけでいい。この時だけこの優れた男が自分だけを見て酔いしれる、それだけで木村はどうしようもなく優越感を覚える。
ぐぽ、ぐぽ、と音が鳴る度に木村は狂ったおもちゃのように喘いだ。きもちいい、きもちいい!
「たかむらさんッ!! 世界ちんぽきもちいいよぉ……ッ!!」
さらに密着を高め、からだの熱を分かち合う。陰茎を搾り取るような内壁の蠢きに鷹村も余裕がない。木村のくせに、おっぱいはデカくてまんこはぬるぬる締め付けてくる。
「クソッ……! 木村のくせに……ッ!!」
迫り上がる射精欲のままに腰の動きを早める。木村はもうイきっぱなしでガクガクと腰を揺らしながら、それでも鷹村を迎え入れた。
「はやく、はやくほしぃ、せーえきッ、あかちゃんのへやに、いっぱいほしぃよぉ……ッ!!」
とんでもないことを口走っているな、と頭の片隅で思いながら、それでも煽るような卑猥なことばが止まらない。恥ずかしいことを言うほど鷹村は悦ぶ。激しく木村を喰らい、その遺伝子を余すことなく注ぐ。木村はそれを知っている。
「ーーーッ! 鷹村様の、遺伝子、くれてやるッ!!」
「たかむらさ、んッ!!」
「オラッ!! 孕めッ!!」
奥の奥まで挿入され、鷹村の陰茎が木村の子宮にごつんと当たる。その衝撃と共に鷹村はぶるりと震え、達した。どぽっ、どぽっ!という音がする気がする。木村は自分の中に熱い奔流が雪崩れ込む悦びに打ち震えて仰け反った。顔はもう涙や涎でぐちゃぐちゃになっている。
男に戻らなかったらどうしよう? こんな濃いの注がれたら本当に孕んじまう。
びくっ、びくっ、と絶頂する木村を押さえつけるように、鷹村は木村を抱きしめた。
「クソッ、気持ち良すぎんだよ……ッ!!」
耳元で囁かれたクレームに、木村は満足げにへらりと笑った。
「もし俺が男に戻んなくて、鷹村さんの子ども孕んだらどうします?」
事後の気だるさのなか、木村は問いかけた。何度もセックスを繰り返し、腹は鷹村の精液でたっぷり満たされている。
いつもの傾向ならこの後熱が出て男の体に戻るのだが、もし戻らなかったらーー。一生女の体のまま生きていくことになったら?
病気が拗れればそう言うことだってあるかもしれない。なにせ今回は初めて眠ってないときに身体が切り替わった。必要なセックスの回数も増えている。
鷹村は天井を見上げたまま、うむ、と返事をした。
「俺は世界王者の鷹村サマだぞ。木村如き、ガキごとまとめて面倒みてやる」
いかにも鷹村らしい返事に、木村はきょとんとした後に吹き出した。結婚とかそういうのじゃないんだな。この人にとって隠し子や女のひとりふたり、別段重荷にもなりやしない。
自分が鷹村の立場だったら、恐ろしくて手が出せないと思う。避妊もせずに女を抱くなんて、よっぽどの覚悟が必要だ。人生を背負う必要が出てくるかもしれないんだから。
「……ほんっと、アンタって人は」
木村は鷹村に身体を寄せる。男同士だったらこんなことできないだろう。だから今だけだ。この病気が出てる時だけ、自分はこの偉大な男に寄り添える。
「ま、セックスできるのはいいがどうにもつまらん。いくらでもヤってやるからさっさと戻れ」
「……わかりました」
木村は微笑んだ後、そのまま気だるい身体の赴くままに目を閉じた。