TSした転生女児、毒親のコネで違法なJr.アイドルになる・連載版 作:東口ゆゆ
お金が、ない。
マズイです。お金がありません。
「はぁ〜……天井まで引くんじゃなかった……」
イメージビデオの撮影から二ヶ月。スマートフォンという新たな武器と暇つぶしにどっぷり浸かった俺は、スマホゲーにドハマりしていた。
前世ではPC派だったのでロクにしてこなかったが、今世でやれるゲームといえばスマホゲーくらいのものだったので軽い気持ちで始めたら沼にハマってしまったのだ。
「…………おかね、どうしよう」
ガチャというシステムがある。
イベントや限定ピックアップで登場する新キャラや人権といわれる強力なキャラ。
それもどれもが魅力的で、ついつい課金してしまったのが地獄の始まりだった。
……気づいたら、ウン十万溶かしていた。
恐ろしい事態である。ギャンブルより恐ろしい。
あっちはまだ多少損を回収できるかもしれないが、こっちは払ったら一銭も戻ってこない。
つまりは、生活費や支払いに必要なお金も削りに削ってマズイことになっていたのだった。
仕事だ。仕事をしなければならない。
しかも、即金で貰えるようなワリのいい仕事だ。
……けれど、あのイメージビデオを撮影してからというもの、仕事の連絡は全くなかった。
目減りしていく口座の残高を見るたびに心臓がキュッとなるのは嫌だ。
「え〜……、今日は転校生を紹介します」
教室で頭を抱えていると、朝の会が始まってることにすら気づかなかった俺は完全に聞き逃していたが転校生が来るらしい。
ガラッと入り口の扉を開かれて入ってきたのは、まさかの外国人だった。
「やっほー! ターニャは、ターニャ・レグレンチカ・佐々木だヨ! みんなよろしくネ!」
騒々しくなる教室。無関係を決め込む俺。というか来月からの生活費とか支払いが切羽詰まっててそれどころじゃないが、そんな気持ちもつゆ知らず話は進んでいく。
ターニャ・レグレンチカ・佐々木。
自己紹介を聞いていると、ロシア人の母と日本人の父を持つハーフらしい。
元々はロシアの田舎に住んでいたが、母の都合で移住してきた。
日本は元々好きだったので言葉はまぁ喋れるほう。溌剌とした元気な女の子で、翡翠色の輝くような瞳と鮮やかな長い金髪が特徴的な、俺が日本人形なら彼女は西洋風のお人形というのがしっくりくる。
マジマジと見ると、やたら顔がいいな。下手すれば俺とタメ張れるかもしれないほどの整ったビジュアルだった。
「佐々木はまだ日本と学校に慣れてないから、誰かしばらく色々教えてやってくれ。……そうだな、長谷川。お前が頼む」
「んぇっ!?」
WHY!? なぜ!?
いつもは家庭の事情で腫れ物みたいに扱う癖に、こういう時だけ頼ってくるなよ!
大人はいつも勝手だった。
「oh……あなたは?」
「は、長谷川、です……」
指名されて狼狽える俺を見て、ハッとした表情になる佐々木。
ズカズカと自分の為に道が空いてるのは当たり前とでもいうように堂々と机の前まで詰め寄ってきた。
「すごいネ! 大和撫子! ジャパン来たかいあったヨ!」
きゃー♡ とでも擬音がつきそうな勢いで俺に抱きついてくる佐々木。
よ、陽キャや……ガチな日陰者の俺にとってはあまりに眩い光のような反応にただされるがままになるしかなかった。
なんかいい匂いするな。
「…………ま、まぁ。よろしく頼むな、長谷川」
「はいぃ……」
結局、押し切られる形で佐々木何某の面倒を見ることになった。
こんなことしてる場合じゃないのに。
⭐︎
「あ、あの……佐々木さん、なにしてるの……?」
「着替えてるヨ!」
そういう意味じゃねーんだヨ!
「だ、男子もまだいるのになんでぬいでるの……?」
今日の四限目は体育の授業だった。
休み時間の限られた間に体操服に着替え、校庭に集まるミッション。
男子は空き教室、女子はクラスの教室内で着替えるのが恒例だったのだが、まさかのこの女、男子がまだ残ってるのに徐に着替え始めたのだ。
「? ウチの周りではずっとこうだったヨ?」
制服のブラウスを雑に脱ぎ捨て、あっという間に上半身を纏うものがなくなる。
下着はおろか、インナーさえ着用してなかった。
「佐々木さん!?」
「うお、女子の裸だ!」
「外国ってあんなんなんだ……」
騒つく教室。本人はなぜ騒がれているのか自覚していないが、そりゃあ騒ぐ。
シミ一つない真っ白で綺麗な肌。
成長途上のふっくらとした胸。その頂点にある突起は、品のあるピンク色で、ぷくっ♡ と立って存在感があった。
全体の凹凸こそまだ薄いものの、肉感もほどよく大人じゃなくてもちょっと性を意識し始めた男児なら勃起不可避だろう。
「みんなも早く着替えないノ?」
「え、えぇと……」
なんと言ったらいいか。本人が理解してないから一から説明せねばならないが、いかんせん俺は口下手な上に人見知りである。
そんなおろおろしてる俺に首を傾げながら、佐々木がスカートまでずり下ろすと、とんでもないものを見た。
「っ……!?」
なん、だと……!?
それは、黒のガーターベルトだった。
およそ女児が着用するにはあまりに不釣り合いなランジェリーだった。
上品なレースをあしらい、ショーツの下にベルトを通してタイツを挟む姿は、大人そのものである。
「わ、すご……」
「おとなっぽ〜い」
「瑠璃ちゃんよりすごい!」
着替えの時、いつもなら遠巻きから俺の下着が周りとは違ったこともあり憧れる者もいて、それが密かな優越感だった俺のプライドは砕け散った。
女児の分際でなんてもの身に付けてやがる。
これがロシア。これが外国。
まざまざと格の違いを見せつけられた気分だった。
「ターニャの家ではこれがふつう。そんなにびっくりするノ?」
とんでもねぇ家だな。人のことは言えないが。
「え、えぇっと……、だ、男子がいる前で、ぬいじゃダメなんだけど……ぉ……」
「ん?」
たどたどしい俺の声が小さすぎて騒めく教室内ではよく聞こえないらしい。
再び首を傾げる佐々木。
「なんだ。るりもイイの履いてるヨ」
「ちょ……っ!」
油断していた俺が悪いのか。
他所の下着事情が気になったのか、前動作なしで俺のスカートをピラッと捲った佐々木。
抗えるような反射神経を持たない俺は、そのまま男子生徒含むクラスメイト達に今日の下着を晒すハメになるのだった。
因みに黒のTバックである。
そして結局、体操服に着替え終えるまで止めることもできず教室でのストリップショーは幕を閉じた。
「学校、たのしかったネ〜」
「つ、つかれた……」
そして放課後。
俺は机に突っ伏していた。疲労感が凄い。
このターニャとかいう女児、今までどこの世界で暮らしてきたんだというくらい常識がなかったからである。
学校を案内していたら、親切にしてくれた男子にハグしたりキスしようとしたり。
物珍しさにちょっかいかけにきた男子にスカートの中が見えるのも気にせず取っ組み合いしたり。
挙げ句の果てには、俺がトイレに行こうと個室に入ったらこの女も中まで着いてきやがったのである。
マジでなんでだよ。
本人曰く。
「ん? 日本の女の子は一緒にトイレに入るんじゃないノ?」
とのこと。
偏りすぎだろ、その知識。
「るり! るり!」
「…………なにぃ……」
机に突っ伏したまま、このまま寝てしまいたい。でも日課のオナニーもしたいなぁとぼんやり考えていると、佐々木が俺の身体を揺らして起こそうとしてくる。
「これ、るりだよネ?」
「んぇ…………んぇ!?」
気怠げに顔だけ上げると、佐々木が突き付けてきたのは俺の写真だった。
……しかも、裸の。
は? ……は!?!?
なんで!?
「え、まっ、……なっ、なんでもってるの!?」
「やっぱりコレ、るりなんだネ〜」
よくよく見ると、この間撮影したイメージビデオのワンシーンだった。
下半身を惜しげもなく露出し、幼い割れ目を突き出してる姿は誰がどう見ても変態そのもので。
写真でもわかるくらいに、どろどろとした白い泡になったおまんこの汁を滴らせて本人はどこか嬉しそうにアピールしていた。
「朝見たときからるりかな〜? って思ってた。パパの仕事用パソコンに入ってたのパクったんだヨ」
パパ……?
誰のことだ……?
いや、待て。これはそもそも販売すらされてない(多分)。
ということは、少なくともあのイメージビデオを撮影した時にその場にいたスタッフの誰かか?
だが、佐々木なんてスタッフは覚えがなかった。
「……そ、その、パパってだれ?」
「あれ、知らないノ? ママと別れちゃってターニャとミドルネームはちがうけど、かねだいらって言うヨ!」
……お前、社長の娘かよ!!!!
うわ、全然似てねぇ。あの成金芸能事務所の社長みたいなビジュアルからこんな西洋天使が爆誕したってマジ?
「ママが日本行こーっていうから着いてきたらパパと会って、いつのまにかママいなくなっちゃった。だから、ターニャはいまパパと暮らしてるんだヨ」
へ、へ〜。
雑談みたいなノリで家庭の闇を暴露しないでほしい。反応に困っちゃうんだぜ。
「ママがね、ターニャはジュニアアイドルになって、パパの為にたくさん稼ぐために育ててきたって言ってたんだヨ。そのために日本に来たの!」
お、おう。わざわざそんなことのために日本まで?
物好きにもほどがある。というかターニャ家、闇深すぎだろ。
「……さ、佐々木さんも、ジュニアアイドルになるの?」
「そうだヨ! けんきゅーのためにパパのパソコン見てたらるりの動画と写真見つけたの!」
俺の写真を持ってる経緯はわかったが、あの惨状を収めたデータを見てもジュニアアイドルになる意思は変わらないらしい。
「ターニャ、日本来てちょっとがっかりしてた。日本のジュニアアイドル、あんまりえっちくない」
「あ、あれが普通といいますか……」
俺を見て比べられても困る。むしろ健全に働いているジュニアアイドルの方が表で俺は裏側である。
「でも、るりを見てびっくりしたヨ! これがパパとママが言ってた本当のジュニアアイドルなんだって! すごいよ、るり!」
そ、そうかなぁ〜。素直に頷けない俺だった。
「だからね、ターニャはるりをお手本にしてジュニアアイドルになるの!」
とんでもねぇのに懐かれたものである。
自分のキャラクター性を喰われかねないビジュアルと性格に危機感さえ覚えてしまう。
なんだ、この天然培養ジュニアアイドル娘。
太刀打ちできるかこんなもん。
「そうだ! 今からパパの事務所に行って、るりと撮影してもらお!?」
「え、えぇ……」
思い立ったように提案してくるターニャの顔はキラキラしていた。
まるで、不安なことなどなにもない。これからの未来は輝くものしかないとでもいうように。
「……ささ……、ターニャちゃんは、えっちなの撮られるの、嫌じゃないの?」
「うれしいヨ! ターニャ、えっちなの大好きだから!」
俺の手を引いて、教室を出るターニャ。本当に事務所に行くつもりらしい。
「るりといっしょなら、もっとうれしい! たくさんえっちなのとろ!」
「う、うーん……」
個人的にはこれ以上はご勘弁願いたい。だが、お金がないのである。
今の今まで忘れていたが。
事務所行くついでに金平社長に仕事ないか直談判しようかな。
「……むー。じゃあ、るりにえっちなことの楽しさを教えてあげるヨ!」
「えぇ……」
俺の反応がお気に召さなかったのか、膨れっ面になったターニャ。
しかし、何かを思いついたらしい。
天啓を得たとでもいうようにニコニコの笑顔になると、なんとその場でショーツを脱ぎ始めた。
「な、なにしてるの……?」
「ターニャ、よくやってるんだけど、こうやると開放感あって気持ちいいヨ! るりも脱いで!」
スカートの下からスルッと脱いだと思ったら、まさかの俺にも脱げと言う。
いやいやいや。そんなことするわけがないやろが。
「…………ダメか?」
「うっ……」
美少女の泣き顔には勝てなかった、ちょろい俺である。
渋々。本当に渋々、物陰でショーツを脱いで鞄に収める。
……どうやら、事務所にたどり着くまでノーパンで過ごさなければならないようだった。