「F1・ピットクルー」:0.1秒を削る究極のピット作業 作:坂本太郎
リセット・パルスによる神経の強制書き換えが終了した直後、休む間もなく次の工程(シーケンス)へと移行する。彼女たちは私の両脚を、処置台のレールに沿ってさらに左右へと大きく展開させ、冷たい油圧式の金属クランプで強固にロックした。
左右に限界まで開かれた大腿部は、機械のフレームに溶接されたサスペンションアームのように、完全にその自由を奪われている。
疑似的な重力加速度(G)の印加
「神経のリセットを確認。これより『スタティック・ロード(静的負荷試験)』へ移行します。高速旋回中に発生する一定の『G(重力加速度)』をシミュレートし、持続的な圧迫に対する、組織および血管系の耐久テストを行います」
チーフ・エンジニアの無機質なアナウンスとともに、金属の擦れ合う不穏な音が響く。
私のアヌスに深く、容赦なく挿入されたままだった前立腺プラグの基部に、ワイヤーを介して物理的な重量負荷(ヘビー・ウェイト)のユニットが連結された。
ガチャン、と重々しい衝撃が伝わる。
それは、時速 300km/h を超える高速コーナーを旋回する際、ドライバーの首やシャシーにかかる強烈な遠心Gを、私の最も未開で敏感な内部のコアへとダイレクトに転換した、過酷な物理的負荷であった。油圧プレスがじわじわと肉を押し潰すような、鈍く、逃げ場のない圧倒的な重量が、前立腺の最深部へと垂直にのしかかる。
「……耐えてください。この持続的な圧力が、次なる高圧充填に耐えうるあなたの『底力(シャシー剛性)』を形成するのですから」
一人のエンジニアが、私の耳元へと顔を近づけ、冷たく、しかしどこか艶やかな響きを帯びた声で囁いた。だが、彼女の唇が私の耳を甘く食むことは決してない。彼女の視線はただ手元の音声モニターに注がれており、私の呼吸の乱れや、その吐息の「周波数」に乱れがないかを冷徹に確認しているだけだ。人間の温もりを期待した私の淡い妄想は、そのプロフェッショナルな冷淡さによって一瞬で粉砕される。
カーボン・モノコックの証明
「く……っ、あ……重い、重すぎる……っ! 中が……内部の組織が、裂ける……ッ!!」
プラグが直腸壁を押し広げ、前立腺を限界まで圧迫する痛点と快感の混濁した刺激に、私は喉を詰まらせながら絶叫した。内臓が内側からじわじわと破壊されていくような錯覚に、全身から脂汗が噴き出す。
「裂けません。あなたの肉体は、我々が数々の限界データを基に設計し、焼き固めた『最高傑作』のカーボン・モノコック(生体シャシー)です。この程度の静的荷重で破綻を来すような軟弱なパーツとしてリビルドした覚えはありません」
エンジニアは表情一つ変えず、クランプの油圧レバーをさらに一段引き下げた。
「組織の反発トルクを測定。……まだ余裕がありますね。内圧、さらに 5Nm(ニュートンメートル)加算。荷重を定格の130%まで引き上げます」
「が、あ、あああああーーーッ!!」
ズブズブと、さらに深く、重く、プラグの先端が前立腺の最も過敏な神経束の真芯へと沈み込んでいく。重力という名の非情な物理法則が、私の内臓を容赦なく蹂躙し、絶頂を強固にホールドされたままの肉体に、終わりなき「静的な地獄」を刻みつけていった。