「F1・ピットクルー」:0.1秒を削る究極のピット作業 作:坂本太郎
「電気的刺激による強制充血(ビルドアップ)を確認。メイン・アクチュエーターの剛性は確保されました。……これより、油圧(血圧)を最大定格限界まで引き上げます」
チーフ・エンジニアの冷徹な声とともに、左右に控えていた二人のエンジニアが同時に動いた。彼女たちの硬い指先が、私の鼠径部(そけいぶ)の主要な動脈と静脈の分岐点を正確に、かつ容赦のない力で鋭く圧迫する。それは、肉体内を循環する血液の流出路を物理的に完全遮断する処置だった。
高圧ホースと化した肉壁
行き場を失った血液が、強迫的な心拍パルスに押し出されるようにして、私の楔(ペニス)へと一方向のみに激しく逆流し、充填されていく。
「静脈弁の閉鎖、完全ロック。海綿体内のリキッド圧、急上昇しています」
パンパンに張り詰め、どす黒く変色した私のペニスは、もはや皮膚が裂けんばかりの異常な硬度を見せていた。それは、油圧系統の微小なリーク(漏れ)をチェックするために、定格規定値の1.5倍の破壊的圧力を注入された、頑丈な「高圧編み込みゴムホース」そのものであった。表面の皮膚は限界まで引き伸ばされ、網の目のように浮き出た毛細血管が、高圧パイプの表面に生じた亀裂のように禍々しく明滅している。
「内圧、2.5barを突破。内部応力は限界付近(イールドポイント)を推移。……ですが、安全弁(リリースバルブ)はまだ開放しません。このまま、構造体の『限界保持(ディテンション)』テストを継続します」
「あ、が……あぁ……っ! 苦しい……、抜いて、それを……っ! 中が、組織が破裂する……ッ!」
私は処置台の上で上半身を激しくのけぞらせ、ハーネスに皮膚を切り裂かれながらも懇願した。内側から強大な圧力で肉壁を押し広げられる感覚は、純粋な激痛であり、同時に脳の快感中枢を力任せに叩き潰すような圧倒的な官能でもあった。
圧力下でのピストン追従性
「出させません。未解析の状態で燃料(精液)をパージさせるのは、ただのリソースの無駄遣いです。……我々が知りたいのは、この最大油圧条件下における、精密な『ピストン運動』に対する構造体の追従特性(レスポンス)です」
一人のエンジニアが、手にしたスプレーボトルから、私の限界まで加熱されたペニスに向けて、冷たい揮発性の冷却材(クーラント)を容赦なく吹きかけた。
シューッ! という激しい音とともに、皮膚の熱が一瞬で奪われ、猛烈な冷感が粘膜を襲う。しかし、その直後、彼女はラバーグローブで覆われた手のひらで、そのガチガチに凝固したシャフトを根元から鷲掴みにし、硬質な、それでいて寸分の狂いもない一定周期の機械的ストロークを開始した。
「ストローク速度、60spm。摩擦係数の急激な上昇を感知。冷却効率を維持しつつ、往復入力を継続」
「ひ、あああッ! 冷た……、いや、熱い、擦れる……っ!!」
局所を襲う凍りつくような冷感と、執拗な乾いた摩擦がもたらす灼熱。内部で破裂寸前まで高まった油圧と、それを外側から容赦なく削り取るような往復運動。
相反するベクトルを持つ工学的なストレスが、私の脳内のテレメトリー画面を完全にオーバーフローさせていく。快楽と苦痛が完全に等価となり、私はただ、彼女たちの精緻なテストベンチの上で激しく軋みを上げ、限界の数値を測定され続けるだけの「高圧油圧シリンダー」へと、その意識を融解(メルトダウン)させていった。