「F1・ピットクルー」:0.1秒を削る究極のピット作業 作:坂本太郎
インスペクションを終えたばかりのピットに、再び機材の駆動音が不穏に響き始める。
彼女たちの冷徹な指先が、今度はすべてを吐き出し、完全に弛緩しきっていた私の楔へと容赦なく戻ってきた。
過酷な排出を終えたばかりの先端は、触れられるだけでも脳を直接かき回されるような激痛と過敏さに支配されている。しかし、一人のエンジニアは、その最もデリケートな粘膜へ、あえて冷酷なまでの「テクニカル・マッサージ」を迷いなく施した。
予熱の検知と再起動(リブート)
彼女のラバーグローブが、限界まで収縮しようとする肉を強引にしごき、血流を呼び戻すように一定の周波数で刺激していく。
「見てください。……メイン・シャフトの芯部にまだ十分な予熱が残っている。細胞の活性化特性から見ても、再起動(リブート)は十分に可能ですね」
「な……何を……。もう、空っぽだ……出力特性は……出ない……っ」
私が息も絶え絶えに、掠れた声で悲痛な抗議を申し立てるが、エンジニアたちは微塵も動じない。彼女たちの瞳に宿るのは、限界を超えたマシンの限界をさらに引き出そうとする、技術者特有の無慈悲な探求心だけだ。
「ドライバーの自己申告は不要です。モニターに表示されているテレメトリーデータが、あなたの真のポテンシャルを証明しています。主観的な疲労感など、工学的な数値の前には無意味です」
チーフ・エンジニアの手際よいコンソール操作とともに、私のアヌスに留まっていたプラグから、再び低周波の電気刺激(パルス)が直接、前立腺へと送り込まれた。
トツ、トツ、トツ、と規則正しくコアを叩く電子的な衝撃。
「ひ、あ、ガ……ッ!?」
脳の静止命令を完全に無視した強迫的なパルスは、私の意思に関係なく、自律神経のスイッチを「ON」へと強制的に切り替える。空っぽになり、熱を失いかけていた下腹部の奥底から、絞り出されるようにしてドクドクと新たな血液が楔へと送り込まれ始めた。
耐久テスト(エンデュランス)の宣告
「これより第2セッションを開始します。今回の目的は『耐久テスト(エンデュランス)』。すべてを放出し、限界を迎えた状態のパワーユニットを、いかに定常的な高負荷運転(フルスロットル)で維持できるかの実証実験です」
カチリ、カチリ、と硬質なラチェット音が静まり返ったピットに冷たく輪唱する。
今度はペニスではなく、過敏に尖りきった私の「乳頭」と、充血し始めた「会陰部」に対して、小型のトルク制御式クランプがガッチリと装着されていく。
「左右のフロント・センサー(乳頭)、クランプ設置完了」
「リア・スカウト(会陰部)、ダイレクトに圧迫開始。締め付けを行います」
ミシミシ、と肉が極薄の金属歯の間に挟まれ、ギリギリと均等なトルクで押し潰されていく。痛覚と快感が混濁した鋭い刺激が、脳へダイレクトに突き抜ける。
「規定トルク、12Nm。ロック完了。固定状態は極めて良好です」
逃げ場を完全に失った私の肉体は、処置台の上でピチピチと跳ねる魚のように小さく震える。だが、その強固なロックは、私のどのような身悶えも無効化し、発生するエネルギーをすべて内部へと閉じ込める。
「全システム、スタンバイ。再点火に移行します。……ブースト圧を再び、上昇させてください」
チーフの冷徹なカウントダウンが始まり、私の脳裏には、1回のレース(絶頂)を終えた直後、息を整える暇もなく次の決勝レースへと駆り立てられるような、狂気的なダブル・ヘッダーの光景がフラッシュバックしていた。息を吹き返し、凶暴な硬度を取り戻し始める楔が、再び過酷なラップタイムを刻むための熱を帯び始めていく。