※この作品はR-18です。

体格貞操逆転世界のパラレル平成を生きてみた。   作:貞操院逆転子

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※※注意※※
作中にNTR表現アリ。
多分BLGL表現もあるかも。
ただしBLGL表現はメインではないので、タグ検索に引っかからないようタグ付けしません。

転生ではなく、神隠し的なパラレルワールド転移です。
主人公は現実世界出身なので、パラレルワールドの男性のような中性的または美ショタなビジュではなく、身長高めで筋肉質寄りのゴリゴリのフツ面(現実世界準拠)です。


▼主人公パーソナリティ
名前:大木 一郎(おおき・いちろう)
性別:男
年齢:20歳
身長:182cm
体重:92kg
握力:69kg
体格:むっちり健康体
職業:大学生(転移前) → 住所不定無職(転移直後)
性格:根は真面目だが、どこか自暴自棄的で自堕落気味。

備考:高校入学まではクソ真面目だったが、大学の進路を決める際に親と揉めて、結局親の言うことに従って難関大学に挑み、2浪で進学。しかし、入学後に燃え尽きてしまい学習意欲を喪失。以後はバイトしてお金を貯めては遠出してのんびり過ごし現実逃避するという、完全なドロップアウトコースを進んでいた。



平成12年。爆乳。夏。

 

***

 

 

俺の名前は、大木一郎(おおき・いちろう)。

20歳、男、大学生…一応。

 

日本有数の超難関大学に2浪で進学し、しかし大学入学後に本当の天才たちと自分との差に絶望し、「やりたいこと全部諦めてなんとか入ったのに、何にもうまくいきそうにないや」と頭の中でつぶやいてしまった瞬間に、自分の中の何か…緊張の糸というか、自分を支えていた芯というか、それが急に消えてしまったような感じがして、完全にやる気を失ってしまった。

その後は、親の金で大学に通ってるくせにまともに出席すらせずバイト三昧の生活を送りながら、金が貯まれば小旅行して現実逃避をする。

 

そんなことを、大学入学後すぐから、もう4ヶ月ほども続けている。

親にはそんな生活を送っていることなんて伝えていないが、上半期の単位取得状況が確認できる通知表かなんかを求められたら、こんな生活を送っていることなどすぐにバレるだろうと理解しているし、黙っていてもなんの解決にもならないことなんてわかってる。

わかっていて、俺はなんというかもう、すべてがどうでもよくなってしまった感じがして、こんな生活を送ることを選んでしまっている。

 

俺という男は、そんなクズ野郎である。

 

 

***

 

 

以上が、俺の独白と、あまり向き合いたくない自分自身の本心である。

 

なぜ急にそんな独白を?と思う。

なぜと問うならば、その答えは、己というものが何者なのかを見失いかけたというか、現実逃避のしすぎで本当に気が狂ったんじゃないかと思ったから、とりあえず自分が何者なのかを思い出してみることから始めた。…という感じの答えになる。

 

なぜ、己というものを見失いかけたのか?ということについて。

そりゃあ、今俺の目の前で、俺自身の気が狂ったとしか思えない光景があったからだ。

 

「…ちょっと、お兄さん、話聞いてる?」

 

「…ああ、ええ、はい」

 

嘘である。

実際は、あんまり聞いていない。

ただ、目の前にいる女性…女性?俺の気が狂っていなければ、おそらく女性のはず。

 

まあ、ともかく、俺の目が狂っていないなら、女性である。

警察の制服を身に纏い、俺に身分証の提示と任意同行を求めてきて、そのまま最寄りの交番と思われるところまで連れてきてくれた人だ。

本当に警察なのか疑わしく思えてしまうほどに豊満なバストとヒップを、警察の制服でピッチリと押さえつけているはずなのにユッサユッサと揺らしながら、真面目に警察としての職務を遂行しようとしてくれている。

 

それがはしたない行為だとは重々承知しているが、俺とて男の子である。

本当に申し訳ないが、俺の視線は、今は俺の対面に座っている警察女性のおっぱいにほとんど釘付けだし、ムチムチのぶっとい太もものこともチラチラとチラ見している。

本当に申し訳ないと思っているし、俺はここで捕まるかもしれないとも思っているが、「まあ、それでもいいや」と思いながら、視線がそこから離せないでいる。

 

閑話休題。

実のところ、俺が自分の気が狂ったんじゃないかと思った理由の芯であるところの要因は、そこではない。

確かに、目の前の女性警官の信じられないほど豊満な肢体に目を奪われているが、それもある意味現実逃避でしかない。本題はそこではないのだ。

 

「…で、もう一度確認するけど、あなたが身分証として出してくれた免許証ね、こういうの偽造しちゃダメって知ってましたか?パッと見はよく出来てるけど、年号が『令和』って意味不明な文字が入ってるし、まさかこのオモチャの免許で車の運転とかしませんよね?」

 

「…ああー、えっと、免許は取っただけで、車は持ってないっていうか…いや、すみません、ちょっと頭がぼーっとしてるみたいで。えっと、もう一回確認なんですけど、今って何年でしたっけ…?」

 

俺の気が狂ったんじゃないかと思った、その本題の部分を、もう一度尋ねてみる。

この行為に意味がないことなんてわかっている。

気が狂っているわけではないなら、おそらくこれは現実で、そして何度聞いたところで、答えが変わるはずなんてないのだから。

 

でも、自分が狂っていないなんて、自分だけでどうやって確かめることができるんだ。

狂った自分が自問自答したところで、狂っていると気づける確証などない。

だから、念のため、もう一度同じことを聞く。

できれば、答えが変わって、実は俺はやっぱり狂っていたんだと知って、そうやって安心したいために。

 

「…お兄さん、これでその質問、3度目ですよ?もしかして、体調がひどく悪いとかですか?」

 

「…ええと、多分。…とにかく、あの、今日は何年の何月何日でしたっけ…?」

 

「はあ。今日は2000年の7月15日、土曜日です。…ちなみに、『平成』の、12年ですからね?」

 

「平成…」

 

平成。

何度聞いても平成である。

しかも今度は西暦で、ハッキリと2000年とまで言われてしまった。もう聞き間違いようがない。

 

俺の記憶が正しければ、今は2026年…つまり、令和8年である。

日付は変わらない。だが、年数が致命的なまでに違う。なんなら、俺が生まれるよりも前の年だ。

 

日付は同じで、年が違う…なんか平成12年などと言われたから、その1回目は聞き間違いかと思った。

で、もう一回聞いてみたら、今度も平成12年って言われたし、俺は気が狂って認知症を発症した老人みたいな異常な光景と幻聴の中にいて、自分自身というものを見失っているんじゃないかと思い始めた。

ここら辺で現実逃避を開始して、女性警官の恵体をほとんどガン見しながら、自問自答を始めたという流れである。

 

プチ回想、終わり。

 

 

ふと、視線を上げると、女性警官が明らかに不審者を見るような、もしくは可哀想な人を見る感じの目つきで、俺の顔を見ていたような表情をしているところであった。

 

まあ、これが現実だとしたら…偽造かオモチャか…ともかく現在進行形で平成な時代にはあるはずのない年号が記された免許証を身分証として提示する、そんなイカれた男がおっぱいとかをガン見しながら意味不明なことを聞いてくるのである。いくら警官といえど、相対すれば不安が勝る場面だろう。

ああ、こんなクズ野郎の相手をさせてしまって、本当に申し訳ないね…。

 

「…お兄さん、多分心神喪失とかだと思うので、救急呼びますね?ご家族の連絡先とかわかりますか?」

 

「わか…らないです」

 

嘘である。

ポケットからスマホを取り出せば、親の電話番号が確認できる。

だが、俺は咄嗟に「ここが本当に2000年なら、その電話番号に繋がるはずがないし、仮に繋がったとしても別人だと思う」と、やけに冷静に思考が働いてしまった。

 

そもそも、多分だけど、2000年にスマホとかないんじゃないか?

いや、もしかしたらあるのかも…俺が生まれる前のスマホ事情なんて興味ないから知らねえよ…。

 

まあ、少なくとも、2025年に買い替えた俺のスマホは、2000年の時代では完全にオーパーツではあるだろう。

下手に出しても碌なことにならん気がするし、なんか尋ねられたら「高性能薄型カメラです」とか言って誤魔化そう。

実際、旅行先の写真を撮るためにカメラとして使い倒してるから、誤魔化せるだけの写真の蓄えはあるし。

 

「そう?…一応言っておくけど、警察に嘘をついても碌なことにならないからね?本当に知らない?」

 

「はい。というか、自分の記憶が正直信用ならないというか、おまわりさんにいきなりこんなこと言って良いのかも全然わからないんですけど、今も自分の気が狂ってしまったんじゃないかなって考えてました。起きているのに夢見心地というか、今が現実なのかどうかわからないというか、そんな感じって言えばわかりますかね…?」

 

「なるほど。…心神喪失に加え、記憶障害と錯乱の様子あり、保護を目的とした一時拘束を実施…と」

 

カリカリと、紙の上にボールペンのペン先を走らせる音が小さく耳に届く。

先ほどから何か書いていると思ってはいたが、あれはいわゆる調書というものなのだろうか。

 

「お兄さん、会話はできるみたいだから、不安にならずに落ち着いて聞いて欲しいんだけどね、これから救急の人とかに来てもらうから、このまま私とここにいてもらって良いかな?どこかに行く予定とかあった?」

 

「いえ、適当に電車旅行してただけで、行く宛は決めてなくて…このままここにいます、はい」

 

「…お兄さん、随分とガタイがいいみたいだけど、行き先も決めずに1人でプラプラと歩いちゃダメよ?それも、なんであんな林道を…危険だから、もうああいう危険な場所には入らないようにね?」

 

「はい、すみません、見つけてくれてありがとうございました…」

 

林道。

そういえば、そうだった。

俺は、なんか急に自然の空気を浴びたくなって、日帰り温泉旅行のついでに、その温泉地の近所の林道を散策していたはずだった。

 

今ある荷物は、背負っていた大きめのリュックサックと、肩掛けのサイドバッグ。

リュックサックの中に、着替えとかタオルとか、念のため携帯エイドキットと、あとはちょっとしたスキンケア用品やら暇つぶし用のiPadやら充電器やらケーブルやら、ともかく腰を落ち着けてから取り出すものをまとめて詰め込んでいる。

サイドバッグには、身分証類をまとめて突っ込んでる財布とお薬手帳、折り畳み傘、ペットボトル飲料、折り畳みの買い物バッグ…と、出歩いてる時に取り出したいものを入れている。

 

で、そんな荷物を背負い・下げながら、俺は人が余裕で歩けるはずの、そこそこ整えられた林道を歩いていたはずだった。

しっとりしていて、それでいてひんやり爽やかな山林の空気に包まれ、目を閉じ、両腕を広げて、恥ずかしげもなく全身でその空気を浴びていた。

目を開けた時、俺は鬱蒼と木々や草花が生い茂る林道(林道というより、ちょっと視界が開けているだけの森)にいた。

 

まあ、そこから今までずっと、割と自分は気が狂ったんじゃないかと思い続けている。そりゃそうだ。

だが、五感から得られる情報や、なんというか思いのほか俺の意識はハッキリしているというか、いっそ冷静な思考すらできていることから、俺は薄々とこれは現実なのだろうとも気づき始めている。

 

いや、実はもうほとんど気づいている。

きっと俺は、「やはり俺が狂っていただけなのだ」と思い込みたいのではないだろうか。

 

そうでなければ、俺は右も左もわからぬ平成という時代を、これから生きていくことになってしまうのだから。

俺は気が狂っているだけということにしたいのだ、そうであってほしいのだ。

 

 

***

 

 

もしかしたら、俺には爆乳への願望というか、潜在的かつ深刻な性癖としてそういった嗜好を抱えていたのかもしれない。

これが狂気ゆえの幻覚だったとしたら、だが。

 

俺は、爆乳の警官に見守られながら、爆乳の救急隊員たちに囲まれて、爆乳の医者の元へと連れて行かれた。

 

ただ、看護婦さん達はみんな貧乳だったので、俺が全ての人間を爆乳女性だと幻視しているわけではなかった…ということだけは、すぐに分かった。

 

 

すぐにわかる健康診断の結果はこの後教えてもらえるらしく、血液検査の詳細は後日出るらしい。

…が、そういえば今の俺って保険適用とかできるのだろうか。

これが現実だった場合、俺が生まれる前の時代だから、当然俺の名義で加入した健康保険など存在しないだろう。

ここでの医療費が全額自費とかになったら、いきなり人生詰むわ。今、財布に何円くらい入ってたっけ。

 

そんなことを考えながら、ぼんやりと病院の個室のベッドで仰向けに横たわっているところになる。

 

 

いいや、人生が詰んだというなら、実のところそれはそれでいいと思っている自分もいる。

その時は、その時だ。別に、首を括って死んだっていい。本当にその覚悟が自分にあるのかどうかは知らないが、そういう気持ちではあるのだから。

 

そんな、楽観的なのか悲観的なのかわからない思考を巡らせていたら、爆乳の医者が個室に入ってきた。

 

「お待たせしました、気分はどうですか?」

 

「大丈夫です。混乱してること以外、多分問題ないです」

 

「ううん、相変わらず、意識がハッキリしているのに怖いことを言うわねぇ」

 

俺もそう思う。こんなこと言う奴の相手なんて、あんまりしたくない。

でも、これがまったく嘘ではなく、本当のことなんだから、そう言うしかない。

 

警察には嘘をついて変な目で見られるし、医者には正直に言って変な目で見られる。

ああ、俺はやっぱり気が狂っているんじゃないか。

そうでないなら、俺は誰の目から見ても気が狂っている奴なのに、俺だけが気が狂っていないと理解しているという、本物の狂人みたいになってしまう。

いや、実際そうなのだと思う。最悪だなぁ。

 

ともかくである、先生が来たということは、ある程度の結果が出たということなのかもしれない。聞いてみよう。

 

「先生、俺は気が狂っているんでしょうか。もしくは、脳の病気とか?」

 

「うーん、もっと大きな病院で先端医療の研究を手伝って欲しいなぁ〜って思っちゃうくらいにはド健康よ。というか、あなたガタイがすごくいいけど、手術とか薬物とかの痕跡がまったくないっぽいんだけど、本当にそういうのに手を出したことない?一応、尿検査では薬物の影響はなし、あとは血液検査の結果が出れば薬物についてほとんどわかるはずだけど、念のために口頭確認でも、ね?」

 

「まったくないです。タバコも吸わないし、お酒もほとんど飲みません。あと、自分で言うのもなんですが、小・中・高と無遅刻無病欠だったのが自慢なくらいです」

 

「偉すぎるわねぇ」

 

その通り、健康だけは今でもちょっと自慢に思うくらいで、俺という男はド健康のはずだった。

今日までは。

 

それが、実は脳の病気とか腫瘍とかがあって、今こうして見聞きしているこれら全ては夢か幻覚なのかもしれない。

まあ、俺の健康な肉体のことを考えると、そういう医学的な面で気が狂ったというのは考えにくかったし、やっぱりおかしくなったのは俺の精神のほうなのかもしれない。

 

ただ、精神がおかしくなったと言うにしても、俺の思考はやけに冷静である。

自分で言うのもおかしいが、気が狂っている奴の思考とは考えにくいくらいに冷静だ。

 

「ええと…大木、一郎さんね。記憶障害の兆候があるとも伺いましたが、少しカウンセリングしてもよろしいでしょうか?」

 

「はい、お願いします」

 

そのまま、俺は先生の質問に一つずつ答えていく形で、少し長めのカウンセリングが行われた。

できれば、俺の精神はすっかり狂ってしまったのだ!…と答えてもらえるような回答をしたい気持ちもあるのだが、質問には全て真面目に、冷静に答えた。

 

ここで、気が狂ったふりをして答えたところで、医者がそれを見て「これは気が狂っている人だ」などと診断されても、意味はない。

俺はそれに対して、自分は気が狂ったふりをした人だったのだと理解しているのだから。

 

そうではない、俺は自分の気が狂っているのだと、まったく誤魔化しなどなく答えて欲しいだけなのだ。

 

 

***

 

 

…カウンセリングを終えて。

 

「うん。じゃあ、カウンセリングはこの辺にして、最後に任意の検査に関する説明なんだけど、ちょっと聞いてもらっていいかな?あらかじめ断っておくんですけど、今から行う確認はあくまで医療行為に基づくもので、嫌なら拒否していいですからね。まずは、聞くだけ聞いて欲しいんですけど、いいかしら?」

 

「はい、大丈夫です」

 

いいや、大丈夫かどうかなんて知らない。

ただ、ここで「いやです」と言うほどの理由もない。

医者が医療行為だと言って、受けるかどうかはこちらの任意で決められる検査だと言うのだから、聞くだけ聞けばいいと思ったが故の、大丈夫という返答である。まあ、バリウムとかそんな感じのやつだと思う。

 

「じゃあ、血液検査とか尿検査と似たようなものなんだけどね、精液検査をしてみる気はないかなってお話になります。一応確認ですが、精液検査って受けたことありますか?」

 

「ええ?ないですけど…あれですか、なんか精子が元気に動いてるか~とか、形が変じゃないか~とかを調べるやつですか?」

 

「そういう検査もあるわね。初めてってことだから詳しく説明する前に、ざっくりとした説明をすると、血液検査で調べられるものとは別に、遺伝性の病気や健康状態を確認するための検査になります。主には、元気な赤ちゃんが作れるかどうか~みたいな調査になりますね。ただ、それだけではなく、その精液を作るあなた自身の健康状態をより詳しく調べられるようになります」

 

「はえ~、そういう検査があるなんて、初めて知りました」

 

「うーん、まだ義務教育で習うレベルの話しかしてませんよ」

 

「ええ…?」

 

マジかよ、2000年の保健体育って、そんなことが義務教育の範囲に入ってるの?

平成って、就職氷河期だとかインターネット黎明期だとか、色々ヤバくて面白おかしい時代だったみたいなのは知識としてうっすら認識していたが、なんか思っていた以上に変な時代だなぁ…。

 

「で、ここからが本題なんですが、その検査を受けるためには、あなたの精液を採取させていただく必要があります。あくまで任意なんですけど、是非受けてみませんか?」

 

「あー、うーん…」

 

正直、面白そうだな~とは思うし、この場所に至るまで散々爆乳デカケツむちむちボディに囲まれて、なんなら今目の前に激エロ女医さんがいてくれるから、余裕で射精できると思う。

でもなぁ…こういうのって自費検査か、保険適用だとしても今の俺の保険証が使えるか怪しいからなぁ…。

 

そう思い、正直に持ち合わせがないことを伝えることにした。

 

「…すみません、実は今持ち合わせがない上に、多分俺の保険とか色々があてにできないっていうか、なんなら戸籍があるかどうかすらわからなくて、検査どころじゃないってのが正直なところになります。ぶっちゃけ、今回の血液検査とか諸々も、払えるかどうかわからないです…」

 

「…なんか、思ったよりかなり訳ありな人みたいね?でも、そういうことなら、それこそ精液検査を受けたらいいわよ。検査結果は戸籍と照らし合わせる必要があるし、その時にどこかしらの担当の役人が、あなたが思い出せなくなってるっぽい戸籍の用意とかしてくれると思うわ」

 

「おお、そうなんですか?って言っても、さっきも言った通り、持ち合わせがなくて…」

 

「すみません、あなた向けの説明が不足していたのですが、精液検査は治験扱いなので、あなたにお金を払ってもらうことはないです。逆に、現金での報酬が出ます。…ちなみに、そういった制度もご存知なかったということですか?忘れていたとかではなく?」

 

「治験扱い?なるほど…いいえ、多分ですが、初めて聞いたはずだと思います。正直、もう自分の記憶をどこまで信用していいのかわからないので不安ですが」

 

「…なるほど。これはあくまでご厚意の提案になるのですが、もしかして帰る家とかもわからないのではないですか?もしよければ、精液検査をうちで受けていただけるのでしたら、警察の方にも事情を説明して、しばらくは寝泊まりのためにうちの病院の一室をお貸ししてもいいですよ。お風呂は用意できませんので、どこかのコインシャワーか銭湯などを利用していただくことにはなりますが…」

 

おお、それはとてもありがたい提案。…なのだが。

なぜ、前提条件として、「この病院で精液検査を受けること」が指定されるんだ?

 

俺はそれで報酬をもらって、しかもしばらくの間の寝床まで借りられるって、至れり尽くせりすぎてなんか怪しいんだけど。

うーん、魅力的ではあるが、ちょっとだけ、それとなく探りを入れてみるか…。

 

「あの、すごくありがたい話なんですけど、それだと俺が色々と頂いてばかりになるっていうか、なんか申し訳ないというか…」

 

「大丈夫大丈夫、精液検査の採精のあと、数日寝込む人も多いから、サービスで数日入院させるくらいは普通にしてるんです。それが、ちょっと長めになるくらいなら、特に問題ないので、あんまり気にしないでください。で、採精は1回につき、その月の初回が3万円で、2回目以降が1万円になります。大木さんは初めてお受けになるということなので、一応検査結果が出てから報酬の確定となりますが、報酬は3万円からになると思います。いかがでしょうか?」

 

「あっ、やります」

 

射精1回で1万円!?!?1回目は3万円!?!?

もう全然、何発だって出します出します。

 

やったぜ、旅行の貯金にしよ…ああ、いや、今はそれどころじゃなかったんだったな。

っていうか、やっぱりこれって現実じゃないんじゃないか?なんで射精したらお金が貰えるんだよ。

…と思ったけど、よく考えたら、これって治験でもあるって言ってたな。

要は医療関係のバイトってことだし、投薬治験のバイト代とか以前にちょこっと調べた時に確かこんなもんだった気もするし、妥当っちゃ妥当なのか?

 

「ありがとうございます。では、気が変わらないうちにサインなどいただきたいところですが、その前に詳しい説明を行わせていただきますね。最終的な合意のサインは、その後で頂きますので、説明を聞いてやっぱり嫌だなと思ったら、その時はお断りいただいても大丈夫です。それでは早速ですが……」

 

 

***

 

 

その後、爆乳の先生の説明を一通り聞き、そのまま精液検査の同意書にサインを行い、親指の指紋による拇印を押し、1日休んでから採精を行うとのことで、今日から早速病院に寝泊まりさせてもらうことになった。

 

なぜか、機動隊っぽい装備を纏った女性警官?らしき人たち数人が、顔合わせだと言って自己紹介とかしてきたり、先ほどの女医さんの他に複数人の女医さんたちが同じように自己紹介してきたり…。

なんだか、思っていた以上に大事すぎるというか、何が起きているのかさっぱりわからないまま次々と物々しい雰囲気が漂っているというか。

 

俺は、できればこれが夢か何かであって欲しいと心の隅で思いながら、その日はシャワーも浴びずに寝床についた。

そういえば、日帰り温泉旅行に来たはずなのに、体をボディシートで拭いて寝るだけって、予定外にも程があるなぁなどと、内心で独りごちる。

 

着替えを済ませ、病院のベッドの上、布団の中に潜り込む。

日中にガン見しまくった爆乳たちを夜の暗闇の中で思い出し、それと同時にやっと緊張がほぐれてきたためか、今更になってチンポがギンギンに勃起しまくっている。

 

明日に行うという採精のときまで、イキリたったチンポのイライラを発散できないことにモヤモヤとしながら、俺は無理やり目を閉じ、呼吸を整え、どうにか眠りへと落ちていった。

 

 

***

 





*爆乳警官
(なんかすっごいエロい男が1人きりでほとんど整備されてない林道を歩いてる…何かしらの事件性があるやつじゃないか?)
(なんか思っていたよりかなりヤバい男だった…薬物乱用、またはそれに近しい被害を受けている懸念あり、要調査のこと…と)

*爆乳女医
(なんか凄まじくデカくてエロい薬物乱用疑惑のある男が運ばれてきたな…いや、どう考えてもヤのつく自由業の関係者でしょう…こわ…)
(彫り物なし、尿検査異常なし、その他身体検査も特に異常なし。ただのド健康むちむちデカ男ってこと?意味わからん…逆にこわぁ…)
(…なんか意識がハッキリしている割にかなり従順な感じがするし、もしかして精液提供してくれたりしないかしら?ワンチャンお願いしてみましょう)
(ド健康むちむちデカ男の精液と個人情報ゲット確定、アッツゥ~!!普段はそんな邪なこと絶対に考えないけど、今日だけは医者やってて良かったって本気で思ったわ、ゲスな意味で)

*爆乳機動隊長
(暴力団被害者か人身売買系の被害者の可能性ありって聞いて出張ってきたけど、これはそういうのと関係なく単に見た目がドスケベすぎて襲われるタイプのアレだろ。言わんけども…)
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