※この作品はR-18です。

体格貞操逆転世界のパラレル平成を生きてみた。   作:貞操院逆転子

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※※注意※※
この物語はフィクションです。
現実に存在する企業・製品・個体名など登場しますが、この世界はパラレルワールドであり、実在の企業・製品・個体名・団体などとは一切関係ありません。



ITバブル崩壊。世紀末覇王。軍資金集め。

 

***

 

 

運がいいというべきだろう。

 

俺が高校の頃から浪人生活中まで、それなりにソシャゲとか遊んだり、そのための攻略メモを残していたり、勉強用としてスマホのメモアプリをフル活用していたことを思い出した。

大学入学後は、すっかり勉強に対するモチベーションを喪失し、軽め…というと語弊があるかもしれないが、ともかく鬱病になってしまったようでソシャゲすら続けられなくなり、すっかりメモアプリのことなんて放置し切っていたので、今の今まで忘れていたわけだが。

 

 

その行為に意味があるとは思わなかったが、ふとそのメモアプリの中身がどうなっているか気になって、中身を確認してみた。

 

まず一つ幸いなことに、俺はオフライン環境でも勉強したいと考えていたおかげで、メモのほとんどはクラウドではなくローカルに保存されていた。

そしてもう一つ幸いなことに、メモの内容はこの世界の歴史通りの内容ではなく、ちゃんと元の世界の歴史の内容で保存されていた。まあ、それが本当に幸いと言えるかどうかは、まだわからないのだが。

 

それでも、なぜそれを幸いだと、運がいいと思ったのかといえば、このおかげで2000年より未来の歴史がざっくりとわかる可能性が出てきたからだ。

 

 

***

 

 

真っ先に確認してみたのは、就職氷河期の時期について。

ざっくりと、平成だとは覚えていたが、確認してみたらドンピシャで2000年から2003年が最もひどい時期らしい。あっ、いきなり人生詰んだ…。

 

なんなら、2000年から2003年という時期はとにかくクソやばい年で、2026年ではそんな姿が想像できないような超有名大企業の株価がITバブルの崩壊によって大大大暴落した時期であり、そのせいで社会全体で雇用の枠を滅茶苦茶に絞りまくっている時期になる。あくまで、元の世界での話だが。

 

例えば、2026年では完全に天下の大企業となっている「Amazon」なんかは、この頃はまだただの本屋扱いなこともあって、ITバブルの崩壊による打撃をモロに受けた企業だと言っていい。

その他にも、「Apple」とか「Microsoft」とかのIT関連企業は軒並み大打撃を受けたはずだ。

 

俺の手元には、残念ながらこの時代の大手IT企業に関する情報は「Amazon」と「Apple」のものしかないが。

 

 

しかし、もしかすると、それだけで十分かもしれない。

 

俺は別に、それらのIT企業に就職したいだなんて思っちゃいない、興味関心は別のポイントにある。

そんなのはもちろん、株価の大大大暴落という、ただその一点についてのみである。

 

これほどの大暴落は、その企業の先行きが見えないどころか、次の瞬間には株式が換金不能の負債に変わるかもしれないという不安の加速で、大事に抱えていた人は売れるうちに売りまくり、そしてそれなりに長い買い控えが発生したということだけはわかる。

あくまで、知識としてだけなので、当時の状況を肌感覚で理解しているという話ではないのだけども。

 

だが、俺は先ほどの2社については、のちのリーマンショックすら耐え抜いて、押しも押されぬ超大企業になることを知っている。

2026年時点での株価など、もはや庶民には手を出すことすら憚れる額になっている。

 

そんな企業の株を、ありえないほどの安さで買い溜めできるチャンスなのである。

 

 

今日は、8月15日・火曜日。

俺はこの世界、この2000年という時代にやってきてから、ちょうど1ヶ月が経ったことになる。

 

手元には、最初に10日連続で射精し、その後は週2回のペースで通って、それらの報酬として得た40万円がある。

…仮に、「Amazon」と「Apple」の株だけを狙って、スマホのメモと照らし合わせて底値に近いタイミングで買うにしても、その後のことを考えれば生活費などは残さなきゃいけないだろうし、今のペースではせいぜい買えて数100株ずつが良いところだろう。

もう少し運用資金が貯められれば、数千株くらいいけそうな気もするが。

 

その2社の株価が爆発的に上がるのは、それからおよそ4年後から。

それからリーマンショックが発生するまでぐんぐんと右肩上がりに上昇し、リーマンショックの影響で世界中の株が大暴落する…。

 

ということは、リーマンショックの発生する前に一旦利確してしまうと考えて、その場合だと…ざっくりと、2007年の10月頃に売却するのが良いのだろうか。

株のことなんて、その言葉の意味をざっくりと理解しているというだけで、実際にはどう扱えば良いのかなんて何も知らないから、本当にただの机上の空論・取らぬ狸の皮算用という話でしかないのだが、それができれば大体いくらくらいになるのか、計算してみる。

 

 

…うーん。

タイミング次第では、Amazon株の方は3000株くらい買えるから、これは相当儲かるんじゃないかと思ったけど、それでも2007年時点で5000万円くらいにしかならないっぽい。

いや、十分に大金だが、思ったより多くない。

 

リーマンショック後、日本は(世界中が、と言うべきか)一時期凄まじい不景気に突入するはずなので、億くらいは増やせていないと安心できない気がする。

あくまで、元の世界通りに歴史の流れが進むなら、という話になるが。

 

仮に毎日射精しに病院に通って、毎月の限度額である64万円を得られると仮定した場合…戸籍を得たら保護施設から退去になるから生活費のことかも考えて…計算し直すと、えーっとぉ……。

 

…うーん、射精するだけじゃ、元手が足りずにギリギリで1億に届かない。

いや、それでも十分すごいんだけど、仮に体調を崩して数日だけでも射精しにいけなかった場合、この計画はマイナス修正がかかるので、あくまで完全に全てが想定通りに進んだ場合のマックス値だと思うべきだし、そもそも1年以上も毎日射精しに病院に通い詰めるなんて嫌だ、メンタル的に無理である。

 

歴史通りなら、確実に勝てる株を買うのは、アリだとは思う。

ただ、今の俺ではどうにも、元手となる資金が足りないようである。

できれば、悠々自適に不労所得だけで旅行生活を送りたい。何なら、温泉旅館に30日連泊とかしてみたい。ワハハ、アホすぎるな。

 

 

冗談はそのくらいにして、しかし現実的な話、この世界での学歴が皆無な俺が、まともな就職先にありつける時代ではないのは間違いない。

それは今この時代が就職氷河期であるかどうかは関係なく、日本という国の学歴社会という構造が、俺を受け入れるはずがない。という話である。

 

仮に、最低限の大学卒業認定を得るための資金を捻出するにしても、日々の生活費を得るにしても、射精で得るお金だけではやはり不安というか、病気や怪我で一瞬で破綻するのが目に見えている。

 

確かに、俺は高校入学までは健康だけが取り柄だった。

でもそれは既に過去の話、今の俺は精神的に参って大学に通わなくなったクズだし、これまでは未成年特有の若さで誤魔化せていただけで、今後はどんどん肉体的に老いに負けていくはずだ。

 

今20歳の俺がそんなことを気にするのは少し時期尚早だとも思う。

だがしかし、いざその老いに負け始めた時、学歴がないままで、無職で、射精だけで稼ぎ続ける生き方をしていられるか?と考えたら、そんなもんは100%無理だとしか思えん。絶対に野垂れ死ぬ。

 

確かに俺は、人生ドロップアウトコースを歩んでいたクズだ。

しかし、それでもまあ良いやと思えていたのは、高校卒業という最低限の学歴があったからだ。

野垂れ死ぬならそれでも良いという気持ちもあるが、別に好き好んで野垂れ死したいわけでもない。

なるようになって死ぬなら、それで良いという話なのである。

 

このままじゃなるようになって死ぬというより、ただ毎日射精するだけの日々を過ごして、無駄に長く生きて、それから虚しく死ぬだけである。そんな生き方は、流石にしたくない。

 

 

閑話休題。

結局のところ、可能なら資産運用…株式購入で将来の不労所得人生を目指すのは、大いにありだと思う。

大学に通うモチベーションを失った俺が、大学卒業認定を得るために大学入試を頑張れるかどうか、正直全くわからないし。多分、難しい気がする。

 

だから、いざ株式購入の絶好のタイミングが来るその前に、もっとお金がいる。

 

 

***

 

 

色々調べた結果、俺は「競馬」というものにたどり着いた。

 

本物の競馬に手を出したことは一度もないが、そんな俺でも、この時代の覇者の名前くらいは知っている。

知っているというか、競走馬を擬人化したソシャゲのおかげで、結構しっかりと知識があるし、ゲーム攻略情報として当時に勝利したレース名まで判明している。

 

この時代の覇者、世紀末覇王。つまり、「テイエムオペラオー」。

年間無敗とかいうバケモノとしか言いようがない記録を保持する、超有名馬である。

 

調べてみたら、この世界にもテイエムオペラオーは存在していて、現在5連勝中。

8連勝・グランドスラムだとかいう称号を持っているはずで、あとの3勝は10月29日予定の秋天皇賞、11月26日予定のジャパンカップ、12月24日予定の有馬記念となるはずだ。

 

俺の持つ情報源はソシャゲの攻略情報であり、そのソシャゲの方ではオッズまでは存在しないので、仮にその3レースで賭けて全勝した場合にいくらの儲けになるのかはわからないが、しかしそれでも3回も賭ければ相当増やせるはず。

 

 

さらに、この時代の競馬のシステムというものは、言い方は悪いが結構雑で、ぶっちゃけ脱税し放題な側面があるらしい。

現金でのみやり取りし、口座に入金するには100万円未満を何回かに分けて、場所も変えて行わないとバレるらしいが、しかしその程度で割と誤魔化せてしまうらしい。

 

…脱税は、ちょっと怖いな。あんまりやりたくない。

けど、一応あの人の良さそうな弁護士先生に、何も分からないフリしてちょっと相談してみようかな…。

何なら、税理士さんとか紹介してくれないかな…。

 

良いアイデアだと思ったけど、射精で得られる報酬は非課税扱いらしいし、競馬で得た報酬の税金だけ考えて、それでも得になるなら手を出すって線引きにしたほうがいいかもな。

仮に、軍資金を全賭けしてテイエムオペラオーが負けてしまった…なんてことになっても、その時はそれこそ恥を忍んで毎日射精して、そういうギャンブラー(チート)な生き方以外を模索することにしよう。

 

 

***

 

 

善は急げ…善か?…ともかくこういうのは早いのがいいだろうと、次の弁護士先生との面談時に早速相談してみることにした。

 

ちなみに、弁護士先生とは週に1度・毎週水曜に面談を行なっている。

就籍の手続きの進捗報告・情報共有だったり、身元を引き受けてくれる人や身分を保証するものが何もない俺の、最低限の身元を保証する代理人役として、保護施設の方々と連携しながら色々手助けしてくれているのだ。ありがたい。

 

ただ、進捗報告や情報共有と言っても、基本的にはそんなに進展があるものではない。

俺は基本的にただただ待つだけで、何かしらの結果が出た時だけ詳しく話してもらう形なので、面談の日に何の報告も情報共有もないという日も多く、そんな日は弁護士先生が持ってきてくれたケーキを茶菓子にして時間いっぱいまでのんびり雑談するだけだったりする。

なので、相談するにはうってつけの機会と相手である。

 

 

「というわけで、競馬をやってみたいんですけど、どうやって買えばいいのかとか、税金ってどうなるのか、ぜひ教えて欲しいんです」

 

「…お、おおぅ…。大木さんって、何というか、割と破天荒な人ですよね…」

 

 

年若い爆乳弁護士先生…最上真咲(もがみ・まさき)さんへ、ドストレートかつ無知なフリをして、いきなり突っ込んで聞いてみたら、そんな答えが返ってきた。

 

なんとなく、褒められてるわけでないことだけはわかる。見るからに困惑しているし。

しかし、お金をより多く得られるかどうかというのは、今後の人生設計において非常に重要であり、俺としても引くに引けない事情というものがあるので、気を取り直してさらに切り込んでいく。

 

 

「いえ、これでも結構真剣に考えてのことです。ぶっちゃけ、俺って高校卒業の資格すらないから、よくて中卒…最悪の場合、学歴なしってことになるじゃないですか?それで、今の世の中で就職できると思います?」

 

「…ま、まあ、確かに。施設側からは中学卒業相当の学歴を保証するって交付書が貰えるはずですけど、だからと言って就職できるかというと…。でも、それならいい相手を探して、扶養に入るという選択もあるのでは?」

 

 

扶養。

この場合、つまりは結婚。なるほど、そういう手段もあるのか。

確かにそれなら、どちらか片方が働かなくても…って、そんなわけないだろ。

 

これから就職氷河期のピークに加えて、ITバブル崩壊に伴うIT企業系の株式の大暴落が巻き起こるってわかってるんだから、その影響で生活が苦しくなってきたら共働きしたくなるだろうし、なのに就職先がないし、その状況で俺には学歴がないわけだし、地獄の家庭が誕生するだけだぞ。

 

結婚については、無しだな…。

とりあえず、思ってることを無難に話すだけにしておこう…。

 

 

「いやあ、身元不明で天涯孤独の、こんな意味わからない男と結婚したがる女性なんて、おらんでしょうよ…それも扶養って…そんな条件で結婚相手を探そうとしたら、このご時世では鼻で笑われてハイサヨナラって感じじゃないですか?」

 

「いやあ〜、大木さんなら引く手数多だと思いますけどねぇ!…あ、ああ〜っ、なんなら私が貰っちゃおうかなあ~!…なんて!なんてね!」

 

「あはは、最上さんのような素敵な人にそう言って貰えると嬉しくなっちゃいますね。でも、そんな気を遣っていただかなくて大丈夫ですよ、流石に今の自分じゃ結婚どころか人とお付き合いするのだって無理なことくらいよくわかってます。そもそも、戸籍もないし。ハハッ!」

 

「いやいや、冗談とかじゃなくて…ま、まあ、それじゃあ、大木さんも生活に余裕ができたら、結婚とか…いや、その前にお付き合いとか、そういうことを考えてくれるかな~ってことですかね?」

 

「え?…うーん、どうでしょう。正直、結婚についてはそもそもあんまり意識してないっていうか…今はともかく、今後どうやって生きていこうかってことで頭がいっぱいな感じで…まあ、確かに結婚について考える余裕ってのはないですね、うん」

 

 

こんな調子で、なんというかこの爆乳弁護士の最上さんという方は、人懐っこいというか、本当に俺のことについて親身に考えてくれつつ、時々小粋な…たまに今回のような小癪な(そもそも俺のような図体のデカい地味顔男のどこに需要があるっていうんだか)会話で雰囲気を和ませてくれて、実に話しやすくて心地いい。

 

まあ、リップサービスだろうなってのはわかってるから、俺もただ会話を楽しむだけにしてるんだけど。

こういうのを本気で捉えてしまうと、さっきまで仲が良かったはずが一気に関係が冷めて、連絡先のブロックとかにまで発展することがあるんだから、コミュニケーションって難しいよなぁ。

 

 

「うんうん、なるほどぉ。で、そのために競馬…って話ですかぁ。……うーん、一応最初にハッキリ言っておきますけど、私は絶対にオススメしませんよ、賭け事なんて…」

 

「…ってことは、競馬についてはよく知らないってことですか?税金とかも…」

 

「いや、それはよく知ってるっていうか…私もそりゃあ、女なので、競馬くらい嗜んだことはありますけど…でもねぇ〜、勝てるって聞いた馬に賭けても、その日は全然大負けするなんてことがあるのが競馬ですからねぇ。話に聞いたテイエムオペラオーは、確かに大人気ですけど、だからって次も勝てる保証なんかないですよ?」

 

 

うーん、その通りである。

実際、本当にテイエムオペラオーが8連勝を達成するかどうか、元の世界と同じ歴史通りになるのかは不明だ。

 

しかも、元の世界の歴史のことは、流石に最上さんが相手とはいえ打ち明けていない。そもそも、誰にも話さないつもりだし。

 

さらに言えば、最上さんからしてみれば、俺は記憶喪失で確実に競馬知識皆無のド素人である。

…まあ、ド素人であることは変わらない、ソシャゲ知識でレースの勝ちを予見しているだけだし。

 

そんな俺が、明らかに素人考えで、めっちゃ強くて人気らしいからテイエムオペラオーに賭けてお金が増えるか試したいと言っているのである。

まともな感性をしていたら「やめとけ」と言って止めるべき場面だし、賭けるにしても遊び程度…お金を増やす目的では手を出すなって止めると思う。

 

つまり、徹頭徹尾、俺はヤバいことを言っている。

だとしても、テイエムオペラオーに賭けてみたいのだ。ソシャゲでも好きなキャラの1人だったし。

 

 

「まあ、それはそうなんですけど…。でも、どうしてもテイエムオペラオーに賭けたいんですよね。図々しいお願いで申し訳ないんですけど、競馬について最上さんだと難しいというか、お嫌ということでしたら、よければ誰か競馬に詳しい方とかご紹介いただくことってできますか?それこそ、税理士さんとかがお知り合いにいてくれたらありがたいんですけど…」

 

「ぐぬっ…。い、いやいや、難しいだなんてそんなことは!次の秋天ですよね?行きましょう行きましょう!馬券の買い方とか教えます!」

 

「え、本当ですか!あ、でも、本当にご無理はなさらないで欲しいというか…よく考えたら、弁護士って競馬とかしていいんですか?」

 

 

などと、思わず遠慮するそぶりを見せてしまったが、実際のところ弁護士である最上さんがいろいろ教えてくれるというなら、これほど心強いことはない。

なんというか、勝手な先入観だけど、競馬って危ない人たちに因縁ふっかけられたりしそうで怖いし、そんな時にすぐ側に弁護士がいてくれるなんて心強いったらない。

 

一応、学生時代にかじった程度だが柔道と空手の心得はあるので、俺より体格が小さい相手なら肉弾戦になってもどうにかなるとは思うが、せいぜい1体1が限度だし、複数人の恐喝グループとかに目をつけられでもしたらと思うと普通に怖いからな…。

 

 

「あはは、そりゃあ弁護士としてバッヂを着けたままで買ったら問題でしょうが、私人として買う分にはまったく。まあ、なので、当日は私服で…プライベートでのお出かけってことにはなりますが、良いですか?」

 

「そりゃあもう、最上さんが(競馬のことを)色々と教えてくれるというなら、そもそもこちらからお願いした話ですし、本当にありがたいです!」

 

「色々と(あんなことやこんなことを、手取り足取り腰取り、ズッポシと)…む、むふ…♡そ、そう?じ、じゃあ、予定空けておくからね!私服で迎えに来るから、…あ、出発時間や当日のスケジュールの調整とかは、10月になってからあらためて細かく詰めようね~っ♡」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

こうして、大変ありがたいことに、弁護士である最上さんの協力のもと、馬券を買いに出かける予定を立てることが決まった。

 

それまでは、賭けるための軍資金集めと、他にもスマホのメモアプリや、iPadに保存しているWikipediaの情報なんかを読み漁り、使えそうな未来の知識をリサーチしておくことにする。

 

それと並行して、この世界の一般常識についても、もっと学ばなければならないだろう。

最上さんは、結婚して男が扶養に入るってのを当たり前のように話していたが、俺の常識では平成以前の結婚観というのはその逆で、女性の方が扶養に入って専業主婦になるみたいな感じだったはずだ。

 

今はまだ、記憶喪失だから話が噛み合わないってだけで済んでいるが、まだまだ自分の認識不足というか理解しきれていない元の世界との差異があると思うし、それがいつか致命的な齟齬にならないとも限らない。

 

 

さて、方針はそんなところだとして、軍資金の用意はどうしようか…。

 

…とりあえず射精の回数を週3回…いや、4回…いや、やっぱり3回にしよう。

で、月々の報酬額が28万円になるとして、あとは軽作業でちょっとでも多く稼ごう。

 

いやあ、プライドというか、己の尊厳を捨てきれたら、毎日精液を提供しに行くだけで64万円は稼げるんだけどな…。

やっぱり、それはちょっと…週3回だって結構恥ずかしいし…週4回だと2日連続で通う日も必要になっちゃうし…1日おき以上の間隔で通うなら、週3回が限度だな…。

 

 

***

 

 

そうして、運命の10月29日・秋天皇賞までになんと108万と端数円まで稼ぎ集め、そのうち8万と端数円はお守り代わりとして手元に残し、軍資金100万円を持ってテイエムオペラオーの馬券を買いに行くことになる。

 

前の世界も含めて、人生初めての競馬への挑戦。

あと、大木一郎は気付いていないが、弁護士の最上真咲はデートのつもりで出掛ける気満々だというのに、そうと気付かぬ朴念仁。

 

歴史通りにテイエムオペラオーが勝利してくれるのか、2人の関係性に進展はあるのか。

その答えは、今はまだ、先の話である。

 

 

***

 





*爆乳弁護士・最上真咲
(記憶喪失で戸籍もなく学歴もないことに気づいていながら、人生設計を競馬に託すって、破滅的すぎてちょっとヤバいなこの人…)
(…で、でも、それを補って余りある恵体…それに、噂によると週に2回も精液提供してる、かなりの絶倫…む、むふふ♡)
(……ぐぐぐ、デートの約束は取り付けられたけど、当日に勃起できるかとか聞いたら、やっぱドン引きされるよなぁ~…それまでにもっと仲を深められないか…っていうか初めてのデート先が競馬ってのもなんかちょっとアレだし、どうにかそれより前に別の約束を取り付けてデートできないかなぁ…ぐぬぬぬぬ)

*爆乳女医
(すっごぉ~い。何度検査しても精子が全体的にはちゃめちゃに元気だし、Y染色体型精子も活発だし、これだけで少なく見積もっても並の男性の精液の20倍は男児が造れるじゃないの…)
(あぁ〜、これをお国に隠し通すのは100%無理ね。もって1〜2年ってところかしら…それまでにできるだけ精液提供しにきてもらって、一生…いや、20年分くらいだけでも良いから、研究に困らないくらいの精液を貰いたいところね。回数増やしてもらえないかお願いしてみようかしら…いやぁ、でもそれをやって訴えられた医者がいるって聞いたことあるしなぁ…今は記憶喪失のおかげで従順なだけで、後でやっぱりアレは嫌だった〜なんて騒がれるのも困るし…ぐぬぬぬぬ)
(精液提供回数を自主的に増やしてくれたわ!!ラッキーィ!!)
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