城下町のダンデライオンの櫻田葵のクロスオーバー
ライ×櫻田葵
イチャラブエッチ
skebでリクエストいただきました。ありがとうございます。
※城下町のダンデライオンはアニメ版準拠
ライは幸せ過ぎて、天に昇る思いだった。
この世界に転移した自分を助け起こした彼女が。
自分を家族同然に迎え入れてくれた彼女が。
ずっと片思いをしていた、年上の女の子が。
櫻田王国第一王女、才色兼備、国民から絶大な人気を誇る少女、櫻田葵が。
立っているライの前で膝立ちになり、清楚な表情からエロティックに唇を潤わせて、
「またやっと、二人っきりになれたね……ライくん♡」
その豊満な乳房を惜しげもなく晒し、淡い桃色の乳首でライのペニスの裏筋をなでると、そのまま谷間に埋没させていく。
「……ピクピクしてて、かわいい♡ はぁんちゅ……♡ ちゅうぅ……♡」
谷間に埋もれきらず顔を出した亀頭へ、葵はちゅぱちゅぱと音を立てながら口づけてくれる。
ライも彼女の乳房を揉みしだきながら、乳首をクリクリとさすった。
「あぁん♡ もう、ライくん、うまくしゃぶれないよ……♡ あむっんちゅぱっ♡ ちゅううぅぅ♡」
葵はとろんとした瞳のまま、亀頭を唇で包み込み「ちゅうちゅう♡」と吸いながら、たぷたぷと音を立てて乳房で竿をくすぐる。
ここはマンションの一室。高校卒業を機に櫻田家から出ることを決めた櫻田葵は、先に一人暮らしをしているライの隣室に部屋を取った。そしてここは、ライの部屋。
監視カメラも、大家族櫻田家の喧騒もどこにもない。あるのはただ、櫻田葵の唇と舌の水音と、乳房の柔らかい音、悩ましい艶やかな声。
パチュ♡ パチュ♡ パチュ♡ パチュ♡ パチュ♡
「葵さん……最高だ……葵さんと、毎日こうしたい……」
「もう、ライくんのエッチ。でも、私も……エッチかも……あ……そろそろ出ちゃう? 膨らんでる……♡ いいよ、らひてっ、んちゅうぅれろ、ちゅうううぅぅぅぅ♡」
ブビュウウウウウウ!!! ボビュルルルル!! ブビュウウビュッッ!!
「んぼぉおうぅ♡ ぷはっあつぃっ♡ んむちゅっちゅううぅぅぅ♡」
恐ろしいほどの背徳感だった。王女にして清楚な美少女葵が、頬をすぼめ、尖らせた唇で亀頭から精液を吸いだし、おっぱいを左右から押し込んでゴシゴシと竿を刺激し続けている。
ライはあまりの気持ちよさにめまいをおこしながら、自分の精液を搾りとる葵のパイズリフェラに釘付けだった。
ライの視線に気づいた葵は恥ずかしそうに少し目を反らしたが、視線を戻すと葵も、ライの顔、上半身に見惚れていた。葵が射精中の亀頭を舐めまわし、愛する人をもっと気持ちよくさせようと、パイズリフェラ搾精を続ける。
「んむちゅ……♡ ライくん……好き……♡ ライくん、ライくぅんちゅるちゅぱ♡ れろちゅるるるるぅ♡」
ブビュビュ!! ビュルルルルル!! ビュウウウウ……!!
(射精が、とまらな……!? 葵さん……! なんてエロい……!!)
櫻田家では包容力のあるお姉さん、外では美しくかわいい清楚な第一王女。そんな葵がライにすがりつくようにして、おっぱいでペニスを挟み込み、唇と舌で甘く激しく愛撫してくれるこの状況。ライはもう、興奮でまともな思考はできない。
葵も同様だった。葵はもう、何も考えなくていい。選挙も、『絶対遵守』の力も、監視も、外面も、家族も何もかも。
あるのはただ一つだけ。愛する男の子と結ばれた、その幸せに浸る。
「ちゅううぅぅ……♡ ちゅぽん、ふふ、まだまだ硬いねライくん……♡」
葵がライのベッドに座り、濡れそぼる女陰を見せつけるように、股を広げていく。
「……今日も私の全部、もらってくれる?」
「もちろん。その代わり、僕の全てを捧げるよ」
「ふふ、やった。……きて……♡」
二人しか知らない、激しく長い甘い夜が、また始まる。
去年、4月。突然光と共にこの世界に現れ道に倒れ込んだライに駆け寄ったのは、下校中の櫻田葵だった。
「君、大丈夫!? 救急車を早くっ。今のは瞬間移動? 修と同じ能力なのかしら?」
倒れたライは意識を朦朧とさせながら、自分を見下ろす美少女に見惚れていた。
(天使……? 綺麗な人だ……ここは……?)
ライは病院に運ばれ、精密検査を受け、テレビや新聞を見て、自分のとんでもない現状を把握した。
「ここはエリア11じゃ……? ブリタニアは……?」
ライはアッシュフォード学園において、自分がギアスによって起こした祖国の惨劇を思いだし、それを再発させないよう、アッシュフォード学園の大切な皆との記憶を完全に消し、神根島で眠りについたはずだった。
だが天国にしてはあまりに日常的過ぎる光景。未来にしては脈絡も記録も無さすぎる。
しかも能力判定ということで医者からは、
「まさかと思ったけど、君、能力を持っているなんてねえ。『絶対遵守』、無暗に使わないようにね」
(あっさりギアスがバレた上に扱いが軽いっ!)
現代日本と文化も生活もほとんど変わらない、櫻田王国に転移してしまったライ。
櫻田家による王政のこの国には、特殊な事情があった。櫻田王家の血を継ぐ者は特殊能力を持っているうえ、今年は次期王を決めるための選挙の真っ最中。
当然国の関心は選挙の当事者である櫻田一家の子供たちへ向けられており、病院内のテレビや新聞でライの目にも留まった。
ニュースで特にピックアップされていたのは、ロングストレートヘアーの清楚な美少女。
(櫻田葵。僕を助けてくれた人だ。王女様だったのか。しかも現在投票一位……次期国王に一番近い人か……)
ライに外傷はなかったが衰弱していたため、数日の入院を要した。そんな時にライを見舞いに来たのは、たくさんの護衛を引き連れた現国王、櫻田一家の父、櫻田総一郎だった。
櫻田総一郎はベッドの上のライをほんわかした表情で見つめると、
「こんにちはライくん。突然だけど、君、うちに住みなさい。能力をもってると、色々大変だろうからねえ」
「はっ!?」
ライの能力を知っているはずなのに、突然あらわれた住所不定の謎の少年なのに、あっさりとライの処遇は決まった。たくさんのカメラによる監視体制とはいえ、ギアスの危険性を考慮しているとは思えない謎采配。
当然ライは王の護衛の人々からの警戒心をひしひしと感じたが、櫻田家の家庭内に迎え入れられると、そんなことは忘れるほど、櫻田一家の騒がしさと暖かさに圧倒された。
両親と子供三男六女の櫻田家の朝は、常にトイレや洗面所は取り合いだし、日常も時間厳守にして連絡は必須。くじによる当番制の家事にライも組み込まれ、数日もすれば年長組として、年下達の面倒を見るのが当たり前になっていた。
だがどれだけ櫻田家の面々が暖かくライを迎えてくれたとしても、世間のライを見る目は甘くなかった。
ネットには様々なライへの書き込みが目立つ。隠し子? 工作員? 櫻田家の傍流の隠し種?
(国王選挙という大事な時期なのに、櫻田家の皆の疑いにまで飛び火している。これ以上、一緒に暮らすのはよそう)
6月、ライは一人暮らしを申し出て許可された。自分の能力の危険性と、櫻田家と自分の関係によるあらぬ噂。かかる経費は借金をして返すなどとライが根気よく説得すると、櫻田総一郎も折れた。
現在はマンションの一室で一人暮らし。ただ櫻田総一郎の好意により、相変わらず櫻田一家の子供たちと同じ桜華学園に通っている。
ライは高校一年生として編入し、成績はトップ。真面目に学生として暮らすことで、自分のせいで世間から櫻田家へ向けられた無用な疑いを晴らすつもりでいた。
同学年の櫻田茜とは別クラスになったし、ライから櫻田家に積極的にかかわるつもりはもうなかった。恩義があればこそ、自分の噂は風化させた方がいいし、保護して学校まで通わせてくれた見返りは、卒業し就職してから存分に返すつもりだった。
だが、やっとクラスに馴染み始めたライに、定期的に会いに来る櫻田家の人物がいる。
「葵様っ!」
「きゃー! 葵様よ!」
「今日もなんてお美しい……!」
沸き立つライのクラスメイトたち。
3年生にして成績は常に満点、櫻田家長女の葵は丁寧に微笑みを返しながら、その視線をライに向けていた。
「こんにちはライくん。ちょっといいかな?」
「葵さ……葵様」
「葵さんでいいよ。いつも通り」
クラスの入り口にまで来た葵へ、ライが歩み寄る。
葵は櫻田家庭内において、大家族の長女として第二の母親のように暖かい印象だったが、学校では才色兼備にして清楚な王族、絵に描いたようなお嬢様学生という面が強い。
しかも、次期国王選挙の途中経過において不動の1位である。そんな彼女がライに会いにくれば、衆目を集めて当たり前だった。
「今日、私が買い物当番なの。もしよかったら手伝ってくれないかな?」
「僕が? いや、構いませんが……」
「敬語もなくていいよ。そのまま一緒にご飯食べに来てね。輝と栞も寂しがってるから」
「わかりました」
「敬語」
「……わかったよ、葵さん」
櫻田葵。この時ライが知っている彼女の能力は『完全学習』。その包容力はどこかライにミレイを思いださせる。ミレイほど周りを振り回すことはないが、常に一歩引いた視点で全体を俯瞰して皆を支えているところと、時折見せる儚い表情が似ていた。
放課後、スーパーで当たり前のように買い出しをするライと葵。ライは基本的に荷物持ちだが、葵は常にライを気遣い、お礼を言っていた。
(目的は僕の監視……な訳ないな。純粋に気遣ってくれているのだろう。この国で僕は身寄りもなく行く当てもなかった。それが今、ただの学生として過ごせている。ギアスの能力も知られてるし。でも、過去に国を滅ぼした僕が……こんな暖かい幸せを……)
悲劇を繰り返すわけにはいかないと、神根島にて眠りについたライだったが、この世界に神根島はない。
「光が『カレーが良い!』てずっと言っててね。だから今日は――」
(もしこの国で再び、僕のギアスが暴走したら……)
「――ライくん、また難しい顔してる。大丈夫?」
「! いや……その今更だけど、怖くない?」
「怖い?」
「僕のギアスの力だよ。絶対遵守の力。やろうと思えばどんな無茶な命令もできる。櫻田家の人達が皆特殊能力を持っているから珍しくないのかもしれないけれど、一緒にいて、怖くない?」
葵から笑顔が消え、深い思案の顔になる。
「……怖くないよ。一緒に暮らしててすぐわかったもの。ライくんは能力を悪いことに使わない、良い人だもの。ライくんは櫻田家の人たちが、怖い?」
「全然怖くないよ。皆とても良い人だ」
「だったら、また家に戻ってこない? 皆歓迎するよ」
「ありがとう。でも遠慮しておくよ。櫻田王国の人たちには、まだまだ僕を疑っている人がいるだろう。ここは平和で暖かくて、とてもうまくいっているように見えるから、壊したくないんだ。今は選挙で大事な時期だしね」
「そっか。それが、ライくんが家を出ていった理由なんだね」
葵は寂しそうに微笑む。しかし少し語気を強めて続けた。
「でも、きっと皆わかってくれると思うよ。ライくん、うちでも、クラスでも普通に受け入れられてるんだから」
ライはこの時、為政者としての面を葵に見た。確かに櫻田家の能力を巡るあれこれは、TV放送のドキュメンタリーやアトラクション競技によって、娯楽として消費されている節があり、やれこの能力が悪用されたらとか、危険だとかの話は聞いたことがない。
しかしそれはライを除いての話だった。櫻田総一郎が王になってから、赤ん坊のころから国民に愛されてきた櫻田家子息と違い、ライは出所不明の異邦人だった。
ライのギアスについて知っているのは、能力判定した医者と、櫻田一家、そして櫻田家に仕える直属の家臣たちのみ。だが世間の目からは、ライは能力持ちにして並々ならぬ地位の者ではないか、と大小の噂が流れている。
葵はそれら全てを払しょくしたいのだろう。ライが櫻田家から離れるという手段ではなく、櫻田家と一緒にいて当たり前の人物として、受け入れられるように。
そういった清廉な精神が国民に伝わっているからこそ、櫻田葵は選挙一位になりえているのかもしれないと、ライは推測した。
(甘えたくなるな。こういう人には)
「ありがとう。でもやっぱり王家の護衛の人たちからすれば、櫻田家に僕がずっといるのは怖いと思う。だから、一人で暮らすよ。でも、うん、今日はご飯にお邪魔してもいいかな? 修たちにも会いたいし」
スーパーの中、ライと葵を監視しているSPの目が険しくなったのを感じた。葵がただの友人と買い物を楽しんでいるのなら、こうはなっていない。
葵はそれを見て寂しそうな顔をした、ライに向き直って微笑む。
「よかった。お母さんに連絡するね」
「櫻田家の皆には感謝しているし、僕も一緒にいるのは大好きなんだ。返しきれない恩もある。だから葵さんも困ったことがあったらなんでも言って。僕もできるかぎりのことをするよ」
絶対遵守の力を持っている者が、こんな暖かい一家の近くにいてはいけない。そんな言外の思いが、葵に伝わってくれればと、ライは思っていた。
櫻田葵には、伝わっていた。伝わっていたからこそ、
(ライくん……)
彼女の心を締め付けていたことを、ライはまだ気付かなかった。
自分の友人たちは、本当に自分を好いているのか。絶対遵守によって心を捻じ曲げられて、自分の傍にいるのではないか。
夜闇の中、一人就寝前になると、櫻田葵の思考の中にぼうっと浮かんでくる。
櫻田葵の周りの世界はとても優しい。家族も友人も。
選挙となって周りが騒いでいる今でも、兄弟間は健全な競争に終始している。
だが、そんな時に櫻田葵の前に一人の異邦人、ライが現れた。
(私と同じ、絶対遵守……!)
父がライのことを紹介し同居すると言いだした当初は戸惑いがあったものの、ライはあっという間に家族に溶け込んだ。ライは優しく体力も有り余っており、なによりライ自身が、自分を救ってくれた櫻田一家に恩返ししようと全力だった。
奏や遥などは絶対遵守の力に警戒を見せたこともあったが、ライの性格を知ればすっかり共同生活をすることに慣れていた。
(父さんは、このためにライくんを同居させたのかな……? 私の本当の能力を、隠す必要がないって、伝えるために……)
櫻田葵の真の能力『絶対遵守(アブソリュートオーダー)』。この真の能力は、弟妹たちすら知らない。
葵の力は幼少の頃から無意識に発動していたのではないか。今の葵の立ち位置と人間関係は、それによって形成されたのではないか。
悩んでも答えが出ないことを、葵はずっと一人で抱えて生きてきた。
兄弟でなにか競争が発生した場合、葵は自身を優先することは無い。父母弟妹を優先する、優しい長女として生きてきた。
選挙が一位なのも、ただ葵が兄弟の年長で、学園トップの成績だからだろう、と葵自身は思っている。国事なのでおいそれとやる気がない姿を見せる事もないが、演説等に積極的ではない。
それよりも、葵には新しい興味事ができた。
(ライくん、うまく暮らしているといいけど、大丈夫かな?)
『絶対遵守』を持っているライと、櫻田一家の関係。学校でのライの扱い。
葵がライを気にかけたのは、葵がライの第一発見者だったのもある。それと同時に、絶対遵守という能力を持った存在が、世間に馴染めるかどうかの試金石として見てしまっている節もあった。
葵は自己嫌悪しつつも、それでもライ個人に楽しく円滑に暮らしてほしいのは、正直な気持ちだった。
(ライくんはとてもいい子。一緒に暮らしたからわかる。だから、窮屈な思いをしてほしくないな……)
国中にある監視カメラは、子供たちを守るためであるのはわかる。能力暴走(ブレイクアウト)もあるからなおさらだろう。
(もし、私が王様になったら、ライくんについている監視体制を……)
一人暮らしを始めたライ。櫻田一家は葵含めて本当に寂しがっていたし、たまにライが食事に来ると、皆喜んで出迎える。
けれど、ライは必ず線を引いていた。そんなライの姿を、葵は自身の生き方と重ねてしまう。
(ライくんももしかしたら、自分の力で嫌な思いをしたことがあるのかな? 絶対遵守の力で、大切な人に望まない命令をしてしまった。そんな経験が……)
せんのない思考を繰り返してしまう。儚い雰囲気のあるくすんだ銀色の髪の美少年の映像を、葵は繰り返し再生してしまう。
ライは櫻田家に微笑んでくれている。しかしきっとライは、徐々に色をなくしていくように、葵の目の前から消えていくのではないだろうか。『絶対遵守』を理由にして。
(それは、嫌だな……ライくん……)
疑似的な弟への心配なのか、能力者としてのシンパシーなのかか。
ちなみに、わざわざ葵がライのクラスへ会いに行った後、それを知った葵の友人たちは、
「浮いた話が無いと思ったら……」「いやはや年下高身長ハーフイケメンとはお目が高い……」
「ち、ちがうよ! ライくんはそういうのじゃないからっ」
(へ、変な事思いだしちゃった。うぅ~……!)
葵からライへの想いが、つのったまま日々が過ぎた。
葵はライを誘い続けた。ライの心情にも、変化があった。
(葵さん、またメッセージだ。今日は栞の迎えに合流して、そのまま外食……)
櫻田葵からライへの積極的な干渉、さすがのライも輝や栞が会いたがっていると言われれば、断るのは難しい。
結局一人暮らしの決断はなんだったのか、葵の誘いによって家族ぐるみの付き合いが継続していた。
(ギアスだけは使わないよう気をつけないと。幸い、僕が気づかずに使ってしまったとしても、監視カメラの映像があるし、櫻田家のSPもついて回ってる。こういう状況だと、逆に安心できるな)
校舎口で葵と合流する。ライが葵の視界に入ると、葵は目に見えて微笑みの色が深くなった。
「ライくん。よかった。すっぽかされるかと思っちゃった」
「もうそんなことはなしないよ。鞄持とうか?」
「気を使ってくれるのは家の中だけでいいよ。今は先輩と後輩だから。昨日はありがとね。輝の宿題見てもらっちゃって、栞にも絵本を読んであげたんでしょう? ふふ、ライくんのサポートのおかげで、私ものんびりする時間が増えちゃった」
「どういたしまして。葵さんの助けになってるならよかった。修たちも、最近は選挙にやる気をだして忙しくなってるみたいだしね。これぐらいは、いつでも任せて」
「ふふ、家に戻ってくる気になったかな?」
「今の生活で十分だよ。茜の選挙の手伝いは今日はいいの?」
「うん。茜もちょっと疲れちゃったみたいで」
「そっか。葵さんは、やっぱり選挙活動は、しない?」
「んー……やる気がないわけじゃないんだけどね」
「葵さんが王様になれば、きっと素敵な国になると思うけどな」
「そう? ありがとう」
下校中、日常的な会話をするなかでも、葵は自身の選挙活動については言及を避けた。
ライも深く聞くことは無い。ただ、もったいないとは思っていた。
(葵さん、修、奏、茜が積極的に選挙活動をし始めてなお、選挙人気は一位だ。葵さん自身は何もしていないのに、美貌、気品、『完全学習』という能力もあいまって、人気は衰え知らず。性格も、身寄りのない僕を常に気にかけてくれるほど優しい。葵さんは、王になりたくないのだろうか? けど棄権するわけでもないし……)
ライは、葵に二度救われている。一度目はこの世界に転移した時の救助。二度目は現在進行形で、暖かい櫻田家の一員にいさせてくれていること。
ライは一人暮らしを続けているが、大きなトラブルが無い限りは、櫻田家と距離を取るつもりはもうなかった。それもこれも、葵が積極的に支えてくれたからだった。
ライの葵への想いは、ゆるやかに上がっていた。
(葵さんを支えよう。僕のこの気持ちは、報われなくていい。僕にそんな資格はない)
(ライくん、最近は寂しい顔しなくなったし、自然に私のお手伝いしてくれるし、本当によかった……この調子なら、この国でも普通に暮らしていけるよね)
運命の瞬間は事故のように訪れた。
「そしたらまた茜がね、あら?」
「ん?」
二人での下校中、銀行前。バンから覆面の男4人が出現し、葵の前を横切ろうとする。ライも気づいた。
(銀行強盗っ)
ライは咄嗟に葵を守ろうとしたが、葵の声の方が早かった。
「お願いします。銀行強盗のみなさん。自首してください」
「「「「はい! 櫻田葵様!」」」」
覆面の男たちは、回れ右して交番へと向かう。
全てライの目の前の出来事だった。
「葵さん……!? 今のは……!」
「っ! ……」
「僕と……同じ力……」
ライは全てを悟った。葵が見知らぬ自分になぜここまで世話を焼いていたのか。選挙に対して曖昧な態度をとっていたのか。
櫻田葵の性格とこの能力が符合すれば、ライの疑問は全て解かれた。
葵は、困ったように笑っている。
「…………バレちゃった、よね。うん、そうなの。私とライくんは、同じ能力なんだ……ごめんね、隠してて……」
「……いや…………いいんだ」
数秒の沈黙。ライが重い空気を断ち切ろうとする。
「家族の人も、知らないの?」
「兄弟のみんなは、ね」
「わかった。大丈夫、誰にも言わないよ。行こう、栞が待ってる」
「ライくんっ。その、本当にごめんなさい、私……」
ライの感情には、劇的な変化があった。
(葵さんは、僕とは違う。僕がするべきことは……)
ライは意識して声色を優しくする。
「葵さんが謝る必要なんてなにもないよ。事件を未然に防いだヒーローじゃないか。それに葵さんが言わなくても、僕がやっていた」
葵の手が震えていた。咄嗟に能力発動したとはいえ、葵の日常は普通の女学生だった。
ライが葵を安心させるよう、葵の手を握る。
「葵さんは能力を正しく使った。皆を救ったんだ。僕は葵さんを尊敬する。本当に素敵な女性だ」
「ラ、ライくん!?」
葵の甲高い声を、ライは初めて聞いた。
「聞いて、葵さん。葵さんは何も間違っていない。絶対遵守は強力だから、隠していたのは全然おかしいことじゃない。でも力は使う人次第だ。葵さんに人気があるのは、葵さんが暖かくて優しい、素晴らしい人だからだ。だからどうか、悲しい気持ちにならないで欲しい。葵さんは正しい事をしたんだ。それを誰にも否定なんてさせない。誰がなんと言おうと、僕は葵さんの味方だ」
「ラ、ライくん。わかったから、ありがとう……! だから、あ、あのぉ……」
ライは、櫻田王国の生活の中で一つ見逃していることがあった。ライはブリタニア皇族と日本皇族のハーフであり、かつてアッシュフォード学園の中ですら美形として人気があったこと。
突如櫻田家に現れたミステリアス美少年。確かにライの存在に対して様々な噂がたったが、その中には多分に黄色い悲鳴があったことを、ライは気づいていなかった。
登下校の際、葵とライはよく合流している。ならば葵とライはカップルなのではないか。そんなからかい混じりの噂は、葵の耳にも届いていた。
そんなライが、葵の手を握り顔を近づけ、真剣な表情で励まし、褒めたたえている。
「ライくん……顔、近いよぉ……!」
「! ごめんっ!」
ライはすぐに手を離し一歩引いた。葵の顔が真っ赤になっている。
ライは反省した。異世界転移した自分を救ったのは、同じ絶対遵守を持つ少女だった、ということに運命めいたものを感じ、舞い上がってしまっていた。
「本当にごめん、葵さん」
「う、ううん! 私もちょっとびっくりしただけだから。気にしないで、大丈夫。ほら、警察の人が今連れて行っているみたいだし、栞を迎えに行こ」
葵は容姿端麗、成績は学園トップ、そして第一王女。葵が恋愛に積極的でないこともあり、葵と深い仲になった異性は今まで誰もいない。
(初めて……家族以外の男の子と、手を握っちゃった)
『誰がなんと言おうと、僕は葵さんの味方だ』
絶対遵守の力を見られてしまったが、同じ力を持つ彼に、葵は肯定してもらった。
(……ライくん……ありがとう……)
「ねえ、ライくん」
「なに?」
歩道、葵は、葵の歩幅に合わせて道路側を歩くライを見上げる。
「ライくんと、二人っきりで話したいことがあるの。今日時間、いいかな」
「もちろん。何時間だって大丈夫」
「うん……」
櫻田家住居内。葵は自室にライを招いた。両親にはあらかじめ、ライに話す内容を伝えていた。
自室に家族以外の男子を招いたこの状況、しかし当然、葵とライの間に浮ついた雰囲気はない。
二人座布団に座り、葵が話し出す。
「能力に気づいたのは、私が中学の時だった。友達との会話の中で冗談のお願いを言ったら、友達は、その通りに動いたの。そこから能力の再判定をして……すごく、ショックで怖かった。私の言葉一つで、相手はどんなお願いも聞いてしまうから……。お父さんにも相談して、私の本当の能力は隠すことにしたの」
「そっか……」
しばらく沈黙したあと、ライは言葉を慎重に選ぶ。
「葵さんが選挙に積極的じゃなかったのは、その能力があったからなんだね。王様として、その力は……危険だ」
「……うん。この力を持っている人は、王様になってはいけない」
絶対遵守による暴政の結末を、ライは身をもって知っている。
(同じ能力を持っていても、葵さんは僕とは違う。決定的に)
ライの心は決まった。
(彼女に、絶対遵守の悲劇を起こさせはしない。それが、僕がこの世界に来た意味だ)
「葵さんを尊敬するよ。葵さんは自分のことよりも、大切な人や国の事を第一に考えてる。葵さんが王様にならないというのなら、その決断を尊重する。きっと、総一郎さんもわかってくれる」
「そう、かな」
「絶対そうだよ。だって、見知らぬ僕の事を家に迎え入れちゃうくらい、優しい人だ。僕はこの国に来てまだ数か月だけど、葵さんがどれだけ皆に慕われているかはわかる。そんな葵さんが決めた事なら、大丈夫だ。それにもし間違いがあったとしても、皆が葵さんを助けるよ。皆、葵さんのことが大好きだから」
「ライ、くん……!」
「信じて、葵さん。もし、葵さんが意図せずに能力で無茶なお願いをしてしまったら、僕がそのお願いを上書きして、なかったことにだってしてみせるよ。僕が、助けになる」
葵がずっと真の能力を明かせなかったのは、その真実によって周りから距離を取られてしまうのではないかという恐怖もあった。
だが、目の前の少年は違う。同じ能力だからこそ『助けになる』と断言した。
家族以外で、葵の能力の肯定者が0から1になった瞬間だった。
葵の瞳が一際光を反射し、葵の声が震えだす。
(私……こんなに恵まれてたんだ……)
葵の脳裏に映し出されるのは友人たちと家族、そして目の前のライ。
背中を押してもらった感覚だった。
「……ありがとう、ライくん。それじゃあ、頼りにさせてもらっちゃおうかな」
「任せて。こう見えて、年上の女性のお願いを聞くのは得意だから」
「ふふ、そうなんだ。じゃあさっそく、夕ご飯のお手伝い、いい?」
「イエス、ユア・ハイネス」
Highness(ハイネス)は、王位継承権を持っている人物への尊称。見た目ハーフであるライが切れのある動きで敬礼すると、面白さよりも、つい葵は一瞬見惚れてしまっていた。
彼なりの冗談と理解し、葵も返す。
「ふふっ、頼りにしてます、ナイト様」
ライと葵に微笑みがこぼれる。二人立ち上がり、部屋を出ようとする。が、扉を開けた瞬間、目の前にいたのは、葵の父にして現国王。
「総一郎さん……!」
「……お父さん……」
「い、いや会話は全然聞こえなかったぞ! ただ、その、年頃の娘が、男子と二人きりというと」
「…………お父さん」
「は、はい」
「しばらく、口きかないね」
「……あっ葵ぃぃ…………!!」
泣き崩れる現国王を黙殺してスタスタと歩く葵。ライは軽く会釈し、葵と共に夕ご飯の準備に向かった。
葵は最終選挙を数か月前に控えた段階で、選挙棄権と真の能力を国民に宣言した。
選挙の票に多大な影響はあったものの、もともと葵は茜をサポートしていたため、彼女自身の生活リズムは変わっていない。
(あれから、何も変わらなかった。私の生活も、家族も友達も)
皆が葵に対してやけに優しくなった期間はあったものの、数日もすれば宣言前と全く同じ日常になっている。
葵はそれが、嬉しくてたまらなかった。放課後に友人たちとカフェやショッピングを楽しみ、帰宅すれば暖かい家族が迎えてくれる。
漫画のようなイベントは少ないかもしれない。しかしこれこそが葵が望んでいた日常の――。
「お……お待たせーライくん。ごめんね、遅れちゃって」
「こっちも今来たところだよ、葵さん」
「定番だね。それじゃあ行こっか」
櫻田葵とライは、櫻田王国遊園地の入り口で合流している。理由は葵の親友である菜々緒が福引券を持ち寄り、それを引いた葵が遊園地の入場券2枚を引き当てた事。
卯月、菜々緒、静流は声をそろえて「ライくん射止めるの頑張って!」と、葵の背中を押した。
(も、もう、皆勘違いして。ライくんは、大切な人だけど、そういうのじゃないのに……)
葵が選挙棄権の宣言をしてから、ライはますます葵をサポートした。といっても、やることと言えば葵の櫻田家における家事や年少組のお世話、茜の選挙サポートなど、いつものこと。しかし、ライが同居していた時と同じくらい葵と一緒にいる時間が増えたし、なにより葵の宣言直後、葵の傍にライがいてくれたことが、どれだけ葵にとって心強かったか計り知れなかった。
(いつかちゃんとお礼をしようと思ってたけど、これでお礼になってるかなあ……?)
遊園地デートの誘いをライは快く了承した。
(葵さんに誘われるなんてっ。絶対に楽しんでもらわないと)
対して葵は出発前、デートを聞きつけた奏と岬に着せ替え人形にされた挙句、選ばれたのは青白い清楚なワンピース。
ライは白いワイシャツに黒ジーンズと簡素な出で立ちだったが、生来のスタイルの良さが際立ち、葵と並んでも遜色がない。
そんな二人が遊園地に来ると、まるで男女のモデルが撮影にきているかのような雰囲気で、注目を集めた。ライと葵も視線にはどうしても気づいてしまう。
だが、気にしてもいられない。ライは相手に存分に楽しんでほしかったし、葵もライと同様だった。
「葵さん、絶叫系大丈夫だったよね。今の時間空いてるから、さっそく行ってみない?」
「うん。前に菜々ちゃん達と来たことあるし。ライくんは大丈夫?」
「大丈夫、行こう」
ジェットコースターでは共に大声を出し、お化け屋敷では「わっすごいっ」と、葵が冷静な声をしながら、反射的にライの腕を掴む。
「!? あっ、ご、ごめんね」
「う、ううん……」
(葵さんも、こういう一面あるんだな)
互い少し頬を赤らめ、飛び出るお化けを尻目に意識してしまう。
3Dシューティングではライが才能を披露し、葵の声のトーンも上がる。
「すごいっ。ライくん百発百中だねっ」
「任せて! よしっこいっ」
(ふふ、ライくんもやっぱり、男の子なんだ)
昼食時には店員が何を間違えたのか、ハート形を象ったカップルストロージュースが出され、ライと葵は二人して顔を赤くして固まってしまう。
「これは、どうしよっか……ライくん、飲む?」
「え!?」
「あ、二人で飲むってことじゃなくてねっ」
時間も選挙も能力も、ライと葵は忘れていた。ただただ遊園地でデートを楽しむ、ただの学生二人だった。
二人を乗せた観覧車の籠が上がっていく。
(これが櫻田王国。本当に綺麗で、素敵な国だ)
ライは平和な景色に目を細めた。元いた世界に未練はあるが、未練はない。それに、
(この国で骨を埋めていいかもしれない。僕の力が知られているうえで住めているし、櫻田家に恩返ししたい。それと……)
ライの視線は、目の前に座る葵へと移る。
(これからも、葵さんの傍にいられたら……)
葵は控えめなだけで、しっかりと自立した女性だった。もしライがいなかったとしても、選挙と能力については、彼女なりの答えを出していただろうと、ライには思える。
ライと葵、二人っきりの狭い空間。どうしても国から監視される二人にとって、この観覧車の中は、数少ない自室以外のプライベート空間と言えるかもしれなかった。
日が沈み始めている。葵に去来しているのは、一縷の寂しさ。
「もうすぐ、終わっちゃうね。ライくんは、楽しかった?」
「もちろん。葵さんはどう?」
「楽しかったよ。ふふ、ライくんの意外な一面も見れたし」
「どんな一面?」
「男の子なんだなあって。普段はライくん大人びてるから」
「それなら、葵さんも可愛かったよ。お化け屋敷とか」
「あっ、それは忘れてっ」
「やだ」
「いじわる」
櫻田葵は3年生。卒業後家を出て、一人暮らしをするつもりだとライも聞いていた。
こういった二人きりの機会は、これからどれだけあるだろうか。観覧車が上がっていくにつれ、ライに焦燥感が灯る。
(彼女の選挙は終わった。僕も生き方を決意した。だけど……もし、葵さんと……)
彼女に伝えたいことがたくさんある。今しかないかもしれない。
ライは消せない罪をもっている。そんな自分が誰かを愛し、支えたいという衝動は、あきらめるべきなのだろうか。
(……いや。僕は、僕を温かく迎えてくれたアッシュフォード学園の皆の記憶を、消すべきじゃなかったんだ。もっと他の選択肢があった。この絶対遵守の力を、誰かのためも使う生き方が出来たはずだった……。時間は元には戻らない。だから)
またやり直したい。そう思わせてくれたのは、目の前の少女。
ライは決意した。思いのたけをぶつける。玉砕したとしても、伝わずに終わるよりいい。それほどまでに、彼女への想いは強くなっていた。
「葵さんに伝えたいことがある」
ライの真剣な表情と声色で、空気が変わった。葵も察し、「いいよ」と、微笑みを消して聞く姿勢を作る。
「僕は昔、『絶対遵守』の力で、取り返しがつかないことをしてしまったんだ。決して許されることじゃない。ごめん、楽しかったのに、こんな話」
「ううん、ライくんの気持ち、私も聞きたい。大丈夫だよ」
「……ありがとう」
葵が微笑みかけてくれる。ライは気を取り直した。
「葵さんと過ごすことで、僕は救われたんだ。この力を持っていても、またやり直して、誰かを幸せにできるかもしれない。そう思えるようになったんだ。ありがとう、葵さん」
「それは、私も同じだよ。ライくんが背中を押してくれたから、私は本当の力を皆に言う事ができた。ライくんに出会えて……凄く今、幸せだよ。ふふ、ライくんはもう、他人を幸せにできてるよ」
「……!!」
今まで見た中で、葵のもっとも美しい微笑みがライに向けられる。
これ以上の相手と、これから出会えるわけがない。
彼女とずっと一緒にいたい。彼女の一番近くにいたい。自分が彼女を、幸せにしたい。
ライは自らの意思を、一色に染め上げた。
葵を見つめ、微笑みながら伝える。
「櫻田葵さん、僕はあなたを、愛しています」
「………え……!? ……………………」
沈黙。葵は目を見開き、ライから視線を反らさないままゆっくりとニュートラルな視線になり、口をきゅっと結んだ。
自分のものにしたいのならば、恋人になってくれと能力を使えば済む。だが、そんなことは決してしない。
葵が拒否すれば、何も変わらない。観覧車が一周して、いつもの日常がもどってくるだろう。
葵は目をつむり、一息ついた。
(……こんな日が来るなんて、思わなかったな)
恋愛とは無縁の葵の学校生活、自身の立場を考えれば、そういうものだと理解してきた。
葵は、ライの告白を望んではいなかった。驚きの方が強い。
だからこそ今、葵自身が望んでいないから、葵は確信できた。これは、ライの嘘偽りのない気持ちなのだと。葵が気づかないうちに、ライに能力を使ったわけでは決してない。
ずっと他人と線を引いてきたライと葵。だが葵は選挙棄権という形で線を踏み超え、今ライも葵に踏み込んできている。勇気を出して、新しい幸せを望んでいる。
(ライくん、凄い勇気。私じゃ愛の告白なんて、できなかったかも。憧れちゃうな……ああそっか。私、気づいてなかっただけなんだ)
ライが笑うと嬉しい。ライが傍にいてくれると嬉しい。ライの今の言葉が――。
(うん。私、ライくんとこれからも)
一緒にいたい。一番近くにいたい。その気持ちを確信した時、葵の返答は決まった。
「ありがとうライくん。私も……あなたを愛しています」
「!! 葵さん……!!」
歓喜に沸くライの感情。だが、あまりにもいつも通りの葵の微笑みだったため、一点どうしても確認しなくてはならなかった。
「それって、家族的な意味ではなく……」
「!? もうっ。ちゃんと、うん……ラブ、だよ……もう……」
頬を真っ赤にしなから視線を反らす葵の姿で、ライはようやく確信できた。
観覧車が頂点に達しようとしている。時間が無い。ライは止まらない。
「手を、握ってもいいかな」
「……いいよ」
対面して座っていた二人だったが、葵が左に寄った。ライは葵が開けてくれたスペースに移動して座る。
ライの左手と葵の右手が重なり、握り合う。
互いに横を向いて見つめ合う。今までで一番近い距離だった。
(暖かい……)
二人の考えがシンクロする。もう言葉はいらなかった。ライの右手が、葵の頬を優しく撫でる。葵は受け入れながら、目をつむり、顔を少し上に向けた。
頂点に至った籠の中で、男女のシルエットが重なっている。数秒して離れ、また重なる。何度も繰り返す。
葵は初めての幸せに、ゆっくりと浸かり始める。
(知らなかった)
ライの腕が葵の背に回り、葵は全てをライに預ける。
(こんなに自由で、我慢しなくていい時間……癖になっちゃう、かも……)
「……好きだ……葵さん」
「ライくん……ん……ちゅ……私も……好き……ちゅ……」
何度も唇の感触を確かめ合う。
籠は12時を回り、徐々に魔法の時間が解けていく。
夜が訪れ、観覧車がライトアップすると共に、二人の時間は終わった。
体を離し、籠を出る。二人の頬は赤いままだが、体の距離は観覧車に乗る前と同じ。
手をつなぎたい。だがそんなことをすれば、櫻田王国のニュースがどんなことになるか、ライには想像もつかない。
だが、それでもライは一歩踏み込んだ。
「葵さん」
「は、はいっ」
「手をつないでも、いい?」
もう衆目がある空間だった。ライと葵が手をつなげば、そういうこととして世間に知れ渡る。
葵は目をつむって思案する。喜びの方が勝っていた。
(修と花ちゃんに、感謝しなきゃね)
一つ年下の弟には、既に公認の彼女がいる。なら、葵もかまわないだろう。
「うん、帰ろ。一緒に」
「……うん」
葵が差し出した手を、ライはしっかりと握った。
選挙が終わった。葵は大学に進学し、家を出た。葵が一人暮らしするマンションはセキュリティがしっかりしているため、中まで監視の目が来ることは無い。
しかしこれから、葵の部屋には誰もいないことが多いだろう。理由は、隣の部屋はライのものだったからだ。
共にご飯を食べ余暇を楽しむ。始めての部屋デートの夜。
きっかけはなにもなく、自然に始まった。
「ライくん……んちゅ……ちゅ………はぁあ……♡」
ライが葵を抱きすくめて唇を奪うと、葵もすぐに生暖かい吐息をしながら熱中した。
(あ……ライくんの、舌……入って……!)
「ぷはっ……葵さん……」
「ライくん……んちゅ……れろ……ちゅるん……♡」
ゆっくりと始まる初めてのディープキス。葵ももう、全てを覚悟している。
(私……今日ライくんに、全部……!)
ベッドの上、互いに素肌を晒した。葵は羞恥で胸元を手で抑えていたが、ライの情欲をかきたてるだけだった。葵は全体のシルエットは細く見えるものの、グラビアアイドル顔負けの巨乳。手から今にも零れ落ちそうで、淡い色の乳輪がはみ出している。
ライはもう、いちいち許可を求めない。キスしたい時に葵の唇を奪いながら、壊れ物をあつかうように葵の胸に触れ、揉んでいく。
「はぁああっ! あっ、ライ、くぅん……♡ ちゅうぅ♡ ぺろ、れろちゅる♡」
仰向けの葵が下、ライが上。深いキスをしながら、ライは葵の体を丹念にほぐしていく。マシュマロのような葵の乳房を何度も指で形を変え、少し硬くなった乳首をクリクリとくすぐる。
「んちゅはぁっ!? あっそこ、くすぐったいっ、んんっあぁあっ!」
ライの愛撫によって、葵の体は跳ねてどんどん熱くなっていく。ライも辛抱たまらなかった。女神のように美しい葵。すでに理性は崩壊し、勃起した男根は触られてもいないのに、ドクドクと期待で我慢汁を分泌している。
葵も同じだった。ライと唇を合わせ、舌を絡め、肌を重ね、乳房を何度もいいようにされるたびに、丹田のさらに奥が期待でうずくのを自覚した。
葵の女陰から漏れ出たいくつもの涎が、ライのベッドに染みを広げていく。
「あ……んんぅ……はぁ……♡」
葵の口内からライの舌が引き抜かれる。ライは乳房を揉むのを止め、葵の太ももに手を添えた。葵に足を広げさせ、ライは腰を進め、秘所の入り口に亀頭をあてがう。
「いくよ……」
ライの言葉に、葵は目をつむって、こくんと頷いた。
「あ……あぁあ……!!」
(わた……し……ライくんと、やっと……!)
遊園地で公認の恋人になったとはいえ、ここまでの道のりは、二人に長く感じられた。
けれど今は葵も家を出て、互いの事を想うだけでいい時間が無限にある。
ライは半ばまでで止めて、何度も葵にキスをして、彼女をいたわった。
「ゆっくりでいいよ葵さん」
「ん、ありがと、んちゅう♡ はぁ……ふふ、やっと一つになれたね……♡」
「……ずっと待ってた。幸せで、狂いそうだ……」
「私も、そうだよ……暖かくて……ライくんだけがいる……ちゅうぅ♡ ……いいよライくん、奥にもっと、来て……♡」
「ぐ……うぅ……!」
「あ……あぁああ……!! 熱いぃ……♡ ライくん、ライくんっ! ちゅうぅぅ♡」
正常位で限界まで抱擁し、葵からの激しいキスをきっかけにして、ライは少しずつ腰を前後に動かし始めた。
パチュン、パチュン、パチュン♡
「はふっんちゅむぅ♡ れろちゅぱっちゅるぅ♡」
唇を限界まで押し付け合いながら、内部で舌が乱舞し唾が飛ぶ激しい口づけ。それに反してライのペニスの出入は優しく、葵の奥を丁寧に抉っていく。
もどかしさより、幸せな感情がまさっていた。グチュグチュと柔らかく抱きしめてくる葵の膣内。できる限り傷つけないよう、優しく力強く侵入してくるライのペニス。
ライは葵の声が、一際甲高くなる場所を見つけた。そこは圧力は少し弱いが、亀頭を包み込むようにフワフワトロトロで、そこを抉るたび、葵の体が小刻みに跳ね上がる。
バチュバチュバチュ♡ ゴリュッ♡ ゴリュリュ♡
「んちゅんんむっ♡ んもっんむぅぅうう♡」
(あっ♡ ライくんが、私の弱いところ、見つけてる……♡ 私の体も、中の深いところも全部、ライくんの、ものに……♡)
葵は、愛する人に支配される感覚に酔った。幸せで温かくて、気持ちいい。腰がぶつかる水音が、大きく速くなっていく。
バチュンバチュンバチュンバチュン!
「ぷはっ、葵さんっ、このまま、中に……!」
「うん……いいよ♡ 私の全部、ライくんにあげる♡ だからライくんの全部を、私に……ちょうだい……♡ んむちゅうぅ♡」
葵からの激しい口づけと共に、葵の膣内が収縮し、ペニスを限界まで奥に引き込む。ライの視界が弾け腰が震えると共に、葵もまた、意識を白く飛ばした。
ドビュルルル!! ボビュルルルル!!! ビュルルルルル!!! ビュウウウウ!!!
「んんちゅはぁあっんちゅうううぅぅぅぅ♡♡♡」
ビクビクビクン!! プシュッ、プシャアアァ………チョロロロ……。
抱き合い深く口づけ合う中、ライのペニスはぷっくりと膨らんだ後に白濁液を勢いよく噴出し、葵の子宮を一瞬で満たし、膣内から逆流して愛液と混ざりあい、ペニスとヴァギナの接合部の隙間からドボドボと漏れ出ていく。
勢いよく噴出された葵の潮吹きもまた、ライのペニスの根元で跳ね返り続け、二人の愛の混合液に合流した。
2人の五感全てが、愛する人を支配し、支配されている。
(もう……なにもいらない……ずっとライくんと……一緒に……♡ ライくんだけ……私だけの、ライくん……♡)
(葵さん……葵さん……! 好きだ……葵さん……!)
絶頂が徐々に収まるにつれ、二人は薄く目を開き、遊ぶように舌を絡め合った。体も性器つながったまま、言葉を紡いでいく。
「ふふ……ライくんすごい。壊されるかと思っちゃった」
「痛く、なかった?」
「うん……思ったより全然。それよりも、その、ね。こんなに、幸せな気持ちになれるんだね……♡」
葵の目尻に、汗と混じった一滴が流れる。ライももらい泣きしそうになり、こらえる。
「もう、葵さんの傍を離れない。絶対に」
「うん……。それなら、ほら、ライくん……」
「ん?」
「く、唇が、さびしがってますよー……なんて……んー……♡」
「!」
「んんむちゅううぅぅ♡」
(あっ♡ またライくんのが、中で、膨らんで……♡)
ライと葵にとって、これは特別な時間であり、そして徐々に特別ではなくなるように、何度も繰り返した。
「あぁあっライくんっ♡ ライくぅん♡♡」
ライが子宮を突き立てるたびに、葵の乳房が上下に乱舞し、尻が打ち震え、尿道から飛沫が飛ぶ。口づけ、限界まで絡み合って、また果てていく。
「あああぁあっ♡ またイクぅ♡♡ 好きぃ♡ ライくん♡ んむちゅうぅ♡ ライくぅぅん♡♡♡」
ビュルルルルル!! ブビュウウウウ……!!
ビクビクビクビク……プシュ……チョロロ……チョロロロ……。
幸せな夜は終わった。そしてまた、二人の朝が始まる。
(ん……ん? あれ……? ライくん……?)
「んちゅ? ん、んんっ……んちゅるるっ……♡」
窓から朝陽が差し込んでいる。葵は目が覚めた時、目の前にはライの目をつむった顔があった。ライはまだ眠っているようで、葵がライに覆いかぶさって、無意識にライに口づけていたようだった。
葵は口を離さず、そのままライの味を堪能する。
(……ライくんの唇……美味し……♡ 目、覚ましてくれるかな? 舌は、かんじゃうかもだから、気をつけないと……♡)
ライの意識が覚醒していく。ライにとって、こんな幸せな目覚めは経験したことが無い。
目をつむった葵が、その青い長髪がライにかからないよう手で横に流しつつ、二人の間にかかった銀色の糸を舌ですくい、飲み込んでいる。
嘘も建前もなにもいらない。今必要なのは、ただ一人。
「んちゅ……ちゅ……♡ おはよう、ライくん。今日も二人っきり……続けちゃおっか♡ ふふ……ちゅ♡」