【本編完結】前線基地あまあま娼館ライフ 作:ヒマリすきすきクラブ
都合により今月末までにボーナスステージを完結させる必要があるので、今回は独自設定マシマシです。
次回が最終回になる、はず。
レイとヒマリとの結婚式からしばらくが経ったとある日。
レイとヒマリはアーデルハイトの研究所、その地下秘密区画に呼び出されていた。
「おはようございます。ご主人様、ヒマリ」
地下秘密区画にはレイとヒマリ以外にも、まずは金髪に青い瞳の高性能アンドロイド、エレクトラが。
「おはようございます。お兄様、ヒマリさん」
青白い髪色に深紅の瞳以外はエレクトラと瓜二つな、アーデルハイトが私的に開発したルクスノヴァ製量産型エレクトラの『メロペー』1号機が。*1
さらに銀髪に灰色の瞳をしたルクスノヴァ製量産型アンドロイドの『ステラー』が1人待機していた。*2
メロペーとステラーはエレクトラと違って大穴探索を目的としていないため、大穴に入ることはなく、よって司令官の指揮下にもない。
現在13人いるメロペーはハイエンドモデルの『エレクトラ』で得られたデータにレイの遺伝子情報を組み込み、安定性を高めた高性能アンドロイドでありながらレイが使える魔法を一部使用できるよう改良されたモデルだ。
エレクトラにとっては妹分にあたる。
レイの遺伝子を組み込まれたメロペー13人は全員おちんぽ認証と遺伝子認証でレイをご主人様だと認識済み。
当初はレイをお父様と呼ぼうとしていたが流石にヒマリとの赤ちゃんより先に娘ができるのは困ったため、今ではお兄様呼びに落ち着いている。
科学と魔法が融合し、魔法が理論化されシステム化された時代*3の知識と技術、そして
もちろんエレクトラにもメロペーへの追加機能とアップグレードが反映され、その結果子宮から魔力が生み出されるようになり、お尻が一回り大きくなっている。
ステラーはそれ以前からルクスノヴァで運用されていた量産型アンドロイドで、エレクトラたち同様人間そっくりな容姿と高い性能を活かして主に前線基地の外、地上で人間に紛れて諜報活動を行っていた。*5
このためステラーは決まった容姿を持たない。
アーデルハイトやレイはメロペーの存在やステラーの総数についてはルクスノヴァリーダーのシエナに共有していない。
シエナは同じルクスノヴァではあるが、いつか大穴から元の世界に帰還することが目的の『帰還派』であり、この世界に骨を埋めることに決めたアーデルハイトやレイ、ヒマリ、既にこの世界に自分のお店を持ったミルティーユとは立場の異なる存在だからだった。
あと単純にシエナはまだ大穴の拠点にいる個性的な癖つよルクスノヴァのメンバーに振り回されているのでパニック寸前だというのもある。
シエナをよく知っているヒマリですら「もうちょっと落ち着いてから教えてあげようよ……」と心配するほどだった。
「状況をおさらいします」
ミルティーユは彼女のお店の都合で来れないことが分かっていたため、会議が始まった。
代わりに届いたミルティーユからの今日の差し入れは涼しげなフルーツゼリーだ。
空中に表示された投影ディスプレイにトレスリア地方の地図が表示される。
「まずはここ、大穴と前線基地。現在前線基地は大穴第六階層『光の階層』まで調査済みです。前線基地と周辺のいくつかの街については知っての通り、三大国の休戦協定によりこの場所は大穴の出現以前まではアリシアさんの国が存在し、三大国の国境も交わる場所でしたが、現在はどの国家にも属さず、三大国が支援する場所になっています。つまりは、ここはどの国の法律も及ばない無法地帯……正確には、暫定的にアリシアさんがいた飢餓の厄災によって滅亡した故国の法律で一部運用されていますが、究極的には全権委任されている司令官と副司令官アリシアこそが法そのものです。よって、例えシエナたち『ルクスノヴァ帰還派』が大穴の向こうに帰ったとしても、我々が司令官と協調路線を取ることは既定路線です。司令官が大穴の異物を悪用しない限り、ですが」
アーデルハイトが確認するように述べる。
「我々『ルクスノヴァ残留派』としては、司令官もしくは副司令官アリシアさんをトップとしてこの前線基地と大穴周辺を独立国とすることが当面の目標です。この方針についてはアリシアさんとも合意しています」
可愛らしい姿をしているが、小国の姫だったアリシアの政治力は本物だ。
名付けて計画名「
彼女が失ったかつての小国を含むこの一帯を、正統な王族の血を引く彼女の手に取り戻すのだ。
そして司令官が、かつての英雄の血筋を引く彼がアリシア姫と結ばれ、この地の王になる。
司令官も年貢の納め時というやつだ。
が、それでは元々司令官の婚約者なクレハがあまりに可哀想だということで、クレハを側室に挙げる声がレイとヒマリから根強い。*6
きっとすぐに司令官には他の女性からも側室希望が殺到するだろう。
レイとエレクトラ、メロペーは黙って頷き、同意を示した。
唯一、ヒマリが「シエナ……」と小さく呟いただけだ。
「次は千国連合。名前の通り雑多な小国の集まりではありますが、ここ最近千国連合加盟国のホウライでは国盗り合戦が下火になりつつあります。原因は現在司令官が所持している神剣
ここは独立とは関係ないのであまり重要ではない。
ただまぁ、本当に大軍で攻め寄せて来たならば、その大軍がそのままレイの催眠魔法にかかり、出発地点にUターンしては各々の大名に襲いかかる尖兵となるだろう。
ホウライの国盗り合戦はそれで勝負がつくかもしれない。
「続けて、エルドラーナ共和国。ここはレイさんがエルアテネロ*7で活躍した影響もあり、レイさんが元々保有していた武装商隊を拡大。テネロ5世の商会跡地を買収し、エルアテネロで強い影響力を持つ大商会『
まぁ、エルドラーナに関してはルクスノヴァが噛んでいるだけで真っ当な商売である。
今日も前線基地の一角では、巨大な倉庫のような建物内に大穴の物資を詰めた大量のテラ・プロミッサ規格金属製コンテナが運び込まれている。
マリナがオーナー兼支店長になったテラ・プロミッサ前線基地支店は現在好景気に沸いており、毎日のように前線基地から金属製コンテナの荷物を載せたマナ燃料で動く
更にエルドラーナ経由でミレスガルド王国とペルディオン皇国へと輸出されている。
ちなみにいろいろあってテラ・プロミッサ専属契約となった商船団の船団長はエルドラーナ建国の立役者たる海賊王の子孫、ルシータという女性だ。
彼らはテラ・プロミッサ設立初期メンバーではあったが、元盗賊だけあって面倒な社長業や小難しい事務作業をステラーたちに任せてこうして外を駆け回るほうが趣味だった。
そのテラ・プロミッサ製馬なし武装馬車がどう見ても8輪式の装輪装甲車でマナ式レーザー機関銃を車載していることや、不整地を最高時速70キロで駆け抜けることも、ルシータ商船団が新たにテラ・プロミッサから操船教育担当ステラーと共に受領した全金属製輸送艦が艦首を倒して坂道を作り、馬なし荷馬車や馬なし武装馬車が自走して直接乗り入れられることも今更大した問題ではない……というのが超越的な技術力を持つルクスノヴァの認識だ。
彼らの理解が及ぶ範囲で便利なのがいいだろう。
また、この過程でエルドラーナに本社のある新聞社に大口スポンサーがつき、かつて前線基地の醜聞の特ネタを掴んでこいとエメルダに命令していた上司が街の大門で首吊り死体として発見される不幸な事故もあったが、
「ミレスガルド王国、ペルディオン皇国の両国ですが、現在はテラ・プロミッサからエルドラーナ経由で大穴で産出した鉱石のインゴットをごく少量輸出しています。ただし、レイさんの持ち込んだ『リサイクラー』と『アセンブラー』により、他の何者にも真似できない純度100%の金属インゴットや魔法金属インゴット、超高純度魔法石、マナ燃料として。これは両国内でも大きな話題になっています」
「アレ、よくこの世界特有の物質にも対応させられたね。量産までできちゃったし。流石天才兼変態科学者」
「そう褒められると濡れてしまいますが……この点、実は当初予定から変更が入っています」
レイの感嘆に対して、アーデルハイトは少し困ったような表情を浮かべつつ答えた。
「先程も言いましたが、テラ・プロミッサの設立にあたり、司令官とアリシアさんのツテでアウラさんという共和国評議員の方に全面的バックアップを依頼しました。当初予定ではミレスガルドとペルディオンに経済戦争をしかけ、市場破壊して屈伏。エルドラーナが三大国を統一したところで独立国として承認を得るプランだったのですが、やはりアウラさん的にはだいぶマズかったようですね」
しれっとえげつないことを言っているが、そもそもレイが知っている限りルクスノヴァに経済に詳しい人間はいない。
アーデルハイトはこの通り天才的頭脳を持った至って変態な科学者だからそんなことには興味がないし、シエナはヒマリ同様元々は令和日本の学生。
時々配信を手伝うピコはインドア派の配信者。
レイなんて、経済とは地球の一部の特権階級だけに富を集中させるためのシステムだった23世紀に生きていた一兵卒だ。
健全な市場なんてものはこちらの世界に来てから知った。
お菓子のお店を経営しているミルティーユくらいか……?
「なので、まずアウラさんが理事長の大学にサンプルを流しました」
案の定、エルドラーナ大学では技術的にあり得ない純度100%の魔法金属インゴットに自然物としてあり得ない不純物ゼロの成形済み巨大魔石に研究室が蜂の巣を突いたような騒ぎとなった。
学生や教授たちが我先にと奪い合うように解析に乗り出し、そしてどうやってもこんなもの再現できないという結果がすぐにアウラに提出された。
アウラからテラ・プロミッサには「いや、こんなの際限なく出しちゃったらミレスガルドとペルディオンの経済終わっちゃうでしょ。ミレスガルドは聖戦を発動するし、ペルディオンならフェリシオーネが直接乗り込んでくるよ?」と親切に忠告されたらしい。
その後アーデルハイトから、むしろ市場破壊が目的でエルドラーナが三大国統一して前線基地周辺を独立国とするためにこの2国における各種マテリアルと高純度魔石、マナ燃料の流通市場をテラ・プロミッサという強大な新興商会によって完全に壊滅させるまでエルドラーナ経由で輸出すると聞かされたアウラ。
よりによって自国が隠れ蓑にされている上、自身が関わってしまったと知るとエルドラーナがミレスガルドの聖戦とフェリシオーネの標的になる前に慌てて制止に入ったのが現状だ。
「面白いほど簡単にアウラさんを引っ張り出すことに成功しました。当初計画より相当早い時期にこちら側に引き込めたのは僥倖ですね」
アウラも早めにそうした説明を受けられたのは幸運だったのかもしれない。
そうでなければ彼女が築き上げてきたものを失うどころか命さえ危うかっただろう。
現在はアウラと前線基地からアリシア、更にテラ・プロミッサ前線基地支店長に就任したマリナも加えた3人が中心となって、ミレスガルド及びペルディオンへのテラ・プロミッサの適正な商材販売量を吟味する態勢がとられていた。
既にペルディオンのフェリシオーネの元には天然物だったら国宝級に匹敵する不純物ゼロの純粋巨大魔石と、複数の魔石の効果が合体したような強力な効果を持つスティーラ渾身の魔石細工が。
ミレスガルドのレイゼリアの元には王国最高峰鍛冶師にも全く加工方法も分からない複数の魔法金属による複合合金インゴットと同インゴットを素材とした美しく超常的な性能を持つ大剣がアウラ名義で寄贈され、こちらも大変な騒ぎになっている。
「ミレスガルドとペルディオンは近い将来、テラ・プロミッサからの高純度、超高純度マテリアルを買い占めるのに夢中になります。なにせ純度100%、不純物ゼロ、理論上あり得ない素材ですから。彼らでも普通の武器防具よりも遥かに高度な武器や杖が作れるでしょう。いずれテラ・プロミッサ無しでは成り立たなくなるはずです。もちろん、エルドラーナも」
アーデルハイトは淡々と述べた。
なにせ、クズ魔石や魔石の欠片を集めて『リサイクラー』に流し込めば、ちょっとした魔力消費だけでいくらでも『アセンブラー』で不純物を取り除いた大きな魔石を作れるのだ。
鉱石も同様に。
エルドラーナだって、エルドラーナ領にある前線基地最寄りの港にテラ・プロミッサ名義で新たに建てた造船所から引き渡された、ルシータ商船団が運用する新型機関搭載の全金属製小型輸送艦*8に興味津々だ。
そして後から各国がテラ・プロミッサに経済依存していることに気付いたとしてももう遅い。
テラ・プロミッサに何かあった場合は、原材料となるマナ燃料や超高品質の武器防具素材などは一切届かなくなるのだ。
同じ質を揃えるにはとてつもない出費を強いられるだろう。
そして一度受け入れたが最後、軍事・医療・資源で圧倒するルクスノヴァがバックに着いた、今のテラ・プロミッサを切るということは大穴から手を引くのと同義だ。
そうなれば三大国の中で真っ先に滅びかねない。
休戦協定があってもミレスガルド資源地帯奇襲制圧作戦を実行寸前まで進めていたエルドラーナなんて実例もあるのだから。
「ついでに、これは未だ三大国上層部から疎まれる司令官に代わっての報復でもあります」
きっと司令官に尋ねたら、あの捻くれていても根は優しい司令官なら「俺はそんなこと頼んだ覚えはない」と言うだろう。
だが、司令官を辺境の地に追いやった挙句、こうして大穴から世界の危機がやってくると掌を返して司令官を突貫工事で建てたこの前線基地へ拒否権なしで送り込んだのは三大国の、つまりはこの世界の民なのだ。
つまり、これはアーデルハイトたちの自己満足の我が儘だ。
この世界の民ではない、異世界から来たルクスノヴァだからこそできる報復である。
「そのためにも、現状で優先すべきは三大国のテラ・プロミッサによる緩やかな経済支配です。三大国を前線基地と我々無しでは成り立たない国にしましょう」
アーデルハイトの淡々とした声で、『
「特にペルディオンは先日、エアリエルさんによれば数千年前の長きに渡る戦争を終わらせるために複数の古代魔術師が魔力を込めて作成したとされる大量破壊魔導兵器を、前線基地に潜入させたスパイによって盗み出した件でペルディオン魔導兵器研究所が灰燼と化したのが効いていますね」
「ああ、確か『盗んだ大量破壊魔導兵器が暴走』して吹き飛んじゃったんだよね」
「はい。これでより早期にペルディオンの魔導兵器の根幹は我々のマテリアル前提へと設計変更されていくでしょう」
「す、すごい悪い話してる……!」
とても白々しいことを語るアーデルハイトとレイ。
この件では凄腕暗殺者のアヤメとレイがメロペーとステラーの部隊を率いてペルディオン魔導兵器研究所に侵入した。
そう、話は数日前に遡る──。
*****
「……それは本当か、エアリエル?」
最近新たにホウライ建国神話の神剣天叢雲が飾られるようになった、司令本部の司令室。
今この場所には司令官やアリシアを始めとしてレイやアーデルハイト、ルディアといった前線基地の幹部要員が集まっており、緊迫した空気に包まれていた。
エアリエルによれば、発端はつい最近発見された、数千年前の戦争を終わらせるために作られた巨大魔石を
現在は危険な代物でしかないが、時間をかけて研究を進めればもしかしたら利用価値があるかもしれない、と。
ペルディオンの反応は迅速で、前線基地に極秘裏に送り込んでいたスパイによって、封印後大穴内の隔離区画に移送されたその太古の魔術師の魔力を封じた大量破壊兵器と目される巨大魔石が強奪されたのだという。
「……レイ、スパイがお前の目を潜り抜けられるわけがない。泳がせたのか?」
「……いや、勘弁してよ。俺だって四六時中見てられないし」
司令官の追求に対して、レイは降参とばかりに両手を広げて抗議した。
「現在、ルクスノヴァにより衛星の軌道投入準備が進められています。これは、そうですね……とても高い空の上から前線基地含めた地上を見られるようになります。これは司令本部地下でステラーに運用させる予定なので、例えば怪しい人物が出ていくのを発見したり、司令官が外でサボっているのをアリシアさんが探す場合は声をかけてもらえれば捜索しますよ」
「なんだと……!?そんなの俺の自由だろう」
「司令官、最近はだいぶ人手不足も解消してきたので言ってもらえればサボる時間くらい作れますから!」
「……それはサボるとは言わないぞ、アリシア」
一瞬不穏な空気になった司令官室だったが、アーデルハイトによって司令官とアリシアがいつも通りのやり取りをすることで空気が和らいだ。
現在は準備中の監視衛星と通信衛星が完成すれば、衛星通信なども可能となり、さらなる情報収集網の確立が可能になるはずだ。
そうなればルクスノヴァのスマホなしでもメロペーやステラーの戦術ネットワークが構築されることになるだろう。
「……でもさ、あらゆる知識に精通したエアリエルですら封印にそれほど時間がかかるレベルの太古の魔導兵器だぞ?エアリエルでそうなら持ち帰ったところですぐに分析は不可能じゃないか……?それに、ペルディオンで暴走しても前線基地に被害が出る範囲ではないし」
「……まぁそれはそうだが」
司令官もこの点は理解しているようだった。
そもそも太古の魔導兵器とやらを大穴から盗み出した結果、ペルディオンで暴走しようが自業自得なのである。
仮に暴走して首都が滅びようと、前線基地にまで到達することはない……はずだ。
「その気持ちは分かるわ。ただ、レイさん。今回はちょっと問題があるのよね」
そこに何故かこの場にいたルディアが口を挟む。
「この巨大魔石が運ばれた先、ペルディオン魔導兵器研究所の所長は結構な危険人物なの。彼なら最低限調査したらすぐさま使うわ。目標は、エルドラーナ共和国首都か、ミレスガルド王国首都……。今は休戦中だけれど、三大国は本来大穴がなければすぐにでも戦争が再開するくらい仲が悪いから、まぁ使うでしょうね」
「……ルディア、なんでそんなことを知っている?」
「フフフ、いい女には秘密がたくさんあるんですよ」
まるで見てきたかのように告げるルディア。
実際、彼女が知っている以上、なにかしらの情報源を持っているのだろう。
未だ謎多きルディアに深入りはできない。
「……アーデルハイトは?」
「こちらも同感です。ルクスノヴァによる追跡の結果、対象物はペルディオン魔導兵器研究所に輸送されたことは確認しています。ルクスノヴァによる調査によれば所長は確かに過激思想の持ち主のようです」
「ああ、くそ……やるしかないのか」
一瞬、司令官にはペルディオンの外交役であるフェリシオーネの顔が浮かんだが、アイツはないなと切り捨てた。
皇族三姉妹の次女、ペルディオンを統べる魔導女皇の妹でありながら外交の駆け引きが下手くそで、三大国会議では圧倒的魔力を武器にペルディオン外交役の代表を務めている彼女は、どうせ知らされていないだろう。
それに、太古の魔導兵器とやらがどのような原理なのかまだ何もわからないのだ。
分かっているのは封印が緩んだだけでも、今ではあまり見なくなった古い術式の魔力により近付いただけで昏倒するというだけ。
それが本当に首都を吹き飛ばすことができるものなのか、あるいはもっと大きな範囲を焼き尽くせるのか。
そんな不確かなモノを使うより、フェリシオーネ自身が国境線を超えて相手の首都方面に移動するだけでほとんど同じかそれ以上の示威効果を期待できる。
あの魔導女皇も同様に、妹を動かせばわざわざこんなモノを動かす必要もない。
つまり、この強奪は魔導兵器研究所の所長が勝手に判断したのだ。
ペルディオンの内情にそれなりに詳しいエアリエルも無言で首肯した。
「仕方がない。レイ、アーデルハイト。元々この世界のモノではあるが、異物は異物だ。魔導兵器を回収するよう指示する」
司令官は苦虫を潰したような表情をしたものの、重々しく告げた。
「ペルディオン魔導兵器研究所を強襲。対象物を奪還しろ。お前たちであれば容易いはずだ。ただし、これだけは忘れるな。無理はするな。そして、必ず全員生きて帰ってこい」
「分かっています」
「……それと。アヤメを呼んでくれ」
一際重い溜息を吐いた司令官が、何かを決意した顔で言った。
傍に控えていたエアリエルが静かに退室していく。
祖国の所業に思うところがあった彼女は、この話を最初から聞いていなかったことにしたのだ。
こうして、前線基地司令官命令により、太古の魔導兵器の使用阻止作戦が決定された。
「殺したい奴がいる。そう伝えればわかる」
*****
ペルディオンの某所。
皇族も住む都から遠く離れた地にある研究所。
研究所正面には大きな湖があり、周辺は鬱蒼とした森が広がりつつも貨物馬車が通りやすいようにしっかりと舗装された道路が都まで続いていた。
それがペルディオン魔導兵器研究所であった。*9
「なるほどな。やはり『コレ』だったか……!」
ペルディオン魔導兵器研究所を束ねる所長は笑みを浮かべた。
大穴に探索者として派遣したスパイに盗み出させた巨大魔石。
元々の名前は失われていたが、この魔石には膨大な魔力が籠っている。
ペルディオン魔法図書館長エアリエルの報告によれば『神話の時代に太古の魔術師によって作り出された兵器』らしい。
これは使える。
そう考えた所長は研究員と魔術師たちに一応その魔石を解析するよう命令を出していた。
「フン、魔導女皇陛下の意向など知らぬ。我が魔導兵器研究所の目的は戦争だ。魔導女皇陛下などいつまでその玉座に君臨できるか。所詮は戦争に勝たなければ意味などないのだよ」
痩せたエルフの男性である所長は鼻で笑う。
その瞳には狂気の光が宿っていた。
彼の専攻は魔法図書館にも所蔵されないような神話の時代の兵器だった。
だから、封印が緩んだところに近付いただけで数十人が昏倒したというエアリエルの報告書を見てそれが何であるかピンときた。
そして、彼だからこそこれの適切な使い方が分かる。
「兵器とは使わなければ意味などない。使われずに
戦乱の世には兵器が必要だ。
そして兵器の発展には戦乱が必要だ。
だが、最近の三大国は休戦協定などとくだらない真似をして停滞している。
この魔導兵器を使えばそんな平和に飽きた人々の熱狂を煽るきっかけくらいにはなるだろう。
厄災?
そんなものは前線基地にでも任せればいい。
そのためにあるのだから。
「これはチャンスだ」
所長は拳を握り締めた。
これから自分が行うことの重大さが分かっている。
だが、それでも構わないと思った。
そう、所長は覇権主義者なのだ。
それも、ペルディオン皇国同様に勝利と生存のためなら手段を選ばないタイプの。
ペルディオン魔導兵器研究所の所長にとって、平和とは戦争をする理由を作るための前座に過ぎない。
ペルディオン魔導兵器研究所の所長は野心に燃えていた。
そして同時に恐怖も感じていた。
なぜならば、彼には自信があったからだ。
自分ならばできる、できてしまうという自信が。
「──私は選ばれたエルフなのだ」
*****
コードネーム、アヤメ。
現在は前線基地に身を寄せ、凄腕暗殺者でありながら本職として事務員もやっている彼女は愛銃たるロングバレルのリボルバーを磨いている。
慣れない環境にもかかわらず全くの平常心を崩していないアヤメ。
現在アヤメは、彼女に同行するメロペー2号機に背後から抱き締められながら指定ポイントへの降下を完遂した直後であった。
ここまで飛んできたレイによって魔導兵器研究所からやや離れた高空に直接テレポートしたアヤメ含む14名は自由落下し、エレクトラ同様飛行機能を持つメロペー以外は地表付近でルクスノヴァではおなじみのスカイホッパーで姿勢制御しながら接地した。
「さて、そろそろでしょうか」
アヤメの言葉と同時、量産型アンドロイド『ステラー』がメロペー2号機の異空間収納魔法から取り出した装備を整え終わった。
そこは、ペルディオン魔導兵器研究所にほど近い鬱蒼とした森の中だった。
研究所正面は大きな湖で視界が開けており、厳重な警備の中、正面入口とその周囲には精鋭の魔法使いが揃う。
中央には大きな鐘楼があり、敷地内にはいくつもの塔がそびえ立ち、主要研究区画は厚い岩盤に隔てられた地下に隠されている。
ペルディオン屈指の防御を誇る施設の警戒ラインギリギリまで接近できたのだ。
「では皆さん、作戦開始といきましょう」
アヤメは愛銃を腰に装着すると、仲間たちの方を振り向いた。
彼女のそばにいるのは青白い髪色に赤い瞳でエレクトラと同形状の光の翼を生やした高性能アンドロイド『メロペー』2号機と彼女の指揮下にある量産型アンドロイドのステラー12名。
いずれもブラックカラーに統一されたパワードスーツを身に纏っており、赤いツインアイの淡い光がアヤメを見つめ返す。
同様にアヤメも今日は普段の前線基地での装いと異なり、艶やかな黒髪にヘルメットと眼球保護のゴーグル、対BC兵器機能付き装甲マスクを装着し、普段使い慣れないボディアーマーやグローブにブーツといったこの世界には全く似つかわしくない、いかにも特殊部隊然とした装備を身につけていた。
「少々お待ちください。友軍の支援攻撃が始まります。──『アサシン』は配置についた。始めましょう、予定通りに」
メロペー2号機からスマホ通話アプリを通じて開始連絡が飛ぶ。
すぐさま遥か遠くで飛翔する3番機から12番機までのメロペーとエレクトラが対地攻撃の配置についた。
湖の対岸では森に潜んでいたステラーが各々事前にメロペー各機の異空間収納魔法から受け取っていた携行型大口径キャノンや6連装MLRSに高出力レーザーマシンガンを抱えた機械化歩兵として一斉に展開、構える。
これに空中のメロペーから対地ロケットポッドに大口径レーザー砲の攻撃が加われば、ペルディオン中央魔導研究所の地下区画への侵入も容易になるだろう。
「了解。作戦開始ですね」
アヤメの言葉と同時、森を切り開いて建てられた魔導兵器研究所へと機械のように精密な同時弾着射撃で大口径砲弾とロケット弾が着弾し、大地を揺るがし轟音が鳴り響く。
同時に湖上の空を駆けるメロペーが、突然の奇襲攻撃へ魔力障壁を展開しようとした精鋭魔法使いに対して大口径レーザー砲からの光で撫でるように照射すれば、強固な魔力障壁を張ることもできずにその身体を蒸発させていく。
その勢いのまま、大口径レーザー砲の極太レーザーが研究所の上部構造物を削り、消し飛ばした。
一瞬で地獄絵図と化した研究所。
更に肉眼では視認できないような高高度に待機していたエレクトラがレーザーガトリングの代わりに携えたレールガンを投射し、毎分800発の徹甲弾が振り注いでいく。
「少々荒っぽいですが、先に仕掛けたのはあなた方ですから」
愛銃を片手に、アヤメはメロペー2号機やステラー達とともに煙を上げるペルディオン魔導兵器研究所へと白昼堂々潜入を開始した。
一方で湖の対岸、森のさらに奥。
完全武装のステラー1個中隊12名を歩哨に立たせた指揮車が『作戦本部』として稼働していた。
中には『メロペー』1号機に、他にも通信士や操縦士など、メロペー1号機のサポートを担当するステラーが数名ほど。
それと上空にいるが、いわゆる電子戦機であるメロペー13号機もだ。
『こちらメロペー13。敷地内への魔法ジャミング継続中。完了予定時間まで2時間』
『こちらステラー第3大隊。魔導兵器研究所へのMLRSによる面制圧が完了。スカイホッパーにて接近し、引き続き残存構造物へのキャノンによる攻撃を継続しつつ地上を制圧する』
『こちらステラー第2大隊。よく見なさい。構造物、残っているか?』
『こちらステラー第3大隊。訂正する。そのまま地上制圧を開始。1個連隊は多すぎたのでは?』
「私語は慎んでください。司令官からは全員生きて帰ってこいとの命令が出ています」
『こちらステラー第1大隊。地下区画への侵入を開始』
「こちらメロペー1。今作戦に我々の関与の証拠を残すわけにはいかない。非戦闘員への無条件発砲を許可する」
『こちらステラー第2大隊。了解。スカイホッパー起動。突撃』
ほぼ同時刻、レイが近隣のペルディオン軍拠点への襲撃を開始しており、中央魔導研究所への増援が現れることはない。
近隣ペルディオン軍駐屯地のど真ん中まで怪しまれず浸透したレイが、以前司令官が鬼ヶ島まで向かって回収してきたあのモンスターを呼び寄せるクリスタル*10から作られた魔道具を起動させていた。
魔導兵器研究所が爆発に包まれた頃には、この駐屯地にはモンスターの津波が目視距離まで押し寄せつつあった。
『ルクス、作戦第1段階完了』
そこに遥か遠くからメロペー1号機のスマホへとアーデルハイトの声が聞こえてくる。
『メロペー13号機、魔法ジャミングはどうですか?』
『はい、お母様。問題なく稼働しています。魔法による反撃は確認できません』
『なるほど。こちらの世界の魔法については前線基地でたくさんデータが取れましたので魔法発動メカニズムは解析完了しています。もちろん、妨害方法も。どうやら問題なかったようですね』
突如始まった、厄災襲来以降ではペルディオン史上最悪ともいえる魔導研究所襲撃。
その全てが始まった。
*****
ペルディオン魔導兵器研究所内部は混乱の極みだった。
突然の大規模襲撃は研究所全域に被害を与え、外部への魔法連絡は通じず、混乱する職員たちは右往左往する。
それだけではない。
何者かが施設に侵入したことを示す警報が鳴り響き、職員たちにさらなる恐怖を与えた。
地下にいた彼ら職員の多くは戦闘訓練など受けておらず、混乱の極みにあった。
「敵襲!?一体どこから来たのだ!」
「魔法連絡が遮断されています。外部と連絡できません!」
「第3警備室、応答しろ!」
「何故魔法が使えない!?どうなっているんだ!」
「使えないものは仕方がないだろ!総員、抜剣!」
「第2層の軍用
焦燥感に駆られた職員たちは地下で慌ただしく動き回るが、すでに地上はほぼ制圧され終わっていた。
『魔導兵器研究所にて敵勢力の襲撃!繰り返す、敵勢力の襲撃!』
魔導連絡機による警報が響き渡るが、メロペー13号機によりそれらが研究所内からペルディオン国内へ共有されることはない。
そんな中、研究所地下区画へ降りてくるためのメイン魔導エレベーターを情報不十分なまま守備し続けるたった1人の警備兵がいた。
侵入警報が鳴っていることはもちろん理解していたが、侵入場所の情報はなく、ここから動くわけにもいかない。
「いったい何が起こってるんだ……!?」
地下まで揺れる状況下、彼は慣れない銃を抱えたまま忙しなく視線をあちらこちらに巡らせている。
ペルディオンで近年採用され始めたばかりの拳銃。
本来であれば魔法の使用が出来ない環境下で使う想定の銃だが、今はただ不安と恐怖しか感じられなかった。
しかも魔導研究所の防護魔法システムも機能していない状況だ。
彼は新人で、警備厳重な魔導研究所のここまで侵入者が現れるなんて想定しておらず、戦闘経験もほとんどない。
こんな状況に対処する能力など持ち合わせていなかった。
──メイン魔導エレベーターを背にした彼の背後に、姿勢を低くしていたアヤメが無音で立ち上がった。
「……っ!?」
警備兵の口元がアヤメの耐刃グローブに包まれた手に塞がれた。
警備兵が目を見開き抵抗するより早く、アヤメは背後から心臓をナイフで貫く。
呻き声ひとつ漏らすことなく男は即死した。
つま先立ちにさせられた警備兵の身体が痙攣して血が滴り、力が抜けるのを感じる。
アヤメの耳に、警備兵の心臓から血液が溢れ、ゆっくりと息が抜ける微細な音が届いた。
それと同時にメイン魔導エレベーターの大きなシャッターがブザー音と共にゆっくりと上がっていく。
そこには、完全武装で黒いパワードスーツに身を包んだステラー第1中隊12名と空中に浮遊するメロペー2号機から5号機の4名がいた。
この瞬間、ペルディオン魔導兵器研究所は史上初にして最後となる正面突破を許した。
「おい、誰が降りてきた?おい……!?」
「な……っ!?」
近くの警備室にいた警備兵3名が事態を把握するより早く特徴的な火薬銃の発砲音が2回響き、一瞬遅れて高出力レーザーマシンガンの光で薙ぎ払われる。
警備室に大口径砲弾が直撃して風穴を空け、直後大爆発が引き起こされた。
「いけませんよ、私より判断が遅いなんて。高性能あんどろいど、なのでしょう?」
アヤメが背中に刺したままのナイフを引き抜くと、絶命した警備兵が地面に倒れる。
それを一瞥もすることなく、メロペーとステラーたちに向き直るアヤメ。
肉が焼け焦げ、金属と瓦礫が混ざり合う臭いが鼻腔を刺す。
警備兵たちの死体が地面に転がる中、メイン魔導エレベーターからはさらなる武装した黒いパワードスーツの人影が無言で続々と降りてきた。
ステラー第1大隊集結を待つことなく、アヤメは艶消しされた愛銃の回転式弾倉に給弾しながらステラーたちに背を向け歩き出す。
その足元では血溜まりが広がりつつあった。
「急ぎましょう、皆さん。でも見逃しがないように。ここは敵地なのですから。ここにいる全員、一人たりとも生かして返すわけにはいきません。──お掃除、始めましょうか」
その言葉と共に、黒いパワードスーツのステラーたちは一斉に高出力レーザーマシンガンを携えたまま、抜群の安定性で無感情な赤いツインアイの淡い光を揺らすことなく時速40キロで走り出す。
同時に反対側の大型搬入エレベーターからエレクトラが合流したステラー第2大隊が地下区画への侵入を開始した。
「私は研究所の地下第2層へ向かいます」
「私たちも同行します」
アヤメ、メロペー2号機、3号機。
それに加えてステラー1個中隊12名が後を続く。
彼女らの冷たい視線が周囲を捉え、残存する抵抗を容赦なく排除していく。
扉を開ければ素早くグレネード弾が放り込まれ、爆発直後の悪化した視界を苦にせずレーザーの掃射が撃ち込まれる。
モード切替でレーザーマシンガンが光に包まれると一瞬でレーザーショットガンに切り替わり、魔法剣での肉薄を選んだ魔法剣士が距離を詰めるより早く、その胴体は消し飛んだ。
既に抵抗する気を失い、震えて座り込む研究員に向け、メロペー5号機が無感情に指先からレイの世界の魔法であるレーザーカッターを向けて無慈悲に脳天を貫く。
研究員は音もなくその場に崩れ落ち、絶命した。
その床に落ちた涙の跡さえも、瞬時に乾いた。
「くそ、こっちにも敵だと!?」
「撃て、殺せ!」
数少ない生き残りの警備兵が警告の大声を上げる。
警備兵たちは拳銃を乱射し、エネルギーシールドに阻まれれば銃を捨てて抜剣するとアヤメたちに迫ってくる。
だが精強な魔法剣士だったのだろう彼らも、魔法を使えない状況下でアヤメに立ち向かうのは分が悪かった。
アヤメがその警備兵たちを見据え、冷静に愛銃を構える。
「無駄ですよ」
その瞬間、アヤメの銃が特徴的な銃声とともに火を噴き、一人目の警備兵が頭を撃ち抜かれて倒れた。
その後ろを走っていた二人目もアヤメが放ったもう一発の銃弾で胸を貫かれ、その場に崩れ落ちる。
「こ……この特徴的な銃声……!まさか、お前は……!?」
その血が噴き出す胸を踏みつけ、アヤメは頭部にもう一発撃ち込んだ。
「どこかでお会いしましたか?でも、さようなら」
マナ反応式火炎放射器を担いだメロペー4号機が第1層中央区画の最後に残したポイントである研究員緊急避難所の隔壁を破り、灼熱の業火を撒き散らす。
老若男女に人間エルフの区別なく平等に煉獄への旅路へと送り出していった。
「作戦予定通り、最終目標は地下第2層にて厳重保管されている太古の魔導兵器」
メロペー2号機の落ち着いた声が静かに響いた。
魔導研究所の奥深くには、司令官とエアリエルが封印した古代魔術師の魔力を込めた巨大な魔石が安置されている。
その魔石を再び奪還し、前線基地で無効化、解体することが彼女たちの最重要任務だった。
「目標確保後は直ちに撤退します。──予定通りに行きましょう」
その言葉に従い、アヤメとステラーたちも一瞬の迷いもなく行動する。
彼女たちの足取りは軽やかでありながらも、殺気と冷静さに満ちており、その一歩一歩が周囲の空気を緊張させた。
そんな中で。
第2層から、騎士鎧を纏い大剣を携えた軍用
心臓の代わりに高出力の魔導炉を持ち、強固な外殻と人間を上回る怪力を併せ持つ、いかにも性能第一な外観のオートマタだった。
これがペルディオン軍オートマタ部隊所属であれば、魔導女皇が率いるに相応しいとして女性型軍用オートマタが採用されることが多い。
特注のワンオフならば、極めて精巧な思考も感情も人間と同じ機能を備えている美少女オートマタもいるだろう。*11
だがこの魔導兵器研究所は実験施設という性格上、ここにいるのはミレスガルドの騎士を模した外装と兵装を持たせた標的機として運用される、心も感情も持たない量産型軍用オートマタである。
戦乱の世では必須の消耗品だ。
《侵入者を、確認。排除。排除。排除》
「ペルディオンのオートマタを確認。排除します」
ステラーの携行型大口径キャノンから放たれた砲弾に凄まじい風圧を伴った大剣が振るわれ、砲弾が真っ二つに切り裂かれる。
「邪魔です」
その言葉と共に、アヤメは愛銃のトリガーを連続で引く。
大剣が振り切られたその一瞬の隙を突いて放たれた4発の弾丸は、弱点のひとつであるオートマタの首に埋め込まれた魔導神経を破壊した。
本来なら拳銃に貫かれるような装甲厚ではなかったが、
構造と機能を人間に寄せられたオートマタの特徴のせいで首から下に信号が届かなくなり、沈黙。
事実上、瞬きのうちに死を迎えた。
残りの3体も正面から接近しては射程の差を埋められず、ステラー12人のレーザーマシンガンやモード切替で現れたスナイパーライフルとショットガンの斉射により最終的には無惨な姿で転がった。
その間にアヤメが無力化したオートマタの魔導炉が全力稼働を開始したため、レーザーショットガンで自爆シークエンスごと胸部が消し飛ばされる。
その残骸には、既に生命の欠片も残っていなかった。
「さぁ、進みましょうか」
『こちらメロペー4。地下1層制圧完了。非戦闘員及び抵抗勢力は全て排除しました』
『了解しました。第3大隊はそのまま地上にて退路の確保。第2大隊は後詰めを。第1大隊は第2層突入せよ』
アヤメの冷たく響き渡った声に押されるように、彼女を追ってメロペー2号機と3号機、それに続いてステラーたちは先へと進んだ。
*****
「オートマタ部隊、魔導炉反応喪失!」
「第1層緊急時用避難所、生体魔導反応消失!せ、生存者なし……!」
「第2層に侵入者!第1隔壁反応消失!」
「第2隔壁警備班、反応消失!」
「脱出ルート、既にありません……!」
「何が起きている……!?」
「敵襲です!地上で爆発が起きてから、外部への魔導通信が使えなくなりました!」
ペルディオン魔導兵器研究所の第2層。
そこにこの施設の最高責任者である所長のエルフがいた。
彼はその痩せた体を震わせながら、目の前の惨状を目にしていた。
「そんなことは分かっている!一体どこからこんな……!?」
第2層にいたのは研究者、軍用オートマタに警備兵など少数だったが、彼等は侵入者たちによって次々と制圧されつつある。
彼は目の前の状況に理解が追い付かない。
彼が知る限り、この世界にはこのような大規模な組織的行動ができる者は存在しない。
エルドラーナやミレスガルドでさえ、このような一方的な殺戮にはならない。
「せっかく手に入れた古代魔法の魔石だぞ!どうにかしてどこかへ……」
「……へぇ、どこへだい?」
エルフの所長の背後から、死神のような声が聞こえた。
この場の誰もが知らない、男の声。
それは所長に恐怖を植え付けるには十分だった。
「ひぃ……!?」
振り向く暇もなく、所長は急に意識が朦朧とし始めた。
「『動くな』よ、もう少しゆっくり話をしようじゃないか」
先程から機密資料を処分していたはずの研究員が幻影を解除したことで姿を変え、銀髪に青い瞳の青年に戻る。
生身のレイは温度のない瞳でペルディオン魔導兵器研究所所長を正面から見据えると、彼に言い聞かせるように告げた。
「ペルディオン魔導兵器研究所に異常なし。いいな?」
「ペルディオン魔導兵器研究所に異常なし」
「全警報を解除しろ」
「おい、全警報を解除しろ!」
レイの言葉に所長は何の疑問もなく命令を下し、同じ状態の研究員によって全ての警報が消え失せた。
それを受け、レイが手短に作戦の最終段階を開始した。
「俺は今、ペルディオン魔導兵器研究所の最高権限を持つ。そうだな?」
「そうです。あなた様にはこの魔導兵器研究所において全権限が与えられます」
「……助かるよ。手間が省けた」
レイは薄く笑みを浮かべ、所長以外の研究員たちを始末しては異空間収納魔法にしまい込んでいく。
「さて、大穴からここに強奪されてきた代物を、見せてくれないか?」
「お望みならばご案内いたします」
「ああ、頼む」
所長は魔石保管区画の最奥、厳重にロックされた扉を自ら開錠していく。
そこには厳重に保管されていた例の巨大魔石があり、レイはそれを異空間収納魔法へとしまい込んだ。
後日、この巨大魔石は解体されることとなる。
代わりに気化爆弾を設置し、タイマーを起動した。
「ルクスより
『了解。全員脱出せよ。逃げ遅れた場合、回収はできない』
通信を終えたレイが、背後からわざと音を立てて近付いてきた足音に振り向くことなく声をかけた。
「アヤメ。お疲れ様。終わったよ」
「お待たせしました。では、帰りましょうか」
アヤメが今回の元凶たる所長の頭蓋を愛銃で撃ち抜き、過激思想と叡智が詰まったその中身を冷たい床にぶちまけた。
その死体もレイが異空間収納魔法に収納する。
資源になるからだ。
「──その前に」
生身のレイ、その背中に銃口が押し付けられた。
空気が張り詰め、沈黙が場を支配する。
「……何も反応しないのですね」
「見なくてもトリガーに指をかけてないことも殺意がないのもわかるよ」
アヤメが愛銃を下げ、嫣然たる笑みを浮かべた。
「──覚えておいてください。あなたが司令官様の敵に回ったとき、私は必ずあなたを殺します」
暗殺者のアヤメには、相手の弱い場所が分かる。
だがレイは銃口を突き付けられてなお、微塵も隙を見せることはなかった。
……いや、司令官のよりも大きいものがめちゃくちゃ勃起していることは分かるが、それは事前調査により彼が魔力を使った際の体質によるものだと分かっている。
「俺を殺せたら、でしょ」
レイが振り返り、アヤメを見据えた。
その瞳に宿る冷たさは、普段の彼からは想像もできないものだった。
レイも読心魔法で相手の思考や意識が向いた先から先読みできる。
暗殺者と潜入工作員。
そのどちらもが、互いがいつ殺してもおかしくない距離にありながら、無防備さを一切感じさせないまま見つめあった。
「そうですね。それでも……いつかあなたの弱点を必ず見つけ出してみせます」
アヤメの瞳に宿る強い意志を見て、レイは再び笑みを浮かべる。
「楽しみにしているよ。まぁ、俺が司令官の敵に回ることはないけどね」
テレポートで周囲の風景が変わる。
エレベーターの扉が開くと、そこにはまだ武装したままのエレクトラとメロペーたちが整列して待機していた。
「アヤメの発言には誤りがあります。アヤメが
「あら……あなたは司令官様の側だと思っていたのですが」
「
レイかエレクトラの指示1つで射撃開始する感情のない瞳たちが、パワードスーツ越しに先程ご主人様に銃を向けたアヤメを見ている。
ステラーたちは既に指揮車が待つ集結ポイントへと離脱を開始していた。
「行きましょう、レイさん」
アヤメが一言だけ言った。
その言葉に応えるように、レイも彼女と歩き出した。
「そうだね」
しばらくの後、レイが設置した気化爆弾が炸裂した。
気化爆弾は一瞬の閃光と共に周囲のありとあらゆるものを焼却し、分子結合を崩壊させて気化させ……ペルディオン魔導兵器研究所があった場所には、巨大なクレーターによって広がった湖だけが残されていた。
*****
「それでおにーちゃん、珍しくそのアヤメさんを抱かなかったんだね」
「そうだね。まぁ、ああいう人が司令官に必要だし。いざとなったら本当に俺を止めてくれるかもだから」
エルドラーナ共和国のとある漁村に近い砂浜の海辺。
アウラからエルドラーナ領内の異常な温度上昇の調査依頼が来ていて、今レイにヒマリたちは水着に着替えてそこでキャンプを張りながら過ごしている。
こちらから送った連絡についさっき前線基地からの返事が帰ってきて、この異常気象は大穴から出てこない『猛暑の厄災』によるスタンピードだと知らされたところだった。
準備次第、司令官も雷魔法剣士イライザを含めた本隊でこちらに来るらしい。
2人は水着を着てビーチパラソルの下で寝そべりながら、波打ち際でスイカを追いかけ回すクルルやエレクトラたちを眺めていた。
2人の傍らには見事な大きさのスイカが割られている。
暫定呼称『悪魔のスイカ』。
開いた傷からは碧色の光が単眼のように輝き、ちっこい両手には大鎌を握っている魔物だ。
見た目同様に戦闘能力もなかなかあって危険な魔物だが、割った中身はとっても甘くてジューシーだ。
いくつかミルティーユのお店に持っていこう。
「そっかぁ……でもそのアヤメさん、おにーちゃんのこと信用してるね」
「そう?」
「そう。お互いに命を預けられるくらいには。だって、あの作戦は最初からおにーちゃんの魔法ありきだもん。おにーちゃんの機嫌次第では敵のど真ん中にアヤメさんだけ出せたんだから……」
最初の作戦開始から既に高空へのテレポートによるこの世界初の空挺降下による奇襲なんて無茶振りから始まり、離脱もレイが迎えに来て研究所ごと周囲を吹き飛ばす爆弾を仕掛けた上でのレイのテレポート離脱だ。
「……確かに。そう言われると、確かにそうかも」
ヒマリに指摘されてレイが頷くと、ヒマリはスイカを食べながらニコニコと笑った。
レイは優しくお嫁さんのヒマリを抱き締める。
アヤメが言っていた、レイの弱点。
それが元は令和日本の学生に過ぎなかったヒマリであることは、前線基地の誰の目にも明らかだった。
レイは最愛の伴侶であるヒマリのためなら、世界を敵に回すだろう。
「ヒマリは俺が守るよ」
「嬉しい……。うん、信じてる。おにーちゃん大好き」
互いに見つめ合って微笑み合い、どちらからともなく唇を重ねた。
レイの逞しい腕がヒマリの華奢な肩を抱き寄せ、その温もりが2人を包み込む。
「でも、そうならないようにわたしも頑張るよ?」
そう言いながら、ヒマリは再びレイの唇へとキスを落とした。
波音が心地良い。
砂浜には二人の姿が重なっていた。
「んぅ……んふぅ、おにーちゃん……♡」
ビーチパラソルの下で行われる秘密の時間。
ヒマリの水着はとても可愛らしいが、戦闘で動くとすぐに色々ズレてしまい、ほとんど裸同然になってしまう。
豊満な乳房に瑞々しい肌。
股間は愛する旦那様に求められると、すぐに蕩けた膣内から大量の愛液を分泌し始める。
旦那様を自分の膣内へと招き入れる準備は万端だった。
「ん……はぁ……あん……♡」
舌を絡ませ合う濃厚な口づけの音が響く中、レイの手がヒマリの身体を這い回る。
その大きな手のひらでヒマリの大きな胸を揉みしだくと、甘い吐息が漏れた。
「やっ……♡ おにーちゃん、くすぐったいよぉ……♡」
お返しにヒマリもこの世界に来てから覚えた妖艶な笑みを浮かべながら、水着の上からでもわかるほどに主張するレイの剛直に手を伸ばした。
「あっ……♡ だめぇ……♡」
レイの指先がヒマリの敏感な部分に触れるたびに、ヒマリは身悶えする。
彼女の表情は蕩けきっていて、とても幸せそうだった。
「はぁ……♡」
ヒマリはレイの首に腕を回し、彼を求めた。
その潤んだ瞳に見つめられると、レイも興奮してしまう。
レイの唇がヒマリの耳元へと移動し、吐息と共に甘く囁いた。
「愛してるよ、ヒマリ」
「ん……わたしも♡」
ヒマリはそのままレイに淫らに組み敷かれ、レジャーシートに大きな乳房を擦り付ける形で可愛らしい顔を海側へと向けた。
「おにーちゃん……お願い……♡ もっと……♡」
レイは彼女の首筋を甘噛みし、そのまま強く吸うと白い肌に赤い花が咲いた。
そして、今度はヒマリの太腿を割り開く。
足の付け根にある割れ目は大量の愛液で濡れており、ヒクついていた。
「すごく濡れてるね……?」
「おにーちゃんのせいだもん……♡」
ヒマリは恥ずかしそうに顔を伏せながらも、自らその入口を開いて見せた。
そこは既に準備万端になっており、ヒクつく度に本気汁が垂れている。
レイはごくりと唾を飲み込んだ。
「ねぇ……欲しい……♡ 早く挿れて……♡」
ヒマリは切なげな声で懇願する。
レイはもう我慢できなかった。
レイの大きな手がヒマリのむっちりお尻を揉みしだくと、そのまま寝バックでお嫁さんの小さな穴の中へと入っていく。
「あっ♡♡ はぁ……♡♡ おにーちゃんのおっきいの、入ってる……♡♡♡」
その瞬間、彼女の全身が跳ね上がり甘い声で喘いだ。
硬くて熱いレイのものが膣内に入ってきた瞬間、ヒマリは全身を震わせた。
レイもまた、ヒマリの膣内の柔らかさと温かさに理性を溶かされそうになる。
レイのモノはいつも通りとても長くて太くて硬かったが、毎日の新婚セックスで慣れ親しんだヒマリのおまんこはむしろ嬉々としてレイの逞しいモノを受け入れた。
一番奥まで辿り着くと、子宮口が亀頭を舐めるように吸い付いてくる。
ビーチパラソルの下、新婚夫婦の身体がぴったりと密着した。
「あっ♡ すごっ♡♡ おにーちゃんのぉ♡♡ わたしのおまんこの中全部入ってる……♡♡♡ いっぱいだよぉ♡♡♡」
ヒマリの子宮口を押し潰す程の長さを誇るレイの巨根はすんなりヒマリの子宮口を押し上げ、これ以上ない程に密着してヒマリのお腹の中で存在感を主張する。
ヒマリのお腹の中はすっかりレイの形になってしまい、そのサイズ感に慣れてしまったのかむしろ心地良さを感じていた。
毎日旦那様のモノで押し上げられて、旦那様の為に下がった子宮はすぐに頭を真っ白にされちゃう彼専用の特大の弱点に調教されてしまっている。
女の子しかいないサンクチュエール女学院の生徒だったヒマリの身体は、今やもう異世界で出会った旦那様の大きな男性器に躾けられて、完全にお嫁さんとしての役割を果たすようになってしまっていた。
「ヒマリ、可愛いよ……愛してる」
「あんっ……♡♡ わたしもだよ……おにーちゃん♡♡ ずっと一緒にいようね……♡♡ ず~っと一緒だよ……♡♡」
ヒマリは今度は自分の意思でその子宮口に、旦那様の先端を擦り付けるようにお尻を動かし始めた。
乳首もクリもレジャーシートに押し付けて気持ち良くなることを覚えた淫靡な肉体が、汗で濡れて妖艶な輝きを放っている。
レイにいっぱい弄られて、旦那様を求めて淫らに踊るヒマリの身体は前よりもずっといやらしくなった。
ヒマリの桃尻とレイの腰がぶつかり合うたびに、淫靡な水音が響く。
ぶっとい旦那様おちんぽに拡げられた割れ目から、ぶっしゃぁぁぁ……♡と、透明な液体が噴き出す。
結合部からは泡立った本気汁が溢れ出てきていた。
子宮口でぐりゅん♡ぐりぐり♡とレイの先端を舐めるように擦りつけながら、ヒマリはレジャーシートに何度も何度もイキ潮をぶっかける。
それは彼女が感じている証拠であり、同時にレイに対する求愛行為でもあった。
「んっ♡ んん~♡♡♡ あっ、ダメ……♡♡ 奥すごい……♡♡ これ気持ち良い……♡♡♡ 外でえっちするの、癖になっちゃいそう……♡♡♡」
ヒマリの声はもう完全に蕩けていた。
レイはヒマリのGスポットをカリ首で抉りながら、ポルチオを何度も何度も押し潰していく。
ビーチパラソルの下という解放感と、野外でえっちなことをしているという背徳感でいつも以上に感じてしまうヒマリ。
そしてそんな彼女が可愛くて仕方がないレイは更に腰の動きを加速させていく。
パンッパンッと肉同士がぶつかり合う音が響き渡り、その音に合わせてヒマリの嬌声もどんどん大きくなっていった。
「あ、ダメ♡ イクっ♡♡♡ おにーちゃんのザーメンで種付けアクメしちゃう♡♡♡」
「ヒマリ、射精すよ!」
ヒマリはビクビクと身体を痙攣させながら絶頂を迎えた。
それと同時に膣内が激しく蠢き、レイのモノを痛い程に締め付けた。
その快感に耐えきれず、レイも彼女の子宮に精液を流し込むように大量の射精をした。
「んぉ……♡♡♡ 熱いの出てる♡♡♡ 出て……♡ んぅっ♡♡♡ いっぱい♡♡♡ たくさん出てるぅ♡♡♡ んおぉ~~っ♡♡♡」
ヒマリはあまりの快楽に目の焦点が合わなくなり、熱い奔流が勢い良く放たれる感覚に舌を出して大きな声を上げて絶頂に達した。
レイもまた、最後の一滴まで彼女の子宮に注ぎ込もうと腰を押し付ける。
大量の精子がヒマリの子宮へと注ぎ込まれていき、子宮の中を満たしていく。
ヒマリのお嫁さん子宮は嬉しそうにそれを受け止め、ごくごくと旦那様の遺伝子を喉を鳴らすかのように飲んでいた。
「お゛ぉぉ……♡ おぉ……おっ♡♡ んぉ……♡♡♡」
いつも通りに膣奥と腟内にレイのザーメンを擦り込み塗り込むような執拗なザーメンマーキングを堪能しながら、ヒマリは快楽に身を委ねていた。
レイのもの全てが収まるのを待って、ようやく二人は繋がったまま余韻に浸る。
ヒマリは息も絶え絶えになりながらも、自分の膣内に出された大量の白濁液に酔い痴れていた。
旦那様にたくさんの赤ちゃんの素を直接子宮に流し込まれる最高の快楽。
その表情は完全に蕩けきっていて、とても幸せそうだった。
「はぁ……♡ ん……おにーちゃん♡ 大好き……♡ まだできる? もっといっぱい愛して欲しいな……♡」
その時、パシャリとシャッター音が響く。
ヒマリがゆっくりと顔を上げた先、そこにはスイカを蹴散らし終わったクルルと山ほど割れたスイカを抱えたエレクトラ、近くの漁村から新鮮な海産物を仕入れてきたマリナとちょっと後ろから覗き込むスティーラ、そしてカメラを構えた最近昇給したエメルダがいた。
みんな、発情したようなスケベ顔でレイとヒマリを見ている。
「あ……♡」
「あー!ヒマリ、レイのおちんぽハメてる!」
ヒマリはようやく、ビーチパラソルの下で、みんなに見られながらお嫁さんえっちしてしまっていたことに気付いた。
お腹の中におちんぽ挿れたまま、恥ずかしい写真撮られちゃった……♡
幸せいっぱいで気持ちよくアクメキメているお顔も、全部撮られちゃった……♡
「あ……♡♡ みんなに見られながら、おにーちゃんのおちんぽでおまんこずぽずぽされちゃった……♡♡♡」
恥ずかしがりつつもヒマリは嬉しそうにしていた。
レイもまた、満足げな表情で妻を抱き寄せる。
そんな様子を、クルルとエメルダたちが羨ましそうに見ていた。
「ヒマリちゃん、羨ましいなぁ……♡ あたしもレイくんにお腹の中まで掻き混ぜてほしいです……♡ あたしのおまんこ、レイくんのおちんぽハメてもらう準備万端なのに……♡」
そう言いながら、エメルダはヒマリの耳元へとしゃがみ込む。
ややだらしない肉体をレイの肉体にぴったりと寄せてアピールも欠かさない。
「安心してください♡ この写真は、レイくんとの絆の追憶持ってる人だけのヒミツにしますから……♡」
そのカメラには、間違いなくヒマリが未婚だったらとてもお嫁に行けなくなるような、とろとろの惚けた表情でイキまくって種付けされちゃうヒマリが映っていた。
エメルダはレイに聞こえるように、しっかりフィルムに収まったはずの写真を思い返しながら独り言のように呟く。
「やっぱりヒマリちゃんも、あんな顔するんですね……♡ 今日は外でレイくんのおちんぽハメてもらえてよかったですね♡ あんなトロ顔しちゃって♡ みんなの前でスケベな顔してましたよ♡ もう、レイくんと赤ちゃん作る準備万端って顔しちゃってたじゃないですか♡」
レイにはこれが、エメルダからの『この後、これから言ってることと同じ犯し方してください♡』の変態プレイ誘い受けのサインだと分かっている。
しかしそんなこと知らないヒマリは、記者として語彙が豊富なエメルダの言葉責めで大好きな旦那様の形に密着したおまんこ肉がぎゅぅぅ〜……っ♡と強烈に締まって、絶頂してしまっていた。
レジャーシートからまた、ぶしゃぁぁっ♡とヒマリの潮がぶっかけられる音が響く。
「あはっ、ヒマリちゃん、凄く気持ちよさそうな顔してますよ……♡ こんなの見せられたら、あたしも我慢できませんよ……♡ レイくんにズボズボしてもらいながら、エッチな写真撮られてみたいです♡♡♡」
「やっ……♡ エメルダさん言わないで……♡ おにーちゃんも……ん゛お゛ぉ♡♡♡」
レイの腰の動きが再開され、ヒマリはまた大きな声で喘ぎ始める。
エメルダの言葉に恥ずかしさで泣きそうになりつつも、ヒマリの身体は悦びに震えていた。
お嫁さんおまんこは旦那様の赤ちゃん作る準備万端です♡妊娠する気マンマンです♡って教え込むみたいにレイを締め付けて、子宮口がちゅうちゅうと亀頭に吸い付き媚びちゃう。
レイもその淫らな膣壁に刺激されて、一気に高みへと昇り詰めていった。
「あぁ……♡ すごい……♡ おにーちゃんのおちんぽ、大きくなってる……♡ また中に出してくれるんだ……♡ 嬉しい……♡ あはぁ……♡ エメルダさんに見られながら……みんなに見られながらイっちゃうぅ……♡♡♡」
レイのペニスは先ほど射精したばかりだというのに、もう限界だった。
ヒマリの子宮口を押し潰しながら射精したいと叫ぶかのように、ビクビク震えている。
ヒマリもそれを感じ取って、自分から腰を動かして彼のものを扱いていく。
ぱんっ♡ぱんっ♡ぱんっ♡と肉同士がぶつかる音が響くたびに、彼女の子宮口は彼の亀頭にキスをするように吸い付いていた。
その淫らな光景に、エメルダも股間を濡らす。
「あ……♡ ダメ、もうダメ♡ 見て、みんな見て♡ アクメイキするところ見てて♡♡ イっちゃう♡ イクとこ見られてイクぅ♡♡ あぁ♡ はぁん♡ あっ♡ だめ、すごいのくる♡ ダメぇっ♡ イグっ♡♡ イックぅぅ〜〜♡♡♡」
絶頂に達したヒマリは大きなアクメ声を叫びながら盛大に潮を噴き出す。
同時に子宮口に吸い付かれたレイも、今度こそありったけの精液を彼女の子宮へと流し込む。
みんなの前で、今まさに目の前でまた旦那様に子宮口を押し潰されるアクメ絶頂。
旦那様からお精子がドバドバ放出されながらの、ポルチオ腟内射精アクメ。
「あ゛ぁあ……♡♡♡ ダメ……♡♡ またイくぅ……♡♡♡」
もちろん、またパシャリとヒマリ最高の瞬間がフィルムに焼き付けられる。
みんなに見られながら、新婚夫婦の膣内射精。
ヒマリがこんな素敵な絶頂を迎えられたのも、大好きな旦那様レイがいてくれるから。
ヒマリは心の底から幸せを感じていた。
ビーチパラソルの下、最高のお嫁さんを手に入れたレイも同じように幸せを噛み締めていた。
エメルダが後ろに回り込み、しゃがんで寝バックでレジャーシートに押し付けられたヒマリの結合部をまたパシャリと撮影する。
勃起クリトリスをぐしょ濡れレジャーシートに押し付け、最愛の夫の巨根をずっぽし咥え込んだ結合部はぎゅっぎゅっ♡と締まり、膣奥からぶりゅりゅ……♡とザーメンを逆流させながらレジャーシートにまた潮を噴いて、とてもいやらしかった。
「あは……♡ ヒマリちゃん、レイくんとのお嫁さんえっち見られて感じちゃってますね♡ おちんぽからザーメン搾り取るみたいにおまんこ締め付けちゃって……♡ ほら見てください♡ おちんぽとおまんこが繋がってるところ、こんなにいやらしい音立ててますよ♡ イク時にぎゅうぅ〜……♡って強く締まって、きっとまたすぐにイっちゃうんですから……♡」
エメルダが囁くたびにヒマリはピクピクと反応し、ヒマリのおまんこ肉がまたレイのものを締め付けてしまう。
膣肉全体で旦那様を搾り取るような動きは、まるで子宮が直接『孕ませて♡』と言ってるみたいだった。
「ん゛ぉおぉおおぉお……♡♡♡」
ヒマリは顔を真っ赤に染め上げ、汗だくになった身体を震わせて痙攣しながらアクメを迎えていた。
「こら、エメルダ。やりすぎだよ」
レイの下でヒマリがビクビクと痙攣するのを見たエメルダが興奮してさらに責めようとしたのを、レイが優しく叱る。
しかし、ヒマリはもう既に幸せいっぱいの笑みを浮かべていて、お腹の奥にまだ注がれ続けている精子の感触を楽しんでいるようだった。
「えへへ……♡ でもほら、みんな期待してますから……♡ 流石にお嫁さんの順番は抜かせないので……」
エメルダの水着越しでもはっきり分かるほど濡れた秘部からは、濃厚な雌の匂いが漂ってくる。
エメルダだけではない。
マリナも、スティーラも牝の欲望を隠せずにいたし、実はまだレイと交尾したことがないクルルは興味津々でにじり寄ってくる。
エレクトラなんて発情モードを通り越してビーストプラグインを起動していた。
更には航空偵察中だったメロペー13号機まで青白い髪を潮風に揺らしながら着陸してきた。
メロペーは量産型エレクトラ故に、ほとんどエレクトラと性能が近い高性能セクサロイドとしての機能を保有している。
「話は聞きました。お兄様、我々メロペーは今日でなくとも構いませんが。ただ、近いうちに我々13人全員に種付けしてください」
「全員!?」
言うだけ言ってメロペー13号機はまた索敵へと飛翔した。
まだまだ日は高く、『猛暑の厄災』によるスタンピードと本格的に戦う司令官たちが来るまでに数日かかる。
そして、レイは絶倫だ。
発情した牝たちの唇から漏れる吐息は熱く、すでに発情しきっているのが分かる。
レイとレイの下に組み敷かれたままのヒマリを囲むように、それぞれがレイに群がっていく。
発情した牝たちの臭いを、爽やかな潮風が吹き抜けた。
1人のオスと6人の発情したメスがビーチパラソルの下に集まって、ただひたすらに淫蕩に耽る。
もちろんモンスターが来れば対応するけれど、そんな爛れた生活の始まりを告げる合図のようで、とても淫靡な光景だった。
「みんなで一緒に、レイさんに愛してもらいましょうね〜……♡」
その言葉と共にマリナの豊満な女体が背中から抱き着いてくる。
いつまでもこんな日々が続けばいいなと、レイは思わずにはいられなかった。
Q.もうこいつらだけでいいんじゃないかな
A.渦雷の厄災ってやつが天敵かもしれない
疲れきったシエナにアーデルハイトが囁く。
「えっ!?この計画の首謀者、私の名前になってるの!?」
何も知らないシエナの足元に埋められた、時限爆弾たちが彼女の平穏を打ち破る。
「無理よ〜!私、元はただの生徒会役員だったのに〜!」
「大丈夫だよシエナ。まだずっと先の話だから、ね?」
グランドフィナーレは目前。
万雷の拍手と共に幕を下ろす、カーテンコール寸前に滑り込んだ
次回、『シエナ、
彼女次第でグランドフィナーレはレクイエムに変わる。
これから考えるのでまだ1文字も書いてないですが、次回はドンパチもない普通のドットアビスの予定です。
シエナは普通に未プレイアブルキャラなので半ばオリキャラみたいになっても許してほしい。
今月中にだいたい書けなかったらこの話が最終回になります。