罰ゲームでサークルのアイドルである金髪碧眼の巨乳クォーターな先輩に告白したら、何故かOKされた上、その日のうちに『誘われて』しまったのですが??? 作:真喜屋五木路
オリジナル:現代/恋愛
タグ:R-18 男主人公 女子大生 先輩 女性リード 巨乳 金髪 膣内射精 パイズリ 手コキ ハッピーエンド
◆◆◆
大学一年生の佐原修司(さはらしゅうじ)は所属しているサークルの飲み会で、罰ゲームにより『サークルのアイドル』と評されるクオーターの金髪碧眼で巨乳の美女、月島叶多(つきしまかなた)に告白させられることになってしまう。
だが、フラれてしまうだろうという周囲や修司自身の予想に反し、何故か叶多はとても釣り合わないような冴えない修司の告白を受け入れて――しかも、付き合い始めたその日にラブホテルに?
◆◆◆
罰ゲームによる嘘告白から始まる、サークルのアイドルとの一夜の物語
※ハッピーエンドです
※ノクターンノベルズに同時投稿、並びにPixivにヒロインを合成音声キャラクターに置き換えて投稿しております。
「月島先輩、突然すいません――僕と、付き合ってください!」
比喩でもなんでもなく、それまで居酒屋の大部屋を満たしていた他のサークルメンバーのおしゃべりが一瞬で止み、アイスバケットの氷がカロンと崩れる音がいやに大きく響く。
頭を下げているせいで見えなくとも、無数の視線が自分に突き刺さっているのが分かった。
そこに込められているのは「身の程知らずだな」という嘲笑。
もちろん修司自身もそんなことは分かっている。これといった取り柄のない大学一年生の自分が、サークルのアイドルとすら評される彼女と釣り合うわけなどない。
もっとも、だからこそ飲み会の『罰ゲーム』としては最適だったのだろう。
修司は近くでニヤニヤしているだろう、この余興を企画した大竹先輩のことを恨めしく思いながら、さっさと判決を下して楽にしてくれと願い――
「――ふふっ。いいよ、付き合ってあげる」
「あははそうですよね、突然変なこと言ってすいませんそれじゃあ――って、ええええええ!?」
思わず叫んでしまった修司の前で、サークルのアイドル、
こうして修司の一世一代で不純な初告白は、あっさりと受け入れられてしまったのだった。
――――
(え、あ、え……?)
修司は未だ何が起こっているのか分からないまま立ちすくみ、目の前でたおやかな笑みを浮かべる美女を見つめていた。
「ん? どした?」
「あ、いえ……」
わざとらしく、頭がくりっと傾けられる。地毛だという亜麻色のセミロングが肩をさらりと流れ、先端の遊び毛が金色を弾いた。
クォーターらしく、日本人離れした掘りが深めに整った顔に、深海色のアーモンドアイがまっすぐに見つめてくる。
少し前屈みなせいで、全体的に引き締まったスタイルの中で一点、大きく張り出した胸が強調されていた。
二年生だから年上なのは間違いないが、それを差し引いても『お姉さん』と言った感じの美人である。
修司が所属するワンダーフォーゲルサークルは、大学生らしい遊びや飲みを主目的としたサークル――平たく言えば飲みサーであり、その為か女子メンバーも整った顔の人が多い。
だが、月島叶多はその中でも群を抜いた美女であり、そして今まで誰と付き合ってるという話を聞いたことのない、サークルのアイドルみたいな存在だった。
サークルで顔を合わせられただけで今日はラッキーだと断言して差し支えないほどの彼女が、まるで釣り合いそうにもない一年生の告白をオーケーした。
その事実を先に受け止めたのは告白した修司本人ではなく、周囲のサークルメンバーであった。
「おい、マジかよ……」
「あの鉄壁の月島が……!?」
「あの一年生の何が良かったんだ……?」
「へぇ、かなたんって実は年下が好みだったんだ」
つい先ほどまで水を打ったように静かだった大部屋は、今やざわざわざわ、と好奇たっぷりの噂話で満たされていた。
視線の向けられる先は言うまでもなく、英雄的告白を果たした勇者に対してである。
思わぬ結果に未だ立ったまま呆けてしまっていた修司も、その居心地の悪さにようやく意識を現実へと引き戻した。
(ま、待て待て待て……今、月島先輩、『付き合ってあげる』って言わなかったか? そんなこと言うはずないよな、僕の聞き間違いだよな?!)
「どうしたの? 立ったままぼーっとして、座らないと目立つよ?」
月島からおかしそうにくすくすと笑われて、修司は改めて自分が彼女の横で突っ立っていたことに思い至る。
「あ、そ、そうですよね! それじゃあ俺はこれで――」
修司は慌てて自分の席に戻ろうと
「っ⁉ つ、月島先輩?」
「どこ行こうとしてるの? せっかく付き合ったばっかりの彼女から離れて座ろうとするなんて、あんまりにも薄情じゃない?」
振り返ると、月島は揶揄うような笑みを浮かべて修司を見上げていた。くりっとしたアーモンドアイが細められ、アクアマリン色の瞳が南国の海じみて蠱惑的に煌めく。
「あ、そ、それは……」
「ほら、いいから座った座った」
修司がどうすればいいかと固まってしまっている間に、月島は手を引っ張って、有無を言わさず自分の隣へと引っ張り下ろした。
「うわ……!?」
机の端に座っていた月島の隣には、ぎりぎり一人分のスペースしかない。そこへ無理やり詰め込まれた修司は否応なく彼女へと密着することになる。
(――っ、月島センパイ近っ……というか腕とか太腿とか当たってるし、なんかいい匂いするし……っ!)
月島は黒のキャミソールに薄青のシアーシャツ、下は膝上丈のショートパンツという大変初夏らしい――つまり肌色率が高い格好をしていた。
「ねぇ、こっちに彼のコップ回してくれる? ――ありがと」
しかも彼女は体が接触するのにも気付いてないのか、あるいは無頓着なのか、遠慮なく修司にその引き締まっていながら柔らかな肢体を当て擦っていた。
修司はせめても距離を離そうと机の端の方へ無理やり体を寄せて――ぐっ、とその努力を無に帰すように、身を寄せた月島からコップを手渡される。
「はい、君の。それじゃあ改めてカンパイしよ?」
「あ、は、はい」
チンッ、とコップが触れ合う音が響き、修司は未だ空転する頭のまま、なんとか月島の真似をして中に入っていたコーラを口に運ぶ。
想定外の結果と間近に感じる女体にバクバクと心臓が跳ね、味なんて微塵も分からない。だが、それでもカラカラだった喉は潤ったようで、ようやく言葉が出てくる。
「あ、あの……月島先輩、本当に僕なんかの告白をオーケーして良かったんですか?」
「んー? いいよ、というか良くなかったらごめんって断ってるから」
「で、ですよね……ハハ」
修司自身も、正直何を言っているのだろうと思わないでもないが、それでも聞かずにはいられなかった。
まさか受け入れられるとは思っておらず未だ混乱しているから、というのもあるが、それ以上に罰ゲームでの告白だったことが大きい。それ故に気まずい、とでも言い換えればいいのか。
とはいえそんなこと今更言うわけにもいかず、修司が苦いものを洗い流すようにコップの中身をあおっていると、月島が不意に睫毛を伏せた。
「――それとも、もしかして断った方が良かった?」
「い、いやそんなことは微塵もないですけど! むしろ滅茶苦茶嬉しいです……!」
美女に泣きそうな顔をされては、反射的に否定するしかない。
月島は修司の上擦った答えに、悲しそうな表情を一転させぱぁ、と顔を綻ばせた。
「そう? ならよかった。これからよろしくね」
「あ、は、はい……こちらこそよろしくお願いします……」
修司が差し出された手を取ると、月島は嬉しそうにその手を大きく揺すり、大げさなまでの握手をする。
向けられる笑みと滑らかで細い指の感覚に、漸く自分はこの人と付き合うことになったんだという実感が湧き上がった。
(そうか、本当に月島先輩と……)
人生初の彼女、しかも自分には恐れ多いほどの美人。
彼女と一緒に出掛けたり、遊んだり、そしていずれは――。
内側からキャミソールを高々と突き上げる双峰は、重たげに机の上へと乗せられふにゅりと変形しており、その柔らかさと大きさを惜しむことなく主張していた。
彼女と付き合うということは、いずれそこへと直接対面する機会もあるわけで。
修司の胸中に得も言われぬ幸福感と興奮が広がって――けれど無邪気に浮かれることができないのは、やはりこれが罰ゲームでの告白だからなのだろう。
心の端でじくじくと疼く罪悪感に、修司はちらりと元凶である大竹先輩たちの方を見遣る。
修司たちがいる大部屋の角からみてちょうど反対。男率が高いその一角には、遠目にも暗澹たる空気が漂っていた。
先ほどまでニヤニヤとした視線を修司に向けてきていた先輩達は、軒並みガックリとお通夜状態で、そこだけ黒雲が浮いているんじゃないかと錯覚してしまう。
まあそれも無理はない。彼らも修司がフラれると思っていただろうし、それと同時にどこかで仄かに期待していたのだ。『もしかしたらいつか自分が月島叶多と付き合うことができるかもしれない』と。
修司が彼らに『申し訳ない』と『ざまあみろ』の混じった視線を向けていると、魂の抜けたようにぽっかり口を開けていた大竹が我に返ったように口の動きだけで怒鳴ってきた。
――ちょっとお前廊下に来い!
正直見なかったことにしたいが、そんなことをすれば先輩の機嫌を損ねることは目に見えている。
「……あの、月島先輩、ちょっとトイレ行ってきます」
修司は気が重くなるのを感じつつ立ち上がろうとして――その腕に月島は甘えるように体を絡みつけてきた。
むにゅ、とキャミソール越しに柔らかな肉毬が修司の腕を包む。
(うっわ、柔らか――っ!? じゃなくて!)
「ちょ、月島先輩!?」
「えー、本当にトイレ? もしかして逃げようとしてない?」
胸の柔らかさと、拗ねたように唇を尖らせた月島の表情に、心臓が矢で打ち抜かれたみたいにドクンと高鳴る。
できるだけ意識しないよう視線を逸らすと、大竹先輩が呪い殺せそうな表情で睨んできていた。
だが、そんな顔されてもこっちだって困る。というかそもそも大竹先輩が呼び出そうとしなければこんなことになってないのだから、勝手にヘイトを溜めるのは勘弁してほしい。
「い、いや……そうじゃなくて本当に生理現象なので……」
「……ん、わかった。早く帰ってきてね」
修司は月島の柔らかな温かさの残る腕の感覚にドギマギと、そして大竹から何を言われるのかヒヤヒヤと。寒暖差で風邪をひくんじゃないかと思いながら廊下へと続く襖を押し開けた。
――――
「おいお前、なに告白成功させてるんだよ!?」
廊下に出るや否や、大竹がぐいっと顔を思い切り近付けてきた。
その表情は怨嗟と嫉妬に赤く歪んでいて、修司は反射的に謝ってしまう。
「え、いや……その……すいません」
けれど告白させたのは大竹先輩だし、告白を受け入れたのは月島先輩である。理不尽極まりない怒りであった。
それは理解が追いついていないだけで、大竹も分かってはいるのだろう。
修司が一応謝ったからか、いくらか落ち着きを取り戻した大竹は、それでも八つ当たりに近くの柱をドンっと蹴った。
「ちっ……なんでこんなことに……」
(それはこっちの台詞だって……)
修司は口から零れそうになったため息を何とか呑み込んだ。
大竹が月島のことを狙っている、というのは聞いたことのある話だった。というか、そうでなくとも普段の彼の様子を見ていれば明らかである。
月島に対して積極的に話しかけ、すげなく会話を切られてもしつこく絡んでいこうとする。
今日の飲み会の席だって、最初は月島の隣に座ろうとしていたぐらいだ。もっとも、月島は巧みに女子メンバーと会話する為という体を使って反対側まで逃げていたのだが。
「――というか月島も月島だ、なんで俺よりコイツみたいなやつ選んだんだ」
未だやりきれない感情をコントロールできていないのか、大竹が恨みがましそうにねめつけてきて修司はビクリと体を震わせる。
けれど、確かにそれは修司も同意見であった。
三年の大竹先輩は修司より背も高く、体格もがっしりしていて、ワイルド系のイケメンである。
月島以外のサークル女子からはむしろ追われる立場ですらあり、その内何人かと関係を持ったとかいう自慢もされた。
(それに対して僕は……)
背も平均以下だし、鍛えても筋肉はつかないわ、顔も並み。
せいぜい誇れるものといったら足腰の丈夫さぐらいで、取り柄を上げろといわれたら軽く十分は考え込む自信しかない。
正直なぜ月島先輩が告白をオーケーしてくれたのか、修司自身にも見当がつかなかった。
そんな愚にもつかないことを考えていると、苛々したように頭を掻いていた大竹が大きくため息をついた。
「ああクソッ、けどこうなったもんはしゃーねーな……おい修司、お前追加の罰ゲームな」
「えっ? いや、月島先輩に告白するのが罰ゲームだって……」
というかそもそも罰ゲーム自体、未成年に飲み勝負をしかけての一方的な不戦敗という理不尽極まりないものだったのに、その上何を言いだすのか。
流石の修司も反論しようとして――けれど眼光鋭い大竹の睨みつけに、口を閉じるしかなかった。
「あ? 何言ってるんだ、告白してフラれるから罰ゲームになるんだろ。付き合えちまったらそんなもんノーカンだ、それとも月島と付き合えて嬉しくないのか?」
「それは……」
「だろ? あんな美人で、しかも胸までデカい女と付き合えてご褒美じゃないわけないよなぁ?」
いやらしく口元を歪めながら、大竹は修司の肩へと手を回してきた。
まるで仲のいい男友達にするように、けれどその腕に籠められた力は修司のことを支配しようとするようでもあり。
「だからさ、月島とヤッてるところ撮影して送ってこいよ。それが罰ゲームな」
「っ!?」
大竹の要求の意味が一瞬分からなくて――そして理解して、冷や汗がドッと背中から噴き出した。
「え、ちょ……流石にそれは……」
「なんだ、できないとか言わないよな? お前にも俺の女の裸見せてやっただろ?」
「っ……」
それを言われると、弱い。
大竹が言っているのは、この間送ってきたハメ撮り映像のことだろう。
確か話の流れで『お前彼女いないんだろ? だったらオカズ分けてやるよ』などと馬鹿にしたように笑いながら押し付けられたヤツだ。
修司としてはまるでヤッた女の子をトロフィーにしているみたいで気分が悪かったし、最初は見ずに消してしまおうかとも考えたのだが――結局性欲と興味に負けて開いてしまったのだ。
映っていたのは、新歓の時隣に座って色々話した三年の先輩が、後背位でガンガン突かれて善がっている映像。
知っている女の子の痴態というのはそれだけで怪しい興奮を掻き立てるらしく、結局修司も背徳感を感じながら一発抜いてしまった。翌日顔を合わせた時気まずくなったのは記憶に新しい。
だが、それを押し付けられるのと自分で撮るのでは意味合いが違う。
「……いや、やっぱそれ以外じゃダメですかね? 月島先輩に撮らせて下さいって頼むなんて僕にはちょっと……」
そんなこと頼む勇気もないし、それに何より嫌だった。
「はぁ? そんなん彼女なんだから『他の人には見せないから』って頼み込めば簡単だろ……って言ってもお前には難しいのか。チッ、ならしょうがねぇな、隠し撮りでもいいぞ」
「いや、それはマズいんじゃ……それに流出させたりしたら月島先輩に迷惑かかりますし……」
「大丈夫だって、個人的に楽しむためだけなんだしさ、流出とかさせねぇから」
いやそもそも、本人の同意を得ずに他人に渡している時点で流出だという指摘は――多分、言っても分かって貰えないだろう。
けれどここでいつものように流されるまま、へらへらと受ける訳にはいかない。
そもそも月島先輩と付き合うことになったのは、断り切れなかった罰ゲームで告白したからだ。そんな自分の都合を押し付けた上、彼女の裸をこんなヤツに送るなど――
「――修司、お前それともあれか? 里見教授に俺が口利いてやらなくてもいいっていうのか?」
「っ、それは……」
何とかやりすごそうとしていた修司の態度に耐えかねたのか、とうとう大竹は例のカードを切ってきた。
それは修司がノリに馴染めないと思いながらも未だこの実質飲みサークルに属し、大竹の言うことに渋々従っている理由であった。
「お前、どうしてもうちの研究室に入りたいんだろ? 新歓の時熱く語ってたもんなぁ」
そう、修司がこの大学に入ったのはそもそもそ里見教授の元で学びたかったからである。
高校生の頃、担任教師に「学力に対して難易度が高いからやめておけ」と止められて尚、諦めずに頑張った結果大学に入ることはできた。
だが、どうやら里見教授は面倒見が……というか人がよすぎるらしい。
入学してから評判を集めたところ、真っ先に聞くのは「緩くて楽」という意見で、それ故に希望者が毎年募集を上回るのだという。
そんな理由で、という憤りのようなものがないわけではないが、そこで競争が起きているのも事実。少しでも勝算を高めるため、修司は大竹の「口利いてやろうか?」という言葉に頷いて、今に至るのである。
そして大竹もこれを出せば修司が拒否しないと分かっているのだろう。
「よし、というわけでヨロシクな。期間は……ま、一か月は待ってやるよ」
ポン、と肩を叩くと大竹は先に飲み会へと戻っていく。
「くそッ……」
一人残された修司はやるせない怒りを向ける先もなく、ただ歯を噛んで耐えるしかなかった。
――――
不自然にならないよう、修司がやや時間を空けて座敷の襖を開けると、月島がこやかに手を振ってきた。
「あ、やっと帰って来た。遅いよもう」
「す、すいません……」
隣に修司が座ると、すぐさま月島は体を寄せてくる。
修司としてはドキドキするのと同時、先ほどまで以上に気まずくてやめてほしいところだったが、こんな事情を本人にぶちまける訳にもいかない。
「その……月島先輩、さっきから思ってたんですけどくっつきすぎじゃ……」
「んー? なに? くっついちゃダメ?」
「い、いや……ダメというわけじゃないですけど……」
今や修司と月島の太腿同士はぴったりとくっつき、薄手のジーンズを貫いて生々しく体温が伝わってくる。
先ほどの話で、否応なく性的なことを意識させられている状態でのこの距離はなかなか辛いものがある。
「……つ、月島先輩、もしかして酔ってるんじゃないですか?」
「ふふ、そんなことないよ? だって私が飲んでるの、ただのジンジャーエールだし」
「え、そうなんですか?」
驚いた、正直この場で自分以外にノンアルコールを飲んでる人がいるなんて。
「あー、その顔は信じてないな? それじゃあほら」
目を丸くする修司に対し、月島は自分のコップを突き出してきた。
飲んで確かめろということなのだろう。
だが、それはつまり彼女と間接キスをするということに他ならず。
「い、いや! そんなことしなくても信じますから!」
「ダーメ、疑われたままってのは気分悪いからさ、ほら」
両手で制止しようとする修司の手を掴んでコップを押し付けると、月島はニコニコとした笑みを浮かべて見つめてくる。
修司にはそれを拒否する方法など持ち合わせていなかった。
「そ、それじゃあ……」
震える手でコップを傾けるも、意識しすぎているせいで味など微塵も分からない。
ただ、少なくともアルコールの香りがしないのは確かなようだった。
「ね、言ったとおりでしょ?」
「は、はい、本当にソフトドリンクだったんですね」
「まあ、一応は未成年だからね」
まさかこのサークルでそんな正論が聞けるとは思っていなかった修司はやや面食らう。
「それで、どうだった?」
「ど、どうだった、とは?」
「んー? だって今の、間接キスだよ」
「っ、ごほごほごほっ……!」
せっかく意識しないようにしていたところを突かれて、修司は思わずむせる。
その様子が可笑しいというように、月島はチェシャ猫のような弧を口元に描いた。
「ふふ、かーわいっ♪」
「そ、その……あんまりからかわないで下さい、月島先輩……」
手玉に取られた上、可愛いとまで言われては男として立つ瀬がない。
目を逸らして口元を拭う修司に対して、月島はちろりと舌を出して「ごめんね」と悪戯っぽく謝ってくる。
ちゃんと謝っているわけでないのは一目瞭然で――けれど、それでも許せてしまうのだから美人とは恐ろしい。
いや、そこは自分の彼女だからという贔屓目もあるのだろうか。
修司は楽しそうにしている月島を見て、けれど胸の奥が痛むのを感じた。
(やっぱり月島先輩とヤってるところを撮るとか……)
そんなことしたくはない。
けれどそうしなければ、せっかくこの大学に入った意味がなくなるかもしれない。
「あ、そう言えば何か食べたいのあったら言ってね? 端っこだから取りづらいでしょ?」
「あ、ああ……ありがとうございます」
その後も飲み会の間、月島に揶揄われたり世話を焼かれたりしたが、結局最後までもやもやとした気持ちが晴れることはなかった。
――――
「それじゃあ二次会行く人ー?」
会計を終わらせ、居酒屋の前でサークルの面々がたむろしている中、だれかがお決まりのそんなセリフを言い出した。
修司はいつも通り周囲の空気を伺いながら、できれば不参加組の方に自然と混ざれないかと視線を彷徨わせる。
幸いにも偶然立っている位置が不参加組の方に近く、今日はこれで帰れるなと安堵した修司だったが、そこで大竹から手招きされているのに気づいた。
その口元には嗜虐的な笑みが粘ついている。
(はぁ……まあ、そんな気はしてたけど)
どうせ自分が月島と付き合えたのが気に入らないから、この後弄られ役になれとかそんなところだろう。
気が重いながらも、修司は仕方なく二次会組の方へ歩を進めようとして――ぎゅっ、と後ろから手を握りしめられた。
「ねぇ、彼女ほっといてどこ行こうとしてるの?」
「っ、月島先輩……す、すいません」
ずいっ、と顔を寄せてきた月島に不満気な色の瞳で見つめられ、反射的に謝ってしまう修司。
背の高さは同じくらいのはずなのに、美人補正なのか圧が強く、おもわず二、三歩後退ってしまう。
「君さ、付き合ったのに、彼氏の自覚が足りないんじゃないかな? 彼女がどうしたいのか確認もせず、二次会に行こうとするとか」
「あっ……」
言われて、修司もようやく自分が月島のことを考えずに行動しようとしていたのに気づく。
だがそれも無理はないかもしれない。未だに修司自身、月島の彼氏になったのだという実感がまだ湧いていないのだから。
(そう、だよな……付き合ってるんだからやっぱりここは月島先輩に合わせるべきだよな……)
正直大竹から後日何か言われる可能性は大だろう。だが、だからといって月島先輩のことをおざなりにすることはできない。
何より罰ゲームなんかで付き合ってしまったのだから、せめてできるだけ誠実に振舞いたかった。
「すいません、月島先輩。これからは先輩のこと優先するようにします」
「ふふ、よろしい」
月島は表情を一転させ、優しげに修司に向かって微笑むと、握っていた手を放す。
そして修司が名残惜しさに手をさまよわせた瞬間、今度は指と指を絡めて、恋人繋ぎで握りなおしてきた。
ひゅーっ、と女子メンバーから口笛が飛んだ。
「なに? かなたんってばいきなり見せつけてくるじゃん、今まで奥手だったのにー」
「ふふっ、まあいいかなって思った相手だからね」
密着度が増えたことと茶化されたことで顔を赤くしてあたふたする修司に対し、月島は余裕たっぷりな感じで握った手を持ち上げて見せつける。
サークルのアイドルのラブラブアピールに、女子からは歓声が、男子からは怨嗟の視線が飛んできた。
(くっ、これが針のむしろってやつか……)
正直、今から次に男子連中と顔を合わせるのが怖い。大竹に至っては憎しみで人を呪い殺せそうな形相である。
だが、だからといって「先輩のことを優先する」と言った手前、手を振りほどくわけにもいかない。
修司がハリネズミになりそうなほどたっぷりと嫉妬の矢を浴びせられた頃、ようやく月島先輩と女子メンバーたちのやり取りは終わった。
「それじゃあ私は帰るから、またね」
「うん、たまにはかなたんも二次会来なよー?」
「ふふ、タイミングが合えばね――それじゃあ行こっか」
月島に手を引っ張られて、修司も慌てて脚を動かす。
「あ、は、はい……! けど、行くって?」
「決まってるでしょ、もうこんなに夜も遅いのに彼女を一人で帰させる気?」
「あー、それもそうですね」
つまりは帰り道をちゃんと送っていけ、ということなのだろう。
納得して、けれどすぐにどこまで送って行けばいいのだろうかという疑問が湧いてきた。
(駅まで送ればいいのか? それとも家まで? 確か上京して一人暮らしだとは聞いたけど……。 いやそもそも月島先輩ってどこに住んでるんだ? 遠かったら最悪、僕の方が帰れなくなったりしないか? いやいやそうなったらまさか月島先輩の家にいきなり泊まることに――?)
「ねぇ」
「は、ひゃいっ?!」
思わず妄想を暴走させていた修司は月島の一言で我に返る。
「ふふ、どうしたの? 呼んだだけなのにそんな声上げて」
「あ、いや……ちょっと考え事してて……」
「えー? 酷いなー、つきあったばかりの彼女が隣にいるっていうのに」
「い、いや、その月島先輩のことを考えてたからというか考えすぎてたからというか……」
「なにそれ? ふふ、変なの」
月島はくすくすと笑いながら、首を傾げる。
笑われてしまった羞恥で顔が熱を帯びるのを感じるが、嫌な感覚ではない。
むしろ胸の辺りがくすぐったいような、ぞわぞわするような。
俗にいう甘酸っぱい感覚とはきっとこういう感じなのだろう。
「それじゃ改めて聞くけど、君はどうして私に告白してきたの?」
「どうしてっていうのは」
「んー? ほら、告白したってことは好きだったから告白したんでしょ? だから、君は私のどこが好きになったのかなーって気になって」
「それは……」
修司は言葉に詰まってしまう。まさか罰ゲームだったからですとは口が裂けても言えない。
(……けど、顔がきれいだったからとか言って、結局見た目かって幻滅されたら嫌だし)
過程はともあれせっかくの初彼女に嫌われたくはない。
だが、今まで修司にとって月島は手の届かない高嶺の花と言った感じで、彼女のことなど何も知らなかった。
必死でそれらしいことを言おうと頭をフル回転させ、何かヒントはないかと横目で月島を観察する。
整った顔に豊かな胸、引き締まった腰とその下に続くすらりとした脚。
だれかがモデルみたいだと言っていたが、それともちょっと違う。脚には結構筋肉がついていて、履いてる靴も動きやすさを重視したハイカットのスニーカーだ。
(もしかして結構活動的な人なのか? ……いや、だからといって「活動的そうだから好きです」はおかしいだろ)
修司があーでもないこーでもない、と必死に考えていると、月島がくすりと笑った。
「そっか、君は体の方目当てかぁ」
「え、や、違っ……!?」
「そんなこと言って、じろじろ私の体見てたの分かってるんだから」
今更ながら、結果としてそうなっていてしまったことに修司は気づく。
そして意識してしまうと、すらりとしたくびれや柔らかそうな胸が頭の中でフラッシュバックし、否定できなくなってしまった。
「い、いやその……すいません。きっかけは違うんですけど、先輩、きれいな体してるので……つい」
「ふふ、別にいいよ。男の子だから気になっちゃうのは仕方ないもんね?」
真っ赤になって俯く修司に月島は微笑んでくる。
普通、こういう場合赤くなるのは女の子の方なのではないだろうかと思うが、これが美人の余裕というものなのだろう。
と、そこで不意に月島が足を止めた。
「それじゃあさ、『ここ』寄ってく?」
「ここって――っ!?」
修司が俯かせていた顔を上げると、『休憩』と『宿泊』の値段が書かれた案内板が目に入った。
――ラブホテル。
「二次会行くつもりだったんなら、お金は持ってるでしょ?」
妖艶な笑みを浮かべる月島に、修司は知らず知らずのうちに頷いてしまっていた。
――――
ざあ――と壁越しに聞こえる月島のシャワーの音を聞きながら、修司はベッドの上で組んだ手に顎を乗せて考えこんでいた。
(……本当にこんな付き合った当日にいきなりセックスまでいっていいのか? それとも大学生の恋愛ならこんなものなのか……?)
ラブホの前では月島が近くにいてドキドキしていたというのもあり、思わず深く考えず入ってしまったのだが、こうやって一人になると冷静さが戻ってくる。
いや、月島とセックスするのが嫌だとかそういう訳じゃない。むしろ彼女のような美人と初体験できるとか願ったりかなったりではあるのだが。
それはそれとして、自分があまりにガッつき過ぎているのではないかとか、心配にならずにはいられないのだ。
(でも、ラブホに入らないかって誘ってきたのは月島先輩の方だし……けど、もしかしてあれもただ揶揄われてただけで僕が本気にするとは考えてなかったとか……)
……まあ、とっくにシャワーをあびて、今は腰にタオルを巻いただけの格好でそんなこと考えたって説得力も何もないのだが。
――もしくは、この思考自体が現実逃避なのかもしれない。
「はぁ……」
修司はできるだけ考えないように、顔を背けていた方にちらりと視線をやった。
大型モニターとその脇の観葉植物、そしてその陰に隠すよう置かれた自分のスマホ。
スマホは録画モードで起動中である。
(……本当に、月島先輩の裸なんか撮っていいのか?)
意識すると押し殺していた罪悪感がふつふつと湧き上がってきた。
自分の勝手で告白し、そして自分の都合で隠しハメ撮りをする。どう言いつくろっても最悪の行為だ。
けれどやっぱり、ここで大竹先輩とのコネを失いたくはない――と、そこまで考えて修司は気づく。
(はは、結局俺も大竹先輩と同類の人種ってことか)
大竹のことを『女の子のことをモノ扱いするクズ』だと思っていたが、結局方向性が違うだけで自分がやろうとしていることも変わらない。
「はぁ……」
修司はやるせなさに大きく息を吐き出し――
「どうしたの、そんなため息ついて」
はっと俯かせた顔を上げると、バスタオルを巻いただけで、肌を上気させた月島が優しげな目で見つめてきていた。
胸が締め付けられ、口内に苦みが広がる。
「いや、あの、それは……」
「ふふ、もしかして緊張してるから?」
「あー……はは、そんな感じです……なにせ、こういうことはじめてなんで……」
上手くごまかし笑いできてないのではないかという疑念から、思わず余計なことまで言ってしまう。
しまった、と顔が熱くなるのを感じる修司だが、月島はくすりと微笑んで。
「ふふ、やっぱりそうだったんだ。まあ、だから付き合ってもいいよって言ったんだし」
「え……?」
予想してなかった言葉に、修司の脳内に疑問符が浮かぶ。
(それって、俺が童貞だから付き合ったってことか……?)
けれど、そう言われると妙な納得感もあった。
うちのサークルは実質飲みサーなだけあって、男メンバーは、顔はよかったりするもののいかにも遊んでいますという感じの人ばかりだ。
そんな男たちと浮いた話がない一方で、けれど自分だけが選ばれた。
彼らとの差として思い当たる要素と言えばそれぐらいしかない。
(ということは、ただ単に月島先輩は童貞が好きだから誰とも付き合ってなかったってだけか)
もしかして童貞食いというやつなのだろうか。
そう考えると、少しだけ罪悪感が和らぐ。
(僕が一方的に都合を押し付けてるだけじゃなくて、月島先輩だって楽しんでるんだ……だったらハメ撮りするぐらい、いいよな……?)
そうだ。
そもそもワンダーフォーゲルとは名ばかりの飲みサーにずっといる時点で、月島先輩だって
だったらこんなに悩む必要もないんじゃないか。自分を納得させて、修司は改めて月島の方を見る。
濡れて天使の輪を浮かべるブロンドの髪、桜色に色付く唇、柔らかそうな胸、張り出した腰――。
ずくり、と腰裏が疼くのが分かった。
「ふふ、もう我慢できないって感じだね?」
「……男なら誰だって、月島先輩みたいな綺麗でエロい人を前にしたらそうなります」
修司が吹っ切れたのを月島も察したのだろう。少し驚いたような表情を浮かべ、けれどすぐに蠱惑的に口元へ弧を描く。
「エロい……ね、例えばこことか?」
そう言って月島ははらりと巻いていたバスタオルを脱ぎ落した。
たぷんっ、とタオルに押し留められていた柔毬が開放され、重たげに震える。
新雪のようにくすみ一つない真っ白な双峰は、重力に引かれながらも若々しい肌の張りでもって、先端を上へと向けていた。
巨乳とバランスをとるように乳輪も大きめで、けれどその突端が控えめなピンクに色付くさまは、官能的なのに清楚さをすら感じさせる。
巨乳好きなら――否、貧乳派ですら思わず手を伸ばさずにはいられないほどの至宝。
(デカっ……)
月島が軽く体を捩ると、その動きを何倍にも増幅してたぷたぷ揺れる双球に修司は目を奪われた。
「ふふ、やっぱりおっぱい好きなんだ。飲み会の時からずっとちらちら見てたもんね」
「……だってこんなの見るなって言う方が無理ですよ。しかもあんな体寄せてきて……どれだけ我慢したと思ってるんですか」
「あー……それもそっか。ごめんね? 君を焦らすみたいなことしちゃって。お詫びに――」
月島は床に膝をついて修司の手を掴むと自分の胸にぎゅむっ、と押し付ける。
「――んっ、好きなように触っていいよ」
修司の手の平に、極上の感触が広がった。
「うわ、ヤバ……」
月島の胸は見た目以上の柔らかさだった。
軽く指先に力を入れただけで、ふにゅりとひしゃげる様はまるで男の欲望をどこまでも受け入れてくれるようで。
けれどその中心で桜色にツンと尖った先端は、そう簡単に男には屈してやらないと強がっているようで。
修司は蜜に引かれる蝶のようにもう片方の手も追加して、月島の両胸をやわやわと揉みはじめた。
「んっ……ふふ、どうかな? 初めて女の子の胸を触った感触は」
「すごく、柔らかくて気持ちいいです……」
「それなら良かった。けど、そんな恐々じゃなくてもっと思いっきり揉んでいいんだよ? 痛かったらちゃんと言うからさ」
「な、なら……」
修司はごくりと喉を鳴らして、理性で抑え込んでいた欲望を押し付けるように指へ力を籠めた。
ぎゅむっ、と指が肉の海に溺れていく。それでも手の中に納まらなかった柔肉が量感豊かに溢れて変形する。
指先から手の平から、しっとり柔らかな乳皮に包まれて心地いい。
女の子の象徴を自分の思うがままに蹂躙している光景と、いつまでも触っていたくなる感触に、修司は無言で月島の胸を揉みしだく。
「んっ……思いっきりって言ったのに遠慮がちに触るんだね?」
「いや、結構好き放題触ってるつもりなんですけど……」
「そうなんだ? ふふ、じゃあ君って結構優しいのかもね」
……それは褒められているのだろうか、それとも意気地なしと言われているのだろうか。
考え込みそうになった修司だったが、その疑問はあっという間に手の平の柔らかさに溶かされていった。
元々シャワー浴びたてで吸い付くようだった月島の乳皮は、うっすらと熱と汗を帯び、修司の指へ貼りつくように密着してくる。
それに段々とミルクのように甘いような香りも漂ってくる気がして、頭の芯が蕩けていくようで。
「っ……」
手の平の感覚に集中しきっていた修司の下半身に、突如鋭い快感が走った。
見下ろすと、月島の細い指先がタオル越しに逸物をさすっている。
「っく!? 月島先輩、いきなり触っちゃ……」
「んー? だって君は好きなように私のおっぱい触ってるんだから。私も君の、好きに触ってもいいでしょ?」
「それは……くッ、そうかもですけど……」
だが、それは今まで自分の手の感触しか知らない童貞にとっては強すぎる刺激だった。
(なんだこれ、自分で触るのと全然違っ……!)
自分の意志とは無関係に敏感なところを這いまわられる感覚に、修司は思わず奥歯を噛む。
月島の手つきは前戯というより、大きさを確かめるための軽く撫でるようなものだったが、それでも竿からぞくぞくしとした喜悦が這い上ってくる。
(タオル越しでこれなら、もし直接触られたら……)
そんな修司の怖いような待ち遠しいような期待はあっという間に叶えられてしまう。
「それじゃあ直接触るね」
「あッ、待っ――!?」
止める間もなくタオルを解いた月島は、反り返った修司の肉竿へと指を巻き付けてきた。
月島の白魚のような指が海綿体をきゅっ、と圧迫して、そこから甘い掻痒感が肉棒全体に広がる。
「うわ……もう君のってば竿までカウパー垂れてきてるよ。そんなに私のおっぱいで興奮したんだ?」
「だって、月島先輩の……滅茶苦茶柔らかくて、いい匂いして、すごくエロくて……!」
「ふふ、男の子はおっぱい好きだもんね。でも、君のおち〇ちんもおっきくてすっごく硬くてえっちだよ?」
そう言いながら月島先輩はゆっくりと手を上下に動かしはじめる。
「あっ……くぁッ……」
握る力は自分でするよりもずっと弱い。それだけなら物足りなく感じるだろう力加減はだが、女の子の手によって与えられているということで、感動交じりのじれったい快感となって尿道まで染み込んでくる。
「おっぱい揉むの止まってるよ? そんなに気持ちいいんだ?」
「はい……月島先輩の手……すっごくいいです……自分でするのなんかとは全然違って……!」
「ふふ、君ってほんとに素直で可愛いね。それじゃあもっと気持ちよくしてあげようかな――んっ」
そう言い終わった月島先輩の口から涎がひとすじ垂れ落ち、ぺちゃりと亀頭へと生暖かな感触がまとわりつく。
(うっ……月島先輩の唾液、熱……っ)
修司がその熱に酔いしれている間にも、さらに追加で唾液の塊が肉茎へと降り注ぎ、あっという間にペニスは唾液と先走りの混合液でぬっちょりとコーティングされてしまった。
「これだけぬるぬるにしておけばおち〇ちんも痛くないかな、それじゃあいくよ?」
「あくッ――!」
ぎゅっ、と肉竿を握る手に力が籠められ、上下動が再開される。
瞬間、修司は先ほどまでの手コキがただの準備運動だったと思い知らされた。
根元から先端に向けて先走りを絞り出すように握りこまれ、返す刀で腰奥へと快感を押し込まれる。
しかもそれが摩擦熱を産むほどの高速で繰り返され、二種類の快感が頭の中でぐちゃぐちゃにまざっていく。
「ちょっ、あッ……月島先輩ッ……それ、激しすぎ……っ」
「んー? そんなこと言って、痛いっていうより気持ちよさそうな顔してるみたいだけど?」
「それは、そうなんですけど……っ」
はじめて知った、気持ちよすぎると苦しいのだ。
今や一擦りごとに、肉棒の先端からカウパーが射精の予行演習みたいに噴き上がっている。
月島の綺麗な白い指もすっかり男の欲望に汚されきって、肉竿と擦れるのに合わせてにぢゅっ、ぬぢゅっ、と激しい水音を奏でていた。
陰嚢がせり上がり、あっという間に限界が近づいてくるのが分かる。このまま欲望の赴くまま――
(けど……まだ月島先輩に手コキされはじめてからそんな時間経ってないんじゃないか? それなのにもう射精すとか……)
月島が童貞食いなら、もしかしたらそれでも満足してくれるのかもしれない。けれど修司自身がそんな情けないこと許せなかった。
(せめてもう少しは耐えて――)
けれど、そんな童貞の経験をともなわない張り子のプライドなど、女体から与えられる圧倒的な快感の前では障子紙のようなものにすぎない。
「ふふ、おち〇ちんすっごいビクビクしてるよ? もう出そうなんでしょ? それじゃあスパートかけるね――」
「え? あッ――!?」
修司が何をされたか気付いたのは、暴力的な快感が背筋を駆け上っていた後だった。
月島は更に手の動きを大きく、激しくし、それによって先端では亀頭まで思い切り擦られ、根元では恥骨に衝撃を叩きつけられる。
男を射精に導くためだけの容赦ない手コキ。
敏感な部分と深い部分への両面攻撃で、修司は静止する間もなく絶頂へと昇り詰めさせられた。
「くあッ……も、射精る……ッ!!」
「えっ?」
月島が驚いたような声を上げたと同時、吐出が始まる。
ぶぴゅっ、びゅぴぴゅっ、びゅぱッ――!
腰の付け根で何とかせき止められていた精液が、力強く脈動しながら尿道を駆け上って噴き出した。
「くっ……あッ、うぅ……ッ」
今までのオナニーがなんだったんだというほどの圧倒的な快感に、射精している間もゆるゆると続けられる月島の手コキ。
魂まで吐き出してしまっているような感覚に、修司はしばらくの間呻くことしかできなかった。
「……っ、はっ、はっ、はぁ……っ」
暴力的なまでの快感が落ち着いて、修司がいつの間にか閉じていた目を開けると、そこには胸からお腹まで自分の欲望液で白く汚された月島の姿があった。
「ふふ、いっぱい出たね。しかも君の、すっごく濃いみたい」
月島は妖艶に目を細めて指先で白濁液を弄ぶ。
その姿はアイドルというより手練れの情婦のようで、修司は思わず視線をそらしてしまう。
「っ……すいません月島先輩。我慢できなくて思いっきりぶっかけちゃって……」
「いいよ、そんなこと謝らないで。どうせ今からもっと汚れるんだしさ。それより私こそごめんね? もう少しもつと思ってたから激しくしちゃって」
「い、いえ……それは、別に……」
それはつまり、月島の経験から予想されるほど修司が我慢できなかったということで。
(くそ……やっぱり早いのかな、僕……)
男として情けないのではと思うし、何より悔しい。
――月島先輩に遊ばれるのはいいけれど、それだけじゃなくて月島先輩を満足させてみたい。
顔も見たことのない月島の過去の相手に対する対抗心がむくむくと湧き上がり、それと同時に出したばかりの股間も急速に硬さを取り戻していく。
「わ、もしかしてもう硬くなってるの? おち〇ちんって一回射精したらしばらく柔らかくなるものだと思ってたけど……すごいね君」
もしかして気を遣われてるんだろうか、とも少し考えたが、月島先輩は本当に驚いたように目を見開いていて、修司は少しだけ自信を取り戻す。
「一応、足腰鍛えてるんでスタミナには自信ありますから……」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ、ちょっと休憩してからって思ってたけど……もう、こっちでしちゃおうか?」
月島はそう言うと立ち上がり、腰を軽く前に突き出して修司に見せつけるよう、秘裂を指で押し開く。
にちゅ……、という水音と共に露にされたそこは、乳首と同じく綺麗なピンク色で、思わずおいしそうと思ってしまうほどに綺麗だった。
髪と同じブロンドの柔らかそうな陰毛の下で、クリトリスは恥ずかしがるように皮を被っている。
小陰唇の肉ビラは控えめに小ぶりで、それでは隠しきれなかった蜜洞への入り口がひくひくと男を誘うように蠢いている。
(これが……月島先輩の……!)
遊んでいるとは思えないほど綺麗で清楚さすら感じる秘所に、修司は思わず感嘆の息を漏らす。
「んっ、吐息が当たって……ふふ、そんな前かがみになってまでじっくりと見たいんだ」
「え、あ……」
月島に指摘されて、修司はようやく自分が鼻先を秘裂に埋めそうなほど顔を近付けていたことに気付く。
「すいません……つい、興奮しちゃって」
修司は慌てて距離を撮ろうとして、けれど月島はその後頭部へと手を回してきた。
「ふふ、君ってばさっきからちょっと謝りすぎじゃない? そんな気を遣わなくても、もっと君のしたいようにしたっていいんだよ?」
「っ、したいようにって……例えば、月島先輩のここ、舐めてみたいって言ったら……」
欲望を吐露した修司が様子を伺うように上を見あげると、月島は慈母のように口元を緩ませた。
「もちろんいいよ、だって私は君の彼女なんだからさ」
カッ、と脳内が突沸する。
「なら、いただきます――ッ、ぢゅずるるッ!」
修司は月島の尻肉を両手で鷲掴みにして引き寄せ、噛みつくように秘裂へとむしゃぶりついた。
瞬間、口内に頭の芯が痺れそうなほど蠱惑的な蜜が広がる。
甘さと、酸っぱさと、まだ硬い若さの残る肉の味。
石鹸と、それでは誤魔化しきれないほど濃厚な雌の香り。
はじめて経験する女の――月島の味に、修司は夢中になって舌を操った。
「んぁッ……いきなり、激し……っ。ふふ、そんなに私のおま〇こ美味しいんだ?」
「ぢゅるっ、ぢゅずぞッ――はい、甘くてエロくて……なんならいつまでも舐めてたいぐらいです」
「ふふ、君が満足するまでたっぷり味わっていいからね」
月島は行動でも欲望を肯定するように、修司の後頭部へと回した手を自分の腰へと引き寄せた。
鼻先をふわふわとした陰毛がくすぐって、それがまた修司の理性を蕩けさせる。
ぢゅちゅるるッ、ぢゅぐちゅっ、ぢゅちゅッ――!
(月島先輩の……全部味わいたい……!)
少しでも蜜液を逃すまいと、時に秘裂全体を舌の根元まで使って大胆に、時に小陰唇の溝をこそぐように舌先で繊細に、一心不乱に舐め続ける修司。
あっという間に月島の秘裂は愛液から唾液で塗り替えられていく。
「んっ、あぅッ……ふふ、なんだかこうしてると君におま〇こ食べられちゃってるみたいだね」
けれど修司の熱烈な舌責めにもかかわらず、月島には余裕が感じられた。
自分が主導しているにも拘らず、手玉に取られっぱなしのような感覚。修司の男としてのプライドがメラリと燃え上がった。
(くそッ、このままじゃ僕ばっかり気持ちよくさせられて……さっきのお返しにイかせてやる……っ)
修司は口内に意識を集中させると、充血して皮から半分顔を出したクリに狙いを定める。
舌先でつつき、ほじり、くすぐると、月島の腰がびくんと跳ねた。
「あッ、んくぅっ……そこは……っ」
「ぢゅるッ――やっぱり月島先輩もクリは弱いんですね」
「まあ、ね。そこはそういう風にできてるし……自分で触る時も大体そこだから」
まるでクリトリスで感じさせられても、それは自分の実力ではないというような言葉に少しもやっとしたものを感じる修司だったが、それ以上に今は後半の情報の方が大事だった。
「っ、月島先輩もオナニーとかするんですね……」
「一応私も若い女だからね……性欲からは逃れられないんだよ」
眉根を寄せる月島の悩まし気な表情に、修司の脳内で自らを慰める月島の光景が浮かんだ。
陰核を弄り、腰を悶えさせ、あられもない姿をあげる月島――そんな姿を自分も見たい。
ならばやることは一つだ。
修司は陰核への攻撃を再開させる。
「ぢゅぱっ、月島先輩のこと、オナニーの時よりも感じさせてみせます……!」
「んッ……それならちょっと楽しみにさせて貰おうかな?」
妖艶に笑む月島の余裕を突き崩す為、修司は知識を総動員して舌先を繰る。
陰核を包皮から丁寧に剥きあげ、性感神経を掘り起こすように味蕾でざらざらと舐めまわす。
「あッ……弱点、剥き出しにされて……んくッ、そんな舐めまくられたら……っ」
月島が腰をぴくっ、と跳ねさせて逃そうとするが、尻肉を掴んだ指を深く沈めて、それを許さない。
腰を逃がそうとしたということは、それで感じてしまったからということに他ならないのだから。
るろるろ、りゅろッ――とそこを執拗に舐めまわす内に、元々熱を帯びていた秘所が更に熱くなる。
「んんぅっ、あはッ……君、本当にはじめて? 思ってたよりすごく気持ちいいんだけど……っ」
「んぢゅちゅッ――そんなこと考えずに、月島先輩は気持ちよくなってください……!」
褒めてくれるのは嬉しいが、それはまだ余裕があるということでもあり、もどかしい。
修司は八つ当たりするように肉芽をぐりっ、と圧し潰す。
「あんッ……こんどはちょっと乱暴なのっ……けど、それもいいかも……っ」
月島の腰がぶるりと戦慄くが、まだ足りない。
もっと、もっと感じさせたい……!
舌が攣りそうになるのも構わず修司は月島のクリを徹底的に舐めまわす。
先端を舌の腹で擦り、付け根をこそぐように舌先を差しこみ、神経を励起させたところで――口先を窄めて一気にじゅぞぞッ、と吸い突いた。
瞬間、後頭部に添えられた月島の手が髪を握り、びくんッ、と腰が反り返る。
「あ……ひッ……!?」
修司の目の前で、雌穴がひくひくと蠢き、そこから透明な雫がつーっ、と震える脚の間に垂れていった。
「もしかして先輩、イきました?」
「~っ、うん、そうみたい。まさか本当にイかされるとは思ってなかったんだけどな」
頬を赤く染めた月島は、少し照れたように熱い息を吐き出す。
アクアマリンの瞳は頼りなくゆらゆらと揺れていて、それが演技などではないことを如実に物語っていた。
(やった……月島先輩のこと、イかせたんだ……!)
童貞の自分が、サークルのアイドルである月島先輩をイかせた。
達成感と、男としての自信が胸中に湧き上がり、体中が熱くなるのを感じる。
そして、その熱が行きつく先は当然一点だ。
「月島先輩、そろそろもう俺……」
小さく震える肉槍の先端からは、粒になった雫が浮かんでは零れ落ち続けていた。
「あっ……ふふ、こんなになるまで我慢することなかったのに」
月島はそんな逸物を労わる様にひと撫でして、ぽすん、とベッドの上へ仰向けに寝転んだ。
「それじゃあ今度は君がいっぱい気持ちよくなる番だね」
「――っ」
妖艶な微笑みに、肉竿が期待にびくりと戦慄く。
あと少し自制心が足りなかったら、このまま月島の上に圧し掛かっていたかもしれない。
避妊具をしなければと思い至れたのは半ば奇跡のようなものだった。
「先輩、枕元のゴム取ってもらっていいですか?」
「ああ、そういえばそうだったね。はい、どうぞ」
逸る気持ちを抑えながら何とかコンドームをつけた修司は、月島の脚の間へと体を割り込ませる。
反り返った切っ先と秘裂が触れそうなほど近づき、そこから感じる輻射熱に、今からいよいよ女の子の中に入るんだなという実感が改めて意識された。
「月島先輩、それじゃあ入れますね……」
「うん、いいよ……」
修司は月島の腰を掴み、先端を秘裂へと埋める。
「くっ、先輩の……めちゃくちゃ熱くなってる……」
「ふふ、さっき君が頑張ってイかせてくれたからね」
そのまま穴を探してぬちゅぬちゅと上下に擦っているだけで、早々にむずむずとした感覚が鈴口から広がってくるほどだ。
(うくッ……これだけでも、油断したら射精してしまうんじゃないか……? そうなる前に早く入り口を……)
けれど、焦れば焦るほどに入り口は見つからず、ただただ先端にじれったい疼きが溜まっていく。
(ヤバ……このままじゃ入れる前に……)
そんな焦りが湧き始めた所で、逸物にすっ、と月島の両手が添えられた。
「焦らなくていいから。んッ、ほら……ここだから後はゆっくり押し込んで」
「え、でもここって……」
月島が誘導してくれた場所はちょっと窪んでるか? というぐらいの感触しかなく、とても肉槍が入る穴が開いているとは思えない。
「ん、大丈夫……多分久しぶりなせいで狭くなってるだけだと思うから。無理やり、ねじ込むみたいに押し込んでくれていいから」
「そ、それなら……」
少し怖くはあるが、かといってこれ以上我慢がききそうにもない。修司は覚悟を決めて斜め上から体重をかけるように腰を押し込み――
次の瞬間、にゅぷんっ、と亀頭を火傷しそうなほどの熱が包み込んだ。
「んぅッ」
「あぁッ――」
思わず月島と揃って呻いた修司の頭の中に、強烈な快感が叩き込まれる。
(うお……これ、すご……っ、女の子の中って、こんなに熱くて、ぬるぬるで……)
そこは快感の坩堝だった。
竿先を焼き溶かそうとするような熱と、少しでも油断すれば押し出されそうなほどの強烈な圧迫感が襲ってきて、亀頭しか入っていないはずなのに肉槍全体がじんじんとした快感が反響する。
(先っぽだけでこれとか……全部入れたらどうなるんだ……?)
半ば恐怖すら感じるが、かといってこのままでは先端しか入れてないのに射精してしまうという情けない事態になりかねない。
修司はふぅっ、と息を吐き出して呼吸を整えると、今度は最後まで腰を押し出していった。
「あッ……やっぱ君の、太……っ」
「すいません先輩、一気に入れるんで」
月島が言った通り狭く硬さのある隘路を無理やり押し広げることどれくらいだろう。
漸く腰同士が密着した所で、修司は止まっていた息を大きく吐き出した。
「っく、はぁ――っ、先輩、全部入りました」
あまりにも入れるのがキツかったせいで、月島先輩も苦しかったのではないかと心配していたが、どうやら杞憂に終わったらしい。
「んぅっ……あっ、そっかぁ……これで君も童貞卒業だね、おめでとう」
月島は艶美な微笑みを浮かべて、腰を掴む修司の手を撫でた。
(そうか、これで僕もやっと脱童貞か……)
はじめての挿入に必死だったせいで、言われたことでようやく実感が湧いてくる。
こんな美人の中に自分のモノが入っているという征服感にも似た自信と、肉竿を痺れさせる痛いほどの快感。それらが混ざって胸中を達成感が満たしていく。
(けど、正直入れるだけで精一杯っていうか……いつ射精してしまってもおかしくないっていうか……)
亀頭だけでもいっぱいいっぱいだったのに、今や肉棒全体が熱々の媚肉に噛みしめられているのだ。快感の量が段違いである。
「んっ……どうしたの? 私は大丈夫だから動いてもいいんだよ?」
いつの間にか細めてしまっていた目を開けると、月島が気遣うような視線を向けてきていた。
「いや、そうじゃなくて動くと射精そうで……」
「ああ、そうなんだ。でも無理に我慢しなくても、君が好きなタイミングで出していいんだからね」
一瞬、その言葉に甘えてしまいそうになる。
このまま射精してしまっても多分すごく気持ちがいい。
そう断言できるほど、月島の蜜壺はきつく雄棒へ絡みつき、小さな身動ぎに合わせてきゅきゅっ、と搾りあげてくる。これに合わせるだけで、最後の一滴まで搾りあげてくれそうだ。
けど、入れて即射精などというそんな情けないはじめては嫌だ、というプライドも間違いなく存在していて――
「――月島先輩、動いてもいいですか?」
なんとか勝利を収めた男のプライドだけで、修司は月島の腰を掴みなおす。
「ふふ、もちろん」
快感を噛み殺しながら修司はゆっくりと腰を前後させ始めた。
月島の媚肉は抜こうとするとにゅっちりと吸い付き、突き込む時は熱い蜜液をたっぷりと絡ませて肉竿を締めつけてくる。
ピストンするたびに視界が白みそうになるほどの快感。
先ほど手コキで射精していなければ暴発していてもおかしくなかった。
「くっ……月島先輩の中、めちゃくちゃ気持ちいいです……!」
「ふふ、そうなんだろうね。君ってばもう我慢できないって顔してるよ?」
指摘されて、修司は頬が熱くなるのを感じながら表情筋を引き締める。
一方の月島は眉根こそ緩めているものの、まだまだ余裕といった感じの笑みを浮かべていて。
(なんの……負けてたまるかッ)
セックスに勝ち負けがあるわけではないが、自分がこんなに気持ちよくなっているのだから、少しぐらいは月島にも乱れて欲しい。
修司は蕩けそうな脳をなんとか回転させて、女の子を感じさせるための知識を引っ張り出す。
(たしかGスポットはお腹側の……この辺か?)
「んっ♡」
少し腰をかがめ、打ち上げるように腰を突き出した瞬間、鼻にかかったような甘声が月島の唇から零れた。
修司の全身を自信交じりの歓喜が熱くする。
「先輩、もしかして今の良かったですか?」
「もしかして狙ってやったの? そんな気を遣わなくても好きに動いていいのに」
そう言いつつも月島の目はほんのりと快感に細められていて。
「――なら、月島先輩を気持ちよくさせるために動いたっていいですよねッ」
「あッ、そんな言い訳……っ♡」
目の前の女を善がらせたいという衝動に突き動かされるまま、修司は弱点への執拗な攻撃を開始した。
快感を押し殺しながらなため前後動こそ早くないものの、その分正確さでもって月島のお腹を内側から突き上げる。
「んっ、あっ、ふぅッ♡ これ、勝手に声が出ちゃって……少し、恥ずかしいかな」
「そんなことないです! 先輩の感じてる声、すっごく可愛いです……!」
少しでも声を抑えようとしているのか口元を手で覆う月島の姿に、股間へと血が流れ込む。
サークルのアイドルが、いつもクールな美人が、自分の肉竿で感じてくれている。自分が成し遂げたことに、征服感と喜悦が充ち溢れる。
だがその代償は安くない。
血流が良くなった分更に張りつめた肉竿にも、当然突き込む衝撃が強く響く訳で。
打ち付ける亀頭を中心に肉竿へ、じんとした痺れのような快感が染みわたって修司の忍耐を削っていく。
(くそッ、情けないけど……あんまりもたないな、コレ……!)
あわよくば月島をイかせたい――と思っていたのだが流石に童貞には高望み過ぎたのだろう。
修司は半ば無意識に腰の動きを、気持ちよくさせるための動きから気持ちよくなるためのものに変える。
自分本位でおおざっぱな、雌穴で肉棒をしごく為だけのシンプルな前後動。
「んぅっ、もしかしてもう出そう?」
「すいません先輩、あんなこと言っておいてあんまり気持ちよくさせれなくて……っ」
「ふふ、謝らなくていいよ、私の事気持ちよくさせようとしてくれたこと自体が嬉しかったし。だからお礼に、ぎゅーっ」
「あっ!? くぅッ……!」
月島先輩が自分のお腹に手を置いた次の瞬間、蜜穴がきゅうぅッ、と搾りこまれる。
既ににゅっちりと熱々の媚肉に締めつけられていた肉竿が、暴力的なまでの快感で握りつぶされた。
それはまさしく男に精を吐き出させるための必殺技。
限界をとうに迎え、精神力だけで放出を抑えていた修司にそんな不意打ちが耐えられるはずもない。
「はぁッ、くッ、射精るっ……!」
どぴゅっ、びゅるるッ、びゅくッ――
なんとか腰を奥まで押し込んだと同時、白熱した欲望が尿道を駆け上る。
まるで精液以外の大事な器官まで放出しているんじゃないかという、怖いほどの吐出感。
修司は反射的に藁をも掴もうと手を伸ばし、気付けば思いっきり月島の体を抱きしめていた。
「ふふ、そんなに抱きしめなくても私は逃げないから大丈夫だよ」
力加減がバグっていて痛いのではないかと思うほど全力のハグをだが、月島は柔らかな声で受け止めてくれた。
背中へ優しく手が回され、頭をぽんぽんと撫でられる。
まるで子どもみたいな扱いに羞恥心と情けなさが湧くが、それ以上に安心感が修司の全身を包む。
(ああ、ヤバい……人生で一番幸せな射精かもしれない……)
単純な肉の欲求だけでなく心の底から幸福が広がっていくような快感に、修司はしばし酔い痴れた。
「はぁ……はぁッ」
経験したことないほど長い射精がようやく終わり、危うく脱力しそうになった修司だったが、今のままだと月島を圧し潰すことになると、なんとか体を横へと転がした。
同時にペニスが肉壺から圧し出され、月島の熱が離れていく。
まだ彼女の中に入ったままでいたいと、抜いたばかりにもかかわらず寂しさすら覚えるほどの切なさが胸の中を満たす。
そんな余韻に浸っている修司に、月島は優し気な笑みを浮かべた。
「お疲れ様。私の中、気持ちよかった?」
「はぁっ……はい、すっごく気持ちよかったです……」
「ふふ、そうだよね。だって……んっ、こんなにいっぱい射精してるんだもの」
言いながら、月島は膣に引っかかっていつの間にか外れていたコンドームを引っ張り出し、修司に見せる。
先端が球状になりそうなほどたっぷりと溜まった白濁の量は、改めて自分がこんなにも射精できたものだと呆れるほどだ。
「……なんか、すいません」
「ふふ、なんで謝るのさ?」
「いや、それは……なんとなく……」
そう口では誤魔化した修司だったが、内心では月島がイってないのに自分だけ勝手に気持ちよくなってしまったという引け目であることは理解していた。
(今ならさっきよりもう少しもつか?)
少し考えてみるが、二度も大量に出したせいで頭の中には冷静さが戻ってきていて、そのおかげか今まで忘れていたことを思い出す。
(そういえば、これ撮ってるんだよな……)
自分のはじめての相手を、優しくリードしてくれた女性を、今から晒そうとしている。
そう意識した瞬間、燻っていた熱に冷や水をかけられたような感覚が襲ってきた。
当然ながら、まだ名残惜しげにほんのりと硬さを残していた肉幹からも血の気が引き、くたりとしぼんでしまう。
そんな修司の考えなど知らない月島は、それが充分に満足したという合図だと思ったのだろう。
「ん、二回も出したし流石に落ち着いたみたいだね。それじゃあ私は先にシャワー浴びてくるから、君は少しゆっくりしてるといいよ」
「あ、はい……ありがとうございます先輩……」
ベッドから起きあがるとしっかりした足取りでシャワーに向かう月島。
修司は罪悪感を抱えながらその後姿を見送ることしかできなかった。
――――
「――やっぱり撮れてるよな……畜生」
月島がシャワーを浴びに行ってすぐ、修司は鉛のように重い体をなんとか起こして自身のスマホへと向かった。
何かの間違いで録画失敗していないかと期待していたが、そんな都合のいい現実逃避が実現するわけもなく。修司の手元では先ほどの情事が三人称視点で映し出されていた。
余裕のない表情で腰をへこへこと動かす自分の姿が滑稽に見える。
AVや大竹先輩から送られてきた動画とは比べるべくもない情けない動きに、少しは月島のことを感じさせられたんだという自信が崩れていく。
――いや、もしかしたら本当は演技されていただけ?
虚しくなりかけた気持ちを誤魔化すように、修司は動画を停止した。
(くそ、けれどこれを送れば……)
ヤケクソじみた衝動に修司は送信ボタンに指を伸ばしかけ、そこで踏みとどまる。
(……いや、あの大竹先輩相手だし、万一のことは考えておくべきか)
最悪流出しても身バレしないよう、修司は自分と月島の顔にモザイクを入れた。アプリを使えば難しいことはなく、五分もかからずに作業は終わる。
(よし、これで……)
改めて送信ボタンに指を伸ばし――けれどそうするには少しばかり冷静になりすぎてしまっていた。
(確かに僕からすれば、先輩は罰ゲームで告白したっていう関係で。けど、先輩からしたらそんなことは関係ないんだよな……なのに、僕は先輩の体を自分のために利用しようとして……)
冷めた思考が、改めて自分があの大竹と同類なんだと告げてくる。
(っ、僕は……)
今でもなぜ彼女が告白を受けてくれたのかなんて分からない。けれど応えてくれた以上、自分は先輩の彼氏なわけで。なのにこんな裏切るような真似――
「――送らないの?」
「っ!?」
修司は背後から突然聞こえた声に跳ね上がった。
振り向いた先にいたのは当然月島だった。どうやら、考え込み過ぎて思った以上に時間が立ってしまっていたらしい。
「つ、月島先輩! も、もうあがったんですか……」
「うん。……もうちょっと時間かけた方がよかったかな?」
月島はそういうと首を傾げて笑みを浮かべる。変わらぬチェシャ猫のような、けれどどこか冷たい笑みを。
言い訳のしようもなく、修司が何をしようとしているのか確信している表情だった。
「……いつ、から」
「うん?」
「……いつから、気付いてたんですか」
月島先輩の笑みが深くなる。糸のように細められた視線が更に怜悧になった。
「ぜーんぶ、最初から」
「っ……じゃあ、シャワーあがってからずっと……」
「ああ、違う違う。もっと前からだよ」
「前って……」
「ごめんね、盗み聞きするつもりはなかったんだけど私、耳がいいんだよね。だからさ、送りなよ、それ。君もゼミがかかってるんでしょ」
「っ……!」
本当に最初からだった。
冷たさが背中から這い上り、思考までも凍り付いていくような心地に、修司の視界がぐわんと揺れる。
回らない思考の中、口から出たのは見当違いな疑問だった。
「で、でも身バレとか怖くは……」
「君ならそれぐらいは対策してくれるかなって。流石にそのまま送るような考えなしではないと思ってたんだけど――ああ、もしかして鬼畜系?」
「いやッ、それは勿論モザイクはかけてますけど……!」
「ふふっ、良かった。じゃあほら、後はもう送るだけだね」
自分の裸を流出させられるというのに、月島はまるで気にしていないどころか揶揄うように、修司の肩に顎を乗せる。
恋人らしいそんな仕草はだが、今の状況には酷くアンバランスで、危うげな雰囲気に包まれていた。
化粧や香水の強い香りが落とされた先輩からは、石鹸と、けれどそれだけでない彼女の素の香りとでも言うべき匂いが漂っている。
「……けど……じゃあ、センパイは撮られるかもって分かっててホテルに誘ったんですか……?」
「そうだよ、そっちの方がいいじゃん。面倒事はさっさと済ませたいタイプなんだ、私」
呆気からんとした言葉が、近くから耳朶をくすぐる。生ぬるいはずの吐息に、首筋が凍えて粟立つ。
「だからって、なんで、ここまで――」
「だって、滑稽じゃない?」
くすくすと、小馬鹿にしたような、けれどどこか諦観の混じったような笑い方だった。
「私のことずっと狙ってたのに、冴えない後輩の君に取られて、できることといえば手に届かないただの映像で自分を慰めるだけなんて」
顔は見れないけれど、口元へ馬鹿にしたような笑みを浮かべてるだろうことが分かる声に、修司は体を強張らせる。大竹先輩だけでなく、自分にも悪意が向けられているのは明白だった。
「ああ、だからゴメンね? 君のことも全然知らないんだ。ただ当てつけで付き合ってやろうってだけでさ」
そう言うと月島は修司の肩から離れ、彼の前に立って酷薄な笑みを浮かべる。
「ふふっ、どうだった? これが君の初めての記憶になるんだよ」
「……」
修司は何も言えなかった。
確かにショックだったというのもある。
自分の秘め事を最初からすべて見透かされて、その上で演技までされて、それに微塵も気付けなかったのだから。
けれど、それ以上に月島の浮かべる笑みが酷く寂しそうに見えた。
なにせ彼女がやっているのは自傷も厭わぬ復讐のようなものである。そんな手段を選ぶ程度には、大竹先輩に対してうんざりしているのは明らかで。
いや、大竹先輩だけではない。もっと広範に、自分が性的な目で見られていることにうんざりしていたのだろう。
……そして、自分はそれを踏みにじったのだ。修司の心中に、今更ながら苦い後悔が広がる。
もう自分はどうしようもないクズなのだろう。けれど、これ以上のクズにはなりたくなかった。
――修司はスマホを操作した。
――――
彼の指がスマホを叩き、そして画面が消える。
覚悟はしていたつもりだったが、自分の裸が大竹に送られてしまったのだという事実に、少しばかりうすら寒いものを感じる。
だが、それ以上に私の心を満たすのは、「ざまあみろ」という冷めた爽快感だった。
(お前が必死になって手に入れたかったものは別の男のものになって、お前はもう眺めていることしかできないんだ)
流石にここまですれば、あのことあるごとに体へと手を添わせようとし、顔よりも胸を見て話してくる男の行動も少しはマシになるだろう。
これでももし改善が見られなかったら、その時は――いや、今はそれより目先の問題に集中すべきか。
私は、唇を噛んで俯いたままの彼をぼんやりと眺める。
大竹への鬱憤が溜まりすぎていたせいで、聞かせるつもりがなかったことまでぶちまけてしまった。
当初の予定では、なんだかんだと理由をつけて徐々に距離を取りつつ別れるつもりだったのだが。
今後の彼との関係性をどうしたものかと、私は考えを巡らせる。
先ほどのやり取りで彼にも完全に私が当てつけで付き合ったということは伝わってしまった。
ただ彼も気まずそうに項垂れている感じ、私の痴態を送ってしまった罪悪感はあるようだ。
なら、それを利用して暫くは男除けとして活用させてもらうのもいいかもしれない。先ほどあれだけ皆の前で仲がいいアピールもしたことだし。
これまで話した印象的に、気弱で、面倒くさい思い上がりなどもしなさそうなのも都合がいい。
むしろ問題は過剰に気に病んで逆に彼から離れようとした場合のことか。まあ、その時はまた体で繋ぎとめればいいだろう。所詮こいつも男なのだし、自らセックスできる機会を棒に振ったりはしないはずだ。それに、
(昔付き合ってみた男と違って、行為中もちゃんと私のこと考えてくれてたし、たまに相手してあげるぐらいならいいかな)
私がそこまで頭の中で今後の計画をまとめたところだった。
俯いていた彼が、不意に床へと座り込む。
固い床の上に正座をし、覚悟の極まった目で私の瞳を見据えるその様からは、大竹の言いなりになっていた時のような気弱さは感じられない。
「月島先輩、勝手なこと言ってすいません。……けど、お願いします。僕と別れてくれませんか?」
疑問形ではあったが、頭を床につくほど深く下げる彼の背中からは、有無を言わさない圧のようなものが感じられた。まるで私が受け入れなければ、いつまでも頭を下げたままですらあるような。
その様は、いっそ告白のときよりも男らしい。
想定通りの展開でありながら、想定とは違う彼の態度に、私は思わず少しの間固まってしまう。
(うーん、別れを切り出されるとしてももう少し自信なさげな感じになると思ってたんだけどな)
人を見る目には自信があると思っていたのだが、彼はどうやら私の知っている人種とは違うのかもしれない。
まあ、折角手に入れた
私はクスリと揶揄うような笑みを浮かべ、彼の前にかがみこむ。
「……本当に自分勝手だね、君って。自分から告白しておいて、その日のうちに別れてくれだなんて」
「それは……すいません、本当に」
わざとらしい私の言葉に対しても、彼の声は真摯なままだった。
「あーあ、ショックだなぁ……。ねえ、教えてよ。私の何がダメだった? 本性がこんなイヤな性格で幻滅しちゃった? それとも、思ったより私とのセックスが気持ちよくなかったのかな? ふふっ、だったらゴメンね?」
彼の反応を思い出せばそんなわけがないことは明白だったが、私はわざと挑発するように謝る。
案の定、彼は気まずそうに頭をあげた。
「そんなことはないですけど……でも……」
「でも?」
「……その、やっぱり罰ゲームなんて勝手な理由で告白なんて、間違ってたと思うので。……謝って済むことではないですけど、ごめんなさい、月島先輩」
彼はそこまで言い切ったところで、とうとう耐えかねたのか視線を逸らした。
ああなるほど、どうりで彼が告白している間、大竹がニヤついていたわけだ。
となると大竹からすれば、自分で告白させておいて、結果自分が失恋した形になるわけで。中々に滑稽だ、咄嗟に告白をOKした私に拍手を送りたい。
それはともかく、彼の方から弱みをさらけ出してくれるのは好都合だ。
これならセックスという餌をちらつかせなくても、義務感だけで十分に彼を縛りつけることができるかもしれない。
「ふふっ、そうだったんだ。酷いなぁ、告白は本気だと思ってたのに」
「っ……ごめんなさい」
「いいよ、謝らなくて。その代わり、責任取って彼氏のフリぐらいはしてもらおうかな?」
「彼氏のフリって……」
「要は、私にとって都合のいい男除けになってね、ってこと」
「そういうことであれば、分かりました」
彼は迷うことなく即答する。
あまりにも即答すぎて、ちょっとおかしくなってしまう。
「ふふっ、本当にどういう意味か分かってる? 彼氏の
「分かってます」
具体的に突きつけてやれば少しは躊躇や未練を見せるかと思ったが、それすらなくてさすがの私も少し面喰う。
驚きは、じわじわと複雑な感情へと変わっていった。
(さっきまで、あんなに私の身体に夢中になってたくせに……)
あっさりとそれをなかったことのように扱う彼に、妬ましさのようなものが湧いてくる。
そもそも彼とのセックスは、そこまで嫌なものだったわけではない。
初めてにも関わらずちゃんと私のことを見続け、気遣ってくれていた。少なくとも、かつて
実際、舐められて一度はイかされてしまったし、挿入した後もあと少しで――
(――ってまるでこれだと、私の方がセックスに未練があるみたいじゃん)
男から性的な目的で見られるのがあれだけ嫌だったはずなのに、彼からそう見られていないことにもやもやとしたものを感じている自分がおかしくて、私はくすりと自嘲する。
「月島先輩……?」
「……でもさ、君がそのつもりでもあいつは――大竹はきっと、また私とヤってるところ送れとか言ってくるに決まってるじゃん。そうなったらどうせヤらせてくださいってお願いしてくるんじゃないの?」
その質問は八つ当たりのようなものだった。
こう言えば彼も流石に少しは言い淀むだろうという、それだけしか考えていない咄嗟の衝動じみた挑発。
だが、彼の瞳は揺らがなかった。
「ええ、そうでしょうね。あの人が一回で済ませてくれるとは僕も思ってません。だから、さっきの動画は送ってないです。というか、消しました」
「……え?」
揺らいだのは、私の声だった。
「送ったんじゃ……ないの?」
思わず零れてしまった素の声に、私は慌てて咳ばらいをする。
「んんっ、で、でも! 君はどうしても大竹のいる研究室に行きたいんだよね?」
「それはそうなんですけど……でも、それって自分の欲望のために月島先輩を生贄にするようなもので……やっぱり、やめました。里見教授のところへは自分の力で行きます。直談判したり、GPAあげたり……」
彼は気まずそうに頬を掻きながらも、視線はじっと逸らさない。
その言葉に嘘がないのは誰が見ても明らかだった。
けれど私のこれまでの経験は、無意識にそれを否定するような言葉を口にさせる。
「……あはは、無駄だよ。そんな嘘ついたってどうせ分かるんだから。それに、一度は送ろうとしたんだし、信じられないよ」
「ですよね、罰ゲームで告白なんてするやつのことなんか信じられないっていうのも分かります。だから――」
彼は手にしていたスマホを操作して、私へと手渡した。
ロックは解除されていて、ホーム画面が無防備に晒されている。
「送信履歴とか、動画フォルダとか、月島先輩の気が済むまで調べていいですから」
私の指が、ぎこちなくスマホを操作する。
確認するまでもなかったが、本当に送ってもいなければ、動画のデータも残っていなかった。
動画はどれも一週間以上前に撮影されたものばかりで、今日の日付のものはない。
「あは……でも、どうせなんか別の場所に保存したり、隠してるんじゃないの?」
「信じられないっていうなら壊してもいいですよ、防水のじゃないんで多分湯舟にでもつければ壊れると思うんで」
彼の真っすぐさに私はたじろぐ。
もう彼がつまらない嘘をつくような人間じゃないというのはとっくに分かっていた。
分かっているはずなのに、まだ「どうせ男なんて」という猜疑心は納得しない。
(い、いや、流石に壊すのはやりすぎだけど……そうだ、動画は残ってなくても、例えば写真だけは残してたりするんじゃ……)
私は執念深くフォトフォルダを開き――やはり、そこにも私との情事の写真などなくて。
けれど、私は並んだサムネイルに言葉を失った。
「え、あの……これって……」
「えっ、あ、もしかして消せてなかったですか!?」
「いやそうじゃなくて……」
慌てたように立ち上がった彼が、私と肩をくっつけるようにして画面を覗き込む。
そこに映っていたのは、『東京都最高峰 雲取山』と刻まれた石製の山頂標識の写真であった。
「これって、君が撮ったの?」
「え? ああ、はい」
「いつ?」
「この間の連休のときです。サークルでどこかに行くみたいな話はなかったですけど、せっかく東京の大学に来たんだから、最高峰ぐらいは登っておきたいなって」
話を聞きながらも、私は画面をスワイプする。
「あ、シカいたんだ……かわいい」
「ああ、一日目は曇り気味でちょっと不安だったんですけど、代わりに動物運は良くて……」
「あっ、ルリビタキじゃん! しかもこっち見てる……!」
「そうなんですよ! 正面から撮れるのって結構レアで……あと、すぐ逃げられちゃったんですけど、この日はカモシカも遠目に見かけて――」
「それで翌日はこのご来光!? こんな一面の雲海から昇ってるところとか絶対すっごく生で見たら感動するじゃん……いや、写真でも充分綺麗だけど! いいなぁ、私が登った時はガスってて全然見れなくてさぁ……」
「あはは、まあ天気ばっかりはどうしようもないので……っていうか、月島先輩ってもしかして登山とかトレッキングとか好きなんですか? 履いてた靴も、登山メーカーが出してるやつでしたし」
「っ……」
彼に言われてようやく、私は自分が熱く話し込んでしまっていたことに気付く。
それは、今までずっと待ち望んでいたものだった。
いつか、本当に山や自然が好きな人と出会って、思いっきり語り合う。
それこそが、ノリが合わないと思いながらもこのサークルに残り続けていた理由で、けれど今までサークルの中で誰に言っても理解してもらえなかった想いだった。
じんわりと、心の中に温かさが広がる。
口元が自然とほころぶのが分かった。
「ああ、うん……実は、ね。って言っても趣味レベルで、全然ガチ登山とかは苦手なんだけどさ」
「あー、それはなんとなくわかります。僕も最初は登山サークルの方見学してみたんですけど、あっちはガチガチの競技登山って感じでちょっとなって」
「やっぱりそうだよね! なのにこっちはこっちで全然山に登る気配すらなくてさ――ってごめん、ちょっと興奮しすぎちゃって」
彼が気まずげに視線を泳がせはじめて、私はいつのまにか胸を押し付けるように密着してしまっていたことに気付く。
慌てて少し距離をとると、彼は赤くした頬を掻きながら苦笑した。
「あはは、大丈夫です。話ができて嬉しい気持ちは分かるので。……飲み会だけじゃなくて、山で朝日を見ながらみんなで朝にコーヒーとかも絶対美味しいと思うんですけどね」
それは彼からすれば照れ隠しのため咄嗟に出ただけの言葉だったのかもしれない。
けれどそういうことをずっと夢見ていた私にとって、その言葉は実際に体験したかのように生々しい情景として頭の中に像を結ぶ。
彼のように本当に山が好きな人と一緒に登り、夜は黒い闇の中に星座を探して、朝は太陽が昇る前の澄んだ香りを吸い込む。
それはきっととっても楽しいに違いなくて――
早くもドクドクとうるさい心臓にせっつかれるようにして、「それなら今度一緒に登ろうよ」と誘おうとした瞬間だった。
「――なんだ、月島先輩がこんな人だってもっと早く知ってれば」
そう口にする彼の顔は後悔に濡れた、ひどく寂しげなものだった。
まるでもう自分は二度とそんなことできはしないのだというような表情に、高鳴っていた心臓を握りつぶされたような心地がする。
ようやく見つけた自分と同じことが好きな人なのに、どうして離れていこうなどとするのか。
いや、これまでのやりとりで彼の性格は大体わかっている。真面目な彼はきっと、罰ゲームで告白したり、裸の写真を送ろうとした自分なんかが一緒にいる資格はないなどと考えているのだろう。
そういう風に考えてくれること自体は嬉しい。けれど、このままでは彼とこうやって話す機会はもう二度となくなってしまうのも間違いなかった。
なにせ彼にとってはもう、このサークルに属している理由がないのだ。
そうなれば私と彼を結び付けるものはもう何もない。だって私は彼が一年生だということしか知らないのだ。
学部も、家も、連絡先も――
(――そうだ、私、ちゃんと名前すら知らないんだ……)
大竹への当てつけのつもりだったとはいえ、
手段が違うだけで、やっていることを見れば、私だって憂さ晴らしの為に彼を利用していたのに変わりはなかった。
それを棚上げして、一方的に許してあげるなどというのもおこがましい。さりとて、私から謝ったところでより彼の罪悪感を深くするでけではないのか。
どうすれば彼を繋ぎ止められるのか、長らく表面だけの人付き合いしかしてこなかった私にはわからなかった。
(どうしよう……どうすれば……せっかく、ずっと探してた友達候補なのに……!)
思考はただただ空回りし、けれど感情では彼と離れたくないと、私は無意識のうちに彼の体へとすり寄るように密着していて。
「っ……その、月島先輩、近いです」
彼が視線を逸らせ、それとなく両手で自分の股間を押さえる。
自分の体に反応してくれていることに、私は彼も男なのだと不思議な安堵感を覚えた。
大丈夫、これなら繋ぎ止められる。自然と口元に笑みが浮かんだ。
「……ねぇ、私と仲良くするの、嫌? そんなに私って魅力ないかな」
ぴとり、と。
私は二の腕どうしを密着させるように彼との距離をさらに縮めた。
「っ、そんなことは、ないですけど……」
彼が距離をとるように半歩ベッドの方へと後退り、私は一歩その後を追う。しっとりと濡れた肌が吸い付いた。
「けど?」
「さっき言ったみたいに、もうこれ以上こんなことしなくても……」
私の胸をちらちらと見ながらも、頑として手を出してこようとはしない彼に、段々と私はヤキモキしはじめる。
高校生のときにお試しで付き合った男は、私の意思なんて関係なく手を出そうとしてきたというのに。
彼にとって私はそこまで魅力的ではないのかと考えると、何だか胸の辺りがもやもやとする。
いや、それ以上にこれしか彼を繋ぎ止める手段を知らないのだ。
押してダメなら更に押すしかない。
私はアプローチをもっと直接的なものへと切り替えた。
ふにゅり、としなだれかかるようにして彼の二の腕を胸で挟み込みむと、股間を押さえる両手の下へと指先を滑り込ませ、彼自身をかりりと撫でる。
「あぅ……月島、先輩……っ」
「ね、君のここ、すっごく熱くて硬くなってて……辛そうだし、楽にしてあげようか?」
「でも、そんなの……」
「……例え罰ゲームの告白だったとしてもさ、さっきまで一応は彼女だったんだよ? お願い、聞いてくれないの?」
我ながらひどくズルい言い方だという自覚はあるが、その甲斐あって彼の体からゆっくりと抵抗が抜けていく。
押し倒すようにして彼をベッドの端へと座らせると、私は脚の間に入り込むようにして床へと膝をついた。
「あは、ありがとね。お礼にいっぱい気持ちよくしてあげるから」
彼は躊躇と葛藤に口をつぐんだままであったが、その目には言い逃れできない期待の色が滲んでいる。
遠慮がちながら熱っぽい視線は私の胸へと向けられていて、見られているところからじわりと火照りが広がった。
性的な対象として認識されていることに奇妙な昂揚を覚えながらも、私は小さく笑って見せる。
「ふふっ、やっぱり君ってばおっぱい好きなんだ」
「っ、すいません」
「もう、私がやってるんだから謝らなくていいのに。でもそんなにおっぱい好きなら、きっとこういうこともやられてみたいって思ってたんじゃないかな?」
「うぁ……っ!?」
先ほど二の腕でデモンストレーションしたように、胸の谷間へと彼の肉竿を浅く挟み込む。
彼の眉根が苦しげに歪んだ。
けれどそれは快感に反応しまいと我慢しようとする苦しさなのは間違いなくて、私は思わず笑ってしまう。
「あはっ♪」
瞬間、彼はだらしなく開きかけていた口を真横に引き締めた。格好悪い表情は見られたくないというような抵抗も可愛らしい。
「あ……ごめんね、笑っちゃって。でも、君が気持ちよさそうにしてるのが嬉しくて……だから、もっと気持ちよくしてあげるね――んっ」
心臓と密着させるように谷間の奥へと彼の分身を導いて、逃さないよう両手で横からぎゅっと圧迫する。
それでも包み込みきれず、白い谷間から覗く赤熱した先端へぬとりと唾液を落とすと、彼が低い呻きを溢した。
「うぁ……熱っ……」
彼の嬉しそうな声が楽しくて、くちゅくちゅと涎を垂らし続けるうち、ついつい胸の間には唾液の沼ができてしまっていた。
「んっ、これぐらいぬるぬるにすればいいかな。じゃあ、動くね」
上目遣いに彼の様子を伺いながらゆっくりと胸を上下させると、にちっ、にちゅっ、といやらしい音が胸の間で鳴り響く。
そのたびに彼は小さく腰を震わせ、肉竿がびくびくと暴れまわった。
「どうかな? はじめてだけど、ちゃんと君のこと気持ちよくできてる?」
「はじめて……なんですか?」
余裕なさげにしながらも、彼は驚いたような声をあげた。
「うん、意外だった?」
「や、その……すいません……」
「あはっ、ひどいなー? 君ってば私のことビッチだと思ってたんだー」
「いやッ、その……そういうことでは……くぁっ!?」
わざとそう見えるように振舞っていたのを棚上げして、私はちょっと八つ当たり気味に乳房越しに肉竿を圧し潰す。
ぐちぐちと唾液を塗り込むように捩りを加えると、彼の手が藁を掴もうとするみたいに宙を掻いた。
「悪いと思ってるならさ、君のことなんて呼んだらいいのか教えてよ」
「っ、それは、普通に佐原って……」
「そうじゃなくて、名前の方が聞きたいなー?」
肉竿を圧迫する力加減はそのまま、今度は胸を根元へと叩きつける。
ぱぢゅんッ、と派手な音に相応しい反動が私の乳房を波打たせ――彼の股間にもその分の衝撃が走ったのだろう。
彼はバネのように頤を跳ね上げると、悲鳴じみた声をあげた。
「ぅぐ……ッ、修司っ、修司ですッ!」
よし、これで彼の名前ゲットである。
私は意地悪をしてしまった分を労わるように乳房で彼の分身を按摩しながら、優しい笑みを浮かべてみせた。
「そっか、修司で二人目だよ、えっちなことするの」
「それは、なんというか……光栄、です」
「だから比較対象は一人だけだけど、修司のって大きいよね?」
「そう……なんですかね?」
彼は困ったように頬を掻く。
だが、胸に挟み込まれた彼の分身は喜ぶようにどくどくと脈動していて、私は内心ほくそ笑んだ。
「ふふっ、私のおっぱいも大きいと思ってたけど、それでも修司のはこんな風に包み切れないんだもん」
「っ……」
おまけに胸の谷間から顔を覗かせる竿先の前で、頬ずりをするように上目づかいで小首を傾げてみせると、彼は慌てて表情を引き締める。
尤も、その寸前頬が緩みそうになっていたからこそ、そうしなければいけなかったのは明白だ。
よしよし、やはりこの台詞は効果抜群らしい。
まさかかつて「こんな風にやってよ」と無理やり見せられたAVの知識がこんなところで役に立つとは思わなかった。
……とはいえ、別にただのリップサービスいうわけでもない。
実際彼のものが高校生のころ付き合っていた男のものより大きいのは事実だ。
(それに、こうやって改めて目の前で見ると……)
まるで日本刀のように反りは深く、片手では持て余しそうな幹には、木の根のような血管がビキリと浮いている。
先端の色が可愛らしいピンクなので少し中和されているが、かなり凶悪な造形だ。
肉棒という呼び方があるのは知っているが、どちらかと言えばこれはもう棍棒である。
(さっきはヤケになってて気付かなかったけど、こんなのが私の中に入ってたんだ……)
先ほどまでの感覚を思い出した瞬間、ズキリとお腹の奥に締めつけられるような痛みが走った気がした。
それに、凄まじいのは造形だけではない。
(なんか匂いも、蒸れてすごくえっちな感じだし、こんなのずっと嗅いでたら……)
彼の先端から零れる透明な雫からは、雄臭いとしか言いようのない強烈な匂いが漂っていた。
芳醇な香気は鼻孔を通って脳にまで染みこみ、私の思考をくらりと揺さぶる。
――だからだろう。こんないやらしいことを考えてしまうのは。
(なんか、ちょっとおいしそうかも?)
かつて嫌悪の象徴でもあったそれに対し、私は気付けば犬が匂いを嗅ぐみたいに鼻先を近付けて――ちろり、と舌先で流れていく雫を舐め取ってしまっていた。
「うぁッ……!?」
彼が腰を跳ねさせ、悲鳴じみた呻きを漏らす。苦しそうに眇められた視線に、私もようやく自分が何をしたのか気付いた。
同時に、口の中に彼の味が広がる。
しょっぱくて苦くて、とても人が口にするものではない味。そのはずなのに。
(……でも、なんでだろう……私、まだ、舐め足りないって思っちゃってる……?)
かつて髪を掴まれて咥えさせられそうになった時のような、匂いだけで嘔吐くような感じはまるでない。
私は自分の中に生じた変化に困惑して思わず視線を上げ、切なげに目を細めた彼と視線が交わった。
「あ……」
先ほどまで胸に夢中だった彼の視線は今や私の口元に集中していて、何を期待しているか、笑ってしまいそうなほどに分かりやすい。
そんな彼の様子に、胸中の疑問はあっさりと嬉しさに塗り替えられる。
「もう、修司ってばもうおっぱいで挟まれてるのに、その上舐められたいんだ?」
「っ……すいません……」
「あはっ、謝っても否定はしないんだー?」
「――っ」
口元を押さえて気まずそうに視線を逸らす仕草が可愛くて、次の行動はあっさりと決まった。
「じゃあ、修司の好きなの、いっぱいやってあげるね――るろぉ……っ」
ソフトクリームを舐め取るみたいに、胸の谷間から顔を出す先端へ舌を這わせて、下から上へとゆーっくりと擦りあげる。
「うっ、あくッ……月島先輩の舌……っ、ざらついてて、ヤバ……っ」
彼がぎゅっ、とベッドについた拳を握りしめて全身を震わせる。シーツに刻まれた深い皺は、そのまま彼の感じている快感の強さを示していた。
「あはっ、そんなにコレいいんだ?」
気持ちよくなってくれていることが気分よく、私は返事を待たずに追撃を開始する。
山ビルのように舌をちゅぅっ、と張り付けたまま、ピンクの先端を重点的に這い回す。或いは、清水のように尽きず湧き上がる彼の蜜を、余さず舐め取るようにとでも言うべきか。
改めて舌で触れて気付いたのだが、先端部は見た目通りつやつやしている一方で、張り出した傘の裏側は意外とざらざらしていて、そういう発見があるのも楽しい。
「あッ、そこッ、あんまりされると……っ、うぅぅぅうッ!」
それに、ざらついている分引っかかりや摩擦も大きいのか、彼の反応が露骨に大きくなるのもよかった。なにせ、それだけ私に夢中になっているということなのだから。
(よしよし、これなら私から離れたいなんて思わなくなるはず……!)
彼を私の体の虜にするという計画は想定通りに進んでいたが、一方で想定外のこともあった。
(けど、なんだかこれ舐めてると、変な感じになって……)
美味しくないはずなのに、と私はぼんやりする頭で愚痴りながら、ちゅぞッ、と蜜を啜る。
こくりとそれを嚥下すると、胃の底から下腹へとじんわりと熱が広がって、とうとう私は我慢できず、ムズつきはじめた内腿を擦り合わせはじめてしまう。
(っ、これって……)
その感覚には覚えがあった。
眠ろうとしても眠れない時の火照った感じ。仕方なく自慰行為をする時のような疼きが、私の下半身をぴりぴりと包み込んでいる。
普段なら鬱陶しさしか感じないその感覚は、けれど今日は嫌なものではなく。
「んっ……ふぅ……ちゅっ、ちゅぢゅちゅッ――」
むしろその感覚の先にあるものへと辿り着きたくて、こうなった原因である彼のペニスへと更に貪欲に吸い付いた。
先端から零れたのを舐め取るのではもはや足りない。はしたないと思いながらも大口を開けてピンクの果肉全体を口の中に咥え込む。
「――ッ、くはッ、先輩に、僕の食べられて……っ」
……しまった、もしかしていやらしすぎて引かれたりしていないだろうか。
心配に駆られて上目遣いに見上げるも、彼は私の無作法を責めるでもなく、逆に嬉しそうに口元を緩めて熱っぽく見つめてきていた。
ほう、と内心息をつく。
他の人にどう思われようが、彼が喜んでくれているのであれば遠慮する必要もないだろう。私は自分の欲望に素直になって、彼の味を堪能しはじめた。
ロリポップキャンディにしゃぶりつくみたいに口の中で先端を舐めまわし、余すことなく彼の味を飲み下していく。特に、新鮮な蜜が湧きだすぷにりとした赤い先端は念入りに。
あっという間に私の口内は魅惑の味で塗り潰されて、鼻にまで濃厚な匂いが逆流してくる。
(んんッ、あッ、これ……修司のっ……美味しくないのに……ドキドキして、うずうずして……いつまでも舐めてられそう……)
彼の味が濃くなるのに合わせて、お腹の奥の疼きも強くなる。
けれど、その一方で満たされないような不満感も比例するように強くなり、私は急かされるようにますます熱心に口舌を動かすのに集中していき――
「――っく、月島、先輩……あんまり、そうやって敏感なとこ、口でばっかりされると……っ」
切羽詰まった彼の声に、私はハッと正気を取り戻す。
いつの間にか、彼を夢中にさせるはずが自分が夢中になってしまっていた。
お陰で胸を圧迫する手の力は完全に緩んでしまっており、唾液の沼はおへそにまで垂れ落ちてしまっている。
「ぷはッ、ごめんね、つい口ばっかりになっちゃって。ちゃんと修司のことも気持ちよくしてあげるから――ぢゅッ、しゅるるるるッ」
私は焦りに任せるまま、思いっきり先端に吸い付きながら、今までの分を取り戻すように手へ力を込めて胸で思い切り肉竿を圧迫し――
「――違ッ、そうじゃ……あっ、先輩ッ、ごめんなさい……ッ!!」
瞬間、彼が一際大きく痙攣するように腰を跳ねさせた。
「えっ、きゃッ!?」
突き出された穂先が上唇を擦って鼻先にぶつかった瞬間、白い奔流が迸った。
びゅくッ、びゅるッ、びゅるるぅッ――
一斉射ごとに小さなためを作って、その分勢いを増しながら、彼の精液が噴火する。
「わ、わわ……っ」
胸による圧迫を押し返そうとするみたいにどくん、どくん、と力強く脈動しながら打ち出された精液が、私の顔へ髪へとへばりつく。
透明な蜜よりも熱く、粘り気のある濁液は当然その匂いも濃い。肌に染みついてとれないんじゃないかと心配になるほどの濃厚さに、けれど私は口元を緩めてしまっていた。
(……でも、それも悪くないかも)
何だか彼から、否、修司からマーキングされているような、離さないと言われているような心地に私はうっとりと目を細めて、白いシャワーを堪能し。
ようやく吐出が収まった頃には、私の顔はパックでもしたかのように修司の精液で真っ白に染め上げられてしまっていた。
そのせいで、息をしようとするだけで先ほどとは比較にならないほどの濃密な修司の香りが鼻孔へと流れ込んできて、頭がくらくらしそうになる。
「はぁ……っ」
私はなんとか落ち着こうと熱の籠った息を吐き出し、そこでようやく自分の失敗に気付いた。
(しまったな、本番の前に射精させちゃうなんて……)
修司は本日これで三回目の射精だ。もしかしたら精液を吐き出しきって、もう今日はこれ以上そういう気分にならない状態になっているのではないいか。
それだと計画が……と、心配しながら、いつの間にか閉じてしまっていた目を開け。
「あ……」
眼前で尚も力強く反り返る修司のペニスに、私は喉をこくりと鳴らす。
見下ろしてくる視線も、むしろ先ほどよりも獰猛に、捕食者じみている。
結果だけ見れば万事よしなのだが、それでも予想外の光景に思わず聞かずにはいられなかった。
「えっ、あの……男の子って、二、三回ぐらい出したらもうその日はダメなんじゃないの?」
「その、普段はそうなんですけど……月島先輩みたいな綺麗な人にあんな熱心にフェラされたからですかね、なんか全然収まらなくて……すいません」
修司は座ったままながら、腰を引くようにして謝ってくる。
だが、気まずそうな修司とは対照的に、私が感じたのは胸が詰まりそうになるほどの嬉しさだった。
(っ……綺麗なんて言葉、散々言われ慣れてるはずなのに……)
ワンチャンあるかもと期待する男どもから軽薄に繰り返されて、もう何も感じないと思っていた二文字。それを修司に言われたというだけで、心臓がドキドキと高鳴って止まらない。
張り付いた精液の熱に負けないくらい、頬が熱く、赤くなるのを感じて、私は慌てて計画を軌道に戻すべく、余裕気な笑みを取り繕った。
「ふふっ、まあ嫌じゃないし謝らなくていいけどね。そんなに魅力的だと思って貰えるのは嬉しいし。けど――」
じんわりとした痺れに包まれたままの下半身に力を入れて、私はつま先立ち気味に立ち上がる。
丁度ベッドに腰掛けた修司の視線の先に、男が大好きな花園が見えるように。
「――本当は出すならちゃーんとこっちの方に出したいよね?」
想定通り、修司の熱っぽい劣情の視線が股間を舐めるのを感じながら、私は腰を突き出すようにして大陰唇を開いて見せた。
つーっとえっちな涎が垂れてしまうほど濡れていたことに気付いて恥ずかしくなるが、震えないように指先へ力を込めながら、余裕の笑みを張りつける。
「~……っ」
彼はまだ躊躇があるのか言葉では何も言わないが、うっすらと前傾姿勢になり喉仏を大きく上下させた。
大好物を我慢できない子供みたいで可愛くて、私は張り付けた笑みを自然に崩してしまう。
「あはっ、じゃあ……しちゃう?」
「っ……いいん、ですか?」
期待にキラキラとさせた目で見上げてくる彼に、私は待ってましたと交換条件を突きつけた。
「ただし。修司も私のことを名前で呼んでくれたらだけどね?」
「えっと……?」
「だって、私だけ修司のこと名前呼びってちょっと不公平じゃない? だから、修司にも私のこと、ちゃーんと叶多って呼んで欲しいなーって」
「それは……」
修司は躊躇するようにくるりと視線を一周させ、けれど小さく息を吸うと、真っすぐな視線を向けてくる。
「えっと……その、か……かな、た……先輩」
むぅ。
これから友達になろうとしているのだから先輩は付けないでほしかったのだけれど……とはいえ、修司の顔は私の裸をはじめて見た時以上に真っ赤になっている。これ以上無理強いさせてしまうと、本命のお願いの邪魔になってしまうかもしれない。
(まあ、焦らなくてもいいかな。それより今は確実に友達になってもらわないとだし)
今後の計画を確認しながらも、修司の横をすり抜けるようにしてベッドの上へと四つん這いになる。
肩越しに振り返って流し目を送ると、修司は案の定私の秘所へと釘付けになっていた視線を慌てて彷徨わせた。
「ふふ、よくできました。それじゃあ修司がしたかったこと、してもいいよ?」
ふりっ、と誘惑するように腰を捩ってしなを作ると、修司の優しげな目の奥で獰猛さがギラリと輝いた。
「つきし……叶多先輩っ!」
「あんッ♡」
鷲が獲物に爪を立てるみたいに尻たぶにがっしりと指を沈めてきた修司に、やっぱり彼も男なんだなと妙な安堵感みたいなのが湧いてくる。
私はできるだけ甘さを滲ませた悲鳴をあげて、くいっと挿入しやすいようにお尻をくいっと上向きに捻る。
(ふふっ、後はいい塩梅に感じるふりをしてあげればいいかな)
そうして最後に射精直前で焦らしてやれば、あっさりと友達になることへ首を縦に振らせることができるだろう――と、そう思っていたのだが。
「っ……んやあぁッ!?」
馴染ませるように膣口をくすぐっていた修司のものがぐっ、と中への侵入を開始した瞬間、私の口から予定外に大きな声が溢れる。
自分の意志とは無関係の反応に、咄嗟に背中を突っ張らせて口を押さえると、修司が後ろから心配そうな声をかけてきた。
「っ、叶多先輩、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。大丈夫だから、その……ちょっと思ったより刺激が強かっただけで」
こんなことで変に遠慮されては、言うことを聞いて貰えないかもしれないと、私は慌てて艶美な笑みを浮かべ直す。
「ふふっ、さっきいーっぱい修司にえっちな精液かけられちゃったから、もしかして敏感になっちゃってるのかもね?」
適当な言い訳と共にわざとらしく首をくりっ、と傾げると、修司は安堵したように眉根から力を抜いて、私の腰を掴みなおす。
「じゃあ、叶多先輩のことびっくりさせないようにゆっくり入れますね」
「もう、そんなに気を遣わなくても、修司の好きなように――~っ、あッ、んんぅ……っ♡」
ずぬぬぬぬ、と遠慮がちな挿入が再開された瞬間、私の演技は強制的に中断させられた。
(あっ、うぅぅぅッ、なんで……っ、さっきは、余裕だったのにぃ……っ)
ゆっくりとした、様子を確かめるような優しい突き入れに、けれど私の背筋はぴくぴくと痙攣しっぱなしになってしまう。
膣内にも力が入ってしまっているのか、ぎゅうッ、と修司のペニスの型をとるように内側が隙間なく窄まり、その形や大きさが容赦なく脳裏に像を結んだ。
(あぁぅッ……! やっぱり、修司のっ、反りが深くて、ゴツゴツしてて……っ、いっぱい引っかかって……っ)
今更ながらに、ゆっくりとした結合だからこそ、それが強く意識されるのだということに気付く。
私は修司の優しさを呪いながら、近くにあった枕へと声が出ないよう思いっきり顔を埋めた。
これ以上感じないようにしなければ、また彼を躊躇させてしまうし、なにより主導権を握れない。何より、本当に感じてしまっている声を聞かれるのは、何だかひどくはずかしかった。
そう思ってはいるのに体は言うことを聞かず、勝手に膝裏へと力が入り、より修司を受け入れやすいようにお尻が持ち上がってしまっていて。
肺まで押し上げられるような圧迫感と共に、ぬぢッ、と大陰唇と下腹の間でえっちなお汁が潰される音がした。
「んんぅッ……修司ぃ……修司のっ、ちゃんと全部、入れられたぁ……?」
「はい……っ、奥まで、全部……」
答えながら修司がぶるりと腰を震わせて、私は自分だけ気持ちよくなってしまっているわけではないことに少し安堵する。
「あはっ、良かった……。じゃあ、入れるのは気を遣わせちゃったみたいだから、後は修司の好きなように動いていいよ?」
「っ、なら……!」
男心をくすぐる私の台詞に、お尻を掴む修司の手に力が籠った。
よし、これなら多少動きも自分本位な荒っぽいものになるだろうし、先ほどのように耐えられるようになるだろう。
だが、そんな私の予想とは裏腹に、修司は相変わらず遠慮気味にゆっくりとした動きで膣内を往復し――
(――っ、違うっ、これっ、私の
お腹側を突き上げたかと思えば、今度は背中側を擦られ、今度は左側を――というように、修司は明らかに特定の箇所を狙い撃ちにしてきていた。
「んんッ♡」
そして、ちょっとでも私が反応してしまった場所があれば、今度は執拗にそこを責めてくる。
(あッ、そこっ……ダメっ……♡ そこもぉっ……んんんんッ、私の弱点、どんどんバレていっちゃってるぅ……っ)
そうだ、焦っていたせいで忘れていたが、修司はついさっき初めてだというのに好きにしていいと許可しても自分より私を気持ち浴させようとしてくるようなタイプだったではないか。
自分でも知らなかったイイところばかりに当て擦られ、膣内はあっという間に蕩けそうなほどに熱を帯びていく。額にまで浮かんだ汗が伝い落ちる感覚に、私は必死に余裕を取り繕って振り返った。
「ね、ねえ修司っ! そんなに気を遣わなくても、修司の好きなように動いていいんだよ?」
「え……好きなようにって言われたので、叶多先輩にも気持ちよくなって欲しくて動いてみたんですけど……やっぱり、下手でしたか?」
迷子になってしまった仔犬みたいに自信なさげな修司の顔に、胸が締め付けられる。
「や……! そんなこと全然ないよ、むしろこんな気持ちよくなったの初めてでびっくりしてるというか……」
勝手に口が本音を溢してしまい、けれどしまったという後悔は、嬉しそうな修司の顔に塗り潰された。
「本当ですか? なら、もっと叶多先輩のこと気持ちよくできるように頑張りますね……!」
「やッ、待っ――あんッ、んんんぅッ♡」
修司の腰の動きが早くなる。狙いの正確さはそのままに。
下腹から突き上げてくる密度の上がった快感に、視界がちかちかと白んだ。
既に自分一人で仕方なく慰めていたなら、とっくに満足しきっているほど神経は昂っている。
けれど修司はそんなものでは許さないというように、止まることなく快感を塗りこんできていて。
不随意に全身がぴくぴくと跳ねまわるのをどこか他人事に感じながら、私はぼんやりと考える。
(ああッ……もしかして、これが本当の、セックス……んんっ♡ なんだぁ……)
今までセックスというのは男が気持ちよくなるために付き合ってあげるものだと思っていた。
少なくとも、私の経験ではそうだった。
だけど、そうじゃない。下腹から湧き上がってくるのは肉が生み出す単純な快感だけではない。
ちらりと背後を振り返ると、必死に歯噛みして快感に耐える修司の顔が映る。
自分の気持ちよさを堪えて、私のことを気持ちよくしようとしてくれているんだという幸福感が、快感を何倍にも高めていた。
それは今までに経験したことのない感覚で、文字通りふわふわと宙に浮いてしまいそうに不安定でもあり――けれど、不思議と嫌ではなく。
むしろ、雲の上に寝転ぶように、その感覚に身を任せていつまでも揺蕩っていたいと思うようなものであった。
「あッ♡ んあぉッ♡」
……この、汚い喘ぎ声さえ出なければ。
低く潰れた、とても可愛いとは言い難い声に、私は口を押さえる。
こんな声を聞かせて、修司に幻滅されてはたまらない。どうにかしてもっと可愛い声を、修司を冷めさせない可憐な喘ぎを取り繕わなければ。
ふぅふぅと私は必死に鼻呼吸で息を整えて――
「――んへッ♡」
けれどそんな努力は、苛立ちが混じったような腰遣いによって瞬く間に突き崩されてしまう。
前後動を加速させた修司は、明らかに私に汚い声を出させようと弱点を執拗にほじくり返していた。
「あぉッ♡ やッ、しゅう、じぃ……っ、んひッ、ダメ……っ、それ、可愛い声が出せなくぅ……っ」
「……大丈夫ですよ、叶多先輩」
不意に耳朶をくすぐるほどに近づいてきた修司の声に、ぞわりと首筋が熱く粟立つ。
「余裕のない叶多先輩の声も、ちゃんとすっごく可愛いので」
「~っ」
嬉しさと羞恥の混じった感覚に、全身がじわりと汗ばんだ。
「嘘っ、ウソウソウソぉ……っ、こんな声、全然可愛くなんかぁ……んおッ♡ ほらぁっ、こんな声、修司に幻滅されちゃう……っ」
「幻滅なんてしないですよ。むしろ、素の叶多先輩がちゃんと感じてくれてるんだなって思えて、達成感ありますし――っ!」
「んはお゛ぉッ!?」
それを証明しようとでも言うように、修司は散々に解してきた弱点にごりゅっ、と乱暴に穂先をめり込ませ、私の口からは獣のような悲鳴が上がる。
「……ふふ、やっぱり余裕のない叶多先輩、可愛いです」
一転して甘やかすように囁かれた言葉に、背筋をぞくぞくとしたものが駆け巡り、お腹の奥がきゅうぅッ、と軋むほどに疼く。
(うぅッ……修司に可愛いって言われるのは嬉しいけど……っ、やっぱりこんなの恥ずかしすぎて無理ぃッ!)
僅かな間の長い葛藤の結果、私は再び口を手で押さえた。
修司が背後で少し怒ったように吐息をつく。
「……分かりました、そんなに叶多先輩が聞かれたくないって言うなら――」
「きゃッ……!?」
次の瞬間、肩に伸びてきた修司の手によって、私はあっさりと仰向けにひっくり返されてしまう。
(っ! あんな声出ちゃうくらいだから、顔だって絶対見せられなくなっちゃってるのに……!)
けれど、その事実に気付いた私が両手で顔を隠すより早く、修司の顔が近づいてきて。
「んっ!? 待っ――ちゅっ、ちゅぢゅっ、ちゅくるッ」
止める間もなく唇が重ねられ、舌がにゅちりと差しこまれた。
まるで私を味わおうとするかのように歯肉を舐められ、舌を擦られ、粘膜が触れ合うたびに柔らかな快感が生じる。
勿論、その間もねちっこく意地悪な下半身の動きは続けられていた。突き上げによる力強い快感と優しい快感が混じって頭の芯をじんわりと痺れさせる。
無意識のうちに私も舌を動かして修司の動きに応えており、たがいの熱っぽい吐息で肺がいっぱいになるほど長く私たちは上下で繋がって。
「ぷぁ――」
離れていく修司との口の間に唾液の橋がつーっと長い糸を引くのをぼんやり見ていると、彼が不意に気まずそうな表情を浮かべて動きを止めた。
「あ。……すいません、勝手にキスとかしちゃって」
……まったく、何を言っているのだろうか。
もう散々とそれ以上のことをしているのに、今更キスぐらいで不安になっている修司がなんだかおかしくて、私はくすりと微笑む。
「っ……すいません」
あーもう、さっきは散々私の気持ちいいところばっかり見つけてきたくせに、どうして今はこんなに察しが悪いのか。
ちょっぴりイライラしながら、けれど口元にうっすらと笑みを浮かべて、私は修司の頭を抱き寄せた。
「もう、そんなに簡単に謝らないの。――っちゅ」
先ほどはリードされてしまったので、今度はこちらが主導権を握るつもりで積極的に舌を動かす。修司もようやく安堵したかのように舌を動かしはじめ、すぐに水音は激しいものへと変わっていった。
(んっ、キス……結構気持ちいいかも……)
たっぷりの熱い唾液で滑りを帯びた舌同士が濃密に絡み合うたび、ざりざりと味蕾が擦れて淡い快感を生み出す。
キスが気持ちいいなんてはじめての体験で、なんだか楽しく、私は夢中になって舌を動かした。
「んちゅ、じゅるッ、ぢゅちゅッ、ちゅはッ――」
口の中がじんわりと幸せな快感の味に染まり――けれど、上で気持ちよくなればなるほど、入れているだけの下半身が物足りなく感じてしまう。
気付かぬうちに、私は浅ましく自分から腰を揺すってしまっていたらしい。
「ちゅッ――叶多先輩、もしかして物足りない感じですか?」
彼に指摘されて自分の行動に気付いた私の頬が、急速に赤く染まっていく。
「~っ、ごめん、なさい……我慢できなくて」
「謝らないでください、叶多先輩から求められるの嬉しいので。じゃあ、動きますから――」
「待って!」
体勢を整えようと、上体を起こそうとした修司の首にぎゅっとしがみつく。
「その……できれば、キスしながらしたいんだけど……ダメ、かな?」
修司がぱちくりと目を瞬かせ、私は自分の失言に気付いた。
「あ、ごめん……そうだよね、そんなことしたら修司が好きに動けないよね。やっぱりなんでも――んんっ!?」
だが、修司は離れる代わりに、ちゅうッ、と再び熱烈なまでに唇へと吸い付いてくる。
「んっ、ちゅくッ……あっ、違うの、本当に私は修司が気持ちよくなってくれれば……!」
「大丈夫ですよ叶多先輩、僕も先輩とのキス気持ちいいですから。だから――ちゅっ、ちゅぢゅッ」
「んんんんんん――ッ♡」
噛みつきあうように唇を重ねながら、修司は抽送を再開させた。
当然上半身は密着するような状態なので、激しく動くことはできない。
けれどその代わり、深いところの弱点を何度も短いストロークで重点的に抉られるようなピストンとなり、煮詰められたような愉悦が、容赦なく体の中に満ちていく。
「んんッ♡ ちゅぐッ、んぁッ……ふーッ♡」
その上、キスをしているせいで溢れそうになっている快感の熱を吐き出すことすら許されず、どんどんと気持ちよさはその水位を高めていき――
「――んはッ♡ 待っ、んあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁッ♡」
あっさりと絶頂まで導かれてしまった私は、コップから水が溢れるように、絶頂の余波を甲高い嬌声で唱いあげた。
(あぅ……これ、すごいぃ……っ♡)
頭の中では快感が嵐のように吹きすさび、幸福感で真っ白に染め上げられる。
それは人生ではじめて感じた、本当の絶頂だった。
演技でもなければ、自慰のような虚しい脱力感もない。足先まで余すことなく満たされるような至上の感覚に、私の思考は
「――~っ♡ あッ、はっ、はぁぁ……っ」
火傷しそうなほどの熱を吐きだし、世界に色が戻り始めたところでようやく、自分が独りよがりに達してしまったことに気付く。
これでは私でオナニーしていただけの男と何が違うのか。
「はぁ……ッ、ごめんね、修司……一人で、勝手に、イっちゃってぇ……」
けれど頭に乗せられた修司の手は、そんな後悔を溶かすように優しかった。
「そんなこと謝らなくたって大丈夫です。むしろ、叶多先輩をちゃんとイかせられたんだって、嬉しいですから」
「……でも、それじゃあ結局修司は気持ちよくなれてないじゃん」
「いや、そんなことは……正直、叶多先輩がイっちゃった時すっごい締めつけられて、結構ヤバかったですし……」
「むぅ……それなら一緒にイっちゃえばよかったのに」
頬を膨らませる私に対して、修司は困ったように頬を掻いた。
「あはは、流石に中で出しちゃうのはまずいよなって……いや、入れる時にちゃんとゴムつけろよって話なんですけど」
抜こうとしているのか腰を引きながら彼が口にした言葉で、私はすっかり吹き飛んでしまっていた計画のことを思い出す。
(うぅ、修司のことを手玉に取るつもりだったのに、これじゃあ私の方が修司に夢中になってるみたいじゃん……!)
けれど、彼がイきそうな今なんとか思い出せたのは丁度いい。私は名残惜しそうに引き抜かれるペニスを押しとどめるように、彼の腰へと脚を回した。
「ちょ……! 叶多先輩、そんなことされたら中で出ちゃいますよ!?」
「ふふっ、でも……男の子って本当は中出ししたいんだよね? 修司は違うの?」
「いや、それは……」
本能と理性の間で揺れ動く修司の百面相に私は嬉しくなりながら、抱き寄せた耳元へと吐息をたっぷりと絡めて囁く。
「……今日は大丈夫な日だから……いいよ?」
「っ……!」
彼が喉を鳴らすと同時、ビキリ、と私の中で肉棒が期待に総身を震わせた。
「――本当に、いいんですか?」
「うん、いいよ。ただその代わり、私の友達になってくれる?」
「えっ……?」
困惑したような彼の声に、熱く茹だっていた頭の中が一気に冷めていく。
(もしかして、やっぱり唐突すぎたかな? それとも、もっと余裕ないぐらいギリギリまで追い詰めてからじゃないとダメだったかな? ああ、でももう言っちゃったし……!)
「その、別に友達って言っても特別なことしようってわけじゃなくて……! たまに一緒に山に登ったり、ハイキング行ったりお出かけしてくれればそれでよくて……! 代わりに、今日だけじゃなくていつでも……は無理だけど、またこうやって生えっちしても、いい、から……」
慌てて付け加えた言葉は、段々と自信と共に消え入りそうになっていき――ぎゅっと修司が力強く私の全身を抱きすくめた。
「分かりました、叶多先輩」
「――っ! ホントに!?」
「はい、一緒に色んなとこ行きましょう。山だけじゃなくて、紅葉見に行ったりとか、夏休みには遠出したりとか」
恐怖で強張りかけていた全身が、幸福感にふるりと戦慄く。
「うん……うんっ! じゃあ、いいよ。修司の好きなだけ私に中出しして」
「……ありがとうございます。じゃあ、ちょっと激しくなると思うので、辛かったら言ってください」
最終確認を済ませた修司は、上体を起こして私の腰を掴みなおす。
本当に我慢の限界だったのか、最初からトップスピードで抽送が始まり、肺から吐息が押し出された。
「あッ♡ はぁッ♡ んおッ♡」
先ほどまでと違って私を気遣うような遠慮のない、修司自身が気持ちよくなろうとするような荒々しい前後動。容赦のない突き込みは、肉棒の大きさと相まって子宮を殴りつけられているようですらあり。
けれど今まで散々優しく解され、蕩けさせられきった私の中は、その暴虐ですら快感として感じてしまっていた。
最奥を撞かれるたびに喜悦が爆ぜ、引きむしられる摩擦熱で性感神経が花開く。
快感を貪るためだけの器官へと変わってしまった私の性器は、あっという間に今日一番の熱に包まれた。
「あぁッ♡ またイっちゃ……っ、ひきゅッ♡ ダメ、なのに……修司に、気持ちよくなってもらわなきゃ、いけない、のにぃ……っ♡」
「っ、いいんですよ、イっても」
優しい彼の毒が、私の柔らかいところに染みこんだ。
「でも、それじゃっ……取引に、ならなぁ……っ♡」
「大丈夫です、叶多先輩がイってる時の膣内、すっごい締まって気持ちいので……!」
「でも……っ♡ んうッ♡ じゃあ、じゃあね、一緒に……っ♡ 一緒に、イこ?」
それが、理性を精いっぱい働かせた最大限の妥協案だった。
「わかりました。じゃああとちょっとだけ、我慢してください……っ」
「あっ!? まだ、激しくぅ……っ♡ ひああぁッ♡」
ペニス全体で私の中を味わおうとするみたいに、修司は一突きごとに抜ける寸前まで腰を引いて、圧し潰すみたいに下腹を叩きつけてくる。
本当に抜けてしまうんじゃないかと心配になった私が、四肢をいっぱいに使ってしがみついた瞬間。ばぐんッ、と最奥までねじ込まれた肉棒が爆発するみたいに大きく跳ねた。
「っく――かな、た、先輩っ……!」
次の瞬間、灼熱の衝撃が子宮から脳天までを貫く。
「はくッ!? んああぁあぁぁあぁぁぁあッ♡」
容赦なく注がれる重たい精液に、肺から強制的に息が吐き出させられ、窄まった喉で甘い声となって部屋中の空気を震わせる。
雷に打たれたようにびりびりとした強烈な快感が走り抜け、全身が戦慄いて止まらない。
しかもそこへ更に、修司を気持ちよくできたのだという達成感が快感をドロドロのココアのように濃密なものへと変えて、いつまでも体の中へと留まらせていた。
深くイきすぎて死んでしまったのではないかと怖くなるほどの浮遊感はだが、上から押し付けられる修司の体重によってしっかりと縫い留められて。
「――~っ、はあぁぁッ♡」
時間の経過を忘れるほどの絶頂からようやく降りてきた時、私の全身はぽかぽかとした幸せでたっぷりと満たされていた。
一方の修司もかなり深い法悦に達したらしい。
目は開いてこそいるものの、焦点は合わずどこかぼんやりしている消耗しきった様子は、それだけ私で気持ちよくなってくれたということにほかならず。
「……ふふっ、ちゅっ」
気付けば私は、修司の頬へとキスをしてしまっていた。
――――
ガラス張りのいかにもラブホテルですといわんばかりの浴室に、ぱしゃぱしゃと楽しそうな水音が響く。
「っ、くすぐったいですよ、叶多先輩」
「ん~、もしかして、嫌?」
「……嫌では、ないですけど」
「ふふっ、じゃあこのままでもいいよね」
膝の上に座って一緒に湯舟へ浸かる叶多は、先ほどから猫が甘えるように修司の頬へと洗ったばかりの頭をすりすりと擦りつけていた。
「ふんふふふ~ん♪」
楽しそうに鼻歌を奏でるその姿には、数時間前まで纏っていた、サークルのアイドル然としたミステリアスで近寄りがたい雰囲気はどこにもない。
それどころか、先輩ですらなくどこか子どものようにすら見えてしまう程で。
行為が終わって一眠りし、目覚めてからの叶多の様子に、修司は未だに距離感を掴みかねていた。
(でも多分、こっちの方が叶多先輩の素……なんだよね?)
これもまだ演技だったら、流石に女優が過ぎる。
それに、先ほど交わした会話の端々からしても――
「んー、どうしたの修司? 何か気になることでもある?」
「ああ、いえ、ちょっと疲れてぼーっとしちゃっただけで」
じっと見られていることに気付いたのか、叶多がくりっと首を傾げながら見上げてきて、修司は反射的に誤魔化した。
「本当に?」
「本当ですって」
「……見たかったら、修司なら堂々と見てもいいんだからね?」
そう言いながら叶多は湯舟に浮いていた柔毬をざぱり、と持ち上げて見せる。
できるだけ見ないようにしていても、「これだけ大きいと本当に浮くんだ」などと思わずにはいられないほど自己主張していた部位を強調され、修司は首が折れんばかりの勢いで後ろを向いた。
「いや……っ! 大丈夫ですっ! さっきいっぱい堪能させてもらったので……っ!」
「……あはっ、そんなこと言って、ココちょっと硬くなってるよ」
「うくッ……そんな、撫でられたら……っ」
若さとは恐ろしいもので、先ほど全て叶多の中に吐き出しきったと思っていたはずにも関わらず、修司の分身は硬度を取り戻しはじめていて。
「ねね、修司の、私が洗ってあげよっか? さっき頭洗ってもらったし」
「っ!? いや、大丈夫です! 前ですし、自分で洗えるので!」
「でもほら、私ならおっぱいで洗ってあげたりできるよ?」
「いやもうそれもさっきパイズリやってもらったから大丈夫ですって!」
「むー……そんなに拒否らなくていいじゃん。もう友達なんだから変に遠慮しなくたっていいのに」
「っ……」
叶多の言葉に、修司は先ほどから流されっぱなしで先送りにしていた事実と向き合うことを決意した。
「あの……叶多先輩、その友達っていうやつなんですけど――」
途端、つい先ほどまで楽しそうだった叶多の顔が強張り、縋るような目で修司の腕を握りしめてくる。
「え……約束したよね、友達になってくれるって……! ほら、私の体なら好きに使っていいから……」
「ああ、違っ――そうじゃなくて! いや、叶多先輩と友達になれるのはOKというかむしろ僕としても嬉しいというか……」
「ホント!? それじゃあ一緒に遊びに行ってくれる?」
「……はい、一緒に色々行きましょう。僕も色々行きたいところありますし」
「じゃあさ、じゃあさ! 山だけじゃなくてさ、新宿御苑とかも今の時期アジサイやナツツバキが綺麗だって聞くから、今週末にでも行こうよ!」
不安だったことなどころりと忘れてしまったように、ワクワクを隠しきれない叶多の様子はどこか子どものようで、修司はほほ笑ましさに知らず笑みを浮かべてしまう。
「あ……ごめん、先走っちゃって……。そうだよね、修司にも予定があるだろうし……」
「ああ、大丈夫ですから。今週末、一緒に行きましょう」
「ホント? やったっ!」
大事なものを握りしめるみたいに胸の前でガッツポーズをする叶多に、修司は微笑みながらも改めて本題を切り出す。
「だからその、叶多先輩と友達になって色々出かけるのは僕も大歓迎なので、そこに変な条件を付けたくないというか……その、エッチなこととか無理にしなくていいですから」
一度は流されておきながらと自分でも思わないでもないが、そこの線引きだけはきちんとしておきたかった。
今までのやりとりから、叶多がとても寂しがり屋で、そしてそれに反するように人付き合いに恵まれてこなかったのは間違いない。
だから体と引き換えに友達に――なんて取引をしようとしたのだろうと修司は予想を立てていた。
「できれば、叶多先輩とはちゃんとしたというか、純粋に友達でいたいんです。お互い山好きですし、きっとそっちの方が楽しいのと思うので」
叶多が目を見開く。
「……修司はそれでも、いいの?」
「はい」
見開かれた目が感極まったかのように細められ……けれど、なぜかすぐに頬がぷくりと膨らむ。
「……本っ当に、修司はそれでもいいの?」
「えっ?」
「ふーん、あれだけ私のこと好き放題しておいて、興味ありませんとか言っちゃうんだ」
「いや、それは……」
確かにそのことに気付きかけていながら、結局目の前のセックスや中出しという欲望に流されてしまった手前、言い返すことなどできるはずもなく――
「――というか、もしかして叶多先輩も、またエッチしたかったり……?」
まさかと思いながら口にした言葉に、叶多は頬を染めながらもこくりと小さく頷いた。
「だって……修司とのえっちは気持ちよかったし、悪いものじゃないかなっていうか……というか、あんなの教えられて、今後自分一人で何とかできるとは思えないし! それに、”叶多先輩も”って言ってる時点で修司だってしたいんじゃん!」
「うっ、それは……っ」
実際否定はできない。
どんなに格好をつけてみたところで、生物の根源的な欲求をなかったことにすることなんてできないし、なかったことにするにはあまりに記憶が鮮烈すぎる。
「……お互いにしたいんだし、別にしたっていいじゃん」
「いや、とはいえ流石に友達同士でってのは……あー……うぅ、我ながら最低すぎる……でも、もうこれしか……」
修司はうっすらと考えてはいたものの、あまりにも自分勝手な解決方法に苦虫を噛みつぶしながらも、見上げてくる叶多の手を取った。
「……その、叶多先輩。もう一回だけチャンスをくれませんか?」
「チャンスって……あー……」
それで叶多も察したのだろう、ふたりは顔を見合わせて何とも言えない笑みを浮かべあう。
「告白したり別れたり……ふふっ、本当にグダグダだね、私たち」
「ですね。期間でいったら一日以下ですけど、すっごい遠回りした気がします」
けれど、まあ。そのお陰でこうしてお互いのことを深く知れたわけだし。
修司はふぅ、と呼吸を整え、今度は自分の意志でその言葉を紡ぐ。
「……好きです、叶多先輩。僕と付き合ってくれませんか」
「もちろん! こちらこそよろしくね、修司っ♪」
そう答えて修司に抱きつく叶多の顔には、ヒマワリのような満面の笑みが浮かんでいた。
まずはお読みいただきありがとうございます。
少しでも楽しんでいたけていれば幸いです。
もしよろしければ評価やブックマークで応援して頂けると、次回作が早まったり――早まらなかったりするかもしれないので気が向けばお願いします。
あと、感想! 乾燥いただけると滅茶苦茶嬉しいです!
――以下後書きなので興味のある方だけ――
今回の作品、実は一度去年に投げかけたものを拾いなおして完結させたものになります。
具体的には一回目の行為の後で一回「書けない……」ってなって放置して、ただ捨て置くのは可哀想だなということで書きあげました。
なので、企画というかアイデア自体は前作より先に出しており、そのため前作には今作の影響が結構滲んでいたりします。(ヒロインが過去の経験から異性への苦手意識/嫌悪感を持ち、一方で純粋な友達に飢えているところとかほぼ同じですね……)
ただコンセプトは「経験豊富な年上のお姉さんにリードされて初めてを経験したい」と「手の届かない憧れの女の子と実は共通点が……」という感じなので、そこら辺で差別化できてればなーと。
因みにこの後の二人ですが、揃ってサークルを抜けて二人で楽しくアウトドアを満喫してたりします。
趣味が同じパートナーだと、色々話が弾んで楽しそうですよね、アウトドアだと「次どこ行く?」的な話題で普段から盛り上がれそうですし。
今あたりだと大学も夏休みなのでちょっと遠くまで遠征とかしてそうですね。
……まあ、作者はアウトドアエアプなので全然具体的な行き先は思いつかないのですが。
と、そんなわけで後書きもこのあたりで、また次回作で会えることを楽しみにしております。
こんな脊髄で書いたような後書きまで読んで頂きありがとうございます、また会う日まで!