昭和ころ、戦火の余燼なおくすぶる東京の郊外に、かつては広い屋敷を構えていた一家があった。父は立派な軍人として名を馳せ、幾度かの出征を重ねた末に南方の戦場で果てた。残されたのは、五十歳になる母・佳子と、幼いころからこの家に仕え、ほとんど姉のように義信と育った二十五歳のメイド・多摩子、そして、右腕に傷を負って帰還した一人息子の義信だけであった。
屋敷はかつての栄華を失い、使用人も減り、庭の手入れもままならぬほどに荒れ始めていた。それでも広い座敷と長い廊下が残り、静かで、どこか湿った空気が淀んでいた。義信が傷を負った右腕をわずかに庇いながら帰ってきた日、母と多摩子は玄関に並んで彼を迎えた。
佳子は夫の死後、ずっと喪服を着続けていた。黒い絹の衣が、五十歳とは思えぬほど豊かに残った胸のふくらみを、押しつけられるように盛り上げている。腰から下へ流れる布地は、歩くたびに尻の肉の動きを隠しきれず、義信の視線は、迎える母の姿に、思わず吸い寄せられた。戦地で長く女の気配に触れることのなかった彼の身体が、母の喪服の下に潜む女の肉の輪郭に、熱く反応してしまう。義信は目を逸らし、自分の不埒を責めながらも、その視線を完全に切り離すことができなかった。
その夜、多摩子が湯とタオルを盆に載せ、義信の部屋へやってきた。戦地から帰った身体を清めるためだという。義信は断ろうとした。右腕の傷もある。だが多摩子は押し切り、静かに、しかし容赦なく彼の服を脱がせ始めた。
「義信さま、傷を洗わねば化膿いたします。おとなしくしていらっしゃい」
多摩子の手が、義信の肩から胸、腹へとタオルを滑らせる。湯の熱が皮膚に沁み、戦地の埃と汗を溶かし始める。義信は目を閉じ、ただ耐えていた。しかし多摩子の手が下半身に及んだとき、彼の陰茎はすでに熱く、硬く、いきり立っていた。多摩子の指が、意図せずそれに触れた。彼女はわずかに動きを止め、やがて静かに、しかしはっきりと尋ねた。
「戦地で、長く女っけがなかったからですか。それとも……奥様を、見たからですか」
義信は答えられなかった。多摩子はタオルを置き、義信のものを優しく、しかし確実に掌で包んだ。熱い脈動が彼女の手に伝わる。
「幼いころ、よく二人で夜の屋敷を探検しましたね。あの夜、寝室の襖の隙間から、旦那様と奥様の交わりを覗いてしまったことを、覚えていらっしゃいますか」
多摩子の声は低かった。義信の記憶が、鮮明に蘇る。暗い廊下、襖の隙間から見た父母の交わり。母の白い腿が開き、父の身体に押しつぶされるようにして、甘い声を上げていた姿。幼い義信は息を殺し、多摩子と手を握りしめながら、それを見てしまった。
「そのときから、奥様のことを想っていらっしゃるのでしょう。戦地から帰って、喪服の奥様を見た瞬間、身体が反応してしまった。違いますか」
義信は否定できなかった。多摩子は静かに微笑み、そして言った。
「では、奥様の代わりになってあげます」
多摩子は義信の脚を開き、自ら身を屈めた。熱い吐息が先端にかかり、次いで柔らかい唇がそれを包み込む。舌が亀頭を丁寧に舐め、裏筋をゆっくりと辿る。義信は喉を詰まらせ、右手で多摩子の髪に触れた。いけない。姉のように思ってきた多摩子に、こんなことをさせてはならない。しかし身体は、母の喪服の下の胸のふくらみと、尻肉の揺れを、執拗に思い浮かべていた。
多摩子の口技は巧みで、丁寧だった。深く咥え込み、喉の奥で締めつけ、時にゆっくりと引き抜いては、先端を吸う。義信の腰が自然に浮かび、熱が下腹部に集中する。彼は目を閉じ、母の姿を追った。喪服をはだけ、白い乳房を露わにした母。父に抱かれていたあの夜の、若く豊かな母の身体。それが今の五十歳の母の姿と重なり、義信の陰茎はさらに硬く張り詰めた。
「母様……」
抑えきれぬ声が漏れた瞬間、義信は多摩子の口の中に、激しく射精した。熱い精が喉の奥に叩きつけられ、多摩子はそれを静かに飲み干し、丁寧に残ったものを舌で清めた。義信は荒い息をつき、天井を見つめた。姉のように思っていた多摩子の口を、母を想いながら汚してしまった。二重の罪悪感が、胸を締めつける。
多摩子は口元を拭い、静かに立ち上がった。
「奥様も、女なのよ。義信さま」
そう言い残して、彼女は部屋を出ていった。
その夜、義信は深い淫夢に落ちた。
夢の中で、彼はあの夜の父母の寝室に立っていた。しかし父の姿はない。二十年前の、若く豊かな母が、畳の上に仰向けに横たわっている。喪服ではなく、薄い寝衣をまとった母。胸のふくらみは今より高く、張りがあり、腰のくびれも深い。義信は父に成り代わり、その身体に覆い被さった。
母の寝衣を乱暴に押し上げる。白い乳房が弾けるように露わになる。乳輪は淡く大きく、乳首はすでに硬く尖っていた。義信は両手でそれを掴み、揉みしだいた。柔らかい肉が指の間から溢れ、熱を帯びる。母は甘い声を上げ、背を反らす。義信は顔を埋め、乳首を口に含み、強く吸った。舌で転がし、歯で軽く噛む。母の身体がびくりと跳ね、腿が開く。
「義信……だめ……父上に……」
母の声は拒否を装いながら、どこか甘く溶けていた。義信は母の腿をさらに押し広げ、すでに硬く熱い自分のものを、濡れた秘部に押し当てた。熱い蜜が先端を濡らし、入口がくちゅりと音を立てて彼を迎える。義信は腰を沈めた。狭い肉の壁が押し広げられ、熱い棒がゆっくりと奥へ沈んでいく。母は高く喘ぎ、腕で義信の背中を掻いた。
「あっ……深い……義信の……母の中に……」
義信は根元まで埋め、そのまま動き始めた。ゆっくりと引き、激しく突き入れる。母の豊かな乳房が上下に揺れ、乳首が彼の胸に擦れる。義信は母の尻を両手で掴み、角度を変えてさらに深く抉った。子宮口に亀頭が当たるたび、母の内壁が痙攣し、熱い蜜が溢れ出す。義信は母を抱き起こし、背後から犯す体位に変えた。母の豊かな尻が自分の下腹部に密着し、腰を打ちつけるたび、柔らかい肉が波打つ。義信は母の胸に手を回し、乳房を激しく揉みしだきながら、突き上げ続けた。
「母様……俺のものを、全部受け止めて……」
母はうつ伏せになり、顔を畳に埋め、甘い声を殺しきれずに上げ続ける。義信の抽送は次第に激しくなり、母の身体を揺さぶる。汗が飛び、結合部から淫らな音が響く。義信は母の黒髪を掴み、首を反らせ、耳元で囁いた。
「あの夜、父上に抱かれていた母様を、俺が犯す。もう父上はいない。母様は俺のものだ」
母の内壁が強く締めつけ、義信のものを搾るように収縮する。彼は限界を感じ、最後の一突きを深く埋め、大量の精を母の奥に吐き出した。熱い濁りが子宮を満たす感触に、母も大きく身を震わせ、絶頂に達した。
しかし夢の中の母の姿は、徐々に変わっていった。二十年前の若々しい肢体が、いつしか今の五十歳の母へと溶けていく。喪服を乱し、はだけた黒い衣の下から、やや弛みを帯びたものの、なお豊かに残る乳房が露わになる。乳輪は濃く、乳首は息子の吸った痕のように赤く腫れている。尻肉も、年月を経て柔らかく、義信の下腹部に押されるたび、大きく波打つ。義信は今の母の身体を、夢の中で執拗に犯し続けた。喪服の裾を腰まで捲り上げ、白い腿を大きく開き、熱いものを根元まで埋める。母は「義信……いけない……母なのに……」と喘ぎながらも、腰をくねらせて彼を受け入れる。義信は母の乳房を後ろから掴み、乳首を摘まみ上げ、激しく突き上げた。母の声が裏返り、内壁が痙攣する。義信は再び射精し、熱い精を今の母の子宮に注いだ。
夢の快楽はあまりに強く、義信は現実の布団の中で、激しく夢精してしまった。熱い精が股間を汚し、彼は荒い息をつきながら目を覚ました。
早朝の薄い光が障子を透かすころ、義信は自分の精液を片手で始末しようと苦心していた。右腕の傷が疼き、うまく拭えない。そこに多摩子が入ってきた。彼女は状況を一瞬で理解し、黙って湯とタオルを持って近づいた。義信の下半身を手早く、丁寧に清める。熱い精の残りを拭い取り、新しい下着と着物を着せた。
多摩子は義信の手を取り、静かに言った。
「いらっしゃい。幼いころ、よく二人で隠れた押し入れへ」
彼女は義信を導き、屋敷の奥の、埃っぽい押し入れの中に入った。狭い空間に二人きりになる。多摩子は襖を閉め、暗い中で義信の隣に座った。そして、しばらくの沈黙のあと、低い声で告げた。
「しばらく、黙って、見ていてください」
押し入れの隙間から、廊下の向こうがわずかに見える。義信は多摩子の言葉の意味を測りかねたまま、指示されるままに、息を殺してそこに座っていた。多摩子の体温が間近に感じられ、先ほどの夢の感触が、まだ義信の陰茎に残っている。母への想いと、罪悪感と、快楽の余韻が、複雑に絡み合いながら、彼の胸を満たしていた。
押し入れの暗がりの中で、義信はただ、多摩子の言うままに、静かにして待った。
押し入れの闇は、外の座敷の薄明かりをわずかに隙間から取り込むばかりであった。義信は息を殺し、膝を抱えるようにしてその狭い空間に身を縮めていた。多摩子が「しばらく黙って見ていてください」と告げてから、どれほどの時が経ったか、はっきりとはわからなかった。ただ、胸の奥で脈打つものが次第に熱を帯び、先刻の夢の残滓が執拗に蘇ってくるのを、彼はどうすることもできなかった。
ほどなくして、廊下に足音が近づいた。多摩子のものと、もう一人、喪服の裾を引きずるような、母の足音である。義信の心臓が大きく跳ねた。多摩子が母を、この座敷へ連れてきたのだ。
襖が開き、母・佳子の姿が、義信の視界に入った。五十歳になった今も、喪服の黒い絹は、彼女の身体の輪郭をいやが上にも強調していた。胸のふくらみは、布地を内側から押し上げ、歩くたびにわずかに揺れる。腰から尻へと続く曲線は、年月を経てもなお豊かに残り、喪服の下で肉の重みを感じさせる。義信は夢の中で犯した母の姿を、まざまざと思い出した。喪服を乱し、はだけた胸、開かれた腿、熱い吐息。その記憶が、現実の母の姿と重なり、彼の股間が容赦なく反応し始めた。陰茎が熱く硬くなり、下着の中で脈打つ。右手は傷で自由が利かず、左手でそれを押さえようとしても、抑えきれぬほどに膨張していく。
多摩子は、義信の存在など忘れたかのように、母に近づいた。メイドとしてではなく、明らかにそれ以上の親密さで。
「奥様、坊ちゃまは散歩に行きましたわ」
多摩子の声は柔らかく、どこか甘く響いた。そして、彼女は母の額に、静かに口づけをした。佳子は驚いた様子もなく、むしろそれを受け入れるように目を閉じた。多摩子の手が、慣れた様子で、母の喪服の合わせ目に触れる。ゆっくりと、しかし確実に、紐を解き、襟を開いていく。黒い絹が肩から滑り落ち、白い肌が露わになる。義信は息を呑んだ。これは、淫夢の続きなのだろうか。現実と夢の境界が、曖昧に溶けていくような感覚に襲われた。
喪服がさらに落ち、母の豊満な乳房が、完全に露わになった。五十歳の女の乳房は、若いころの張りを失いながらも、重く、柔らかく、大きく垂れ下がるようにしてそこにあった。乳輪は濃い色を帯び、大きく広がり、乳首はすでにやや硬く尖っている。多摩子はためらうことなく、その乳首に舌を這わせた。ゆっくりと円を描き、先端を軽く吸う。母の身体が小さく震えた。
「女盛りの体、本当は坊ちゃまにこうされたいのでしょう」
多摩子の囁きに、佳子は叱りつけることもなく、ただ成すがままに身を委ね、甘い吐息を漏らし始めた。義信は押し入れの隙間から、その光景を食い入るように見つめていた。母の乳房が多摩子の舌に弄ばれ、乳首が湿って光る。母の手が、無意識に多摩子の肩に回される。いけない。これは自分の母だ。父の遺した、気品ある母だ。しかし、その淫らに喘ぐ姿は、夢の中で彼が犯した母そのものであり、義信の陰茎は痛みを覚えるほどに硬く勃起していた。
多摩子は、懐から何かを取り出した。義信は目を見開いた。それは、彼が今朝、夢精で汚した下着であった。洗濯するといって、確かに多摩子が持っていったものだ。それを、母の目の前に差し出す。
「良いものがありますのよ、奥様。ほら、坊ちゃまたら、戦地暮らしで相当たまってましてよ。『母様、母様』と奥様を想像されながら、こんなに……」
多摩子は、精液の染みのついた下着を、母の顔近くへ持っていった。義信は羞恥に身を焼かれた。自分の、母を想って漏らした汚物を、母に見られる。しかも、多摩子の口から、その事実を告げられる。しかし、母は嫌がるどころか、顔を赤らめ、じっとその下着を見つめた。そして、なんと、実の息子の夢精で汚れた布に、舌を這わせたのである。
上品で気品あるはずの母が、息子の精液の染みを舐める。その姿に、義信は驚愕と、抑えきれぬ興奮を同時に覚えた。唾を飲み込む音が、自分の喉から聞こえるほどだった。母の舌が、白く固まった精液を溶かし、味わうように動く。佳子の目は潤み、「ああ、義信、なんと不憫な……母が、慰めてあげたいのぉ」と、甘い声で呟いた。息子の下着に夢中になる母の乳房を、多摩子が後ろから両手で揉みしだく。柔らかい肉が指の間から溢れ、乳首が硬く尖る。
「今宵は、奥様が坊ちゃんの体を清めるのです。ケダモノのように坊ちゃまの全身をそうしてさしあげて、ケダモノとなって実の母子でまぐわうのです」
多摩子の囁きに、母は喘ぎながらも、否定の言葉を発しなかった。むしろ、その言葉に身体を熱く反応させているように見えた。義信は押し入れの中で、息を殺しながら、左手で自分の陰茎を握った。右手が使えないもどかしさが、かえって興奮を煽る。ゆっくりとしごき始め、先から滲む汁を指に絡めながら、母の裸身を凝視した。
喪服が完全に剥ぎ取られ、母は全裸となった。五十歳の女体は、戦中戦後の苦労を刻みながらも、なお豊かな曲線を保っていた。腰のあたりにはやや弛みがあるものの、尻は大きく、柔らかく、太腿の内側は白く熟れている。黒い陰毛が三角に茂り、その間からすでに湿った秘部が、わずかに顔をのぞかせている。多摩子もまた、自らの着物を脱ぎ捨て、全裸となった。二十五歳の彼女の身体は、成熟した魅力に満ち、張りのある乳房、引き締まった腰、滑らかな腿を晒していた。しかし、義信にとって、年の近い姉のような多摩子の裸身よりも、五十になる実の母の裸身こそが、何よりも強く、深く、彼を揺さぶった。母の垂れた乳房、濃い乳輪、豊かな尻肉。それらが、夢の中で彼が犯した母と完全に重なる。
多摩子は母を畳に押し倒し、自らも覆い被さるようにして、女同士で絡み合い始めた。唇を重ね、舌を絡め、互いの乳房を揉みしだく。多摩子の手が母の秘部に伸び、指を沈めると、母は高く喘いだ。「義信……」とその名を漏らすたび、義信は自分が今まさに母と交わっているような心持になった。左手の動きが速くなり、陰茎が熱く脈打つ。母の脚が開き、多摩子の舌がそこに這う。母の腰が浮かび、甘い声が連続する。「ああ……義信……母を……」その声に合わせて、義信は射精した。熱い精が左手に溢れ、押し入れの中に濃厚な匂いが広がる。しかし、彼の興奮は収まらなかった。母が何度も絶頂に達するたび、彼もまた射精を繰り返した。母の乳房が揺れ、尻が震え、秘部から蜜が溢れる光景が、彼の射精を何度も誘発した。
どれほどの時が過ぎたか。母が、何度目かの激しい絶頂のあと、力なく横たわり、荒い息を繰り返していた。多摩子が身を起こし、静かに言った。
「そろそろ、坊ちゃまが散歩から戻られるかもしれません」
その言葉に、母は慌てたように身を起こした。「体を清めないと……」と呟き、乱れた髪を整えようともせず、着物を拾い集めて部屋を出ていった。義信は、母の白い背中が廊下に消えるのを、隙間から見送った。残されたのは、精液と女の蜜の混じった濃厚な匂いと、全裸の多摩子だけであった。
多摩子は、母が完全に去ったのを確認すると、押し入れの襖を開けた。狭い空間に差し込む光の中で、彼女は義信の股間に目をやり、精液の匂いが漂う中で、静かに手を伸ばした。
「清めて差し上げます」
多摩子の指が、義信の汚れた陰茎に触れた。熱く、まだ半ば硬さを残したそれを、彼女は優しく包み込んだ。義信は何も言えなかった。母を覗き、母の名を呼びながら射精を繰り返し、その現場を多摩子に見られた羞恥と、なお残る興奮が、複雑に絡み合っていた。多摩子の手が、丁寧に、しかしどこか愉悦を含んで、彼のものを清めていく。押し入れの暗がりの中で、主従の、そして禁忌を共有する者同士の、新たな沈黙が始まった。
それから昼を超え、夕食の時間となっても義信の脳裏から、あの光景が離れなかった。押し入れの隙間から見た、喪服を剥ぎ取られた母と、全裸の多摩子が女同士で絡み合う姿。母の豊かな乳房が多摩子の舌に弄ばれ、息子の夢精で汚れた下着に上品な唇を寄せて舐め取る姿。それらが、まぶたの裏に焼き付いたように残り、現実の母の姿と重なっては離れない。夢幻ではなかったのか。あれほど淫らに喘ぎ、息子の名を呼びながら絶頂を繰り返した母が、今、食卓で静かに箸を運び、いつもと変わらぬ上品な声音で多摩子に指示を出している。その落差が、かえって義信の股間を熱くたぎらせた。
夕食の席で、佳子はいつも通りであった。喪服の襟を正し、背筋を伸ばし、静かに食事を進める。口を開けるたび、白い歯がわずかに見え、唇が動く。その唇が、今朝、自分の精液の染みを丁寧に舐めていたことを、義信は思い浮かべずにはいられなかった。同時に、多摩子の柔らかい口に包まれた感触が蘇る。あの温かく湿った口腔が、もし母のものであったら——。その想像が、義信の下腹部に容赦なく熱を集めた。陰茎が下着の中で硬く脈打ち、食事の味などほとんど感じられなかった。
「義信さん、今日は多摩子が湯を沸かしてくれます。戦地ではろくに湯船にも浸かれなかったでしょう。今日は、久しぶりに母と入浴いたしましょう」
母の言葉は、あまりに自然で、あまりに衝撃的であった。義信は箸を持った手を止め、母の顔を見つめた。その瞳には、今朝の淫らな光など微塵もなく、ただ息子を思いやる慈愛だけが宿っているように見えた。彼は何と答えたのか、自分でも覚えていなかった。ただ、頷くような仕草をした気がする。気もそぞろになり、心臓だけが激しく鳴っていた。
母と共に入浴したのは、もう二十年近くも前のことである。あの夜、父母の交わりを襖の隙間から覗いてしまった自分は、それ以来、母との入浴を避けるようになった。幼い心で、母の裸身に男として反応してしまうことを予見し、それを母に知られるのを恐れたからではなかったか。だが、この母は、息子が母を想って夢精した下着に、淫らに舌を這わせたのだ。現実と記憶が混濁し、義信は脱衣所で立ち尽くした。
脱衣所の空気はすでに湿り気を帯び、湯の香りが漂っていた。義信は混乱した思考の渦の中にいた。母の喪服の下の身体、多摩子に責められながら喘ぐ母、息子の精液を舐める母。それらが交互に浮かび、消える。そこに母の声がかかった。
「着替えを手伝いますよ」
振り返ると、母はすでに喪服を脱ぎ、真っ白な湯着に身を包んでいた。ひそかに恐れ、期待してように、全裸ではなかった。、安堵すると同時に残念な心持になったのは僅かなまであった。白い木綿の生地が、母の身体の線を優しく、しかし確実に浮かび上がらせている。胸のふくらみは布を内側から押し上げ、乳首の位置がわずかに影になってわかる。腰から尻への曲線も、湯着の裾の動きに隠されきれず、豊かな肉の存在を感じさせた。母は子供の頃にしたように、慈愛に満ちた瞳で義信に近づき、その右手を取った。負傷した腕を見て、母の目がくもった。
「お国のためといえ、こんな……」
母は涙を流した。その涙が頬を伝うのを、義信はただ見つめていた。母がおのれの傷だらけの腕を、優しく抱きかかえる。湯着越しに、母の乳房の柔らかな感触が、義信の腕に、胸に伝わってきた。重く、温かく、女の肉の感触。義信の股間は、すでに臨戦態勢を超えて、痛々しいほどに勃起していた。それを母に見られる羞恥が、背筋を凍らせると同時に、さらに熱を煽った。母は何も言わなかった。ただ、静かに息子の身体を案じる母として、そこにいた。
しばらくの無言が流れた。湯気の音だけが小さく響く。
「炊いてくれている、多摩子に悪いわね。入りましょう」
母に促され、義信は浴室へと足を運んだ。彼は全裸であった。湯着を着た母に対し、自分だけが何一つ纏わず、硬く勃起した陰茎を晒している。母がそれに気づかないはずはない。だが、母は何も言わず、ただ静かに湯船の縁に手をかけた。その沈黙が、ありがたく、同時に気恥ずかしかった。義信は母の視線を避けるように、湯船の方へ目を向けた。
母は柄杓で湯を汲み、義信の正面にかがんだ。右腕の傷を濡らさぬよう、細心の注意を払って、息子の身体を丁寧に拭いていく。湯の飛沫が飛び、湯気が立ち込める。白い湯着が、徐々に湿り始めた。生地が肌に張り付き、透けていく。まず肩の丸みが、次に腕の内側が、そして胸のふくらみが、白い布の下に鮮やかに浮かび上がった。五十歳を過ぎた女の身体とは思えぬ、艶めかしい輪郭。乳房は重く垂れながらも、布に押しつけられるように形を保ち、乳首の尖りがくっきりと影を落としている。腰のくびれから尻へと続く肉の盛り上がりも、湿った湯着の下で淫らに主張していた。母がかがむたびに、胸の谷間が深く影を作り、湯着の襟元から白い肌がのぞく。
義信は息を止めた。母の顔が、自分の股間のすぐ前にある。かがんだ姿勢で、丁寧に脚や腹を拭く母。その顔のすぐ上で、自分の陰茎が熱く脈打ち、先端から透明な汁を滲ませている。母の湯着越しの女体が、湯気の中でますます露わになっていく。五十歳の母の、熟した、しかしなお魅力的な身体。夢の中で犯した母と、今朝多摩子に弄ばれた母と、今目の前で湯着を透けさせている母が、完全に一つになった。
「母様……!」
万感の思いを込めた叫びが、義信の喉から飛び出した。触れずして、彼の陰茎は激しく脈打ち、白濁の精を勢いよく吹き出した。熱い飛沫が、ちょうど正面でかがんでいた母の顔に、容赦なく降りかかった。額に、頬に、唇に、白い濁りが飛び散り、母の上品な顔を汚した。母は驚いたように目を見開いたが、すぐに動かず、息子の精液が顔を伝うのを、ただ受け止めていた。
義信は荒い息を繰り返し、膝から力が抜けそうになるのを堪えた。母の顔に自分の精液がかかっている。湯着を透けさせた母の豊満な身体が、すぐ目の前にある。羞恥と興奮と、長年抑えてきた想いが、一気に溢れ出した。母はゆっくりと顔を上げ、息子の目を見た。その瞳には、非難の色はなく、むしろ何か深い、静かな受容のようなものが宿っていた。義信は何も言えなかった。ただ、母の汚された顔と、透けた湯着の下の女体を、食い入るように見つめ続けることしかできなかった。
浴室の湯気はさらに濃くなり、二人の間の空気を熱く閉ざした。母の湯着はすでに肌に完全に張り付き、乳首の形も、陰部のわずかな影も、隠しきれぬほどに浮かび上がっている。義信の射精はまだ完全に収まらず、残りの精がゆっくりと先端から糸を引いて落ちた。母はそれを見て、静かに柄杓を置き、息子の顔にかかった精液を、指で優しく拭うこともせず、ただそこに跪いたまま、義信を見上げていた。
義信の心の中で、罪悪感と欲望が激しくぶつかり合っていた。母を汚した。実の母の顔に、自分の精をかけてしまった。しかも、母の透けた身体を凝視しながら。しかし、その行為が、かえって彼の中の何かを解き放ったようにも感じられた。二十年近く避け続けてきた母の裸身——いや、湯着越しのそれに、ついに直面し、耐えきれずに果ててしまったのだ。
母はゆっくりと身を起こし、湯着の襟を正すでもなく、湿った生地を肌に密着させたまま、義信に近づいた。その胸のふくらみが、湯着越しに息子の腕に触れる。柔らかく、温かく、女の匂いがした。義信は目を閉じ、その感触に身を委ねそうになった。母の声が、低く、優しく響いた。
「義信……母が、きちんと清めてあげますから」
その言葉の意味を、義信はすぐに理解できなかった。ただ、母の手が、自分のまだ半ば硬さを残した陰茎に、そっと触れたことだけが、確かに感じられた。浴室の湯気の中で、母と息子の、新たなる禁忌の時間が、静かに始まろうとしていた。
母のしとやかな指先が、義信のいきり立った陰茎に、ためらうように触れた。出したばかりの精液の残りがまだ先端に糸を引き、熱を帯びたそのものが、母の白い指に包まれる。柔らかく、滑らかで、しかしどこか躊躇を含んだ感触。佳子は小さく息を吐き、感嘆とも驚きともつかぬ声を漏らした。
「出したばかりなのに、こんなに……」
その言葉に、義信は驚きや羞恥を抱くより先に、実の母のもたらす桃源のごとき快楽に、心の芯を支配されてしまっていた。母の指がゆっくりと上下に動き、亀頭を優しく擦る。戦地で長く抑えてきた欲望が、母の手によって一気に解き放たれるような錯覚に陥る。義信は目を閉じ、喉の奥で低く呻いた。
「こんな、大年増の、母親の、体を見ても興奮してしまうほど、溜まっているのですね」
母の声は優しく、責めるでも嘲るでもなく、ただ事実を確認するように響いた。その言葉が、かえって義信の興奮を煽った。大年増——五十歳の母の身体。湯着に張り付いた豊かな乳房、垂れ気味ながらも重く熟したその肉の感触、腰から尻へと続く柔らかな曲線。それらを見て、触れられ、息子としてではなく男として反応してしまう自分。しかし、義信はそれだけは否定せねばならぬと思った。声を振り絞るようにして、叫んだ。
「違うのです、これは……母様だからこそなのです!幼少の頃より、俺は母様を……!」
興奮のあまり、義信は思わず負傷した右腕を動かした。傷が鋭く疼き、バランスを崩す。膝が折れそうになり、前のめりに倒れかかる。
「ああ、義信」
母がとっさに身を寄せ、息子を支えた。柔らかな女体の感触が、義信を包み込む。湯着越しの乳房が胸に押しつけられ、腹に、腿に、母の体温が直接伝わってくる。甘い女の匂い。湿った生地の感触。義信は「母様、母様」と繰り返し呼びながら、左手で母の湯着の襟を掴んだ。乱暴に、しかし抑えきれぬ渇望のままに、はだける。白い生地が肩から滑り落ち、母の大きくて柔らかい乳房が、湯気の中に露わになった。
五十歳の女の乳房は、若いころの張りを失い、重く、下へ向かって緩やかに垂れていた。しかしその大きさは十分で、乳輪は濃い色を帯びて大きく広がり、乳首はすでに硬く尖っている。義信は二十年来の飢えを満たすように、その先端に吸い付いた。出るはずのない母乳を、必死に吸い出そうとするように、強く、深く、舌と唇を動かした。母の乳房の柔らかい肉が顔に押しつけられ、温かく、甘い匂いが鼻腔を満たす。義信は目を閉じ、ただ吸い続けた。幼いころ、確かにこの胸に顔を埋めた記憶がある。しかし今は、男としての欲望が、その行為を淫らに染め上げていた。
佳子は、息子を幼子にするように抱き留めた。背中をさすり、頭を優しく撫でる。その仕草は母そのものであったが、身体の反応はすでに女のものであった。夫しか男を知らぬ身体。その夫も亡くなってから数年が過ぎ、熟れた女盛りの肉体を持て余してきた。落ちぶれて人気のなくなった屋敷で、娘のように思っていた多摩子と、女同士で慰め合うこともあった。唇を重ね、互いの秘部を弄り、一時の熱を逃がす。しかし、それで身の内の欲求が解消されることはなかった。男の熱いものを奥深くに受け入れ、子宮を満たされる感触を、長く忘れていた。
それが、あさましくも実の息子に、女として求められている。一人息子への母としての深い愛情と、女としての抑えきれぬ欲情が、ドロドロに溶け合い、もはや分かちがたかった。わずかに残った理性が、心の内で叫ぶ。実の母子で体を重ねるなど、あってはならぬことだと。だが、母としての自分が答える。こんなにもいじらしく、切なく、母を望む息子に、全てを与えてあげたいのだと。そして女としての情念が、声を大にして望む。立派に成長し、男になった息子の、若さ溢れる逞しく育った陰茎に、泡を吹くほど情熱的に、男日照りのこの身体を犯されたいと。
佳子は、一晩でも乳房に吸い付いていそうな義信を、優しく押しのけた。息子は子供のような顔で、未練がましく母の乳房を眺めた。その瞳に浮かぶ渇望と、わずかな不安を、佳子はいとおしく思った。彼女はゆっくりと、残っていた湯着を完全に脱ぎ去った。白い生地が足元に落ち、五十歳の女の全身が、浴室の湯気の中に晒された。
豊かな乳房は、吸われた後で赤く腫れ、乳首が艶めかしく光っている。腹にはわずかな弛みがあり、腰のラインは柔らかく曲線を描く。尻は大きく、肉厚で、太腿の付け根から内側にかけて、白い肌が熟した色を帯びていた。黒い陰毛が控えめに茂り、その下の秘部は、すでに欲情の滴りで湿っている。佳子は浴槽の縁に両手をかけ、息子に尻を向けた。脚をわずかに開き、自ら手で、女の秘さなければならぬ場所を広げて見せた。そこは、夫に対してさえしたことのない、場末の娼婦のような淫らな仕草であった。しかし、それを実の息子に見せることに、佳子は激しい興奮を覚えていた。浴場の湯気ではなく、欲情による蜜が、ゆっくりと太腿を伝って落ちる。
佳子は振り返り、期待と不安が入り混じった息子の顔を見た。その声は、どうしようもなく女の情欲がにじみ出ていた。
「来なさい」
義信は、母の言葉に、ただ従った。全裸の母の、大きく開かれた尻と、自ら広げられた秘部が、すぐ目の前にある。熱く湿った割れ目が、息子を待っている。義信は左手で自分の硬く勃起したものを掴み、母の入り口に押し当てた。熱い蜜が先端を濡らし、くちゅりと音を立てる。母の身体が小さく震えた。義信は腰を進め、ゆっくりと沈めていった。
狭く熱い肉の壁が、息子のものを押し広げながら受け入れていく。二十数年ぶりにここから生まれた息子が帰郷するのだ、夫以外の男を知らぬ身体が、実の息子の熱い棒に貫かれていく感触に、佳子は高い声を上げた。義信は根元まで埋め尽くすと、一度止まり、母の背中に左手を回した。母の肌は熱く、汗ばみ、柔らかかった。彼は腰を引き、再び深く突き入れた。母の尻肉が自分の下腹部にぶつかり、波打つ。豊かな乳房が下に垂れ、揺れるのが、後ろからでもわかった。
「母様……中が、熱い……締まる……」
「義信……ああ、義信の……母の中に……こんなに……」
義信は次第に動きを速めた。母の腰を左手で掴み、角度を変えながら、執拗に奥を抉る。子宮口に亀頭が当たるたび、母の内壁が痙攣し、熱い蜜が溢れ出す。佳子は浴槽の縁に爪を立て、甘い声を殺しきれずに上げ続けた。母としての理性が遠のき、女としての快楽が全身を支配していく。息子の若く逞しいものが、自分の最も深い場所を繰り返し突く。その事実が、羞恥と興奮を同時に呼び起こした。
義信にとっても、それは桃源の快楽であった。幼少のころから渇望し、戦地で何度も思い浮かべ、夢で何度も犯した母の身体。それが今、現実に自分のものを受け入れ、喘ぎ、締めてくる。母の尻の感触、内壁の熱さ、蜜の粘り。すべてが、二十年来の飢えを一気に満たしていく。彼は母様と呼びながら、腰を打ちつけ続けた。傷の疼きなど、もはや感じなかった。ただ、母を求めた。
浴室の湯気は二人の熱でさらに濃くなり、壁に水滴が伝う。母の秘部から溢れた蜜と、息子の先走りが混じり、結合部で淫らな音を立てる。義信は母を抱き起こすようにして、胸に手を回し、乳房を揉みしだいた。柔らかい肉が指の間から溢れ、乳首を摘まむと母の身体が大きく跳ねた。
「母様……出る……母の中に、全部……」
「出しなさい……義信の……母に……全部……」
義信は最後の一突きを深く埋め、大量の精を母の奥に吐き出した。熱い濁りが子宮を叩く感触に、佳子も同時に絶頂に達した。内壁が息子のものを強く締め上げ、一滴残らず搾り取るように収縮する。二人は重なり合ったまま、長い間、荒い息を吐き続けた。
しかし、義信のものは、一度で収まるはずもなかった。母の中で再び硬さを増し、熱を帯びてくる。佳子はそれを感じ取り、疲れた声で、しかしどこか期待を含んで言った。
「まだ……熱いのですね。母の中が、それほど……」
義信は答えの代わりに、腰を動かし始めた。母を湯船の縁に座らせ、正面から脚を大きく開かせて、再び沈めていく。今度は母の顔を見ながら、乳房を吸いながら、深く突き入れる。母の目が潤み、息子の名を繰り返し呼ぶ。義信は母の唇を塞ぎ、舌を絡めた。実の母との、初めての口づけ。甘い唾液と、残った精液の味が混じる。
二人は、浴室の湯気の中で、何度も交わり続けた。母の身体は息子の精液で満たされ、太腿を伝って白濁が落ちる。それでも義信は止まらず、母も拒まなかった。母としての愛情と、女としての欲情が、完全に溶け合い、ただ息子を受け入れることだけが、佳子のすべてになっていた。
義信にとっても、それは禁断の桃源郷であった。母の熟した身体に溺れ、母の声に導かれ、母の中で果てる。罪悪感は確かにあった。しかし、それ以上に強い快楽と、満たされる感覚が、彼を支配していた。傷を負って帰還した身体が、母の腕の中で、ようやく安らいでいるようにも感じられた。
湯が冷め始め、浴室の外で多摩子が控えていることを、二人は忘れていた。ただ、母と息子の、熱い身体が重なり合う音だけが、長く、濃密に、響き続けていた。
その日の夜より、義信と佳子は昼夜を問わず、さびれた屋敷の奥深くで、実の母子として交わり合うようになった。義信が自室に戻ってひとり眠ることは、もはやなくなった。かつては父母が夫婦の営みを交わした寝室が、今は母と息子の禁断の床となった。夜ごと、昼の合間にも、二人は互いの身体を求め、重ねた。
佳子の五十歳の肢体は、息子の熱い精を何度も受け入れ、日に日に熟れていった。豊かな乳房は義信の吸う唇に応じて形を変え、乳首は常に赤く腫れ、感度を増していた。腰の肉は柔らかく、尻は息子の腰打ちに波打ち、秘部は常に湿り、息子のものを貪るように締めつけた。義信は母の身体のすべてを愛した。垂れた乳房の重み、腹のわずかな弛み、太腿の内側の白い肌、黒い茂みの奥の熱い肉襞。それらを味わい、犯し、満たすことが、戦地から帰還した彼の、唯一の安住の地となった。
時折、多摩子もその場に加わった。佳子と女同士で唇を重ね、互いの秘部を舌で弄り、息子の精液を共有するように舐め合った。しかし、義信が多摩子と交わることはなかった。口には出さなかったが、多摩子もまた、義信と同じく、道ならぬ恋慕の情を佳子に抱いていることを、義信は薄々と察していた。多摩子の佳子を見る目には、メイドとしての忠誠を超えた、女としての執着が宿っていた。義信はそれを知りながら、あえて踏み込まなかった。母を独占したい欲望と、多摩子への複雑な敬意が、彼の中で静かに同居していた。
母と多摩子の介護、そして往診に訪れる馴染みの医者により、義信の右腕の負傷は随分と快方に向かった。医者はリハビリを勧めた。医者が帰ったあと、多摩子は義信に、奇妙な提案をした。母の衣を脱がせ、乳房を揉みしだき、身体を動かすことで、腕の回復を促す——淫らで魅惑的なリハビリ方法を、そそのかしたのである。義信は一度だけ、多摩子に問いかけた。
「良いのか」
亡き父にすら嫉妬の念を覚える義信にとって、惚れた女が他の男に抱かれるのを間近で見る多摩子は、さぞつらかろうと思ったのだ。多摩子は、どこか陰りを帯びた笑みを浮かべ、静かに答えた。
「尽くす喜びもあります」
それ以上の言葉はなかった。義信はそれ以上尋ねず、多摩子の提案に従った。母の裸体を眼前に、腕を動かしながら乳房を揉み、腰を抱き、結合する。母は息子のリハビリを、女として受け止め、甘い声を上げて応じた。多摩子はその様子を傍らで見守り、時に自らも加わって、佳子の身体を愛撫した。
それから数年の月日が流れた。屋敷は相変わらずさびれ、戦後の混乱が外の世界を覆っていたが、三人の日常は、禁断の密やかさの中で続いていた。佳子の身体は、毎日のように若い息子の精を浴び続けた。五十代とはいえ、女の身として、それは必然であったのかもしれない。ある日、佳子は妊娠を知った。秘密を打ち明けられた馴染みの医者は、大いに驚きながらも、口の堅い信頼できる産科を紹介してくれた。この時代には類を見ないほどの高齢出産である。いくら佳子が年齢に比べて若々しいといっても、無事に生まれる可能性は低かった。医者は慎重に経過を見守り、三人は息を潜めるようにしてその日を待った。
臨月となったある日、ただでさえ豊満であった佳子の乳房は、さらに大きく膨らみ、張って重くなっていた。乳輪は濃く広がり、乳首からはすでに初乳が滲むことがあった。佳子は布団の上に横たわり、左右の乳房に、義信と多摩子をそれぞれ吸い付かせた。二人は幼子のように、母の、そして主の乳房に顔を埋め、甘い乳を吸った。佳子は二人の頭を優しく撫でながら、静かに願った。
「無事に子が生まれれば、二人に夫婦になって、多摩子の子として育ててほしい」
義信と多摩子は、乳を吸いながら、こくりと頷いた。言葉はいらなかった。三人の間に流れる、歪んだ、しかし確かな絆が、それを自然なこととして受け入れさせていた。
出産は、拍子抜けするほどの安産であった。母子ともに健康で、男の子が生まれた。義明と名付けられた。義信にとっての弟であり、同時に息子であるその子は、秘かに恐れていたような、禁忌の交わりによる傷害などもなく、健やかに育っていった。多摩子との婚儀は、静かに、しかし正式に執り行われた。世間では戦争が終結し、激動の時代が続いていたが、屋敷の中の時間は、密やかに、しかし着実に流れていった。
子育てと、母との情交は並行して続いた。佳子は孫であり息子でもある義明を抱きながら、夜は義信を受け入れた。身体は年齢を重ねても、息子の熱を求めることをやめなかった。多摩子は妻として、母として、二人の間を取り持ち、時に佳子と女同士の睦みを重ねた。義信は母を愛し、多摩子を尊重し、義明を育てた。複雑な血の繋がりを、三人は言葉にせず、日常の中に溶かしていった。
佳子はそののち、六十七歳で天寿を全うした。亡くなるその前日まで、息子と情を交わした。最後の夜、義信は母の痩せた、しかしなお温かい身体を抱き、ゆっくりと愛した。佳子の顔は、苦痛ではなく、静かな満足に満ち、美しかった。息子の精を受けながら、母は目を閉じ、穏やかな息を引き取った。義信は母の冷たくなっていく身体を、長く抱きしめていた。
時はさらに過ぎた。義明は青年となり、多摩子は四十を超えた女盛りを迎えていた。ある日、義信は、青年となった義明が、多摩子の入浴を覗き見ているのを発見した。障子の隙間から、湯気の中の多摩子の身体を凝視する息子の姿。義信は咎めず、見ぬふりをした。実の母との禁断の恋に比べれば、本人は知らぬとはいえ、義明と多摩子に血の繋がりはない。多摩子も四十を超えた女盛りで、身体は成熟し、魅力を保っていた。義信は心の中で、弟であり息子である義明に、静かに応援した。がんばれよ、と。母を想って育った自分と同じように、この屋敷の歪んだ、しかし温かい情念の中で、彼もまた何かを見出していくのだろう。
義信は廊下を静かに離れ、自室に戻った。母の遺した香りが、どこかでまだ残っているように感じられた。さびれた屋敷は、戦後の復興の波の中で、徐々に時代に取り残されつつあったが、そこに生きる者たちの心の奥では、禁断の火が、静かに、しかし確かに、燃え続けていた。
義明が多摩子をどう想い、どう行動していくのか。義信はそれを、温かく、しかし複雑な思いで見守ることにした。母・佳子がそうであったように、この屋敷の女たちは、男たちを受け入れ、育て、時に道ならぬ情を交わし続けていくのだろう。義信は窓の外の空を見上げ、亡き母の名を、心の中で静かに呼んだ。