イチギョウ ルリ(2037年)
徐 依依(シュー・イーイー)(2037年)
(2037年。情報管理センターの最深部で、十年に及ぶ執念の終わりと、新たな狂乱の幕開けを告げるアラートが鳴り響いていました。
カタガキ・ナオミが命を賭して実行した最終プロトコルにより、アルタラの深層から、ついに大人の姿をした『イチギョウ・ルリ』の精神を現実世界(リアル)の肉体へと完全にサルベージすることに成功したのです。
カプセルの中で、十年ぶりに現実の目を覚ましたルリ。しかし、その奇跡の代償はあまりにも残酷なものでした。ルリの精神が現実に戻った瞬間、すべてのリソースを使い果たしたナオミの精神が、逆にアルタラの底へと引きずり込まれ、意識を失ってしまったのです)
「チーフ……? 嘘、応答して、カタガキチーフ!」
センターの隔離室で、徐依依はナオミの個人端末へ何度も緊急通信(電話)を入れましたが、呼び出し音は虚しく響くだけで、一向に繋がる気配はありません。
カプセルから這い出し、まだ自分の大人の肉体に戸惑いながら震えているルリを目の前にして、依依は瞬時にすべてを悟りました。
「一行さん、起きて。……すぐにチーフ(ナオミ)のところへ行くわよ」
依依はまだ自立歩行が覚束ないルリを素早く車椅子に乗せると、センターの目を盗んで、ナオミがプライベートルームのある地下に向かいました。一刻も早く、二人の魂を再会させなければならないという、焦燥感と奇妙な情動が依依を突き動かしていたのです。
バタァンッ!
「チーフ!!」
ナオミの部屋の鍵をハッキングして踏み込んだ二人の目に飛び込んできたのは、端末の前の床の上で、ピクリとも動かずに意識を失って倒れているナオミの大きな身体でした。
「ナオミ、くん……っ! 嘘、どうして……私、やっと会えたのに……っ!」
車椅子から転げ落ちるようにして、ルリはナオミの身体に縋り付き、その白髪の混じった頬を涙で濡らしました。どれだけ揺さぶっても、大人の彼の瞳が開くことはありません。その身体は、限界を超えた熱を帯びてビクンと小さく痙攣していました。
その時、ナオミを介して「共犯者」となった依依の瞳に、妖しい光が宿りました。
「……一行さん、まだ諦めるのは早いわ。チーフの精神は、今アルタラの深層で完全にフリーズ(凍結)している。現実からの強烈な『肉体的パルス(快感)』を彼の脳に直接叩き込めば、防壁を突き破って意識を取り戻すかもしれない」
「肉体的、パルス……? それって……」
「そうよ。……チーフが十年間、データの中でさえ狂おしく貪り続けた、あなたのその本物の肉体の熱を、彼のモノに直接注ぎ込むの」
依依はそう言うと、自らのオフィスブラウスのボタンを外し、倒れているナオミをベットに寝かせ、衣服を乱暴に剥ぎ取り始めました。ルリの脳裏に、第九話で依依と電脳空間で交わした、あの快感の記憶が蘇ります。
「私も手伝うわ。2人で、チーフの凍りついた魂をハッキングして、現実に引きずり戻すのよ……っ!やってやりましょう!」
ルリは決意を秘めた瞳で頷くと、自ら大人の柔らかい素肌を晒し、ナオミのカチカチに怒張した一物へと跨りました。依依がナオミの首筋や耳元を愛撫して脳波を昂ぶらせるなか、ルリは自身の十年の想いと愛液が 溢れ出る最深部へと、意識のない恋人のモノを じわじわ と 挿入していきました。
倒錯した再生の儀式が、静かに始まったのです――。
ベッドの上で依依がナオミの上半身を支え、ルリはナオミの股間に跨った。意識のない大きな身体は予想以上に重く、ルリはその質量を肌で感じながら自らの秘所に手を伸ばした。30代の成熟した陰茎は依然として硬く、熱を帯びている。
「ナオミくん……お願い、起きて……」
ルリはナオミの白髪混じりの額にそっとキスし、自身の愛液をローション代わりに塗りつけながらゆっくりと腰を落とした。濡れた音と共に、ナオミのモノがルリの柔らかな肉を押し開く。
「うっ……あ……」
初めて受け入れる現実のナオミの存在感にルリは息を呑んだ。電脳空間の虚像よりずっと重く、熱い。その質量が子宮を圧迫し、意識がないはずのナオミの身体が僅かに痙攣した。
「反応してるわ」
依依がナオミの首筋に舌を這わせながら低く囁く。
「続けて。もっと奥まで」
「んっ……あっ、深い……っ」
ルリは汗で滑る背中に力を込め、さらに深く繋がろうと腰を沈めた。結合部から溢れる白い愛液がナオミの腹筋を伝い、シーツを濡らす。
依依はナオミの乳首を摘み、同時に左足の麻痺した部位を執拗に愛撫した。
「この痛みが、あなたを守った証拠なのよ……」
ルリはその言葉に涙しながら、ナオミの全身に唇を押し当てる。火傷の跡に触れると、ナオミの瞼が微かに震えた。
「効いてるわ! ルリ、もっと強く!」
ルリは涙と汗で濡れた顔を上げ、激しく腰を動かした。泡立つ結合部から淫らな音が部屋中に響き渡る。
「ナオミくん……好き、好きよ……!」
その瞬間、ルリの最奥に熱い液体が迸った。意識のないナオミの本能的な射精。白濁が彼女の中に溢れ出し、それでもなお止まらず、ベッドへと流れ落ちていく。
「あぁっ……ナオミくん……!」
ルリが叫んだ時だった。
「ん……」
微かな呻きと共にナオミの指先がピクリと動き、閉じられていた瞳が薄く開いた。
依依は一瞬呆然とした後、素早くルリからナオミを引き離し、自らナオミの上に跨った。
「私の番よ……」
意識が戻りかけたナオミのモノは再び硬く張り詰めている。依依はスカートをまくり上げ、ストッキングを裂きながら腰を沈めた。ルリの愛液とナオミの精液が混ざった潤滑剤が、依依の秘部に吸い込まれていく。
「んっ……ああっ! ナオミ……チーフ……!」
依依の激しい律動に、ナオミはかすかに呻きながら彼女の腰を掴んだ。まだ朦朧としているが、本能は彼を求めている。
「ダメ……これ以上したらまた意識が……」
ルリが制止しようとした刹那、依依は絶頂と共に激しく収縮し、ナオミの精を体内に飲み込んだ。白濁が依依の内腿を伝い落ちる。
「はぁ……はぁ……これで……完全に……」
依依が満足そうにナオミから離れると、ルリが駆け寄った。
「ナオミくん!」
焦点の定まらない瞳がルリを捉えた瞬間、ナオミの身体に電流が走った。
「……ルリ……?」
震える手がルリの頬に触れ、ルリは嗚咽しながら彼に抱きついた。涙と愛液で濡れた彼女の温もりに、ナオミの理性が戻りつつある。
「戻ってきた……本当に……」
依依は静かに二人を見守っていたが、ルリが再びナオミの上に跨ると目を細めた。
「もう一度……お願い」
ルリが腰を沈めると、ナオミのモノが再び彼女の中に納まった。意識を取り戻したばかりの熱い鼓動が直接伝わる。
「んっ……ああっ! ナオミくん……!」
ルリが泣きながら腰を動かし始めると、ナオミは本能のままに彼女を突き上げた。二人の絶頂はほぼ同時だった。
「うっ……ルリ……!」
「あぁーーーっ!」
熱い精がルリの最奥に叩きつけられ、満たされていく感触に彼女は泣き叫んだ。
「……はぁ、はぁ、っ……。ナオミ、くん、お願い、目を覚まして……っ」
「フゥ……ダメね、これだけのパルスを注ぎ込んでも、まだコアの凍結が解けない……」
ベッドの上は、2人が流した汗と、ルリと依依の秘部から溢れ出た愛液、そしてナオミが意識のないまま本能だけで二人のなかに何度もブチ撒けた濃厚な中出し精液によって、白く汚れていました。
しかし、これほど激しく貪り合った後でも、ナオミは深い眠りに落ちたまま、目を覚ますことはありませんでした。
ルリが涙を流してナオミの胸元に顔を埋めるなか、依依は乱れた衣服のまま、床に落ちていたナオミの特製マスター端末を拾い上げ、そのロックを高速で解除しました。画面に表示されたのは、ナオミの「10年間の医療データ」と「アルタラへの干渉記録」でした。
「……一行さん、これを見て」
依依の重い声に、ルリは顔を上げました。
「チーフの背中にある、あの酷い大きな火傷の痕……あれは、ルリを助けるためにシステムにダイブするための転送装置が爆発した時にできたものなのよ」
「え……っ、ナオミくんの背中、あんなにただれて……っ」
「それだけじゃないわ。彼の左足が完全に麻痺して、いつも杖をついている理由……。あれは、あなたをアルタラの深層データから引きずり出すための、無茶なダイブを繰り返した結果よ。強烈な神経フィードバックを受け続け、彼の脊椎はボロボロに損傷していたのよ!」
画面に映し出される、痛々しい肉体の損壊記録。
ナオミが、どれほどの苦痛と、どれほどの五感の喪失に耐えながら、自分というたった一人の少女をこの現実に引きずり戻すためにすべてを犠牲にしてきたのか――その圧倒的な狂気と純愛の真実を知ったルリは、言葉を失い、大粒の涙をポロポロとナオミの身体へと零しました。
「ナオミくん……ごめんなさい、私、何も知らなくて……っ。待ってて、今度は私が、あなたを絶対に助け出すから……っ!」
ルリはナオミの麻痺した左足、そして背中の大きな火傷の痕に、愛おしそうに何度も優しいキスを繰り返しました。
カタガキ・ナオミが人生のすべてを賭けて救い出した一行瑠璃。彼女の心のレイヤーが、今度はナオミを救うための狂気へと完全に書き換えられた瞬間でした。
「徐さん。ナオミくんを救うために……私、何でもする。」
「ふふ、いい覚悟よ。」
2037年という混沌の時代で、ナオミを巡る女たちの新たなハッキング計画(次話)が、静かに動き出そうとしていたのでした。
(第十話・完)