両親は借金持ちであり、領民からは搾取するばかりで還元しない典型的悪役貴族。
まともな愛情は与えられない家庭環境のなかで育ちながらも、めげることなく幸せを掴もうと努力していた。
だがしかし、その夢は父の一言によって砕けることになる。
【ハーメル版に関して】
こちらの作品は、なろうにも投稿しております。
話の流れや設定などに異なる点があるため
このように分けさせていただきました。
男爵家の一人娘として、私は産まれた。
今世の親は、お世辞にも良いとは言えない。
最悪の部類だろう。
お金にがめつく、その癖、豪遊のためとあらば散財する。
それが領民に還ることはなく、搾取するだけして放置する有様。
はっきり言って、典型的な悪役貴族というやつだ。
そんな親の元に産まれた私には、いわゆる前世の記憶があった。男としての記憶が。
男と結婚する気はない。
でも、しなければいけない。
貴族として生きていく以上、それは避けられない。
最初は思い悩んだ。男性と子作りすることに、自分のアソコに入る光景を想像してしまい、気持ち悪さから嘔吐したこともある。
それぐらい嫌で、でも、どうしようもなくて。
割り切るしかなかった。
考えを変えれば、しても良いと思える相手を見つければいいだけ。そんな難しいことはないはずだ。
そのためにも領が潰れないよう、少しでも良くなるように頑張ってきたのだが、
「結婚相手が決まった」
朝の食卓に響く、お父様の淡々とした声。私は呆然と声を漏らす。
昨日はじめて夜会に参加したばかりで、これから旦那探しを頑張ろうと思っていたのに、それが始まる前に終わるなんて。
この絶望をなんて言葉にすればいいんだろうか。
声を失う私を無視して、決定事項を告げていく。
「婚約式はなし。明日の内に家を発ってもらう」
婿をもらうのではなく、私が嫁ぐ。
そうなれば、誰が家督を継ぐというのか。
疑問を漏らす私に、父は馬鹿にしたように鼻で笑った。
「また産めばいいだけだ。今度は男だといいが」
命を軽んじる発言に言葉を失う。
縋るように母を見るが「女なら老人に高く売れるわよ」と、より最低なことを宣う始末。
あぁ、わかってたつもりで分かってなかったんだ。
両親からしたら、私は、換金のできる“物”でしかないんだ。
結局、私はなにも言えなかった。
お父様の「良いな」の言葉に、か細く「はい」と答えるのが精一杯だった。
食事は喉を通らなかった。
嘘であってほしかった。だけど、現実はどこまでも非常で。翌日には、ほんとうに、家を発つことになった。
両親は見送りにきてくれなかった。
数少ない召使いと別れを告げる。
着いてきてくれる者は誰もいない。
数少ない荷物だけを持ち、一人っきりで向かう。
逃げ出したかった。
こんな理不尽から、運命から、逃げ出したかった。
でも、私にはその力がなかった。
市井で生きていくには、私はあまりにも無知で、身を守る術をしらない。
できることといえば、身体を縮こまらせて、待ち受ける未来に震えることだけ。
せめて、いい人であってほしい。
そんな、淡すぎる夢は、やはり、打ち砕かれた。
「ようこそ、我が屋敷へ」
その人は、とても太っていて、ぶくぶくと膨れた顔が特徴的な老人だった。
わざわざ屋敷のまえで待ち構えて、欲望に染まった目で私を撫でまわすように見てくる。
鳥肌が立つ。今すぐにでも吐き出したかった。
これが、こんなのが、私の夫。
今から私はこれと暮らしていかなきゃいけない。
気色悪くて、自殺したくなる。
でも、それは怖くて、まだ希望を捨てられなくて。
気がつけば初夜を迎えていた。
屋敷のメイド達に丁寧に洗われた身体は、今まで見たなかで一番キレイだった。
身に纏う透けたネグリジェ。
相手があんな奴でなければ、きっと最高だったのだろう。
ただ一人待つ寝室のなか、大窓から覗く夜空だけが唯一の癒しだった。
永遠とこの景色を見ていたい。囚われていたい。
たとえそれが無理でも、せめて、このまま一夜が明けてほしい。
純粋な願いは、けれど、どこまでも行こうとも願望でしかなく、
「とても似合ってるよ。初夜に最高の姿だとも」
寝室にやってきた夫は、にちゃにちゃと気色の悪い笑みを浮かべながら私を褒めそやす。
微塵も嬉しいとは思えなかった。
深く息を吸い、吐く。
この一回だけ。この一回さえ耐えれば、孕むことができたら、する必要はなくなる。
踏ん張りどきだと覚悟を決めた。
………後悔した。
初夜が始まるや否や、夫は、いやあの豚は、ネグリジェを無理やり破り捨てて、私の裸体を露わにした。
悲鳴を上げて胸を隠そうとして、無理やり手を掴まれて剥き出しになる2つの果実。
その質感を確かめるように揉みしだかれ、先端に立つ桜色の乳首を強く摘まれる。
反射的に上がる声。嬌声ではなく、悲鳴。
扱いのなっていない、手加減をしらない触り方は、ただただ痛かった。
目尻に溜まる涙がつぅーっと垂れ、ペロリと舐められる。
背筋がゾッとし、全身の肌が粟立つ。
視界いっぱいに映る豚の顔下。でっぷりと膨らんだ口のなかから吐き出される悪臭が私の顔を覆う。
卒倒しかけた。
それほどに気色悪くて、恐ろしかった。
顔面に血の気を感じない。
なのに、うるさいほどに高鳴る心臓。
短い間隔で吐き出される息。
顎を掴まれ、無理やり上を向かされる。
「そう、これだ。この表情を見たかった」
欲望に染まったギラギラと瞳で語る豚の視線は、私を見ているようで―――見ていなかった。
あぁ………犠牲者は私だけじゃなかったんだ。
そのことに仄暗い気持ちが疼く。
この不幸が私だけじゃないと知れて、最悪にも、喜んでしまった。
豚の瞳越しに映る自分の姿。
顔面は蒼白で、口角は異様に吊り上り、その瞳は異様なほどに輝いていた。
豚が舌打ちをした。
どうも、この表情が気持ち悪かったらしい。
うつ伏せになれと、命令された。
その指示には従わなかった。
顔を叩かれ、無理やりうつ伏せにされた。
痛みに呻く。下半身が持ち上がる感覚。足が広げられ、鼠径部が外気に触れる。
風が鼠径部をくすぐり、それが気持ちいいと感じた。
こんな状況に関わらず、微かに笑いが漏れる。
でも、それも一瞬のこと。すぐに心を締める諦観。
あぁ、ついに来たのだ。
抵抗しようとは思わなかった。
したところで殴られるだけだとわかっていたし、なにより、
「顔は気色悪いが、それ以外は完璧だ。あぁ、今すぐにでも入れたいほどに素晴らしいよ」
うっとりとした声。鼠径部に吹き付ける生温い風の感覚。
嫌な予感がした。
このままではマズいと、本能が警邏を鳴らす。慌てて暴れだそうとして、ヌメリとした細長いナニカが秘部のなかに入ってくる。
背筋を走るゾクリとした感覚に、脳がピリピリと痺れる。
「お"ぉ"♡」
自然と上がる野太い声。
秘部から抜かれるナニカ。付着した粘液が風に触れ、尾骶骨をゾクゾクとした感覚が走り、尻が震える。
「とってもいい声だ。これでまだ処女だというのだから、素晴らしい」
声が耳のなかを素通りする。
それどころではなかった。
秘部に入れられたナニカ、十中八九舌だ。
気持ち悪い、気持ち悪いはずなのに………またして欲しいと思ってしまう。
秘部がひくつくのが感じられる。
背後から聞こえる笑い声。
「どうやらハマったようだ」と嬉しげな豚の声が聞こえてくる。
違う。求めてない。嬉しくない。
否定する言葉はいくつも出てくるのに、声にだすことはできなくて。
再び、秘部に舌が挿入される。
また上がるオホ声。
嫌なのに、嫌で嫌で仕方がないのに、喜んでいる自分がいる。
相反する気持ちに頭がおかしくなりそうで、目に溜まる涙がいくつも溢れ落ちる。
秘部を這う舌は、先程とは異なり、より深部を目指して突き進んでいく。
硬く閉ざされた内側を、舌使いで優しく、味わうように解きほぐしていく。
その度に下腹部に溜まる熱に、ゾクゾクとした感覚。両手で必死に抑えても上がるオホ声。
すべてが豚の手のひらの上だった。
恐怖と快楽の狭間のなか、上がる心拍数。
狂いたいと願う。
狂ってしまえば、理性が溶けてしまえば、こんなに苦しむことがないのに、
――――狂えない。
気がつけば嗚咽が漏れていた。
もう我慢の限界だった。
目的とか、もはやどうでも良い。
今は、ただただ逃げたくて逃げたくて、
「ぁ」
イッた。
ぶしゅうぅううう! と秘部から吹き出る愛液。それは当然の如く豚にかかり、再度抜かれる舌の感触。
切なげな声を漏らし、物足りなさが心を満たす。
「は、ははははははははははは! これだけイクか。感度が良いな。ここにもし、イチモツを挿れたらどうなるか、楽しみで仕方ない」
喜色の声を上げて、展望を語る。
「その顔を見せておくれ」
優しい言葉遣い、だが実際には、頭部を掴まれ無理やり顔を合わせられる。
「涙でぐちょぐちょだ………気持ち悪い」
力任せにベットに頭を叩きつけられる。漏れる悲鳴、痛む頭皮。
豚は苛立った様子で「口に咥えさせようとしたけど駄目だな」と侮蔑の眼差しで私を見る。
怒る気力はなかった。
体力もなかった。
顔を隠すようにまたうつ伏せにされ、下半身が持ち上がる。
今度こそほんとうに始まるのだと察した。
勢いよく挿入されるイチモツ。
反射的に上がる声。だけどそこに媚びる感じはなく、本能からくる義務的オホ声を上げるだけ。
豚は「処女はやはりキツいな。だが、それもまた良い。自分好みに育てることができるのだからな」と、ひとり言のようにぶつぶつと言っていた。
その声が酷く遠い。自分のオホ声もそう。魂だけが置いてけぼりにされて、勝手に進んでいくこの感覚。
ふと、窓に映る自分の顔を見た。
泣き腫らした目は腫れ上がり、顔には生気がなく、瞳は濁り、虚ろ。
短時間で別人になったようだと、他人事のように思う。
その背後では、豚が必死に前後運動を繰り返しており、「イクぞ!」「イクぞおおおお!」と何度も叫んでいる。
激しさを増していく動きに、精液を絞り出そうと締め付けを強める肉穴。
処女膜はとっくに破られており、ジンジンとした痛みが感じられる。
「イッ――――クゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
ビュル、ビュルルルルルルル!!
内側に吐き出される質量を伴った精液。
これで目的は達成したことになる。
だけど、どうしてか、私は達成感を感じられなかった。
それは悟っていたからかも知れない。
―――妊娠はできないと。
その予想は当たることになる。
最悪の初夜を終えて、数日が経ち、主治医に妊娠の有無を確認してもらったが、首を横に振られてしまった。
孕めない体質ではなく、運が悪かったとのことだ。
一人になった自室で、私は狂ったように笑った。
柱に頭をぶつけ、壁に頭をぶつけ、窓を壊そうとした。
限界だった。この結婚生活に、向かわれない人生に。
それでも死ぬ勇気はなかった。
どれだけ嫌で、怖くて、死にたいと思っても、身体は“生”を求めた。
それが終わりのない地獄の入口だとわかってたはずなのに。
「や、った………!」
声が震え、視界がボヤける。
主治医から齎された妊娠の知らせ。
やっと、この地獄から解放される。
子供が産まれるまでのほんの僅かな間だとしても、
――――解放されるんだ。
産まれてからはじめて心からの笑みを浮かべたかもしれない。
珍しく鼻歌を歌ったりして、書斎へと訪れる。
豚―――いえ、夫にこのことを報告しなければ。
倫理観が終わってる夫だとしても、子供ができたと知ったら喜んでくれるはずだ。
そう、信じてたのに、
「そうか、また今日もやるぞ」
興味なさげに報告は流された。
呆然とした。子供ができたのだ。親として喜ばしいはずだろ。違うのか。そんな簡単に流していいものなのか。
なにより、もうしたくはなかった。
これだけを希望に頑張ってきた果てが、終わりがないという事実に、絶望した。
なにか、なにかないかと、必死に頭を回転させ導きだした答えが、
「め、妾を迎え入れましょう!」
他人を売ることだった。