無理矢理、バッドエンド。
ハム子の名前は「汐見 琴音(しおみ ことね)」を使用。
夜も更け、空には月が浮かぶ。
「……満足したか」
「はいっ! とっても楽しかったです」
並んで歩くのは、二人の男女。
少女は月光館学園の二年生であり、特別課外活動部である汐見 琴音。彼女に手を引かれながらも満更でもない顔を浮かべているのは、三年である荒垣 真次郎だった。
素っ気無い荒垣の態度にも、琴音は気にしない。クスクスと笑って、荒垣に寄り添う。
そんな琴音に荒垣も呆れつつ、そっと手を握り返そうとした――その時だった。
「ッグァ……!」
「荒垣先輩!?」
突如として身体を襲った苦しみに、荒垣は胸を押さえて膝をつく。
呼吸が荒くなり、心臓が激しく乱れる。まともに立っていることすらままならない。傍で必死に呼び掛ける琴音の声すら、今の荒垣にはよく聞こえない。
代わりに心の奥からのざわめきが、この場に姿を現した。
「ウッ、ぐ、ぐうぅ……!」
黒い馬に乗った、胸元に刃が突き刺さった逞しい体躯のペルソナ――カストール。
タルタロスの探索中では頼もしい存在である「それ」は、今は激しく荒ぶっていた。
――ペルソナの暴走。
かつて自らが起こした罪が、荒垣の中でフラッシュバックを起こす。
このままではいけない。今はストレガと取引している薬も手許にない。胸を掻き毟るような苦しみに苛まれながらも、それ以上の恐れと焦りが荒垣を襲う。
「汐見、今すぐ離れ……」
「そんなこと出来ません! 私が、荒垣先輩を守ります!」
せめて彼女だけでもと投げ掛けた荒垣の言葉に、琴音は気丈に言い切る。
タルタロス探索時でもリーダーシップを発揮する琴音の姿は、どれほど頼もしいことか。
だが、今この状況においてその選択は間違いだった。
「っ、逃げろッ!」
全身が総毛立つ感覚に、荒垣は思わず叫ぶ。
それに琴音がハッと顔を上げた時には、もう遅かった。
「きゃあぁっ!?」
カストールが発動させた物理スキルを、琴音はまともに受けてしまう。
咄嗟の受け身も出来ず、琴音の身体は大きく吹っ飛ばされる。荒垣の伸ばし掛けた腕も間に合わず、吹っ飛ばされた琴音の身体はコンクリートの壁へと叩き付けられた。
「汐見!」
「うっ、げほっ、げほ……っ」
タルタロス内ならばまだしも、今この場は違う。武器も防具も、召喚器も寮内に置いてきてしまっている。つまり、まったくの丸腰。
受け身も取り損ね、琴音は地面に倒れ伏せたまま何度も咳き込む。
当然、琴音が他に意識を向ける余裕も無かった。その間に近付いていたカストールが倒れた琴音の腕を掴み、引っ張り上げる。
人間とは全く異なる存在によって琴音の身体は軽々と放り投げられ、宙を舞う。
「っあぐ……!」
突然のことに琴音の肺から空気が空っぽになり、激しく咳き込む。
それも束の間、琴音は自らが置かれた状況に目を瞬かせた。
「……えっ?」
頭上には、不気味な黄緑色の月。
星のない夜を背にするのは、赤い目をした「もう一人の自分」。
しかし、琴音と荒垣が目を奪われたのは、その存在そのものではなかった。
黒い馬の背に乗せた琴音を見下ろす、カストールの股ぐら。
そこには、黒々と屹立する凶悪な怒張があった。
「やめ……止めろ……」
カストールが股間の凶器を、琴音へと近付けていく。
それが意味するものを理解した瞬間、荒垣は一気に青ざめる。
視界も呼吸も不安定で、鼓動は何の所為にか分からないほど乱れている。
そのくせ意識だけがひどくクリアで、飛び込んで来る状況に目が離せない。
何とかして琴音の許に行こうとしても、指先一本すら満足に動かせなかった。
「ゃ……やだ、っ……! やだぁ……!」
同じように行為の意味を察した琴音は逃げようとするが、背後はペルソナの一部である馬の背。今以上に後退することは出来ず、無意味に腰が引けただけだった。
周囲に人の気配は無い。加えて、今は影時間。他の特別課外活動部のメンバー達への連絡も出来ない。
カストールの腕が再び琴音へと伸び、身に纏う服を破り捨てる。
形のよい膨らみを持つ上半身から、しなやかな下半身。琴音が羞恥に震える暇すらない。制御を失ったペルソナの前に、琴音の裸体が晒された。
刈り取る者を前にするよりも遙かに上回る絶望感に叩き落とされながら、琴音は自らに迫り来る雄の象徴を凝視する。
やがて、カストールの股間が琴音の脚の間と密着する。
既に下着も剥ぎ取られ、妨げるものは何もない。カストールの昂ぶった股間が、琴音の花びらと触れ合う。
「いや……先輩、たすけ……」
目に涙を溜め、荒垣へと助けを乞うた琴音の願いも虚しく。
――琴音の処女を、貫いた。
「いやぁあああっ!!」
ブチリブチリと容赦なく乙女の膜を突き破り、ゴリゴリと膣内を蹂躙していく。
何の抵抗も出来ず、呆気なく。内襞を巻き込んで、昂ぶった塊が琴音を犯す。
「あ……あぁあ……っ」
日焼けしていない内股から滴るのは、鮮やかな赤色の血。
無慈悲な破瓜が行われ、琴音の目からはらはらと涙が落ちていく。
呼吸するだけでも異物感と圧迫感が内側から襲い、身体はまともに動かせない。想像を絶する現実を受け止めきれず、言葉を失う。
「ゃ……抜い、ぬぃ、て……ぬいて、よ……」
雄々しく脈動する凶器は確かに実体を持ち、幻覚でもない現実であると知らしめる。
儚い懇願は何処にも届くことはなく、絶望と苦痛だけが増していく。
だが、それだけでは悲劇は終わらなかった。
琴音を膣口から貫いたカストールは、琴音の身体を激しく揺さぶり始める。
「アッうん!? ぁぐううッ!?」
更に琴音の反応が弱まり始めると、カストールは一度琴音の身体を持ち上げる。
ずるり、と身体から竿が引き抜かれていく感覚に、琴音が不規則な喘ぎを漏らす。カストールの下半身は破瓜の時についた鮮血が付いていて、いまだ萎える気配の無い脈動を引き立てたせるようにぬるついていた。
琴音はカストールのされるがままに力無く肢体を引き上げられていたが、再び凶器が胎内を分け入る気配に顔を絶望で引き攣らせる。
「ひっ……いや、もう、ゃだぁあっ!」
あらん限りの抵抗をしようとするも乱暴に扱われた琴音の身体は下半身に力が全く入らず、力の緩みきった下半身は恐怖で失禁してしまったのを気付かないほど。
滴り落ちた小水は処女膜を突き破られた血と混ざり、再び琴音の膣口に擦り付けるカストールの男根を濡らす。
そして、再び琴音の身体は串刺しにされた。
しかも先程よりも体勢が異なるので、繋がりは深くなる。カストールの怒張が琴音の子宮口を突き破って、胎の形を変えんばかりに押し潰す。
月夜の下、異形に犯される琴音の身体もまた、常とは掛け離れていく。
強張った指先はピンと伸び、重りを埋め込まれた腹だけが突き出ている。
ローファーは脱げて地面に落ち、開かれた脚はぶらぶらと揺れていた。
琴音の様に、カストールに気遣いなど一切ない。ただ衝動のまま、カストールの黒い馬の背で揺れるばかりで逃げ場のない琴音の身体は一方的に犯される。
「ッアああ、いだ、ひぐっ、イ"やっ、ああアッああ!!」
夜闇に響き渡るのは、艶めきとは無縁な悲鳴。
電撃を受けたように琴音の身体がしなり、暴れ狂うモノに蹂躙される。
少し前までは清純な身体だった面影は、もう跡形もない。着ていた制服は破かれて上半身は乳房を揺らし、臍の辺りはいびつに膨らんでいる。
もっと悲惨な状態になっているのは、下半身だった。
太腿はカストールに押さえ付けられて痣になっていて、スカートは残骸しか残っていない。内股は閉じられずに開け広げた状態で、小刻みな痙攣を繰り返すだけ。
極めつけは、結合部。慎ましやかだった膣口は限界以上に押し拡げられ、カストールの大きすぎる雄に押し入れられて血を流し続けている。それだけではなくカストールが琴音を揺さぶる度に下半身も出し入れされるので、そこから痛々しく媚肉が捲り上げられて腫れ上がっていた。
「う゛ぐっ、アアァっ、んんぉぐっ、ぃや、いやぁ……ッ」
開きっぱなしの口からは悲痛な悲鳴と苦悶の呻き、絶望に満ちた拒絶ばかり。粘着質で暴力的な水音に混じるそれも次第に弱々しく、小さくか細くなっていく。
涙に濡れた目許は光が途絶えかけ、普段は纏められている髪も乱れてしまっている。
正しく憐れとしか言いようのない琴音の姿に、荒垣は発作に苦しみながらも一時も目を離せないのを自覚する。
我は汝、汝は我。ペルソナとは、もう一人の自分のことだ。
いくら暴走状態にあろうとも、自分の別の側面であることは間違いない。
それを見せつけて嘲り笑うように、溜まった何かが荒垣の中でせり上がっていく感覚が催された。
「ぁぐっ、いや、ィャ、ああっ!」
異変を感じ取ったのは、荒垣だけではない。カストールに揺さぶられるままだった琴音も同じだった。
ただでさえ破裂しそうな腹の内が、どんどん熱く膨らんでいく気がする。
これまでとは違う何かに微かに我を取り戻した琴音が身をよじるが、抵抗にすらならない。むしろ逆に、強く腰を押さえ付けられて逃げ場を失う。
カストールの動きが段々と激しく間隔が短くなり、それが最高潮に達した時。
一度動きが止まったかと思うと――琴音の腹の中に、ありったけの奔流がぶちまけられた。
「グッ、うう、ぐぁああァ――ッ!」
「――イヤァアアアアッ!!」
こじ開けられた子宮口は逃げ場もなく、琴音自身にも逃げ場はない。
琴音の喉と背が限界まで反り返り、つんざくような絶叫が響き渡る。
しかしカストールはそれに対しても無反応で、琴音の奥深くまで雄を刻み込んだ。
「……ぁ……あぅ……」
やがてようやく下肢の繋がりを解かれた琴音の身体が、べしゃりと血と小便で濡れた地面に落ちる。
そこからしばらくして、徐々にペルソナの姿が消えていく。
空に浮かぶ月も不気味な黄緑色から、見慣れた蒼白色に戻っていた。
影時間が終わると、荒垣は自らを苛んでいた発作も引いていくのを感じ取る。しかし身体の苦しみが治まっていっても、荒垣は膝を付いたまま動けないでいた。
今も荒い呼吸と共に滴った汗が、下半身から滲み出たものと混ざって地面を濡らす。
しかし、それに気付く者は居ない。それを見る者も居ない。
「……せん……ぱ、ぃ……」
荒垣の最も近くに居る少女――琴音の快活だった赤い瞳は、濁って虚空を見遣るだけ。
純潔と共に奪い取られた正気は、奈落に落ちたまま。
投げ出された肢体はぴくぴくと小刻みに震えるだけで、糸が切れた人形にも見える。
限界を超えて押し入られた膣口はズタズタに引き裂かれ、地面に何によるものと分からぬ血を流している。更にその膣口は琴音の腕がそのまま入ってしまいそうなまでにぽっかりと空いているのに、なだらかだった腹はぽっこりと膨らんで何かが受胎してしまったかのようだ。
今にも消えかけそうな呼気と鼓動は、辛うじて生きているということを示してはいた。だが、それがかえって琴音の身に強いられていた残酷さを引き立たせる。
まるでその姿は、狂乱の中で八つ裂かれたオルフェウスのようだった。