Girasoli in piena fioritura 作:扇町グロシア
原作:グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~
タグ:R-18 グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~ 鶴巻瑞佳 ショートショート
まあ瑞佳さんこんなことしないでしょうが、ジト目が似合うのでつい?
歌舞伎はかつて、男だけではなかったそうです。元は河原乞食の見世物だったし女歌舞伎の方が主流だった(※諸説あり)ものの、売春の温床になって禁止されたとか。そしてイケメン揃いの若衆歌舞伎も、やっぱり売春の温床になって禁止されました。まあ江戸時代には陰間茶屋とかいう衆道風俗もあったので、今よりずっとそっちの需要が多かったんでしょう。……カッコいい男の人同士の絡みはお宝だって団長がほざいてましたね、そう言えば。
しかしそういうのは時代を問わず普遍である一方、いつだってお上には睨まれます。なのでもしかしたら、私たちのような女性サーカス団も規制され無くなるかもしれません。
と言うか今の私たち、明らかにそれを速めている状態なんですよ。
親がこしらえた借金のカタに売られるなんて、戦前の話じゃないですか。爆弾一発で戦争が終わったこの時代に、娘を売り飛ばすゾウリムシがいるなんて思いませんよ普通。
その上御奉公先は私が嫌いなサーカス団、その上零細と来たもんだ。
まあ売られた先がなんであれ寝床とご飯はなんとかしてくれるし、サーカスの経験をいかして他の人を指導すれば多少借金を減らせるから、悪い話でも無いわけですが効率は良くないわけで。
そうなると更に稼ぎたくなるもんで、そしてその手段はやっぱり――そういう事にしかならないのです。
練習を終えてお風呂にでも入りたい所ですが、そのままで来てくれという要望に応えて私は約束の場所へ。何処の滞在先でも都合の良い連れ込み宿がある辺り、みんな考える事は同じなんでしょう。
待っていた人の良さそうなおじさんと共に建物へ入り、そして。
いつものように、お金稼ぎの時間が始まるわけです。
脱ぎ捨てた私の服はそこそこ汗臭いでしょうに、おじさんは嬉しそうに顔を埋めています。心底ゾウリムシですが、どういうわけか――こういうおじさんは私がこんな風に退いていると喜ぶんですよね。何が良いんだか知りませんが。
そして愛想よくしようとするとなんだか寂しそうにするんです、まあパブロフの笑顔とかからかわれるような私ですから、愛想を振り撒くようなガラでもありません。それにこの手のおじさん、私が見下したような事を言うのも喜ぶんです。
だからでしょうね、この人の下半身がテントを張っているのは。
「……気持ち悪いです。早く済ませましょう」
私に言われて嬉しいのか、おじさんはニコニコと下を脱いで、……隆起したそれを露にしました。ムッと来る雄臭さに鼻が曲がりそうです、なんでこうも男というのはゾウリムシなんでしょうか。
溜め息を吐きながらそっと口を近づけていくと、臭いも熱気も強くなり辟易しますが、お金の為お金の為。
ちろり、舌を這わせると呻き声と共におじさんの身体がビクンと跳ね上がります。こういう姿はまあ、かわいいと言えばかわいいかと。こうやって「奉仕」するのをセラチオだかフェラティオだか言うそうですが、私みたいなのに軽蔑の眼差しを向けられながらこういう事をすると凄く興奮するんだそうです。変態ゾウリムシはそう言っております。
ぐぷりとくわえこみ顔全体で扱き立て、そうやって追い込んでいく。――と。
「っ、……ぁ」
口のなかで肉の塊が震え、激しく脈打ちながら熱い迸りが喉の奥へと流れていくのを感じました。不味い、臭い、不愉快です。まあでも、対価を得るための仕事としては費用対効果が高いでしょう。
そう思いつつ放たれた精液を飲み下し、鼻に抜ける生臭い香りを味わいながら私は顔をゆっくりと離していく。濁った白い飛沫は口の橋から溢れ落ち肌を伝って流れていきます、ああもう汚れるったら。……こうなるから裸になってるんですけどね、服を汚すと後で怪しまれるし。
ほんの僅かな時間、ほんのちょっと不快になるだけ。これで大金が貰えるのだから、楽なもんですよ。
始まりはあの日、幕が降りた後。ここの女子サーカス団には「アフター」はないのか、と聞かれた事から。どうも私が知らないだけで、ある程度よりも規模が小さい女子サーカス団では結構よくある事だったらしい。まあ芸者だって元々は、そういうモノだったわけだし。
とは言えひまわりサーカスにそんな裏サービスは無かったのだ、無かったのだけれども。団長たちを介さず現金収入を得られるというのは、私にとって非常に助かる。そしてどういう訳か知らないが、私はなんていうか「需要」があるらしかった。
不機嫌そうにジト目でいてくれて良いしなんならそれがご褒美です、なんて言われるとは思わなかったけど。
そんでもって、そんでもって。「お客さん」が話を伝えてくれるお陰で、移動した先でも毎回しっかり稼がせて貰えている。あのゾウリムシが作りくさった借金はまだまだ唸るほどあるけど、まあどうにか返済もできそうだ。いずれ耳を揃えて叩き付けよう、うん。
「……追加でお金出すから続きを、ですか」
今日のお客さんはどうもお盛んなのか、一度出しただけでは治まらないらしい。たまにいるんです、何度もする方。そしてそういう人が求めるのは、もっと過激なサーヴィスなんですよ。……さて、どうしたものか。事前に分かっていればお腹の中を綺麗にしてくるんですが、生憎なにもしてません。今からするのはさすがに、乙女としての尊厳が傷付きます。となると前の方で……ですね、こっちは最近あんまりしてないんですけど。
……ふむ。まあ、良いでしょう。股開いて天井を向いてればそれで終わりますし、こっちの本番の方が楽っちゃ楽です。お尻だとのし掛かられて潰されそうになってちょっとキツいですからね、私そもそも小さいから。
「あー……まあはい、三ほど足してくれたらそのままで構いません」
構わない、というのは避妊具についてのお話。着けなくても良いですよ、と言えば大抵のお客さんが言い値で払ってくれます。このお客さんも例に漏れず、お財布から即金です。感謝感謝。
ころりと仰向けに寝転んで膝を抱え、入れやすいようにちょっとだけ指で中を解して。そのまま潰された蛙のような姿勢になると、お客さんが私へと覆い被さってきます。焼けたように熱いガチガチの塊、それが私の下半身へと押し当てられてそして。――ずにゅり、音を立てて入ってくる。
「――っく」
お腹の芯が揺れ、頭まで震動が達するその瞬間は、何度しても慣れる気がしません。将来結婚とかして、頻繁にするようになったら慣れるでしょうか。
お客さんは顔を蕩かして喘ぎながら私の中を掘削し、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を奏でています。気持ちいい、ようです。私よりずっと歳上であろう人が子供みたいになってて、やっぱりこういう時の男の人はちょっとかわいいですね。
思わずよしよしと頭を撫でてあげたくなりますが、それは我慢。そこまですると侮ってるみたいで、機嫌を損ねてしまうかもしれません。
やがて腰の動きは速まり息遣いが荒くなり、「その時」は訪れます。
どくん、そんな擬音が付きそうな勢いでお腹の奥で拍動が弾けて。熱い熱い濁流が、渦を巻いていくのが分かります。
もしかしたら妊娠するかも、と考えない訳じゃありません。幾らお金を貰えると言っても、それで人生を投げ出すほどやけっぱちにはなれません。
だけどそれ以上に、私もまた楽しんでいるんでしょうね。きらびやかで危険な、まるで――サーカスみたいな日々を。
あれから暫くが過ぎて、今では他のメンバーも同じことをしています。まあそりゃ手軽で儲かりますからね、はい。お陰さまで私は売上の半分を団の収入にされてしまってますが畜生め。
しかし、とは言え。それでみんながサーカスへの情熱を失うとか演技に身が入らないとか、そういう感じはありません。興行がコケたら次の興行どころか明日のご飯も食べられない、自転車操業どころか一輪車操業だった頃とは違うのです。手堅い構成で地味にやる必要もなくなり、挑戦的なやり方や新しい技術をバンバン出していくようになりました。私の負担は更に増えてますよ、ええハイ。
噂が噂を呼んでうちの「副業」もそこそこ知られ、さすがにもう一流サーカス団にはなれないでしょう。でも世の中、二流三流だって別に悪いことじゃあるまいし。それに万一廃業して移動娼館になろうが、きっとみんな元気にやっていけます。
そう、ひまわりは前を向いて咲き続ける。ずっと色は匂えど、散りやしない。私だってここの一員だ、なら私もまだまだ飛べる。
さあ、お遊びはここからですよ。