とある王国。
老公爵トマス・ドニゴールのクーデターによって王国は転覆し、旧王家の人間は次々と囚われていた。

かつての国境要塞、後に監獄となり、今はトマス・ドニゴールの政敵を処断する恐怖政治の象徴となったグラナ城に1人の少女が足を踏み入れる。

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シンシア・カートレット拷問記録

とある王国。

 

トマス・ドニゴール侯爵が起こしたクーデターにより3年にわたる内戦がおこったこの国ではついに王城が陥落した。ドニゴールはこの国の独裁者となり、旧王国の王族や貴族の処断を進めていた。

そしてグラナ城。かつて前線の要塞として築かれたその城はやがて内地で監獄となり、今はドニゴールが起こした王国の政変に抗う者を飲み込み処断する悪夢の施設となっていた。

 

「んっ・・・はあぁあん・・・・」

 

重厚な石造りの部屋に、生々しい肉のぶつかる音とあえぎ声が響く。冷酷な独裁者として恐れられるトマス・ドニゴールの上に、美しい女性があられもない姿で跨り艶めかしく腰を振っていた。

 

「ふんっ・・・!」

 

「ああっ!・・・・はぁ・・・・」

 

ドニゴールがひときわ激しく腰を突き上げ欲望を吐き出すとると、女性は乱れる息を整える。

そして仮面をつけて黒いマントを羽織ると冷静に話し始めた。

 

「ドニゴール様、攻め落とした王城から逃げたと思われる王女の行方は、現在我らクレアテーゼ家が調査しております。・・・また、そろそろ例のカートレット家の娘がここに着く頃合いです」

 

その名を聞いた瞬間、ドニゴールの顔に険しい歪みが走った。彼は激しく腰を突き上げると、忌々しそうに吐き捨てる。

 

「シンシアだったか……あの小娘も王女のフリをして王城に我らを引きつけるなどとコケにしてくれたものよ。」

 

クーデターの混乱の中、旧王家派の忠義立てによって本物の皇女は辛うじて逃げ延びた。その時間を稼ぐため、シンシア・カートレットたち侍女一団は身代わりとなり、王城にとどまって彼らを翻弄したのだ。

 

ベリアルは冷ややかな瞳で男の背中を見つめながら、しかし声音には妙な甘さを帯びせて囁いた。

 

「ドニゴール様、どうかお約束頂いた通り、あの娘は私にお任せ頂きたく……」

 

ドニゴールは動きを止めると、じろりと女を睨み据えた。その太い腕がベリアルの滑らかな腰を強く掴み上げる。

 

「あの娘は数少ない王女の手がかりだとわかっておるな?」

 

「はい。…心得ております」

 

「……よかろう」

 

男が低く唸るように許可を与えると、女は満足したようにわずかに唇の端を持ち上げた。

 

 

 

 

同じ頃。

 

秋の冷たい風が吹き抜ける荒野を、一台の囚人移送用の馬車がガタガタと音を立てて進んでいた。

 

木の格子嵌めの小さな窓から差し込む薄暗い光の中、シンシア・カートレットは静かに座っていた。

やや小柄な体躯。金色の髪は肩より少し短く整えられ、青いリボンがツインテールにまとめている。

澄んだ碧眼には疲労の色が濃いが、その奥にはまだ、気高い意志の光が消えずに宿っていた。

 

王女を逃がすために仲間とともに時間をかせぎ、自身の脱出は叶わず力尽きて拘束された。

カートレット家は逆賊として断定され、家族も祖国も失った。

それでも、王女が今もどこかで生き延びているという事実だけが、彼女の心を辛うじて支えていた。

 

馬車が速度を落とす。

 

「止まれ! 門を開け!」

 

外で野太い衛兵の声が響き、重々しい木製の扉と鉄格子の重しが擦れ合う音が聞こえてきた。

ドニゴールに従わない者を飲み込む暗黒の牢獄――グラナ城。

 

ギギギ……と耳障りな音を立てて、城の巨大な鉄の門がゆっくりと開き始める。

 

重々しい音を立てて引き上げられた鉄格子。

その門の向こうに広がる、冷たく陰鬱な石造りの回廊を見据えながら、シンシアは覚悟を決めるように小さく息を呑んだ。

 

囚人を乗せた馬車は、暗い城門の影へと吸い込まれていった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

引き上げられた鉄格子を抜け、囚人馬車が止まったのは、無骨な石造りの建物前だった。

 

シンシアは馬車から降ろされ、その建物に引き立てられる。連れ込まれたのは、明り取りの小窓に太い鉄格子が嵌められたものものしい部屋。シンシアが部屋に入ると同時に背後の扉が閉ざされ、退路は完全に断たれた。

 

室内には冷酷な眼光を向けた看守たちが待ち構えていた。

 

「手枷と足枷を外せ。……入牢検査を行う」

 

シンシアの拘束具が一度解除される。手首と足首に残る赤紫の痛々しい痕をさすり寄せる間もなく、冷徹な声が追い打ちをかけた。

 

「着ているものをすべて脱げ」

 

「ッ……!」

 

シンシアの息が詰まる。捕虜となった者が密輸品や隠し武器を警戒され、全裸で身体検査を受けることがあるというのは知識として知っていた。しかし、いざそれが自分の身に振りかかると、押し寄せる酷い羞恥と屈辱に金縛りに遭ったように動けなくなってしまう。

 

「どうした。自分から脱がないのなら、こちらで脱がせるまでだ」

 

「や、やめて……! 自分で、脱ぐから……っ」

 

かすれる声で抗うも、男たちの荒々しい手が容赦なく伸びた。強引にドレスや下着が脱がされ、剥ぎ取られていく。

 

冷たく湿った部屋の空気が、一糸まとわぬ姿にされた剥き出しになった肌を直接撫で上げた。

 

まだ少女の面影を色濃く残す、華奢で白く滑らかな裸身。肩のあたりで青いリボンに結ばれたツインテールが、震える背中に揺れている。薄桃色の肌が羞恥と寒さで鳥肌立ち、シンシアは無意識に腕を交差し、無防備な胸元や身体を隠そうと身を縮めた。

 

「隠すな。検査にならん」

 

「嫌……っ! 見ないで……お願いだから……っ!」

 

激しく首を振り、拒絶するシンシア。

それを見て看守が冷酷に告げる。

 

「拘束しろ。」

 

頭上からジャラリと嫌な金属音が響く。天井の滑車から垂れ下がる鎖の先についた鉄枷にシンシアの両手首が強引に捕らえられた。ぐっと腕を引き上げられ、背筋を無理やり伸ばされる形で、白く美しい全裸が惜しげもなく白日の下に晒される。

 

「くっ……ぁ……っ」

 

両腕を高く上げられ可憐な乳房は無防備に晒され、荒い吐息に合わせて華奢な肋骨が上下する。隠す術を奪われたシンシアの裸身が恥辱で真っ赤に染まっていく。

 

そのまま、看守の冷たい指先が全身を調べるように這い回り始めた。肌を撫で、隙間を改める不躾な感触。誇り高きカートレット家の娘として、これ以上の侮辱はなかった。

 

屈辱が彼女の中で限界を迎える。

 

「さわらないでッ!!」

 

シンシアは必死に身体を捻り、身を触れようとした看守の胸元を、渾身の力で蹴り飛ばした。

 

「ぐはっ……! この小娘……!」

 

よろめいた看守が怒りに顔を歪ませる。すぐさま別の男たちが押し寄せ、暴れるシンシアの細い両足をつかみ取った。

 

「抵抗した罰だ。身の程を教え込んでやる」

 

ガチャン、ガチャンとシンシアの両足首は、床に固定された鉄枷へと強引に繋がれ、大きく開かれた体勢のまま固定された。手首は天井から吊るされ、足首は床に釘付けにされる。両手両足を完全に封じられた無防備な姿。

 

「あ……やだ……放して……っ!」

 

上擦った悲鳴が響く中、空を切る嫌な音が届いた。

 

ヒュン——ッ!ーーーーパァンッ!!

 

「ひやああっ!?」

 

容赦なく振り下ろされたしなやかな革鞭が、無防備に晒されたシンシアの尻と背中を強く打ち、シンシアの悲鳴が弾けた。

 

ーーバシィッ! ーーパァンッ!

 

「あぁっ……! う、うぁっ……!」

 

鞭打たれる度に激痛が走り、白かった肌に鮮烈な赤い線が浮かび上がる。激しい衝撃に身体が跳ねるが、頑丈な拘束具がそれを許さない。

 

数発で鞭は止んだ。

 

シンシアは鞭打たれた痛熱さに息を呑み、荒い吐息が「はぁ、はぁ……っ」と乱れて唇から漏れ出た。

 

「これで大人しく検査を受けられるな?」

 

抵抗する術を完全に失ったシンシアに、再び冷酷な手が伸びる。

秘裂を指で両側に広げられ、下側からのぞき込まれ、シンシアがたまらず悲鳴をあげる。

 

「いやあっ!!」

 

抵抗することも逃げることも叶わない状態で、体の至る穴という穴を執拗に弄られ、探られていく。

ひとしきり秘部を除きこまれると、今度は後穴に指をつきこまれる。

 

「ひああっ!?」

 

狼狽するシンシアをよそに指が動き尻穴をグニグニと弄られる。

 

「くっ……ふ……あ……っ、もう……やめ……て……」

 

唇を噛み締め、声を押し殺そうとするが、異物感と屈辱、そして痛みに、可愛らしい吐息と喘ぎが漏れてしまう。誇りを踏みにじられ、すべてを暴かれていくあまりの屈辱に、シンシアの碧眼から溢れた熱い涙が、伝い落ちて目尻にキラリと光った。

 

 

「終わりだ。降ろして両手を拘束し直せ。」

 

冷淡な命令とともに、シンシアの手足を縛っていた拘束具が外された。

だが、ドサリと床に膝をついた彼女の身体に、一枚の布すら与えられる気配はない。代わりに背後から無慈悲に別の鉄枷が嵌められる。

 

ガチャン、ガチャン。

 

シンシアの両手首が背中でひとつにまとめられ、後ろ手で重い鉄枷で固定される。さらに首元へと固く冷たい鉄の首輪が嵌め込まれ、カチリと鍵の閉まる嫌な音が響いた。首輪からは前へ伸びる鎖、後ろ手の手枷からも後ろへ伸びる鎖が繋がれ、前後に立つ兵士の手にしっかりと握り締められる。

 

「よし。立て、歩くんだ。」

 

「な……なにを……っ! 服を……服をください!」

 

乱れたツインテールを揺らし、シンシアは屈辱に震えながら声を張り上げた。兵士は彼女の叫びなど耳に入っていないかのように、首輪の鎖を短く巻き取りながら言い放つ。

 

「このまま連れてこいとのことだ」

 

「なっ……何ですって!? ふざけないで! たとえ捕虜であろうと、貴族を遇するのであればこんな侮辱は絶対に許されないはずです…! 私は……カートレット家の人間なのですよ…!!」

 

毅然とした強い眼差しで相手を睨みつけ、必死に誇りを誇示しようとするシンシア。しかし、返ってきたのは冷酷な鼻笑いだった。

 

「身の程を知れ、小娘。お前たちの王家も、カートレット家もすでに滅んだのだ。敗者に選ぶ権利などない」

 

ぐっと首輪の鎖が強く引かれた。

 

「あぐっ……! きゃっ……!?」

 

首元を強く引っ張られ、シンシアは体制を崩してつんのめる。そのまま乱暴に引きずられるようにして、重い木の扉の外——暗く冷ややかな廊下へと引きずり出された。

 

「や、やめて……! お願い、見ないでっ……! 放してッ!」

 

シンシアの悲痛な拒絶も虚しく、兵士たちは足止めすることなく歩みを進める。

全裸のまま晒された身体。履物すらない素足に冷たい石畳の感触が伝わる。

 

「うっ……く……っ」

 

引きずられるように一歩足を進めるたび、少女らしい可憐な乳房が小さく揺れ、腰と小さな尻が左右にしなやかに動いた。

 

廊下に配置された番兵たちの、卑しい好色な視線が全身に突き刺さる。

 

「見ないで…… いやぁ……ッ」

 

顔から火が出そうなほどの猛烈な羞恥に、耳の先まで真っ赤に染まる。

全身の皮膚が粟立ち、膝がガクガクと震えて崩れ落ちそうになるのを、彼女は唇を噛み締めて必死に耐えた。

 

後ろ手に繋がれた鎖が背後から張られ、首元の鎖が容赦なく前方へ引かれる。前後から獣か犬のように繋がれた体勢で、身を隠す術もなく歩かされる屈辱。乱れた金髪から覗く碧眼に、悔し涙を滲ませながらも、シンシアは最後の矜持か背筋を伸ばして歩く。

 

地下に向かう階段を下りると、そこには他と分けられた牢獄があり女達が集められていた。

 

「こんな…なんてひどい事を………」

 

シンシアが思わずつぶやく。

 

王城で見知った顔や、見覚えのある王国貴族の娘もいた。いずれも若く美しい女性達。

 

「そんな……シンシア様まで……」

 

「なんてこと……おいたわしい……」

 

牢内の女性達がシンシアを見て悲しげに声を漏らしていた。

 

「ああ、見ないで……」

 

見知った顔に屈辱的な扱いを受ける姿をみられてしまう羞恥にシンシアがうつむく。

 

若い娘が集められた地下牢で受ける扱い等、如何に育ちのよいシンシアであっても察しが付く。

自分もここで慰み者にされてしまうのか。

そう思っているとさらに回廊の奥へと連れて行かれ階段を下らされる。

 

「グズグズするな。こっちだ…」

 

「あうぅッ…」

 

どこまで連れて行かれるのか。

シンシアが怪訝に思っていると、一行の足が止まった。

 

シンシアの視界を塞ぐように現れたのは、巨大な木製の扉。

無骨な鉄の帯で幾重にも補強され、異様な存在感を放つ扉だった。

 

「……入れ」

 

兵士が冷たく呟き、重厚な扉の取っ手に手をかけた。

 

 

 

重々しい音を立てて扉が開かれると、鼻を突くのは湿った石の匂いと、微かに残る古びた鉄と脂の匂いだった。

 

前後の鎖を容赦なく引っ張られ、シンシアは暗がりの中へと引きずり込まれる。一糸まとわぬシンシアの裸身に、部屋を満たす陰湿でどんよりとした冷気が纏い付いた。

 

「くっ……ぁ……」

 

薄暗さに目が慣れていくにつれ、シンシアの碧眼が大きく見開かれていく。そこに広がっていたのは、彼女の常識を遥かに超えた異様な光景だった。

 

「こ、この部屋は……」

 

シンシアは絶句する。

壁や天井から無数に垂れ下がる無骨な鎖。部屋のあちこちに配置された、巨大な木の枠組みや金属の歯車、怪しい鉄輪の多数ついた椅子、三角に尖った木製の台座——

見たこともなければ知りもしない道具たち。しかし、明らかに禍々しい姿をしているそれらがすべて、人間を拘束し耐え難い苦痛を与えるために作られた悪意の塊であることは理解できた。

 

……理解できてしまった。

 

「はぁ……っ、はぁ……っ」

 

シンシアの胸が大きく上下し、呼吸が急激に荒くなっていく。

晒された白く華奢な脚が、羞恥や床の冷たさとは別の理由・・・

恐怖によってガクガクと小さく震え出した。

 

裸でこんな場所に引きずり込まれたのだ。

これから自分の身に何が起きるのか、分からないはずがなかった。

 

(拷問……私を……!)

 

思考が恐怖で塗り潰されそうになり、激しい動悸が胸を打つ。

 

「あ…あ……嫌……っ!」

 

思わず後退ろうとした瞬間だった。

 

背後の暗がりから現れた二人の屈強な男たちが、逃げ出そうとするシンシアの両脇から太い腕を差し込み、力任せにその身体を挟み上げた。

 

「あうぅッ!?」

 

つま先が床から浮くほどの腕力で捕まれ、痛みにシンシアの口から悲鳴が漏れる。後ろ手に縛られたまま、両脇をがっちりと固められ、足掻くことも許されずに部屋の中央へと引きずり込まれた。

 

拷問室の奥から、コツン、コツンと足音が近づいてくる。

暗闇の中からしなやかに姿を現したのは、黒いフードとマントを纏い、無機質な仮面で顔を覆った女性だった。

 

「シンシア・カートレットですね」

 

抑揚のない、氷のように冷ややかに響く声。

 

「私はベリアル。あなたの尋問を任ぜられたものですわ」

 

両脇を抱えられ、完全に自由を奪われているシンシアのもとへ歩み寄ると、ベリアルは細い指先で、シンシアの華奢な顎をすくい上げた。

 

「あなたには王女様の居場所やお仲間の名前を教えて頂きます」

 

指先から伝わる威圧感と冷酷さに、シンシアは目を見開いたまま「はっ……はっ……」と浅く荒い息を吐き出すことしかできない。

身体の震えは強くなる一方だった。

 

「ふふっ。可愛らしい。…震えていますね。怖いですか?」

 

仮面の奥の氷のような碧眼が、怯える少女の裸身を舐めるように見つめる。

 

「素直に話して頂ければ、すぐに温かい部屋に移して差し上げますよ?」

 

優しい口調の裏に透ける底なしの闇。しかし、その言葉が逆にシンシアの中に残っていた最後の誇りに火をつけた。震える唇を固く噛み締め、相手を強く睨みつけながら、シンシアはかろうじて声を絞り出した。

 

「わ、私はカートレット家の誇りにかけて……! たとえ殺されようと、あなた達には……屈しません。絶対に……っ!」

 

自分自身に言い聞かせ、恐怖を打ち消すための強い言葉。だが、ベリアルはそれを愛おしいものでも見るかのように、可笑しそうに喉を鳴らして笑った。

 

「殺されても? クスッ、安心なさい。私は捕虜の命を奪ったこと等一度たりともありません」

 

そう言って、ベリアルは指先でシンシアの真っ赤に染まった頬を、愛撫するように優しく滑らせた。

 

「皆、最後は協力的になっていただけるの」

 

「 絶対に負けない……あなた達には……ッ! 王家を裏切り、父様を……母上を……姉様まで私から奪ったあなた達には……絶対に……!」

 

必死に抵抗の意思を叫ぶシンシア。

しかし、ベリアルはその言葉に一切動じることなく、冷ややかに告げた。

 

「そうそう……身体検査で反抗的だったと報告を受けています。隠している物がないか、もう一度調べてみましょう」

 

ーーーーーーー

 

 

執務室の窓からは、暗雲が垂れ込めるグラナ城の無骨な石壁が見渡せた。

 

重厚な執務机の前に佇むのは、トマス・ドニゴール公爵。温厚そうな好々爺の笑みを湛えながらも、その灰色の瞳には一切の情を排した冷酷さが宿っていた。

 

その傍らに控える砦の責任者が、恭しく一冊の分厚い皮表紙の台帳を捧げ持った。

 

「こちらが現在ここで管理の旧王国派捕虜の名簿です。先日攻め落とした王都の捕虜の移送も完了しました。また、例のシンシア・カートレットですが先ほど尋問室へ連行したとのことです。」

 

「うむ……」

 

重罪人名簿から視線を上げたトマス・ドニゴールは、羊皮紙を机の上に放り投げると、老獪な顔に深々と刻まれた皺をさらに深くして鼻を鳴らした。

 

「シンシア・カートレット……カートレット家の娘か。思えばアレの姉にも手を焼かされたわ。明らかに不利な戦だというのに、最後まで兵どもを鼓舞して食い下がりおった」

 

老公爵の呟きに、傍らに控える砦の責任者が記憶を掘り起こす。

 

「マリア・カートレットですか。内戦の初めの頃にカートレット侯とともにドニゴール様配下の兵に討ち取られたと聞き及んでおりますが……」

 

「ふん、アレのおかげで進軍はかなり遅れたわ」

 

ドニゴールは不機嫌そうに吐き捨てた。

 

旧王家に固い忠誠を誓うカートレットの一族。

その頑ななまでの誇りと武勇は、ドニゴールにとって忌々しい障害でしかなかった。

 

「あの一族の娘というだけで嬲りがいがあるというものよ。」

 

 

 

ーーーーーー

 

冷たい石造りの拷問室の一角で。

 

シンシアは、重厚かつ頑丈な拘束椅子の座面に鎖でしっかりと腰を固定されていた。

背もたれの上部に鉄枷で拘束された両手が吊るされ、両膝は大きく開いた状態で肘掛けについた枷に通されている。

さらに、両足首も背もたれ上部の両側面に繋がった鎖の先の枷に引っ張られ、両足をひっくり返された格好となり、秘部はおろか尻穴までが丸見えの無防備な状態に晒されていた。

 

「ああっ……こんなッ……!」

 

シンシアは恥辱に顔を真っ赤に染め上げる。

――最も秘めやかな部分のみならず、不浄の穴までを余さず目の前の審問官に曝け出させられ、ぎゅっと目を伏せることしかできなかった。

 

「ふふっ。よい格好です」

 

ベリアルの指先が、無防備に開かれたシンシアの股間へと伸ばされる。

 

細い指先が、羞恥に震える秘裂をそっと優しくなぞり、先端の最も敏感な突起をくすぐるように愛撫し始めた。

 

「ひっ……!? あ……やッ、あぁっ……!」

 

頭上へ繋がれた手を虚しく握り締め、シンシアは漏れ出そうになる吐息と喘ぎ声を必死に噛み殺そうとする。だが、執拗で巧みな指使いに、華奢な肢体がピクピクと震え、耐えきれずに小さな声が唇から漏れ出してしまう。

 

やがて、少女の身体は隠し切れない反応を示し始めた。溢れ出た愛液が指先を濡らし、浅瀬を掻き混ぜるたび、静寂な室内にクチュ……クチュ……と淫らな水音が響く。

 

ベリアルは解れた秘裂を指先でそっと広げ、その奥の清らかな証、処女膜を確認した。

 

「処女ですか……。ですが、念のため中も調べてみましょう。……感じやすいのですね? 気持ちいいですか?」

 

「つ……違う……ッ! 気持ちよくなんて、ない……っ! やめて、触らないで……!」

 

涙を浮かべた碧眼で必死に否定するシンシア。しかし、ベリアルは仮面の奥で冷ややかに目を細めた。

 

「こんなにここを濡らして、感じていないなどと。よく言えたものですね」

 

チュプッ…

 

繊細な膜を傷つけぬよう丁寧な手つきで、熱く湿り気を帯びた蜜壺の中へと滑らかな指が深く挿入される。

 

「ふうんっ……あぁぁッ!?」

 

指が肉壁を押し広げて蠢く感触に、シンシアの頬がかぁっと一気に紅潮した。ベリアルは指先から伝わる緊張と蠢動を感じ取りながら、的確にうねりの奥――感じやすい急所を探り当てた。

 

「ふふっ…ここですね?」

 

逃げ場のない拘束の下で、そこからは逃れようのない快楽責めが始まった。

 

指先でピンポイントにGスポットをこね回され、くすぐられ、的確に責め立てられていく。

 

「はぁっ……あ、あ、やだ……っ! そこはダメっ……っ! あぁぁっ!」

 

拘束された腰をわずかにくねらせ、どうにか指から逃れようと必死に身を捩るシンシア。しかし、太い鎖で座面に固定された身では殆ど動かすこともできず、ベリアルの指はどこまでも逃さず急所を捉え続ける。

 

絶え間なく響き渡る濡れた音。身体の奥底から込み上げてくる官能と屈辱の波にシンシアの裸身がのたうち碧眼が大きく見開かれた。

 

「あ……あっ……もう、だめ……っ! 何かくる……っ! やだぁッ!」

 

一際大きな全身の痙攣と共に、シンシアはベリアルの指先によって、またたく間に強烈な頂点へと導かれてしまった。。

 

全身の力を奪われ、荒い息を吐きながらがくりと脱力するシンシア。ベリアルはゆっくりと蜜壺から指を引き抜くと、そこに付着したシンシア自身の愛液を、真っ赤な頬へと塗りつけた。

 

「クスクス、すぐにばれる嘘をつくのは感心しませんね」

 

冷たく嘲笑う審問官の声に、シンシアは屈辱の涙を流しながら、荒い吐息を繰り返すことしかできなかった。

 

 

「知っていますか? 女は快楽を感じるのに経験を積む必要があると。幼い頃から一人で自分を慰めていたのですか? そうでないとこんなに感じるものではないですよ?」

 

屈辱に唇を噛み締め、荒い息を吐いていたシンシアの耳たぶまでが、真っ赤に染まり上がる。

 

「な、何を………ッ!?」

 

逃げ場のない拘束椅子の上で、シンシアは必死に目を背けた。しかし、その耳の赤みと全身の微かな硬直を、仮面の審問官が見逃すはずもなかった。

 

「心当たりがある様ですね?」

 

ベリアルは満足げに目を細め、静かに嗤う。

 

シンシアは何も答えず、ただ強く歯を食いしばって沈黙を貫こうとした。だが、己の内に眠る秘められた過去を掘り返された恥じらいにより、華奢な身体の震えは止まらない。

 

「一番感じる場所は?…どこを弄るのが好きなのですか?」

 

「っ……あ……っ!…ふぅ……んッ……!」

 

問いかけると同時に、ベリアルは濡れた指先で再びシンシアの陰核をくすぐり、容赦なくこね回した。

 

先ほど頂点に達したばかりの敏感すぎる部位への直接的な刺激。絶頂の余韻が残る肉体が跳ね上がり、呼吸が激しく乱れる。

 

「や……やめ……っ! そのようなこと……知りません……っ!」

 

「ふふっ、しらをきってもムダですよ? 貴女の身体が教えてくれますもの。」

 

ベリアルがシンシアの陰核をグリッと潰すとシンシアの裸身がビクンと跳ねる。

 

「くぅんッ!」

 

「あら?……強くこねられる方がお好みですか?」

 

ベリアルはさらに指に力を込め、ぷっくりと膨らんだ突起を押し潰すようにコリコリと粘着質に捏ね回した。逃げようにも、手足と腰をがっちりと拘束された体では、指の動きをダイレクトに受け止めるしかない。

 

「んんっ……あぅぁっ……!」

 

耐えかねたシンシアの可愛らしい鼻から、嬌声が漏れ聞こえた。

あまりの屈辱に涙が目尻から溢れ出し、真っ赤になった頬を濡らしていく。

 

「初めて自分を慰めたのは何歳の時ですか?」

 

シンシアが固く口を閉ざしたままでいると、ベリアルは愛撫の手を止め、その指先で突起をギリリと強く引っ張り上げた。

 

「答えなさい。シンシア」

 

審問官の冷徹な声が降る。

 

「っーーーー!! ……っ!!」

 

鋭い激痛が下腹部から頭へと突き抜け、シンシアは声にならない悲鳴を上げた。

 

頭上に吊るされた手枷の鎖がジャラリと虚しく鳴り響く。

秘部を開帳されたまま絶頂と痛みに身を捩る少女の陰核を、ベリアルは楽し気に嬲るのだった。

 

ーーー

 

「さ、次の準備ができたのでこちらも初めましょう」

 

しばらくして陰から拷問補佐の男が歩み出た。その手に握られていたのは、銀色に光る無骨な金属製の浣腸器であった。

 

それを受け取ったベリアルは、拘束椅子で呼吸を乱すシンシアの前にゆっくりと移動する。

 

「な……なに、を……っ?」

 

涙に濡れた碧眼でそれを見つめたシンシアの表情が、驚愕と恐怖で凍りついた。両脚を高く吊り上げられ、尻穴も完全に無防備な状態のまま晒されている。その道具と自らの姿に目論見を理解した瞬間、全身の血が引いていくのが分かった。

 

「や、やめて……! お願い、それだけは……っ!」

 

悲鳴のような拒絶を無視し、ベリアルは開帳されたシンシアの最奥の孔へと、金属のノズルを躊躇なく深く押し込んだ。

 

「ひっ……!? いやぁああああっ!」

 

冷たい金属が容赦なく穿ち、体内へと突き刺さるおぞましい感触に、シンシアの口から凄絶な悲鳴が弾け飛んだ。

 

間髪入れず、ベリアルは容赦なく筒の押し手を押し込む。冷たく重い大量の薬液が、逃げ場のない腸内へと一気に流れ込んできた。

 

「あぐっ……ぐ、あぁぁぁっ……!」

 

お腹の底から湧き上がる異物感と、激しい膨張感。頭上に吊るされた手枷の鎖をジャラジャラと激しく鳴らし、シンシアは拘束された身体を必死に捩って逃れようとする。しかし、座面に固縛された腰はピクリとも動かない。

 

注入が終わり、ノズルが抜かれると、シンシアは荒い息を吐きながら、屈辱による激しい怒りを込めてベリアルを睨みつけた。

 

「こんな……こんな辱めを……ッ! この…悪魔……っ!」

 

だが、仮面の審問官は少女の言葉など心地よい音楽でも聞くかのように、冷やかに微笑むだけだった。

 

「さあ、入れられるだけ入れますよ。お腹の中身を全部出しなさい」

 

注入は終わったと思っていたシンシアが青ざめる。

 

「っ!? や、やだ……もう入らない……っ!」

 

絶叫も虚しく、二回目、そして三回目の薬液が容赦なくシンシアの体内へと送り込まれていく。

 

「あ……あぁぁぁっ! お腹が、破裂しちゃう……っ! 入らない……入らないからぁッ!」

 

許容量を超えて満たされていく腸内の圧迫感と、猛烈に押し寄せる差し込むような腹痛。少女の自尊心を根底から破壊する容赦なき責め苦に、シンシアの碧眼から大粒の涙が滝のように溢れ落ちた。

 

薬液の注入を終えたベリアルは、革手に包まれた手をそっとシンシアの下腹部に添えた。

 

「ふふ……沢山入りましたね」

 

愉しそうにその表面を優しく撫でさすると、内側から限界まで張り詰めた腹部の膨らみが、手に取るように伝わってきた。

 

「はぁ……はぁ……っ! お願い……トイレに……っ、お願い……ッ!」

 

お腹を摩られる激しい刺激と急激な腹痛と、衆目の前で粗相をしてしまう恐怖に、シンシアは必死に限界を訴えた。

 

 

大量の薬液を立て続けに注ぎ込まれたシンシアの身体は、異物感と急速に高まる激しい便意によって、内側からちぎれんばかりの悲鳴を上げていた。

 

「いやあッ……! もうダメ……出ちゃう……っ!」

 

限界を迎え、羞恥心すら吹き飛ぶほどの猛烈な波に襲われたシンシアは、涙と脂汗に塗れた顔を激しく振って絶叫した。拘束された手足の鎖が、彼女の必死の抵抗を嘲笑うかのようにけたたましく鳴り響く。

 

しかし、ベリアルはその悲痛な叫びを冷酷な笑みで受け流した。

 

「薬が効くまで、すぐに出してはダメですよ。我慢を手伝って差し上げます」

 

「え……? あ、いや……っ!?」

 

ベリアルの手には、鈍い光を放つ金属製の栓が握られていた。

彼女は無防備に開帳されたまま暴れるシンシアの動きを冷ややかに見据え、

容赦なくその栓を尻の孔へと押し込んだ。

 

「ひぐっ……ぁああっ!?」

 

さらに、拷問補佐の手によって、腰と股間をきつく締め付ける分厚い革製のT字ベルトが手際よく装着されていく。無骨なベルトの圧迫によって金属の栓は容赦なく固定され、シンシアの尻穴は完全に封じられてしまった。

 

「ああ、こんなの……酷すぎます……っ!」

 

物理的に排出を禁じられた状態で荒れ狂う、薬による圧倒的な便意。下腹部を内側から抉り取られるような苦痛と、貴族としての尊厳を粉々に砕かれるような余りの屈辱に、シンシアは拘束椅子の上で大きく身を反らせて悶絶した。

 

ギリギリと鎖が食い込む音だけが室内に響く中、ベリアルは哀れな少女の顔を覗き込み、悪魔のように甘く囁きかける。

 

「シンシアが王女様の行き先を言ってしまえば、ここまで念入りに検査する必要はないのです。辛いのなら、話してしまいなさい?」

 

苦痛から逃れるための、唯一の道。

だが、激しい苦悶に顔を歪めながらも、シンシアの碧眼に宿る強い光は決して死んではいなかった。

 

「誰が……そんなの……ッ!」

 

しかし、大量の薬液は容赦なくシンシアを追い詰める。

 

「おねがい……もう、もうだめ……っ! 出させて……出させてくださいッ……!」

 

腹部の奥底で荒れ狂う猛烈な腹痛に、シンシアは必死に叫んだ。

 

両足を高く吊り上げられ、ひっくり返ったカエルのような屈辱的な姿で固定されたまま、少女の身体は汗にまみれてガクガクと小刻みに震えている。その痛々しく張り詰めた下腹部からは、ギュルギュルと鈍く禍々しい音が絶え間なく鳴り響いていた。

 

「そろそろ本当にお腹が破れてしまいますよ? 王女様の居場所を話してはいかがですか?」

 

仮面の奥から冷たい碧眼で見下ろすベリアルが、試すように囁きかける。

 

しかし、シンシアは苦痛に顔を歪めながらも、唇を血が出るほど噛み締め、無言で必死に首を左右に振り続けた。王女の居場所だけは、死んでも口にしない――その意地だけが、崩壊寸前の自我を繋ぎ止めている。

 

「ふふ、頑固ですね。仕方ない……」

 

ベリアルは困ったように肩をすくめると、愉しげに口元を歪めた。

 

「それでは特別に、先ほどの質問に答えられたらソレを外してあげましょう」

 

「っ……な、何を……っ」

 

息も絶え絶絶えに問い返すシンシアに、ベリアルは甘い毒のような声で告げた。

 

「シンシアが初めて自分を慰めたのは何歳の時ですか?」

 

「……ッ!?」

 

その言葉を聞いて、シンシアの顔に激しい葛藤と激動が走った。

 

「く……っ! あ……ぁぁ……ッ!」

 

王女の居場所を売るわけではない。

しかし、乙女としての尊厳を無惨に踏みにじる拷問官の要求。

 

限界をとうに超えた猛烈な便意と差し込む腹痛により、白くしなやかな全裸の肌はびっしょりと脂汗に濡れていた。

あまりの激痛と屈辱に必死で腰をよじり、少しでも苦痛を紛らわそうと開ききった両膝に力を込める。

 

しかし――ガキンッ! と重い鎖の音が冷たく響くだけで、拘束具はびくともしない。

 

「はぁっ……はぁっ……! あぐっ……ぐ、うぁぁぁっ……!」

 

内側から破裂しそうなほどのお腹の苦しみと、己の最も恥ずかしい秘密を暴かれる屈辱の合間で。

逃げ場のない拘束椅子の上で、シンシアは涙と汗で顔をぐちゃぐちゃに濡らしながら、身悶え続けることしか出来なかった。

 

 

「あぁっ……もうダメぇッ……!」

 

お腹の底から容赦なく押し寄せる破壊的な便意に、ついにシンシアの心の堤防が壊れた。

 

両脚を無惨に吊り上げられ、絶望的な体勢で固定された少女は、脂汗と涙で顔をくしゃくしゃに濡らしながら、観念したように声を開いた。

 

「十二歳の……っ、時……です……っ!」

 

「ふふっ、随分おませさんでしたのね。初めてはどうやって自分を慰めたのですか?」

 

仮面の奥から愉しげな視線を投げかけながら、ベリアルが静かに追い打ちをかける。

 

「……ッ!」

 

あまりの恥ずかしさに口を閉ざそうとするシンシア。しかし、下腹部を内側から引き裂くような猛烈な痛みが、少女の躊躇を無惨に押し切った。

 

「つ……机の角にアソコを押し付けて……っ、いやぁっ!」

 

「可愛らしいですわね。それで陰核は強い刺激がお好みなのですね。」

 

シンシアが顔を覗き込んできたベリアルから必死に目を逸らす。

 

「でもソレだけではないですよね? ソレだけであの感じ方はしないはずです。……その後は中をいじっていたのでしょう?」

 

ベリアルの冷徹な指摘に、シンシアの碧眼が激しく泳いだ。

 

「そんなの……っ!」

 

必死に耐えようと全身に力を込めるが、塞がれた尻穴から押し寄せる圧力は留まることを知らない。

頭を激しく振り、鎖を鳴らして身悶えするも、限界を迎えた肉体は抵抗の術を失っていた。

 

「指で……奥を……っ! ベッドに隠れて……っ!」

 

自らの口から出た屈辱の告白に、シンシアの頬が血の出るような赤さに染まる。

 

「クスクス……頻度は?」

 

「そ、そんなことまで……ッ! ………月に……2回くらい……」

 

「嘘ですわね。もっと多いでしょう?」

 

ベリアルのあまりに屈辱的な追及に、シンシアは羞恥と屈辱で全身を震わせた。

首を激しく振ってこれ以上の暴露を拒絶しようとする。

だが、休む間もなく襲いかかる激しい腹痛と猛烈な波に、遂にシンシアは完全に屈する。

 

「ああっ……! 3日に1回くらい……です! お願い! もう出させて……ッ!」

 

叫ぶように全てを吐き出すと、シンシアは荒い息を吐きながら拘束椅子の上で脱力した。

 

「クスクス、随分淫らなお嬢様ですこと。それならあの感じ方も納得です」

 

拷問官の嘲笑うような言葉が、無防備な耳へと容赦なく突き刺さる。

 

皇女を守るために命を賭けた誇り高き騎士の娘が、いまや全裸で開帳されたまま、自らの最も恥ずべき密やかな嗜みを全て暴かれてしまった。

 

「うあぁぁ……っ……ひぐっ……あぅ……っ」

 

あまりの屈辱と悲しみに、シンシアは体を震わせ、溢れ出る涙を止めることもできず、幼子のようにただ声をあげて嗚咽するのだった。

 

 

「いいでしょう。良く言えましたね、シンシア」

 

満足そうに目を細めたベリアルの合図を受け、傍らに控えていた拷問補佐の男が、大きな木桶をシンシアの開帳された尻の下へと手際よく差し入れた。

 

「あぐっ……はぁっ……はぁっ……!」

 

約束された解放を前にしながらも、体内では今なお限界を超えた便意が荒れ狂っている。足首と手首を吊り上げられた体勢のまま、シンシアは全身を細かく跳ねさせ、涙の浮かぶ碧眼で拷問官の手元を凝視した。

 

衆目の前での排泄を強要されると察したシンシアが悲鳴を上げる。

 

「い……嫌あっ!!トイレに……お願い!」

 

ベリアルは数秒間、苦痛と羞恥に悶える少女の姿を愛でるように眺めた後、腰と股間を縛っていた分厚い革ベルトのバックルを外した。

 

「さあ、良いですわよ」

 

金属の栓を指先で掴み、ヌプッ……と容赦なく引き抜く。

 

その瞬間、封じ込められていた圧力が一気に解放され、シンシアの秘められた孔が決壊した。

 

「あっダメぇッ……ああっ―――ッ! ひぁあああッ!」

 

音を立てて溢れ出す大量の薬液と排泄物。高貴な貴族の令嬢としての尊厳も、乙女としての恥じらいも、全てが濁流となって木桶へと叩きつけられていく。自分の身体から発せられる生々しい臭いと音が拷問室に広がる。

シンシアは真っ赤に染まった顔を頭上に吊るされた両腕の間に埋めて絶叫した。

 

「……報告します。排泄物に隠し持った異物の存在は確認されませんでした」

 

桶の中を淡々と検分した補佐官の兵士が、冷酷な声で告げる。

 

激しい排出の波が収まり、荒い息を吐きながらがくりと脱力するシンシア。ようやく腹痛から解放され涙に濡れた瞳をわずかに持ち上げた。

 

だが、目の前に立つベリアルの仮面の奥に浮かんでいたのは、極上の愉悦と悪魔のような冷酷さだった。

 

「出ましたね。……さあ、もう一度です。何も出なくなるまで続けますよ」

 

「え……? あ……いや……嫌ぁぁぁっ!」

 

シンシアの絶望の悲鳴が再び響き渡る中、補佐官の手には、再び大量の薬液を満たした冷たい金属製の浣腸器が握られていた。

 

 

ーーーーー

 

その頃グラナ城執務室では、会議が行われていた。

 

「以上の兵力をもって逃亡した王女の捕縛、抵抗勢力の掃討を進める計画となります。」

 

 

執務室でドニゴールは王女捕獲と抵抗勢力一層のための兵力を検討していた。

 

その時だった。

 

分厚い石壁と重厚な扉を隔てているはずの執務室まで、微かに――しかし明確に、女の物と分かる悲鳴が聞こえてきた。

 

「……ん?」

 

ドニゴールは眉をひそめ、耳を澄ます。

 

苦悶に満ちた絶叫。それが最深部の拷問室から響いてきたものであることは明白であった。

 

「ほう、始まったようだな……」

 

老公爵の口元が、下卑た愉悦に歪む。

 

ドニゴールの脳裏に、かつて王都で開かれた絢爛豪華な夜会での光景が蘇っていた。

皇女の傍らに佇んでいた、愛らしくも可憐な金髪の少女。当時はまだ無邪気さを残した幼い娘であった。

 

(あの幼かった小娘が、どのような顔をして泣き叫んでおるのか……。今もいささか青いやも知れんが、さぞ美しかろう)

 

好色でサディスティックな欲望が、老いた肉体の底でじわりと持ち上がる。

 

ドニゴールがゆっくりと窓の外へ視線を向けたその瞬間――。

 

「いやぁぁぁああっ……!」

 

再び、よりいっそう激しいシンシアの悲鳴が風に乗って執務室まで届いた。

横にいた若い兵士がシンシアの悲鳴に顔を青くして俯く。

 

 

絶望に打ちひしがれ、尊厳を粉々に砕かれていく少女の叫び声。

それを極上の音楽でも聴くかのように、ドニゴールは満足げに目を細めるのだった。

 

ーーーーーーーーーーー

 

拷問室にシンシアのうめき声が響く。

 

「ひぐっ……ぁうぅ……っ!」

 

二度目の排泄を終えたシンシアは、休む間もなく三度目の浣腸を施され、再びお尻に金属の栓を深く押し込まれて固定されていた。股間ときつく縛り上げられた革のベルトが、体内で急激に膨れ上がる暴虐な便意を完全に封じ込めている。

 

二度目の責め苦の中では、初めて自分を慰めたあと、がいつ、どうやって自慰のやり方を覚えていったかという卑猥な経緯まで吐き出させられていた。

誰に教わったわけでもなく、夜な夜な気持ちいい場所を探っていった秘め事の歴史、幼い頃に兄の部屋でこっそり見つけてしまった卑猥な書物――そこに描かれていた絵と記述によって、自分がそれまで無意識に行っていた行為の意味を理解してしまったこと。

 

そして今、三度目の便意に悶絶するシンシアに突きつけられているのは、さらに乙女の尊厳を惨殺するような問いであった。

 

「自慰のとき、何を妄想していたのですか?」

 

「や……やめて……っ! そんなことまで……言えるわけないでしょう……っ!」

 

「答えなければ、その栓は永遠に外してあげませんよ」

 

「っ……ひぁっ……!」

 

内側からお腹を引き裂くような猛烈な差し込みに屈し、シンシアは汗と涙に塗れた顔を振りながら、断片的に告白を絞り出していった。

 

男に後ろから強く抱きしめられ、逃げられないまま愛撫されている場面を想像して。少し強引に股間を口づけられ、舐め上げられているところを思い浮かべて――。

 

絶え間ない激痛と屈辱の暴風。

 

そんな中でベリアルは疑問を抱いていた。シンシアの告白からは、決定的な要素――男性器の挿入というイメージが一度も出てこないのだ。

 

「……想像のお相手は、一体誰なのですか?」

 

ベリアルの問いに、シンシアの視線が露骨に泳ぎ、言葉が詰まった。

頭上に両手を吊るされ、ひっくり返った体勢で開帳されたまま、なんとか誤魔化そうと必死に考えを巡らせている――その幼い抵抗を、ベリアルは見逃さなかった。

 

「……き、騎士の……殿方です……っ」

 

「嘘ですわね。その方のお名前をすぐに言ってごらんなさい?」

 

氷のような碧眼が、逃げ惑う少女の瞳を射抜く。

 

「……殿方ではないのでは?」

 

「……っ!?」

 

シンシアの身が大きく跳ね、碧眼が動揺で大きく見開かれた。そのあからさまな反応は、言葉以上に雄弁な肯定であった。

 

ベリアルは仮面の奥で冷ややかに笑みを深め、追い詰められた少女へ言葉の刃を突き立てる一撃を放つ。

 

「……王女様なのですか?」

 

「―――ッ!?」

 

その名を口にされた瞬間、シンシアの顔がかぁっと耳まで真っ赤に染まり上がった。

幼馴染として、従者として、密やかに胸に秘め続けていたあまりにも不敬で純粋な情熱。それをこのような禍々しい拷問室で、生まれた姿のまま暴かれたのだ。シンシアは屈辱と羞恥のあまり、泣きそうな顔で固まってしまう。

 

「答えられませんか? ……頷くだけで良いですよ?」

 

耳元で囁かれる悪魔の誘惑。

下腹部で荒れ狂う三度目の限界と、王女への不徳な感情を暴かれた絶望。

 

「あ……ぁ……っ……」

 

シンシアはぽろぽろと大粒の涙を溢れさせながら、ついに……小さく、コクリと頷いた。

 

「ふふ、よく出来ました」

 

カチリ、とベルトが外され、金属の栓が引き抜かれる。

 

三度目の解放。

 

幾度も体質を洗われ尽くしたシンシアの体内からは、もはや排泄物の欠片すら残っておらず、ただ透き通った薬液だけが、木桶の中へと虚しく響き渡りながら流れ出ていくのだった。

 

「はあっ…はっ……はぁ………う……ああ……」

 

三度目の解放を終え、体内の物も乙女の秘め事の歴史も一切合切絞り尽くされたシンシアは、吊り上げられた手足の重みに身を任せ、ただ荒い息を吐いてぐったりと脱力していた。顔は涙に濡れ、汗で濡れた金髪のツインテールが頬張り付き、胸元が弱々しく上下する。

 

「うぅ……っ………」

 

うなだれ泣きすするシンシアに安息は訪れなかった。

 

「さあ、仕上げの検査です。念入りに奥まで調べるので少し痛いかもしれません。

つらかったら王女様の居場所を話せばやめて差し上げますよ?」

 

冷徹な声と共に、ベリアルの手によって銀色に光る無骨な鉄製の器具――様々な太さの拡張棒や開口器が、シンシアの目の前にジャラリと不吉な音を立てて並べられた。

 

「はっ……はっ……はなし、ません……ッ! あなたには……絶対に屈しない……っ!」

 

シンシアは全身の力を振り絞り、涙に濡れた碧眼で目の前の仮面を睨みつける。

全裸で拘束され、隠すべき密やかな欲望まで暴かれ尽くしながらも、彼女の魂の底にある忠誠だけは折れていなかった。

 

「クスッ、泣いて一人遊びの秘密をお話してくれたのに、勇ましいこと」

 

「……っ!!」

 

ベリアルの冷ややかな嘲笑が、無防備な耳に刺さる。

シンシアはあまりの屈辱に顔を歪め、目を伏せることしかできない。

 

「ふふ、強情な娘は嫌いではありませんよ?」

 

そう告げた直後、ベリアルは細い金属製の拡張棒を手に取ると、

一切の躊躇なく無防備に開帳されたシンシアの尻穴へと突き入れた。

 

「ひぁあぁぁぁっ!?」

 

冷たく硬質な鉄が肉壁を押し開き、粘膜を擦りながら強引に侵入してくる異物感。

シンシアの悲鳴が拷問室の分厚い壁に跳ね返る。

ベリアルはその棒を容赦なく奥まで押し込むと、円を描くように内部をグチグチとかき回し始めた。

 

「痛っ……あぐっ! やめて……あぁぁっ!」

 

歯を食いしばって絶叫を殺そうとするが、激痛と屈辱の激流に耐えきれず、悲鳴が漏れ出してしまう。尻穴を鉄の器具で強引に拡げられ、異物で体内を余さず探り回される――文字通りの蹂躙。身体を捩って逃れようとしても、座面に固縛された腰と頭上に吊るされた手足がそれを一切許さない。

 

クチュ……ニチュ……グチ………

 

「そこダメッ……!イヤぁッ!………ッ……ああっ!!」

 

いつまでも尻穴がかき回され続け、シンシアは唯一動く頭を振り乱して悶えることしかできなかった。

 

ヌチュンッ

 

「かはぁっ! ……はーっ、はーっ……」

 

過酷な刻が過ぎ、ようやく異物が引き抜かれた時、シンシアは全身の脂汗と涙でドロドロになりながら、息も絶え絶えに鎖に垂れ下がっていた。

 

肌は朱に染まり、胸元が力無く上下していた。

指先一つ動かす余力すら残されていない。

 

「この……程度……っ。こんな拷問で……王女様を……裏切れると……思わないで……っ」

 

かすれ切った声で、それでもシンシアは最後の威厳を保とうと、ベリアルを強く睨み据えた。

 

しかし、仮面の奥の氷の碧眼は、哀れみすら含んだ生温かい笑みを湛えていた。

 

「あら、これは検査だと言ったはずです。拷問はこれからですよ?」

 

「……え……?」

 

ベリアルのその言葉が決して誇張などではないことを、シンシアはすぐに身をもって思い知ることになる。

 

ーーーーーー

 

 

 

その頃、執務室で書類の改めを終えたドニゴールは、砦の責任者の案内で、地下深くへと続く重々しい石造りの階段を下りていた。

 

松明の炎が壁面を不気味に照らし、冷たく湿った空気が肌を刺す。たどり着いたのは、他の牢獄とは明確に分けられた特殊な区画であった。

 

「こちらは女囚を管理している区画となります。ご指示のあった通り、王城にいた若い貴族の娘や皇女の侍女たちの中で見目麗しい者はこちらに収監しております」

 

「うむ……」

 

責任者の報告を聞きながら、ドニゴールは鉄格子の向こうへと視線を走らせる。

 

格子の中に閉じ込められているのは、かつて王都で浮華を極めていた貴族の令嬢や、皇女に仕えていた若い侍女たちだった。みな衣服を剥ぎ取られた全裸の状態で冷たい石畳に震えており、薄暗がりの中で恐怖に体を寄せ合っている。

 

指揮官や警備の兵士たちも、ドニゴールのこの指示の真意を重々理解していた。

 

この区画に繋がれた女たちは、旧王家派の情報源であると同時に、ドニゴール公爵の歪んだサディズムと好色を満たすための生贄でもあったのだ。恐怖に怯え、服も与えられず震える無防備な女たちの姿を見回し、ドニゴールは内心で下劣に舌舐めずりをした。

 

その時だった。

 

「やめて!!……うあぁあっ! いやぁああっ!」

 

静まり返った地下区画に、切痛極まる女の悲鳴が突如として響き渡った。

 

拷問室からは相応に距離があるはずのこの場所まで、分厚い石造りの防壁を突き抜けて届く声。器具が打つ音やその他の物音は聞こえない。しかし、喉を引き裂くような絶叫だけは、砦の構造すら越えてこの区画へと届いていた。

 

先ほど執務室で聞いた声よりも、遥かに切迫し、絶望に満ちた叫び。

 

格子の中の全裸の女たちが、その悲鳴を聞いて一斉に体を強張らせ、酷く怯えた様子で耳を塞いだ。自分たちもいずれあの場所へ引きずり出されるのではないかという絶望が、区画全体を支配していく。

 

ドニゴールは細めた目で悲鳴の聞こえた方角――拷問室のある最深部を見つめた。

 

(……カートレットの小娘。実に良い声で鳴くものだ)

 

ドニゴールは満足げに深く頷くと、絶叫が断続的に響き続ける最深部への通路へと、ゆったりとした足取りで歩みを進めるのだった。

 

地下へ向かう石造りの階段を下りるにつれ、湿り気の交じった冷気と共に、一呼吸ごとに濃くなっていく鉄と血の匂いが鼻をつく。

 

そして何より、防壁を隔てて届いていたあの悲鳴が、一歩足を進めるごとに生々しい威圧感を持って膨れ上がっていった。

 

「嫌ぁああっ! お願い……あぁぁっ! 許して……ッ!」

 

喉を潰さんばかりの狂おしい絶叫。

苦痛と屈辱、そして逃げ場のない絶望に塗れた少女の声は、静まり返った暗い廊下にどこまでも残酷に反響する。

 

 

「閣下、こちらでございます」

 

 

扉のすぐ向こう側から、喉を引き裂くような切迫した悲鳴と、金属が擦れ合う凄惨な音が直に鼓膜を震わせる。

 

ドニゴールは満足げに目を細めると、重厚な扉の前に佇み、ゆっくりと呼吸を整えた。可憐な少女がどのような姿で打ちのめされているのか、その絶望の結末を確かめるべく、老公爵は扉に手を掛けた。

 

 

「ギギギ……」と重い音を立てて頑丈な扉が開かれると、拷問室内を満たす血と汗、そして熱を帯んだ牝の体臭が混ざり合う凄惨な空気が、ドニゴールの鼻腔を突いた。

 

老公爵が部屋へ足を踏み入れると、その目前に惨絶極まる光景が広がっていた。

 

部屋の中央に鎮座する鋭角な三角木馬。その馬上には、厳重かつ過酷な拘束によって逃げ場を完全に奪われたシンシアの姿があった。

 

後ろ手に回された両手首は頑丈な鉄枷で縛られ、天井から垂れる鎖で肩より高く捻り上げられている。両足にも四角錐の石の重り付きの鉄枷が嵌められ、木馬の足下に鎖で繋がれている。

 

さらに首には冷たい鉄の首輪が嵌められ、そこから伸びる鎖が木馬前方の金具へと強く引き下ろされていた。

 

うなじを強く引かれて前傾姿勢を強要されたシンシアの体は、己の全体重と両足首に吊り下げられた重りによって、逃げ場のない陰核を鋭利な木馬の頂点へ深く擦りつけさせられている。

 

「はぁッ……はぁッ……! あ……ぐぁぁッ……!」

 

首輪で前傾を強いられ、頭を上げることも許されない。首を起こそうとすれば首輪の鎖がうなじに食い込み、かえって股間を木馬の角へ強く押し付ける結果となる。手枷で吊り上げられた手首のせいで肩は不自然にねじ上げられ、体重を支えることなど到底不可能であった。

 

滑らかな白肌は全身が脂汗で鈍く光り、無惨な赤い鞭痕が幾筋も走っている。

少女の可憐な顔は、涙と鼻水、そして口元から垂れる唾液でぐちゃぐちゃに塗れ、乱れた金髪のツインテールが汗ばんだ頬に痛々しく張り付いていた。

 

股間から伝わる激痛と強烈な痺れに、シンシアの華奢な肢体はビクン、ビクンと痙攣するように激しく震え続ける。

喉からはもはや声にならない掠れた吐息が溢れるばかりだった。

 

「あ…ひあ……」

 

ヒュパァンッ――!!

 

「ひゃあぁぁぁあッ!?」

 

室内を裂く鋭い音と共に、背筋を走る衝撃。ベリアルの一本鞭が無防備な背中を直撃し、シンシアの体が大きく跳ね上がると同時に、木馬の角が容赦なく秘部を抉った。

 

「あ……がぁッ……おね、がい……もう……っ!」

 

絶叫の後、ぐったりと垂れ下がる少女の体。その時、鞭を下ろしたベリアルが扉の前に立つドニゴールの存在に気がついた。

 

手にしていた革の一本鞭を静かに手元へ纏めると、仮面の拷問官は恭しくドニゴールの前へと歩み寄る。

 

ドニゴールは、一糸まとわぬ裸身を晒し木馬の上で屈辱と苦痛に震え、涙を流しながら呼吸を荒らげるシンシアの哀れな姿を、舐めるような視線で凝視した。

かつて自らを手こずらせたカートレット家の令嬢が、全裸で股間を削られ、苦痛にあえいでいる。

その惨状に下劣な満足感を覚えながら、老公爵はベリアルへと問いかけた。

 

「どうだ? 何か吐いたか?」

 

「未だ何も。中々楽しめそうですわ」

 

ベリアルの仮面の奥から、冷ややかな愉悦を含んだ声が流れる。

ドニゴールはその答えに満足そうに口元を歪めると、木馬の上で荒い息を吐くシンシアのもとへ、ゆったりとした足取りで近づいて行った。

 

「随分可愛がられたようだな、シンシア嬢」

 

ドニゴールは嘲笑を浮かべると、汚れと汗に塗れたシンシアの小さな顎を、分厚い指先で強引にすくい上げた。

 

「あぐっ……!? ひぁぁッ……!」

 

強固な首輪で前傾姿勢に固定されていた頭部を無理やりに引き上げられたことで、首輪がうなじにひっかかり女の最敏感な部位が木馬に刺激される。逃げ場のない激痛が股間から全身を駆け抜け、シンシアの苦痛に悶える。

 

手枷に吊られた肩がギリギリと悲鳴を上げ、両足首の重りが残酷に揺れて股間を抉られる。

痛みに耐えかね、口元から垂れた唾液と涙が、老人の手元へと零れ落ちた。

 

「はぁ……っ、はぁ……ッ!」

 

苦痛に視界が歪み、頭が割れるような痺れに襲われながらも――シンシアは必死に瞼を開いた。

 

「ドニ……ゴール……ッ!」

 

目の前に立つのは、温厚そうな笑みの裏に冷血な牙を隠した老いた悪鬼。

 

父を殺し、国を奪い、皇女様を追い詰め、そして大好きな姉の命まで奪い去った元凶――トマス・ドニゴール。

 

(この男……! この男だけは……ッ!)

 

己の命を奪われようと、どれほど惨めに虐げられようと、この男にだけは屈したくない。

屈辱に濡れ、激痛に身を捩りながらも、シンシアの碧眼には怒りの炎が宿っていた。

 

 

ドニゴールはすくい上げたシンシアの顎を分厚い指先で不躾に捏ね回しながら、好色な視線を隠そうともせず、彼女の整った顔立ちと、汗に濡れた小柄だが美しい肢体を舐めるように見回した。

 

「よい身体をしておるな……王女の居場所を言えば、そなたは助命してやってもよいのだぞ? そなたが懇願するなら、儂の下でじっくり可愛がってやろう」

 

老公爵の下卑た言葉と湿った視線に、シンシアの全身に酷い寒気が走る。

股間を苛む猛烈な激痛と恐怖に全身を震わせ、今にも途切れそうな意識を必死に繋ぎ止めながら彼女は絶叫に近い拒絶を絞り出した。

 

「ドニゴール……っ! 私は、王国に仕えるカートレット家の娘ですっ……! 絶対……王女様は裏切らない……絶対にあなたの思い通りになんて、ならない……!」

 

「王国はもう滅んだ。今のお前は儂の戦利品、女奴隷にすぎん。儂に媚びるのが利口だぞ?」

 

「あなたの様な悪虐な者は……いつか……いつか必ず誰かに討たれる……っ」

 

激痛に顔を歪ませながら言い募るシンシアの姿に、ドニゴールは怒るどころか、満足そうに低く笑声を漏らした。

 

「くっくっく、威勢のいいことだ」

 

ドニゴールはシンシアの顎から手を放すと、振り返って仮面の拷問官を見る。

 

「ベリアル、この娘に今の身分を教えてやれ」

 

「かしこまりました」

 

静かな応答と共に、ベリアルがシンシアの背後にまわり、無防備に晒された少女の小さな尻を両手で容赦なく鷲掴みにした。

 

「さあ、ドニゴール様がよいと言うまでやめませんよ」

 

「ひっ……!? 何を……ッ!」

 

怯えと不吉な予感にシンシアが身を竦めた瞬間――ベリアルは掴んだお尻に体重をかけ、股間を三角木馬の鋭利な頂点に向かって強く押し付けた。そのまま、逃げ場のない肉体を木馬の上でグリグリと回転させるように動かし始める。

 

「ひぁあぁぁぁあッ!? 痛い! 痛いぃッ!!」

 

激痛の波が股間から脳天を激しく打った。角ばった木材が、最も繊細で敏感な部位を強烈に押し潰し、捩り、抉り立てる。手足を縛られた体は宙で狂ったように跳ね起きようとするが、鉄枷と重りがそれを冷酷に引き戻し、より深く角へと沈めさせた。

 

「あぐっ……あぁぁッ! やめ……っ!」

 

意識を焼き尽くすほどの過酷な痛みの連続に、シンシアの身体はついに耐えきれず、膀胱の緩みと共に溢れ出た尿が股間から溢れ出した。

 

しかし、ベリアルの容赦ない手は止まらない。木馬の頂点で抉られ続ける秘部から、小水によってグチュグチュと卑猥で惨酷な音が響き渡る。

 

「いやあああっ……! やめて! やめてぇえええっ!」

 

己が失禁したという羞恥すら、怒涛のように押し寄せる激痛の前には吹き飛んでいた。

ただ痛みに泣き叫び、喉を押し潰して許しを乞うことしかできない。

 

「シンシア? ドニゴール様に謝罪してお慈悲を請いなさい?」

 

ベリアルは的確にシンシアの陰核を木馬の角でとらえ、丹念に抉り回した。

 

「あがッ……はぁッ……! く……っ!」

 

激痛に白目を剥きそうになりながらも、シンシアは最後の意地で歯を食いしばった。父を奪い、国を奪い、憧れの姉を死に追いやった仇敵――その男に屈することだけは、己の魂が許さなかった。

 

「いやだ……! 姉様の仇に、誰が……ッ! あああぁっ!!」

 

血を吐くような拒絶の叫びと共に、拷問室の凄惨な空気の中に、少女の悲痛な絶叫がいつまでも木霊していた。

 

止めよ、ベリアル。……クククッ、そなたの姉を儂が、か」

 

ドニゴールの低く歪んだ声が拷問室に響くと、ベリアルは手を止め、シンシアのお尻から静かに手を離した。

 

「はぁッ……あ……っ、はぁッ……!」

 

股間を押し抉る悪夢のような圧迫が僅かに緩み、シンシアは木馬の上で崩れ落ちるように全身の力を抜いた。しかし、前傾に固定された首輪と頭上に吊るされた手枷のせいで、身体は無惨に吊るされたまま震えることしかできない。

 

汗と涙、さらに涎と鼻水で塗れた可憐な顔を歪めながら、シンシアは途切れ途切れの荒い息の間から、喉を灼くような声を搾り出した。

 

「……っ! マリア姉様は……最後まで王国のため、戦って散った……っ! だから……私だけ逃げたりなんて、屈したりなんて……絶対……絶対にしない……っ!」

 

激痛と酸欠で白みかける視界の中で、シンシアは己の胸に宿る最愛の姉の面影を必死に抱きしめた。幼い頃の憧れであり、凛として美しかった姉・マリア。彼女が遺した誇りこそが、今のシンシアを支える唯一の支柱だった。

 

「クククッ、ハハハ………」

 

そんなシンシアにドニゴールは震える肩を必死に抑え、溢れ出そうになる愉悦を噛み殺す。

 

「何が……ッ!何が可笑しいのですか!」

 

激高するシンシアをしばし愉しげに見つめ、ドニゴールがねっとりとした声で告げた。

 

「マリアか……あの娘ならよく知っているよ。王城攻略の方法を教えてくれた、我らの立役者だ」

 

 

「な……っ!? 何を、でたらめな……ッ!」

 

シンシアは即座に叫び返した。だが、苦痛と恐怖に震える声は虚しく拷問室の石壁に跳ね返るだけだった。ドニゴールは少女の狼狽を嘲笑うように、さらなる毒を吹き込んでいく。

 

「クククッ。あの娘はこの儂直々に、この部屋でたっぷり可愛がってやったのだぞ。数ヶ月もかけてな」

 

「ッ……!?」

 

この部屋で、数ヶ月――。

その言葉の意味の凄惨さに、シンシアの全身の血が一気に引いていくのが分かった。

 

ほんの数時間、この三角木馬の上で生まれたままの姿で苛まれ、羞恥と痛みに身悶えただけで、自我が粉々に砕け散りそうになっているのだ。それを数ヶ月。この逃げ場のない惨酷な空間で、あの誇り高き姉がどのような目に遭わされたのか。

 

絶望に塗れた碧眼が、部屋の周囲に並ぶ禍々しい拷問具の数々――血と錆に塗れた鉄枷、肉を削ぎ落とす爪、冷たい刃を虚しく見回し、シンシアは息を呑んだ。

 

「あぐうっ……! 嘘を……っ! 嘘を言わないで……っ! お姉様は……戦場で亡くなったのです……っ!」

 

「嘘だと思うか? ならば、なぜ王城の防壁の弱点や、王城の秘密抜け道がことごとく暴かれたと思うのだ? 全てあの娘が、泣いて許しを乞いながら儂に差し出した情報なのだよ」

 

「いやぁあぁぁ! でたらめを……いうなぁ!」

 

自らを精神的に追い詰め、屈服させるためのドニゴールの卑劣な嘘だ。そう自分に言い聞かせ、必死に首を振るシンシア。だが、頭上の手枷と首輪の鎖がジャラジャラと激しい音を立て、前傾した体勢のまま動くたびに、木馬の角が容赦なく無防備な股間を深く抉り立てた。

 

 

「ベリアル、仮面を外せ。教えてやるがよい」

 

ドニゴールの愉悦に満ちた声が冷ややかに室内に響く。

 

「かしこまりました」

 

静かな応答と共に、拷問官は恭しく頭を下げると、ゆっくりと顔を覆っていた漆黒の仮面へと細い手を掛ける。

そして仮面が滑り落ち、露わになったその素顔を目にした瞬間、シンシアの思考は完全に凍りついた。

 

「あ……あ……っ!?」

 

叫びにならない、言葉にならない喘ぎだけが漏れる。

 

そこにいたのは、かつて戦場で散ったと信じて疑わなかった人物。

凛とした気品と優しさを湛え、幼いシンシアが誰よりも憧れ、誇りに思っていた最愛の人物――マリア・カートレットその人であった。

 

冷酷な拷問官の黒衣に身を包み、その碧眼からはかつての慈愛の光が完全に消え失せ、底なしの冷たさだけが宿っている。

 

「……マリア……姉様……?」

 

信じられない現実に、シンシアの全身から血の気が引いていく。

手枷に吊られた肩も、木馬に抉られる股間の激痛すら吹き飛ぶほどの、あまりにも衝撃的現実が胸を打ち砕いた。

 

マリアはピクリとも表情を変えずに、淡々と、しかし残酷なほど明確な声で告げた。

 

「ドニゴール様のおっしゃる通りです、シンシア。わたしは死んでなどいません。この部屋で屈し……すべてを差しだしました。それが真実です」

 

「あ……あ………」

 

絶句するシンシアにマリアが続ける。

 

「私も最初は耐えました。貴方と同じ様に。でも、いくら耐えても助け等来なかった。そして我らクレアテーゼの拷問術は捕虜に死など許さない……。服従以外に逃れる術はありません。」

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ―――!!」

 

姉の口から直接放たれた残酷な真実。

支えにしていた唯一の誇りを根底から打ち砕かれ、シンシアの喉から、魂を破裂させるような絶望の悲鳴が拷問室の天井へと響き渡った。

 

「あぐぅッ!嘘……!嘘よ……!」

 

シンシアが最愛の姉が裏切者であり、目の前の拷問官であるという事実に泣きじゃくる。

 

「ふむ、頃合いではないか? トドメを刺して楽にしてやれ」

 

ドニゴールが下卑た笑みを口元に浮かべ、満足そうに顎をしゃくった。

 

「かしこまりました」

 

冷淡に応じたベリアル――マリアは、ゆっくりとシンシアに近づくと、うなじを拘束していた鉄の首輪の留め具を静かに外した。

 

「あ……ッ……ふぅっ……!」

 

首元を苛んでいた圧迫から解放され、シンシアの頭部がふっと持ち上がる。前傾姿勢が強制的に緩んだことで、木馬の頂点に深く食い込んでいた無防備な部位が離れ、股間を焼き尽くすような激痛がほんのわずかに和らいだ。

 

涙と脂汗に濡れた碧眼で、シンシアは荒い息を吐きながら姉の横顔を見つめる。だが、そこに慈悲などなかった。

 

「吊るし上げなさい。」

 

ベリアルの指示でギチチ……と重い滑車が回る音が響き、頭上の鎖が巻き上げられる。

 

「あぐっ……!? ひぁッ!?」

 

両手首の鉄枷を介して引き上げられ、シンシアの華奢な体が三角木馬から十センチほどふわりと持ち上げられた。

 

股間への直接的な刺激は消えたものの、今度は宙に浮いた全身の体重と、両足首に固縛された石の重りの総重量が、後ろ手に捻り上げられた両肩だけに一気にかかり直す。

 

両足の鉄枷から木馬の足につながった鎖が張ってシンシアの体が上下に引き絞られる。

 

「あああッ! 肩が……肩があッ!」

 

関節が軋み、引き裂かれんばかりの激痛が上半身を襲う。絶叫しながら逃げ場のない空中で激しく身悶えする少女を見上げて、マリアは氷のような眼差しでポツリと告げた。

 

「さあ、何回耐えられるかしら?」

 

マリアの手先が、静かに合図を送る。

 

直後――カチャンッ、と滑車の固定が急激に外れた。

 

「え……?」

 

一瞬の浮遊感。

 

そして直後、重力に引かれたシンシアの身体は、逃げ場のないまま鋭利な木馬の頂点に向かって一直線に叩きつけられた。

 

ドスッ――!!

 

「ひぎゃああぁぁぁぁぁぁぁッ―――――!?!?」

 

拷問室の石壁を貫かんばかりの、絶叫が響き渡った。

 

十センチの落差をもって叩きつけられた衝撃が、無防備な秘部から脳天までを一気に貫く。

秘肉を強打され、内部まで破壊されるような絶望的な衝撃に、シンシアの裸身が弓なりに大きく仰け反った。

 

「あ……っ、が……っ! あぁぁぁ……ッ!!」

 

白目を剥きかけた碧眼からボロボロと大粒の涙が溢れ出し、口元からは泡混じりの唾液が垂れ落ちる。股間から全身へ駆け巡る狂おしいまでの激痛に、少女の肢体はピクピクと痙攣し、喉を擦り切らせて悲鳴を上げることしかできなかった。

 

そして弓なりに大きく仰け反り、喉を潰さんばかりに叫んでいたシンシアの裸体から、ついに一切の力が抜け落ちた。

 

「はっ……ぁ……が……っ」

 

激痛のあまり意識が跳び、宙に吊り上げられた手枷の鎖へとだらんと全身の重みが預けられる。

そのまま木馬の頂点で、シンシアはピクリとも動かなくなった。

金髪の髪先からはポタポタと汗と涙が零れ落ち、口元からは唾液が虚しく滴っている。

 

 

気絶したシンシアを前に仮面の奥の瞳を冷たく光らせ、マリア――ベリアルは、静かに傍らの補佐官へ命じた。

 

「起こしなさい」

 

「はっ」

 

男が井戸水の満たされた木桶を抱え上げると、躊躇なくシンシアの顔面と全身へ向けてバシャリと勢いよく叩きつけた。

 

「ふぐっ……!? ぶはっ……! ぁ、あぁぁッ……」

 

冷気の衝撃に悲鳴を上げ、喉を詰まらせながら強制的に意識を引き戻される。全身の皮膚が冷たさに粟立つと同時に、感覚を取り戻した股間から灼熱の激痛が再び全身を吹き荒れた。濡れそぞった白肌が、震えと共に大きく波打つ。

 

乱れた濡れ髪の間から、涙に濡れた碧眼が弱々しく開き、目の前に立つ最愛の姉の姿を捉えた。

 

マリアは、気を失いかけた妹の可憐な顔を見下ろし、情を一切挟まない冷酷な声で突きつけた。

 

「さあ、王女の居場所を話すか、もう一度木馬に落とされるか。選びなさい」

 

「おね……がい……やめて……ゆるして……お姉様……っ」

 

冷水に濡れた金髪を濡れそぞらせ、シンシアはかすれた声で虚ろに訴えた。かつて自分を優しく抱きしめてくれた最愛の姉。その面影にすがるように、小さな声でうわ言のように許しを請う。

 

しかし、そこに返ってきたのは温かな抱擁などではなかった。

 

ギギ……と再び滑車が回り、鎖がゆっくりと巻き上げられる。

 

「あぐっ……!? いや……嫌ぁぁぁっ!」

 

再び木馬の角から身体が引き離され両手首の鉄枷へと全身の重量が容赦なく集中した。捻り上げられた肩の関節がみしみしと音を立てて軋み、強烈な痛みが上半身を襲う。

 

だが、それ以上にシンシアを狂わせたのは、眼下に待ち受ける鋭利な木馬の角。先ほど脳天を貫いたあの狂おしい落下の記憶だった。

 

落下の恐怖に碧眼を限界まで見開き、全身の筋肉を硬直させてガタガタと酷く震える。

 

「あなたが全て話すまで、何度でも続けますよ、シンシア」

 

その声に、実の妹への容赦は欠片すら感じられなかった。

冷酷な拷問官として、静かに手を挙げ、二度目の落下を命じる合図を出そうとする。

 

「あ……あぁ……っ……!」

 

あの激痛が、また来る。あの地獄が、永遠に繰り返される――。

猛烈な恐怖の奔流だった。

 

手を振り下ろそうとするベリアルの指先を見たその瞬間、シンシアは叫んだ。

 

「いう……言います! 言いますから……っ!! お願い、落とさないでぇぇっ!!」

 

喉を引き裂かんばかりの悲鳴が室内に響き渡った。

 

「はっ……はっ……! ひがしの……東の教会の……隠し部屋です……! 王女様は……そこに……っ!」

 

泣きじゃくり、涙を撒き散らしながら、落下を止めてもらうためシンシアは叫んだ。

 

ベリアルの手がゆっくりと下ろされる。

シンシアはまだ宙にいた。

 

「そうですか……」

 

ベリアルが拷問官に目配せして資料がめくられる。

紙をめくる音がする横でシンシアが必死に許しを求める。

 

「肩が……おねがいッ…下ろして…!」

 

ベリアルは冷酷な瞳をシンシアに向け、静かに首を振った。

 

「……そこはもう調べています。皇女様が見つかったという報告はありませんでした。」

 

「ひいっ……!? あ、あああぁ……っ!」

 

その一言に、シンシアの顔面から一気に血の気が引き、蒼白へと染まった。

 

王女を護るための、決死の時間稼ぎだった。

 

自分を痛めつける悪鬼たちを欺き、ほんの少しでも稼いだ時間で皇女様が遠くへ逃げてくれることを祈った、最後の抵抗――。それすらもあっけなく見破られたのだ。

 

逃げ場のない絶望の深淵に叩き落とされ、シンシアはガタガタと全身を激しく振るわせた。もう、シンシアに手札は何ひとつ残されていない。

 

「……まだ足りないようですね」

 

ベリアルの氷のような声が拷問室の石壁に冷たく跳ね返る。

 

「いや……いやぁっ……」

 

シンシアの哀願も虚しく、ベリアルの手が再び上げられ……次の瞬間、指先が躊躇なく振り下ろされた。

 

カチャンッ――

 

鎖の固定が外れ、浮遊感が少女の体を包む。直後、重力が引き下ろす圧倒的な質量とともに、シンシアの身体は鋭利な三角木馬の頂点へ向かって容赦なく叩きつけられた。

 

ドスッ……!!

 

「あがぁッ―――――――!?!?!?」

 

声にならない絶叫。

 

二度目の落下の衝撃。一度目の打撃でダメージを負った秘部へ、再び角ばった木材が深く、苛烈にめり込む。一瞬遅れて脳髄を直接焼き尽くすような過酷な痛みが脳天へ突き抜けた。

 

「が……っ! あ……ぁぁ……ッ!!」

 

涙と鼻水を散らしながら、シンシアの全裸の身体は弓なりに仰け反り悶絶する。

半ば正気を失い裸身を悶えさせるシンシアの瞳からは完全に光が消え失せていた。

 

その悲惨な妹の姿を、ベリアルは冷酷に見つめていた。

 

バシャァッ――!!

 

激痛に身悶えるシンシアの裸体にまた桶で井戸水が叩きつけられ、朦朧とした意識を無慈悲に引き戻す。

 

「ふぐっ……!? ひっ……はぁっ……はぁっ……!」

 

「嘘をついた罰です。重りを増やしなさい。」

 

「ひいッ!?」

 

ベリアルの言葉にシンシアが怯えて悲鳴を上げるが拷問官達は容赦なくシンシアの両足に重りが一つづつ追加する。

 

「や、やめ……ッ!!ああぁああっ…!!」

 

木馬の頂点がさらにシンシアの柔らかい秘裂に喰い込み、可憐な少女を悶絶させる。

シンシアは上半身を悶えさせるが、それはさらに苦痛を増す結果にしかならない。

 

「さあ、もう一度吊るしなさい」

 

ベリアルの冷徹な指示で、またギチギチと重い滑車が回り始めた。

 

「あぐぁぁッ……! ……ぁッ……!」

 

両手首の鉄枷に全身の重量と増えた足首の重りの重量が集中し、三度シンシアは空中に固定される。

 

「ひいッ……!」

 

先ほどよりさらに増した肩の激痛に挟まれ、涙と水滴で濡れた金髪の間でシンシアの瞳は落下の恐怖に怯えて許しを乞う様に姉だった見るはず女性に向けられる。

 

ベリアルが逃げ道のない空中で悶えるシンシアに詰め寄る。

 

「王女様のために少しでも時間を稼ぐ…健気な嘘ですこと……」

 

そしてシンシアを冷酷に追い詰めていく。

 

「私が何も調べていないとでも? 私が誰か忘れたのですか? 取り調べを受けたのがあなただけだとでも?」

 

「あ……あぁ……っ……」

 

シンシアの顔から完全に血の気が失せた。

 

そうだ――目の前に立つこの悪鬼は、かつて王家に従事し、自分以上に王宮の秘密や逃走経路を熟知していたマリアなのだ。そして、ドニゴールの手が伸びたのは自分だけではない。王女を守ろうとした他の従者や騎士たちも、すでにこの男たちの手で誇り無残に解体され、秘密を吐き出させられていたとしたら。

 

自分が必死の思いでついた時間稼ぎの嘘など、最初から想定内だったのだ。

 

ベリアルは鞭の柄の先端でシンシアの顎を強引にすくい上げ、碧眼の奥の深淵を見つめ返した。

 

「まだ私たちが調べていない場所はわかるかしら、シンシア? 嘘をつくなら……よぉく考えなさい?」

 

真実を言えば、王女様を売ることになる。

しかし、嘘をついてもまた見破られれば、あの狂おしい落下の激痛が容赦なく襲いかかってくる。重りが増えた状態でだ。今度は身体が裂けてしまうかも知れない。

 

「ひ……ああ……っ……ぁ……っ」

 

 

シンシアは、宙に吊り上げられたまま、恐怖と絶望でガタガタと体を震わせた。

 

もう、シンシアに何ひとつ打てる手はなかった。

 

もう一度嘘をつき、それが暴かれた瞬間に訪れるであろう、あの脳天を破壊するような衝撃と過酷な落下の恐怖――。それに耐えることなど、いまのシンシアの心には到底不可能なことだった。

 

偽りもごまかしも、全て見破られてしまう。この凄惨な拷問室で、姉の冷酷な碧眼の前で、抗うことなど最初から出来なかったのだ。

 

 

最後の壁が音を立てて崩れ去り、シンシアはついに完全に折れた。

 

 

「に……し……の……」

 

吊り上げられた腕の激痛に震え、涙と汗で顔をぐしゃぐしゃに歪ませながら、シンシアの乾いた唇からぽつり、ぽつりと絶望の真実が漏れ出し始める。

 

「西の……アルタ村の……一軒家……。その、棚の裏……隠し部屋が……あります……っ」

 

一言吐き出すごとに、心の一部が死んでいくような感覚。王女様を自らの手で売るという致命的な罪悪感に苛まれながらも、落下の恐怖から逃れたい一心で、言葉を止めることができない。

 

「本当……です……! 今度は……本当なんです……っ! だから……お願い……落とさないで……っ!!」

 

声を引き絞り、惨めに命乞いを繰り返す妹を、ベリアルは氷のように冷徹な瞳で見ていた。微かな感情の揺らぎすら見せず、淡々とその自白を受け止める。

 

「今度はウソではありませんね?……それを他に知るものは?」

 

静かに投げかけられた問いに、シンシアはもはや拒絶の意思を持ち得なかった。

問い詰められれば、秘められたすべてを差し出すことしかできない。

 

「……王女様の……侍従の……エレーナ……です……っ。私と彼女だけが……あの隠し部屋を……」

 

仲間の名まで、あっけなく自らの口で告白してしまった。

自分と時を同じく捕らえられている彼女がこの後どのような目に合うか、わからないハズがないのに。

 

忠誠も、誇りも、大切な者たちとの絆も、すべてを自ら踏みにじった。

ただ拷問の激痛と恐怖から逃れるためだけに、魂の全てを売り払ったのだ。

 

 

 

頭上で虚しく揺れる鎖に吊られたまま、シンシアの全裸の体からはもはや一切の抵抗の力が失われていた。碧眼からは焦点が消え、ただただ自責と絶望の泥沼の中へと、どこまでも深く沈んでいくばかりだった。

 

「……よく出来ましたね、シンシア」

 

褒め言葉とも嘲笑ともつかぬ言葉がかけられる中、秘密を白状し尽くしたシンシアの体からは完全に力が抜け切り、鎖に繋がれたまま、虚しく宙でユラユラと揺れ続けていた。

 

 

ーー

 

ベリアルは、ついに屈服したシンシアを満足げに見るドニゴールへと視線を巡らせた。

 

「よくやったぞベリアル。そなたの忠誠…この目で見せてもらった。」

 

実の妹を容赦なく拷問しきったベリアルにドニゴールが満足げに答える。

ベリアルは恭しく一礼した後、シンシアに告げる。

 

 

「さあシンシア、ここでドニゴール様に身も心も捧げ、お仕えすることを誓いなさい」

 

マリアの氷のように冷ややかな声が、絶望に沈む拷問室に響き渡った。

 

もはや、シンシアに抗う力など一欠片も残されていなかった。すべてを白状し、誇りも魂も打ち砕かれた少女は、宙に吊り上げられたまま、ただだらりと全身を預けて小さく震えることしかできない。

 

肩を苛む激しい軋みと、股間を貫いた凄惨な打撃の余韻が、今なお全身を激しく苛んでいる。シンシアは途切れ途切れの声で命乞いを口にした。

 

「ドニゴール……様に……身も心も捧げます…… どうか……どうか、お慈悲をっ……!」

 

シンシアの屈服の誓いを、ドニゴールは極上の愉悦として全身で受け止めた。老公爵は歪んだ笑みを深く刻み、満足そうに頷く。

 

「クククッ、では証に奉仕をしてもらおう」

 

「奉仕……っ? なっ……なんでもします……だから……!」

 

「奉仕」という言葉の真意すら理解できぬまま、シンシアはただこの苦痛と恐怖から逃れたい一心で、必死に縋りついた。

 

「よかろう……。ベリアル、降ろしてやれ」

 

「かしこまりました」

 

ドニゴールの命令を受け、カチャン、と金属音が響き、シンシアの両足首を縛り上げていた重々しい鉄枷と四角錐の石の重りが取り外された。脚を引っ張り続けていた強烈な荷重が消え去る。

 

続いてギチギチと滑車が逆回転を始め、天井の鎖がゆっくりと下ろされていった。

 

「あ……っ、あぁ……」

 

引き上げられていた腕が下がり、足が地面に着くと肩を苛んでいた破壊的な張力が和らいでいく。だが、過酷な拷問に耐えかねた脚は自立することなど到底不可能であり、シンシアの全裸の体はそのまま糸が切れた人形のように、冷たい石造りの床へと崩れ落ちた。

 

「ひぅ……っ、はぁッ……はぁッ……!」

 

石畳に横たえられたシンシアは、深く荒い息を繰り返した。

両手首を後ろ手で繋ぐ頑丈な鉄枷は嵌められたままであったが、天井から伸びていた鎖からは外され、ひとまずは宙吊りの激痛から解放されたのだ。

 

カチャリ、と無慈悲な金属音が静寂を切り裂き、シンシアの首元に再び鎖付きの冷たい鉄の首輪が嵌め直された。

 

「ひっ……!」

 

ベリアルは容赦なく首輪の鎖を強く引き上げると、虚脱状態にあったシンシアの体を無理やり引っ張り起こし、ドニゴールの足元へと力任せに跪かせた。後ろ手で鉄枷を嵌められたままのシンシアは、姿勢を保つことすらできず、膝を冷たい石畳に打ち付ける。

 

すかさず背後に回り込んだベリアルの細い指先が、シンシアの濡れた顎を強い力で掴み上げ、その顔を上に向かわせて固定した。

 

目の前で、ドニゴールが下卑た笑みを深めながら、己の醜悪なイチモツを露出させ、シンシアの顔前へと突きつける。

 

「さあ、舐めろ」

 

「ッ―――!?」

 

言葉の意味を理解した瞬間、シンシアの碧眼が見開かれ、全身の血が一気に引いていく。

 

「奉仕」――その言葉に、世間知らずで可憐な彼女は、無意識のうちに城や屋敷でのメイドのような給仕や雑用を思い浮かべていた。だが、突きつけられた現実のあまりのおぞましさと屈辱に、シンシアの思考は真っ白に染まり、息を吸うことすら忘れて凍りついた。

 

「な……なに、を……っ」

 

「噛むなよ? 逆らえばどうなるか分かっていよう?」

 

ドニゴールは冷たい視線で見下ろしながら、釘を刺すように低く呟いた。

 

「あ……あぁ……っ……」

 

先ほどまでの三角木馬での凄惨な激痛、絶望的な落下の恐怖、そして最愛の姉からの冷酷な裏切り。それらが走馬灯のように脳裏を駆け巡り、反抗心を容赦なく叩き潰す。逆らえば、再びあの地獄へ戻される。

 

シンシアが屈辱と悲しみに暮れる表情をするが、顎を掴むベリアルの指先からは一切の容赦が感じられず、首輪の鎖がジャラリと音を立てて張られた。

 

「あ……あぁ……っ……」

 

目の前に突きつけられた男の醜悪な部位。冷たい石畳の上で跪かされたまま、シンシアは屈辱と恐慌に震える唇を必死に開いた。

 

拒めば、またあの木馬へ引き戻される。あの脳天を貫く激痛と絶望が待っている。

 

恐怖に完全に支配されたシンシアは、涙で濡れた碧眼を固く閉じると、意を決しておずおずと舌先を伸ばし、ドニゴールのイチモツの先端へと触れさせた。異物の味と湿った感触が舌を襲い、酷い吐き気が込み上げる。

 

「ん…ぁ……っ」

 

クチュ…クチュリ……

 

シンシアの可愛らしい舌がドニゴールのイチモツを舐め続ける。

 

「次は口に含めろ……」

 

ドニゴールは不満そうに低く命じた。

 

「ッ……」

 

可憐な令嬢として育てられ、男を知らぬシンシアの奉仕はあまりにも稚拙で拙く、老公爵に十分な快楽をもたらすものでは到底なかった。躊躇するシンシアに痺れを切らしたドニゴールは、苛立ち混じりにシンシアの金髪を鷲掴むと、その小さな頭部を力任せに己の股間へと引き寄せた。

 

「ふぐッ……!? むぐぅッ……!」

 

強引に押し込まれる太い肉塊。奥深くまで喉を突かれたシンシアは息を詰まらせ、激しい嘔吐感と苦しみから無意識に身体を拒絶させた。ドニゴールは構わず腰を突き動かし、強烈なイラマチオを始める。

 

激しく喉を乱暴に侵され、視界が涙で完全に歪む中、窒息の恐怖に苛まれたシンシアは、苦しみのあまり意図せず——そのイチモツへと硬い歯を立ててしまった。

 

 

「ぐうっ!……この娘……噛みおったか」

 

ドニゴールは不快そうに顔を歪めると、シンシアの口から強引にイチモツを抜いた。老人の冷徹で底意地の悪い視線が、床に這いつくばる少女を見下ろす。

 

「ひ……っ! ち、違う……! わざとじゃない、わざとじゃないの……っ!」

 

突如訪れた静寂と視線の冷たさに、シンシアは顔を青ざめさせ、血の気が引いた顔で首を激しく左右に振った。必死に弁明しようとするが、ドニゴールは一瞥をくれただけで、すでに冷酷な判決を下していた。

 

「ベリアル。この娘を股裂き台に」

 

「かしこまりました」

 

「やだ! やだ、やだぁっ! 助けてお姉様ぁっ!!」

 

ベリアルの無機質な応答を聞いた瞬間、シンシアの精神は幼子のように崩壊した。なりふり構わず涙を撒き散らし、自分を絶望の淵へ追いやった張本人であるはずの「お姉様」にすがりつくように叫ぶ。だが、ベリアルや拷問官達の手が容赦なく伸びてきた。

 

「あぐっ……!? んあぁぁッ!」

 

後ろ手に拘束された両腕と上半身が、太い鉄の鎖によってさらに頑丈にぐるぐると巻き上げられていく。抵抗すら許されぬまま引きずられていったのは、拷問室の隅にそびえ立つ、ぶ厚い木と重厚な鉄で組み上げられた巨大な門型の装置――股裂き台であった。

 

「やめて……お願い、許して! 許してぇっ!」

 

狂おしい悲鳴も虚しく、両足首に嵌められた頑丈な鉄枷が装置の上部へと伸ばされた鎖に繋がれる。さらに太ももから膝にかけて、まるで蛇のように冷たい鎖が幾重にも巻き付けられ、左右上方の巻き取り機構へと固縛されていく。

 

ギチギチギチ……と、重々しい歯車の回転音が室内に響き渡った。

 

「ああっ! いやぁあぁぁッ!?」

 

鎖が力任せに巻き取られるにつれ、シンシアの身空は上下逆さまに持ち上げられていく。片足づつ左右上方に無理やり引っ張られる両脚。大開脚の体勢のまま、少女の身体は逆さに空中で固定された。

 

頭部が下になり、血液が脳へと急激に上っていく感覚。そして何より、後ろ手で拘束されたまま足を全開に広げさせられたことで、先ほど三角木馬で無惨に傷つけられた秘部が、誤魔化しようもないほど無防備に空中へ晒し出された。

 

「ひ……あぁぁっ! 痛い、脚が……破ける……!」

 

ギチ……と、シンシアの柔軟な関節の限界の直前で、冷酷に歯車が固定された。

 

――シンシアの股関節の筋がギリギリと鳴り、耐え難い張りと痛みが下半身全体を苛む。

 

これ以上鎖が巻き取られれば、股関が節引き裂かれる恐怖にシンシアが怯える。

 

「くうっ……! ああ……っ、はぁッ、はぁッ……!」

 

逆さ吊りにされたシンシアは、血の上った顔を苦悶に歪め、必死に上半身を悶えさせて脱出を試みた。しかし、後ろ手と体を強固に縛り上げる太い鎖はピクリとも動かず、ただ体力を削り、脚の関節へさらなる痛みを走らせるだけだった。

 

もう逃げ場など、どこにも存在しない。

 

無力さと屈辱、そして迫り来る更なる責め苦への恐怖に完全に打ちのめされたシンシアは、絶望の混じった掠れた吐息を漏らし、逆さまのまま力なくうなだれた。

 

「まずは少し仕置きだ」

 

ドニゴールが冷酷に告げると、拷問官が股裂き台の歯車をゆっくり巻き取る。

 

ギチッ……!!

 

「かはぁっ……!? ―――ッ!?」

 

限界を迎えていた股関節が強引に引き裂かれ、シンシアの全身が激しく跳ねた。激痛で息ができない、悲鳴が声にならない。

 

直後、カチャンと音がして鎖がわずかに緩められ、元の極限状態へと戻された。

 

「はぁッ……! ぐ、あぁ……ッ、はぁッ……!」

 

窒息しかけていた息を激しく吐き出し、血の上がった顔で絶え絶えの呼吸を繰り返すシンシア。その大開脚で無防備に晒された秘部へ、ドニゴールが分厚い指先を容赦なく突き立て、内側を乱暴にかき回した。

 

「あぐっ……!? ひぁッ、や……やめてぇッ……!」

 

先の木馬での責め苦によって既に擦り切れ、熱を帯びて過敏になり切っていた部位を弄られ、シンシアは悶えピクピクと痙攣する。

 

「折角ここに儂のものを突き立てるのは容赦してやっていたというのにのう?」

 

ドニゴールは濡れた指先を引き抜くと、下卑た笑みを深めながら、惨めにあえぐシンシアの肉体を冷ややかな目で見下ろした。

 

「もう一度引き延ばせ。きちんと反省させねばな」

 

「かしこまりました」

 

「許し……ッ! おねがい、お許しをぉッ――あぁぁぁあッ!?」

 

許しを乞う叫びすら最後まで言わせず、再び歯車が恐ろしい音を立てて回る。

 

ギチチチッ――!!

 

限界を超えて強制的に引き裂かれる両脚。股関節と太ももの裏の筋が千切れるかのような苛烈な激痛が直撃し、逆さ吊りにされたシンシアの絶叫が、暗く冷たい拷問室の天井へ虚しく響き渡った。

 

 

ギチッ……と重い音を立てて、再び鎖がわずかに緩められる。

 

「はっ……ぁ……っ! ぅ……っ、はぁッ……!」

 

股関節を引き裂く極限の張力が和らぎ、血の上った顔でシンシアは荒く酸素を貪った。激痛の余韻で全身の筋肉が小刻みに痙攣し、大開脚の体勢のまま逆さ吊りにされた体から汗と涙がポタポタと床へ滴り落ちる。

 

「反省したか?」

 

ドニゴールの声は、冷たく一切の情を含んでいなかった。

 

「は……はいっ……! お赦しを……お赦しください……ッ!」

 

シンシアは必死に声を絞り出し、逆さまのまま何度も何度も深く頷いた。ここで否定すれば、あるいは躊躇えば、即座にあの歯車が回され、脚の筋を叩き千切られる。その恐怖が少女の魂を完全に支配していた。

 

「さあ、今度は噛むなよ?」

 

そう言い捨てると、ドニゴールは再び己の醜悪なイチモツを、逆さに固定されたシンシアの顔面へと突きつけた。

 

「んむぐっ……!?」

 

強引に唇を割り開かれ、口内を容赦なく侵されていく。

 

いつまた鎖を引き絞られるか分からない――首元に研ぎ澄まされた刃物を突きつけられているような極限の恐慌の中、シンシアは必死に歯を引っ込め、舌を平らにし、欲望の受け皿となることに没頭した。息が詰まり、激しい嘔吐感が喉を襲おうとも、ただひたすらに命乞いをするようにドニゴールのペニスを受け入れ続けた。

 

「ふ、む……ッ、そうだ、そのまま大人しくしておればよい……」

 

シンシアの必死の服従と、逆さ吊りで無防備に開かれた少女の喉奥の感触に、ドニゴールは満足感を覚えながら激しく腰を突き動かした。やがて荒い吐息と共に、ドニゴールは欲望のすべてを少女の小さな口内へと吐き出した。

 

「んぐッ……!? ぶふっ……ッ、けほっ……!!」

 

イチモツが引き抜かれると同時に、シンシアは激しくむせ返った。咽び泣きながら咳き込む少女の口元から、受け止めきれなかった白濁が溢れ出し、冷たい石畳の床へと無惨に滴り落ちていった。

 

 

「ベリアル。今日はここまでだ。……この娘をクレアテーゼの妹としたいのであれば、よく躾けることだ。」

 

 

満足そうに自身の衣類を整えると、ドニゴールは重々しい鉄の扉を押し開けて拷問室を後にした。重厚な扉が閉まり、静寂が室内に戻ってくる。

 

 

 

「あ……お姉……様……っ……」

 

ドニゴールがいなくなったことで、シンシアの破滅しかけた心に、ほんのわずかな淡い希望が差し込んだ。

恐ろしい支配者が去った今なら――もしかしたら、ほんの少しでも、かつての優しかったマリア姉様に戻って、この解けない鎖を解いて抱きしめてくれるのではないか。

 

涙と脂汗、そして屈辱の痕で泥のように汚れた顔を上げ、逆さ吊りの視界の中で懇願するように姉を見つめる。

 

しかし、その惨めな甘えは「ベリアル」の冷酷な一言によって、一瞬にして打ち砕かれた。

 

「さあ、徹底的に躾けよとのドニゴール様の命です。もう一度引き伸ばしなさい」

 

「え……? あ……っ、やだ……っ、お姉さ――」

 

ギチチチチッ――――!!

 

制止の叫びすら最後まで言わせず、ベリアルの容赦ない合図によって股裂き機の歯車が再び巻き上げられた。

 

先ほどまでの限界では止まらず、さらに無理やり押し広げられる両脚。股関節と太ももの筋が悲鳴を上げ、メリメリと強烈な圧迫音が肉体の中から響く。

 

「かはぁっ!!?? ―――ッッ!!」

 

喉から出たのは悲鳴ならないない呼気の塊だけだった。

あまりの激痛と衝撃に、先ほどまで口内に残っていた不快な白濁が、咳き込みと共に勢いよく飛び散り、床へと撒き散らされる。

 

「あぐっ……あ……ッ! ぁぁぁぁぁッ……!!」

 

激痛の中、完全に自我を砕かれたシンシアは、逆さ吊りの体勢のまま狂ったように悶絶した。

 

「クレアテーゼの娘、ドニゴール様の尋問官として、あなたにはあらゆる責めを体で覚えてもらいますわ。無論、ドニゴール様へのご奉仕のしかたも…。」

 

閉ざされた拷問室の扉からは少女の絶望的な悲鳴が、誰も救いの訪れない城内にいつまでも響き渡っていた。

 

 

ーーーーー

ーーーーーーーーー

 

あの凄惨な屈服の日から、一年が過ぎた。

 

グラナ砦の最深部に造られた、ドニゴールのための絢爛たる寝室。帳の垂れる豪華なベッドの上で、一糸まとわぬ姿の少女が艶めかしく身を躍らせていた。

 

上半身は太い革の拘束具で後ろ手に厳重に縛められ、首には嵌められた鉄の首輪から伸びる金属の鎖。その鎖の端を、ベッドに横たわるドニゴールが満足げに握りしめている。

 

「あっ……あぁっ、んふぅ……っ……!」

 

「ようやく…ようやく私の初めてをドニゴール様にッ…!」

 

剛直に貫かれた秘部からは、腰を振るたびに卑猥な水音が甘く寝室に響き渡る。後ろからそっと身を寄せたベリアル――マリアが、白く滑らかな手でシンシアの小さくも形の良い乳房を愛おしげに揉みしだき、耳元で甘く囁いた。

 

「さあ……ドニゴール様に、今日の成果を報告なさったらどうかしら?」

 

「クククッ、言ってみろ、シンシア」

 

ドニゴールが太い鎖をぐっと手元へ引き寄せ、嗜虐的な笑みを浮かべる。だが、貫かれたまま激しく腰を動かしていた少女は、うっとりとした、しかしどこか冷ややかな瞳でドニゴールを見下ろし、静かに言葉を正した。

 

「いいえ……ここにシンシアなどという娘はおりませんわ。私はリリア。……リリア・クレアテーゼです、ドニゴール様」

 

そう告げると、リリア――かつてシンシアと呼ばれた少女は、恍惚とした笑みを浮かべながら報告を始めた。

 

「フフッ……『元』王女様は、本当においたわしいお姿になられましたわ。私と姉様で、あの方の体をあますところなく……あらゆる方法で慈しんで差し上げましたの。あの気高かったお方が、最後には涙とお小水に塗れて乞うように……すべてのレジスタンスの名を吐き出しましたわ」

 

かつて命をかけて護ろうとした主を、自らの手で徹底的に苛み抜いたことを、彼女は甘やかな歓喜とともに語るのだった。

 

「くくっ……よかろう!褒美だ受け取れい!」

 

そういってドニゴールはひときわ激しくリリアを剛直で突き上げ、かき回し精を放った。

 

「ああぁんっ……!」

 

体をのけ反らせるリリアを見てドニゴールは満足そうに口元を歪めると、手中の鎖を放し、リリアの上半身を固定していた革の拘束具のバックルへと手を伸ばした。

 

「もう……これは要らぬな」

 

この閨で、万が一の反抗を防ぐため「シンシア」に嵌めさせていた拘束具。しかし、王女すら躊躇なく拷問にかける冷酷な忠犬へと変貌を遂げた今の彼女には、もはや身を守る道具など不要だった。

 

パチ、パチと革帯が外され、解き放たれた柔らかい腕。リリアは歓喜の息を漏らすと、ドニゴールの太い首に自らその腕を回し、しなやかな体で対面座位となって深く絡みついた。

 

「あっ……あぁ……っ、ドニゴール様……!」

 

さらに背後からは、ベリアルがそっとドニゴールの背中にしがみつき、細い指先でその玉袋を妖しくくすぐりながら、老いた耳たぶをじっくりと舐めしゃぶる。

 

二人の美しき姉妹が、ドニゴールの体の上で甘い吐息を漏らし、妖艶にその身を躍らせる。

 

「クハハハ! 良いぞ、我が愛しき姉妹たちよ……!」

 

ドニゴールが万能感と快楽に浸り、咆哮のような歓声を上げる。

その男の胸の上で、リリアとベリアルは視線を交わらせ、互いの瞳の奥に凄絶なまでに怪しい光を宿らせた。

 

(……ええ、存分にお愉しみ遊ばせ、ドニゴール様。あなたはもはや老い先短いお体……)

 

ドニゴールの老いた首にしがみつき、肉の結合をより深めながら、リリアの胸中に暗い野望が渦巻く。

 

(あなたの御子をこの胎に宿し……いずれその子とともに、この国を我ら姉妹の手中に収めてみせますわ。……私から全てを奪った、貴方の全てを)

 

絶望の淵で誇りを破滅させられた可憐な少女は、いまや凄惨な復讐と支配の野心に満ちた、恐ろしい女へと生まれ変わっていた。

 

二人の美しきクレアテーゼの姉妹は、老いた権力者を快楽の底へと沈めながら、暗闇の中で静かに、そして残忍に微笑み合っていた。

 


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