数日後の23時。
裕樹は待ち合わせ場所に葵が来るのを待っていた。
街灯の下でスマホを何度も確認しながら、心臓の音と蝉の声がうるさく響いていた。
ココを見つけ出したあの日の夜の出来事の続き。
自身に出来ることがあれば、何かお礼をさせて欲しい。
どんなことでも良い、そういうことであれば裕樹は一つの願いを口にする。
「葵ちゃんのおっぱいを直接触っているところをこの間の水着の時みたいに動画で収めたい。」
その言葉に、葵は肩をすくめて沈黙した。
「撮影するスマホは葵ちゃんのスマホか俺のスマホ。それは葵ちゃんに任せる。」
「なんでも良いって言ったけど、少し考えさせて欲しい…。」
去り際に、3日後の23時にこの場所で待っていると裕樹は口にし、葵はその場を後にしたのだった。
それから今日まで裕樹は何度も後悔しかけていた。
賽は投げられた。
スマホには何の通知もない。
それでも裕樹はあの夜の沈黙の続きを、知りたかった。
葵は自らの身体を許すかどうか、今夜選択しなければならない。
それから10分待っても葵は来なかった。
30分まで待ってこなければ電話してみて、それでもダメなら帰ろう…。
裕樹がスマホから目を離すと、遠くの歩道に白い影が揺れた。
風にたなびくワンピースが、夜の静寂に溶け込むようにゆっくりと近づいてくる。
裕樹は息を呑んだ。
その歩みは迷いなく、まっすぐこちらへ向かっていた。
葵の足取りは軽くなく、それでもゆっくりと確実に裕樹に近づいていた。
視線は地面に向けられているが、時折ぶつかる。
その表情は、硬いとも諦めともつかない影を宿している。
葵は裕樹の前で立ち止まり、そっと息を吐いた。
「遅くなってごめん。」
ポツリとそう呟いた葵に、大丈夫、と裕樹は一言返す。
葵の手はワンピースの裾をぎゅっと握っている。
二人の間に言葉はなく、蝉の音と遠くの車の音が沈黙を埋めるように響いていた。
「行こっか。」
裕樹は葵にそう言って、二人はトボトボと歩き始める。
裕樹は何やら荷物が多く、コンビニの袋にペットポトルの水、大きいリュックサック、折り畳みのキャンプチェアを肩からかけている。
まるで何かを始める準備のようだった。
どこに行くかを伝えないまま、葵の歩幅に裕樹は合わせて歩く。
時折、何かを言おうと口を開くが、それは言葉にならず閉じる。
葵の肩は浅く上下する。
息を整えているのか、感情の行き場に困っているのか、それは分からない。
静まりかえった公園の中に佇む、プレーパークの小屋が見えてきた。
小屋の中は灯りがなく、木々の影が壁に揺れていた。
日中は子供達の笑い声に満ちているはずなのに、今はまるで別の場所のような雰囲気が漂っている。
プレーパークの小屋の入り口の前で葵は一瞬、足を止めた。
闇の中に沈む小屋は窓が閉ざされ、戸は半分空いている。
中にはどんなものがあるかを葵は知らないが、裕樹は迷うことなくその戸を引いた。
裕樹は振り返ることなく、小屋の中に入っていく。
その背中を見つめながら、何も言わずに後を追った。
それは恐怖とは似ているようで異なり、引き返せない場所へ自ら足を踏み入れていく。
小屋の中は薄暗いが、街灯の光が上部の窓に差し込んでいて、互いの顔がぼんやりと浮かび上がるくらいの明るさだった。
裕樹は持ってきた大量の荷物をどさっと床に置いた。
折り畳み式のキャンプチェアを取り出すと、慣れた手つきでカチリ、と金属の脚が開く音が小屋の静けさに響く。
次に裕樹はコンビニの袋から水を取り出してそっと床に置いた。
背負ってきた大きなリュックサックからレジャーシート、ブランケット、バスタオル、クッションのようなものまで用意してあった。
葵の胸の奥は再び軋み、それはこれから何が起きるかを察してしまう。
それでも葵は逃げ出すことはせず、ワンピースの裾を握りしめながらただその場に立ち尽くしていた。
「座って。」
裕樹にそう促され、組み立てられたキャンプチェアに葵はゆっくりと腰掛ける。
葵が腰掛けたのを見てから、裕樹は伸縮する三脚をリュックから取り出した。
葵は地面を見つめ、その視線の先で裕樹は淡々と三脚を組み立てていく。
裕樹は自身のスマートフォンで、画角の調整を行う。
スマホのカメラには、薄暗い部屋の中で物静かに座る葵の姿を確認して、裕樹は口を開いた。
「どっちのスマートフォンで撮る?」
裕樹のその問いに、葵は無言で自身のスマホを取り出した。
しばらく何かを考えるようにスマホを持ったまま動かなかった。
そして、ゆっくりとスマホを裕樹に差し出す。
その手は僅かに揺れていて、目は伏せたままで、言葉よりも先に答えがあった。
葵の手からスマホは離れ、裕樹はそれを三脚にセットする。
カメラモードを起動して、ムービーの再生ボタンを押すと、小屋の静けさを破るように電子音が短く鳴った。
小屋の中は、昼間の熱が少し残っていて、その空気が肌にまとわりつくようだった。
それでも隙間から風が通るたびに、ほんの少しだけ涼しさが通る。
椅子や三脚の組み立てでかいた裕樹の汗も、そのうち引いていくような心地良さすら感じられる。
裕樹はゆっくり頷いてからコンビニの袋からペットボトルを取り出し、葵に渡す。
「はい、これ。今はそんなに暑くないけど、水分は取ったほうが良いと思うから。飲んでね。」
裕樹から渡されたペットボトルを葵はゆっくりと受け取る。
葵の手に渡ったことを確認して、裕樹はもう一本のペットボトルのキャップを捻って水をゴクゴクと音を立てて飲む。
葵もゆっくりとキャップを捻って口をつける。
キャンプチェアに深く腰をかけた葵の姿はどこか気品が漂っていた。
「葵ちゃん、めっちゃ緊張してるよね。まあ…俺も結構緊張してるんだけど…。」
そう言って裕樹は静かに葵の背後へと回った。
キャンプチェアに腰掛けている葵の背中は、まっすぐに伸びていた。
ワンピースの布地は背中に沿って張り付き、豊満な曲線がくっきりと浮かび上がっていた。
以前の水着の時とはどこか違っていて、裕樹は思わず息を呑む。
シャワーを浴びて間もないのか、いつもよりも良い匂いが鼻を通ってくる。
「肩揉んであげる。リラックスしてね。」
裕樹はそう言って、そっと手を置くと葵の肩は僅かに震えた。
その硬さは、緊張なのか。それとも、触られることへの戸惑いなのか。
指先に伝わる張り詰めた肩と、その奥の葵の体温が裕樹の指にじんわりと伝わってくる。
「これは…すごく凝ってるね。」
肩の上部から鎖骨の周辺にかけて、筋肉が硬く盛り上がっていた。
まるで、何か重りを支えているように、筋肉は張りつめていた。
裕樹は指先に僅かに力を込め、鎖骨から肩へと筋肉をなぞるように揉みほぐしていく。
裕樹がその部分を揉むと、葵の身体が僅かに震えた。
「ここが特に凝ってる。疲れてるんだね。」
揉まれるたびに、葵の肩がわずかにすくみ、首が自然と左へ傾いていく。
喉の奥から、小さな「ん……」という声が漏れた。
太腿に置かれた手が、ぎゅっと握られる。
その反応が、背中越しに静かに伝わって、部屋の空気がふと柔らかくなった気がした。
最初は硬くこわばっていた背中が、次第に柔らかくなっていく。
「……気持ちいい」
ぽつりと漏れたその言葉に、裕樹の手が止まりかける。
少しだけ指先に力を込め直しながら、静かに問いかけた。
「いつも、こんなふうに凝ってるの?」
葵は少しだけ首を傾けたまま、答える。
「うん……胸、重たいから。」
その言葉には、疲れだけじゃない何かが滲んでいた。
「俺がずっと支えてあげられたらいいのに。」
裕樹はそう呟くと、鎖骨の下に指先を滑らせた。
なぞるように下へと動かしながら、その柔らかな曲線に触れ、膨らみをそっと下から支えるように手を添えた。
「あーあ……。」
その声は、驚きよりもどこか諦めに近かった。
それでも葵は身を引かず、ゆっくりと振り向いて、肩越しに裕樹を見つめる。
「本当に触っちゃったね。」
何かを確かめるような視線がお互いぶつかって、沈黙が訪れた。
裕樹は、葵の視線を受け止めたまま、何も言わずに手を動かした。
ゆっくりと、包み込むようにして、両手で下からしっかりと支える。
柔らかな膨らみは手のひらからこぼれ落ちそうで、ずっしりとした重さが伝わる。
葵は裕樹の手を受け入れるように目を伏せて、肩越しの視線を外し、静かに顔を正面へと戻した。
葵の提案から始まった、観察の日々。
触れることなく、ただ目で追い続けた時間は、今、両手にその重みを伝えている。
裕樹は手のひらの感触を確かめながら、そっと葵の顔を覗き込んだ。
肩越しに見える横顔は、目を伏せたままで、息を小さく吐いている。
逃げもせず、拒みもせず、ただそこにいた。
その沈黙に、裕樹はそっと指先を動かした。
揉む動作の合間に、そっと前開きのワンピースのボタンに触れる。
一つ目を外すと、布が僅かに緩んで胸の付け根の部分が露わになる。
ここから先は、葵が水着のストラップを外した時よりも肌が露出する。
それを想像すると裕樹はごくり、と唾を飲み込む。
欲望と緊張が、静かに体温を上げていく。
葵は息を呑み、抗うことなく身を委ねたままだった。
二つ、三つ──
裕樹の手は触れることと外すことを、同じ動作のように織り交ぜていく。
三つ目のボタンを外すと、布の張りがふっと緩くなった。
葵の身体は背後から見ていても、その壮観さに圧倒される。
胸元の布は左右に開き、濃い色のブラが露わになる。
僅かに街灯の灯りが差し込むこの小屋で、それはパープルのようなレースに思えた。
「これ…紫だよね…すごく似合っていて、めっちゃエロいよ。」
裕樹は指先でレースの淵をなぞりながら、ブラジャーを観察する。
裕樹の感想に葵は何も言わなかった。
ただ目を伏せたまま、唇を少しだけ噛んでいる。
「とっても興奮する。ずっと触っていたいな。」
指の腹に伝わる硬くて厚いブラジャーの布地から、支えられて盛り上がっている胸の体温が直接感じられた。
柔らかくて、指先が沈む。
その感触をずっと堪能したい気持ちを抑えて、裕樹は再び四つ、五つとボタンに触れる。
ボタンが外れ、ワンピースが開いていくと大きな膨らみとは対照的な細くくびれたウエストが露わになる。
指先でウエストをなぞると、葵の胸元がゆっくりと上下して、空気を探すように呼吸をする。
「ちょっと……急に……」
葵のその声には驚きの感情が含まれていた。
まるで、ウエストを触られることは想定してなかったと言わんばかりに。
「細くて綺麗なウエストだったから、触りたくなっちゃった。」
裕樹はそう言って、両手で葵のくびれの形を確かめるように撫でる。
その動きに葵は背筋を伸ばして、喉の奥から吐息が漏れる。
ウエストをなぞる裕樹の手は、腰骨を超えて、太腿に触れる。
六つ、七つのボタンも流れるように外されていき、ワンピースの前面は、完全に開いていた。
ショーツのレースも露わになり、ワンピースの布は葵を覆う役目を果たさなくなっていた。
葵の太腿は陶器のように滑らかで、女性らしい柔らかさがそこにあった。
空気をなぞるように、自分の手の甲で太腿の感触を味わっていた裕樹は、おもむろに指先をそっと滑らせる。
指は手の甲よりも、ずっと繊細に肌の柔らかさを掬い上げ、その滑らかさに指先が沈む。
裕樹の指が太腿の内側に滑り込むと、葵の膝が僅かに震えながら脚を開き、呼吸は少しだけ乱れていた。
意識的に開いたというより、身体が勝手にその動作に応じたようだった。
内腿の表面は、太腿よりも熱を帯びていて、しっとりとしていた。
汗とは違う、どこか甘く湿った感触が指先にまとわりつく。
(これってまさか……濡れてる?)
裕樹は胸の奥がざわついて、息を呑んだ。
内腿に触れた指先は、ボディラインをゆっくりと撫でていく。
指先が川を登る魚のように、ウエストや胸の膨らみをなぞって、肩のワンピースの布地を目指した。
身体の形を確認されるたびに葵の喉は動いて、ゆっくりと浅く息を吐く音が聞こえる。
葵の肩まで戻ってきた指先で、ワンピースの肩の布地を指の関節で挟むようにしてゆっくりと左右に開く。
この状況で葵が動きを止めるのでは、と裕樹は一瞬ためらい、葵が気付かないような速度で肩からゆっくりと腕を通していく。
ワンピースの布地が葵の背中と腕を撫でるように落ちて、静かに舞うようにキャンピングチェアに広がった。
ディープパープルの下着姿の葵の肌に、レースが食い込み、妖艶な曲線を際立たせている。
裕樹は、そろそろと葵の温かさが残ったワンピースを回収し、丁寧に畳んで汚れないようにそっと脇に置く。
その足で三脚の方へと歩いて行き、セットされた葵のスマホの画面を覗き込む。
スマホの画面越しに見る葵は、下着だけになった自分の姿に戸惑いながらも、逃げることなくその場に座り、その覚悟を映しているように見える。
腕を胸元に回し、体を抱え込むようにして肌を隠そうとする仕草が、かえってその柔らかさを際立たせる。
顔を横に背けて、肩が僅かに震えて、その表情は窺えない。
裕樹はスマホの画面から目を離して、静かに葵に歩み寄る。
葵が顔を背ける方向へと体を移動させて、その表情を暴こうと裕樹は覗き込む。
目を伏せていた葵が瞳を開けた時に、裕樹と視線がぶつかる。
その瞳は、濡れたガラスのように光を反射している。
溢れるような戸惑いの感情が、裕樹に伝わってきた。
時間が停止したような2人の沈黙の世界は、わずか数秒だが永遠のように感じられる。
葵は目を瞑って、そっと両手を顔に添えた。
細い指先が頬に触れて、目元を覆うようにして、顔を隠す。
その恥じらいに満ちた仕草に、裕樹の背筋はぞくりとした感覚が走って、再びスマホの画面を覗き込む。
蜂蜜のように甘くて、ねっとりとした背徳感が脳内に充満して、鼓動が耳に響くほど強くなっていった。
「葵ちゃんのその下着、凄く似合ってる。とってもセクシーで心臓がすごくドキドキして興奮する。」
そう言って裕樹は、再び葵の背後へと静かに歩み寄る。
葵の顔を覆っていた両手が、ゆっくりと降ろされ、指先が震えながら太腿の上に添えられ、やがてぎゅっと拳を握る。
羞恥と緊張が入り混じったその仕草に、裕樹の胸が高鳴る。
裕樹は、小屋の隅に転がっていた木の塊を見つけた。
椅子と呼ぶには程遠いその木材をキャンピングチェアに座る葵の背後にそっと置く。
葵と密着するように、裕樹はその木に腰掛けた。
足を広げて葵を挟むようにしながら、葵の黒い髪に息がかかる距離まで近づく。
肩に手を置いてミルクラインを撫でるように指を滑らせていく。
葵をそっと抱きしめるように腕をクロスさせ、ブラジャーの上から葵の膨らみを腕で抱えるように持ち上げた。
まるでブラジャーに代わって、その大きすぎる膨らみを支えるかのように。
裕樹に後ろから腕を回され、締め付けられた葵は「んっ……」と声を漏らす。
指に力を込めると、レースの布地は裕樹の思っていた以上の硬さで、指に弾力が返ってくる。
更に、その下にある柔らかさが布越しにもはっきりと裕樹に伝わってきた。
(この感触…癖になる…柔らかさと硬さと弾力が一緒にあって、ずっと揉んでいられる。)
葵は左手の指先で自身の唇に触れ、声にならない吐息を漏らしていた。
硬さと柔らかさの相反する感触を味わうように触れながら、時折その形が変わるほど指に力を入れる。
静かな小屋の中で布地が擦れる音と、葵の息遣いの音だけがよく響いていた。