隅に避けていたレジャーシートとバスタオルに裕樹は手を伸ばし、キャンピングチェアの前にそれらを敷き始める。
まるで誰かを迎え入れるための儀式のように、快感で脱力している葵の様子を横目で見ながら着々と準備する。
クッションを2つタオルの上に置き、立ち上がってカメラの方を見る。
記録の重要性は、既に欲望によって塗りつぶされていた。
画面を見る事はせずに、カメラの固定された角度を少しだけ床に傾ける。
(これで映っているはず……)
そう思いながら、もう画面を確認する気はなかった。
葵は椅子に座ったまま、肩を落とし、浅い呼吸を繰り返していた。
触れられ続けた身体は、熱と快楽に溺れ、もう自身の重さすら支えきれないようだった。
裕樹はそっと両手を伸ばして、葵の指先に触れる。
指先に力はこもっていなかったが、僅かに指が動いた。
まるで触れられることを、待ち望んでいたかのようで、裕樹は少し強引にその手を取る。
「こっちに、来て」
糸が切れた人形のように力が抜けた葵の手を引いて、ゆっくりと立ち上がらせる。
脚がもつれて、身体は自然と裕樹に寄りかかった。
葵の体を抱きしめるようにしながら、ゆっくりと膝をつく。
敷かれたバスタオルの上に、葵はそっと腰を下ろす。
裕樹が脚を開いて座ると、葵の背中が密着して、体温が肌の奥に伝わっていく。
まるで、背もたれに身を預けるように──
葵の瞳は伏せられ、唇がわずかに開いていた。
その姿は、捧げられた供物のように、無垢で、けれど甘く濡れていた。
裕樹にもたれるように座る葵。
これから葵の身に起きることを思えば、紫のショーツはもう意味をなさなかった。
「これ、もういらないよね。」
裕樹がそう言ってショーツの縁に指をかけると、葵の身体が僅かに跳ねた。
葵の瞳が潤み、裕樹を見つめる。
その視線には、戸惑いと微かな訴えが滲んでいた。
力のない指先が裕樹の手を阻もうとする。
「……ぃやっ…」
声にならない声が漏れて、拒絶と呼ぶにはあまりにも弱々しいその手を、裕樹はそっと握り、静かに退けた。
二人の視線がぶつかる。
お互い何かを口にすることはない。
ゆっくりと布地は柔らかな太腿を降りていく。
肌が晒されていくたびに、恥じらいと抗えない戸惑いが目の奥に滲んで、揺れ動いた。
布地が自身の肌から遠ざかって行く事実を諦めたのか、あるいは受け入れたのか、その瞳が閉じられる。
膝から足首を滑る布地がついに、つま先から離れ、葵の全てを裕樹は目の当たりにする。
黒く艶めく髪、肩から胸元へと流れる豊かな曲線、くびれたウエストと腰へと流れるライン。
どれをとっても彫刻のように滑らかで、呼吸に合わせて肌は微かに震え、命の鼓動を伝えていた。
芸術について疎い裕樹でも、その姿は美しい作品のようだと思い、胸の奥から浅い吐息が漏れた。
この美しさが、粘液と汗に濡れていくことを思うと──
まるで、聖なる彫像が獣に変わっていくような錯覚に陥る。
淫れて、激しく喘いで、葵の中の獣を呼び覚ます。
これはそんな儀式のようだと、裕樹は思いながら、指先が葵の下腹部へと伸びていく。
裕樹の唇が葵の耳を探し当て、優しく食む。
身体を支える左手は、豊満な乳肉に沈み込み、右手の指先が熱く湿った柘榴に触れる。
「んんっ……あっ……ああっ……だ……めっ」
葵は腕の中で小さく身を捻り、背中を擦り合わせるかのように腰が動いた。
濡れた柘榴を覆う布地がなくなって、指先でその感触や形状を辿っていく。
裕樹の視角からは見えないが、熟れた果物のように柔らかくて、ぐずぐずした熱を帯びた粘り気のある沼のような感触だった。
バスタオルをくしゃっと握り、身体を震わせながら、葵は声を抑えることができないでいた。
初めての感触に裕樹は戸惑いながらも、その神秘に興奮を隠しきれなかった。
体温よりも少し熱い、肉の花びらを指先でなぞっていくと指先は葵の奥へと誘われていくように沈み込んでいく。
熱い花唇の形を確かめていると、指先が肉の境目を見つけ出した。
(これってもしかして…?)
裕樹は、そこがまるで指を吸い込むように開いている気がして、そっと指先で探るように中指を押し当てた。
ぬるりとした肉壁が、指を拒まずに柔らかく中へと誘っていく。
「……っあ、いやっ……いれ、ちゃ……いやぁっ、……」
葵の指先は裕樹の腕に触れていた。
その触れ方は、拒まない肉体とは裏腹に、どこか拒もうとする意志を宿していた。
拒まれているのかもしれない──
そう思うたびに、僅かに胸が締まる思いがあった。
同時に、葵から裕樹に触れてくる瞬間はその時だけなのだと気付く。
赦しのような、祈りのような、その仕草に愛おしさを感じ、それは刹那、疼きに変わっていった。
葵の体を、頭からつま先まで──
そのすべてを、触れて、感じて、舐めて、骨の髄まで味わい尽くしたい。
まるで、皿に盛られた魚や肉を、皮も骨も残さず、指先でほぐし、舌で拾い、歯で噛み砕いていくように。
それは、愛というよりも、飢えに近く、供物を前にした獣の本能だった。
肉壁を指の腹で引っかけるように出し入れされる中指に、熱い蜜が泡立つほど絡みつく。
その粘り気が、葵の欲望をどうしようもなく露わにしていた。
快楽から逃げるように、葵は身体をよじったり、脚を閉じようとして吐息を漏らす。
裕樹は足の甲を葵の足首に絡め、内側から押さえつけるように力を込めると、逃げ場を完全に奪う。
もたれかかる葵の身体を、骨の奥までしゃぶり尽くすように、耳から首筋、鎖骨へと舌を滑らせ、休むことなく肌をなぞり続けた。
手は探るように、足は絡めるように、舌は溶かすように、裕樹の四肢は、欲望の触手となって葵の肌を這い、絡み、貪って蹂躙する。
一瞬の休息も許さず、快楽だけを注ぎ込むその動きは、理性を喰らう獣の本能そのものだった。
乳肉を揉みしだいていた片方の指先は、肩の丸みに沿って上へと這い、二の腕をなぞるように移動する。
手首を掴まれた葵の両腕は頭上へと掲げられ、脇のくぼみが露わになった。
裕樹は普段なら意識すらしないその場所に無性にかぶりつきたい衝動に駆られる。
おもむろに二の腕に舌を押し付けて、脇に鼻頭と唇を擦り付けるようにして、じゅるじゅると音を立てる。
「いやぁっ!んっ……そんなとこ……なめない、でぇ……」
葵の恥じらいと戸惑いが混ざった喘ぎが漏れる。
先ほどの手に触れた時の拒絶よりも明確に力がこめられていたが、裕樹の吸引は止まらなかった。
蛇が這うように、裕樹の舌は脇のくぼみから胸の実りをなぞり、みぞおちを伝って身体の中心へと滑っていく。
臍に舌をねじ込むと、一段と腰が跳ねて肉壁がひくひくと泣くようにうごめく。
「あっ……はぁ……っ……おかしくなっちゃう……」
べとべとになった中指をそっと引き抜くと、ゆっくりと葵の脚が内股になって脱力する。
葵は空気が抜けたエアマットのように、へなへなと裕樹の胸にもたれかかった。
何かを懇願するようにこちらを覗く、細く開いた目は涙で潤んでいた。
その視線を見つめながら、裕樹はゆっくりと寝かしつけるように葵の頭を持ってきたクッションに倒していく。
裕樹は立ち上がることなく膝と手を付き、葵の脚の間に入り込むように床を移動した。
葵の太腿に指が沈み、ゆっくりと内腿に指先を伸ばすと、汗ばみとは異なった湿った感覚が指に伝わる。
こじ開けるように葵の脚を押し広げ、肉の裂け目を披露するかのように露わにした。
恥裂を遮るための毛が一本も生えておらず、複雑な肉の重なりはそこだけ発育が止まっているように見えた。
他の同級生と比べて、雌の肉体として完成されているにも関わらず、その不均衡さが、禁忌的な背徳感を掻き立てる。
既に焼け爛れた理性が、消し炭のようにボロボロと砕けていく。
「……っ、おねが い、……みない、 でっ……」
振り絞るように発したその声は、獣に堕ちた裕樹には到底届くはずもなかった。
頭の中が沸騰しそうになるような、形容し難い衝動に溢れ、吐く息と歯が揺れるようだった。
柔らかい太腿を抱くようにして、顔を擦り付ける。
裕樹の頭を引き離そうと、頭部に葵の指先が触れるが、それはまるで撫でてもらっているかのようにすら感じた。
顔を押し付けるようにして内腿を唇で撫でる。
深く息を吸い、口で熟れた柘榴を包み込むように覆う。
下の口、とは言い得て妙で、止めどなく溢れる甘露と裕樹の唾液が絡み合って深い接吻をしているような感覚に陥る。
「あ……あっ……あ゛ッ!ん、‥…」
柘榴の割れ目は、裕樹の舌を歓迎するようにひくひくと動いて、伸ばした舌を飲み込むかのように、ざらついた肉の壁が押し寄せてくる。
視界の隅でタオルを強く握る葵の指先が見える。
激しく身体を痙攣させ、獣の呻きのような声が響く。
裕樹は啜りながら淫靡な音を立てて、葵の蜜を溢さないように飲み干す。
葵の肉体から溢れ出る愛液は、止まることなく裕樹の口の周りに絡みつく。
吸い出される淫靡な音を掻き消すように、屋根に打ち付ける雨の音が激しさを増す。
近くに雷が落ちたのか、轟音に裕樹は身体がビクッと跳ねる。
それとほぼ同時に、男の本能がどこに向かうのかを思い出したようだった。
鳥が空を飛べることを知っているのと同じで、生き物が今日まで営んできた原初の本能を、経験がなくとも何をするのかを裕樹は知っている。
水分を多く含んだその果実から顔を離し、ゆっくりと顔を上げる。
そのまま床に手をついて、葵の体に沿うように這い寄る。
葵の輪郭に裕樹の影が静かに重なっていく。
お互いの視線が重なった。
葵は押し寄せる欲望に晒され続け、思考が追いつかず溺れているような表情だった。
髪は乱れていて、唇は僅かに開き、言葉を探しているようだったが、吐息が漏れているだけだった。
虚な瞳の奥には、快楽への抗いと受容がせめぎ合う葛藤が垣間見える。
交わされる言葉はなかったが、葵が拒絶をするならこのタイミング以外あり得ない。
何も語らない葵を見つめたまま、ただ一つだけ残された選択肢を選択し終えて、身体をゆっくりと起こした。
身に付けていたシャツの裾に指をかけ、静かに脱ぎ捨てるが、外の雨が強くなっていて、布が床に落ちる音は闇に溶けた。
ベルトの金属音は、無機質な音を奏でて雷の余韻のように響く。
葵と一つになることを待ちきれない本能が、腰を突き出しながら、ボトムは脱ぎ捨てられる。
布地が天に突き上げるほど張り詰めていたボクサーパンツに手をかけ、ゆっくりと下ろしていく。
先走ったカウパーが糸を引きながら、脈打つ鉄杭は葵の身体に影を落とした。
2人の身体を隠す布は全て無くなり、男と女は一つなろうとしていた。
ゆっくりと床に膝をついて、葵の太腿に触れながら押し広げるように脚を開く。
なるべくその表情を見ておきたい、いや視線を外すことができない気がして─────
葵の潤む瞳から目をなるべく離さないように、交わりの儀式は進んでいく。
裕樹が近づいてくるのを葵は無言で見つめていた。
その視線が数回ほど下へと泳いだのを裕樹は気付いていなかった。
太腿が密着し合って、硬い茎と濡れた果実が熱を感じとれるほどの距離になり、二人の呼吸を止めた。
(あ、ゴムしなきゃ……)
焦がれ堕ちた理性の残滓は、裕樹を少しだけ現実に引き戻す。
脱ぎ捨てたボトムに手を伸ばし、ポケットの中に忍ばせていた正方形の銀の包装を取り出す。
指先が揺れながら、ゆっくりと端から裂いていく。
袋から取り出された薄い膜をカリに被せる。
伸ばそうとするが手もとが滑り、形は崩れてしまい、思わず息を呑む。
葵の顔を見ると、眉を少し寄せて、指先が唇に触れていた。
その心境は窺い知れないが、視線は見透かしているような柔らかさがあった。
(家で練習してきたのにな……)
葵の視線で自分の顔が熱っていくのを感じる。
形の崩れてしまったコンドームを横に退けて、新しい包装を取り出した。
表側が銀色で自分側が黒の包装になっていた事を思い出し、黒を自分側に向けて封を切った。
そのまま流れるように再びカリに被せる。
輪っかがカサを通り抜けて、浮き彫りの血管の形をなぞるように0.02mmの帳が下ろされていく。
今度こそ──
そう思い、体勢を整えようとするが、角度が合わず裕樹は動きを止めた。
タオルの上に置いたはずのクッションが一つ、横にずれていることに気付く。
そこにある理由は、葵の身体が何度も快楽を浴び続けてねじれ、滑るように動いてしまったからなのだろう。
裕樹はそのクッションをそっと拾い上げ、僅かに湿ったタオルの皺を指先で整えながら葵の腰に手を触れる。
「葵ちゃん、少しだけ腰を上げてもらえる?」
そう言うと、葵の腰が僅かに浮いて、その隙間にクッションを挟み込む。
葵の力が抜けて、クッションに腰が柔らかく沈み込んで行く。
繊細なチューニングが終わり、二人の軌道は一つに重なった。
まるで、ノイズが消えたラジオのチャンネルのように。
裕樹の先端が、葵の泥濘みの表面をなぞるようにして、快楽の入り口を探していた。
何度か擦るように押し付けていると、熱い沼の中にカリが僅かに沈みこんで、裕樹の中で稲妻が走る。
絶対ここだ。
初めてにも関わらず、本能が正解を導き出した。
指で抑える必要がないほど、硬さを極めていた欲棒は押し広げるようにゆっくりと葵の奥へと入っていく。
「っあ、……あぁ゛……うぅ……」
葵の眉が寄り、潤んだ瞳が焦点を失った。
自分の肉体を抱きしめるように腕を寄せながら、震える唇に触れている。
肘が胸元に沈み込んで、乳肉が形を変えるほど力が入っているのを見て、裕樹は息が詰まりそうになりながら、確実に葵の奥へと入り込んでいく。
その姿は声を抑えようとする葵の意志を、容易く裏切るほどの快楽に肉体が支配されているように見えた。
押し広げて奥に進んでも、柔らかい肉壁はその穴を塞ごうとするように裕樹の玉茎をきつく締め付ける。
「あッ……」
ビリビリと痺れる快感が身体の底から湧き上がってくるようで、裕樹も思わず声を漏らす。
避妊していることなど微塵も知らず、奥で果てたい衝動のまま、根元まで突き進む裕樹のモノを葵は全て呑み込むように受け入れた。
葵の快楽に寄り添うことで、裕樹は″自分も満たされている″と信じていた。
だが、葵から本物の快楽を享受した今、裕樹は初めて″与えられる悦び″に圧倒された。
(全然腰とか振れないし……動いたら絶対我慢できない……)
獣のように一心不乱に腰を振る自分の姿を想像していたが、触れているだけで絶頂を迎えそうな自分に、僅かに無力さを感じていた。
裕樹は快楽に耐えるように、ゆっくりと葵の柔らかい肉房に顔を埋める。
葵の熱にほだされた浅い呼吸と、細かい震えが、密着した柔らかい肌からじわりと伝わってくる。
永遠にこの時間が続けばいい──
そう願いながら、爆発しそうなエネルギーを抑え込むように下半身に力が入る。
汗ばんだ背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締めると、葵の身体は沈み込むように柔らかく潰れていく。
よく″女性の身体は柔らかい″と言われているが、これほどのものとは思っていなかった。
抱きしめ、力を入れるほど、身体はどんどん葵の中へと沈み込んでいく。
全身の骨を折ってしまうほどの危うさが、裕樹の腕に宿っていた。
まるで、快楽を受け止められるために作られた器としか思えないほど、裕樹の全てを呑み込み、包み込んでいく。
「んん……、 は……ぁ……」
裕樹の腕の中で、葵は身動き一つ取れず、苦しげな吐息を漏らしていた。
だが、肌から伝わる熱や、震える身体は、逃げ場のない快楽に身を委ねているようだった。
長すぎた密着の中で、肌と体温が混ざり合い、ゆっくりと一つになっていった。
雷雨で気温が下がった夜にもかかわらず、二人の身体は汗でじっとりと濡れていた。
葵の肌や髪が、裕樹の身体に張り付き、肌と肌の隙間を熱が駆けていく。
(ずっとこうしていたいけど、暑い……)
そう思いながら、裕樹はゆっくりと身体を起こした。
触れ合った肌は、薄いフィルムを剥がすかのように、貼り付いていた葵の肌と髪がゆっくりと離れていく。
外の雷に照らされた葵の肌が、艶めいて反射している。
濡れた髪が首筋に貼り付いて、デコルテが呼吸に合わせてゆっくりと揺れる。
その瞳は半ば閉じられていて、夢から醒めかけた瞬間のような、儚い顔をしていた。
その一つ一つが、コマ撮りのように裕樹の脳裏に焼きついていく。
葵の胸を見る、触れる、好き放題にする──
そんな欲望の原点から、大きく逸脱したこの状況下で、蕩けて崩れそうな葵の乳肉に手を伸ばす。
両手の指先で、僅かに広がっている乳肉を集めるように触り、汗に濡れた突起を舌先で味わう。
「やんっ、……はぁっ……」
柔らかい肉の感触と、葵の甘い声が裕樹の感覚を更に焼き尽くす。
視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚の全てが、葵の性フェロモンを栄養素のように摂取していた。
どれかが欠けていても絶頂を迎えることはできるが、全てが満たされてしまったら、″絶頂しか″ありえない。
それは紛れもなく、全ての快楽を食べ尽くした証。
表面張力のように張り詰めた白濁液が、今にも先端から溢れそうになっている。
何もせずとも、決壊することは明らかだった。
それならば、葵の最も深い奥で──
裕樹の本能は、片道切符を受け取り、進み始める。
動いたら終わる。
でも、終わらせるのであれば、もう一切止まることはできない。
身体の我慢が崩れかける。
ほんの少し、ほんの数秒だけでも、葵と繋がっていたい。
肌と肌が濡れた音を立てて重なり合う。
裕樹の不器用な腰が、打ちつけるたびに葵の身体を震わせる。
「あ゛っ ! あんっ、あ、あっ……、ぐぅっ……」
舌足らずな葵の嬌声は、我慢する裕樹を逆撫でするように小屋に響いた。
揺れる葵の身体を、裕樹は逃げ場のない衝動で抱きしめた。
爆散しそうな意識を、ただ一点、葵の奥に注ぎ込むように。
腕や指先が沈み込むほど力が入る。
葵の中は熟れた果実のように柔らかく、ぐじゅ、ぐじゅと裕樹の愚息に纏わりついて離さない。
「葵ちゃんっ……、我慢……できない……!イクッ!……あ……」
頭の奥から痺れるような痛覚が、瞬く間に駆け抜け、全身を貫いた。
ダムのように堰き止められていた白濁液が、おびただしい量でほとばしった。
奥で弾けた瞬間を葵も感じ取ったのか、強く抱きしめられた腕の中で、びくりと跳ねた。
「っ……あ、あっ……あ、 んんっ……!」
裕樹の身体の動きに合わせて、葵の声が震えて、途切れる。
身体の奥から突き上げてくるような衝動。
無意識に腰が動いて、ポンプのような脈動に合わせて何度も腰を打ちつける。
全身が痺れるように震えて、視界がフラッシュを向けられたようにチカチカと瞬き始める。
身体が呪縛から解放されたように、力が抜けて、葵の胸を押し潰すように倒れ込んだ。
まだ葵の中で硬いままの肉棒は、少し弱くなりつつも、未だに脈動を続けていた。
その脈動の度、裕樹の中の何かが、剥がれ落ちていくような感覚に陥る。
それは獣のような本能であり、男女の営み、快楽。
やがて透明な世界が訪れる。
剥がれ落ちた先にあったものは、理性と葵への深い感謝。
葵の艶のある黒髪に手を触れながら、葵にかけていた体重をそっと引き上げるようにして、少しずつ抜いていった。