俺の知らないMODが適用された『ZERO Sievert』の世界に転生したようだ。 作:シコルスキー・ジョボジョボヴィッチ
*
カラスの鳴き声が聞こえる。
この世界のカラスは、放射能汚染に満ちた世界に完全に適応してしまっており、通称「放射能嵐」と呼ばれる最悪の気象環境を察知して逃げ出す事ができるといった、特殊な能力・賢さを備えている。
また、ハゲワシの如く死肉を好んで啄むようになってしまったようで、明らかにもっと食べ物らしい見た目をしたゴミなんかより、人間・動物・アノマリーを問わず、死肉に飛びつく習性がある。
カラスが鳴いているということは、危険な気象の予兆か、近くに死体がある…それはつまり、「死体を作ったなにかがある・居る」ということになるため、いっそう強く警戒することをおすすめする。
ちなみに、カラスを撃ち殺しても経験値にならないし、剥ぎ取りも出来ない(攻撃すると1撃で血肉を撒き散らしながら爆散するため、死体が残らない)ので、殺すだけ無駄だからやめておいたほうが良い。
鳴き声の数から、どうやら危険な気象の予兆でないことはわかる。
それならばと、カラスの鳴き声を頼りに、そこに何があるのかを確かめに行く。
危険な存在が居るなら、近づかないほうが良いのではないか?…と思う人もいるかも知れないが、実はそうではない。
危険な存在が居るなら、放置するより奇襲・先制して殺しておくべきなのだ。
それに、死体が転がっているということは、物資の剥ぎ取り…ハイエナが出来るということでもある。
危険を減らせて、物資を得られる。まさに一石二鳥であろう。
ただし、油断は禁物である。
そこには、「死体を作れるだけの何かがいる・いた」ということは間違いないのだ。
脅威を排除しないまま、死体に近づきハイエナをしようとした瞬間、もしくはその最中…どこからともなく現れた野良ハンターや盗賊のグループに襲われて、こちらが銃を構える間もなく一方的に撃ち殺され、死ぬ。
そんなことが日常茶飯時に起きるのが、この「ゼロ・シーベルト」の世界なのだから。
…鳴き声の方へと近づいて、カラスの姿・いる場所を頼りに目を凝らしてみれば、そこには死体が3つ。
それぞれの装備の質からして…野良ハンターのものが1つ、盗賊のものが2つ。
野良ハンターは、通常は単独行動をとり、脱出ポイント付近でハイエナを狙うやつ以外は、マップ内を縦横無尽に徘徊する。この死体は、そのタイプの野良ハンターだったのだろう。
そして盗賊グループは、ゲームの仕様通りなら、ほぼ確実にスリーマンセル…3人1組で行動するはずだ。
つまり、死体の数が合わない。
盗賊・1人分、それが視界の中に見つからない。
野良ハンターの死体があるということは、両者が不意の遭遇戦を行い、野良ハンターが盗賊を2人まで仕留めたものの、最期の盗賊を仕留めきる前に殺された。…そんなシナリオが思い浮かぶ。
もしくは、野良猪やグールと呼ばれる生物型アノマリーの襲撃を受けて殺戮撃が繰り広げられ、最期まで生き残ってしまった盗賊がこの場から逃げようとして離れたところを、グールに追い回されて離れた場所で死体になっている…とか。
どちらの場合でも厄介だ。
生き残った盗賊がいる場合は、相手から奇襲を受ける可能性がある。
死体を作った存在がグールだった場合は、こちらが先制できなければ高速接近されて近接攻撃されまくり、一瞬で死ぬ事態も発生しうる。
ただし、ナニカに襲われたのだとしても、猪と狼の可能性は低いだろう。
詳しく説明すると長くなるので省くが…猪に襲われた場合、死体の位置がこんなにバラけることは少ない。
その可能性もゼロではないが…バラけた配置で猪に応戦できた場合、実は人間側のほうが勝率が高いのだ。
いいや、猪の群れが相手なら、1匹は殺せても、生き残った猪が盗賊グループを殲滅するまで突進を繰り返すだろうけど…。
そうだとしても、こんなにバラけた位置で少しでも猪に銃撃できていたなら、やはり1匹くらい猪の死体が転がっていないとおかしいだろう。
そして狼は、襲いかかる前にいったん立ち止まって・ワンクッションおいてから群れで襲うという習性があり、その隙に斉射することで狼に襲われる前に殺し尽くす事ができてしまう。
仮に狼に殺されることがあったとして、その付近に狼の死体が1つもないのはほぼありえない。
なので、狼の可能性は一番ないだろうと思える。
狼と似た理由で、グールも処理されやすかったりするのだが…狼とグールでは、索敵範囲や攻撃性が大きく異なる。
グールは人間を見かけると、基本的には立ち止まること無くまっすぐ襲いかかってくるからな…。
一応、グールが唐突に立ち止まることもままあるのだが、それは距離を開けられた場合に「遠距離攻撃をする予備動作のために立ち止まる」というだけなので、狼と比べてあまりにも攻撃性が高すぎる。
状況を整理・考察すると…先に野良ハンターと盗賊グループの銃撃戦が発生し、それを察知したグールが後になって生き残りに襲いかかったという場合、グールの死体が残らなくても違和感はないということだ。
…というか、俺がゲームで遊んでいる最中に実際にそんな状況が発生し、油断してブッ殺されたことがある。
まさか、グールの死体が付近に1つもなくて、だから野良ハンターと盗賊グループが相打ちしたような状況にしか見えないって状況だったのに、付近にグールの群れが元気ピンピンのままで居るなんて思わないじゃん…。
まあ、だからこそ、そういう安全確認不足・想定不足こそが、この世界における「油断」なのだと、俺はよく知っている。
さて…こうなると、今すぐの方針としては、残り1人の盗賊、もしくはその死体を発見することが最優先となる。
そして、盗賊の死体が見つかった場合は、それを作ったはずの脅威を探すことにただちにシフトせねばなるまい。
しかし、どこにいるのかわからない相手を探すことになるので、シャオシュンをどこに潜ませ・隠してやれば良いのか思い浮かばない。
どうするべきかと考えあぐねていたところ、そのシャオシュンから「もしもの時は全力で逃げ回るから、探すことを優先しようよ」と提案された。
今はそこそこ落ち着いているが、俺のチンポが滅茶苦茶に勃起したまま移動していた時間が思ったよりも長く、ここから先の移動時間・活動時間が思ったよりカツカツになってしまっていることを、シャオシュンはよく理解していた。
…確かに。
シャオシュンのことを気遣いすぎて、せっかくの探索の機会を無為にするようになってしまっては、傭兵・荷物持ちを雇った意味が薄くなる。
心配ではあるが、今回は盗賊の数も残り1人だと想定されているという…そこまで悪い状況というわけでもないので、このままシャオシュンを側に伴ったまま、盗賊探しを実施した。
*
最悪の想定は、盗賊の死体がもう1つ見つかり、それを作った何者かの正体が不明のままとなることだった。
だから、生き残りの盗賊を見つけたのは、ラッキーだったと言えるだろう。
それが、視線を遮られる岩陰の後ろにいて、今まさに不意の遭遇戦に発展してしまったのだとしても、だ。
会敵と同時に、俺はETS・マシンピストルを盗賊へ向けて乱射した。
狙いを定める余裕など無く、幾つかの弾が盗賊に命中せずに脇へ逸れ・抜けていく。
が、この距離ならきちんと狙わずとも、とにかく当たればダメージになるはずだ。
空を走る弾丸の軌道を見て勘で銃口の向きを微修正し、命中弾が増えていく。
それは、相手が撃った場合も当然同じ。
撃って、当たれば、致命傷を与えられる。そんな距離での遭遇戦だ。
盗賊がその手に持っていたのは、ショットガン。
事切れる前に引き金は引かれ、俺の胸部や顔面に無数の鉄片がブチ撒けられた。
ショットガン特有の凄まじい破裂音の後に、ザグザグ・ブチブチという肉を千切られるような感触と音が皮膚を走り、視界の端で俺の身体から赤い飛沫が飛び出していったのが見えた。
怯まず、斉射を続ける。
大丈夫、ゲームの仕様通りなら、ショットガン1発程度で死ぬわけがない。そう信じて、先に相手を殺すべきだと判断した。
食らったのは、その1発だけ。
相手は2度目の引き金を引く前に絶命し、その場で転がり、死体となった。
俺の身体は、沈まない・転がらない。
よかった。
どうやら俺は、生き残った・生きているらしい。
…他に敵がいないか、音で近づいてくるような奴がいないか警戒し、一向に何も現れないことに安堵する。
安堵と同時に、肩が・首が・顔面が、ジクジク・ズキズキと痛み始めてきた。
というか、ダクダクと出血し続けている。
やっべ、これゲームで言うところの出血の症状だ。早く包帯巻かないと出血で死ぬ。
持ち込んでいた「医療用包帯」で、急いで止血を行う。
治療中にも、神経を無闇矢鱈と弄り倒すようなズキズキとした痛みが走り、顔を苦痛に歪めながらどうにかこうにか手を動かし続けた。
止血を終えた後、それでもまだHPを失っている感覚があり、実際にデバイスにもHP減少状態が表示されている。便利だなぁ。
…仕方ない、少しもったいないが、「医療キット」で全快まで回復しておくことにする。
今の俺の防具は、あまりにも貧弱すぎる。
先程のショットガン・1発で、HPの半分近くを持っていかれた。
つまり、HPが全快であっても、ショットガンなら2~3発ほど受けただけで死ぬことになるのだろう。
全快未満なら、確定2発で死ぬ。
それなら、ワンチャン2発まで受けきれるかもしれない全快状態にしておいたほうが、生存率があがるってことだ。
もったいないと思っても、ここが回復アイテムの使い所だと割り切ろう。
…医療キットを使用中、遅れて恐怖がやってきた。
眼球の横スレスレを通り抜けていった、散弾の欠片。
皮膚を通して肉を引き裂く音が伝わる、不快な感覚。
顔から流れ出る液体が、頬を・肌を撫でていく感触。
そのどれもが、俺にリアルな死を連想させた。
ここがゲームではないのだと、嫌でも自覚させられた。
…ここがゲームの世界なのだと思い込むことで、なんとか保っていた正気(狂気)が、揺らぎかけた。
落ち着こう。
ともかくだ。
死ななきゃ安い。
このゲームは、一撃受けても相手を先に殺し切るか、もしくは逃げ切れさえすれば、どうとでもなるのだ。
これからも、可能な限り注意深く、油断せずに行こう。
先程の反省点として、1つ気づいたことがある。
ゲームの時の…見下ろし型の視点でなら、視線を遮る・影になるポイントも俯瞰して見れたから、注意深く・見落とし無く観察できていた。
それが主観視点になると、「視線が遮られている部分が影になって表示される」というゲームの仕様が発生しないため、どこが視線を遮り影になっているのか、非常にわかりにくい。
それに、周囲・360度の確認を実際に目視確認する必要があるため、身体・視線をグルグルと回すことになり、方向感覚を見失いやすい。
そのせいで、既に確認済みだと思って・誤認していた岩陰の向こうに盗賊が潜んでいたことに気づくのが、数瞬遅れた。
…そう考えると、やはり可能な限りエリアの端に沿って移動したほうが良いのかもしれない。
360度を常に確認しながら移動するというのは、主観視点では正直かなり難しいからなぁ…。
…落ち着いて、冷静な思考を取り戻したことで、俺の足下で腰を抜かして震えているシャオシュンの存在に、ようやく気がついた。
相手が使っていたのはショットガン…ということはまさか、流れ弾をモロに食らってしまったんじゃ!?
そう思い、自分の治療を終える間もなく、シャオシュンの無事を確認するため、全身くまなく目視確認する。
「ひぃ…ひぃ…こ、怖かったよぅ…」
顔に銃撃を受けていないかと、その前髪をかきあげてヤると、プルプル震えながら涙目になって鼻水を垂らす、シャオシュンの情けない泣き顔が露わになった。
そんな怯えた様子を無視して、まずはとにかく怪我がないかを探す。
…どこにも怪我はない。ああ、良かった。
それにしても、初めてまともに顔を見たが、ちょっとツリ目の四白眼(瞳がとても小さい)と、鼻の上とエクボあたりに浮いたシミ・ソバカスが特徴的で、醜女や美人のどちらかというわけではないが、なんだか奇妙な愛嬌があるなと思った。
シャオシュンに怪我がなかったことを確認してから、自身の治療を再開する。
しばらく治療に専念していたら、そのうちシャオシュンも気を取り直したようだ。
すっくと立ち上がり、治療中であまり索敵に集中できない俺の代わりに辺りの警戒をし始める。
そうして警戒しながら、小声でポショポショと、「…ちゃ、ちゃんと、咄嗟に動けると思ってたんだよぅ…久しぶり過ぎて、ビックリしちゃっただけでさぁ…」と、落ち込んだように、気恥ずかしそうに、独り言のように、俺の耳に届くギリギリの声量くらいで、そんなセリフを漏らしていた。
*
4つの死体から集めた戦利品は、中々良いものだった。
特に、野良ハンターから剥ぎ取ったアーマー「STANDARD XTU-2(スタンダードアーマー:クラス4)」は、序盤で手に入るアーマーとしては最高クラスの防御力を持つ上に、無いよりマシ程度だが被爆耐性も持っている。
…まあ、凄まじくボロボロで、修理しないと身につける意味が皆無な状態ではあるけども。
そりゃそうだ。
盗賊グループの武器は、ショットガンが2つ、サブマシンガンが1つ。
それらから放たれる銃弾の雨霰を、殺されるまで浴び続けた結果、コイツは死体として転がっているということになる。
クラス4アーマーというのは、アーマーとしての防御力が機能している限り、文字通りかすり傷程度のダメージしか与えられないほど堅牢な防御力を誇る。
…が、損耗率がここまで滅茶苦茶に下がってしまえば、アーマークラスなんてなんの意味もない。
それを装着していて死ぬということは、アーマーがボロボロのボロッカスになるまでぶっ放されまくったということなのだろう。
あらためて、この世界で生きるうえで慢心・油断は禁物なのだと思い知らされる。
どれほど強力な武器・防具を身につけていようが、死ぬ時は死ぬのだ。
続いて、剥ぎ取った武器の方になるが…盗賊の使用していたサブマシンガンとして「BB 91 KERR(9×18mm弾薬)」、野良ハンターの使用していたスナイパーライフルとして「NOZIN MAKANT(7.62 x 54R弾薬)」が持ち帰り候補だ。
わざわざ「持ち帰り候補」と表現したのは、先程のアーマーで4kg、サブマシンガンが2.3kg、スナイパーライフルが5kg。
ソレに加えて、集めてきた生肉などの食料品が20kg以上と、調味料や電気系・機械系の素材類が合計で30kg分(電気系・機械系の素材類は重量が比較的重いのだ…)と、…この時点で、2人合わせても持ち運べるギリギリに近い状況になっている。
一応、それらすべてを持ち運んでも移動速度低下が発生するほどの重量になっていないのだが…それは「今は体調にに問題がないから」というだけであり、空腹や水分不足や疲労度が蓄積すると所持可能重量が減少してしまうため、実際には既に余裕がまったくない。
なので、この場では候補だけを選び、この場に置いて後で回収…は、他のやつにハイエナされる可能性がゼロじゃない世界になった以上ちょっと怪しいので、シャオシュンと相談して独自の隠しスタッシュのような物を誂え、そこに保管しておくことにする。
帰りに余裕があれば、もう一度ここに立ち寄り、持ち帰れるだけのアイテムを持って脱出ポイントを目指すことにしよう。
ちなみに、サブマシンガンの方は、1分間に1200発・秒間20発という無法な連射職度で弾薬をバラ撒く、爆速SMGだ。
1発ごとの威力や命中精度はピストルを下回るため弾薬効率を考えたらショボい武器という見方になるが…それでも秒間20発の爆速連射で、相手のアーマーを秒で削り落とすのがコイツの強みなので、使い方を工夫すればもの凄く強い。
というか、ショットガンだけでクラス4のアーマーを削りきったと考えるのはちょっと難しいし、コイツのおかげでハンターに撃ち勝ったということなのだろう。
そしてスナイパーライフルの方は、序盤で手に入るごく普通のスナイパーライフル…なのだが、ゼロ・シーベルトというゲームにおいては「序盤にスナイパーライフルを入手できるかどうかで難易度が激変する」というゲーム性をしているので、コイツは可能な限り持ち帰りたい。
いや、確か一応、バーマンから買えるんだけどね…1丁・17000ルーブルくらいでさぁ…。
いやぁ、序盤にそんな金出してまで買えないよ…それにさらに弾代も必要になるし、そもそもスナイパーライフルがくっそ重いから所持重量を圧迫するせいで、普段使いするにはちょっと工夫が必要だし…。(参考までに、現在使用しているETSマシンピストルは、重量1kgしかない。軽ーい!)
というわけで、今すぐ必要ではない(ちょっと高望みすぎる)武器だけど、先々で絶対に必要になるから、手に入るなら是非手に入れておきたい。それが、スナイパーライフルなのである。
…っていうかこの野良ハンター、スナイパーライフルを抱えながらこんな近距離戦闘したのに、死ぬ前に2人の盗賊は撃ち殺せたんだな。
この野良ハンターが強かったというべきか、所詮盗賊なので撃たれ弱かったと言うべきか。
まあ、強かったというよりはクラス4アーマーのゴリ押しで耐えて、リロードとか狙い撃ちとかやったんだろうけど…スナイパーライフルしか持っていないのにさっさと逃げなかった時点で、命を捨てただけだったな。
スナイパーライフルは近距離戦に全く向かない。
持ち歩くなら近距離戦の対応が可能なサブウェポンがほぼ必須で…そのせいで、さらに所持重量が圧迫する。
それをケチって、もしくは油断してサブ武器を持ち歩かないで出ていくと、こういうことになるってわけ。
武器の持ち替えにも手間がかかるし、強い代わりに本当に大変な武器だよなぁ。
それでも、コイツを持ち歩けることの安心感は捨てがたい…。
うーん、はやく「筋トレ施設」を作って、所持重量上昇のパッシブ能力を得たいぜ。
装備の他には、回復アイテムがそれなりと、ゴミがいっぱい、赤箱タバコがそれなりの数に、ルーブル紙幣がそこそこ…。
………。
……シャオシュンが、ルーブル紙幣を根こそぎ掻き集め、自分の胸の谷間へと押し込んでいる…。
「コレだけは何を捨てても持ち帰るよぅ!にひひぃ!」
…一応、ルーブル紙幣も山分けの対象に含むから、全部シャオシュンのものになるわけじゃないんだけど…とは言えないくらいの喜色満面っぷりだったので、この場は何も言わないでおくことにした。
*
その後は大きなトラブルもなく。
途中、毒ガスや爆炎を噴出する設置型アノマリーの群生地を見かけたが、安全に迂回・スルーして先へと進み、目的であった「猪の群れ」が発生しているであろうポイントに辿り着いた。
おおー、いるいる。元気な猪が、いち、にぃ、さん、……8匹。
微妙にデカい岩が視線を遮るせいで正確に数えられているか不安だが…今度こそ、岩陰を見落とすこと無く、丁寧に対応していこう。
シャオシュンには、今回も身を潜めていてもらう。
それも、コレまでよりさらに遠めの場所に。
万が一にも猪を仕留めきれずに突進・接近を許してしまった場合、シャオシュンが近くに居たらそちらに突進攻撃の矛先が向きかねず、極めて危険だ。
シャオシュンは、「それなら、事が済むまで、ちょっと戻ったところにある空き小屋に隠れておくから、後で迎えに来ておくれよぅ」と言って、テッテコと歩き去って行った。
なるほど、確かに。
空き小屋の中に誰も居ないことだけは確認しておいたし、獣は扉を開けられないから、そこなら安心か。
さて、シャオシュンの避難が済んだので、こちらも手早く猪を仕留めていこう。
やることはほとんど単純作業のようなもので、
1,群れから少し離れた位置にいる猪を狙い、数発命中させる。
2,撃たれた猪が弾が飛んできた方を認識し、一瞬こちらを向いた・立ち止まったことを確認する。
3,その瞬間を狙って、死ぬまで撃ちまくる。まっすぐつっこんで・突進してくるはずなので、狙いを定めた方向に向かって猪が死ぬまで撃てば基本的には問題ない。
4,たまに変則的な軌道で走ってくる猪もいるが、その場合は猪のいる方向とは逆方向に移動しつつ、引き寄せながら撃ちまくる。(※ピストルだと移動撃ちしてもほぼブレないので、この方法はETS向けと言える。)
5,猪を仕留められたら、また1の手順から繰り返し、猪が全滅するまでやる。
と言った感じである。
猪は確かに危険な生物だが、対処法さえ間違えなければ苦もなく倒せる。
…ただし、この方法は地道に1匹ずつ釣り出して撃ち殺すという形になるので、結構な労力・時間が必要になる。
フル勃起状態で歩行難になり移動時間を大幅にロスしたせいで、実は結構タイムテーブルがギリギリだ。手早くいこう。
狩りの最中にジャムったらどうしよう…とか、1匹ずつ釣り出すはずが2匹以上釣れてしまったらどうしよう…とか、色々悪い想定を事前に考え・対策を用意しておいたのだが、それらの対策を役立てること無く、猪の群れの殲滅を終えられてしまった。
直前に、岩陰にいた盗賊と不意の遭遇戦になったという出来事があったおかげで、今回は入念に遮蔽そのものから距離を取りながら索敵をおこなったことで、危険な状況に陥ることが一度もなかった。
…先に盗賊との遭遇戦になったのは、そのおかげでここで猪の不意打ちを食らうことが無くなったと考えたのなら、不幸中の幸いというやつだったのかもしれないな。
さて、解体技術をシャオシュンにおしえてやるためにも、シャオシュンを迎えに行ってから猪どもに手を付けるとしよう。
時間に余裕もないことだし。と、俺は早足でシャオシュンが隠れているであろう小屋へと移動し、特にノックなどすることもなくその中へと入った。
「…んっ♡ …くっふぅ♡ ……?……あっ」
小屋の中ではシャオシュンが…若干暗くてよく見えないが、衣服を脱ぎ去り・すっぽんぽんの姿になって、片手で自分の片乳首をこねくり回し、口ではもう片方の乳首をカジカジと噛み潰し、残ったもう片方の手で自身のマンコをコネコネと捏ねくり回していた。
つまり、オナニーをしていた。
「あの、いや、そのぅ…アンタも、ほら、おチンポがビンビンだったじゃん? 実は、それで、そのぅ…じ、時間かかるだろうなって思って…ア、アタシも、ずっとおまんこが濡れ濡れで、ちょっとスッキリしたくってぇ…」
……ふぅ~~~~~~~~。
落ち着け、落ち着
ボキキキキキキキキキキキキッッッッ!!!!
ビキビキビキビリビリビリビリィィッ!!!!
ギンギンギンとろとろどぷどぷどぷっ!!!!
……俺のチンポが、爆発したかのような勢いでフル勃起し、パンツとズボンを突き破って生チンポが露出した。
「怒張」という言葉がふさわしいほどに、怒りに満ちているという様子で、血管がボコボコと盛り上がった俺の勃起チンポの先端から、透明なのに非常に重く粘ついた液体がどっぷどっぷと溢れ出し、ボダボダという鈍い音を立てながら床へ落ちていく。
「お、おおぅ…♡ …そ、そのぅ…やっぱ、抜いとくぅ…?」
プツンッ
と、俺の中の何かが切れた。
…確かに切れた。
が、しかし、同時に脳裏によぎる殺人マンコと凄まじい悪臭のフラッシュバック。
俺の理性が、一度切れたはずの何かを勝手に固結びにして、さらにハンダ付けと被覆処理までして繋げ直した。
俺は今、重大な決断を迫られている。
今すぐパイズって死ぬか、それでも帰るまで我慢するか、だ。
今ここに「石鹸」はある…が、水が圧倒的に足りない。
拠点に変えれば、飲水には使えなくても身体を洗い流すくらいの水が買える。
拠点に帰りさえすれば、なんの気兼ねもなく致せるのだ。
しかし、眼の前には幼児体型プニプニボディにとんでもないバカデカパイをぶら下げた、発情濡れ濡れマンコのエロ雌がいる。完全に据え膳である。
ここでやらなきゃ、男じゃない。俺だってそう思う。
…が、ダメ…っ!!
アダムの脳内には、しきりに殺人マンコが映し出され、表情が苦悶に歪む…っ!!
手を出せば、ワンチャン死ぬ…っ!!
岩陰に身を潜めた盗賊や猪と同じ、ここで油断すればすべてが水の泡…っ!!
──ウ、ウオオ、オオオオオオッ…!!
アダムは、静かに吠え、泣いた。
片手に石鹸を握りしめながら、もう片方の手で己の勃起チンポを握りしめながら、慟哭し、泣いた。
チンポを握ろうともシコることもせず、ただひたすら両の目とチンポの先端から、涙を流し続けた。
眼の前の据え膳にチンポを押し付けてやれない己の情けなさに、泣いた。それでも、命は惜しかった。
「し、しないのかい…?」
シャオシュンの言葉が、チンポを甘く刺激する。
ぴゅるっと透明な我慢汁が飛び出て、数メートルは先にいるはずのシャオシュンのヘソにまで届いて、ピチャッという水音がシャオシュンの肌の上で鳴り響いた。
「ぅひゃんっ!♡」
もうダメだ、今この場で手を出そう。そして死のう。
そう思うのに、理性がまたしても殺人マンコをフラッシュバックして見せてくる。
あのドギツい臭いを、コレでもかというほど思い出させてくる。
まるで、もう1人の俺が「こんなところで死ぬな」「っていうかそんなフザケた死に方だけは絶対にするな」と引き止めてくれているようだった。
俺は血の涙を流しながら、破けたパンツとズボンの代わりに包帯をフンドシのように巻き付けてチンポを無理矢理抑え込み、鎮魂した。
帰ったら、そこにいる低身長デカパイエロ煽りドスケベ女(シャオシュン)を滅茶苦茶にしてやろう。そう、心に誓って。
「…えぇ~、そんな状況じゃないってのはそうだけどさぁ…これでも手を出さないって、アンタもしかしてソッチの趣味ってことなのかい?」
お前マジで…帰ったら覚えとけよ…。
フザケたこと抜かしやがって、フザケてるのはそのデカパイだけにしとけってんだよ…。
帰ったら絶対に、俺のチンポが満足し切るまで徹底的にブチ犯してやるからなおい…。
*
猪の解体作業は、手際よく進んだ。
相変わらず、俺が解体した場合と、シャオシュンが解体した場合では、剥ぎ取れるアイテムの量に数倍もの違いがある。
何かの知識か、技量か、それともスキルなのか、ともかく明確な違いがあるということなのだろう。
「…な、なあ、その目…本当に大丈夫なのかい…?」
ああ、大丈夫だとも。
これは俺のチンポの怒りが目から滲み出たってだけで、怪我とかじゃないからな。
いや、デバイスで俺の体調・状態を確認すると、コレも一応出血判定だからドットダメージを受け続けてしまい、早く治さなきゃいけないんだけど…。
でも、もう少し血抜きしないと、またすぐにチンポが勃起しそうでヤバイから、しばらくこのままにしておこう。
さあ!目的も達成したし、帰ろう!
こんだけ食料品が集められたら、バーマンだって大喜びだろうさ!
ギッチギチに包帯で縛り付けて鎮魂したはずの俺のチンポの封印が解ける前にっ、早く!早く!!
*
▼ファイル_03:野生動物
放射能汚染が蔓延した世界に適応し生き残った動物たちであり、基本的に原種より巨大化している。
MODの影響によりレア素材が剥ぎ取れる場合があり、動物系素材と称されるそれらを使ったアイテムや装備の開発が可能になっている。
動物系素材の防具は、近接攻撃に強く射撃に弱い(近接耐性は高いが、アーマークラスがとても低い)という共通の特徴があり、近接攻撃しかしてこない相手…獣や生物型アノマリーに対して無双に近い防御性能を獲得できる。
アノマリーダメージや放射能汚染に対しては、射撃以上に無力なので、危険な地域に装備していくのはオススメできない。
・野ウサギ
体長が50~60cmほどもある大ウサギ。ちょっとした犬。
狙いを外さなければ、どんな銃でもワンショットキルできるか弱い生き物。
攻撃性も皆無で、ゲームではただの「移動する生肉生成ボックス」でしかない。
「ウサギの皮」「ウサギの尻尾」という専用アイテムが剥ぎ取れることがある。
本作ではMODの影響により、動物系素材を用いた装備やアイテムの開発に使用でき、開発できるモノに地味に有能なものが多い。
開発できる装備の中で、バッグに入れているだけで効果を発揮する「幸運のウサギ尻尾」は、隠しスタッシュの中身がレアなものになりやすいという特殊能力がある。
また、このアイテムをバッグに入れているときだけ、隠しスタッシュに発生する場合がある隠しアイテム(「ハッピーなラジオテープ」「デッドマンズ・リボルバー」「バニーガール・ウェア(赤・黒・白・青・緑・紫・金)」「バニーガール・カチューシャ(黒・白)」)が存在する。
・オオカミ
体長が120~200cmもある、3~5頭の群れで行動する狼たち。
プレイヤーなどの人間を発見すると、群れ全体で襲いかかってくる敵対生物となっているため、見つけたらさっさと殲滅してしまったほうが良い。
「オオカミの皮」「オオカミの尻尾」という専用アイテムが剥ぎ取れることがある。
「ウサギの皮」と同様に、本作ではMODの影響により、動物系素材を用いた装備やアイテムの開発に使用できる。
その中でも、「ギリースーツ」の亜種であり、オオカミの皮から作れる「ウルフローブ」は、装備しているとエネミーからの発見率が低下するパッシブ能力を得る他に、狼と中立関係になる(ただし、攻撃すると敵対化する)という特殊効果を持っているので、「森林エリア」の野外探索がちょっと楽になる。
・イノシシ
体長が160~240cmもある、バケモノ級の猪。
体高は最大150cmくらいになる。もうほぼ車。もしくは恐らく犬。
野生で1匹~3匹がポップしていたり、茶色く円形に剥げた土地に5~8匹の群れを作っていることがある。
ゲームにおいては、攻撃性能だけでいうなら下手なエリアボスより強いというイカれたステータスを有しており、接近戦に持ち込まれたらワンチャン死ぬ。
初期装備くらいの頃だと秒殺されてもまったくおかしくない。
「イノシシの皮」「イノシシの牙」という専用アイテムが剥ぎ取れることがある。
「ウサギの皮」と同様に、本作ではMODの影響により、動物系素材を用いた装備やアイテムの開発に使用できる。
猪の専用素材から作れる「猪突の獣面」というヘッドギア装備は、装備しているとエネミーがプレイヤーを発見した際に驚いて一瞬だけ立ち止まる・銃も撃たずに硬直するという特殊能力があるため、敵陣に突撃してサクサクとブチ殺しまくりたいというプレイヤーにはうってつけの装備となる。
・カラス
体長30~40cmほどの小~中型のカラス。
放射能汚染に強い耐性を持ち、放射能嵐を察知して事前に逃げ出す・飛び去ることが出来るという、感度の高い危険察知能力を有している。
銃器で仕留めてしまうと爆散してしまい剥ぎ取りできなくなるが、実は「閃光手榴弾」でならカタチを保ったまま殺す(激しい光と音でショック死させる)事ができる。
その状態だと死体が残り、「カラスの濡羽」や「靭やかな鳥骨」が剥ぎ取れる。
カラスの専用素材から作れる「ブラックシェード」というアーマー装備は、装備していると暗中かつ無灯火状態の場合、何をしてもエネミーから一切見つからなくなるという最強の隠密性能を発揮する。
ただし、視力による索敵を行わない「ビッグ(サーモグラフィー的熱感知と音)」や「□□□□(精神波による感応・感知)」、それから「暗視ゴーグルを装備している相手」などには効果がないので、そういう相手には潔くちゃんと強い防具を装備して戦おう。
・ウシ
体長200~300cmもある猛乳牛。
MODにより追加された野生動物で、雌しか存在しないのに何故か普通に繁殖している。
とある条件クエスト(『乳牛のストライキ』)が発生すると、クエストを受けなくても野生で発生するようになる。
基本的に3頭以上の群れで行動し、猪よりも耐久力が高く、ブチギレると「ビッグ」と同じくらい激しい攻撃を群れをなして繰り出してくる、超危険生物。
ただし、剥ぎ取れるのはすべて専用ドロップアイテムで、「生乳」「牛骨」「牛肉」「高級牛肉」「ウシの皮」は、どれも強力なアイテムを開発するための素材となるため、見つけたら積極的に狩っていきたい。
「高級牛肉」を素材に作れる「究極のジャーキー」は、ほぼ無期限に保存・携帯が可能で、少量の喉を乾きを覚える代わりに、少量の空腹の回復と、疲労度が35も回復する、最高級の嗜好品。