(2025/7/15 pixivに投稿)
「なぜ俺まで水着を......」
俺は照りつける日差しから逃れるように海の家に隠れていた。
木のテーブルに頬杖をつき眺める先には、小柄な紫髪の少女がビーチチェアに腰掛けている。彼女の周りにはカメラマンが数人。今度の特典となる予定のブロマイドを撮影しているところだった。
当初の予定では学園に近い砂浜で撮影するはずだったのだが、2組の方々との予定と被り、せっかくだからと倉本家の私有地であるビーチで撮影することになった。
その方が人払いも容易であったし、何より彼女がそれを望んだため断る理由は無かった。
そこまではいいのだが、なぜ自分まで水着に着替えさせられたのだろうか。傍からは担当アイドルと遊びに来たようにしか見えないが、そこに俺の意思は決して介在していない。ただ、事前に用意していた小道具や機材を開けたところ、秦谷さんの水着に紛れて男性用の水着が入っていただけだ。
彼女に問い質しても
「まあ......不思議なこともあるものですね」
と微笑むばかりであった。
視線を移す。既に撮影を終えた篠澤さんと倉本さんは貝殻を拾っているらしい。奥で発生している高波は花海さんだろうか。
白と青のコントラストに麦わら帽子が映えている。和気あいあいとした、ゆったりとした2人の空気感は殺人的な暑さを忘れさせる。ダンスやボーカルといった点はともかく、ビジュアルに関しては3人とも文句のつけどころがない。もし自分が彼女らのプロデュースをしていたら──
「“わたしの”プロデューサーは、何をお考えなのでしょうか?」
突然の声に冷や汗が垂れる。
「......。戻ってきていたんですね、秦谷さん。これは......」
「言い訳は聞きません」
ぷいっ。とそっぽを向いてしまう。
普段は隠れがちな耳が紫髪から現れる。
彼女をプロデュースして何度この状況に陥ったか分からない。その度に慌てて取り繕うのだが、思いの外嫉妬深い彼女はそう易々と機嫌を直してくれない。タチの悪い甘え方だ。もちろん自分にも非はあるのだが。
「はあ......分かりました。何かひとつ言うことを聞きましょう」
「でしたら、わたしと遊んでいただけませんか?」
「そのくらいなら構いませんが、珍しいですね」
「はい。でも、日焼け止めが落ちてしまったみたいで......塗り直してほしいんです」
「......それが狙いですか」
「なんのことやら」
そう言ってラッシュガードを脱ぎ始める。
白い肌が日に晒されていく。ゆったりとしたシルエットに隠されていた細身と、それを締めつける浅葱色の水着に胸が高鳴る。
それを悟られないように日焼け止めを手にする。
シートに寝転がった彼女の背中は既に何にも守られていない。両腕を枕にして今かと待っている。
「ラッシュガードを着るなら背中は塗らなくても良いのでは?」
「何でもしてくれると言いました」
「......」
大人しく彼女の背中に触れる。手のひらに広がる少し骨ばった感覚をなるべく無視しながら、手短に済ませる。その間、彼女は気持ちよさそうに目を瞑り、波の音に耳を澄ませていた。気づくと倉本さん達は居なくなってしまっていた。
「終わりました。あとはご自分で──」
「“前”もお願いします」
逃がすまいと視線を送ってくる。
「しっかりと、塗り漏らしのないように」
何も着けていない無垢な身体を翻して、仰向けになる。腕を頭上で重ね、こちらを迎え入れるかのような無防備な姿。思わず唾を飲み込む。
冷たい液体を取り、腹部に手を伸ばす。柔らかく綺麗で、平らなそこに空いた臍さえも可愛らしい。
顕になった鼠蹊部や薄く露出した肋の感触が伝わってくる。丁寧に処理された恥丘は一切の抵抗がない。彼女のさらさらとした肢体に自らの手で塗り込める背徳感に夢中になっていた。
「んっ......」
顔を上げると、彼女は手を口に当てて微弱な快感を味わっていた。片手で彼女の両腕を押さえ込み、胸に手をかける。
「あっ......!ふっ......」
身をよじる彼女の控えめな胸を撫でる。あまり大きな刺激を与えないように、外側から責めていく。
「プロデューサーっ」
「ちゅっ......ん、んぅ......ちゅっ」
長い、長いキス。舌を絡めて求め合う淫らなキス。口を離す頃には日焼け止めは塗り終わっていた。彼女は息を整え、ゆっくりと起き上がる。
「日焼け止めは塗った後に30分ほど待つそうです。......ですから、プロデューサー」
「30分ほど、わたしと遊んではいただけませんか?」
彼女は俺の肩に腕を回し、上目遣いで微笑んだ。