ティルルも登場しています。
本作のタイトルは頂いた案を基につけています。
いまとなっては、思い出すだけで恥ずかしい話なんだけど、かつての僕――とはいっても、ほんの数年前までのことだ――は、メイドという職業について大きな勘違いをしていた。
メイドはドラゴンの女の人しかなれないと思っていたのである。
何故そのように思っていたのかといえば、その理由自体は単純明快で、僕が住んでいるお屋敷で働くメイドさんたち全員がドラゴンの女の子だったからだ。いや、そういう言い方は微妙に誤解を与えてしまうかもしれない。角や翼、尻尾のようなドラゴンらしい特徴が外見に見て取れる人間の女の子、と正確に言うべきだろう。
いずれにしても、そんな彼女たちのことは、ドラゴンメイドと言うのだそうだ。
ドラゴンメイドのみんなは、お仕事が忙しくて家にいないことも多い両親に代わって、僕の面倒を幼い頃から見てくれていた。僕の周りにはドラゴンメイドのみんながずっといたのだ。だから、そんな勘違いをしてしまったのは当然だったと思うし、気づくような機会がたまたま無かっただけというのが実際なのだろう。
それを勘違いだと気づいたきっかけは、僕が学校に通い始めたからだった。
初めての学校に通い始めて間もなく、クラスメイトの友だちが人間の女性のメイドさんに迎えられているのを見かけて、僕は自分が勘違いをしていた可能性に思い至った。
けれども、気づくのと同時に、僕の胸の内には不安な気持ちが込み上げていた。メイドという職業への僕のイメージは、普段見ているドラゴンメイドのみんなから形作られていたからだ。その根幹が揺らいだような衝撃だった。
だから、聞いてはいけないことなのかもしれないと悩んだりもしたんだけど、気づいてしまったことによる好奇心をどうしても抑えることができなくて、僕はメイドのパルラに尋ねることにした。
パルラとは当時から特に仲が良く、彼女は僕の部屋に時々遊びに来ていた。
いつものように部屋に来たパルラに意を決して尋ねると、彼女は目を何度か瞬かせた後、顔を俯かせながら肩を震わせ始めた。くすくすと抑えきれていない笑い声が微かに漏れている。
「パ、パルラ。僕、そんなにおかしなことを言ったかな?」
やっぱり聞いてはいけないことだったのだろうか。
抱いていた不安な気持ちが深まるのを感じつつ、恐る恐る尋ねると、パルラが慌てたようにかぶりを振った。
「しっ、失礼しました。違うんですよ? 坊ちゃんは聡明でいらっしゃるので、そんな勘違いをしていたのがワタシ的に意外すぎたといいますか……」
そんなことを言いながら、パルラは説明してくれた。
世の中全体で見れば、僕が学校で見たような人間の女性のメイドの方が圧倒的に多く、パルラたちのようなドラゴンメイドは極めて少ないらしい。しかも、彼女たちはドラゴンであるが故に、仕える主人の格というものを重視するのだという。
「つまり、どういうこと?」
僕が首を傾げながら尋ねると、パルラは口元に人差し指の先端を繰り返し当てながら、可愛い声をあげて唸り始める。反対の手がその肘に触れ、動いている手を支えている。
その一方で、おっぱいも強調されるように持ち上げられ、柔らかく形を変えていた。いまにもメイド服から零れ落ちちゃいそうだ。
「そう、ですねぇ。坊ちゃんは学校に通い始めましたけど、先生方の言うことを聞かなかったり、勉強をしないで毎日遊び惚けていたりしたら、ワタシたちのご主人様になれないかもしれない……ということですかね」
パルラの言葉に衝撃を受けたけど、立派な人じゃないと彼女たちが仕える『ご主人様』になれないというのは、両親のことを思えば納得できた。
お父様もお母様も、ドラゴンメイドのみんなが認めるような凄い人たちだというのは、幼い僕にも理解できていたからだ。
だからこそ、ふたりのようになれるのかっていう不安が僕の胸の中に湧き起こっていたんだけど、それよりもパルラたちとお別れしなきゃいけないかもしれないことの方がずっとずっと嫌だった。
僕は両手をグッと握ると、できる限りの決意を込めて、パルラに向かって力強く宣言した。
「僕っ、頑張るよ! 色んなことをいっぱい頑張って、パルラたちに相応しいご主人様になるっ!」
「ふふっ。その日をいまから楽しみにしてます、未来の『ご主人様』♥」
パルラが手を伸ばし、僕の頭をゆっくりと撫でてくれる。
見上げると、彼女は穏やかな微笑を浮かべながら、目を優しく細めていた。
思えば、僕がパルラのことを強く意識し始めたのは、この瞬間からだったかもしれない。
*
週末の午後、自分の部屋で宿題を進めていると、ぱたぱたと廊下を駆ける足音が遠くの方から聞こえてきた。
その音が徐々に近づいているのに気づき、僕は動かしていたペンを止める。そして振り返りながら立ち上がった直後、部屋のドアが強風に吹かれたように勢いよく開いて、女の子が姿を見せた。
くるくると巻くように分けてまとめられた、鮮やかな色合いの髪。琥珀色の瞳が印象的な顔には慌てているような表情が浮かんでいる。首には付け襟と一体になっているチョーカーが巻かれ、あしらわれている石が微かに揺れている。華奢な身体は短めなメイド服に包まれていて、感じられる華やかな印象をより際立たせていた。
その一方で、ホワイトブリムをつけている頭には、葉っぱを思わせながらも立派な角が見えている。ほっそりとした腰の辺りからは小さな一対の翼が生えていて、鱗に覆われた太い尻尾も床に向かって伸びていた。
やって来たのは、このお屋敷で働いているドラゴンメイドのひとり、パルラだった。
「し、失礼しますっ。坊ちゃん、匿ってください~っ」
「パルラ。もしかして、またつまみ食い?」
というか、パルラが逃げるような理由なんて、それ以外には思い浮かばない。
そして僕の予想は当たっていたみたいで、彼女がはにかんだように微笑んだ。
「えへへ、我慢できなくてつい」
茶目っ気を感じさせるパルラの笑顔があまりにも眩しすぎて、僕は自分自身が何て言おうとしていたのかが一瞬の内に分からなくなってしまっていた。心臓のドキドキがすごく速くなっていて、その音が彼女に聞こえてしまっていないかという不安だけが頭の中を駆け巡っている。
パルラは僕がそうやって立ち尽くしている間も室内を見回していたけれど、椅子を引いたままの学習机を見て、何かを閃いたかのように口元を緩めた。
「坊ちゃん、ティルルがすぐに来るかと思いますので。後のことは上手い感じにお願いしますね♥」
「ぇっ、あっ、ちょ……ちょっと、パルラ――っっ?!」
パルラは僕に向かってウインクをすると、学習机の足元のスペースにするりと潜り込んで、その身体を隠してしまった。しかも、出しっぱなしの椅子をちょっとだけ引き寄せて、隠れている姿を見えづらくするという念の入れようだ。
そんな彼女を呼び止めようとしていたら、まるで見計らったかのようにノックの音が響いたものだから、僕は思わず身体を大きく震わせてしまった。
「坊ちゃん。お勉強中のところ、失礼します。お聞きしたいことがあるのですが、少しよろしいでしょうか?」
ドア越しに聞こえてきたのは、パルラの言っていたように、ティルルの声だった。
僕は困り果て、パルラが隠れている学習机とティルルが待っているドアとの間で視線を何度も繰り返し往復させ、そして――どうするかを心に決めて声を上げた。
「あっ、えっと……分かった! いま行くから、ちょっと待ってて」
ちょっと早口になっちゃった気もするけど、それっぽく答えることができただろうか。
さっき感じたのとは違うドキドキを感じながらドアを開けると、ティルルが廊下で待っていてくれていた。
揺らめく炎を思わせる綺麗なロングヘア。足元まで隠れている気品溢れるメイド服は、その前面がエプロンで覆われている。特徴的な帽子こそ被っていないけど、大人びた雰囲気と相まって、佇んでいる彼女の姿はパティシエのようにも見える。実際、ティルルは主に厨房を任されているのだから、その印象はあながち間違いではないだろう。
そんな彼女の頭からも瞳の色と同じ透き通った青緑色の角が生えていて、小さな翼に包まれた腰の辺りからは太い尻尾が伸びていた。
「お待たせ、ティルル。どうしたの?」
「実は、いまパルラを探してまして。それで、もしかしたら坊ちゃんの部屋に来てるんじゃないかなと思って、伺ったんですけど――」
ティルルが答えながら視線を室内に向けたような気がして、僕はそれを遮るために慌てて口を開いた。
「こっ、ここには来てないよ。もしかして、パルラってば……またつまみ食い?」
そう尋ねた次の瞬間、この前ドラマで見た、探偵の巧みな追及によって犯人が決定的な証拠になる失言をしてしまったシーンが脳裏を過った。
いま思いついたかのように装うのであれば、もうちょっと間を空けた方が自然だったんじゃないだろうか。
だけど、パルラが時々つまみ食いをしていて、それがティルルにバレて怒られたこともあるのは、僕も知っていることだ。だから、すぐに気づいたとしても、そんなに不自然じゃない……はず。
ティルルは頬に手を当てて溜め息を吐くと、そうなんですと言いながら大きく頷いた。どうやら違和感を抱かれたりはしていないみたいだ。
「もちろん、つまみ食いはいけないことだけどさ。でも、ティルルのご飯は本当においしいから、ついやっちゃうパルラの気持ちもちょっと分かるよ……」
気づかれないようにこっそり胸を撫で下ろしつつ、僕はしみじみと呟いた。
ティルルは主に厨房を任されているけど、パルラから聞いた話によれば、どちらかといえばお菓子が本職なんだという。彼女が作ってくれるお菓子は絶品で、お父様やお母様が招いたお客さんに対して出されることも少なくない。しかしながら、それ以外の料理も同じくらいにおいしくて、彼女が作ってくれるご飯は僕の毎日の楽しみなのだった。
「おっ、お褒めの言葉ありがとうございます、坊ちゃん」
ティルルは軽く一礼すると、口元に手を当てながら目を伏せる。
背けられた彼女の顔は真っ赤に染まっている。それはまるで髪の色がそのまま写ったかのように綺麗で、僕は答えるのも忘れて見入ってしまった。
「えっと、その……坊ちゃん、私はそろそろパルラを探すのに戻ろうかと思いますので、この辺りで失礼します……っ」
「――待って、ティルル!」
ティルルがどこか慌てたように立ち去ろうとしたので、僕も我に返って彼女を呼び止める。伝えなくちゃいけないことがまだあったのだ。
「晩ご飯まで、僕は部屋で宿題の続きをやってるから。今日のご飯も楽しみにしてるね!」
「承知しました。腕によりをかけて作りますので、坊ちゃんもお勉強の続きがんばってください」
柔らかく微笑んだティルルを今度こそ見送って、部屋のドアを閉める。そして、彼女の足音がしっかり遠のいていったのを聞き届けてようやく、僕は大きく息を吐くことができた。
「坊ちゃん♥」
その直後、背後から声をかけられて、僕は思わず身体をビクッと震わせてしまう。
振り返れば、隠れていたはずのパルラがすぐ近くに立っていた。学習机の下からいつの間にか抜け出していたらしい。
それなりに物音もしていたに違いないのに、まったく気がつかなかった。慣れないことをしたという自覚はあったんだけど、自分自身が思っている以上に緊張していたみたいだ。
「坊ちゃんってば、ワタシと一緒にいたいのであれば、素直にそう言ってくれればいいのに♥ ティルルに言ったのって、つまりは『そういうこと』……ですよね?♥」
パルラは片手で口元を隠しているけれど、ニマニマと楽しそうな笑みを浮かべているのは隠せていない。
ぶんぶんと、伸びている尻尾が期待を滲ませるように左右に小さく揺れている。かすかに緩んだメイド服の胸元に視線が吸い込まれてしまいそうになったけど、僕はそれを振り切るようにかぶりを振った。
「ち、違うよっ。第一、宿題の続きもしなくちゃいけないんだから――」
「そうですか、そうですかぁ♥ それならそれで構いませんよ、別に♥ では、ワタシは坊ちゃんの好意に甘えさせてもらって、ベッドで休憩してますね~」
パルラは声を弾ませて宣言しながら、まるで海に飛び込むかのように、僕が普段寝起きしているベッドの上に勢いよく寝そべった。
そんな彼女の姿を横目に捉えつつ、僕は椅子に座り直し、広げたまま中断していた宿題に向き直った。
*
結論から言えば、再開した宿題は遅々として進まなかった。
でも、パルラがたくさん話しかけてきて、ペンを進める暇さえなかったなんてことでは決してない。むしろ僕のベッドに横になった後の彼女は、特に口を開くこともなくて、とても静かだったくらいだ。
だから気にしないように努めていれば宿題にもすぐに集中できるだろう、なんて僕自身も思っていたんだけど、気にしないようにすることに対して少しでも努力する必要がある時点で、すでに猛烈に意識していることの裏返しでしかなかった。
宿題の問題文が頭にまったく入ってこなくて同じ文章を読み返す、という行為を何度か繰り返したところで、僕はその事実をついに認めざるを得なくなったのだった。
「ねぇ、パルラ。僕もそろそろを休憩を――って、パルラ?」
宿題を進めることを諦め、手にしていたペンを置きながら後ろを向き、僕は驚いた。
横になったパルラはいつの間にか眠ってしまっていたらしい。うつ伏せに寝ている彼女は、その身体をベッドの上に投げ出し、僕が普段使っている枕に顔を埋めるように突っ伏している。
静かだなぁとは何となく思っていたけれど、家具の配置の関係上、ベッドにいるパルラに対しては背を向けていたので、まったく気づかなかった。
「……むにゃむにゃ……ダメですよぉ、坊ちゃん。ティルルの新作スイーツはワタシが一番につまみ食いするんですからぁ。いくら坊ちゃんでも、これだけは絶対に譲れません……すぅ、すぅ……」
「さっきまで逃げてたっていうのに、つまみ食いの夢を見てる。しかも僕も出てるって、パルラは一体どんな夢を見て――っっ?!?!」
彼女の寝言らしきそれをちょっとだけ呆れつつも微笑ましく感じていた僕だったけど、あることに気づき、思わず言葉を詰まらせた。
おそらくうつ伏せで寝ているからだろう。ただでさえ短めなパルラのメイド服のスカートが捲れ上がり、お尻の形がうっすらと浮かび上がっていた。つまり、もうちょっと頑張れば、パルラのスカートの中を覗けてしまいそうな状態だったのである。
そんな事態にいきなり直面したのだから、僕はそっと近づこうとしていた体勢のまま、身体を硬直させずにはいられなかった。
迷って、室内を一度意味もなく入念に見回し、そのうえで更に迷いに迷って――僕は首を伸ばすように動かした。
こうやれば、もしかしたら見えるんじゃないかって思ったんだけど、垂れ下がっている尻尾が絶妙に影を作り出していて、どうやっても見えそうになかった。もしパルラのスカートの中を見ようとするならば、気づかれないように近づいて覗き込むしかなさそうだ。
だけど、これ以上近づくとパルラが起きてしまうかもしれない。そう思って躊躇っていると、
(ワタシは寝言を呟いてるくらいに熟睡してるんですから、ちょっとくらい覗いたってバレませんよ~♥)
(そうですよ~。それに、坊ちゃんはワタシにからかわれっぱなしでいいんですか~?♥)
脳裏に天使と悪魔それぞれのコスプレをしたパルラふたりが現れて僕に囁いた。
パルラにからかわれて上手く答えられなかった先ほどのやりとりが思い出される。
いつの頃からか、ああやってパルラにからかわれる度に、悶々とした気持ちが僕の心の中にちょっとずつ溜まるようになっていた。
でも、どうしてそう感じているのかは僕自身もわからないんだけど、それと向き合うことは何だか恥ずかしく思えてしまって。だから、自覚しつつも見て見ぬふりをするしかなかった。
そうだったはずなのに、熟睡しているパルラと向き合っている内に、見て見ぬふりをしていたそれが僕の中でじんわりと溢れ出してきていた。
(いつもからかってくるパルラがいけないんだっ! 僕だって、僕だって……っ!)
悪いことなんだからやめなきゃいけないって思うのに、そんな思いとは裏腹に、僕の身体は寝ているパルラに更に近づいていた。
頭の天辺から足の爪先までずっと熱くて、胸のドキドキも止まらない。荒い息遣いもうるさいくらいに大きく耳に響いている。それらの音がパルラに聞こえてしまって、次の瞬間にも目を覚ましてしまわないかが不安で仕方がないけど、もう後には引けない。
立ち止まって、背伸びをするように再び覗き込んでみるけど、パルラのスカートの中はまだ見えない。とはいえ、近づいて距離を詰めるのはもう十分そうなので、あとは角度の問題だろう。
だけど、それを調整するために動いていると、その間にもパルラが起きてしまうかもしれない。そう思って、僕はその場でつま先立ちをして、身体をぷるぷると震わせながら首を伸ばした。
「あと、ちょっと……」
見えそうで見えないもどかしさから、そんな言葉が口を衝いて出た直後、
「坊っちゃん、何があとちょっとなんですか〜♥」
朗らかな声音で尋ねるパルラと目がばっちり合って、終わったと思った。
間違いなくパルラに嫌われてしまったという絶望、やっぱりやめておくべきだったという後悔、欲に流されてしまった自分自身に対する嫌悪――到底一言では言い表せないような複雑な感情が僕という存在を根底から揺るがし、視界をじんわりと潤ませる。
悪いのは僕なんだから泣くなんて間違ってるのに、絶望や後悔が濁流のように次から次へと押し寄せて、ついに堪えきれなくなりかけた瞬間、柔らかな感触と華やかな匂いが僕を包み込んだ。
「わ~っ、ごめんなさい、坊ちゃんっ。大丈夫ですよ、何にも怒ってませんから、泣かないでください」
パルラが僕の身体を抱きしめて、頭をゆっくりと撫でてくれる。
優しい言葉に誘われて顔を上げると、彼女は花が咲いたような笑顔を見せる。
「もしかしたら坊ちゃんは後悔とかしてるかもしれませんけど、異性に興味を持つことは決して悪いことじゃありません。むしろ積極的な姿勢を見せてくれて、ワタシとしては嬉しいくらいです♥ 嬉しすぎて、うっかり声をかけちゃうなんて失敗もしちゃいましたけど……。
でも、だからこそ、これを機に――」
パルラは意味深にそこで一度区切ると、微笑んだまま僕の耳元に顔を寄せた。
「『女の子を気持ちよくする方法』を、一緒に『お勉強』しませんか?♥」
ワタシが坊ちゃんの保健体育の先生をしちゃいますよ、とパルラは声を弾ませて付け加える。
それと同時にあらためて抱きしめられ、パルラの身体の柔らかさを強く意識させられる。
ついさっきまで絶望していたことなんて最早吹き飛んでしまったのを感じながら、僕は首を上下に勢いよく振って頷いた。
*
しゅるしゅると、パルラがメイド服を脱いでいる衣擦れの音が室内に響く。
僕はベッドの端っこに座りながら、その音を聞いていた。パルラのいる方に対して背を向けているのは、間近で見られながら脱ぐのはさすがに恥ずかしいから、と彼女に言われたからだ。
だけど、これはこれでよくないんじゃないかって僕はじわじわと思い始めていた。
確かにパルラがメイド服を脱いでいる姿こそ見えてないけど、その音はしっかり聞こえているから、イメージが引っ張られるように次から次へと湧き上がってきちゃうのだ。
考えちゃダメだって僕がいくら思っても、全然止まってくれない。むしろ浮かんだパルラのイメージは僕の心をざわめかせて、身体をじんわりと熱くしていく。胸のドキドキも、すでにうるさく感じられるくらいに速くなっていた。
「坊ちゃん、お待たせしました~」
聞こえてきたパルラの声に俯けていた顔を上げ、僕は思わず息を呑んだ。
パルラはメイド服を脱ぎ、ほとんど裸のような姿になっていた。唯一、髪色とかと合わせたような明るい色合いのパンツだけは穿いたままだ。そんな彼女の顔には照れたような微笑が浮かんでいて、頬もうっすらと赤く染まっている。
その一方で、パルラはおっぱいの前面を隠すように腕で押さえていて、伸ばした手で反対の腕を握っていた。それによって、むにゅぅ♥と綺麗な形をしたおっぱいは軽く押され、柔らかさを強調するように潰れている。その光景がすごくえっちすぎて、まだ何もしていないっていうのに、僕は生唾を飲み込まずにはいられなかった。
「坊ちゃん、大丈夫ですか~?♥」
パルラにからかうような声色で尋ねられて、はっと我に返る。慌てて首を上下に振って頷くと、彼女はくすくすと楽しそうに笑いながら僕の隣に腰かけた。
パルラのまとういい匂いが僕の鼻腔をくすぐり、ドキドキが更に加速する。さすがに少しくらい落ち着かなきゃと思って、僕は大きく息を吸い――そして吐いた。それを何度か繰り返し、ようやく少し落ち着いた気がし始めた頃、パルラが口をゆっくりと開いた。
「さて、坊ちゃん。これから一緒に『お勉強』するわけですけど、始める前に言っておかなきゃいけないことがあります。
坊ちゃんがいまから学ぶのは、女の子を気持ちよくするためには知っておくべき基本的なことです。ですけど、いつもその基本の通りでいいわけではないということも同時に覚えておいてください」
基本的なことなのに、その通りじゃダメというのは、どういうことなんだろうか。
僕が首を傾げていると、パルラはそんな僕を見て満足そうに頷いていた。どうやら僕が話を聞いて疑問を抱くのは想定されていたみたいだ。
「別に難しい話じゃないんですよ? 気持ちいいという感情に限らず、感じ方っていうのは誰ひとりとして同じじゃないということです。十人十色なんて言葉があるように。
そして、同じじゃないのは別に個々人に限った話じゃなくて、ひとりの人物についても言えます。たとえば、坊ちゃんはお野菜が昔は苦手でしたけど、いまはパクパク食べられてますよね? これは昔と現在で、坊ちゃんのお野菜に対する感じ方が、嫌いから好きに変わったとも言えます」
たとえが食べ物に関係しているのがパルラらしいなと思いつつ、してもらった説明を踏まえて考え直してみると、確かにそんなに難しい話ではないように感じられた。
「えっと、つまり……感じ方は変わりやすいものだから、いつも同じやり方ばかりじゃダメってこと?」
「その通りです。さすが、坊ちゃん♥」
パルラが空いている方の手で頭を撫でてくれたので、僕は頬を緩ませずにはいられなかった。
「だから、知識も間違いなく大切ですけど。それに囚われすぎず、相手のことをちゃんと見て思い遣る気持ちこそ一番大事だってワタシは思います。なので、そのことをよく覚えておいてくださいね、坊ちゃん?♥」
「大事なのは、相手をしっかり見て……思い遣る気持ち…………分かったよ、パルラ!」
パルラが眼鏡のつるをくいっと持ち上げるような仕草をしつつ、どこか先生っぽい口調で話をまとめた。それらはあくまで振りではあるけど様になっているなぁなんて思いつつ、僕は頷いて答えた。
「いいお返事ありがとうございます、坊ちゃん♥ それじゃあ、坊ちゃんも待ちかねているでしょうから、実際の『お勉強』をそろそろ始めましょうか。
というわけで、まずはおっぱいについてですよ~♥」
パルラは宣言するのと同時に、おっぱいの前面を押さえていた腕をさっとズラした。解放された綺麗な形をしたふたつの膨らみが、ぷるんっ♥と揺れるようにしてその姿を現す。
彼女のおっぱいは、まだ小さな僕の手ではちゃんと掴めないくらいに大きく、ぷるぷるっ♥と呼吸に合わせてかすかに震えている。先っぽの方は桜色を帯びていて、ちょこんと乗っている乳首も見えた。
「ワタシたちの身体がたくさん気持ちよくなると、おっぱいの先っぽ――乳首が硬くなってくるのは、坊ちゃんも知っての通りです。それなら、乳首だけを触ったりしていれば気持ちよくなれるのかっていうと、必ずしもそうじゃありません。
たとえば――」
言いながら、パルラは片方のおっぱいを下から掬うように持ち上げた。
そして、露わになったおっぱいの付け根から腋にかけての辺りを、反対の手の指でくるくると円を描いて僕に向かって示した。
その仕草に誘われるように、僕は身を乗り出して彼女の腋の辺りを覗き込む。
日常生活において、ほとんど目にすることがない部位だからだろうか。どこか背徳的な色気を感じてドキドキしてしまった一方で、それを見せてくれるためにおっぱいを持ち上げているパルラのポーズそのものも、すごくえっちに感じられた。
パルラのおっぱいは掬い上げるように持ち上げられていて、その綺麗な形を損なうように少しばかり潰れてしまっている。それでいながら、支えている指と指の間からいまにも零れ落ちてしまいそうだ。おっぱいそのものが持ち上げられていることで少しばかり形が歪んでしまったように見える乳輪は上の方を向いていて、先っぽの乳首も最初に見た頃よりも多少硬さを帯びているようだった。
気づけば、パルラが示してくれた辺りよりも、おっぱいの方ばかりに目が入ってしまっているような気もするけど、気になっちゃうんだから仕方がない。
「この辺りに、スペンス乳腺っていう女の子が感じやすいと言われている部位があって~。とはいえ、軽く触られるだけですごく気持ちよくなっちゃう……みたいなところでは全然ないんですけど、そういう外側から乳首のある中心に向かって、こんな感じに――優しく焦らすような手つきで触っていくと……んっ、気持ちよさをより感じやすくなるんですよ~♥」
「外側から中心に……優しく、焦らすように……」
復唱してみたものの、それをちゃんと覚えられたかは、正直に言って怪しかった。
おっぱいを掬い上げるように支えていたパルラの手が、膨らみをゆっくりと揉み始めていたからである。
彼女の手がおっぱい全体を撫でるように揉んでいる。時折、細く綺麗な指がその表面に軽く埋まり、おっぱいそのものの形を柔らかく変えた。そして鮮やかな色を見せている乳輪を指の腹が擦るように撫でたかと思えば、カリカリ♥と整えられている爪が焦らすように引っ掻く。
閉じきれていないパルラの唇の間から色っぽい吐息が漏れるのをどこか遠く聞きながら、僕は彼女が見せてくれている『実演』を食い入るように見つめずにはいられなかった。
「っっ……んっ、坊ちゃん♥ 坊ちゃん、んんぅ……ぁん、あっ♥」
パルラが熱に浮かされたみたいに僕のことを呼ぶ度、おっぱいを揉んでいる彼女の手の動きが早くなり、手つきそのものもどんどん大胆になっていく。
二本の指がいつの間にかぷっくりと膨れていた乳首を左右から挟み込み、抓るように力を込められようとした直後、パルラの手の動きが突然はたと止まった。
「はぁ、はぁ……はぁ♥ つい勢い余って、最後までシちゃいそうになっちゃいましたけどぉ、まだ坊ちゃんとの『お勉強』中ですからね~。危ない危ない♥
とはいえ……とはいえ、なので~。坊ちゃん、次はワタシのおまんこをお見せしますね♥」
パルラは腰を軽く浮かせると穿いていたパンツを膝の辺りまで下ろし、そのまま片足を引き抜いた。鮮やかな色の布地は脱いだ勢いで丸まってしまい、片方の足首に引っかかっているんだけど、どうやらそれでいいみたいだ。パルラらしからぬ雑さが妙にえっちに思えて、僕は更にドキドキしてしまう。
その一方で、彼女は僕に自分自身の下半身を見せつけるようにベッドの上にしっかりと座り直すと、両足をM字状に大きく開くのと同時に、上の方から滑り込ませた手の二本の指でおまんこを広げて見せた。
「はぁい、くぱぁ♥」
パルラのおまんこを真正面からちゃんと見たのは初めてだった。
まず目を引かれたのは、その色合いだ。肌の色とは違う、生々しささえ感じさせる鮮やかなピンク色。そして、奥の方に見える身体の内側のひだひだとしたつくり。
自分自身には存在していない部位だから、興奮しているのと同じくらいに、どうなっているのだろうかという好奇心がどうしても抑えられなくて、気づけば僕はパルラの下腹部に顔を埋めるように覗き込んでいた。
「あぁっ……んんっ、これヤバぁっ♥ 坊ちゃんの視線とか息がおまんこに直接当たってぇ♥ んっ、ぁっ……、ムリ、こんなのムリぃぃっ♥ いっつも妄想してたのと全然違いすぎるぅっ♥」
パルラが小声で呟き、勢いよくかぶりを振っている。
それをどこか曖昧に認識する一方で、パルラのおまんこをまじまじと見つめていると、透明な液体がじんわりと染み出るように溢れ出してくる。それによって、濃いパルラの匂いが立ちのぼってきて、鼻腔を満たした。
身体が奥底から熱くなるのを感じながら、その匂いをもっと嗅ぎたくなってしまって、僕は更に前のめりになってパルラのおまんこに顔を近づける。
「っっ、んぅっ……っァ♥ はぁ、はぁっ……坊ちゃん、えぇと……それがぁ、気持ちよくなってくると出てくる愛液でぇ……」
「…………これが、愛液……そっかぁ、こんな感じに出てくるんだ……」
彼女が熱を滲ませた声で説明してくれるのを聞きながら、僕はしみじみと呟く。
愛液が出てくるところは初めて見たけれど、おちんちんも興奮してくると先っぽから先走り汁が出てくるので、イメージは比較的掴みやすかった。
「ううぅぅっ、坊ちゃん坊ちゃんっ……そのその、えっと、ひとつ聞いてもいいですか~?」
震えるような慌てたパルラの声に顔を上げると、彼女が僕を見下ろしていた。
その顔はリンゴみたいに真っ赤に染まっている一方で、どこか切なそうでありつつも、何かを必死に堪えているような表情を浮かべている。
「復唱するくらいに真面目に聞いてくれていて、教える側としてはすごく嬉しいんですけど、そんなにも真剣に勉強するのは何か理由があったりするんですか~?」
「……パルラがご奉仕してくれるときに、パルラにも僕と同じくらい気持ちよくなってもらいたいから、かな」
パルラたちに相応しい主人になりたいから、って言っても間違いではないんだけど、それは僕が目指している将来的な目標だ。だから、大前提とかモチベーションとかと言った方が近しいだろう。
そのうえで、いまパルラが教えてくれていることについて限定して言えば、異性への興味が芽生えたからというのも……正直、否定はできない。恥ずかしいけど、好奇心が抑えきれないような言動を見せてしまった以上、認めざるを得ないだろう。だけど、決してそれだけではない。
ご奉仕してもらって僕だけ気持ちよくしてもらうんじゃなくて、パルラにも一緒に気持ちよくなってもらえたら……何よりもまず、そう思ったのだ。
そんな感じに自分なりに考えていたことを何とか伝えた次の瞬間、パルラのことを見上げていたはずの僕は、何故か部屋の天井を見上げていた。
予期せぬ展開に困惑を隠せずにいたけれど、間もなく真っ赤に染まっているパルラの顔が下の方からすっと現れて、ベッドの上に押し倒されたのだと気がついた。
「坊ちゃんにそう言っていただけて、本当の本当に嬉しいんですけど、ワタシだってまだまだ負ける気はないですよ♥ というわけで、ここまで坊ちゃんに気持ちよくしていただいた分、ワタシからご奉仕させていただきますね~♥」
パルラは僕の耳元に顔を寄せて情熱的に囁くと、ちゅっ♥と唇に軽く口づけを落として、横たえられた僕の身体に覆い被さった。
*
パルラは僕が穿いているズボンとパンツを慣れた手つきで一緒に下ろし、おちんちんの姿を露わにした。
おちんちんは伸びるように大きく膨らんでいて、勃起自体はきちんとしているんだけど、その大半は皮に覆われているままだった。辛うじて先っぽがちょっとだけ見えているかなっていうくらいで、それくらいしか剥けていないからこそ、勃起している姿はむしろ不格好だと言わざるを得なかった。
自然と剥けるようになってくるっていうのは、こっそり調べたので分かってはいるんだけど、こんな状態のおちんちんを見られるのはやっぱり慣れないし……正直に言って、恥ずかしかった。
「大丈夫ですよ~、坊ちゃん♥ ワタシが坊ちゃんのおちんちんがカッコよくなるお手伝いをさせていただきますからね~♥ んちゅ……ちゅっ、ちゅぷぅ♥ れぇぇ、れろっ……れろれろ、れぇろぉ♥」
パルラはおちんちんの先っぽを軽く咥えると、唾液に濡れた舌をちょっとだけ露わになっている亀頭に触れさせた。それだけで痺れるような気持ちよさが身体を貫いて、僕は思わず情けない声をあげながら腰を軽く浮かせてしまった。
彼女は僕のそんな姿を上目遣いに捉えながら、被ったままの皮と亀頭の間に舌を滑り込ませて、まとった唾液を塗り込むように器用に動かしていく。
「んふぅぅ、ふぅ……れろれろぉ♥ ちゅくっ、ちゅぷぅ……れぇろ、れろぉん♥」
時々漏れ出る抜けるような色っぽい鼻息と艶めかしい水音が室内に響く。琥珀色の大きな瞳を見上げるように向けながら、おちんちんを咥えて舌をもぞもぞと動かしているパルラの姿が、とてもえっちだった。
その間にも、ほぐれた皮がパルラの手によって根元の方から優しく引っ張られていっていて、鮮やかな色をした亀頭が少しずつ姿を見せていく。
「れぇろ、れろれろぉ……れるんっ♥♥ あはっ、坊ちゃんのおちんちん、すっごくカッコよくなりましたね~♥ とっても素敵です♥
それじゃあ、早速――次なるご奉仕をさせていただきますねぇ~♥」
パルラは亀頭がしっかり姿を見せたのを確認して、僕の下腹部の辺りに両手を乗せる。そして僕の身体に跨ると、両足をM字状に開きながら、おまんこをおちんちんの先っぽに宛がった。くちゅっ♥という艶めかしい水音が聞こえるのと同時に、触れた亀頭が愛液で濡れているおまんこを軽く押し広げる。
そのまま彼女が挿入する角度を定めて、重力に任せるように腰を一気に下ろすと、ずちゅんっっ♥という水音が重く響いて、僕の視界が白く染めあげられた。
パルラも身体を大きく仰け反らせて、汗が滴っている喉を僕に見せつけるように天井を一瞬仰ぎ見た。
「っっ、んんぅっ……あぁっ、坊ちゃんのおちんちん、硬くてぇ……ご立派です♥ っん……今日は、ワタシがこのまま動きますからぁ、坊ちゃんはご奉仕を堪能なさってくださいね~♥ お射精するときも、いつもみたいにナカにぃっ……っっうぅ、んっ、ぁっ!♥ あぁん、ぁっ……アぁんっ♥」
パルラは腰をくねらせるように持ち上げ、咥えているおちんちんの姿を抜けないギリギリまで露わにした。その直後、ほっそりとした腰が再度勢いよく落とされ、ずちゅんっ♥という艶めかしい水音が響くのと同時に、痺れるような気持ちよさが僕の身体を貫くように駆け巡った。
ぷるっ♥ ぷるんっ♥とおっぱいを揺らしながら、パルラは僕の身体の上で踊るようにピストンを繰り返していく。ぴゅっ♥ ぴゅっ♥と彼女の身体から汗が飛び散り、僕の部屋がパルラの匂いで染めあげられる。パルラとつながっているところが白く泡立ち、彼女の喘ぎ声が部屋の中を満たすように響き渡る。
このままパルラにすべてを任せていても、間違いなく気持ちよくなることはできるだろう。
だけど、それじゃあ、いままでと何ら変わらない。パルラにさっき伝えたことを何一つ果たせていない。そんなんじゃ、パルラたちに相応しい主人なんて夢のまた夢だ。
だから――、僕は手を伸ばしてパルラの両手それぞれを指同士を絡めるように握り、彼女の腰遣いに合わせるように自分の腰を突き上げた。
「んンぅ……あっ、っアん!!♥♥ ぼっ、坊ちゃん?!♥ そ、そんな恋人みたいなことをしてもらえるなんてぇ、あっ……アっ♥ 幸せすぎてぇ、ワタシ……ワタシぃぃっ♥♥ んっ、っア、あッッ……だめだめぇっ、イくぅ……ワタシ、イっちゃいますからぁっっ♥♥」
パルラがかぶりを振りながら叫んでいるけれど、僕はすでにいっぱいいっぱいで、その内容を半分も聞き取れていなかった。それでも彼女にも少しでも気持ちよくなってもらえるように、僕なりに精一杯パルラのことを見ながら、ただただがむしゃらに腰を突き上げ続ける。
その内に、身体中を巡って膨らんだ熱がお腹の辺りに集まってくるのがわかって、僕はパルラの両手をぎゅっと握りしめる。パルラも僕の身体の上で激しく動きながら、同じように握り返してくれた。真っ赤に染まったパルラの顔には蕩けるような笑みが浮かんでいる。
「あっ……んっ、あッ♥ 坊ちゃん、そろそろ出そうなんですねっっ♥ ワタシも限界なのでぇ、このまま一緒にぃぃっ♥♥ っんぅ、あんっ……アッッ、坊ちゃん坊ちゃん坊ちゃんっっ♥♥ んんンぅあっ、あア゙ッ、あっっ……ああ゙ッ、あぁっっ、あア゙ぁああア―――っっっ!!!♥♥♥」
びゅるっ、びゅっびゅっ、びゅうううううぅぅぅっっっ!!!♥♥♥ びゅるびゅくっ、びゅっぶっびゅっ、びゅぶうううううぅぅぅっっっ!!!♥♥♥
腰を力いっぱい突き上げるのと同時に、瞼の裏が白く染まり、集まっていた熱という熱がパルラの中に勢いよく吐き出される。パルラは僕の上で身体をびくびくと震わせながら、吐き出される精を受けて止めてくれた。
そんな射精はしばらく続いたけれど、その間もずっと、僕とパルラは指同士を絡めるように両手をつなぎ合ったままだった。
*
パルラは腰をゆっくりと持ち上げると、射精を終えて小さくなったおちんちんを引き抜き、僕の隣に寝そべった。そして、僕の頭を抱き寄せるように抱きしめてくれる。
おっぱいの温かく柔らかな感触とパルラの濃い匂いが僕を包み込み、じんわりと重くなった瞼が徐々に下がってくる。
「坊ちゃん、お射精お疲れ様でした♥ すっごく気持ちよかったですよ♥」
そうだったら嬉しいけど、自分のことでいっぱいいっぱいで、パルラと一緒に勉強したことはほとんど生かせなかったような気がする。
ぽんぽん♥と身体を優しく叩いてくれる彼女の手に身を委ねながら、そんなことをぼんやり考えていると、パルラが口元をかすかに緩めて穏やかに微笑む。
「ふふっ、坊ちゃんはひとつだけ勘違いをしてます。こういう満たされるっていう感覚は、必ずしも肉体的な触れ合いばかりから得られるものじゃありません。
だ・か・ら~、その意味では、坊ちゃんは坊ちゃんだけにしかできないことをしてくださってるので、もっと自信を持っていいんですよ~?♥」
気持ちいい疲労感が身体中に染み込むように広がって、思考が溶けるようにほぐれていく。色々な思いが胸の内をよぎっていくのはわかるのに、そのどれも上手く捉えることができなかった。
次第に考えることさえ億劫に思えてしまって、僕は本能のままにパルラの身体に更にぎゅっと抱きついて、そのおっぱいに顔を埋めた。汗に濡れた膨らみを堪能するように、顔を左右にふるふると揺らせば、彼女の匂いが鼻腔をくすぐった。
そのまま鼻腔を満たされていくのを感じていると、パルラが僕の耳元に顔をそっと近づけた。
「おやすみなさい、坊ちゃん♥ ……………………大好き、ですよ♥」
パルラが囁くのを遠く聞きながら、僕は彼女の手を握ったまま瞼を閉じた。