昼下がりの雑踏で、彼女に声をかけられた大学生は、予想だにしない提案を受け、人気のないトイレへと足を踏み入れる。
清潔で可憐な外見とは裏腹の、少女の意外な本性に触れていく——。
官能小説で用いられる多彩な比喩表現は、まだ検閲の気配が残っていた戦後の慣習・摘発の中で、いかに直接的な表現を用いずに性愛を表現するのか頭を悩ませ、創作に傾注した者たちによって磨かれた文化である。
街の雑踏を、特に目的もなく歩いていた。
アスファルトの照り返しにじっとりと炙られるような昼下がり、人通りは疎らで、一介の大学生にすぎない俺に視線を向ける者もいない──はずだった。
銀。
肩口に掛かるか掛からないかという長さの髪が、まるで銀糸を風に流したようにきらきらと光って揺れる。
その下から覗く顔は、まるで硝子細工のように繊細で美しい。
ぱっちりとした猫のような目が、
白いブラウスの襟元が少し緩んでいて、
人生を長い一日にたとえるのならば、まだ朝に近いところにいる。
そんな彼女と、目が合った。
「……ねぇ、お兄さん」
声は、意外なほど近くで聞こえた。いつの間にか、彼女は俺の前に立っていた。
銀の髪がふわりと揺れる。シャンプーだろうか、甘くも爽やかな香りが微かに風に混じって鼻先をくすぐった。
「暇そうな顔してるね。ボクとちょっと遊ばない?」
小さな鈴を転がしたように澄んだ声。
彼女はからかうように、薄い紫色の目を細めて俺を見上げてくる。身長差があるせいで、彼女はわずかに顎を上げなければならなかった。ほっそりとした
「……何の話だよ」
そう答えると、彼女はくすっと笑った。
「お金、持ってるでしょ? とりあえず一万円でいいよ。そこの公園のトイレで、シてあげる」
繊細な紫の宝石じみた瞳を細めて、平然とそう告げる。
その見た目にそぐわぬ言葉の内容に、一瞬、思考が止まった。
「人気ないとこ、知ってるんだ。誰も来ないよ」
彼女は俺の腕にそっと触れる。
細い指の感触が、妙に熱く感じられた。
公園の一角、多目的トイレの扉が、かすかに軋みながら開く。
中は薄暗い。しかし、人が来ないというだけで、ひどく汚れているような様子ではなかった。
彼女は迷わず俺を中に引きずり込む。
鍵が、カチリと閉まる音がした。
狭い空間に、二人きり。
彼女は銀の髪をかき上げると、そうするのが当然とでもいうように、おもむろにしゃがんだ。
チェック柄のスカートが少しめくれ上がり、白く引き締まった太ももが露わになる。
彼女が細い指を俺のベルトに伸ばす。金属のバックルが立てるカチャリという軽い音とともに、俺の社会的倫理の壁が取り除かれた。
解き放たれた俺の斜塔を、彼女はじっと見つめる。
形のよい薄い唇が、わずかに開いた。
「もうおっきくなってんじゃん。……そんなにシたかったの?」
下腹部に立ち上がったそれは、まるで長いあいだ閉じ込められていた生命が、ようやく形を得たかのようだ。
細い指が、ゆっくりと触れる。
冷たい指先が、脈打つ灼熱に触れた。
彼女はくすっと笑うと、そのままくすぐるようにして、人差し指を根本から先端へと這わせる。
鎌首をもたげた蛇の口から滲む透明な毒液が、くちゅ、と湿った音を立てて彼女の指に絡みつく。
「どう? ボクの指、冷たくて気持ちいいでしょ?」
彼女はそう囁きながら、手をゆっくりと上下に動かし始めた。
沼地を歩くような粘ついた音が、狭い部屋に響く。
銀の髪が顔にかかりそうになるたび、彼女は息で軽く吹き払う。吐息がかすかに、ズル剥けの煩悩をくすぐった。
「ん……こう? すごい跳ねてる。……お兄さん、ボクの手、好きなだけ汚してもいいよ」
液体という形を取って現れた熱が、彼女の指の間で糸を引く。
彼女は唇をわずかに開いて、俺の顔をじっと見つめてくる。
白く細い首筋で汗が光った。
「はぁ……ん、もっと早くしてほしい?」
天突く斜塔は、いとどしく雨に濡れている。
彼女の
銀の髪が、動きに合わせてふわりと揺れた。
「んっ……ふふ。お兄さん、顔赤いよ。興奮してる? してるよね。ボクの手、そんなにいい?」
彼女の手の中で限界近くまで膨張した威容。それは生きた炎のように熱く、身震いを繰り返している。
彼女はそれを見ながらわざとらしく目を細めると、甘やかな声でささやいた。
「ね、もう出そうなんでしょ? ……出して。ボクの手の中に、全部出してよ」
白くしなやかな彼女の細い指が、先端を握りこむようにして擦る。ぬちゅぬちゅ、くちゅくちゅ──粘ついた水音が響き渡った。
「んぁ……すごい。お兄さんの、ビクビクしてる。……イク? ボクの手で、イっちゃう?」
興奮で彼女の吐息が乱れる。絹糸のような銀の髪が額に張り付いていた。
彼女は花開く前の白ユリに似た瑞々しい体をわずかに前のめりにして、俺の股ぐらで昂るそれを間近に見つめている。
熱い吐息を吹きかけながら言う。
「出して。……全部、ボクにかけて」
その言葉が最後の一押しとなった。
意識の底で何かを強く留めていた糸が、音もなく切れる。
腰の奥が、熱く、重く、収縮する。
抑えようとしても抑えきれない波が、一気にせり上がってくる。
視界が白く霞み、耳の奥で血の音だけが高く鳴った。思考が溶ける。残っているのは、ただ“出る”という感覚だけだ。
煩悩の間欠泉が勢いよく迸った。
びゅるっ、びゅるっ、と白濁した熱が飛び散り、みずみずしくも熟れきらぬスモモのような彼女の頬に降り注ぐ。
一度、二度、三度──止まらない。体の芯から湧き上がる解放感。その快楽は痛みに近いほど強く甘く響いている。
迸る衝動は、彼女の銀の髪やブラウスの襟元、触れれば砕けてしまいそうな鎖骨までも穢し、そうしてやっと鎮まった。
「んぁ……あはっ。……いっぱい出た」
彼女は、自分の手に絡みついた白濁をじっと見つめた。紫水晶の瞳が、満足げに細められる。
指をゆっくりと動かし、残ったものを最後まで絞り出す。くちゅ、と最後の水音が鳴った。
「……お兄さん、気持ちよかった?」
彼女は汚れた手をゆっくりと俺の目の前に差し出した。白濁が糸を引き、指の間でぬらぬらと光っている。
彼女はぐちゃぐちゃと音をたてて指を動かしたあと、舌先で泡だった白濁を舐めとった。
「ん……しょっぱい……っていうか、苦い? でも、なんかクセになりそう」
涼やかな目を細めて、俺を見上げる。
まだ春の途中にいるような彼女には到底似つかわしくない、淫靡な仕草と表情。
細い首筋に汗が伝う。
彼女は脈打つ黒い柱を、汚れたままの掌で軽く包み込み、ゆっくりと上下に擦った。
「……まだ、おっきいままじゃん。一回出したくらいじゃ、足りない? ──もっと、シてほしい?」
彼女はそう言って、薄く笑う。