家に帰ってすぐ、僕はまなみを自分の部屋に呼んだ。こういうことは、後回しにしてもろくなことがない。
「……ってことで、二人目の奴隷がうちに来ることになったんだよね」
まなみは僕の話を黙って聞いていた。僕は一気に話し終えて、何を言われるのかとヒヤヒヤしていたのだが……。
「ふーん、そうなんだ」
まなみは興味なさげに家事に戻ろうとする。僕は慌てて呼び止めた。
「ちょ、ちょっと。今の話を聞いて、何かないの?」
「えー? とくにないけど」
やはり反応は薄い。僕にとっては結構衝撃的なニュースだったのだけど、僕の感覚がおかしいのだろうか。
「だって、今までのことを思えばご主人様が高く評価されるのは当然だと思うし、新しく奴隷が割り当てられるのも何となく予想できたし」
「そ、そう?」
「うん。それに、わたしがやることは変わらないでしょ? ご主人様がわたしのすべてを握っていることには変わりないんだから、一生懸命ご奉仕して、新しい奴隷に負けないようにするって感じ?」
さらっとそう言われてしまっては、僕も黙るしかない。
もう学校に没収されることがないというのは、まなみにとっては嬉しいニュースなのだろうと勝手に思っていた。しかし、奴隷視点だと案外そうでもないらしい。
……その時は、そう思ったのだが。
しばらく経って、まなみが用意してくれた夕食を見て、僕の目が点になった。
「ちょっと、豪華すぎない?」
「え、いつも通りだよ」
まなみは平然とそう言うが、唐揚げにお刺身に餃子。茶碗には赤飯だ。明らかに普通じゃない。
まなみはというと、ルンルンと鼻歌を歌っている。
「冷蔵庫に、ケーキもあるから」
……やっぱり、先ほどの話はまなみにとっても相当嬉しいものだったらしい。
これからも僕と一緒に暮らすことをここまで喜んでくれるというのは嬉しい限りだし、それをあえて口に出さないというのも可愛らしい。
しかし、それはそれとして。
僕は目の前の現実に向き合うことにした。まずは、このごちそうの山をどうにかしなければならない。
夕食後、僕は自室のベッドに寝転んでいた。
「く、苦しい……」
まなみがせっかく用意してくれた食事を、残すことなんてできない。何とか食べ切ったものの、僕のお腹はパンパンだった。
寝るまではまだ時間はあったが、あまり動きたくない。ベッドの上でスマホをいじりながら、しばらくゴロゴロする。
少しお腹が楽になってきたと思った頃、まなみが部屋にやってきた。
「今日は、お口でご奉仕する?」
まなみがこういう聞き方をするのは珍しい。いつもは僕が上の口がいいか、下の口がいいかを選ぶというのが定番だった。
「なんで?」
「だって、あんま動きたくなさそうだし」
それはその通りだ。やはりまなみは空気が読める。
「それに、ご主人様はどっちかっていうと、口でしてもらうほうが好きでしょ?」
「……そうなのかな」
僕は曖昧に返した。心当たりがないこともないが、直接まなみにそんなことを言った覚えはない。しかし、まなみは当然のように頷いた。
「ご主人様、これまで口のご奉仕をリクエストすることの方が多かったし、そっちの方が幸せそうだし」
「うっ……」
僕としては半々でリクエストしているつもりだったのだが、知らず知らずのうちに偏ってしまっていたらしい。
だって、しょうがないじゃないか。僕は心の中で言い訳した。
まなみのいつもの、手を使わずに口だけでするご奉仕は、最高に気持ちいい。それに、一心不乱に僕のペニスにしゃぶりつくまなみは、とんでもなくかわいい。
そんなまなみの姿を、特等席から見下ろせるのだ。僕がそれにハマるのを、誰が止められようか。
「……じゃあ、お願いするよ」
「うんっ」
まなみは嬉しそうに、僕のズボンに手をかけた。
僕はベッドの横に立って、まなみのご奉仕を受けていた。寝転んだままでもいいのだが、やはりこうしてまなみを見下ろすのが、一番好きだ。
まなみは時折、上目遣いで僕の反応を伺ってくる。
「おいひぃ……」
口元をよだれで濡らし、うっとりとした表情でそんなことを言われたら、僕の興奮は最高潮だ。まなみは僕を悦ばせる方法を完全に熟知している。
この状況下で、我慢できる方がおかしい。
「まなみ、出るっ!」
まなみは僕のペニスを根元まで咥えて受け止める姿勢を取る。そんなまなみの口内に、僕は容赦なく精液を吐き出す。
ドピュドピュ、ドピュッ。
音がしそうなほどの勢いで、まなみの口内を精液で満たした。
「んー」
まなみは僕のペニスから口を離すと、ゆっくりと時間をかけて精液を飲み干す。コクリ、コクリとまなみの細い喉が小さく音を立てる。
まなみは僕を見上げながら、パッと花が咲くような笑顔を見せた。
「美味しかった」
そんなことをそんな顔で言われて、何もしないなんて嘘だ。僕はまなみを抱き寄せると、ベッドに一緒に倒れ込んだ。
「まなみは、僕を悦ばせるのが上手だな」
「トーゼンでしょ。何回やったと思ってんの」
「……そうだね」
「だから、毎日でもやってあげるから、二人目が来てもわたしを捨てないでね?」
まなみの声が少し震えたのを、僕は見逃さなかった。
「もちろん。まなみが僕の一番なのは、これまでもこれからも変わらないよ」
「うん」
まなみはホッとしたように僕に身体を預けてきた。
二人目が来たとして、まなみのことを蔑ろにするわけにはいかない。
しかし、学校から二人目を預かる以上、二人目にもそれなりの愛情を注がないわけにもいかない。
僕の中には不安が募っていく。
奴隷なんていればいるだけいいと思うかもしれないが、その分主人としての責務は増える。頭の痛い問題だった。