「生誕ライブ……?」
学園のレッスン室、資料に目を通していた姫崎さんが怪訝そうに首を傾げる。
俺は申し訳なさを滲ませながら、手元のバインダーを抱え直す。
「はい。なんでも、今度出演する番組のスポンサーの息子さんが、姫崎さんの大ファンで、来週の日曜の息子さんの誕生日に、ぜひ姫崎さんにライブをして欲しいとの事で……」
「それは、なんというか……」
「ファンの1人に対してそのような特別対応は出来ないとお伝えはしたのですが、どうしてもと言われて断りきれず……申し訳ありません」
スポンサーという立場を笠に着た無茶振りであることは明白である。
担当アイドルにこんな気まずい打診をしなければならない己の力不足が歯がゆい。だが、彼女はいつものように優しく微笑んで首を横に振った。
「ううん! プロデューサーは悪くないよ!」
「ありがとうございます。それで、どうしましょうか。姫崎さんがやりたくないと言うのであれば、多少無理してでも断るのですが」
角が立つリスクを背負ってでも、彼女が嫌がる仕事を押し付けるわけにはいかない。そう覚悟を決めて問いかけたのだが、彼女は小さく腕を組み、真剣な面持ちで考え込んだ。
「うーん……いや、やるよ」
「……よろしいんですか?」
「うん。もちろん、こういうのを毎回やるわけにはいかないと思うけど……誕生日なんでしょ? それなら、せっかく私のことを好きでいてくれてるんだし、お祝いしてあげたいなって」
どこまでもファン想いな彼女らしい返答だった。その前向きな温かさに胸を打たれつつ、俺は安堵と感謝を込めて頭を下げる。
「ありがとうございます。では、先方にそのように──」
「あ、でも。生誕ライブって、どんな感じなの?」
「それなのですが……」
一番の問題はここからだった。俺は内心の気まずさを抑え込みながら、先方から届いた要求事項のメモへと視線を落とした。
「先方から、いくつか希望が届いていまして」
「希望?」
「はい。まず会場は、ご自宅です」
「……ご自宅?」
きょとんとした声が返ってくる。無理もない。だが、奇妙な条件はそれだけでは終わらなかった。
「それから観客は、息子さんお一人です」
「…………一人?」
「はい」
「…………」
「…………」
数秒の静寂が、レッスン室の空気を重く沈ませる。姫崎さんは信じられないものを見るような目で、じっと俺の顔を見つめていた。
「プロデューサー」
「はい」
「これ、本当にライブ?」
「先方はそう呼んでいます」
形式上はライブだと言い張るしかない俺の苦しい返答に、彼女は脱力したように苦笑いを漏らすのだった。
☆☆☆
そして迎えた当日。
連れてこられたのは、都心から少し離れた鬱蒼とした敷地に佇む、異様なほど重厚な屋敷だった。
「いやぁ~学くん、そして姫崎莉波さん、本日は我が
応接間に現れた筋骨隆々の家主──息子の父親は、ぎらついた笑みを浮かべて俺たちの前に立った。圧倒的な体躯の威圧感を前に、俺はビジネススマイルを張り詰めて一礼する。
「いえ、こちらの方こそご招待いただき、ありがとうございます」
「いやはや、学くん。こうして改めて見させてもらうと、やはり凛々しいお顔をなさっていらっしゃる。そして、姫崎さんも、中々どうしてお美しい。この様なお二人を招待出来るなんて、我が家は三国一の幸せ者ですなァ!」
「ハハハ、痛み入ります」
「あ、ありがとうございます」
隣の姫崎さんも、相手の規格外のテンションに気圧されながら会釈を返している。
「いやはや、学くんは謙虚ですなァ! 漢たる者、もっと豪胆でなくては……さて、雑談はここまでにしましょうか。本当は、先ずは客間に通すのが礼儀なのだがね。愚息が待ちわびている。非礼で申し訳ないが、早速愚息の私室に向かわせてもらおう」
促されるまま、重厚な絨毯が敷かれた薄暗い廊下を歩く。その道中、父親は豪快に肩を揺らしながら、ため息交じりに息子の事情を語り始めた。
「なんでも、愚息は同担拒否? とかでね、他のファンを見ると殺意が湧いてくるとかなんとかで⋯⋯姫崎さんのライブにもまともに行けてないのだよ。難儀なものだな、全く」
殺意、という物騒な単語に背筋がわずかに冷やりとする。父親は気にした風もなく言葉を重ねた。
「私としては理解し難いのだがね、好きなものは他者と共有してこそだろうに。まあ理解は出来ないが、理解を示すことは出来る。迷惑をかけるかもしれないが、まあ、なんだ……悪く思わないでやってくれると助かる」
「……はあ」
なんとも返答に困る。
隣を見ると、姫崎さんも困ったように笑っていた。
「まあ、ちょっと変わった子なのかな?」
「その程度ならいいんですが……」
俺の懸念が杞憂であればいいのだが、この空間全体から漂う妙な居心地の悪さが拭えない。
「はっはっは! 大丈夫だとも! 根は悪い奴ではない!」
豪快な笑い声が廊下に響く。
こういうときに使われる「根は悪くない」という言葉ほど、信用ならないものもないのだが……。
そう内心で嘆息した矢先、重厚な扉の前で足が止まった。ここが息子の部屋らしい。姫崎さんがノックの体勢に入ろうとしたその時、父親が俺の肩を太い腕で抱え込んだ。
「おっと、学くんは私と共に、こっちだ」
「はい?」
不意を突かれ、間の抜けた声が出た。
「なんでも、姫崎さんのライブは1人で楽しみたいらしいからね。我々邪魔者は、共に食事でもしながら暇を潰そうではないか。なぁに退屈はさせんさ。熱い夜を共に過ごそうじゃあないか」
「…………」
何が?
何をするつもりなんだ、この人は。
得体の知れない提案に頭が追いつかないが、それ以前に仕事として看過できない事態だ。
「あの、俺は姫崎さんのプロデューサーなので、できればライブには同席を──」
「ガッハッハッハ! 遠慮するな学くん!」
「遠慮ではなく」
俺の抵抗など丸太のような腕力の前には微塵も通じない。完全に力づくで引きずられ始めた。
「姫崎さん! 愚息をよろしく頼みますぞ!」
「えっ、あ、はい……?」
「では行こう、学くん!」
「ちょ、待っ──」
万力のように固定された肩を外すこともできず、足が床をずるずると滑っていく。
「プロデューサー……?」
遠ざかっていく姫崎さんと目が合った。
取り残された彼女の瞳はなんとなく、不安に揺れている気がした
☆☆☆
曲がり角の向こうへプロデューサーが引きずられていき、廊下には莉波一人が取り残されていた。
その瞳からは、普段の余裕ある佇まいが消え失せており、閉ざされた扉と、プロデューサーが連れ去られた廊下の角を交互に見やっている。
そしてその指先は不安によるものか、微かに震えていた。
しかし、莉波は一度だけ深く息を吸うと、自らの両頬を強く叩いた。
「……よしっ」
そうして気合を入れた莉波は、重厚なオーク材の扉をノックする。
「失礼します……! 初星学園の、姫崎莉波です……!」
「……どうぞ。入ってよ」
中から返ってきたのは、落ち着き払った、少々甲高い少年の声だった。
莉波は小さく喉を鳴らして、一度伸ばしかけて止まった手を握り直して扉を開けた。
室内は遮光カーテンで締め切られ、ステージ用と思しき間接照明が不規則に瞬いていた。壁一面には莉波のポスター、棚にはアクリルスタンドやCD、缶バッジ、さらには非公式らしき特大タペストリーに至るまで、隙間なく並べられている。
莉波の足が入口で止まった。
その部屋の中央。高級そうな革張りのソファに、一人の少年がどっかりと腰を下ろしていた。肉付きのいい頬に幼さの残る顔つきの少年は、仕立てのよいチョッキをまとい、短い脚を組んで深々と背もたれに身体を預けている。父親のような筋骨隆々とした威圧感はない。
代わりに漂っていたのは、この部屋も、無数のグッズも、そして訪れた莉波自身さえも、すべて自分のために用意されたものだと信じて疑わない不遜さだった。
「よく来てくれたね、莉波お姉ちゃん」
少年は目を細め、莉波の身体を舐め回す様に見る。
「吾輩の部屋へ、ようこそ」
少年の視線を受けて、莉波は反射的に半歩後ずさりかけたものの、すぐさまその場に踏みとどまり、強張りかけた口元を引き上げて、柔らかな笑顔を作る。
「ふふ、ご招待ありがとう! 今日はお誕生日なんだよね? おめでとう! せっかくだから、莉波お姉ちゃんがとびっきりのライブを届けてあげるね!」
少年の頬が持ち上がった。
「うん。さすがは莉波お姉ちゃんだね」
少年は満足そうに何度か頷いた。
「やっぱり実物はいいなぁ」
莉波の笑みがわずかに強張るが、少年は意に介さない様子で言葉を続けた。
「他のバ⋯⋯ファンが莉波お姉ちゃんに気安くコールしてるのを見るだけで虫酸が走るからさ。パパに頼んで、今日は二人きりにしてもらったんだ」
「……そ、そうなんだ」
「当然でしょ? 吾輩の誕生日なんだから、今日くらい莉波お姉ちゃんを独り占めしたっていいじゃないか」
父親の口にしていた「同担拒否」の真意はそこにあった。少年にとって他のファンとは、同じアイドルを応援する仲間ではなく、自らと莉波の間に割り込んでくる邪魔者に過ぎない。
「さぁ、出し惜しみしないで始めてよ」
少年はソファに深く座り直した。
「吾輩のためだけに、最高のステージを見せてくれるんでしょ? 莉波お姉ちゃん」
莉波の眉が微かに動いた。震えていた指先が止まり、その顔に再び笑みが浮かぶ。
それは先ほどまでの取り繕った表情とは異なる、毅然とした力強さを帯びていた。
「……うん! それじゃあ、いくよっ!」
密室における異様なワンマンライブが幕を開けた。
観客は、目の前のソファにふんぞり返る少年ただ一人。至近距離において、莉波は笑顔とキレのあるダンスを繰り出していく。
指差し、ウインク、呼びかけ。普段は大勢の観客へ振り分けられるファンサービスのすべてが、眼前の一人へと注ぎ込まれる。
対する少年は、ソファに座ったまま動かない。
両手に握ったピンク色のペンライトを、歓声を上げることもなく一定のリズムで振り続け、莉波の一挙手一投足を凝視している。
時折、少年が満足そうに頷くたび、莉波のパフォーマンスはさらに鋭さを増していった。
目の前の客にアイドルの実力を叩きつけるかのように、歌い、踊り、笑い続ける。
熱気がこもり始めた室内で、莉波の額には汗が浮かび、呼吸も次第に荒くなっていった。それでも動きは止まらない。
そして──。
「──っ、ふぅ……っ、はぁっ、はぁ……!」
最後の決めポーズとともに曲が終わりを迎えた。
張り詰めていた糸が切れたように莉波の身体が揺らぎ、どうにか踏みとどまりながらも肩を大きく上下させる。
額の汗を手の甲で拭い、必死に呼吸を整えていた。
その時、革張りのソファが軋む音が響いた。
少年が重そうに腰を上げ、莉波の眼前まで歩み寄ってくると、採点するかのように彼女を眺めて頷いた。
「うん。お疲れさま。良いライブだった」
「あ、ありがとう……」
少年の手には、いつの間にか一本のペットボトルが握られていた。表面にはびっしりと冷たい水滴が浮いている。少年はそれを莉波の前に差し出した。
「汗かいたでしょ?」
「え?」
「かいたよね?」
執拗に念を押す少年の顔を、莉波は見つめ返した。
「……うん。まあ、これだけ踊ったから……」
「だよね」
少年は満足げに口元を歪めた。
「はい、水」
「あ、ありがとう……」
差し出されたペットボトルの水を受け取り、莉波は控えめに微笑む。
莉波の指先がボトルのキャップへかけられ、軽い開栓音が室内に響く。
一人だけの観客、照明の熱気、閉ざされた扉。莉波は乱れた呼気を整えるようにペットボトルを唇に当て、喉を上下させて中の水を一気に飲み干した。
「……んっ、ぷは。冷たくて美味しい」
「でしょ? お姉ちゃんのために、特別に用意させたんだ」
少年は満足そうに口元を歪めると、莉波の足元へ擦り寄るように一歩踏み込む。
その無遠慮な視線が、汗で肌に張り付いたステージ衣装の胸元や、惜しげもなく露出した太ももを舐めるように這い回った。
「……あの、 もうライブは終わったし、そろそろプロデューサーのところへ戻ってもいいかな? 待たせちゃってるし──」
「駄目だよ」
少年の口調が、ふっと子供特有の無邪気な残酷さを帯びる。
「パパが言わなかった? 今日は吾輩の誕生日なんだ。吾輩の欲しいものは、全部手に入る日。だからパパにお願いして、莉波お姉ちゃんを呼んでもらったんだから」
「え……?」
不穏な言葉に、莉波は咄嗟に後ずさりを試みた。
だが、その瞬間だった。
「っ……あ、れ……?」
莉波の膝から力が抜け、その場にへたり込むように崩れ落ちた。
呼吸は急激に乱れ、その首筋から頬にかけての肌が瞬く間に赤く染まっていく。額には冷や汗がにじみ、自らの胸元を苦しげにかきむしっていた。
「な、に……これ……からだ、が……」
荒い息を吐きながら、莉波の視線が床へと転がり落ちたペットボトルに向けられた。
傍らに立つ少年が、くすくすと喉を鳴らして笑っていた。
「言ったでしょ? 特別に用意したって。薬、ちゃんと効いてきたみたいだね」
「くす……り……? うそ、でしょ……」
「莉波ちゃんってさ、いつも誰にでも優しくて、みんなのアイドルぶってるけど……吾輩だけのものになってよ。誰にも渡したくないんだ。他の男のファンが見たら発狂するくらい、吾輩の種でドロドロになって、吾輩の子供を産んでよ」
「や、だ……やめ……!」
莉波は震える腕を前へと伸ばし、扉へ向かって身を這わせようする。だが、その四肢に力は入らず、わずかに床の絨毯を爪で引っ掻くのみで前進することはできない。
焦点の定まらない瞳は虚空を泳ぎ、苦しげに首を左右に振り乱していた。
少年が、倒れ伏す莉波の身体を覆い隠すように覆いかぶさる。
「プロデューサーは来ないよ。向こうは向こうで、仲間達とオタノシミなんじゃないかな? パパ、趣味悪いんだよね。好きなものは他者と共有するなんて言うけど、自分の好きな人も他人と共有したいとかただの変態だよね。まっ、安心してよ。吾輩、複数人プレイの趣味とかないからさ」
その言葉を受け、莉波の身体が目に見えて強張った。紅潮した肌とは対照的に唇からは血の気が引き、大きく見開かれた瞳が小刻みに揺れ動く。
「……そ、んな……プロデューサーが……っ」
「だから、邪魔者は誰も来ないよ」
少年は歪んだ笑みを浮かべ、力なく倒れ伏す莉波の肩へ手を伸ばした。身動きの取れない彼女の耳元へと顔を寄せ、囁きかける。
「お姉ちゃんは吾輩だけのものだ。他の誰にも見せないし、渡さない。……もう逃げられないよ」
「やめ……て……誰か……!」
叫ぼうと開かれた口からは、湿った掠れ声と荒い呼気が漏れ出るのみだった。四肢を痙攣させるように床を擦るものの、少年との距離は微塵も離れない。重苦しい沈黙が広がる密室の中、弱々しい息遣いだけが部屋に響く。
「ねえ、やめて、おねがい、おねがいだから」
莉波の悲痛な制止を意に介さず、少年は莉波の衣装、その胸元を両手で掴み、力任せに引き裂いた。
裂けた衣装の隙間からは、白磁を思わせる肌、たわわに実った乳房。そして、桜色に色づいた蕾がまろび出る。
「いや、止めて!!」
「お゛っ゙ほ゛、こ゛れ゛吾゛輩゛の゛お゛ぉ゙ぉ゙ぉ゙!!」
莉波は少年の手から逃れようと身をよじる。
だが、その様子が逆に少年に火をつけたのか、彼はもう辛抱堪らないとばかりに、柔らかな乳房にむしゃぶりついた。
「おいしい、おいしいよ莉波お姉ちゃん」
少年の指先が胸を這い回り、その蕾を執拗に弄ぶ。
舌先が鎖骨のラインを辿り、舐め回す。
吸い付いた唇は、白い首筋に赤い跡を刻みつけていく。
「やめてぇ……やめてよぉ」
莉波はその頬を涙で濡らすが、それすらも貪欲な少年の舌に掬い取られてゆく。
蹂躙され尽くした身体は、唾液にまみれてぬらぬらと艶めかしく輝き、白磁の肌には、まるで穢れなき新雪を踏みにじる足跡のように、生々しい赤い痕が点々と刻まれていた。
その様相は、まさに無残に征服された雌そのものであった。
莉波を散々にしゃぶり尽くした少年は、満足そうに口元を拭うと、今度はスカートへと手をかけた。
「いや、ダメ、そこは、そこはダメだから……おねがい。絶対誰にも言わないから……もうやめて、おねがい」
「ダメだよ、お姉ちゃん。ここまで来て、止められるわけないよね?」
莉波の悲痛な懇願も尻目に、少年はスカートを乱暴に引き下ろす。
露わになったのは、彼女の花園と外界隔てるのように覆う、黒い布。
「いやだ! いや、いやぁ」
「へぇ~黒なんだね」
そう言って少年が無慈悲にその布切れをズラすと、遂に秘された花園が剥き出しになった。
毛はしっかりと整えられており、手入れが行き届いている証左。そして何よりも、ぴっちりと閉じられたその様は、今まで男を受け入れたことがないだろう事を雄弁に物語っている。
「いやぁあ! ダメ! 見ないで!」
「~~~ッッッ! お姉ちゃん! 吾輩のために、処女を取っておいてくれたんだ! 感激だよ!! 莉波お姉ちゃんはアイドルだし、可愛いから、もしかしたらと思ったけど……ごめん。吾輩は、お姉ちゃんの事を信じきれてなかった。さあ、思い出に残るハジメテにしようね」
「だめ、おねがい。やめて、おねがい、だめだめだめだめだめ、やめてやめておねがい」
「あっ、そうだね、ハジメテはローションを使わないと痛いらしいからね。うっかりしてたよ。ごめんごめん」
ローションを引き寄せた少年は、自身の肉棒を露出させて塗りたくると、同じように莉波の秘所へと、惜しげもなくたっぷりと塗りつけてみせた。
「いや、いやぁ助けて、助けてプロデューサーくん」
「だから、プロデューサーくんは来ないって。いくら吾輩でも、こんな時に他の男の名前を出されるのはちょっとなぁ……まぁ、良いけどさ。もうお姉ちゃんは吾輩の物なんだから……それじゃ、いくよ」
一通りの準備を終えた少年は、莉波の秘所に肉棒の先端をあてがい──
「やだっ、やだぁあ! やめて、お願い! 挿れるのはやめて! それ以外は何でもするから、それだけはやめて! お願いします!」
無慈悲に、深々と突き入れた。
「あぁ」
「あっ、あぁ、イイ! イイよ! キモチイイよぉ! 莉波お姉ちゃん!」
少年は逃がすまいと莉波のくびれを鷲掴みにし、乱暴に肉棒を突き立てる。抉られるたび、莉波の口からは苦悶の声が漏れ出し、零れた血とローションの混合物がカーペットを汚してゆく。
「やだ、痛ッ痛い! 裂けちゃう! 抜いて……抜いてください……!」
「ムリだよ。お姉ちゃん、そんなのムリ」
「やだぁもう嫌ぁ!」
射精が近いのだろう。
少年は莉波の身体を覆い被さる様に強く抱きしめ、ストロークの速度を一気に跳ね上げた。
莉波もまた、それが意味する凶兆を悟ったに違いない。
青ざめた顔で少年を見上げ、必死に首を横に振っては、やめてくれと声を限りに懇願する。
「やっ、嘘、だめ、やめて。赤ちゃん出来ちゃう……! だめ、抜いてやめてぇ!」
莉波は身体を捩らせ精一杯抵抗をするが、少年の動きは止まらない。
「うっ、出る、出る出る出る出る、吾輩の赤ちゃん産んで! サッカーの試合が出来るくらい!」
そして──少年は莉波の奥深くに肉棒を叩きつけるように突き立てると、全身をびくりと震わせ、内に溜め込んだ熱い欲望を解き放った。
「いやあああああああああ!!」
莉波に覆い被さり脱力した少年は、下半身の奥から込み上げる余韻をしばらく恍惚と堪能したのち、ようやく肉棒を引き抜いた。
莉波の身体中は汗や唾液で無残に濡れそぼり、秘所からは、ローションや血液、そして精液が混じり合いピンク色となった液体がとめどなく溢れ漏れ出していた。
「あぁぁ……嘘、嘘、うそ、うそ」
莉波の唇からは、信じがたい現実を拒絶するかのように、か細いうわ言ばかりがこぼれ落ちていた。
しかし、そんな彼女の蒼白な表情に視線を留めることすらなく、少年は何食わぬ顔で一方的に言葉を紡ぎ続けていく。
「よかったよ、莉波お姉ちゃん……それじゃあ、2回戦目、始めようか。あっ、それとこの事は内密にね? 映像はちゃんと撮ってるから、学園とかに報告したら⋯⋯うっかりネットの海に漂流しちゃうかもね?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
少年の言葉に莉波はなんの反応も示さない。
少年の手が伸びる。
莉波は諦めたように、瞳を閉じた。
夜のライブは、まだ終わらない。