幽々子と紫のえっちな短編です。

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第1話

夜霧が漂う白玉楼の庭園に、月光が柔らかく降り注いでいた。

桜の花びらが風に舞い、水面に浮かんでゆらゆらと揺れている。

縁側に座る西行寺幽々子は湯呑みを手に取り、その中に映る月をぼんやりと眺めていた。

 

「あら紫、来たのね」

 

振り返らずとも分かった。

空間が微かに歪み、隙間から現れたのは八雲紫だった。

紫は妖艶な笑みを浮かべながら音もなく近づき、幽々子の隣に腰を下ろした。

 

「よく分かったわね」

「だって、あなたの匂いがしたもの」

 

二人は顔を見合わせて小さく笑った。

千年近く生きている者同士、言葉を交わさずとも互いの気配を感じ取れるほどに通じ合っていた。

幽々子がそっと指先で紫の頬を撫でると、紫は目を細め、その手に自分の手を重ねた。

 

「こんな夜更けに何用?」

「別に。ただの退屈凌ぎよ」

 

紫は扇子をぱたりと閉じると、幽々子の膝に頭を乗せた。

豊かな金髪が幽々子の腿をくすぐり、その温もりが夜気に溶けていく。

幽々子は優しく紫の髪を梳きながら、遠くで鳴く虫の声に耳を傾けた。

 

「相変わらずの自由人ね」

「あなたこそ。暇そうじゃない?」

 

膝の上から見上げる紫の瞳は深い森のように深淵で、月明かりを受けて淡く輝いていた。

その眼差しに吸い込まれそうになりながら、幽々子は微笑んだ。

 

「さてどうしたものかしら」

「選択肢は二つあるわ。一つはこのままお喋りをする。もう一つは……」

 

紫は身体を起こすと、一瞬で距離を詰めた。

鼻先が触れ合うほどの至近距離で見つめ合い、二人の吐息が混ざり合う。

 

「貴女の『境界』を超える方法を探る……とか」

「ふふ……誘っているの?」

「さあ?どうかしら」

「素直じゃないんだから」

 

幽々子は立ち上がると紫の手を引いた。

部屋に戻り、障子を閉め切る。

外の喧騒は消え、静寂だけが二人を包み込んだ。

 

「あの子は?」

「妖夢ちゃんは夢の中。きっと朝まで起きないわ」

「そう……それは都合がいいわね」

 

灯りを落とした薄暗い部屋の中で、二人は畳の上で寄り添う。

夜の帳が白玉楼を包み込む中、紫はそっと幽々子を押し倒した。

長い金髪が帳のように垂れ、月明かりに照らされた肌は銀色に輝いている。

幽々子は指先で紫の首筋をなぞりながら、ため息まじりに言った。

 

「本当に……困ったお人ね」

「嫌いかしら?こういう私は」

「まさか。だからこそ……ここまで共にいるのでしょう?」

 

紫の唇が幽々子の額に触れる。

次第にそれが頬へ、そして耳元へと移動していく。

柔らかな舌先が耳朶をなぞり、甘い痺れが幽々子の全身を駆け巡った。

 

「ん……っ」

「久しぶりだからかしら……反応が可愛いわね幽々子」

「馬鹿にしてる……?」

 

紫は否定する代わりに深く口付けた。

最初は軽く啄むように、次第に深く絡ませていく。

幽々子は紫の背中に腕を回し、その熱を確かめるように抱き寄せた。

 

「こんな夜には……何も考えなくていいわ」

「そうね……千年以上生きてきているけれど、今夜ばかりは特別だわ」

「お互いね」

 

紫の指先が幽々子の着物の襟元に滑り込み、ゆっくりと解いていく。

鮮やかな水色の衣装が、牡丹の花のように畳に散らばる。

露わになった白い肌に月光が当たり、まるで陶器のような美しさを放っていた。

 

「綺麗よ……幽々子」

「ありがとう。でも……不公平じゃない?」

「あら、それもそうね」

 

紫もまた、自らの装束を緩め始める。

妖艶な薄紫色の装いがほどかれ、透き通るように白い肌が月明かりに晒されていく。

その姿はまるで月の精のように神秘的だった。

 

「これで公平かしら?」

「ええ、とても」

「ふふ……」

 

二人は再び唇を重ね、今度はより深く、より激しく求め合った。

紫の手が幽々子の胸元に伸び、柔らかな膨らみを優しく揉みしだく。

「あ……っ」と微かに漏れる幽々子の声に、紫の口角がわずかに上がる。

 

「敏感ねぇ……そんなに私を喜ばせたいのかしら?」

「意地悪ね……紫…っ」

 

負けじと幽々子の手も紫の胸元を這い、硬くなった頂を捉える。

指先で弾くように刺激すると、紫もまた「ん……っ」と小さな声を漏らした。

お互いの柔らかな胸を愛撫し合うことで静かに興奮が高まっていく。

 

「心臓の鼓動が速くなってるわ……生きてるって不思議よね」

「死んでる貴女の方がよっぽど不思議よ。こうして私の腕の中にいるのに」

「ふふ……確かに。私もこうしていると……自分が生きているような気がするわ」

 

互いの体を探るように、丁寧に、しかし確実に愛撫していく。

千年を超える付き合いの中で培われた感覚が、二人を高みへと導いていく。

 

「……もう我慢できないみたいね、貴女」

「紫こそ……体が震えてる」

「嘘つき。貴女の方がずっと熱いわ」

 

紫の手が幽々子の内股を滑り、最も敏感な部分へと向かっていく。

濡れた感触に触れ、「ほらね」と囁く紫。それに対して「だって……貴女のせいでしょう?」と拗ねるように答える幽々子。

 

「責任を取らないとね……」

「じゃあ……来て?紫」

 

紫は躊躇なく指を潜らせ、幽々子の中を探る。

「ぁあ……ん…」と、抑えきれなくなった声が室内に響いた。

紫の指が動き始めると、幽々子の腰が自然と持ち上がり、快楽を求めてしまう。

 

「ここ……好きなのよねぇ?」

「知ってるくせに……言わせるなんて……意地悪……!」

「貴女の口から聞きたいのよ、幽々子」

 

さらに指を増やし、より複雑な動きで攻める紫。

同時に耳元で甘く囁き続けることで、幽々子の理性を少しずつ奪っていく。

 

「はぁ……んっ!紫……もっと……」

「もっと?欲張りさん」

「だって……気持ちいいもの……」

「そういう素直なところ……大好きよ」

 

紫の舌が幽々子の首筋を舐め上げ、そのまま鎖骨へと移動する。

噛み付くように痕を残すと、幽々子は小さく喘いだ。

 

「痕……つけちゃダメ……」

「明日になれば消えるわ」

「そうだけど……あぁっ!」

 

不意打ちの強い刺激に、幽々子の体が大きく跳ねる。

紫は満足げに微笑みながらも、容赦なく責め続けていく。

 

「限界?まだ早いんじゃない?」

「待って……そんな急に……ああぁ……ッ」

 

絶頂を迎えそうになる幽々子だが、紫はその直前に指の動きを止める。

焦らすように入口を撫でるだけで、決定的な刺激を与えない。

 

「ひどい……どうして……」

「欲しいなら自分で言ってみなさい。『お願い紫』って」

「こ……のぉ……お願い……紫…もっと……ちょうだい……」

 

その言葉を聞くや否や、紫は再び深く指を突き入れる。

「んんーーッ!!!」と大きな声が上がり、幽々子の体が弓なりに反った。

紫もまた、その反応に満足し、さらに追い立てるように抽送を早めていく。

 

「ほら、まだイケるでしょう?」

「無理……もう……ッ!ん……っ!はぁ……んんっ!!」

 

長い爪が畳に食い込み、必死に耐える幽々子。

しかし紫の巧みな技に抗うことなどできず、やがて限界を迎えた。

 

「あああっ!!紫ぃ……!!」

 

全身を震わせながら達する幽々子を、紫は優しく抱きしめる。

荒い呼吸を繰り返す幽々子の髪を撫でながら、慈しむような表情を見せた。

 

「素敵だったわ、幽々子」

「はぁ……はぁ……こんな風にさせられて……嬉しくないわ」

「でも気持ちよかったんでしょう?」

 

赤くなった頬を隠すように、幽々子は布団に顔を埋める。

しかし次の瞬間、体勢を逆転させ、今度は紫を組み敷いた。

 

「今度は私の番よ」

「あら、覚悟していたけれど……意外に積極的ね」

「だって……私も紫を満足させてあげたいもの」

 

妖しい笑みを浮かべる幽々子。

その瞳には普段のおっとりとした雰囲気からは想像できないような情熱が宿っていた。

 

「貴女もそんな顔するのね。素敵よ」

「褒めてくれるのは嬉しいけど……黙っててもらうわ」

 

言うが早いか、幽々子は紫の首筋に吸い付く。

先ほどのお返しと言わんばかりに、数か所に痕跡を残していく。

「ん……っ」と小さく声を漏らす紫を見て、幽々子は満足げに微笑んだ。

 

「さっきは意地悪してくれたから、仕返しよ」

「それは恐ろしいわ……どんなことしてくれるのかしら?」

「秘密。でもきっと後悔させると思うわ」

 

幽々子の手が紫の下半身へと伸び、すでに潤い始めた中心へと滑り込んでいく。

「あ……ん…っ」と反応する紫を見つめながら、幽々子は優しく指を動かし始めた。

 

「もうこんなに……欲しかったのね」

「誰のせいだと思ってるの……幽々子」

「私のせい?それなら……責任取ってあげるわ」

 

優しく、しかし確実に感じるところを見つけ出し、重点的に責め立てていく幽々子。

紫の腰が僅かに浮き、無意識のうちに快楽を追っている。

 

「あ……ん…っ!そこ……いい……っ」

「ふふ、知ってるわ。紫の感じるところ全部」

「相変わらず記憶力が良いこと……んんっ!」

 

紫の足が痙攣するように震える。

普段の余裕ある態度とは打って変わり、快楽に翻弄される表情が堪らない。

幽々子はさらに攻めを加速させていった。

 

「紫……こんな顔するのね……可愛い」

「バカ言わないで……私は……あんっ!」

「素直になって?気持ちいいんでしょう?」

「……気持ち……いいわ……」

 

その告白と共に、紫の膣内が強く収縮する。

幽々子の指を締め付けながら、絶頂へと駆け上っていくのが伝わってきた。

 

「イクときは教えてね?見逃したくないわ」

「悪趣味ね……でも……もう……イキそう……ッ」

「いいわよ……見せて?あなたの最高の顔」

 

最後のひと押しとばかりに、指の動きを強める幽々子。

紫は目を閉じ、歯を食いしばりながら昇り詰めていった。

 

「ああっ……くる……!イク……っ!んんーーッ!!」

 

大きく仰け反りながら絶頂する紫。

幽々子は彼女の頭を撫でながら、幸せそうな表情を浮かべていた。

 

「可愛かったわ、紫」

「……まったく……意地悪ねぇ……幽々子」

「仕返しよ。これでおあいこね」

 

二人は互いの汗ばんだ肌を寄せ合い、しばらく抱き合ったまま過ごした。

月は高く登り、時折流れる雲が窓からの月明かりを遮ったり戻したりしている。

 

「こんな夜もいいものね」

 

紫がぽつりと呟く。

幽々子は微笑みながら、彼女の髪を優しく梳いた。

 

「でも……これが癖になると困るわね」

「大丈夫よ。私たちには『節度』があるもの」

 

紫の言葉に、幽々子は小さく笑う。

二人は再び唇を重ね、今宵最後の情熱を分かち合った。

 

「またいつか……同じような夜があればいいわね」

「ええ……でもそれまでは……おやすみなさい、紫」

「おやすみなさい、幽々子」

 

幻想的な夜は、静かに更けていった——。


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