硬派に生きようと思ってたのに、俺のことが好きな同僚がTSして子作りを求めてきた 作:品川カタン
……長い二日の休みを終え、俺たちはようやくいつもの仕事に戻ることができた。
ドメインに関しても、この休みの間に冒険者証を発行していたお陰で問題なく依頼を受けることができた。俺としては、女になった体で前のように戦えるか少し心配なところはあったが──。
「取り巻きはもう残っていないよ、団長」
後方から魔術で範囲攻撃を行い、俺が前線に出て大元を斬る。そのスタイルも以前と変わらず、ドメインはテスト場で披露した実力を本番でも存分に発揮できていた。
「……ああ。流石の実力だな。お前がいなければもっと時間がかかっていただろう」
砂のように変化し、さらさらと音を立てて消滅しかけている魔族の横で、大剣についた血を振り払い背中のホルダーへと収める。ドメインが使った氷魔法はまだ空気を冷やしており、ひんやりとした風が頬をくすぐった。
「それで団長、魔王は──ここから検知できそう?」
「今やっている」
右手で採取した魔族の角を握り、左手で自身のこめかみに触れた。黒く邪悪な魔力が角から流れ込み、手から全身へと神経が焼かれるような感覚に耐えていく。そして目を瞑った時、空気が一直線に振動しているのを感じ──その方向が北であることがわかった。
「……北だ。前よりも近付いているな」
「そっか。空間が大きくなっているから近づいているように感じるのか──それとも、本当に僕たちが正しい航路を進めているのかは分からないけれど、行くしかないね」
「ああ。そうするしかないからな」
そして、俺たちが依頼主への報告に戻ろうとした時、脚や胴体が全て砂となり顔だけが最後に残った魔族が小さく笑い声をあげた。
「ヒッヒッヒッ……オマエタチ、次ハオレヨリモ強イ同胞ニ焼カレテシヌ……」
「…………」
「マオウサエイレバ、オレハイツカ復活シテ──ギャッ!!!」
──ドメインの氷の槍が、魔族の顔の上に召喚されてそのまま突き刺さり、消滅を待たずにトドメを刺した。
「角はもう使い終わったし、良かったよね?」
「…………ああ」
ドメインが俺に対してにこりと笑った。俺の手に持っていた角も砂になって消えていく。
「詠唱無しで正確に狙った場所を刺せるとはな、お前にはいつも驚かされる」
「あはは、あの
「父から受け継いだだけのものだ。俺は自分で選べなかったものに対して、誇りを持たないことにしている」
「生まれつきとはいえ、精度を上げるために努力したのは団長でしょ? 僕は凄いと思うけどな」
横を歩くドメインの表情を見た。いつも通り穏やかなもので、少し安心した。
先程の様子を見てわかる通り、ドメインは──魔族に対して一切の容赦がない。直接憎悪の言葉を吐きはしないが、言葉の節々に棘がある。それ自体は、冒険者をやっている人間としてよくあることなのだが、彼の出生のことを考えると、少しだけ意味の深いものに見えてくる。
(やはり、魔族戦争の渦中で生まれた戦争孤児なのか?)
魔族を強く嫌悪する者がいることは普通だ。寧ろ、彼らを好意的に見ている人間など少ないだろう。だが、俺の考えすぎではあるのかもしれないが、「民籍がない」と言われたことを何回も思い出してしまう。
(……救済措置まで用意されているのに、民籍が無いということは、何かよほどの事情があるのか?)
思わず目が細まった。
『お前の魔術は本当に素晴らしいな。氷をここまで扱えるものなど、そうそういないだろうに』
そういえば、ドメインが入団した頃、俺は彼に対してそう話したことがある。
俺としては、彼の実力を讃えるとともに、日常会話の一環として話したつもりだったが、その時のドメインの反応は微妙なものだった。苦笑いを浮かべながら「教わりはしたんだけど、あんまり誇れるものじゃなくて」と話しているドメインを見て、俺はこれ以上深く聞くべきではないだろうと思い、追及はしなかった。
だが、没落貴族や家出息子ではないのにここまで高度な魔術を教わる環境があったというのは、なかなか珍しいように思えるが──これもきっと、彼にとっては聞かれたくないことなのだろう。こうやって追及を避けてきた結果、俺の中で謎がどんどんと増えていっている。
(……そういえば、俺は人付き合いの中でいつもこうだな)
余計なことは言わぬが吉だろうと思い、口数を少なくして生きてきた。ドメインのことは良い友人だと思っていたため、どちらかといえば素の俺に近い姿を見せてきたが──他の仲間に対しては、どうだっただろうか。
俺は、信念が同じならばどれだけ厳しくとも耐えられるだろうと思い、ただひたすらに依頼をこなしてきた。だが、残ったのは彼一人だった。
(……ドメインについてすら知らないことが多いとわかったのに、俺は本当に彼らを理解していたのか?)
立ち去った者のことは考える必要がない。だが、ドメインに打ち明けられたことを考えると、どうしても思い出してしまう。思考がごちゃごちゃしてきた。結局、俺は何を考えたかったのかわからなくなってきた時──。
「団長、依頼主から連絡が来たよ。西の酒場で落ち合おうってさ」
「……ん。ああ、わかった。西の酒場だな」
ドメインの言葉により、俺は今やるべきことをやっと思い出した。最近、こうやって余計なことを考えてしまう癖ができている。それは良くない、俺は魔王を滅ぼさねばならないのだから。
「北の方に進むとわかった以上、ギルドハウスもそろそろ移動させねばな。だが前回のような業者に頼むのは避けたい」
「あー……あれね。移動させてくれたのはいいけど、電灯とかコンロの魔術回路がめちゃくちゃになっちゃったからね」
「高度な移動魔法を使える業者を後で調べるぞ」
俺たちは、依頼完了の手続きのため西の酒場へと向かった。
……全ての仕事を終えた夜。
自分自身の悪癖を存分に実感する時間だ。
「……クソッ!!」
当然誰にも話したことはないが──俺は激しめの戦闘が終わったあと、性欲が高まることが多かった。
毎回命を賭けるような仕事をしているからだろうか。生存本能が自分の中で声を上げているような感覚に陥り、そして欲求が襲いかかってくる。俺は、人間が獣へと変貌するようなこの感覚が本当に苦手で堪らず、今まではとにかく目を瞑ってなるべく耐えることにしていた。
だが、耐えに耐えた結果、ドメインにあのようなことをしてしまったのかもしれないと思うと、自分自身で発散する機会を増やした方が良いのかもしれない。
「仕方ない、背に腹はかえられん……」
ティッシュを持ってきて、大きく息を吐いた。
一般的に男はこういったことをする時、魔法通信でヌード映像を購入するらしいが、俺はそうしない。そんなやり方で人間を買うなど、勇者になる人間として信義に反する。だから、なるべくただの作業として受け入れてやるべきで──。
「……があああああっ!!」
壁に頭を打ち付けた。俺の頭に浮かんだのはここ数日のドメインの姿だった。
「クソが!! やめろ!! 死ね!!」
俺は自分に向かって存分に暴言を吐き、次々と浮かんでくる映像を消去しようとした。ドメインの顔、白い肌、少し小ぶりな丸い胸、桃色の乳輪、やめろ、やめろ思い浮かべるな!!
「団長、ここまで響いているんだけど!」
「やめ……うわーーっ!!」
少し怒った様子のドメインが俺の部屋の中へ入ってきたのが見えて、かなり情けない声で叫んでしまった。別にそれ自体が怪しい訳ではないのに、思わずティッシュを後ろへと隠してしまった。
「本当に何してるの……というかおでこ真っ赤だよ。また変な自傷してたの?」
「いや、まあ、すまん…………」
顔を背けつつ、ドメインの姿を見た。今日買ったパジャマを着ているようだ。
白いネグリジェと、その上に薄い上着を羽織っている。全体的に色素が薄めのドメインが着ると、やはりなんというか清楚な印象を受けた。
(別にこれ自体にいやらしさは無いはずだ!!)
だが、俺も性欲が高まっていたせいか、その姿にすら色っぽさを感じる。
流石に誰がどう見ても俺の様子はおかしいので、ドメインは腕を組みしばらくこちらを観察したあと、開いていた扉を閉めて部屋の奥へと進んできた。
「……もしかしてだけどエッチなことしたくなってた?」
「違…………」
全く違くはない。
だがここで認めてしまっては、また昨日や一昨日と同じことになるだろう。明日だって朝から仕事があるというのに、あんな獣みたいなことをしていたら支障が出る。ならば、さっさとドメインを部屋から追い出すべきなのに「出ていけ」と言えないのは、俺の中の欲求がドメインを受け入れろと騒いでいるからだ。
(やめろ、良くない!! 今日こそは良くない!!)
──俺は残った理性を振り絞り、ベッドの前へと来たドメインの肩を掴み、そっと押し戻した。
「……今日は駄目だ!!」
自分の手は真っ赤に染まり、震えていた。二十四歳になり、俺はなにかに怯えるようなことは殆ど無くなったというのに、まるで初めて魔族を見た子供のように手がブルブルと痙攣していた。
性行為を怖がっているわけではない。だが、自分自身を律することができなくなるのは恐ろしかった。ドメインに対して申し訳がない気持ちが湧きながらも、ここで拒否できたことに達成感を覚え、額にじんわりと汗が滲んだ。
「その……明日は仕事があるだろう。俺たちの本業を忘れてはならない。お互いに身体の負担だってあるし……とにかく、毎回やるべきではない!」
「…………」
ドメインは少し考えるような仕草を見せた。だが、それは俺に反論しようとしているような表情ではなく、「確かに」と納得しているような顔だった。
「……すまん。お前のことが嫌な訳では無い、ただ俺は──」
「確かに団長の言う通りだね。だから僕から提案なんだけど、お互いに我慢ばっかりして最終的に爆発するのは良くないと思うんだよね」
ドメインから思わぬ返答が来て、一瞬黙ってしまった。
提案。提案とはなんだ。聞く価値があるのだろうか。いや、しかしドメインの「我慢して最終的に爆発するのは良くない」という意見には、俺も同感だった。
「禁欲っていうのは、確かに己を律するためには必要なことだけれど──それが行き過ぎたせいで、最終的に仕事に支障が出るのはさ、やっぱり本末転倒になるんじゃない?」
「ま……まあ……そうだな……」
ドメインの理知的な話しぶりを聞いているうちに、俺も次第に、その意見に耳を傾けた方が良いのではないかと思い始めた。確かに、俺たちにとっての一番の問題は仕事や目標達成に支障が出ることであり、何よりもそれを避けるべきだ。
頭がふらふらしていた。しかしまだ理性は残っているはずだ。ただ、今のところはドメインの意見が合理的なだけだ。だから話を聞いているだけであり、俺は別に、欲求に負けているわけではない。
「だから団長は仕事に支障が出ない程度に性欲を発散する。僕も同じようにする。それがいいと思うんだよね」
「そ、そうだな……」
「だけど毎日一緒にエッチをしてたら身体に負担がかかる、それも事実だもんね」
「その通りだ……」
「そこでさっき話した提案のことなんだけれど──それなら、お互いに一人でエッチなことをするための手伝いをするべきだと思うんだよね。どう? 結構良い方法じゃない?」
「ああ、まあ、それなら平気か…………」
確かに、そのくらいなら大丈夫か。ドメインは合理的だ。
ちなみに今の俺は、この時に合意した俺のことをかなり強く殴りたい。
「団長、僕から先に脱ぐね♡♡」
ドメインは今、俺のベッドの上で服を脱いでいる。白いネグリジェを軽く畳んで横に置いて、少し頬を赤らめながら俺の顔を見た。
「OKしてくれてありがとう団長♡♡ じゃあ部屋から持ってきたこれ……今から使っていい?♡♡」
「あ、その、ドメイン、いや」
良くないだろ、と言いたかったが、その言葉は出てこなかった。俺の頭は性欲に支配されていた。「良いんじゃないか」と返事をしてしまい、ドメインは少し大きめの……腟内に入れる用の魔法具を取り出して、それを俺に見せてきた。
(こ、こんなもの持っていたのか)
そんないやらしいものを買っているドメインの姿を想像したら、下半身に熱が集まるような感覚がした。目を離すことすらできず、ドメインがこれからどうするのかをただ見つめていた。
「じゃあ、その、団長……♡♡ 今から一人でエッチなことするから見ててね……♡♡」
ドメインが正面に座ったまま脚をM字に開くと、魔法具のスイッチを押した。ドメインの魔力が注入された途端、うぃんうぃんと音を立てて上下にピストン運動し出した。
「こ、こんな欲望丸出しの堕落したものが存在していたとは……」
呆れたような口調を装おうとはしたが、俺は正直興奮していた。この無機質な玩具で、ドメインはオナニーをしようとしている。俺としたセックスのことを考えながら自分自身を慰めて、一人で気持ちよくなっている。
「ふうー……っ。じゃあ、挿れるね……♡♡」
ドメインが頬を赤く染めて汗を垂らしたあと、規則的なスピードで上下に動く玩具を、濡れた自身の肉穴へとゆっくり入れていく。物自体はそこそこ大きめだというのに、少し濃いめのピンクをした肉が纏わりついてどんどんと吸い込まれるように入っていく。
「ん……っ♡♡ こうやって、こうやってオナニーしてるよ、だんちょう……♡♡」
機械が勝手にピストンしているのにもかかわらず、それだけでは足りないのかドメインが自分で玩具を出し入れしてじゅぷじゅぷと音を立てている。その動きに合わせて小さな可愛い喘ぎ声を出していて、俺は、見てはいけないものを目にしているような背徳感を覚えていた。
「こ、こんな……やり方で……」
「団長、次は団長のオナニーみせて……?♡♡」
一気に汗が噴き出るような感覚がした。
俺が、自慰行為を、見せる。
それよりも恥ずかしい行為をいつもお互いにしているというのに、妙に緊張した。それでも、このままドメインのいやらしい姿を見届けるだけでは俺の中の欲望も収まらないので、言われた通りにすることにした。
ズボンを脱いだ。ペニスが当たっているパンツの先が大きくシミを作っていて、かなり恥ずかしくなった。ドメインは、膨らみそびえ立った俺のものをパンツ越しに見て、さらに息を荒くしていた。
「団長、相変わらずおっきい……♡♡ そんなに固くて太いの握ってオナニーしてるんだ……♡♡」
「……っ、うるさい」
パンツを脱いで、自分自身の物を握った。
いつも通りやれば良いだけなのに、何となく手が上手く動かずに最初は手こずってしまったが、ドメインが一人で玩具を出し入れして気持ちよくなっているのを見ると、自然と俺自身も快楽を得たいという衝動に駆られ、我慢汁でベタベタになった竿を上下に擦った。
「だ、だんちょ、恥ずかしいね……♡♡ 一緒に見せ合いっこなんて、なんか良くないことしてる気分……♡♡」
「お、お前から言ったんだろ……!!」
「でも団長のおちんちん、すっごいおっきくなってる……♡♡ 僕のオナニーで興奮してくれたんだ……♡♡」
ドメインが玩具を出し入れするだけではなく、もう片手で自身の赤く腫れ上がった豆をコリコリと触って刺激し、更なる快感を得始めた。本当にそのまま感じたことを言うならば、とんでもなく扇情的だった。俺の手の動きもどんどんと激しくなってきて、とにかくこのいやらしい光景を目に焼き付け気持ちよくなってしまおうという考えのみに支配されていた。
「ドメインっ、くそっ、ふうっ、お前がっ、お前がこんないやらしい姿見せるからっ!!」
「だんちょ、かわいい♡♡ 団長すき♡♡ だいすきっ♡♡♡」
「なっなら、それなら出す時はお前にかけてやる!! お前のせいでこうなってるんだ!!」
「いいよ♡♡ 団長、射精しそうなときは僕にかけて♡♡ だんちょうの好きなところにかけて♡♡」
こんなこと、本来やってはいけない。それなのに俺の物は今までにないくらいに真っ赤に反り返っていたし、思わず脚が震えるくらいには気持ちよくなっていた。俺はこれまで、自慰行為でこんなに強い快感を味わったことがあっただろうか。ここまで性欲の虜になったことがあっただろうか。もう勇者になる人間としての矜持は吹き飛んでいて、ドメインの身体のどこに射精してやろうかということだけが俺の思考の全てになっていた。
ドメインの中がぐちゃぐちゃだ。俺の自慰に目を向けながら、必死に玩具を出し入れしている。可愛い。俺のせいで興奮しているドメインが可愛い。規則的にピストンしている魔法具に犯されているドメインが可愛い。
「団長っ♡♡ 僕そろそろイきそう♡♡ いくっ♡♡ 団長一緒にイきたい♡♡♡ だんちょうに精液かけられながらイキたい♡♡」
「はあっ、変態め!! 胸に全部ぶっかけてやる!! 俺もそろそろ出そうだからかけられる準備をしろよ!!」
「いいよっ♡♡ 団長、僕のおっぱいにかけて♡♡ いくっ、いきそう、う゛あっ♡♡ いくいくいくっ♡♡♡ 〜〜〜っっ!!♡♡♡」
ドメインが魔法具にピストンされながら絶頂した。俺もそれに合わせて、ドメインの胸へと射精した。熱い感覚が昇り上がり、力を入れすぎて青筋の立った手で思い切りぺニスを握りながらイッた。びゅる、びゅるると音を立てる勢いで白濁液が溢れ、ドメインの乳首へ粘り気のあるそれが絡みつき、そのままぽたん、ぽたんと一滴ずつ滴り落ちた。
「はあっ、はあっ、んっ、んうっ♡♡ 団長、気持ちよかったね……♡♡」
イッたのにもかかわらず容赦なくピストン運動を続ける魔法具に、ドメインが小さな媚声を上げながらも、にゅるんと肉穴から玩具を抜いてスイッチを切った。糸を引いているのを見て、また一瞬勃起しそうになったが流石に耐えた。
「じゃあ、こんな感じでまたよろしくね♡♡ 僕、シャワー浴びてくるからおやすみなさい♡♡」
「いや、ドメイン、待っ」
あっという間にドメインが去っていった。バタン、と扉が閉まる音がして、部屋は静まり返った。そして、俺はドメインに何を言おうとしていたのかをあらためて考えた時、「これで終わりか?」という言葉が今の気持ちにいちばん近いことに気がついて、もう一度自分をビンタした。
(これをまた!?)
ヒリヒリする頬に触れながら考えた。
(なんか、こう、根本的に色々と解決していないんじゃないのか!?)
そもそも俺は勇者になる人間として、己を律するつもりだったのだが──結局こうなってしまっている現状に、頭を抱えた。
面白いと思ったら評価いただけたら励みになります。モチベになりますのでお暇があればよろしくお願いします。