※この作品はR-18です。

コミュ障陰キャの私が学園のアイドルを買っちゃいます!   作:空空空空

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六話 学園のアイドルが罰を受けたがってます!

「ん……」

 

「あ、ま、舞園さん……!」

 

「ご、ごしゅ、じん……さま? あ、あれ? わ、私……」

 

 舞薗さんは瞳をきょろきょろと動かして自分の置かれてる状況を整理する。しかし、意識から目覚めたばかりでどうにも思考が上手くまとまらない様子。

 

「ええ、っとね。ま、舞園さんは……そのお、えっと……ぷ、プレイ中に、き、気絶して、ね?」

 

 私は思考がまとまらない舞園さんに代わって、たどたどしく説明する。すると、舞園さんは徐々にその光景を思い出してきたのか、みるみるうちに顔が真っ赤になっていく。

 

「ごごご、ご主人様……! わ、私……! えっと、えっとあの、その。ええっと……っ~」

 

 舞園さんは何かを言おうとするが、慌てふためきすぎて、言葉が上手く形にならない。最終的には、顔を真っ赤にして、掛け布団で顔を隠す。

 声はくぐもっているが凄く悶えている。

 

 まあ、あの惨劇を思い出したらこんな反応になるのも無理はない。こんなにも悶えることになってるのは他ならぬ私の暴走のせいだ。

 

 舞園さんはやめてと、待ってと、何度もその言葉たちを私に投げかけてきた。なのに、私はそれらを跳ねのけ、舞園さんの色んな可愛らしい姿が見たいという欲望により理性を失い、暴走してしまった。

 容易に踏み込んではいけない一線を飛び越え、魔が差したなんて言い訳なんて通用しないくらいに、私は舞園さんに酷いことをした。

 

 ……正直、トラウマになってもおかしくはない。

 

 謝罪で済む話ではないのは百も承知だ。だけど、私はちゃんと謝罪をしたかった。いや、しなければならない。

 

「ま、ままま、まい、ぞの、さん……! ごごごご、ごめ……ごめんな、さい……!」

 

 舞園さんは私の謝罪を聞き、ぴたっと悶えるのをやめる。

 

「わわ、わわわ、わたし……が、そのお、えっと……ぼぼぼ、ぼう、そう、したせいで、まま、舞園に、嫌なお、想いをさせて……だ、だだから……ご、ごめん、な……さい!」

 

「……」

 

 私の謝罪に舞園さんは反応を示さない。

 

 嫌われただろうか? 幻滅しただろうか? 今後の私との同棲に嫌気が差しただろうか? 何にせよ、私がしたことは到底許されることではない。

 だから、舞園さんに何を言われようとも私はそれを受けとめなければならない。ただでさえ人が怖い私なのに、自分で自分の首を絞めることをして……本当にバカでしかない。

 

 学園のアイドルから罵詈雑言なんて吐かれた日には、私が初めてになるのではなかろうか? 全然嬉しくないけど。

 

 私がそんなことを思っていると、不意にもぞもぞと舞園さんが動き、掛布団からひょっこりと目元だけを晒す。

 

 私を見つめる瞳は怒りや嫌悪など全くなく、むしろ逆で、不安げに揺れていた。まるで、捨てられそうになる子犬のようであった。

 その瞳を宿しながら、舞園さんは私を上目遣いで見つめてくる。 

 

 こんな深刻な状況なのに、私は無情にも可愛いと思ってしまっていた。

 

「ご、ご主人様は……今日のプレイ、どう、でしたか?」

 

 舞園さんはただただ純粋に今日のプレイの感想を求めてきた。正直、何を言えば正解なのかは分からない。舞園さんが求める答えとは違うのかもしれない。でも、この気持ちは誤魔化すことなんて出来なかった。

 これを言って、舞園さんに幻滅されようが、嫌悪を抱かれようが、今後変態だと思われようが、私の答えは一つだった。

 

「……た、たのしかった、で、す」

 

 舞園さんが恥ずかしそうにして、目尻に涙を浮かべて、可愛らしい媚声を発して、必死に抵抗しようにも縛られていて、芋虫のようにくねくねとするだけで、私にされるがままで。

 もがく姿も惨めででも、凄く可愛くて。私が何かアプローチする度に、毎回違う反応をするから、色んな反応が見たくなって。そして、私の期待以上の反応を見せてくれるから、気持ちが昂って、気づけば、舞園さんをいじめるのが癖になっていって。

 

 楽しかった。本当に楽しかった。楽しくて楽しくて仕方がなかったのだ。

 

 自分でも驚いた。

 私は常に人の顔色を伺い、人との関りを極力避けてきた私が、舞園さんの反応を見たいがために、積極的にアプローチを仕掛けるなんて、自分が自分じゃないみたいだった。本当に漫画の自分になった様な気分だった。

 

「……私も楽しかったです」

 

 舞園さんはポツリとそう零す。

 

「縛られて何もできず、ただおもちゃのようにご主人様に弄ばれて、恥ずかしいし怖くもありました……でも不思議と嫌ではなくて、むしろもっといじめてほしいって、そう思っちゃいました……」

 

 舞園さんは自嘲するように「えへへ」と笑う。そして、彼女は一瞬だけ、目を瞑ると、意を決したように私に強い眼差しを向けてきた。

 その瞳の真摯な煌めきに私は魅了されたように目が離せなかった。

 

「ご主人様。もしえっと、よろしければ、今後もこういったプレイを私と一緒にしてくれませんか?」

 

「いい、の? きょ、今日みたいに、ぼ、暴走して……ま、舞園さんにひ、酷いこと、し、しちゃうかも、しれないよ?」

 

 今後もそういったプレイをするということは、私は何度も理性の枷が外れて、今日みたいな獣のように舞園さんをいじめる可能性が高い。というより、十中八九そうなる。

 

 それでも舞園さんは、逡巡することなく首を縦に振る。

 

「構いません。それに暴走した時のご主人様は容赦がなくて、私的にはそのくらい攻めてもらった方が、気持ちが満たされますので」

 

 舞園さんはあろうことか暴走した私を求めていた。舞園さんのことを生粋のMと称したが、違う。舞園さんはドが付くほどのMだった。

 

「ま、舞薗さん……す、すごい、ね」

 

「あ、あはは……わ、私も自分の変態加減に呆れかえってます……」

 

 舞園さんは乾いた笑いを浮かべるも、そこには自己嫌悪や悲観はなかった。

 

 そうして、私たちの間に穏やかな空気が流れた――。

 

「そういえば……」

 

 舞園さんは掛布団を上げて、自分の身に纏う服がメイド服ではないことに今更ながらに気が付いたようだった。

 

「ご主人様が着替えさせてくれたんですか?」

 

「あ、えっと……う、うん」

 

「それにシーツも……あ、あのお。ひ、一つ聞いてもよろしいですか?」

 

 舞園さんは仄かに顔を上げながらおずおずと私にあることを訊いてくる。

 

「あ、えっと。う、うん」

 

「わ、私。最後、気絶する前ってどんな感じでしたか?」

 

「えっと。そ、それは……」

 

 私は最後の舞園さんの瞬間を脳裏に浮かべた。

 

 焦らし続けられた舞園さんは、乳首をつまんだ瞬間に、そのためこんだ焦らしにより、あまりにもえげつい快感に、凄い雄叫びと共に身体はエビぞりに反っていた。

 

 そして……その快感を全てを受けきれることは出来ずに、盛大に股の間から潮を吹いた。

 

 学園のアイドルが潮吹きを、汚物をまき散らした。この事実を本人に伝えるのか簡単だが、果たしてこれを伝えて、その事実を舞園さんが受け止め切れるか。

 その事実を受け止めたとして、それを他人に――私に見られた事実を舞園さんがどう思うか。 わんちゃん。その気まずさが今後の生活に支障をきたすかもしれない。

 

 ……うん。この事実は伏せとこ。

 

「お願いします。教えていただけませんか? 私はどんな事実でも受け止めるつもりです」

 

 舞園さんは芯のある揺るぎない意思のある声音ではっきりと言う。舞園さんの宿る瞳の真摯な輝きが、事実を闇に葬ろうとしていた私の胸の内を、まっすぐに照らし出す。

 頬をほんのりと赤らめながらも、事実を受け止めると自ら告げる舞園さん。

 おそらく彼女自身も、意識を失う直前、自分の身体にどのような変化が起きたのか、薄々察しているのだろう。

 

 それでも、舞園さんは目を背けることなく、きちんと向き合おうとしている。

 

 私はその強い意志に白旗を上げる。

 

「……わ、わかった。で、でも、こ、口頭で説明するのはむ、難しいから、えっと、録画を見てもらってもいい?」

 

「わかりました」

 

 私は机に置いてあるスマホを手に取ると、アルバムから先程のプレイの映像を選ぶ。そして、バーを最後の方へと持っていき、一時停止をした後、舞園さんに渡した。彼女は受け取ると、上体を起こして再生する。

 

 舞園さんは私の焦らしに耐えきれず、本人が決して口にしないような単語を言わせ、私がそのご褒美として舞園さんの左乳首をきゅっとつねると、物凄い雄叫びと共にエビぞり。そして、舞園さんのスカートの隙間から少しだが、潮が飛び散っていた。

 

「あ、ああ……」

 

 舞園さんはあまりの惨劇に、持っていたスマホをストンと落としてしまう。その顔は潮を吹いた羞恥よりも、やらかしてしまったようなそんな青ざめた表情だった。

 そして、勢いよくぴょんっとベッドの上で弾むと、そのまま綺麗に土下座をかました。

 

「ご、ごご、ご主人様、申し訳ありません! わ、私、なんて汚らしいものを……!」

 

 舞園さんはベッドにのめり込むようにしておでこを押し付ける。

 

「だ、大丈夫。き、気にしないで?」

 

「そそそ、そんなわけにはいきません! ご、ご主人様! この至らない私にど、どうか罰をお与えください!」

 

「ええっと。ば、罰って言われても……ほ、本当に気にしてないから、舞園さんに課す罰が無いというか……」

 

 今日のプレイを経て舞園さんの隠れたMがどんどんと剥き出しになっていってる気がする。まだ舞園さんと同棲して一日しか経っていないのに、舞園さんの印象がすっごい変化を遂げていた。

 

「それでは、私が納得できません。何卒!」

 

 そこまで懇願されればやぶさかではないが、一体どんな罰がいいのか分からない。痛みを与えることはしたくない。痛くなくて苦しいやつ……あ、一つだけあるか。

 

「……えっと、い、痛みを与えるのはわ、私はい、嫌だから……えっと、きょ、今日、ま、舞園さんにやった、じ、焦らしプレイをば、罰にするのはど、どうかな? ま、舞園さん凄くつ、辛そうにしてたし」

 

「じ、焦らしプレイ……た、確かに、ご主人様にち、ちく、びをじ、焦らされて時は、す、凄く辛かったです……」

 

 舞園さんは乳首という単語を口にするのは未だ抵抗があるようで、一瞬だけ言葉が詰まる。

 

「う、うん。きょ、今日はもう遅いし、ば、罰はあ、明日、でもいい?」

 

「は、はい。罰を与えてくださるのなら異論はありません……あ、あの、ご、ご主人様……」

 

「?」

 

 舞園さんは股に手を入れて互いの手をこすり合わせる。一瞬、トイレかな? とは思ったが、それなら、わざわざ私に伝える必要はない。

 舞園さんはちらちらと、私――ではなく、私の後ろを見る。

 

「よ、よろしければ、ご、ご主人様の描いてる漫画を読ませていただけませんか? エッチな事について、もっと知りたくなっちゃいまして……」

 

 舞園さんが今日だけでこんなにもエッチな事に関心を寄せるなんて……。だ、大丈夫かなあ。学園のアイドルを汚した罪で、捕まったりしないだろうか。心配だ。

 でも、舞園さんがエッチな事に関心を抱いているし、その関心の邪魔するのも忍びない。舞園さんがもし、誰かと付き合ったときに、そう言ったエッチな行為をするかもしれない。その予習と思えばいいのかもしれない。

 

 ……まあ、私の漫画は女の子と同士のエッチなため、学べることなんてないんだけど。

 

「わ、わかった。えっと、ちょっと待ってて」

 

 私は机にある自身のiPadを持つ。一応データが消えたときのために、その中にデータをバックアップしてある。

 私はそのiPadを持ってきて、パスワードと漫画を保存している場所を舞園さんに教える。

 

「私のわがままを聞いて下さり、ありがとうございます。ご主人様」

 

「う、ううん。べ、別にこれくらいは、いいよ」

 

「あ、そういえば、ご、ご主人様は今日はどこで寝るんですか?」

 

「え……? こ、ここだけど……」

 

 私は自分のベッドを指し示す。別にシーツが無くなかったからって寝心地が悪くなることは無いし、いつも通りにそこのベッドで寝ようとしていた。

 

「ダメです!」

 

 しかし、舞園さんはストップをかける。彼女は、一瞬だけ考え込む動作をすると、頷く。

 

「では、私の部屋のベッドをお使いください」

 

「え、そ、そんないい、よ」

 

「いえ。そもそも私は、居候を決めたときに床で寝ようと思ってましたから、気にしないでください」

 

 え? そうなの? 部屋与えなかったら、舞園さん床で寝るつもりだったの? 何それ初耳なんだけど……じゃなかった。

 

「い、いや。ま、舞園さんはベッド使って。わ、私はり、リビングのソファで寝る、から」

 

「でしたら、私がリビングで寝ます。ご主人様がリビングで寝てしまっては、朝、私が起きたときに睡眠の邪魔をしてしまうかもしれませんから」

 

「……た、確かに」

 

 言われてみれば、そのとおりだった。

 

 今日の舞園さんは、相当早い時間に起きたのだと思う。

 

 私だって、休日にしては早めの九時には起きた。それなのに、目を覚ましたときには、あれほどゴミが散乱していたリビングが、見違えるほどぴかぴかになっていたのだ。

 

 あの片づけを考えれば、舞園さんは四時か五時くらいには起きていたのではないだろうか。

 

 学校がある日ですら、そんな時間に起きたことなんてない。ましてや、休日ともなればなおさらだ。

 そして、明日は日曜日。学校も休みなのだから、今日と同じように舞園さんが私より早く起きる可能性は十分にある。

 

 そんなとき、私がリビングで寝ていたらどうなるだろう。

 

 舞園さんが朝の支度をするために電気をつけた瞬間、まぶしさにたたき起こされるのは目に見えている。

 それに、リビングは舞園さんにとっても自由に使いたい場所のはずだ。私がそこで寝ていたら、気を遣わせてしまうばかりか、やりたいことまで我慢させてしまうかもしれない。

 

「私は大丈夫ですから、どうぞ、私の部屋で寝てください」

 

 舞園さんは、まるで私を安心させるように、慈しみに満ちた穏やかな表情でそう告げる。

 

 まあ、しょうがない、か……。

 

「わ、分かった、よ」

 

 こうして寝床の問題も無事に片づき、私たちの話し合いはひとまずお開きとなった。

 その後、舞園さんはお風呂へと向かい、私はというと、眠気が訪れるまで漫画を描き続けることにしたのだった。

 

 

 

                      *

 

 

<舞園吹雪視点>

 

「ふう~」

 

 私は身体を洗い終えると、湯船にゆっくりと身を沈めた。

 

 全身を包み込む温かなお湯が、今日一日の疲れをそっと溶かしてくれる。浴槽の縁に首を預け、ぼんやりと天井を見上げた。

 

「ご主人様、あんな風になれるんだ……」

 

 脳裏に浮かぶのはあのエッチなプレイをした時のご主人様の様相。

 

 縛られて動けない私に、ご主人様は冷えるような眼差しで見下ろし、容赦のない攻めを施した。私がどれだけやめてだの嫌だの言っても、ご主人様はそれがノイズのように、手を止めることなく、むしろ過激さは増していき、ついにはメイド服に手を掛け、私の胸を露出させるまでに至った。

 普段のご主人様なら絶対に躊躇する場面なのに、あの時は理性の枷が外れていて、自分の欲望を満たすことだけに注力していて、全然躊躇が無かった。

 

 いつもは人の顔色をうかがい、何かを言うにもおどおどしてしまうご主人様。そんなご主人様が、あのときだけはまるで別人のようだった。

 まるで、ご主人様が描いた漫画の中のご主人様のような、強気で堂々としていた。

 

 それが私のMっけに刺さり、正直、今でさえも心臓がどくどくと脈を打っていた。ご主人様の豹変も驚きはもちろんだが、まさか自分がこんなに変態だったことも驚きだった。これに関しては、いろんな条件が重なった結果だと思う。

 

 私がご主人様のメイドになったことと、ご主人様が描くマンガの登場人物にもメイドがいて、そのメイドの面影が私に似ていて、何より、ご主人様の漫画力の為すところだと思っている。

 もし、私がご主人様以外の漫画を読んだとしても、私の変態性は隠れたままだったと思う……たぶん。

 

 今日の出来事があったからか、私の頭はエッチな事だけに支配されており、今日、あれだけ激しいプレイだったのに、今すぐにでも、もう一度やりたいくらいに身体がうずうずしていた。

 

 でも、さすがに今日はご主人様もお疲れのはず。これ以上、私のわがままに付き合わせるのは申し訳ない。

 

 ……というより、そもそも私は、ご主人様に甘えられるような立場ではないのだ。

 

 ご主人様は優しい。きっと、私が少しお願いするだけでも、快く応じてくれるだろう。

 私は、ご主人様に借金を肩代わりしていただいた身なのだから。これ以上、ご主人様の優しさに甘えるなんて言語道断だ。

 

 私は私のすべきことをするだけ。うん、よし!

 

「それに、ご主人様がどんな罰を私に与えるのか。ふふ、楽しみだな」

 

 私のどうしようもないドMさは、自分を律するための罰でさえ、快楽のために過ぎない。そんな自分に自虐心を抱くものの、でも、それが決して嫌ではなく、むしろ心地いいとさえ思ってしまっていた。

 

「今日はせっかく、ご主人様から漫画を借りたし、それを見て寝よう。どんな内容化楽しみだなあ」

 

 私はまだ見ぬご主人様の漫画にワクワクを馳せながら、浴室から出たのであった。

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