※この作品はR-18です。

Dirty Works~Piece of Story~   作:空薬莢

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理不尽な世界で生き残る術はただ一つ。
適応し、穢れる事だ――



Рев порохом и бойни
プロローグ


 

 

「待ちやがれ糞餓鬼共ぉっ!!」

背後、野太い男性の咆哮が木霊する。

追っ手の声だ。

終われている原因は至極単純。私の背負うリュックの中身。

消費期限切れも甚だしい携行糧食と、痩せ細ったような芋。

そのどちらも、懐の紐が緩そうな住人(阿呆)から奪った物だ。

(……結構走ってるけど、振り切れないかぁ……)

脚を止めずに後ろを一瞥。

損傷の激しい衣服を纏う、図体の良い数人の男性と、紙袋を抱える数人の子供。

子供の方は今回の窃盗に於ける仲間だが、彼らと男達との距離は10m程度。逃げ切れる見込みは無さそうだ。

男達に捕まった場合の末路は単純。

男ならば、粉骨砕身の後、畑の肥料か犬の餌。あるいは人食主義者のオヤツになり、女ならば、飽きるまで犯され続け、飽きたら、ポルノ関係者に売り捌かれる。

無論、私は犯される気も無ければ、犬の餌になるつもりも無い。……加えて、逃げ遅れてる子供(足引)共の為に、何かするつもりも無い。

(せいぜい、男共を満足させてね)

逃走経路を変更。

今まで疾走していた路地から、裏路地へ移動。

ここの裏路地は複雑に入り組んでいる。熟知した者でも、探すのは大変な程度に。

予め頭に叩き込んでいた順路を移動しつつ、再び背後を一瞥。

……一人、追い縋る男がいた。

(……振り切れないか)

でも、追っ手は一人だけ。

流石に、先天的な体力差は覆せないか。

(……ならば、やる事は決まっている)

殺ろう。

腰に提げたホルダーを確認。

収まっているのは、やや大振りな戦闘用ナイフ。……まぁ、粗悪品だけど。

銃器も無くは無いが、弾薬が貴重だ。人(・)間(・)相(・)手(・)に使うものじゃない

(相手も血迷っているみたいだし……殺りやすいね)

脇道に入り込む。

数m先は行き止まり。

分かっていた事。

「追いかけっこはしまいか、小娘?」

当然のように、男は余裕を見せ始める。

「だとしたら……おじさんの黴が生えた陰茎でも放り出すだけだよね?」

少し、挑発してみよう。出方を伺う為にも。

「へっ……スラムの餓鬼は馬鹿だな。……テメェの下のお口にブチ込むんだよ。……たっぷり楽しませて貰ってから、魔物でも孕ませて、内側から食い殺させてやる」

……やはり、この男は馬鹿だ。苦痛を与えて殺す事しか考えていない。

(もう……価値は無い。最初から価値なんて皆無だけど)

ホルダーに手をかける。

「一瞬の苦痛と、耐え難い苦痛。……どっちがお好みかな?」

一応の最後通帳。答えが分かっているから、意味の無い言葉。

「誰が苦痛なんぞ受けるかよ。テメェこそ、前の口か、後ろの口か。どっちからブチ込まれるのがいいんだ?特別に選ばせてやる」

……糞が。

リュックを落とし、ひび割れたコンクリートを蹴る。

「じゃあ…………」

零距離。

「ぐおっ!?」

移動の勢いそのまま、膝蹴りを股間に。

「っう……………!」

悶絶し、股間を押さえた所で、ガラ空きの両足に足払い。

転倒。

「オジサンの身ぐるみかなっ!」

素早く、ホルダーからナイフを抜き、股間に一閃。

「ぐあぁあぁぁっ!?」

睾丸を含む陰嚢ごと、陰茎を切断。

絶叫。

構わず、両手首も切断。

最後に、足首も切り裂き、ナイフの刃が限界を迎える。

(……あっちゃあ……もう駄目かぁ……)

重篤な刃毀れを起こしたナイフを男の眼球に突き立て、抉り込んで手を離す。もう、用は無い。

代わりに、男の身ぐるみを剥ぎ、持物の拾得。

(……戦闘用ナイフ一本、9㎜口径の密造拳銃と予備弾倉が4本。後は……手榴弾が一個か)

中々、良いもの持ってるじゃん。

弾倉をポケット、拳銃はホルスターごと腰に装備し、ナイフをホルダーに収めた後、リュック回収。

「……さて、塒(ねぐら)に帰ろう」

周囲を確認しつつ、移動再会。

今度は走る必要は無い。

追っ手の気配も無ければ、女の喘ぎ声も聴こえないから。

窃盗仲間は全員、肉便器か犬の餌になっただろうし。

(……ここで生きてくってのは……己だけを信じるって事だよ……)

仲間なんて、いやしないんだ。本当の意味では。

なんて、誰に言うでもなく、私は塒を目指して歩く。

エリアRos某所のスラムを――

 





――以上、Рев порохом и бойни プロローグでした。
本作はグラナデ過去編であり、一般人の想像しやすい境遇では最も悲惨かつ、同情の余地が無い話だと思います。
……現状で語れるのはこのぐらいですので、今回はここで締めます。
拝読ありがとうございました――
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