Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
しかし、仮に神がいたとしよう。ならば、神はどのような奴か?
おそらく、世界を玩具としか見ないクズか、それこそ聖書通りかのどちらか。
――だが、現実的には前者だろう。
戦火呼ブ黒キ巨人(Collaboration with 戦場駆動)
《憤怒の再燃》作戦から数日経った某日朝。
「……射撃のコツを教えてほしい?」
「はい……」
便利屋談話室にて、俺は天樹に相談を持ち掛けられていた。
「……基本は身体で覚えろ、としか言えないな。一通り撃ち、自分に合うヤツを見つけてからの方が良いだろう」
当然の如く、それだけ答える。
他者の経験談は参考になるようで、ならない気がするからだ。
「……そうですか」
「しょぼくれる必要は無い。無理矢理軍属にされただけだからな」
と、励ました直後、端末から通話が入る。
相手は……正規軍司令部。
おそらく……依頼だな。
「……内容は?」
『エリアRos Lim-SE北部に魔物の群れが確認された。貴官らにはこれの殲滅を頼みたい』
やはりな。……期待はしないが、状況も聞いておくか。
「……詳しい状況は?」
『魔物は確認されているだけで《F-BC》型が100、《F-S》型が2000体以上。第9機甲大隊、第15機動野砲大隊、第44歩兵大隊が交戦中だ』
……ロクでもない状況だな。享楽的なクソ部隊が混じってるじゃないか。……が、そいつは上のミス……いや、制裁か?
「了解した。……だが、俺達には足が無い」
『それについては問題無い。貴官らの所にはフリーグ中佐が向かっている』
あの人、自分の部隊は良いのかよ……。信頼できるパイロットだが。
「依頼を請けよう。……指示はそっち持ちだな?」
『良く分かっているじゃないか。…………10分後にフリーグ中佐が到着予定。……作戦区域に到着次第、折り返し連絡しよう。周波数は《196.774》だ』
「了解。
通話を終え、俺は談話室を見回す。
ノルシェ――近くのソファに座っている。
グラナデ――同じく、ソファで熟睡中。
フィア――グラナデの隣で一服中。
天樹――目の前にいる。
(……数は大規模未満だが、一応全員だな)
場所が
「依頼だ。総員、対装甲兵装込みで10分以内に武装、ヘリポートへ移動しろ」
「……」
まず、ノルシェが無言で談話室を出ていき、
「起きてください、グラナデさんっ!」
「はみゅっ!?」
ついで、立ち上がったフィアがグラナデに痛烈なローキックを入れて起こす。……グラナデの扱いに慣れてきたな、フィア。
「……フィア、グラナデに説明しておいてくれ」
「分かってます」
グラナデを引き摺り、フィアも出ていく。
「天樹は待機だ」
今回は、戦力として心許ない。……下手に死なれても目覚めが悪いし。
マスターの店で美味い飯を準備してくれる方が良いだろう。
「……分かり、ました」
意図を察したのか、天樹も出ていき、
最後に俺が談話室を後にする。
自室に戻り、ジャケットに予備弾倉を叩き込み、7.62㎜バトルライフル《AA KrG35》、115㎜対装甲擲弾筒《JA TRG-4》をスリングで肩懸け。9㎜自動拳銃《AA AP4》はレッグホルスター。加えて、擲弾の弾帯も脚と腰に巻く。
「……」
いち早く準備を始めたノルシェの方は既に終わって……正気か?
14.5㎜対物ライフル《AA PB3》を抱き、もう1挺の対物ライフル――25㎜対物ライフル《AA PB5L》。……嫌な予感でも感じたか。
「……早く、行こ」
「あぁ」
二人して部屋を出て、
「わぁい、火薬が撃てる~♪」
グラナデと合流。相変わらず、大型コンテナ二基を背負い、40㎜擲弾機関砲《AA MW-00》は肩に担いで、腰に大量のグレネード。両脚には9㎜短機関銃《JA BP25》が1挺ずつ。
「はしゃぐのは良いが……仕事はしっかり、な」
「りょーかい」
便利屋から出て、
「うわぁ……相変わらず、凄い武装……」
フィアとも合流。彼女の武装はヒップホルスターに12ゲージ散弾銃《CA CSG15-C》、10ゲージ散弾銃《CA CSG12-L》。両脚には.45自動拳銃《CA HCB02》。対装甲兵装は60㎜携行ロケットランチャー《CA LRSL60C1》か。
全員、悪くない。
三人を連れ立って、ヘリポートへと急ぐ。
数分で到着し、
「よぉ、お前ら」
フリーグ中佐と輸送ヘリが出迎える。
「乗れ」
「了解」
「……」
「りょーかい」
「分かりました」
各々が了解を示し、ヘリへと乗り込んだ――
数時間後。
目的地に着き、無線を入れる。
『早かったな。……貴官らは伏兵の排除を頼む』
「了解」
指示はあっさりしたものだな。
(……何はともあれ、俺達は俺達の仕事を始めよう)
《BRC35B1》を抜き、コッキング。
初弾装填。
安全装置確認――問題無し。
「奴らは…………いやがった」
前方3000m先。ざっとデカブツ20、雑魚は300か。
……俺の武装では届かないな。
こういう時は――
「グラナデ、ノルシェ。……見えるな?」
爆撃と狙撃だな。
「うん♪ヤッていいよね?」
「狙撃可能。……実行する」
やる気が充分で何より。奴らを引き付け、潰すのが依頼内容だ。
「~♪」
鼻歌混じりに抱えられる60㎜迫撃砲《AA TM20-R》と、
「……」
無言で顎をチラつかせる《PB3》。
「Fire♪」
轟音。
数秒後に上がる火柱。
「う~ん……10体ぐらいは殺れたかな?」
「着弾。一体、沈黙」
60㎜榴弾は雑魚をミンチに変え、14.5㎜ライフル弾がデカブツの脳髄を抉り取ったらしい。
この損害により、奴らは俺達を認識したらしく、魔物の波がこちらに向かってくる。
……それでいい。
「……ノルシェとグラナデは狙撃、及び砲撃続行。デカブツを優先的に排除しろ」
「了解……」
「りょーかい、花火パーティーだ☆」
指示を飛ばして、フィアに向き直り――
「フィアは俺と共に移動開始。射程圏内に入り次第、攻撃開始だ。優先攻撃対象は雑魚」
「分かりました」
別の指示を飛ばして、移動開始。
平原地帯と荒野の入り混じった地形。……掩蔽物は腐るほど存在。
掩体代わりの岩から岩へ、縫うように移動。距離を詰める。
「……距離、800か。ノルシェ、グラナデ。デカブツはどの程度残っている?」
『……7……違う。増援。30、増えた』
「了解した」
無線切断、セフティフリー。
背後を見れば、フィアも《CSG12-C》を構えている。
後ろに向けて、3本立てたハンドサイン。
一本ずつ折っていき、0で岩影から出て、
「
こちらに気付いていない雑魚の横っ面へと7.62㎜ライフル弾を叩き込む。
無論、
次々と脳髄を弾き飛ばし、朱とピンクの飛沫、肉片が宙に書き散らかす無秩序な抽象画。
傍から見れば汚い芸術だが、これはマシな方だ。
「41っ!」
近くで12ゲージショットシェルをバラ撒くフィアの作り出す死体は、上半身が吹き飛んでいるのだから。
(……いや、ゴミ共に綺麗も汚いも…………ましてや、人道的も非人道的なんて問答は――)
クソ喰らえだ。
撃ち切った弾倉をエジェクト。
スペアに入れ替え、ボルトリリース。
再び、射的じみた駆除作業。
「リロード!」
「了解」
時々、再装填のカバーをする事はあるが、訓練と何ら変わらない実戦だ。
(とはいえ、雑魚は多いな)
やはり、小銃弾では足りない。
故に、銃床下のトリガー――45㎜擲弾射出器《AA GW30》のトリガーへ。
装弾は
迷わず、群れの頭上へ発砲。
緩く放物線を描く擲弾が群れの中心に着弾。
爆発。
肉片と血飛沫が舞い、数体を無意味な不味い肉とする。
続けて、もう一発を撃つと同時に、無線。
『デカブツ、駆逐終了。……総数、108』
「早いな。……ノルシェ、残弾は?」
『14.5㎜、30。25㎜、10』
……6マグと2マグか。厳しいな。
「了解した。……グラナデ、どうせ40㎜が腐るほど余っているだろう。……雑魚にバラ撒いていいぞ」
『わぁい☆』
元気な返答と、容赦無く雑魚に降り注ぐ40㎜榴弾。
火柱や爆発が断続的に起こり続け、ピーク時のファストフード店もかくやという速度で量産される、焦げた肉片。
溜まっていたな、グラナデ。
「ノルシェは新手の警戒」
『……да』
……ノルシェ、拗ねてやがる。
帰投後が不安になるな……。
そう思いながら、リロードを終えた《GW30》から擲弾射出。
とはいえ、グラナデのお掃除で殆ど残っていないのだが――
最早、群れとも呼べない程まで減っていた雑魚をものの数分で駆逐し、俺は司令部に無線を入れる。
「こちら、第3独立遊撃隊。……指定区域における障害の排除が完了した」
『了解。……帰投したまえ』
……依頼終了か。随分と呆気無いものだ。
「…………
とは思うも、俺達は正規軍であって正規軍では無い。……所詮は都合の良い駒。今回の役目は終わりだ。
「さて、上の指示は聴こえていたな?……撤収を始めよう」
「分かりました」
『了解』
「りょーかい」
ヘリの着陸地点へと移動開始。
その間というもの、俺やノルシェは周辺警戒を行っているものの、グラナデはというと――
「――で、マスターの所で新メニューが出るんだって♪何かなぁ……」
「はぁ……。警戒はいいんですか、グラナデさん?」
フィアの邪魔をしているわけだ。……ガールズトークは帰ってからやれ。
「別にいいじゃん。セルゲイ一人で足りるんだし、ノルシェの索敵に引っ掛からないようなら、私達には御手上げだよ~」
ならばサボるな。
幼稚臭いが、『帰投して報酬を受け取り、家に帰るまでが依頼』、だ。……まぁ、報酬は振込みなのだが。
『セルゲイ、副官が先に着いたぞ?早く来いよ』
「中佐、焦らせないでください。……ただでさえグラナデは気分屋ですし」
『分かってる。……が、そこが良いとかほざく奴はいるんだよな……』
中佐だってその一人でしょうが。……いや、守備範囲が広すぎるバイだからなぁ、中佐は。
『お、俺の方からお前らが見える。……確かにふざけてやがるな、グラナデ。……ウチの部隊に放り込んだら、瞬く間にヤられそうだ』
「……“教育”はどうしたんですか?」
呆れながらも、前方を再確認。
穏やかな丘の斜面。
……約500m先に輸送ヘリが見える。
「こちらも、輸送ヘリを確認。数分後に合流します」
『おぅ、了解。怪我はすんなよ?』
軽い心配と共に、無線が切れ、
「ほら、後500mぐらいは我慢しろ」
俺はグラナデに注意を促す。
口頭注意で済めば良いのだが……まぁ、済まないだろう。
むしろ、遅くなるかも知れない。
(根は真面目なんだがな……)
『人生、楽しく生きなきゃ損』が、グラナデの心情だったか。
この思想は一理あるとは思っている。が、誰も彼もが享楽的なら世界は回らない。
苦労人がいて、初めて世界は動くものだろう。
(……何を今更)
思案を打ち切り、
「先に乗れ」
あと数m先の輸送ヘリにフィアとグラナデを乗せる。
「5分37秒93。約半分じゃねぇか。……まぁ、セルゲイも乗れ」
「あぁ」
中佐の軽口を受け流して、乗り込もうとした時――
『第8車両、125㎜残弾無――』
偶然聴こえた、第9機甲大隊の無線が爆発にかき消される。
雑魚に喰われたか?
『どうした、応答しろっ!?』
『おい……この物体のせいだろ?』
『……あん?どれだ――』
『機構大隊、ソイツはでけぇロボットだよ。……どっかの夢見がちな馬鹿が造った奴だろ。……反吐が出る。……お前ら、155㎜
しかし、相手は雑魚ではなく馬鹿デカイロボットだという。
冗談だろうと思いながら、周囲を見回すと、確かにいた。
漆黒の巨人――いや、馬鹿の発言を信じるなら、ロボット――が。
『なるほど、馬鹿の自己満足か。本当に反吐が出る。俺達もだ。
(……馬鹿共が)
先程の無線を聴く限り、そのデカブツ――仮にギガースとでも呼称しようか――はお前らの頭上だ。
撃てば当たるの精神なら死ぬぞ?
……いや、俺の予想通りなら、アイツらは謀殺されるが。
「おい、どうしたセルゲイ――――なんだアレ?」
俺が搭乗しない事を不審に思ったらしい中佐が降りてきて、ギガースを一瞥。驚愕する。
「……ロボットだと。……戦闘用なら開発者は馬鹿だがな」
「ロボット……ねぇ。確かに、戦闘用ならアホだな」
図体が大きいという事は当然、被弾面積が大きく、加えて各種装備に割けるペイロードも低下させる。
「……どうする?」
「待機だな。……危険は承知であのロボット――便宜上、以降はギガースと呼ぶが――の性能を見ておきたい」
情報は多い方が良いからな。
「アレが軍の新兵器かも、と?……用心深いな。が、俺も賛成だ」
中佐も納得し、双眼鏡と筆記用具を取り出した。
「しかし、ギガースか。ギリシャ神話の巨人の名前だったか?」
軽口と共に渡される双眼鏡を受け取り、観察開始。
「どうだったか。……まぁ、ガイアは買い被りに思えた。……目測だが、ギガースの全高は13mぐらいだな」
「13mか。歩兵との連携は無理だな。……この半分程度なら、丁度良かっただろうに」
同感だ、中佐。
10m以上の戦闘用ロボットは不要だ。デコイにしかならない。
加えて、どう見てもギガースは二足歩行。
バランサー調整がシビアな上に、ちょっとした衝撃でエラーが発生しそうだ。
『第34~40車両大破!』
『お前の目は節穴か!?第70~80車両も大破してるだろっ!』
「火柱多数。機甲部隊はすぐに全滅だな。手持ち武装は大口径……多分88㎜か?……の多砲身回転式機関砲と大型列車砲クラスのロケットランチャー。後は外装に……アレは杭打ち機」
手持ち武装も火力偏重。単機戦闘が主体か。
……しかし、即応性に欠けている。
砲身がスピンアップしなければ定格射撃が出来ない多銃身回転式は突発的な戦闘に向かないが、時間辺りの火力は確かに、高い。
同時に弾切れも早く、航空機用機銃のアレも数秒で全弾撃ち切る。加えて、ギガースのヤツは無駄に大口径である為、重量の肥大化は元より、駆動モーター整備が大変だな。……単砲身の機関砲が良いだろうに。
それに、ロケットランチャー……これはどうでもいいか。火力がある以外は重いだけ。杭打ち機なぞ論外だ。どうせ開発者の趣味だろう。
――次だ。
「……セルゲイ?」
と、観察を続けようとして、ノルシェも寄ってくる。
「…………出来損ない」
俺達の観察するギガースを一瞥、そう評した。
「……無駄ばかりの兵器を観察?」
「そうだ。俺と中佐の予想以上に装甲が厚いがな」
あの図体だ、さして装甲は厚くないだろう仮定していたが、120㎜クラスのAPFSDSを食らって数cm程度抉れるだけとはな。
「……そう」
いつも通りの興味無さげな声と共に、隣に腰を下ろすノルシェ。……観察に混じるか。
ギガースは既に機甲部隊を壊滅させ、残存しているであろう魔物と殺り合っているように見える。
「……頭部パーツをパージ。趣味の悪い髑髏型だ。飛行能力もある。……背部に増槽付きと思われるブースタ。他には全身にあるな。姿勢制御用か?」
何にしても、ブースタは脆弱な上に誘爆で無駄なダメージを負う原因。それがあんなに装備されている所を見るに、肥大化した自重を無理矢理飛ばす為か。おそらく拡張性もほぼ無いだろう。
もし、予想通りなら兵器としては欠陥品と言わざる負えない。髑髏型頭部も心理効果を狙うにしては安直だ。
現状、評価できるのは、装甲程度か。
「……今更だがノルシェ、フィアとグラナデはどうしている?」
「睡眠中」
「……そうか」
グラナデは良いとして、フィアもか。……おそらく、行使したな。
「……っと、武装面の追加情報。内蔵ロケットランチャー……これは旧世代の艦砲クラス。……と、小型の攻撃機か?外見から察するに無人の機械制御。……搭載武装は航空機関砲とミサイル。種別までは分からないな」
内蔵ロケットも馬鹿としか言いようが無いな。火力にしか目が言っていないのだろう。継続火力は期待出来ず、ロケット弾元来の、低い弾道安定性を理解しているのか?
問題は無人攻撃機の方。火力は本体ほど高くない事は明確だが、多方向からの攻撃自体は多少、厄介だな。
「セルゲイ、後はギガースの速度は分かるか?」
「……そこまでは、な。ノルシェ、どうだ?」
「…………最高でも1200~1400㎞/h程度」
「……意外と速いな」
ノルシェの結論を聞き、ノートに纏めながら中佐は言う。
確かに、速いと言えば速い。これ以上は空中分解でもするのだろうか。……外観自体が空力特性無視に見えるし。
「データ収集はこんなもんで良いだろう。……さ、対応策を練るか」
「「了解」」
双眼鏡を下ろし、半円を描くように、体勢を変える。
「まず、俺達が持つような歩兵携行火器では装甲を抜けない。……で、セルゲイ。お前ならどう殺り合う?」
「間接部とブースタを狙う事が一つ。……とはいえ、ブースタを狙う場合は背部より全身の方が良いだろう。おそらくだが、背部の大型ブースタはパージできる」
ダメコンを考える余地がありそうだが、装備を見る限り対二足歩行兵器しか考慮されていない。ならば、変に装甲車両を揃えるよりは、俺達のような奴が対装甲兵器を装備した上で白兵戦を仕掛ける方がいい。
「まぁ、そうなるな。……ブースタの方は誘爆で内部構造にダメージを与えられる可能性もあるな。……しかし、それでは足りないだろうな」
「……アレだけの図体。歩行速度自体はスクータークラスの可能性が高い。ブースタ破壊後、武装の破壊?」
今度はノルシェが淡々と答える。
「……なるほど。そこでの課題は無人攻撃機だな。……見た感じ、何でやれそうだ?」
「正確にミサイルを狙えるなら、対物ライフルクラス。基本は
外観から見るに、継続火力はあっても、装甲自体は薄そうだからな。直撃なら対戦車ミサイルで破壊可能と考えられる。
「……オーケー。そこまでやれば、後はコクピット探して抉じ開け、グレネードでおジャン……ってか?」
「……あぁ」
「意義無し」
……まぁ、自爆されでもしたら終わりだが。
結論が纏まった俺達は再びギガースを一瞥。
断続的に上がる血飛沫を見る限り……俺達が出る必要は無さそうだ。
「……後は傍観――か?」
「……帰投した方が良い」
中佐の発言をノルシェは否定し、続ける。
「偶然洩れ聴こえた司令部の無線で、爆撃機に関する指示があった。……おそらく、爆撃地点はこの辺り一帯」
「……そう来たか、クソ野郎共」
舌打ち。
謀殺にそこまでやるとは……多分、あの老害狸だな。
「上の帰投指示はそれが原因か。……急いで離陸する。乗れ!」
中佐はコクピットに入り、俺とノルシェは側面機銃座へ。
数秒後に、メイン、テイルローターが唸りを上げて離陸。
「セルゲイ、グラナデとフィアを座席に固定したか?」
そう言われ、二人を一瞥。……シートベルトは着いている。
「大丈夫だ」
「じゃ、飛ばすぜっ!」
増設されたブースタが火を噴き、ヘリは急加速した――
数時間後、帰投した俺達はマスターの店に集まる。
「ひでぇ目に遭ったな、セルゲイ」
「いや、馬鹿が造り出した馬鹿な兵器を見ただけだ」
コーヒーを一口含み、皮肉混じりに答える。
「そうなんですかね、中佐?」
「あぁ、セルゲイの言う通りだ。あと、普通にフリーグでいいぞ、ウェブリー元大尉」
「俺には、そう思えないんだがな。……あの辺り一帯が更地になったらしいぜ。……まぁ、爆撃機の残骸が散乱しているらしいが」
……対空能力も良好か。ますます開発者は阿呆だな。
「別に良いじゃねぇか。……彼処の部隊はクソしかいなかったんだ。その爆撃機部隊だって、クソの謀殺用だったらしいぜ?……あ、ウォッカな」
笑って言い、ウォッカを注文。
「マジかよ……。あの狸ジジイのやりそうな事だ」
溜め息と共に出されるウォッカのグラス。ストレートかよ、中佐。
「事実、立案はその狸ジジイだろうよ。……まぁ、なんだって良いさ。どうせギガースは鉄屑になった。被害状況は酒の肴にもならねぇんだ」
「そうですね。……昼飯時にする話じゃねぇ」
「じゃ、飯にしようか」
「あぁ。天樹ちゃん」
「はい……」
マスターに呼ばれ、メイド服に似た制服を纏った天樹ちゃんが料理を運んでくる。
「どう……ぞ。セルゲイさん、フリーグさん」
料理の皿を受け取り、
「あんがとよ、嬢ちゃん」
「……無理はするなよ」
中佐は礼を、俺は気遣いを返し、食事にありついた――
――以上、戦火呼ブ黒キ巨人でした。
タイトル通り今作は、僕の同業者、アルファるふぁ氏の代表作《戦場駆動》とのコラボ作品です。
コラボと言うわりに、それらしい描写が少ないとは思いますが、半スパロボアクションと半歩兵作品を組み合わせる時点で、僕の技量不足が露見した次第であり、結果が今作というわけです。
10m超のスパロボ特機に歩兵が勝つなんざ、どだい無理な話です。
同様に、共闘もサイズ比から無理。知らず知らずに随伴歩兵をミンチに変えるのがオチ。
何にせよ面白いかどうかは保証できないってのが僕の総評。
作中のギガース=タナトスの視点はアルファるふぁ氏の戦場駆動にて閲覧してください。
では、こんな駄文にお付き合い頂きありがとうございました。