※この作品はR-18です。

Dirty Works~Piece of Story~   作:空薬莢

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有り得ない、という言葉は有り得ない。
よく、人が言う戯れ言だ。
可能性など、世界に存在するのならば、どんなに楽なものか。
所詮は、出来なかった自分への慰めである。

……本来、現実に於いてならば――




多重コラボ系
Another World War Breaker プロローグ


昼近くに部隊長両名が依頼を請け、エリアRos EIへと向かった。

現状、便利屋で待機しているのは、俺を含めた旧第65、第100歩兵大隊、第13機甲大隊のメンバーと、元民間人2名。

全員が、そこそこの実力を持っているだろうが、現状は……。

俺は談話室を見回し、心の中で溜息を吐く。

 

イスに腰掛け、5.56㎜自動小銃《AA SG36》の整備を行う天樹。

同じくイスに腰掛け、哲学書を読むグレゴリオ。

 

……この辺りは良い。有益な時間の使い方だ。……俺も見習うべき時間の活用法かもしれない。……が、残りはどうだ?

 

ソファ一を占領し、猫のように丸くなって惰眠を貪る、ヴェルファー。

壁に寄り掛かって、ヘッドフォンから漏れ聴こえる程の爆音でデスメタルを聴き、青年誌を読み漁るアラン。

 

酷い有り様だ。……因みに、この場にいないジャール、リベリ、シュトゥイークだが、それぞれが戦車の整備、ランニング、筋トレだそうで、こちらも有益な時間の使い方だろう。

(……どうにかならないものか)

アランは兎も角、ヴェルファーは依頼さえ入れば、元気になる戦闘狂(ウォー・モンガー)。

依頼さえ、来ればいいのだ。

と、思った矢先、俺の携帯端末が振動。

思った側から依頼とは……。

気が利く神様もいるものだね。……神の存在自体は信じたくないが。

端末起動。

届いたのは着信ではなく、メールだった。

最近はメールによる依頼も増えたらしいからな……。

で、肝心の内容は――

 

From Unknown

 

諸君らの腕を見込んで頼みたい依頼がある。

これは、魔物相手の依頼ではない。……人を殺める依頼である。その事を留意した上で、請けてくれるのならば、明日、武装した上で、下記のポイントに来てほしい。……内容は以上だ。良い返事を期待する。

 

(……依頼主、不明か)

しかも、対人戦の依頼。

昨今は魔物討伐の依頼が主である中、こういった人間を始末する依頼も来る事は来るらしい。

人によっては、便利屋は殺し屋の代替品なのだろうから、なんら不思議なことではないともいえるのか。

(……だが、キナ臭いな)

依頼主が不明な点は無視できない。

俺達に恨みを持つ連中からのお(、)誘(、)い(、)である可能性が…………いや、それはないか。

本気で便利屋を潰そうとするなら、武装した上で、なんて気の利いた事は指示しない。

つまり、自由業者(ギャング)やチンピラの可能性は限り無く低い。

と、なれば――

(……軍、金持ちの市民、資産家辺りか)

いや、軍は無いな。

上層部は俺達を人(、)間(、)的(、)に嫌悪こそしているものの、戦(、)力(、)的(、)には重要視しているはずだから。

資産家辺り…………が妥当か?

「ふぁ…………ん?」

ならば、始末する対象はなんだ?

 

――盗人?……いや、警備システムにも金は掛けているだろう。

――会社役員?……お抱えの掃除屋とかは無いか?

――市民?……まさかな。過去の独裁者じゃあるまいし。

――自由業者?……一番妥当か。俺達が出るまでも無いだろうけど。

 

と、思案に耽っていると――

「何見てるのー?」

「うおっ!?」

頭上から、端正な顔が降ってきた。……それも、至近距離に。

端正な顔の持ち主はヴェルファー。……というか、こんなふざけた行動を取るのは、彼女しかいない。

あぁ、心臓に悪い。

「……少しはマトモな行動を取ってくださいよ、ヴェルファーさん」

「取ってたよ?でも、エイノが気付かなかったからさ……やっちゃった☆」

小さく舌を出し、はにかむヴェルファー。

嘘を言っていないか、この女は。

何度も声を掛けたのならば、周りの奴らが……少なくとも、グレゴリオか、天樹が気付くはずだが、それがない。

つまり、最初からふざけた手段で声を掛けてきたのだろう。

(……まぁ、キレても……何も変わらないけどさ)

一週間そこらしか、ヴェルファーに関わっていないとはいえ、大抵の事は言っても無駄だと理解している。

だから諦め、

「……依頼、みたいですね」

端末の画面――そこに表示されるメールの文面を見せる。

「……へぇ…………対人依頼かぁ。……私は請けたいな♪」

画面を一瞥したヴェルファーはやる気だ。

「依頼か。……俺にも参加させろよ」

次いで、ヘッドフォンを外したアランがやって来る。こちらも、やる気満々。

「お好きにどうぞー」

「了解だ。……で、エイノ。テメェはどうすんだ?」

勝手に話が進み、剣呑なアランの目が俺に向く。

(どうするか……)

人殺しに抵抗は無い。

殺らなきゃ、殺られるならば……狩り尽くすだけだから。

生きる為にやる事に、本来ならば、罰則も糞も無い。

だったら――

「……請けるさ。ツーマンセルで済むような依頼でも無さそうだからね」

俺は生きる為に、人殺しを選ぶ。

 

翌日――

俺達は指示された場所に着く。

依頼通り、全員が武装済みで。

「さて……依頼主はどこにいるんだか」

首の骨を鳴らしながら、吐き捨てるように、アランは呟く。

「指定時刻の五分前だ。相手が時間を気にする人間だと思えば良い」

それに対して、冷静に答えるのはグレゴリオ。……彼もこの依頼に参加する事になっていた。……本人曰く、アランのストッパー役として。

信用が無いのか、アランは。

「そーだよ。依頼は依頼なんだからさ♪」

追撃を加えるヴェルファー。何処か楽しそうだ。

(……こんなメンバーで大丈夫なのか……)

色々と不安になるな。

が、俺は黙ったまま、談笑に耳を傾ける。

すると、

「来てくれたか」

依頼主と思われる、人間が現れる。

声質からして、20代の女性、身長は180くらいか。

体格、顔は薄汚れた厚手のローブによって、隠されており、分からない。

怪しい奴だな。……便利屋界隈で考えれば、依頼主がカルト集団なんてザラだろうが。

「これから詳しい依頼内容を話そう」

ローブの女は一旦、言葉を句切り、依頼内容を話し始める。

「君達が平(、)行(、)世(、)界(、)という存在を信じているか否かは解らないが、今回はある平行世界の一つが関係する。……ある平行世界――便宜上、以降はヴァルハラとでも呼ぼうか――は、現在世界規模の戦争状態に陥っている。……元はある国家の度重なる侵略行為に腹を立てた、世界政府が制裁行為を下した事を発端とするらしいが。……まぁ、そんな事は君達には関係の無い話だな。……依頼は簡単だ。君達は、この戦争を引っ掻きましてくれれば良い。……何か質問はあるかね?」

それも、矢継ぎ早な説明であり、質問の余地と言えば……

「……敵対勢力の情報があれば、提示していただきたい。……それに、平行世界への移動手段を俺達は持たないのだが?」

という、二つだけ。

「……あぁ、その二つか。……敵対勢力は現地の軍隊だ。少なくとも、君達が遅れを取るような連中では無いだろう。……次に、現地への移動手段は……気にしなくて良い」

女性がそう言うと共に、俺達は光に包まれ――

「私が送り届けよう。……目的を達したと判断した場合も、同様に、この世界へと送り届けよう。……では、行こうか」

視界が白く染まる。

「アンタは……何者なんだ……?」

全てが白く染まった中で、俺は女性に問う。まだ、気配を感じているからだ。

「何者、か。……一番分かりやすい表現を使うなら、“神”になるだろうな」

「……神、だと……?」

「大体、そんな者だ。私自身の事など、依頼には関係無いだろう。……もうすぐヴァルハラに着く。……幸運を祈っているよ、傭兵達」

それきり、“神”の気配は消え、視界が色を取り戻し始めた――

 

 

 




多重コラボ系短編 Another World War Breaker編のプロローグでした。
今回はDarty Worksにおける、導入編であり、コラボ自体はしていません。
参加したい方は早めに、僕に対して直接メッセージを下さい。
では、拝読ありがとうございました――

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