※この作品はR-18です。

Dirty Works~Piece of Story~   作:空薬莢

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さぁ、始まるぞ。
火薬と硝煙に彩られた輪唱歌が。
悲鳴がボーカル。
楽器は銃声。
演出は血飛沫。
血塗られたステージで、踊れ!
それが兵士というモノだろう。



BreakⅠ 平行世界の歓迎

視界が色を取り戻した時、目の前に広がっていたのは――砂塵に彩られた廃墟。

中東辺り――いや、“神”の言葉を信じるなら、違う可能性はあるが。

「無事だったみてぇだな、メドヴェーチ10」

「取り敢えずは、全員無事か?」

「私は問題無いよー」

続いて聞こえた、仲間の声。

周囲を見回して確認したが、全員が無傷。各種装備も問題無さそうに見えた。

同時に――

「伏せろっ!」

グレゴリオが叫び、全員が反射的に伏せる。

頭上を飛翔していく弾丸の群れ。

(アイツ……戦場に直接送ったのか?)

下手をすれば、死んでいた。――いや、普(、)通(、)の(、)人間なら死んでいた、か。

ともあれ、伏せて弾雨を避けた後、近くの掩体に隠れ、肩掛けしていた5.56㎜突撃銃《JA AB-42》を構える。

セフティ、ボルト……リリース。

アモニッション……ロード。

そして、ヘッドセットを左耳に装着。

『前方、距離300。数は20』

直後、耳に届く、グレゴリオの索敵結果。

(20……二個分隊か)

対する俺達は4人――2班だ。

普通に考えれば、圧倒的に不利だが――

『20?少ない少ない!……メドヴェーチ7、座標指示を』

歩く火薬庫(ヴェルファー)は楽しそうである。……最後の言葉からして、迫撃砲でも使うつもりか。

『了解した。…………南東297m、20x11mの範囲だ』

「OK♪……ロード。…………フォイア☆』

楽しそうな無線と共に、確かな轟音。

撃ち出されたのは60㎜の榴弾(HE)――と、もう一発、何かしらの迫撃砲弾。

数秒後に榴弾が花を咲かせ――

もう一発は火炎の華を咲かせた。……あれは焼夷弾だったのか。

『もう一発、落とすー?マスタードガス弾頭、クラスター弾頭もあるよー』

おい待て、ヴェルファー(メドヴェーチ3)。迫撃砲弾でその二種は止めろ。……というか、どちらも陸戦条約で規制されていた物だろう。当然の如く、今は対魔物限定で使用自由だが。

(……いや、待てよ?)

条約云々は俺達の世界では、ということだ。平行世界全てで同じ条約があるなんて事は無い。

つまり……今回の依(、)頼(、)に(、)限(、)り(、)、使用制限は無い。

『…………メドヴェーチ3、同範囲にクラスター弾頭』

グレゴリオも同じ結論に至ったらしい。多少の間はあったが、クラスター弾頭の使用を指示。

『各自、セフティは外しておけ。……炙り出した奴から潰す』

『了解!』

『Да♪』

「了解した」

各々の返答に紛れ、また一発、迫撃砲弾が飛翔。

クラスター弾頭は外装式だったらしく、口径は120㎜程度はありそうだ。

同砲弾は暫し飛翔し――破裂。

複数の子弾が炸裂弾の雨となって、敵のいるであろう地点に降り注ぐ。

舞い散る爆発の華。

何とか確認できた、宙を舞う人間の腕。

それらを確認しつつ、俺は掩体から疾走。

次の掩体へと移動。

『……掩体をうまく使えよ』

移動しきってから、聴こえたグレゴリオの指示。

遅いが、恐らくはアラン辺りが銃剣突撃でもしようとしたのだろう。何処の騎士気取りだ。

(……さて、次の掩体は――っと!)

掩体から僅かに顔を出そうとし、引っ込める。

数㎝脇をライフル弾が飛んでいったからだ。

先程のクラスターで数人は殺っただろうが、おそらく10人程度は残っているだろう。

ならば、着実に行かないとな。

『フォイア♪』

思った矢先、迫撃砲弾は宙を舞う。

火薬を撒き足りないのか……。

そう思いながら、俺は移動するタイミングを見計らう――

 

 

(……チッ。敵も軍隊ではあるわけだ)

覗いたスコープの視界には、激しい弾雨と、掩体に押し込まれた状態のメドヴェーチ10、メドヴェーチ8、そして――

『フォイア☆』

掩体の影から迫撃砲による面制圧を行うメドヴェーチ3。

相変わらずだ。

(……こっちも仕事をしなければな)

スコープの取り付け先――7.62㎜狙撃銃《JA JSV》を構え直す。

レンジファインダー起動。

距離は……305mか。

微風、気温は高め……まぁ、修正は容易だな。

照準修正。

息を吐き、止める。

手ブレが減少し――トリガーを引く。

予め取り付けた減音器(S・サプレッサー)により、くぐもった発砲音となり、7.62㎜ライフル弾を弾き出す。

数瞬後に咲く、赤い華。

軽機関銃手を一人、無力化する。

狙撃手や突撃兵は根刮ぎ、間接砲撃で殺られたらしく、残っているのは機関銃手と一般歩兵だけだ。

ならば、狙うべきは機関銃手の方。

照準修正。

視界にカーキを基調としたタイガーストライプ迷彩の野戦服を纏う機関銃手の顔面を捕捉。

しかし、ヘルメットで脳髄の大半が防御される以上、一撃では殺りづらい。かといって、他の致命(バイタル)部位(エリア)である心臓も狙いづらい。

が、それは正面から撃ち抜く場合は、だ。

……再度、照準修正。

発砲。

撃ち出されたライフル弾が数瞬後に敵兵の左腕部に直撃。

骨を砕いて腕部、肋骨を貫き、心臓に着弾。同時に砕けた肋骨も突き刺さる。

致命的損害は与えた。衛生兵を呼んだところで助からんだろう……暫くすれば死ぬ。

「メドヴェーチ7より各員へ。……機関銃手(ガンナー)を潰した。支援を続行する」

『了解した。……移動開始をする』

『遅ぇぞ、メドヴェーチ7』

『了解、プレゼントの配達に行くよ!』

牽制役とも言えた機関銃手が死んだ事で、味方が一気に攻勢に出る。

俺も《JSV》のスリングを肩に回し、脇に立てていた7.62㎜分隊支援火器《JA AB-41-Pu》に持ち変え、移動開始。

『メドヴェーチ10、交戦開始』

『同じくメドヴェーチ8、交戦開始した!』

チッ、敵兵も白兵戦に持ち込んだか。

数の差に押される前に、位置に着かないとマズイ。

メドヴェーチ8、10は純白兵戦装備だが、メドヴェーチ3は擲弾兵――ひいては、対装甲と面制圧用の兵装が大半を占めていた筈だ。自衛能力は心許ない。

周囲を見回しながら、100m近く走り、丁度良いポイントを確認。

地面に身を投げ出しつつ、《AB-41-Pu》のバイポッドを展開。突き立てる。

目視で敵を探し――捕捉。

装着していたホロサイトを覗き、照準修正。発砲。

隙を見て、攻勢に出ていた一人の敵兵を挽き肉に変えてやる。

『まず、一人』

『一人殺った!次だっ!』

お、前衛も順調そうだな。安心――

『グレネード♪』

――出来ないな。

視界中で爆発。

苦悶の嘆きが聴こえる。一人は重軽傷のどちらかを負ったか?

反撃さえされなければ、良いから、ソイツは後回しで良い場合もありそうだ。

(……まぁ、それは後だが)

照準修正。

発砲。

メドヴェーチ8、メドヴェーチ10に横槍を入れようとする敵兵を殺傷。

狙える位置から、敵兵がいなくなる。

バイポッドを畳み、ハンドスプリングの要領で立ち上がり、《AB-41-Pu》を抱え、疾走。

残る敵兵は――数人程度か――っと、隠れていたか。

抱えた《AB-41-Pu》を構え、射撃。

疾走中の射撃故に、元々低い速射時の精度は一層低くなっていたが、何分、距離は100m以近だったから問題無く、敵兵はミンチに変わる。

同時に切れる弾帯(ベルトリンク)。

足を止めずに、ボックスマグを落とし、機関部(レシーバー)上部のフィールドカバーを開放。

スペアマグを取り付け、収められた弾帯を薬室に装填。

カバークローズ。

ボルト、リリース。

ファーストアモ、ロード。

次の敵兵は――――何っ!?

周囲を見回した俺は、砂塵を巻き上げながら、こちらに向かってくる兵(、)器(、)達を見つける。

「メドヴェーチ7より各員へ!敵の増援、主力戦車4――後は……全高5m程度の二足歩行兵器(ロボット)が4だ」

『二足歩行兵器?そいつぁ空想科学の産物だろ!見間違いじゃねぇ――って、ホントだ!!』

俺の発言に食って掛かったメドヴェーチ8は、すぐに驚愕の声を上げる。……実物を見たらしい。

『無駄話は後にしましょう。今は増援を排除するのが先では?』

一方で、メドヴェーチ10は落ち着いていた。こういう奴がいるチームは良いものだ。

同時に、

『主力戦車に……二足歩行兵器?良い鴨だよ♪』

狂喜的な発言をする専(、)門(、)家(、)がいた。

 

 

視界に移る、鋼鉄の塊達。

双方が、砂漠での迷彩効果に優れ、私達の世界で言うと、主にエリアU.S.が用いるデザートデジタル迷彩に塗装されていた。

まぁ、あんまり意味は無いけどね。

設置していた60㎜携行迫撃砲《AA TM20-R》の射角、方向を修正。

砲口から60㎜の成形炸薬弾を装填。

付属のトリガーを引き、発砲。

直後、照準修正。

60㎜HEAT、ロード。

再砲撃。

撃ち出された60㎜HEAT弾が薄い上部装甲を易々と貫徹。

余剰分のメタルジェットが内部を暴れまわったのか、二台の主力戦車がその行動を止める。

『メドヴェーチ8、敵戦車破壊!』

『同じくメドヴェーチ10、敵戦車を破壊した』

お、エデルとアグニが残りの戦車をヤっちゃったんだ……。

《TM20-R》を折り畳み、肩から提げたコンテナに格納。

代わりに、85㎜3連装ロケットランチャー《JA TRW-3》を取り出し、スリングは肩に。

そして、近くの掩体に向かってダッシュ。

直後、先程までいた地点に、弾雨が降り注ぐ。

砂塵の散り具合、地面の陥没具合からして、30㎜以上の機関砲弾かな。喰らったらミンチ確定だよ……。

とは思いつつも、《JA TRW-3》のセフティを解除。

遮蔽物から躍り出て――目標捕捉。

無骨な木偶の坊じみた――しかし、軍用然とした、人型兵器。

人間で言う手にあたる部位には、大型の機関砲が取り付けられていた。

比嘉の距離は700m程度。意外と足(、)が早い。

だが、《TRW-3》の射程内である。

外見から推測される、致命部位は――胴体中央。

スコープを覗き、トリガーを引く。

一発だけ、85㎜HEATロケットを撃ち出される。

向こうは掩体に向けて、射撃している最中。私がまだ、隠れていると思っているのか。

馬鹿だね☆

という、私の気持ちを代弁するように、HEAT弾が着弾。

敵人型兵器が崩れ落ちる。

「見かけ倒しだぁ……」

脆い。脆すぎるよ!

壊しがいが無い。

が、戦場で私情は省くべきだよね?

「じゃ、二機目!」

だから、もう一発を別の人型兵器に向けて発射。

同時に、移動開始。

残りの人型兵器を探す。

『メドヴェーチ8、敵人型兵器を破壊』

『俺もだ。案外脆いな』

けれども、味方に破壊されていた――

 

 




――以上、Another World War Breaker第一話でした。
最後の方にちょっとだけ登場した人型兵器は、水底のオッツダルヴァ様の《Eternal Girl~永遠の少女~》よりPDレイザーの空薬莢独自改修モデルです。
当然、本人から許可は貰っているのでご安心を。
では、次回はそれなりに間を開けて投稿します。
参加希望の方はお早めに、僕にメッセージをお送り下さい。
拝読ありがとうございました。
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