Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
火薬と硝煙に彩られた輪唱歌が。
悲鳴がボーカル。
楽器は銃声。
演出は血飛沫。
血塗られたステージで、踊れ!
それが兵士というモノだろう。
視界が色を取り戻した時、目の前に広がっていたのは――砂塵に彩られた廃墟。
中東辺り――いや、“神”の言葉を信じるなら、違う可能性はあるが。
「無事だったみてぇだな、メドヴェーチ10」
「取り敢えずは、全員無事か?」
「私は問題無いよー」
続いて聞こえた、仲間の声。
周囲を見回して確認したが、全員が無傷。各種装備も問題無さそうに見えた。
同時に――
「伏せろっ!」
グレゴリオが叫び、全員が反射的に伏せる。
頭上を飛翔していく弾丸の群れ。
(アイツ……戦場に直接送ったのか?)
下手をすれば、死んでいた。――いや、
ともあれ、伏せて弾雨を避けた後、近くの掩体に隠れ、肩掛けしていた5.56㎜突撃銃《JA AB-42》を構える。
セフティ、ボルト……リリース。
アモニッション……ロード。
そして、ヘッドセットを左耳に装着。
『前方、距離300。数は20』
直後、耳に届く、グレゴリオの索敵結果。
(20……二個分隊か)
対する俺達は4人――2班だ。
普通に考えれば、圧倒的に不利だが――
『20?少ない少ない!……メドヴェーチ7、座標指示を』
『了解した。…………南東297m、20x11mの範囲だ』
「OK♪……ロード。…………フォイア☆』
楽しそうな無線と共に、確かな轟音。
撃ち出されたのは60㎜の
数秒後に榴弾が花を咲かせ――
もう一発は火炎の華を咲かせた。……あれは焼夷弾だったのか。
『もう一発、落とすー?マスタードガス弾頭、クラスター弾頭もあるよー』
おい待て、
(……いや、待てよ?)
条約云々は俺達の世界では、ということだ。平行世界全てで同じ条約があるなんて事は無い。
つまり……今回の
『…………メドヴェーチ3、同範囲にクラスター弾頭』
グレゴリオも同じ結論に至ったらしい。多少の間はあったが、クラスター弾頭の使用を指示。
『各自、セフティは外しておけ。……炙り出した奴から潰す』
『了解!』
『Да♪』
「了解した」
各々の返答に紛れ、また一発、迫撃砲弾が飛翔。
クラスター弾頭は外装式だったらしく、口径は120㎜程度はありそうだ。
同砲弾は暫し飛翔し――破裂。
複数の子弾が炸裂弾の雨となって、敵のいるであろう地点に降り注ぐ。
舞い散る爆発の華。
何とか確認できた、宙を舞う人間の腕。
それらを確認しつつ、俺は掩体から疾走。
次の掩体へと移動。
『……掩体をうまく使えよ』
移動しきってから、聴こえたグレゴリオの指示。
遅いが、恐らくはアラン辺りが銃剣突撃でもしようとしたのだろう。何処の騎士気取りだ。
(……さて、次の掩体は――っと!)
掩体から僅かに顔を出そうとし、引っ込める。
数㎝脇をライフル弾が飛んでいったからだ。
先程のクラスターで数人は殺っただろうが、おそらく10人程度は残っているだろう。
ならば、着実に行かないとな。
『フォイア♪』
思った矢先、迫撃砲弾は宙を舞う。
火薬を撒き足りないのか……。
そう思いながら、俺は移動するタイミングを見計らう――
(……チッ。敵も軍隊ではあるわけだ)
覗いたスコープの視界には、激しい弾雨と、掩体に押し込まれた状態のメドヴェーチ10、メドヴェーチ8、そして――
『フォイア☆』
掩体の影から迫撃砲による面制圧を行うメドヴェーチ3。
相変わらずだ。
(……こっちも仕事をしなければな)
スコープの取り付け先――7.62㎜狙撃銃《JA JSV》を構え直す。
レンジファインダー起動。
距離は……305mか。
微風、気温は高め……まぁ、修正は容易だな。
照準修正。
息を吐き、止める。
手ブレが減少し――トリガーを引く。
予め取り付けた
数瞬後に咲く、赤い華。
軽機関銃手を一人、無力化する。
狙撃手や突撃兵は根刮ぎ、間接砲撃で殺られたらしく、残っているのは機関銃手と一般歩兵だけだ。
ならば、狙うべきは機関銃手の方。
照準修正。
視界にカーキを基調としたタイガーストライプ迷彩の野戦服を纏う機関銃手の顔面を捕捉。
しかし、ヘルメットで脳髄の大半が防御される以上、一撃では殺りづらい。かといって、他の
が、それは正面から撃ち抜く場合は、だ。
……再度、照準修正。
発砲。
撃ち出されたライフル弾が数瞬後に敵兵の左腕部に直撃。
骨を砕いて腕部、肋骨を貫き、心臓に着弾。同時に砕けた肋骨も突き刺さる。
致命的損害は与えた。衛生兵を呼んだところで助からんだろう……暫くすれば死ぬ。
「メドヴェーチ7より各員へ。……
『了解した。……移動開始をする』
『遅ぇぞ、メドヴェーチ7』
『了解、プレゼントの配達に行くよ!』
牽制役とも言えた機関銃手が死んだ事で、味方が一気に攻勢に出る。
俺も《JSV》のスリングを肩に回し、脇に立てていた7.62㎜分隊支援火器《JA AB-41-Pu》に持ち変え、移動開始。
『メドヴェーチ10、交戦開始』
『同じくメドヴェーチ8、交戦開始した!』
チッ、敵兵も白兵戦に持ち込んだか。
数の差に押される前に、位置に着かないとマズイ。
メドヴェーチ8、10は純白兵戦装備だが、メドヴェーチ3は擲弾兵――ひいては、対装甲と面制圧用の兵装が大半を占めていた筈だ。自衛能力は心許ない。
周囲を見回しながら、100m近く走り、丁度良いポイントを確認。
地面に身を投げ出しつつ、《AB-41-Pu》のバイポッドを展開。突き立てる。
目視で敵を探し――捕捉。
装着していたホロサイトを覗き、照準修正。発砲。
隙を見て、攻勢に出ていた一人の敵兵を挽き肉に変えてやる。
『まず、一人』
『一人殺った!次だっ!』
お、前衛も順調そうだな。安心――
『グレネード♪』
――出来ないな。
視界中で爆発。
苦悶の嘆きが聴こえる。一人は重軽傷のどちらかを負ったか?
反撃さえされなければ、良いから、ソイツは後回しで良い場合もありそうだ。
(……まぁ、それは後だが)
照準修正。
発砲。
メドヴェーチ8、メドヴェーチ10に横槍を入れようとする敵兵を殺傷。
狙える位置から、敵兵がいなくなる。
バイポッドを畳み、ハンドスプリングの要領で立ち上がり、《AB-41-Pu》を抱え、疾走。
残る敵兵は――数人程度か――っと、隠れていたか。
抱えた《AB-41-Pu》を構え、射撃。
疾走中の射撃故に、元々低い速射時の精度は一層低くなっていたが、何分、距離は100m以近だったから問題無く、敵兵はミンチに変わる。
同時に切れる
足を止めずに、ボックスマグを落とし、
スペアマグを取り付け、収められた弾帯を薬室に装填。
カバークローズ。
ボルト、リリース。
ファーストアモ、ロード。
次の敵兵は――――何っ!?
周囲を見回した俺は、砂塵を巻き上げながら、こちらに向かってくる
「メドヴェーチ7より各員へ!敵の増援、主力戦車4――後は……全高5m程度の
『二足歩行兵器?そいつぁ空想科学の産物だろ!見間違いじゃねぇ――って、ホントだ!!』
俺の発言に食って掛かったメドヴェーチ8は、すぐに驚愕の声を上げる。……実物を見たらしい。
『無駄話は後にしましょう。今は増援を排除するのが先では?』
一方で、メドヴェーチ10は落ち着いていた。こういう奴がいるチームは良いものだ。
同時に、
『主力戦車に……二足歩行兵器?良い鴨だよ♪』
狂喜的な発言をする
視界に移る、鋼鉄の塊達。
双方が、砂漠での迷彩効果に優れ、私達の世界で言うと、主にエリアU.S.が用いるデザートデジタル迷彩に塗装されていた。
まぁ、あんまり意味は無いけどね。
設置していた60㎜携行迫撃砲《AA TM20-R》の射角、方向を修正。
砲口から60㎜の成形炸薬弾を装填。
付属のトリガーを引き、発砲。
直後、照準修正。
60㎜HEAT、ロード。
再砲撃。
撃ち出された60㎜HEAT弾が薄い上部装甲を易々と貫徹。
余剰分のメタルジェットが内部を暴れまわったのか、二台の主力戦車がその行動を止める。
『メドヴェーチ8、敵戦車破壊!』
『同じくメドヴェーチ10、敵戦車を破壊した』
お、エデルとアグニが残りの戦車をヤっちゃったんだ……。
《TM20-R》を折り畳み、肩から提げたコンテナに格納。
代わりに、85㎜3連装ロケットランチャー《JA TRW-3》を取り出し、スリングは肩に。
そして、近くの掩体に向かってダッシュ。
直後、先程までいた地点に、弾雨が降り注ぐ。
砂塵の散り具合、地面の陥没具合からして、30㎜以上の機関砲弾かな。喰らったらミンチ確定だよ……。
とは思いつつも、《JA TRW-3》のセフティを解除。
遮蔽物から躍り出て――目標捕捉。
無骨な木偶の坊じみた――しかし、軍用然とした、人型兵器。
人間で言う手にあたる部位には、大型の機関砲が取り付けられていた。
比嘉の距離は700m程度。意外と
だが、《TRW-3》の射程内である。
外見から推測される、致命部位は――胴体中央。
スコープを覗き、トリガーを引く。
一発だけ、85㎜HEATロケットを撃ち出される。
向こうは掩体に向けて、射撃している最中。私がまだ、隠れていると思っているのか。
馬鹿だね☆
という、私の気持ちを代弁するように、HEAT弾が着弾。
敵人型兵器が崩れ落ちる。
「見かけ倒しだぁ……」
脆い。脆すぎるよ!
壊しがいが無い。
が、戦場で私情は省くべきだよね?
「じゃ、二機目!」
だから、もう一発を別の人型兵器に向けて発射。
同時に、移動開始。
残りの人型兵器を探す。
『メドヴェーチ8、敵人型兵器を破壊』
『俺もだ。案外脆いな』
けれども、味方に破壊されていた――
――以上、Another World War Breaker第一話でした。
最後の方にちょっとだけ登場した人型兵器は、水底のオッツダルヴァ様の《Eternal Girl~永遠の少女~》よりPDレイザーの空薬莢独自改修モデルです。
当然、本人から許可は貰っているのでご安心を。
では、次回はそれなりに間を開けて投稿します。
参加希望の方はお早めに、僕にメッセージをお送り下さい。
拝読ありがとうございました。