Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
戯曲の裏に在りしは、貪欲。
では、遊戯の裏に在りしは何か?
答えは簡単。
――悪意である。
そこには白い円卓だけがあった。
円卓の周囲には何も無く、ただ
彼女達はそんな場所で、ゲームに興じている。
「……ふむ。“ブレン”。現状、君の召喚した者達はなかなか優秀だな」
円卓の一席に座る壮年の女性は言う。
「いえ。彼女らもまだまだですよ、“レイン”卿」
対して、ブレン、と呼ばれた白いローブを纏う若い女性は答える。
「それに比べて、何なんだかね、あの男は。やる気が感じられない。盛大に人選を間違えたのではないか、“ワルキューレ”」
一方で、長い銀髪を持つ中年女性は、仏頂面で佇む少女に問う。
「お黙りなさい、“メルクリウス”。私は彼に期待などしていません。穢らわしい汚物を処理したに過ぎません」
「潔癖症もここまで来ると気持ち悪い。……ところで君は誰か喚ぶのかい、“ヴォルフ”?」
銀髪の女性――メルクリウスが吐き捨てるように呟き、円卓の一席を占有する、端正な顔付きの少年に聞く。
「……あぁ。人間にしてはやれる奴らだ」
少年――ヴォルフはそれだけ言うと、黙り込む。
「シャイな子供だ。……“マキナ”、君はどうなのかね?」
続けて、会話の矛先は、無骨な巨漢へ。
「……未定だ」
巨漢――マキナの発言もそれだけ。
「やれやれ、揃いも揃って張り合いが無い。レイン卿は誰か召喚したのかね?」
「いや、残念な事に候補が見つかっておらんのでな。……実に残念だ」
「それは残念ですね」
「まぁ、別に見つからずとも構わんのだが。現状でも退屈凌ぎにはなる」
相変わらず食えない二柱だ、とブレンは苦笑。
我らにとっては何の被害も無い、机上の遊戯。
だが、駒には命がある。
命在りしものが、生きる為にもがく様を観覧するこの遊戯は、ブレンにとってはあまり好まれるものではない。
無論、人間達から見れば狂気の沙汰と言えなくもないが、それはどうでも良い。ブレンは――彼女達は人間ではないのだから。
それ以前にブレンに決定権は無い。仮にあったとしても、誰も従わない事は明白である。
だから、静観するしかない。
この遊戯の行く末を。
少なくとも、ブレンとマキナはそう思っているのだろう。
レイン卿は不明だ。メルクリウスはもっと不明だが。
楽しんでいるのは――“エレン”、“ヴァリアス”、“クラフト”、“カインズ”の四柱。
余程、退屈していたのだろうか。
更に平行世界の住人を呼びかねない雰囲気を醸し出す彼女らを止められる者はいるが、止める気は無い。
彼女達の誰しもが暇を持て余しており、退屈凌ぎを心から欲しているのだから。
故に、盤上の駒達による血と硝煙の
人智の及ばぬ存在の
――はい、今回は閑話ですね。
彼らの戦いは、いわば演劇の一幕です。
また、今話は多作者様の本コラボへの導入も兼ねています。
が、戦場に送り込む存在として利用できるのは《ブレン》と《ワルキューレ》以外になりますので、ご了承を。
速急に使ってほしいのは《ヴォルフ》君ですね。
では、今回はこの辺で。
拝読ありがとうございました――