Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
弱肉強食とは、自然の摂理である。
人間社会においても、当然の理。
だからこそ、受け入れなければならない事はある。
(さぁて……っと、私はロボットかな?)
《FL SA/AA-PSL》の照準器を覗き、こちらに旋回する一体のロボットをロックオン。
ファイア。
内蔵火薬によってミサイルが撃ち出され、一秒後にロケットが点火。後方奔流を撒き散らしながら、対象へと誘導開始。
「メドヴェーチ8はヘリをお願い。私はロボットを破壊する。……メドヴェーチ10、歩兵の排除を暫く任せるよ!」
次発装填しつつ、味方に指示。
『メドヴェーチ8、了解。……っても、既に一機撃墜したぜ?』
『メドヴェーチ10、了解。……ところで、ノびてる烈火はどうする?』
メドヴェーチ10の発言で、思い出す。
数分前に、昏倒させたんだっけ。
タイミングが悪かったなぁ……。
「あー……叩き起こしといて☆」
とはいえ、今は戦闘中。
オジサンが使えるかどうかはさておき、人手がいるのは確かだ。
少なくとも、歩兵数人を道連れにはしてくれるだろうし。
結論が着いたところで、再装填した《FL SA/AA-PSL》を構え直して、ロボットをロック。
ファイア。
『クソッ!
同時に、ヘリがペイロードである対戦車ミサイルを一斉射らしい。
鳴り響く重機関銃の唸り。
飛び散る空薬莢。
小気味良い戦場のコーラスをバックに、再装填完了。
ロック。
ファイア。
破壊。
ロボットの装甲が薄い事もあるが、一応はコクピットブロックと思われる胸部に上部から直撃するように撃っている為か、楽に破壊できる。
リロード。
残りは…………主力戦車3両、歩兵三個分隊、汎用ヘリ三機か。
弾薬は足りる。
主力戦車をロック。
パターンはトップアタック。
ファイア。
火薬に爆縮によって、ミサイルが撃ち出され、
一秒後に点火。
上空に向かい、
ロックした主力戦車の上部装甲へと急降下。
メタルジェットが薄い装甲を貫き、内部で荒れ狂う。
乗員が死傷したのだろう。停止する履帯と各種武装。
『メドベェーチ8、汎用ヘリ全機撃墜。……歩兵狩りに移行するぜ!』
『メドベェーチ10、了解。無駄弾には注意してください』
……ヘリは全機墜ちたか。
リロード。
残りは――6発かぁ。
と、残弾確認しつつ、装填作業が終わったところで、
「ってぇ…………ヒデェ起こし方だな。こんなんじゃ女の一人も抱けねぇぞ……」
後頭部を擦りながら、後部ガンポートへと出てくる烈火。
「寝言は寝て言って、オジサン。それに、強姦前提なら女は幾らでも抱けるから」
呆れ混じりに吐き捨て、次の主力戦車をロック。
ファイア。
破壊。
「Nice Shot……ってか?」
口笛を吹く烈火は無視。
リロード。
「ふざける暇は無いぜ、オッサン」
かわりに、メドヴェーチ8が相手をしてくれてる。
今のうちに……終わらせないとっ!
リロード完了。
ロック。
ファイア。
弾道確認をしつつ、《FL AA/SA-PSL》はコンテナへ格納。
かわりに、《AA TM20R》を取り出す。
60㎜HEをロード。
仰角調整。
「耳を塞いでてよ、オジサン!」
ファイア。
轟音と共に吐き出された砲弾は放物線を描き、
『一個分隊は殺ったみてぇだな』
チッ……1/3か。
残りが二個分隊程度なら、迫撃砲はオーバーキル。
「メドヴェーチ8、機関銃手と対戦車射手を優先」
『了解だ!』
「メドヴェーチ10、近い奴を潰すよ!」
『分かっています』
二人に指示を出し、《TM20R》は格納。
25㎜擲弾機関砲《AA AGSL01A1》を取り出す。
セフティ、リリース。
マグチェンジ。
25㎜APから25㎜HEへ。
対歩兵用にAPは勿体無い。
防弾装備を着けていようが、爆圧やらで内臓を潰せば殺れる。
「嬢ちゃん~俺様はどうすりゃいいんだ?」
「敵に向けて撃って」
軽い調子で聞いてくる烈火へ、かつてある軍隊で実際にあったらしい、ロケットランチャーの操作説明を返し、《AGSL-01A1》を構える。
一人、二人殺れれば御の字程度に考えよう。
えっと、距離は……約2000。
信管起爆時間修正。
仰角調整。
ファイア。
マズルフラッシュと共に、数発の25㎜HEを射出。
数瞬遅れて、軽い発砲音。
指定時間が経過し、発射したHEが起爆。
爆風と弾殻が数人の兵士を殺傷。
防弾装備に弾殻は阻まれるだろうが、衝撃は消えない。
一点に集中した衝撃と爆圧が内臓を圧壊させ、命の灯を消すのだから、無意味。
(……まぁ、普通は見えない事だけどさ)
2000m先の蟻を判別するようなものだ。常人が出来るわけない。
「玩具みてぇな音だな」
いいから、迎撃行動に移りなよ。
と、内心で思いつつ、次の目標へ。
信管起爆時間調整。
仰角修正。
トリガーを引き絞り、数発発射。
やや遅れて、突撃銃と思われる銃声も続く。
ようやく、攻撃開始かぁ。
遅過ぎる。
殺らなきゃ、殺られる世界で、この遅さは致命的だ。
そもそもが、黒や紺以外のスーツに良い印象は無い。
私から見れば、下っ端ホステスか、ヤミ金業者、ポン引きあたりにしか思えないからだ。……ホステスを除けば、全て社会のゴミ。
ゴミで廻る世界も存在はするけどね。
って、余計な考えだ。
射距離確認。
信管起爆時間修正。
仰角調整。
斉射。
同時に、マガジンリリース。
スペアのマガジンを叩き込み、ボルトコッキング。
とはいえ、既に大半の歩兵は殺っている。
(……これ以上は弾薬の無駄、だね)
擲弾はそれほど多く持てるわけではないから。
セフティ、オン。
《AGSL-01A1》を格納。
12.7㎜重機関銃座に着こうとしたが、
「当たらねぇっ!――って、良いもんあるじゃねぇか」
私が着くより先に、烈火がグリップを握ってしまう。
素人と雑な人間が扱う分隊支援火器ほど恐ろしい物は無いというのに。
(……まぁ、いいか。射線上に味方が出てくる事は無いだろうし)
コンテナから5.56㎜突撃銃《FL AF25 Ver.3》を抜き、構える。
確かに、車上(車内)からの射撃というのは、慣性の法則やら何やらのせいで弾道が安定しない。
が、それもある程度は経験と計算でどうにかなるというもの。
残る敵歩兵は三班程度。
狙いを定めようとするが、派手にバラ撒かれる12.7㎜小銃弾によって、掩体に隠れられたり、伏せられたりする。
面倒だなぁ……。
とは思いつつも構え直し、指切で数発発射。
伏せる敵兵に着弾するも、ヘルメットに弾かれる。
チッ……。
『メドヴェーチ8より各員へ。銃座の弾薬が切れそうだ!』
『撃ち過ぎですよ、メドヴェーチ8……いや、状況的に文句は言えないか』
無線状況から察するに、味方も手こずってる。
『敵歩兵群との距離、約1マイルか……。メドヴェーチ3、アイツらに酒は振る舞えるか?』
そんな中、メドヴェーチ7は冷静に聴いてきた。
酒……あぁ、
1マイル――1600m。
普通ならば、人力で届くわけが無い距離。
だが、人間を止めさせられた私達の中には、1マイルぐらいは飛ばせるものもいる。かく言う私もその一人だった。
「精密投擲を考えないなら、行けるよ」
『充分だ。何本送る?』
何本……精密投擲が無理だから、範囲攻撃で焼き殺すしかない。
取り敢えず――
「……三本で♪」
笑ってオーダー。
『聴こえていたな、メドヴェーチ10?』
『えぇ。すぐに準備しますよ』
というメドヴェーチ10の言葉から数秒後、
「メドヴェーチ3、三本とマッチです」
手渡しでウォッカのマグナムボトル三本と、官給品マッチが渡される。
尚、ボトルの口にはリンネルで塞がれおり、肝心のウォッカは最高度数で有名な97%のスピリタス。
良く燃えそうだ。
(……さて、お届けに行こうかな)
瞳を閉じて、身体に流れる血流を感じ取る。
そして、己の内で廻る“力”を8%で限定解放。
活力を感じたところで瞳を開く。
(……よし)
マッチを擦り、リンネルへ火を付ける。
煙を挙げるボトル達を掴み、振りかぶって――
「Урα!!」
三本纏めて投擲。
野球の送球等児戯レベルの速度でボトルが飛翔し、
敵歩兵群の近くの地面、或いは敵歩兵自体に当たる。
ボトルが砕け、アルコールに引火。
私達には分かる程度に、6つ程の火達磨が生まれる。
消化は間に合わないだろうから、苦しみながら死んでいくだろう。
(……ま、兵士ならば誰しも、死を意識するものだけどね)
そうでなくとも、生者への死という終焉は早いか遅いかの、安楽か苦痛か程度の違いしかないが。
マッチをしまう。
同時に、
「嬢ちゃん、酒投げやがったなっ!?」
烈火が激昂する。
「戦場で酒が飲めると思っていたの?飲むぐらいなら、消毒かモロトフ・カクテルとして使った方がマシなんだよ?」
「知るかよ、そんな戯言。酒は飲むものだろうが!」
……それこそ戯言だ。
「……ハァ。確かに、酒は飲む物だよ。……でも、それは一般人の一般社会における常識。……クドイけれど、戦場で嗜好品として飲むのは馬鹿のやる事」
炭化した兵士の死体を一瞥し、静かに言う。
「……メドヴェーチ3の言う通りだぜ、オッサン。消毒と鎮痛剤がわりには使うがな」
「そういう事だよ、オジサン。戦場から出てから、飲酒は考えてね♪」
『……お前ら、前方に別の野営地だ。恐らくだが、今殺った奴らの方の、な』
翌日――
輸送車が停止する。
目の前には、コンテナやら何やらで乱雑に造られた野営地。
「見たところ、敵はテント等の中だろう。メドヴェーチ3、爆発物は使うなよ?」
「了解」
「次にメドヴェーチ8、無駄撃ちは控えろ。メドヴェーチ10は気には留めておけ。……で、烈火は…………死なない程度に付いてこい」
「了解だ」
「了解」
「付いてけば良いんだな?」
私達は輸送車を降り、武装のセフティを外す。
『……行くぞ』
掩体に身を隠しながら、正面入口へ移動。
中を窺うと、
『…………別の奴らがいやがった』
深い緑色――オリーブドラフに染め上げられたトラック群が停まっていた――
――以上、BreakⅣでした。
今回もコラボ要素は少ないですね。
しかし、戦闘で場面切り替えがやりづらくなってきている。……何故だ。
因みに、作中であった某国のロケットランチャーの説明とは、某映画をご存じの方はよく見たであろうアメリカ軍制式採用の66㎜4連装焼夷弾ランチャー《M202(A1)》です。
同ランチャーの説明はただ一言、
『敵に向けて撃て』
だったそうです。そもそも、前後が解りづらい同兵装にこの説明は酷いものですけどね。
気になった方は調べてみてください。
では、今回はこの辺りで。
拝読ありがとうございました。