Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
嵐はいずれ去る。
同様に、人災もいずれは去る。
しかし、後に残る物があるかは、世界のみが知る。
※メドベェーチ3による化物としての虐殺劇をお楽しみください。
「ヒャァッハァァッーー♪」
転回した直後、私は輸送車から飛び降り、走る。
コンテナが風に煽られ、宙に浮く。
(主力戦車、二個師団。自走砲、並びに牽引式榴弾砲三個大隊。歩兵一個師団……ふっ、大量だ♪)
自然と口元が緩む。
腹癒せ代わりになるかな?なってくれなきゃ困るけど。
「メドベーチェ3より各員へ。私が陣形を崩す。後方支援は任せる。……3割以上出すかもしれないけど良いよね?」
走りつつも、味方に指示。
『……好きにしろよ』
『……了解しました。掩護しますよ、メドベーチェ3』
メドベーチェ8と10が早い段階で了解を示し、
『お喋りはそこまでだ。メドベーチェ10、掩護射撃の準備。メドベーチェ8は伏兵の警戒、及び排除。……行動開始だ』
メドベーチェ7は指揮を継ぐ。
『『「了解」』』
戦闘開始だ。
(……出力、19%)
仮死化していた細胞を一部活性化。
身体を駆け巡る微弱なニューロン間電流さえ知覚できる。
「さぁ、楽しもうねぇっ♪」
コンテナから、5.6㎜軽機関銃《FL FF-G Ver.2》を抜く。
セフティ、ボルトリリース。
残弾はたっぷりある。
「Ураааааааааааааааааа!!」
叫びつつ、乱射。
当てるつもりはない。所詮は牽制。
なにせ、残弾を気にする必要は無い。補給物資ならば、前方に腐るほどあるのだ。
何人かの兵士が流れ弾を食らい、絶命。
だが、全体からすれば微々たる損害。
比嘉の距離は約3000m。
疾走。
後を追うように、地面を抉る銃弾と砲弾。
(遅いなぁっ!)
欠伸が出る。
所詮は
残り1200m。
砲火が増す。
――出力、22%へ。
再度、加速。
自動装填機構があろうが、一射あたりの所要時間は数十秒程度かかる。
国連軍は飽和攻撃による殲滅を考えているようだが、当たらなければ意味は無い。
残り50m。
(……もう、私の領域☆)
さぁ、踊ろうか。
貴方達はどんな風に醜態を晒してくれるかな?
前方へのショートダッシュ。
「がっ!?」
一人の兵士の顔面へと膝を埋めると、軽い音を立てて、頸椎がヘシ折れた。
言うまでもなく即死。
そのまま、死体の胸部に貫手。
心臓を引き千切り、
「てやっ☆」
手近な兵士の顔面へと投げ付け、視界を塞ぐ。
更に死体から上腕骨を折り取って、投げ付ける。
狙い違わず、上腕骨は兵士達の大脳を貫き、脳漿と脳片を撒き散らす。穢いアートだ。
「ほらほら!もっと血を!もっと肉を!苦痛に歪む様を見せてよっ!」
用済みの死体を地面に叩き付けて粉砕し、《FF-G Ver.2》を掃射。
二十数体程度の死体を量産したところで、弾切れ。
投げ捨て、手近に落ちていた軽機関銃を拾う。
(型番は……《TA M241G》?システムウェポンかぁ)
汎用性が高いのは良い事だ。器用貧乏にもなりやすいが――っと、
サイドステップ。
直後、擦過する擲弾。
ショートダッシュ。
間抜け面を浮かべる兵士の口腔へ銃口を突き刺し、脳幹に数射。
引き抜き、死体が腰にぶら下げている手榴弾も奪取。
「もっと激しくしても良いんだよぉっ!!」
仁王立ちのまま、流し撃ち。
所謂、“漢撃ち”と呼ばれる行為だが、戦場では自殺行為とも言える。……逆に言えば、そのぐらい私に余裕があるとも言える。
『突出し過ぎだ、メドベェーチ3。充分に陣形は乱れている。下がれ』
「歩兵の陣形はね。これから機甲戦力を潰すよ」
こちらに向いた滑腔砲の砲口を一瞥し、無線封鎖。
走る。
跳躍。
主力戦車上部に着地。
車長用ハッチを抉じ開け、
「換気しようねー」
車長の頭部を蹴り潰して、手榴弾を投入。
ハッチ閉鎖。
起爆。
跳躍。次の車両へ。
同じように、車長を蹴り殺して、手榴弾で運転手と砲手の殺害。
手榴弾が切れれば、手近な随伴歩兵から強奪。
歯応えが無さすぎる。
これならば、魔獣と殺し合う方が、まだ歯応えがあるよ。
(……まぁ、人間が化物に勝てる道理は無いけれどね)
残る主力戦車は二個小隊程度。
最前衛は既に壊滅状態と言えるね。
問題は最後衛であろう、野砲。
面制圧火力は馬鹿に出来ない。
それに――
(蠅まで来たよ。数は8機ぐらいだけど)
増援として、攻撃ヘリも来たようだ。
「メドベェーチ3より各員へ。蠅が八匹飛んできたよ」
『了解だ。そっちは俺達に任せろ』
「りょーかい。……後衛を潰しに行くよ」
最後の主力戦車に手榴弾を投げ込むと同時に、無線を切る。
自走砲と牽引式榴弾砲の位置を識別。
(……やはりというべきか、前方に大量の一般兵がいるなぁ……)
邪魔くさいっ!
掃射。
派手な発砲炎と共に吐き出される、5.56㎜ライフル弾の弾雨。
射線上に存在する兵士達は頭部への着弾による即死か、防弾衣ごしの衝撃で内臓破裂を起こして死亡していく。
このまま押し切れかと思いきや、ボックスマガジン内の弾帯が切れる前に、射撃不能に。
(ジャムったっ!?)
一瞬、排莢不良を疑うが、違う。
《TA M241G》は全体的に見て、精練された旧米軍小銃に似ている。
おそらくだが、作動機構はガス直接噴射式という、劣悪な環境に向かないものの可能性が高い。
(
廃棄。
射殺した死体から、5.56㎜カービン《TA M241C》を奪い、射撃再開。
合間を縫って、対装甲ロケットランチャー十数本と、対物ライフルも拾う。
(……《TA M35A5》に、《SG PG2247A1》。撃てれば問題かな)
どちらも装甲目標である自走砲の破壊に必要だ。
次々と、予備弾倉が無くなっていき、敵兵の残数も同様に減っていく。
最後の弾倉へと交換した時には、自走砲と牽引式榴弾砲への進行を妨げる無粋な中衛がいなくなっていた。
《M241C》を格納。
《M35A5》を取り出す。
カバーオープン。
ランチャーチューブ、ディプロメント。
「一思いに爆ぜてよっ、臆病者さん♪」
笑顔と共に、トリガープッシュ。
白煙の尾を引いて、自走砲へと向かっていくロケット推進HEAT弾。
発射したランチャーは粗大ゴミ。
故に、榴弾砲の操作要員に向かって投擲。
数kgのチューブは兵士の胴体に当たり、脊髄を折る。
即死。即死を免れても、半身不随等の後遺症が残るのは確実だ。
今回は全員即死。
苦しむ時間が少ない分、多少は幸せだろう。
(恨むなら、恨んでくれて構わないよ)
依頼を受けているんだ、恨まれもする。
そう思いながら、私は新たなランチャーを取り出した。
「よしっ!コイツで最後だ」
俺は《FL SA/AA-PSL》のトリガーを引いた。
白煙の尾を引いて、飛翔したミサイルが戦闘ヘリの土手っ腹に着弾。
撃墜。
戦闘ヘリは今ので全部。
残りは、取るに足らない歩兵だけ。
機銃座に着いたメドベェーチ10が行う掃射で、ある程度は一掃できるだろう。
(俺はどうするか……)
迫撃砲による火力支援か?……いや、俺が迫撃砲を使うと友軍の頭上に、榴弾の雨が降っちまう。
では、狙撃銃?……300mが限度だ。副隊長なら、5マイル(約8km)ぐらいは普通に狙えそうだが。
(……出来るは索敵ぐらいか)
ショートレンジ主体では、それがやっとか。
(俺もフィアの事を言えねぇな……)
あそこまで近接偏重ではないが、俺とて射撃精度は高くない。
さて――
目を閉じ、耳を澄ます。
――聴こえるのは、爆発音と兵士の悲鳴。……それに、メドベェーチ3の嬉々とした声。
(……相変わらず容赦ねぇな)
マスコット的な外見そのまま、やっている事はシリアルキラーとかのソレだ。
……もう、アイツだけで良いよな?
隊長、副隊長、そしてメドベェーチ3。
この三人の実力は頭一つ抜けている。……元々の所属を考えれば、当然なんだろう。
「何考えてんだか……」
呟いた直後、俺の耳が爆発音とも、悲鳴とも、メドベェーチ3の声とも違う“音”を聴く。
それは、重量物が空を切り裂いて、自由落下するような音。
(何が来るって言うんだよ……っ!)
例の人型機動兵器か?あんなもん、自由落下させたら、脚部がお釈迦になって終わりだろっ!
だとしたら、なんだよっ!?
と、思った直後に、メドベェーチ3からの無線が響く。
『メドベェーチ3より各員へ。……面倒なのが来る!6機程ねっ!』
はい、AWWBⅨ話でした。
久々にやると、戦闘描写が雑になりますね。
流石は深夜クオリティ。……いや、何が流石なんだか。駄目だろ、普通に。
次回、端的に言えばジャイアントキリング……と、言えるのかな。
結局は化物と化物の潰し合いですから。
では、拝読ありがとうございました。