Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
誰が読むのか、銃火器解説シリーズ。
今回は短いです。
10分後――
「講義を再開する」
今度はスナリャートが講師を務めるようだ。
だが、彼女が手に持っているのは大型の銃火器――否、先程習ったばかりの戦闘用散弾銃。
何に使う気だ!?
「本時間は狙撃銃と対物小銃についてだが――」
発砲。
「ぶごぶっ!?」
「はぶっ!?」
「ごびゅっ!?」
「はみゅっ!?」
「ふにゅうっ!?」
「Pain!!」
「F※ck!!」
講堂内をゴム弾が駆け巡り、睡魔に負けた生徒達の眉間を強打する。
貴方(貴女)は頭を下げ、跳弾と悲鳴の地獄絵図から退避すべく、机の下に潜り込んだ。
――数分後――
「では、改めて……講義を再開する」
スナリャートの声を聞き、席に着くと――――死屍累々。
貴方(貴女)を除く全員が昏倒していたのだ。
「……周りの阿呆共は気にしないで。……貴方(貴女)は講義に集中してくれればいい」
そうすれば、五体満足で帰れる、とでも言いたいのか?
ともかく、講義を聞こう。
「まずは狙撃銃――Sniper Rifle――について。……この銃種が誕生したのは比較的最近、おおよそWWⅠ~WWⅡぐらいからである。……今回の場合の初出とは、明確に狙撃を目的として設計された銃火器、という意味であり、これ以前にも改修によって、簡易的な狙撃銃モドキは造られている。……まずはその辺りから話す。…………最初期の銃火器は滑腔銃身を使用している、という事は話した。……そこから推察できるだろうけど、空気抵抗の大きい球形弾頭を滑腔銃身で飛ばしても、命中精度が低く、100m程度の有効射程しか持たなかった。……だが、それを解決した一つがライフリング――つまり、ライフルである。……ライフルはミニエー弾の開発と共に、一般化し、時代が過ぎるに連れて精度、射程共に向上していく中で、狙い撃つ事――即ち、狙撃の概念が生まれた」
……周りを見回す。
何人かが船を漕ぐ。
学習しない人達だ。
「……さて、ここで狙撃をする意義について。……つまりは、狙撃手の存在意義についてとなるが、現代戦では多岐にわたる理由があるので、大幅に割愛し、大元の存在意義に絞れば、確殺性と暗殺となるだろう。気付かれずに、重要な目標を黙らせる、或いは、僅かな好機で最大限の効果を得る。……どちらも似たような事ではあるが、確実に殺す必要性、という点は一致する」
なるほど。
「続いて、最初期の狙撃銃について。……少し話したが、最初期の狙撃銃は通常の小銃に簡易的な改修を施した物、と説明したが、正確には精度の良い小銃に単眼鏡を取り付けた物。この単眼鏡が望遠照準器――つまり、テレスコピックサイト――一般呼称に於けるスコープの事を指す。狙撃に於いて、スコープも重要な要因だが、本講義では割愛する。……希望制でそちらの講義も行うけれど」
……またか。
「最初期の狙撃銃はそんな物で、現在に於いても狙撃銃と呼ばれる事もあるが、基本的にWWⅡまでは、こういう“簡易”狙撃銃が狙撃銃としての役割をほぼ担っていた、と思って良い。……もう一つ、狙撃を担っていた対戦車ライフルという物あるが、それについては限定的なので、後で話そう。……ここからは、明確に狙撃銃として設計される物について。……定義は比較的曖昧だが、基本的には望遠照準器、長く重い銃身を標準装備する小銃、と思っていればいい。企業ごとに、更に精度を高める工夫はあるが、それも割愛しよう。……多岐にわたる故、説明しきれない。……続いて、対戦車ライフルについて」
対戦車?
よく聞くけれど……。
「対戦車ライフル――Anti Tank Rifle――とは、その名の通り、装甲兵器である戦車の装甲を貫く為に開発された大型小銃。初出はWWⅠ中期ごろのドイツ。塹壕戦が主体であり、突破口としてイギリス軍が導入した新兵器に戦車があった。歩兵を薙ぎ払う重機関銃の弾は弾かれ、手にする小銃なんて豆鉄砲。尽く、蹂躙されたドイツ軍は、当時の制式採用小銃であった、《マウザー Gew98》を大型化した、口径13㎜の《M1917》という兵器を急造した。これが世界最初の対戦車銃と言われている。……が、急造品である同銃器はお世辞にも使えるとは、言い難かった。……弾薬の大型化は基本的に反動も増加させる。……しかし、《M1917》は反動吸収能力が低く、射撃の度に使用者の肩甲骨を折ったという。それ故に付けられた渾名は”Two Shot Rifle“。意味の由来は察して。……で、肝心の貫徹力。登場当初の戦車の装甲は貫通できたが、後継機では側面や覗き窓等の脆弱部位を狙う他なかった。……更に言えば、その貫徹力を保持できる有効射程は100m程で、改良されたWWⅡ時の対戦車ライフルでも300m程度だった」
……確かに、短い。
WWⅡ時に生まれた突撃銃と同程度だ。
「その後、対戦車ライフルはWWⅡ時にて、より勘弁かつ確実に戦車を破壊できる無反動砲と成形炸薬弾の登場によって衰退するが、大口径弾による良好な弾道は超長距離射撃に適するとして、戦後からは超長距離狙撃用途に扱われると共に、低強度紛争において、
対象が
「反動の軽減や命中精度の強化、軽量化が進んだ現代の対物小銃は、病弱でも無い限り、正規の射撃方法で肩甲骨を折る事は無い。体感的な反動は散弾銃程度とも言われている。……対物小銃の概要はそんな所。……最後に、狙撃銃/対物小銃の主な作動機構別の特徴を話そう。…………まずはボルトアクション。……そもそもがボルトアクション式の連発銃からの改造品であった為、この機構が多い。精度と信頼性に優れ、安価にしやすい。反面、速射性が低く、それなり以上の早撃ちにはかなりの熟練を要する。……次に自動式。始めから自動式狙撃銃として設計された物と、突撃銃等を改修する形で作られる物の二種類がある。……絶対的な精度は、ボルトアクション式に劣るが、速射性が高い為、外した場合の修正が効きやすい。……これで、狙撃銃と対物小銃の講義を終わる。次は機関銃についての講義。講師はクローフィに変わる。…………10分間の休憩に入る」
比較的、短時間で講義は終了した。
――はい、宣言通り短いです。
理由は、狙撃銃自体に関する説明自体は大半が弾道学やコリオリ力、三角関数の説明になる為です。
……これらは、まともに解説すると、かなり骨が折れる為ですし、一気に説明しては、理解できない方ばかりのような気もします。
では、今回はこの辺で。
次回は皆大好き機関銃編です。
拝読ありがとうございました――