Dirty Works~Piece of Story~ 作:空薬莢
誰が読むのか、解説シリーズ。
今回はみんな大好き機関銃編。筋肉モリモリマッチョマンの変態や、某人型兵器ご用達のアレとかですね。
数分後――
「さて、後が詰まってるんで……寝てる奴は無視して講義を再開すんぞ」
講師が再登場。
今回はクローフィさんか。
説明がすごく雑なのが、たまに傷…………だな。
「今回は機関銃――Machine Gun――についてだ。始めに定義について説明するぞ。基本的に、フルサイズ弾薬――つまりは小銃用の弾薬――以上を使用し、連続射撃が可能な自動火器、という具合。まぁ、これは狭義の方なんだが……一般的な認識なんだ。広義の方だと突撃銃や短機関銃、機関拳銃なんかも、機関銃扱いになっちまう為、まず使われない。機関銃の役割を担えんからな」
機関銃の役割?
「さて、起きてる奴らに聞くが……お前らは、テレビゲームは好きか?…………ま、そんな奴は軍隊にいらねぇけどな。寝てる奴はその類だろう。そのゲーム――特にアクションゲーム――は機関銃の扱い方を間違っている場合が多い。制作者が無知なのか、わざとやらかしているのかは知らんが。本来の機関銃は前述の定義から解るだろうが、両手保持+固定射撃が推奨されるデカブツだ。物にもよるが、片手保持でブッ放せる短機関銃とは違う。が、ゲームにおいて、機関銃=突撃銃ないし短機関銃という扱いになっており、現実の定義も
……映画?
何の事だろう。
「……っと、そろそろ歴史の方に移ろう。といっても、後装式小銃が出来た後の17世紀半ば位までは、全くなかったと言っていいんだがな。……で、17世紀半ば頃に、自動火器――まぁ、コーヒーミルとかみたいな機構を利用した手動連発式の機関銃が出来たんだ。有名なのは1862年に出来た、“ガトリング銃”だろう。前述の通り、手回し式で、複数の銃身を円形に束ねた銃身を回転させながら、小銃弾を連続的に撃ち出す物だ。アメリカ合衆国の西部開拓等で使用されたが、大型で展開速度に難があった。……現行の重機関銃もだけどな」
大型化は必然的、か。
大量の弾薬を短時間で撃ち出す以上、弾薬の積載や反動吸収並びに耐久性の観点から、大型化と重量増加が避けられなかった……という具合だろう。
「で、少し進んで19世紀初め頃。本格的な機関銃として、二種類の機関銃が出来上がる。歴史の授業でも珠に出るが、《ハイラム・マキシム機関銃》と、《オチキス(ホチキス)機関銃》だ。各国でコピーされまくり、日露戦争や第一世界大戦で猛威を振るった……という事実は既に耳タコだな。歴史の授業で聞かされるぐらいだから」
……そうなのだろうか?
教えるのは物好きな教師位では……。
「まぁ、有名なのはその辺りだが、この頃は短機関銃なのか機関銃なのか、突撃銃なのかよく分からない物も造られたが、機関銃の発展的な意味では、軽量化と取り回しの改善が大方の目的だった。……その結果、今までの給弾方式であるベルトリンク――即ち、弾薬を帯状に纏める方式から、小銃のような箱形弾倉に収める方式へと転換していくんだが、この辺で有名なのはアメリカ合衆国で開発された、BARだろう。正式名称はブローニング式自動小銃。一見すると、デケェ突撃銃なんじゃねぇか、と思うかもしれねぇが、コイツは軍に於いて、分隊に配備され、突撃時の支援などに使われた。早い話、現在の機関銃の運用方法の一つである“分隊支援火器”という概念の体現物だ。……この分隊支援火器は、軽量で継続的に火力を吐き出せる事が重視される。小口径ライフル弾を扱う機関銃が大体、これに当てられる……かな」
はっきりしてくれ。
「それから少し経った、1930年代以降、ドイツ――当時はナチスドイツで、固定用の銃架や照準器等の改良により、様々な用途に転用可能とした、《MG34》や《MG42》といったモデルが造られ、これらは汎用機関銃と呼ばれる。……現在では、前述の分隊支援火器と今述べた汎用機関銃がおおよその歩兵用機関銃の割り振りだ。で、次は重機関銃についてだが――コイツは、初期の機関銃のコンセプトまんま、より高性能化したもんだと思えばいい。運用方法はちっと変わり、装甲車やヘリに載っけたりするようになった、という点でな。……後は、軽機関銃か。コイツも、分隊支援火器に近けぇもんだ。ま、国やメーカーごとに呼称が違ぇから、大体の括りしか出来ねぇんだよな……」
……そういう意味では教科書等は作りづらいのか?……まぁ、分類は現場にはどうでもいいかもしれないが。
「最後に、主要な機構――は、大体が自動式拳銃や突撃銃と被るから省略して、銃身と冷却についてだ。機関銃ってのは、銃身交換を頻繁にやる種類だ。時間辺りの発射弾数が多いから、銃身が熱や摩耗で早く駄目になるからだ。それ故に、銃身交換が簡単にやれるよう、メーカーでも様々な工夫を凝らしている。が、初期では、耐熱手袋を着けて、熱々の銃身を引っこ抜いて、新しいのをブチ込む――なんて具合だったからな。……今でも、そういう種はあるがな。で、冷却方式だ。当然、交換が容易とはいえ、銃身は長持ちさせてぇもんだ。懐的な意味で、な。そん為に、銃身を冷却する方法としては、《水冷式》と《空冷式》がある。現在は空冷式が多い」
運用上、避けられない問題点に対する解決策……の説明。
重要な事だ。
「その理由だが、水冷式が言ってしまえば、水を満たした筒で銃身を覆い、気化熱で冷却する手法で、機構の都合上、水の循環を必要とし、戦闘重量が重くなるという欠点がある。それ故に、空気の対流による効率的な熱放射で冷却を行う空冷式が増えてんだ。こっちも手法によっては重くなるが、水冷式程じゃねぇ」
確かにそうだ。液体は意外と重く、嵩張る。
「……これで機関銃については終わ――りじゃなかった。主な形式についての説明を忘れる所だった」
忘れては不味いであろう事を……。
というか、省略すると言っていなかっただろうか?
「ざっくり言うと、4つぐらいの形式がある。一つは、今まで説明したような単銃身で、ガス圧で駆動する奴」
……一般的な自動火器にありがちな手法。
「二つ目は、主に車載用や航空機用に使われる、回転多銃身式で、所謂ガトリング銃に駆動装置を着けたようなヤツ……というか、アメリカの《M61 バルカン》の誕生理由がそんな感じだ。一般に、《バルカン》とか《ガトリングガン》とか《チェーンガン》とか呼ばれるが、どれも正式名称じゃねぇ。バルカンは特定種……アメリカの《M61》シリーズのみを差す名称で、ガトリングガンは前述の通り、《バルカン》の原型の名称。要するにどちらも商品登録名。最後に至っては、とある映画に於いて、翻訳家が『なんとなくダサい』という、ふざけた理由で使った全く別の機構を有する機関銃(機関砲)の通称だ。で、正式名称は《ロータリーガン》や《ロータリーオートガン》という。覚えておけよ」
……無知は罪、という事か。
「3つ目は、チェーンガン。コイツの定義は、単砲身かつ、薬室の閉鎖を行うボルトを外部動力機構と連結し、作動不良時でも強制的に装填と廃莢を行うもの、だ。性質上、作動不良時でも動き、信頼性が高い。主に、戦闘ヘリとかに搭載されている」
車載等が主体の信頼性が高い機構……。
「4つ目にその他で、複数の薬室を循環させつつ、装填と廃莢を行う、《リボルバーキャノン》。複数の銃身をリンクで繋ぎ、シーソーの如く交互に速射する《ガスト式》等が、航空機用として採用されたりするが、この辺は説明が難しいから割愛する」
それでいいのか?
「機関銃については以上だ。休憩を挟もう。次はロケットランチャーとミサイルランチャーについてだ」
そう言い、クローフィさんが出ていく。
起きて講義を聴いている者は少ない。
……最後にあるであろう試験等は大丈夫だろうか?
……なんて、心配したくなるほどが、居眠りしていた――
……というわけで銃火器解説、機関銃編でした。
最初の方でクローフィちゃんが言った、勘違い丸出しの映画はまぁ、アレですが……文章中通り、広義の意味では間違っていません。ごく一般的な狭義の方では間違い、というわけです。
……しかし、役に立っているのかな……この解説。
まぁ、触りしかやってないんだけども。
次回はロケット&ミサイルランチャーですね。
この辺も皆大好きな兵器か。
では、今回はこの辺で。
拝読ありがとうございました――