※この作品はR-18です。

Dirty Works~Piece of Story~   作:空薬莢

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人は堕ちていく。
どんなに聖人君子の如く振る舞おうが、必ず堕ちる。
それを怨むなど、滑稽だ――



The Unhuman's Party
プロローグ


 

目が覚めると、無機質な照明器具の光が俺を出迎えた。

(手術室か……?)

照明器具に、鼻をつんざくゴムの臭い。間違いない。

ならば、何故?

俺は怪我もしてなければ……いや、していたか。

あ(、)ん(、)な(、)事(、)をすれば、怪我して――傷を負って――当然か。

だが――

『これが今度の献体か』

『見た感じ、悪くは無さそうだ。……データ上は…………おぉ、コイツを見てみろ』

微かに聴こえる会話は、医師の会話ではなく、研究者の会話。……話から察するに、俺は実験台(モルモット)か。

『…………上物も上物だな。……コイツはやりがいがありそうだ』

『さて、話していてもしょうがない。……始めるぞ』

不審な会話が途切れ、腕に無針高圧注射器が押し付けられる。

(ぐっ………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!)

耐え難い痛みが全身を駆け巡り、内側から肉と骨を破壊される感覚に、絶叫。

視界が赤く染まり、血の塊を吐き出す。

『量が多すぎたか?』

『いや、そう思うのはまだ早いだろう』

研究員の会話が聴こえていたが、内容までは分からずに、意識が途切れ始める。

――俺、死ぬんだな…………。

短い上に……クソッタレな人生だった。

来世では……マトモな生き方…………出来ると……良い……な…………。

そこで、意識は途切れた――

 

 

次に目を覚ますと、今度は白い無機質な天井が出迎える。

……病室か。

あまり働かない頭で結論を出し、再び瞼を閉じる。

世界は俺を殺さなかったらしい。

意外なものだ。殺されても文句は言えない筈なのに。

「……目が覚めたか?」

思案に耽る俺に、声が掛けられる。

(……医者か?)

思案を邪魔された事に苛立ちながら、声の主を探す。

天井同様、白で統一されたいかにも病室といった趣の中、部屋の雰囲気に似つかわしくない男。

ODで纏められた厚手の作業着のような服。考えるまでもなく軍用の野戦服。それを纏う男は駄肉無き筋肉質な体躯に、長めの銀髪。顔立ちは整っているものの、何処かやつれていた。

「……アンタは?」

「警戒するな……って、言っても無理はあるか。まぁ……落ち着け」

「……落ち着いているさ」

「結構」

コイツは何を言いたいんだ。軍の奴だとは分かるが――

「なんで軍人がいるのか、と思っているな?ここが軍の病院だ。補足するとお前は軍人だ」

「……冗談だろ?」

「冗談を言うように見えるか?」

「……いや、見えない」

「詳しくはこれを見てくれ」

そう言って、男から茶封筒を渡され、

中身を見る。

「…………冗談だろ」

内容は俺をエリアRos正規軍第17特殊強襲中隊へ一等兵として配属する事について。

冗談だと思いたい。徴兵制という概念が復活してかなりの年月が経っている。とはいえ徴兵は例外を除き、高校卒業後からのはず。

年齢だけで言えば、俺は高校一年生にあたり、徴兵されるのはおかしい。

「何事にも例外(イレギュラー)はある。実の所、徴兵外年齢からの徴兵対象はお前ともう一人いるんだがな……」

「……例外、ね」

そこで思い出す。

徴兵される対象の条件で、俺が該当するものはあった。

(……自業自得か)

諦めて受け入れろ、というのが社会の答え。

「……決心が着いたみたいだな。これがお前の制服だ。着替えたら出てこい」

突き出されたのは、野戦服。

「…………了解」

受け取り、ベットから立ち上がり着替え始める。男は既に部屋の外に移動したらしい。

手早く着替え、ショートブーツを履いて、外に出る。

「終わったようだな。……他にも説明する事があるが、それは移動しながら話す。……無論、ここを出てからだが」

男と二人、歩き出す。

廊下、フロントを抜け、建物外で出迎えたのは晴天と雪景色。

だが、見向きもせずに駐車場へ。景色などどうでもいい。

乗用車が散乱する中、無駄に目立つ角張った無骨な車体。

世間一般では装甲車などと言われる物。外見を見るに、高機動装輪輸送車といったところか。

乗れ、と目で訴える男に従い、俺は助手席に乗る。

即座にエンジンがかかり、輸送車は街中を走行。

「名乗るのが遅れたな。……俺はグローム・ジャール。第17特殊強襲中隊、中隊長を押し付けられた奴だ」

つまり、俺の上官というわけか。

「ついでに言うが、お前の情報は軍から勝手に送られてきた。……セルゲイ・モヴィーク。15歳、男性」

……酷い社会だ。個人情報云々を激しく訴えてるくせに。

「だが、個人のコードなんぞゆっくり覚えればいい。重要なのは”銃火器(武器)を扱えるか“だ」

「…………問題無い」

嫌というほど、世話になった物。骨の髄まで技術として染み付いている。

それ故に、言葉尻は自然とぞんざいになった。

「だろうな。……上のクソ共も太鼓判を推していた。……デスクワーク主体の頭脳労働者(ホワイトカラー)共がな」

「そんなに使えない奴らか……」

そう言えば、アイツも上はクソだとか言っていたな……。

「知っているなら復習だ。……上の連中で信用できるのは1割にも満たないと思え。……現実、信頼できるのは精々自分の部隊長位までだとな」

「つまり、俺が信用していいのはアンタ位までか」

「あぁ。基本的に、な。……後は追々、自分で見極めればいい。……目的地まではまだかかる。……暇だろうから、そこの本でも読んでおけ」

運転の邪魔をする気は、俺には無い。

指示された通り、置かれていた本に手を伸ばした――

 




――以上、Unhuman's Party編プロローグでした。
見て分かる通り、これはセルゲイ・モヴィークの過去編、第17特殊強襲中隊時代のエピソードです。
作中であった、もう一人の例外とは誰か?
……Darty Works本編を読んでいる方は分かりますよね?
では、今回はこの辺りで。
拝読ありがとうございました。

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