不感症
つくづく――と彼女はボヤく。
随所で腐敗の進む古びた家屋の中に二人。男と女が身を重ね合いながら互いの体温を確かめ合う。
水泡を携えて艶めく女の唇に男の唇が触れる。一度、二度と触れ合うと次は唇を覆う。
男が一方的に指を絡ませると、舌は勢いを増しながら女の口内を蹂躙する。舌のその様は獣そのもの。
息を荒げる男はベルトを緩め始める。その手つきは、男の興奮を色濃く鮮明に描写する。
「ああ、クソっ」
予想以上に手こずらされる男は口から焦燥感を吐き出し、覆い被さった女の体から身を離す。
締め付け過ぎたベルトを外すのを諦める男は、バックルごとベルトを引き千切る。
「構うものか」
それ程に男の興奮は最高潮に達しているのか、それとも目の前に仰向けのまま伏せる女が冷めてしまうのを恐れてのことか。
何れにせよ、枷の外れた男はそのままジーンズをズリ下ろし、シミの出来ている灰色のパンツを露わにする。
再び女に覆い被さった男の唇は三たび女の唇を犯し始め、両の手は女の胸部の膨らみを乱雑に揉みしだく。
獣の息遣いへと至る男の膨れ上がった膀胱を包み込む棒状の肉刀は、自身の納まるべき鞘を求めて唸り出す。醜悪な液体を滴らせながら。
「――挿れる、よ?」
男は女の返事を待たずして欲望のまま、既に不感症領域と化した女の体内へ体外にせり出した臓物を捻じり押し込む。
「はははは……」
薄っすらとした温かさが男を迎え入れると、男は一心不乱に腰を振り続ける。呼気を乱すケダモノはなおも悍ましい表情を女に降り注ぐ。
しばらくの前後運動の後、男は一度目の絶頂を迎える。ビクビクと小刻みに震える腰。それはまるで産まれたての子鹿のようにも見えるが、口から唾液をした垂らすその様は、やはりケダモノの以外の何者でもない。
絶頂の余韻に浸る男が醜悪な肉刀をゆっくりと鞘から引き抜く――と思われたのだが、男は再度それを鞘に納める。
鞘の中は白濁する粘着質な準滑液のお陰で、先程よりもスムーズに刀の侵入を許す。ケダモノの腰も同様に激しさを増しながら動く。
鞘の中の肉壁は次第に膠着して行くが、男はそれをむしろ喜ぶ。摩擦を楽しんでいるのだ。
「最高だよ。君が感じてくれて居ないのが残念で仕方がないけどね」
ケダモノは氷のように冷たくなった女の唇を舐め回す。愛おしそうに、甘美な味わいのドロップを舐めるよう執拗に、醜悪に。
つくづく――救えない男。
意識の事切れた彼女は、永劫の闇の中でボヤいた。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
初めての投稿ですので、お見苦しい箇所などがあったかとも思いますが、今後も精進致しますのでどうぞよろしくお願いします。