いつの間にか晶の荷物が増えている。
それを指摘した僕に……。
「なんかさぁ、晶の化粧品とか服とか、どんどん増えてない?」
ヘッドボードに背中を預けて晶を見ていた僕が、なんとなく思ったことを口にした。
晶は風呂上がりのパジャマ姿で化粧水だか乳液だかを顔に塗り、洗い髪をブローしている。トレードマークとも言えるヘアバンドを外した、これもプライベートでしか見られない姿だ。
「そう? 全然たいした量じゃないじゃない。それに2日続けて同じ服なんか着てたら、他の人に何を言われるか分かったもんじゃないわ」
鏡に映った晶が僕を見て、でも手は止めずに答える。
「そもそも最初はこんな量じゃなかったよね。ここ、僕の部屋なんだけど?」
都心の自宅マンションから大学までは遠いからと、晶が僕の部屋に初めて泊まったのは3ヶ月ちょっと前のことだ。それから泊まる回数が少しずつ増えていった。最初は平日。それから週末。今では週のほとんどを晶と一緒に寝ている。
それに伴い、晶の私物も徐々に僕の部屋を侵食していく。もともと1ルームの部屋なのに、すでに半分以上の面積を晶の荷物が占めている。……いつの間にかハンガーラックが部屋の隅に立ち、晶の服が30着以上かかっている。
「文句言わないの。ここからのほうが大学にも近いし、それに泊まるなら必要じゃない」
「だからってその化粧品、そんなに何種類も必要? それに服だって」
「あら、私に綺麗でいて欲しくないの?」
「そういう意味じゃないよ。晶は誰が見ても美人だし……。でも正直これ以上キレイになってほしくないかな」
「なにそれ!」
語気が強まる。
「だって今でさえ多くの人から注目されてるんだよ? これ以上キレイになられたら寄ってくる男がますます出てくるだろうし、僕は心配だよ」
「それなら大丈夫。だって、どんな人が来たってあなたが誰より好きなのは変わらないもの……」
振り返って笑顔を見せた。
そうしてベッドの僕に歩み寄るとひざまずき、
「ほらね。私が素顔を見せるのも、こんなことするのも、世界中であなただけなんだからね!」
そう言いながら僕に抱きついてきた。
……晶の髪や体から、ふんわりといい匂いがする。
気は強いけど、引くところは引いて僕を立ててくれる晶。その優しさに、ともすれば甘えている僕。
「晶ってこんなに甘えんぼだったっけ?」
軽くウエーブのかかった晶の髪を撫でながら笑顔を向ける。
うれしそうに目を細めた晶が
「うふふ、それもあなたにしか見せない『素顔』よ」
そのまま僕のお腹の辺りに顔をすり付けてきた。
しばらくそうしたあと、顔を上げた晶が出し抜けに僕のパジャマのボタンを外し始めた。
「するの?」
突然の流れに、やや戸惑いながら晶に聞く。
「あら、しないの?」
手を止めずに晶が返す。
「今日の晶さん、とっても積極的ですね」
からかうように言った僕に答えず、晶はパジャマの前を開けてしまうと
「ほら、お尻上げて」
そう言ってズボンも脱がそうとする。
「晶が『抱いてください』って言ったらしてあげるよ?」
その手を押さえて晶に問いかける。
「あなたが『させてください』って言うなら抱かれてあげてもいいわよ?」
晶が僕を見上げる。
軽口を叩きながら穏やかに笑っていた二人が真剣な面持ちに変わっていく。言葉が消える。
……やがて僕たちの唇が重なった。
強く抱き合い、舌をからませる情熱的なキスが続く。しばらくののち、銀の糸を引いて名残惜しげに唇が離れた。
「なによ…こっちはすっかり『その気』になってるじゃない」
ズボンの上から形を確かめるようにふくらみを撫でながら、頬をわずかに上気させた晶が挑発的な眼差しを向ける。
「こんなキレイな恋人とキスして、興奮しないほうがどうかしてる」
言い終わらないうちに晶を胸に抱きしめた。そして
「愛してるよ……」
ささやいた。
「私もよ……。大好き」
僕の腕の中で晶が答えた。
「おいで」
手をとり、晶をベッドに上がらせる。そうして僕の上に体を重ねさせた。
重みが心地よい。晶の温もりや柔らかさが僕を興奮させた。女体への獣欲が増し、呼吸が荒くなる。晶を強く貫き、奥深くに欲望を射ち込みたくてたまらない。
お腹の下で強張る男性器や僕の表情や態度からそれを鋭敏に感じ取ったのか、晶は
「……したくなっちゃったの? いいわよ。あなたならどんなことしてもいいし、どんなことでもしてあげる」
そう言って頬を染めた。
そのまま晶が体をずらす。
「ほら、お尻上げて」
さっきと同じセリフが晶からこぼれる。
でも今度は僕も抵抗しない。素直に腰を浮かすと、ズボンと一緒に下着を下ろされた。
それらがまとめて足先から抜かれる。
それから晶は僕の両足を広げ、間に入った。
「ふふっ…」
そしていたずらっぽい笑顔を浮かべると、人差し指の先で亀頭をつつく。他の指も加わり、カリのくびれや裏スジを撫で回す。
「んっ!」
その刺激に僕の口から呻きが洩れた。
それを確かめた晶が妖艶な笑みを浮かべる。そうして勃起の根元を握って角度を固定すると、僕の目を見ながらゆっくり顔を近づけていった……。
最初はまるで味見でもするかのように亀頭を何度も舐めまわす。
続いて少しずつ場所を変えながら淫茎全体に舌先を当てていく。
ちゅ、ぴちゅ……くちゅ
淫らな水音が鳴る。
自分が主導権を握ることを好む晶は、ベッドでもいつも積極的だった。フェラチオで僕を翻弄するのも好きなようだ。
見つめあいながら舌先で僕をさんざん焦らしたのち、晶は顔の横の髪を耳にかけた。ようやく本格的な「奉仕」の始まりだ。
亀頭を口に含んで吸い込みつつ、裏とか先を舌でチロチロする。じらすように、やさしくゆっくり責める。のどの奥深くまで咥える。それから僕のモノを味わうようにじっくりと幹の部分に舌を這わせ続ける。先端のくびれを唇で締めつける。僕を口に含んだまま顔を激しく上下させてこすりたてる……。
んむ…ちゅ…ちゅぽっ、ちゅぷ
それらの緩急自在な動きに加えて、左手は乳首に、右手は睾丸への愛撫も忘れない。男性器への抵抗がそれほどないのか、晶の攻めは大胆でありながらも丹念だ。僕は晶の髪に指を通しながら絶品の口技を堪能する。
「あぁ…晶、うっ! き、気持ちいいよ。……ま、待って! そ、そんなにしたら出ちゃう……」
こみ上げる射精感に声が上ずる。呼吸が切羽詰まったものになっていく。腰の奥の高まりが根本まで押し寄せる。必死に耐えなければ、このままでは本当に終わってしまう!
「もう? いいわよ? 出しなさいよ! あなたがイク時のエッチな顔、見ててあげるから……」
紅潮した頬で僕の目をまっすぐに見据え、しなやかな指でペニスをしごきながら晶が告げた。
……イキたい。
だが自分だけ絶頂する瞬間を見られる羞恥が僕をギリギリのところで踏みとどまらせる。
一方、悦楽に身をゆだねて晶の美貌や口内に精液をまき散らしたい欲求にも心が揺れる。
「晶のオマンコ舐めたい! オマンコ見ながら出したい! お願い…オマンコ見せて……」
「!」
折衷案の直截的な表現に晶の顔がさらに朱に染まった。
静かに僕から身を離し、晶がパジャマを脱いだ。夜用のブラも外す。
徐々に晒されていく裸身。
……何度も裸を見ているはずなのに、目が離せない。
凝視する僕の視線を意識してか、晶はわずかに頬を染めている。
「ばか…目がいやらしいわよ」
そう言いながらも晶はズボンも足から抜き去った。
「晶、そのまま僕をまたいで……」
「穿いたまま?」
ショーツに手をかけた晶が困惑の表情を浮かべた。
それでも素直に僕の言う通りにする。
長い足が僕の顔の上を通過した。
……直後、勃起が握られた。
そのすぐあとで温かく湿った空間に包み込まれる。フェラチオの再開だ。
さっきとは違う角度で剛直が愛撫される。握り方や舌の当たり方が変わったせいか、ペニスへの刺激の伝わり方が新鮮だ。
しばらく官能を味わったのち、
(晶にも同じことをしてあげたい……)
僕は目標を眼前のショーツに定めた。
目の前のクロッチが湿っている。僕を刺激しながら、晶も興奮していたらしい。
「晶…」
クロッチの上から陰唇の形をなぞるように舌を這わせる。
ビクン!
一瞬晶の腰が跳ねた。舌先から晶が離れる。
「ダメだよ、逃げちゃ」
そう言って晶の腰に両腕を回して固定した。
クロッチに鼻先をうずめて大きく息を吸う。晶から漂う「女」の匂いが僕を陶酔させる。
もう止められない。下着の上から指と舌を使って晶を攻めた。布が二重になっているにもかかわらず、クロッチの染みが大きくなっていく……。
「バ、バカ、脱がせなさいよ…パンツ汚れちゃうじゃない」
少し鼻にかかった晶の声が股間から聞こえた。
クロッチをずらし、陰唇に直接唇を付けた。
「ひゃうっ!」
突然の攻撃に、晶から悲鳴に似た声が上がった。
それに構わず、僕は淫溝の粘液を舌ですくい取った。舌の先をクリトリスに当て小刻みに振動させる。たちまち小豆ほどの大きさに肥大していく淫核を転がし、晶の中から滴る蜜を音を立てて吸う。
「ぁあん! ああっ!」
両の太ももで僕の顔を挟みつけるようにして晶が淫らに鳴いた。
ペニスへの愛撫は止まっている。晶の口はあえぎ声を出すことしかしていない。
さらにアナルに舌を伸ばした。
「ちょ、ちょっとバカぁ!」
舌先が敏感な部分に触れた瞬間、
びくんっ!
晶の腰が跳ねた。続けて
「や、やめなさいよ…」
か細い声がした。
薄桃色をした蕾のようなヒダがヒクヒクといやらしく収縮している。
僕は菊座の周囲を丹念に舌でなぞった。ひだの微妙な凹凸を興がり、さらにはボディーソープの香りしかしないソコを両の指で拡げ、舌をねじ込んだ。
「だ、ダメ! そこはイヤ!」
「さっき晶は『僕にならどんなことされてもいい』って言ったよ?」
意地悪く返し、菊門のひだを舌でほぐすように舐めまわす。
「でもそれ以上はダメっ! そんなことするなら、あなたのことキライになるわよ!」
身をよじるようにして僕の舌から逃げる晶。その嫌がり方は本気のようだ。
……晶の機嫌を損ねるのは僕も本意ではない。
「じゃあこっちね」
再び膣口に戻ると、そこは先ほどまでとは比べ物にならないほど淫液があふれていた。
(晶、アヌス舐められて興奮した?)
次から次へと湧き出る愛液を舐め、すすり、飲み込む。小陰唇の入り組んだひだの隅々まで舌を這わせ、僕は晶を嬲った。
「も、もうダメ……」
声を震わせた晶が懇願する。そうして僕の顔を引き離して体を起こす。
「晶?」
「も、もう入れたくて我慢できないんでしょ? いいわよ。ほら、抱きなさいよっ」
下着を脱ぎさり仰向けになると、晶はひざを立てて両足を広げた。そして僕を招くようにして左手を差し伸べる。右手の指は肉の花弁を割り開き、扇情的な眼差しを向けている。膣口からは蜜がはしたなく垂れ、シーツを濡らしている。
そんな姿に嗜虐欲があおられる。すぐにでも晶を貫きたい欲求を寸前でとどめ、わざと冷たく言う。
「入れて欲しいのは晶だろ? お願いしたら入れてやるよ」
普段は絶対に使わない乱暴な口調で晶を見下ろした。
「っ! お願い…入れて……」
僕の態度に驚いた顔を見せた晶が力なく言葉を継ぐ。
「何をだよ?」
分かっているのに、『その言葉』を晶に言わせるために冷たく突き放す。
「! ……お、おち…おちんちん入れてください!」
一瞬、唇をかんで悔しそうな表情になった晶だが、とうとう屈服した。
「晶っていやらしい子だよね」
「ち、違うわ…」
泣きそうな顔で晶が僕を見上げた。
「いいよ、入れてあげる」
そう答え、ゆっくりと晶に体を重ねた。
でも腰の位置を合わせただけで挿入はしなかった。
「……」
戸惑いと不服を合わせたような顔で晶が僕を見る。
「好きだよ」
ささやくように言って口づけた。そしてキスをしたまま腰を微妙にずらし、晶の中に入っていった……。
根元まで収め、そこで動きを止める。
晶の中は今まで感じたこともないほど熱かった。さらに僕をギュッギュッと締め付け、先端の部分ではサワサワと何かがうごめくような刺激を与え続けている。
僕はゆっくりと腰を引いた。
先端のふくらんだ部分が晶の膣壁に引っかかり、内部をこすり上げる。
「やぁッ…ひぃぁ…んッ」
甘美な刺激に、晶が鳴く。その声に興奮がいや増す。
(ダメだ…我慢できない……)
「晶ッ!」
腰を激しく振り、晶を突き上げる。僕の先端が晶の子宮口を何度も叩く。
「ぁ…イッちゃう! イッちゃうのっ!」
切迫した叫びとともに晶が僕の首に両腕を回した。さらに両足を僕の腰に巻きつけ、全身でしがみつく。二人の腰が密着し、離れられない。
「あ、晶っ! ダメだよ離して!」
「いいから…このまま……」
潤んだ瞳が僕を見上げる。
最後は外に出すことを考えていた僕も、もう覚悟を決めた。妊娠したっていい!晶の人生に責任を持つ!
僕も晶を強く抱きしめた。そして最後の瞬間に向けてさらに動きを加速させる。
「っ! 晶っ! あぁっ! いいよ、気持ちいい…」
自然と悦楽の声が洩れる。
「あん、イクぅっイッちゃうぅ! あぁっ! …んんっっ!!」
背中を反らし、短い悲鳴を上げ……晶が達した。
その直後、膣壁が激しく収縮し僕を絞り上げた。
「っっ!」
限界だった。根元まで晶に突き立て、そのまま欲望を解き放った。
びゅっ! びゅくっ! どぴゅっ!
息が止まる。後頭部に甘美な痺れが走り、陶酔感に目の前が真っ白になる。
「あ…ぁあっ……」
膣を痙攣させ、全身を小刻みにわななかせながら晶が射精を受け止める。ほとばしる精液は子宮と膣内を満たし、晶の中に染みていく。
「んっ、んっ!」
悦楽に呻きながら僕は晶に精を注ぎ込んだ。
「ぁ…ん……」
耳元で晶の吐息を聞きながら、何度も何度も射精を繰り返す。
「晶ぁ……」
最愛の人と抱き合ったまま、僕は絶頂を続けた……。
長かった射精がようやく止んだ。
大量に射ち出された白濁が晶からこぼれ、僕たちの結合部からあふれ出していた……。
「はぁ、はぁ…」
頬を染め、目元を潤ませて晶が僕を見上げる。腰に力が入らず、僕も動けない。
「晶…」
汗で張り付いた前髪をかき上げて、おでこにキスをする。
「好き…大好き」
涙声の晶がささやく。
「うん。僕も晶を愛してる」
それからもう一度小さく名前を呼び、今度は唇にそっと口づけた。
「ん…」
晶が小さく鼻を鳴らし、僕にしがみついた。僕も晶を強く抱きしめた……。