※この作品はR-18です。

「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」   作:おーり

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前回の更新で何故か俺がリアスさんのことを嫌いだという風潮が出回ることに小首傾げ
書きづらい、とは言った
苦手とも言った
しかし嫌いとは書いてないのに何故そうなったのか
どうでもいいだけであって俺個人は決して嫌いでは無いのに
敢えて言わせてもらえば、そうだなぁ、幾ら振り回しても個人的には結構平静でいられるからそこだけは好ましいよね(笑顔
…別に体型的にコンプレックスがあって此処で発散しているとか、そういう意図はナイデスカラマジデ
単純に、某匿名掲示板なんかでよく観られる「寂しかったから浮気した」ってツイート晒されてる女子()共みたいな恋愛脳が理解も共感もできないから、其処を彷彿とさせるキャラに苦手意識が浮かんでるんじゃないかなぁって自己分析
ほら、感想返信で何人かには応えたけど、おーり個人は真面目で純粋無垢で清廉潔白で純情一途で清純派な常識人だから
そんなんがなんでタグにNTRとか入れて書いてるの、ってツッコミはいるかもだけど、二次創作オリ主系でやる以上は原作キャラを『お相手』から立ち退かせて居座る以上どうしたってそういうことだよね?って前にも言ったな此れ
このスレッドって要するに、そういう処を読む側も書く側も踏まえた上で愉しむための場所だし
心苦しいけど、エロネタ書いていて赤面しちゃって身悶えちゃうけど、書くからには本腰入れなきゃね…(遠い目
ツルペタチビが何言ってんだなどとは決して突っ込んではダメ

何が言いたいかというと、ちょっと真面目な20話がついに来ましたよ、ということです


「そのとき、歯車が廻り出していた…!」

 

 あ、さて。

 炉に焚べたるはかつて見せて貰ったヒヒイロカネの標本を基に、おっかなびっくり何とか練造した劣化ヒヒイロカネ云十何貫。

 先日『倉』から発掘することに成功した分はこれで使い切ってしまうのだが、死蔵させていても遣い道の無い合成金属だ。試金石として、刀剣二差しくらいなら充分に役を果たしてくれる。

 精錬は完全にとは往かず、目玉であるはずの常温超伝導も再現出来なかった。精々微低温伝導くらいが関の山で、エネルギーの伝達効率は最良であっても極上とはいかない。此れでは魔法媒体としては過充分であっても、魔剣聖剣の類として造ると下地としてどうしたって伝説上からは見劣りしてしまう。かてて加えて、件の伝承刀剣類に見られる概念附加を如何無く発揮可能とは到底届かず、術式内包というエンチャント系を受け入れ易くするくらいの性質変化しか附加しきれなかった。これ以上だと存在周波数の関係上、人に換算すれば良く見繕って8世代程度で自壊するのも見通せられる。本物ならば都合30世紀に渡って存在し続けられるくらいの代物になるはずなのだが。

 ……今出来る己の上限が此れなのだという戒めにもなる。人は足ることを知らぬし、求め出したらキリがない、今在る手札で最上を。

 

 

 「ゴヴァノン・フラウ・マカ・ナイサ・フォマルハウト」

 

 

 ボヒュウッ、と用意したカンテラから火が吹き出し炉の中へ。

 こちらも、標本を見せて貰った際の某魔女さんの『眩桃館』とかいうお宅から譲り受けた神火を灯せる代物なのだが、同じモノを造ろうとしても上手くはいかない。術式付与で合成しきれない。魔法使いじゃ手も足も出ねぇのも納得の仕様だった。

 火星へ赴く以前に伝手で渡されたマジックアイテムとかを軽く超越する概念魔具を選別に貰ったこともあったが、魔女ってのはどうしてドイツもコイツも規格外な技術水準を見せつけてくれるのか。魔術とか錬金とかで説明つかねぇ、もっと得体の知れない法則に則ったオーバースケールの何かだ。ホントはあっちが転生者だって云われても納得のレベル。まあ年の功という隔たりがある以上は、どうしたって突破しきれないモノなのだろう。越えられない壁が分厚いわぁ。

 

 同じ屋根の下に鍛冶場が在る、というのも変な気分だが、借対として純米吟醸一本差し出したわけだし。

 槌を振るう以上、腕前を出し惜しむのも失礼に値する。

 少々邪道も良いところだが、好きに打たせて貰おう。と、貸して下さった筋骨隆々の爺様へと感謝の礼。

 元は飛騨の山奥で一刀彫を嗜んでいた名人だったらしいのだが、木材のみで勝負する師匠と袂を分かち巡り巡ってこの土地へ、と色々と紆余曲折在ったらしき偉人に過去在りきな呑兵衛の爺様。

 そういう異文録は一度コースアウトすると中々戻って来れないので、この辺りでカットである。

 どちらにしろ貸家の一室に鍛冶場こさえている時点で変態であるし。

 類が友をなんとやら。同じ屋根の下に何人の修羅が眠っているのやら。

 

 神火に晒された金属塊が、見る間に融解して逝くのを直視で観察する。本音を言えばサングラスでも掛けたいけれど、尸魂界の鍛冶師曰く火の温度が視れねぇじゃねぇかYOとのことなので肖ってみる。チョー眩しいYO。

 しかして溶け出し鋳型へと流れる『それ』を見直し、確かに視界を遮るものは邪魔になると納得する。

 今から此れに術式の付与も同時の行いながら、刀剣として然るべき形へと練磨するのだ。

 特に刀なんかは形式そのものが日本人の偏執性をしっかりと顕にしている。ファンタジー系では鍛冶のスペシャリストであるドワーフをして『打てない』と謂わしめたその複合性と練磨の果て。果たして俺の腕で何処まで再現を可能と成し得るのか。

 『呪紋』を解放しコードを編み、打ち込む意気込みで槌を振り上げる。

 集中し、先ずは、一刀――、

 

 

 「願う、ことは、一つ――!」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 キングクリムゾン! 結果だ、この世には結果だけが(ry。

 兵藤先輩の強姦未遂事件より既に2週間が経過した。

 その間に起こったことと言えば、オカルト部の面々が無駄に人を勧誘しようとしていたこと、あとはゼノちゃんイリナちゃんの両名が駒王へと転校してきたことだろうか。

 お2人ともに、あの知能指数で上級生だったことに驚愕を隠せない俺である。

 

 行きずりの関係であったことは公表していないご様子なお2人。

 日本へ再来日したのは一週間前で、理由を問えばなんとも七面倒臭いモノをつらつらと語ってくれた。

 曰く、『主の不在』とやらを認識した彼女らを教会側は正式なシスターとして取り扱うわけにいかないらしく、エクスカリバー(?)の回収と不良神父2名の捕縛を評価に入れるとしてもこのまま教会の膝元では扱いにも困るのだとか。

 ならば、と『さらに上』とやらが下した主命は『外交官』であるという。

 どうもこの町では以前から色々と見逃しようも無い事件ばかりが勃発しているらしく、教会側としても悪魔領でもない人の社会の一部を放置していたことには見過ごせない事態だとか。遅いわ。

 更に言えば、今後この町で教会側にも関連のあるイベントが執り行われるので、それの先駆けとして現地入植を済ませておいてほしい。というのが彼女らの『上』からの言い分である。

 キナ臭くは無いが、面倒臭いことこの上ない事態が進行しているのは確か。

 しかし、その外交をこんな脳筋らに任せてしまって本当に大丈夫なのかこの世界の宗教は。

 

 そんな2人だが、オカ部とはまた別口で俺を誘惑してくる。

 ……いや、肉体的な意味では無くて、宗教的な意味で。

 がっかりだよ。思春期(もう思春期過ぎた気もするけど)男子の妄想を励起せずに宗教色が濃厚だよ。

 一週間ばかりお断りの言葉だけで突き放してきたのに、一向にハニトラを敢行しようとしないというのはどういうことだ。やる気あんのかお前ら!

 

 

 『カラスマ、今ウチの傘下に下ればキミはかなり上位の、ひょっとすれば司祭、いや司教……ともすれば大司教の地位に就くことも可能かもしれない。それだけキミの成した実績は大きい。私たちと共に本山へと赴いてくれないか?』

 『烏丸くんがいれば例え主が不在でも人々の平穏を守ることは不可能じゃないわ! 私たちと一緒にカトリックへ転向しましょう!』

 

 

 此れがこの一週間で行われた勧誘の実態(の一部)である。

 興味ねぇぇぇ! 可能じゃねぇよ! 位階を決めるのは上の人たちのコンクラーベで要するに投票だよ! 無名の素人がいきなり現れて大司教とか素人ラノベでも有りえねぇよ!

 (やさ)にまでは押しかけて来ていないし、人目もあってかハニトラ的な誘惑をしてこないのは、まあ学内の噂と注目の温床にはならなかったから見過ごすとしよう。

 だからといって宗教にただ勧誘されるって、なんか釈然としねぇんだけど!?

 

 ……まあ、俺の場合一度リミッターが外れたらいつ終わるか不明瞭、っていう前例があったからな。

 向こうとしても、一応はシスターで在る以上はアーシアみたいにいつでもおkみたいな誘惑は禁則事項に値するのかもしれないし。

 エロシスターはアーシアだけか。彼女が例外か。

 ……かといってがっつかれてもなぁ。

 

 そしてそんな彼女らは何故かどうにも仲が良くない。

 2人が勧誘しているところへ、時折アーシアが弁当持ってやってきたりするのだが、そういう時は必ず口数が減る。

 腫れ物に触るみたいに、こちらからもちょっと距離を置くのだ。

 アーシアは笑顔で、何処か勝ち誇ったような様子で俺へと接近してくるのだが、それに対しての2人はやや渋い顔で距離を取るだけである。

 お蔭で教室内はこの一週間妙に空気が悪い。

 はい、俺の所為ですね。

 ……反省してるから男子の皆様、露骨に舌打ちとかヤメテ? 泣くよ?

 逆に女子が近づいてくるのは何故なんだ……、カラオケで一緒になった前髪ぱっつんとかギャル系おっぱいとかポニテバスケ部とか。ゴシップとか大好きか、人の男女関係に起因するんじゃないかと穿った見方で傍で聞き耳立てるのが大好きなのか。畜生、ネタとか絶対提供しねぇからな。ところでポニテじゃなくて良く見るとサイドテールっぽいな。サイテ? 語呂悪いな、ポニテのままでいっか。

 

 無論、そんな諸々の女子交流の悪さとかを采配出来るスペックは俺にはない。

 麻帆良? あそこはノー天気な女子ばかりでイジメとかガチな対立とかは完全に無縁だったよ。

 認識阻害の効能だったのかもねぇ、外の社会に出たら逆に気疲れするだろうねぇ。

 話が逸れたが、そんな采配が可能そうな人材を探して、行き付いたのが木場先輩だった。

 

 

 「と、いうわけで、此れをお納めください」

 「う、うそ……っ?」

 「……なんだ、これは……?」

 

 

 差し出したのは、打ち据えた二振りの刀剣。

 アーシアに以前渡した『惨酷王』と同じように、聖職者と云う事で聖別と祝福とをちょちょいとなと施しもした試供品だ。

 木場先輩曰く、『聖剣を折っちゃったんだし、代わりの何かをお詫びに差し出せばどうかな? そこを基点として、というかキミが起点となってみんなを牽引できるようになれば仲良くできるんじゃないかな。頑張ってね!』との有り難いアドバイス。

 さっすがイケメン、兵藤先輩とは踏んだ場数が違うね!

 というか、あの先輩はどうにもアーシアとのことを察しているような気配がする。

 人前じゃ一応「アーシア先輩」と呼ぶのだが、俺が唯一下の名で呼んでいることで距離感を理解させてしまったような。

 尤も、それを応援されてしまったのだが。

 アンタ兵藤先輩の親友と違うんですかい。親友と同棲してる女子とのことを他の男へ応援している節が見受けられるのは、果たしてなんなのか……。

 

 話を戻そう。

 

 

 「前に折っちまったじゃねーですか、そちらのエクスカリバー」

 

 

 個人的には(駄剣)(ゴミ)に換えた程度の認識だが。

 

 

 「此れはその代わり、ということで、個人的に用意したんすよ。とりあえず二振り。刀と剣です」

 

 

 尤も、本領で打ったとしても技術的にはまだまだ未熟、素材と術式を備えてなんとか形を保った『偽剣』としか呼べない試供品レベルの代物である。

 仕方ねーですよ、武器とかを1から造ったの初めてだからね。やっぱ既に在る道具や素材を弄るのとは違うわぁ。

 

 

 「銘は『偽剣(ぎけん)袖白雪(そでのしらゆき)』と『偽剣(ぎけん)天埜叢雲(あまのむらくも)』。お2人へ譲りますんで、どっちでもお好きにお使いください」

 

 

 あれ、なんか反応ねぇな。

 ――あ、唖然としてる……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「こっ、こんな立派な聖剣渡して何を要求する気っ!? 身体!? 身体なの!? 私たちのことを忘れられなくてジャパニーズ袖の下ってこと!? で、でもこんな天使様の光臨をも凌駕するようなオーラを秘めたモノと釣り合うモノなんて本当に身体だけで足りるの……!? や、やはり当初の予定通りに私たちが揃って性奴隷になるしか……!?」

 「おおおおおお落ち落ちつ落ち着けイイイイイイリリリナ、そ、そんなことしても彼の負担にしかからないとじじぇんにきめていたではにゃいか。私たちちがひきわたせるものなどないと前もってわかかっていたことなのだしし、求められれば差し差し出すのはとと当然のことだだ。や、やはりこここは、この剣をほ、ほほんぶへと渡してて、しっかりと、彼についての再考をだななな……!」

 

 「……あれ。要らんのでしたら仕舞うけど、」

 

 「「要りますッ!!!」」

 

 

 カラスマに屋上へと呼び出されたと思ったら、なんか本当に現実かと正気を疑う様なとんでもないレベルの聖剣が飛び出してきたぁ!?

 しかも二振り!? こんなモノ前にしたらエクスカリバーなんて確かにゴミだ!

 佇むだけで、朝日がステンドグラスから差し込むような『教会の最も美しい姿』が幻視されるほどの聖なるオーラを発揮している……っ!

 ……それなのに、決して攻撃的では無い、ただ其処へあるがままに在る、……なんという静謐さ。

 拝むだけで天へと昇れそうな強大さと神秘を併せ持つのに、柄を握るだけで波立った心が凪いで往く……。

 ……恐ろしい。

 此れは、只『魔』を滅するためだけの剣では居られない……。

 在れば、人の有り様すらも変貌させてしまうだろう。

 そう、――まるで神へ至らせr

 

 

 「ゼノヴィアストーーーーーーーップ!!!」

 

 「――はっ!?」

 

 

 待て! 今私は何を考えてた!?

 

 

 「落ち着いてゼノヴィア! こ、この剣はやばい! 持つと心が呑まれるわよ!?」

 「あ、ああ、確かに恐ろしい……! これだけの性質であるというのも頷けるが、振るうだけの資格も必要と云う事だな……! イリナは平気……イリナ?」

 

 「――光が見える……!」

 

 「戻ってこいイリナ!!!」

 

 

 クソッ!? 剣の性能が強大過ぎてエクスカリバー使いであるはずの私たちのキャパを軽く凌駕してる!

 というか、此れは聖剣とかそういうレベルじゃないだろ!

 最早『神代の剣』と見ても良い、所謂『神剣』という奴だ!

 人の手には余りあり過ぎるッ!

 

 

 「あー、そんなに力まんほうが良いんじゃないっすかね。所詮剣なんだし、力抜いて気楽に振るってください」

 

 「そんな風に考えられるか!!! これを握って出来る筈がないだろ!!!」

 「くぅ……! 鎮まって、私の新しい相棒……! 今はまだ、斬るときじゃないの……!」

 

 「……あれ、俺『村正』とか打ったんだっけ……?」

 

 

 妙に気になることを呟くと、しょうがないにゃぁ、と呟いて渡した剣をひょいひょいと回収するカラスマ……って、おい。

 

 

 「要するに、オーラをもう少し抑えられればええんですね? 今ちょちょいと遣りますんで、しばしお待ちを」

 

 「え、あ、はい」

 「あ、ああ……」

 

 

 本を開いて、呪文のようなモノを口ずさみつつ、剣へとそれぞれ何らかの術式を施してゆくカラスマ。

 見る間に聖剣より齎されるオーラは減少してゆき……いや、アレは、封印……?

 オーラを外へ逃がさないように、封印式の重ね掛けか……!?

 

 

 「そいえばゼノちゃんは、っと失礼。ゼノ先輩は確か、デュランダルとかいうモノを扱っていたとか? 木場先輩からの又聞きなんすけどね」

 

 「え、あ、ああ。まあ、奪われた上に、キミに折られたがな……」

 

 「え、ナニソレ知らねぇ」

 

 

 まあ、エクスカリバーの中に『破壊の』と間違われて統合されてしまったし、自覚されないのも当然のことだとは思うが。

 それにしたって折るなよ、とは思う。

 

 ところで、呼び方や口調が以前と違うのは、年功序列の精神なのだろうか。

 日本人は面倒臭いな。個人的にはもっとフランクでもイイのだが。

 

 

 「話し戻しますけど、アレって決闘者の剣とかいう代物だとか。呪い持ってんのに聖剣とか、世の中は分からねぇもんですなぁ。対決者を勝たせる代わりに絶対に命を奪わなくちゃならないとか、使いにくいことこの上なかったんじゃないっすか?」

 

 「……待て、それは本当か?」

 

 「え、知らんの?」

 

 

 聖剣二振りとカラスマから距離を置きつつも、気になる話を世間話みたいに切り出された。

 

 確かに、破壊のエクスカリバーが折られた代わりに、対コカビエルにとデュランダルを使った。

 だが、所詮は未熟な腕前。

 それを判っていたからこそ、前任者は私に引き渡す際に封印状態でデュランダルを継がせたのだろう。

 実際、じゃじゃ馬で云う事を聞かない、一度振るえば破壊のエクスカリバーなんて物ともしない攻撃力を――、

 

 ……いや、待て。

 云われてみれば、意思を持った剣なんて、確かに呪いみたいなモノではないか……?

 そう考えると、確かにカラスマの云う事も一理ある……。

 ……そんな扱えきれない代物、折られて正解であったか?

 

 

 「――はい完成。偽剣・天埜叢雲ver2。丈夫で長持ち、攻撃力抜群。付与術式は切る時のみに発現するんで、発破くらいしか成りませんが」

 

 

 ぽん、と再び私の手へと戻る、アマノムラクモとかいう過剰な剣。

 先ほどよりもしっくりと手に馴染み、軽く振るってみれば判る程よい重量がその剣が持つ技量を決して遮っていないことをも実感できる。

 その上で、私の振るえる限りの腕前に見合った威力を、最大限発揮できると振るうだけで理解できる……!

 ……やはり、彼は侮れない。是非とも、こちらの陣営に欲しい人材だ……!

 

 

 「そしてこちらが偽剣・袖白雪。切り口から熱を奪い、対象を凍結させるっす。間違って自分を切らない様に」

 「あ、うん」

 

 

 イリナも、刀の方を渡される。

 私たち2人共、外交官という名目で日本へ再び派遣されたが、その実体の良い左遷ではないかと疑っている。

 現に、悪魔の領内へと赴かせられるのに武器の一つも所持を許されていなかった。

 こちらのグレモリーらは既に見知った顔だし、教会の陣営に進んで茶々を入れないような甘ちゃんでもある。

 武器を持たないからと言って見逃されていた私たちだが、だからこそカラスマという彼女らでさえ抑えきれない特化戦力を籠絡するのに他の者では当て嵌まらないのだろう。

 教会の本営はカラスマを軽視しすぎている。

 エクスカリバーを折ってコカビエルを単騎で撃破し、更に謎の槍のような神器を扱う、等と伝えれば荒唐無稽と鼻で笑われるのがオチなのは判っていたが。

 

 実際に命じられたわけではないが、自由にさせていていい人材では無いことは確か。

 そしてそれを手に入れられるためには、この身体すらもいつでも差し出せる。

 そんな意気込みだって視野に在るのだ。

 他の者に任せるなどと、あってはならない。

 ……別に、あの快感を味わう為とかいうシスターにあるまじき思惑で動いているわけでは無い。いや、シスターは既に辞めさせられたが……。アレ? だったらイイのか……?

 

 

 「さて。プレゼントする代わりに、ちょいとお願い事が」

 

 

 ――! やはり来たか……!

 いや、だがなんでも構わん。

 このような稀代の名剣を施されたのならば、元騎士として応えぬわけにはいかない!

 さぁ、なんでも命じて見ろ!

 イリナだって既にお預け喰らった雌犬みたいな目で待機しているぞ!

 

 

 「アーシアと、仲良くできません?」

 

 

 ――……なんだと?

 

 

 「何があったか知らんけど、そこまで牙を剥くような関係で居られると普通に迷惑っす。郷に入っては郷に従ってくださいよ、此処は日本です」

 「……むぅ、しかしなぁ……」

 

 

 唸る。悩む。そして受け入れられない、と言い淀む。

 イリナも似たような心境なのだろう。私みたいに苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

 アーシア・アルジェント。

 堕ちた聖女。悪魔をも回復させる『奇跡』の持ち主で、現在は悪魔となってグレモリーの眷属。

 此処が悪魔の陣営で、グレモリーの領内であるから居るのは理解できるが、やはり気に食わないモノは気に食わない。

 しかし、カラスマは彼女のことを気にかけているし、彼女自身も何故かカラスマへと良く近づく。

 ……気づかれないようにこの剣で切り捨ててしまうか……?

 

 

 「聞き入られないというなら今渡したその剣、両方とも折ります」

 「仕方ないな! 仲良きことは美しきともいうしな!」

 「そうね! 平和が一番、ラブアンドピース!」

 

 

 彼なら出来そうな気がする!

 アレだけのオーラを一分も漏らさずに封印式を定着させた術師だ、エクスカリバー(笑)の二の舞になるのも簡単に予想がつく!

 

 話が着いたと互いに認め合った処で、こちらからも切り出す。

 

 

 「ところで、本当に教会陣営へと参入してくれまいか? 今なら私たちを好きにしても構わないぞ? まあ、所詮は一度味わい尽くされた中古の身だからな、云う程捧げられたモノでもないが……」

 「――あ? ひょっとしてハニトラで来なかった理由ってそれ?」

 

 

 自分で言うのもなんだが、教義の関係上『未通女』こそが『良きモノ』であるという教えが一般的だ。

 散らされた私やイリナでは、俗に云う中古品と表現されても仕方のないわけだから、捧げたとしても袖にされるだろうとは思っていたから身を引いていたわけだが……。

 ――眉を顰めた様子で虚を突かれたような声を出したカラスマは、調子もそのままに言葉を続けた。

 

 

 「若いし肉付きも良いし締まりが早々悪くなるようにも感じなかったから、一晩シタ程度で気にすることでもないと思うけどなぁ」

 「その言い草はどうなんだ……って、え?」

 

 

 ――今、なんと?

 

 

 「ちょ、ちょっと烏丸くん? 私たちもう初物じゃないけど、それでもいいの?」

 「散らした相手に言う言葉でもないと思うんですが……」

 

 

 イリナの問いにも、肯定し受け入れるかのような発言で、少なくとも否定的な意味合いは含まれてない様に思える。

 ……そうか、良かったのか……。

 

 

 「ふ、ふふふ……」

 

 

 思わず笑みも漏れる。

 それはイリナも同じようで、嬉しそうに微笑みつつ股をもじもじと擦り合わせている。

 そうか、相棒も我慢の限界(・・・・・)だったか。

 怪訝な顔なのはカラスマのみであった。

 

 

 「カラスマ、剣の礼がしたいのだが、今夜は空いてるか?」

 「あっ、私も私もっ! おねーさんが教えてあ・げ・るっ♪」

 「おい、イリナは云う程経験があるわけでもないだろ。私と同じような戦歴の癖して、横からしゃしゃり出てくるな」

 「2人っきりなんて危ないわ! 何時もの通り、ツーマンセルで事に臨みましょ相棒っ!」

 

 

 まったく、仕方のない相棒だ。

 

 

 「……いや、別に今は云う程ヤりたくもないっす」

 「バカなッ!?」「そんなぁ!?」

 

 

 ひ、ひとをその気にさせといてぇ!?

 頼む! セックスさせてくれカラスマ! 何でもする! 何でもするからぁっ!!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ところで、なんでそんなアーシアと仲悪かったんですか」

 「いや、一応教義的な食い違いは初めにはあったんだが、今では……なんか、勝ち誇った顔でキミと絡んでいるじゃないか? それが如何にも自分が先を行ってます、みたいな感じだったのがまたイラッとさせられてな……」

 「ああ、まあ、お2人と似たような立場っすよ」

 「そ、それは……足腰立たなくなるんじゃないの……? ああ、彼女、中毒になってたのね……納得だわ」

 「なるほどな……。しかし、敬虔なシスターを3人も堕とすとか……どれだけ業が深いんだキミは……」

 「誰が修道女フェチっすか」

 「「言ってない」」

 

 

 




~ちょっと蛇足な解説講釈・武器編~

~袖白雪(そでのしらゆき)
 出典はBLEACH。我らがヒロインルキアさんの扱う斬魄刀で氷雪系
 こちらの偽剣は名前だけを借りたモノで、最初に『刀を打とう』と烏丸が目指したのが綺麗で鋭い刀身。しかし、それだけじゃ飽き足らず余計なギミック(術式)まで付けたので無駄に洗練された代物へ
 切断の際、対象の固有振動数を簒奪し自らの稼働へと転化するという自転車操業チェンソーみたいな術式が含まれており、その結果振動即ち熱を奪って相手を凍らせるという不十分が成立する。此れは重ね掛けした封印の所為。本来ならば本当に切れぬモノ無しな刀として出来上がるはずだった
 術式名は第四波動とかじゃね?


~天埜叢雲(あまのむらくも)
 出典は日本書紀や古事記だが、元ネタとして参照としたのはYAIBAの草薙剣または龍神剣。しかしてその実態はRAVEのテンコマンドメンツ
 とりあえず丈夫に無骨に頑丈に、とごてごてと何処までギミック付けられるかな、みたいな実験で生まれた本来ならば10の性能を持つ幅広グレートソード
 飛翔・発破・雷速・招嵐・威圧・変身・遠当て・斬鉄・鎧通し・現象支配などの10の暴虐の限りを尽くせる豪華絢爛な一品なのだが、封印式で色々セーブしたので発破という斬った対象を爆破させる発現のみに。しかしそれはDQで言う処の『ギガスラッシュ』と同程度の威力なので、それでも充分に恐ろしい剣
 本来ならばこれ一本でネギ君要らず。バクハツシサン!



久しぶりに烏丸が本気を出しました
あと烏丸くんは『気分が高揚』するとアニソン口遊むのは以前からの仕様です
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