※この作品はR-18です。

「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」   作:おーり

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長く続いたこの物語もついに30話
想えば遠くに来たモノです(気が早い


【逝かれたメンバーを】天高く躍進する百鬼夜行な第四章【紹介するぜ!】 ※時系列上原作五巻相当
「ぼくのなつやすみ」


 

 

 夏季休暇はリアス部長の実家へとお邪魔する運びとなった。

 元々眷属はその予定ではあったけど、それに来学期から着任するアザゼル先生がついてくるおまけつきだ。

 それというのも、先の会談で発覚したテロ組織・【禍の団(カオス・ブリゲード)】の脅威に備えるため。

 旧魔王派のトップ3は撃退し亡くなったモノの、兵藤先輩のライバルという位置に付くであろう元堕天使陣営の【白龍皇】は件の組織へ寝返ったし、孫悟空の後継者とかいうモノも出てくれば、……どうにも聖書勢力以上の何かが備わっていても可笑しくないように思われる。

 それに対処するために、一先ずはアザゼル先生の神器(セイクリッドギア)に関する知識を基にして、兵藤先輩の強化と修行に伴い悪魔陣営全体の力量を底上げしよう、という誘致であるとか。

 現に、私の実姉であるスーパー猫又の黒歌姉さまも、今は其処に所属しているという話だった。

 実際、悪魔陣営からは指名手配されているわけだから、逃亡犯が身を隠すには絶好の大組織なのかもしれない。

 そのことを聞いたのは、【気】の使い方の初歩をレクチャーして貰った会談後の、つい最近のことだ。

 その情報をどうしたものかと思い悩むが、おいそれと部長や他の眷属へ明かせる話題では無い。

 今回の旅行で機会を見て、グレイフィア様に相談してみるつもりでもあった。

 

 と、悪魔陣営全体が未曽有の危機に備える実情はさて置き、私が懸念していたのはもっと別の事であったりもする。

 発情期である。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……あれ? そういえば烏丸はどうした?」

 

 

 冥界へ通じる電車の中で、ふと気づいたらしいオカルト研究部顧問かつ引率のアザゼル先生が、至極当然のことを尋ねる感覚で言葉を漏らしていた。

 私も気になってはいたのだが、『あの夜』以降そらくんは連絡にも出てくれない。

 小猫さみしい。

 

 

 「先生、烏丸は元々オカ研部員じゃないです」

 「そうだったのか? じゃあ生徒会?」

 「え、どうなんだろ。部長、知ってますか?」

 「生徒会に所属している、という話はソーナからも聞いてないけど……」

 

 

 すごい今更な気もする話が電車の中を飛び交う。

 元シスター三人娘も夏休み前に会うことは叶わなかったとか漏れているのだけど、会ってどうする気だったのでしょうね。わたし、気になります。

 

 

 「烏丸くんは夏休み中は旅行に出る、と言ってましたわね。元々冥界の事情には携わっていないのですし、彼なら例え何処かでテロ組織やそれに準ずる危機に遭遇したとしてもなんとか対処できる、と……」

 

 

 ――何故か朱乃さんが彼の事情を知っており、彼女へ電車中の視線が集束する。

 そんな中、疑問の声を上げたのはアーシア先輩だった。

 そういえば、彼女もなんでそらくんに近しいのか詳しい理由を知らなかった気がする。

 なんで? ねえなんで?

 

 

 「あの、なんで朱乃お姉さまがそらくんの事情を……?」

 「……えー、ほら、前回の会談ではサーゼクス様に連れられての参加でしたでしょう? 私たちのような貴族配下の悪魔とは別の領域の繋がりが出来上がっておりまして」

 

 

 なんか微妙に遠回しに説明が始まったのですけど。

 

 

 「ああ、他の上級悪魔とかの連中に無理に絡ませない配慮か。指示したのはルキフグスか?」

 「ええ。脅威である彼と魔王様が交渉を交わせたからといって、彼本人を降せたと勘違いした別の貴族が彼への配慮も無く無理に話を通そうとしないとは限りませんもの。『彼との友誼は飽く迄魔王様ご本人とのモノ』という意味合いを設けるために、悪魔陣営と彼との交渉役は限定するというのがグレイフィア様からのお達しなのですわ」

 「なるほど、それで【女王】同士で話を通せている、っていう寸法か」

 

 

 「いえ、それじゃあまだ説明は終わってませんよ?」

 

 

 何気に鋭い目のアーシア先輩が朱乃さんを睥睨。

 誰もが理解した気になっていた其処へ、アーシア先輩はニッコリ笑い、更なる爆弾を投下した。

 

 

 「どうして【今回の旅行】という【私事】について、朱乃さんはそらくんへ『話を通()て』いたのですか?」

 「それはもちろん、リアスが誘いたいと漏らしていたから声をかけたというだけですわ」

 「えっ、私!?」

 

 

 微妙に薄ら寒くなる笑顔で質疑を応答する2人とは打って変わって、突然原因として槍玉に挙げられたリアス部長は目に見えて狼狽えた。

 無論、アーシア先輩が訊きたいのは其処では無くて、連絡手段の方なのだろうけど。

 

 

 「リアス()配下(女王)として、主が求めることへ配慮するのは当然の証。未だに話を振る取っ掛かりも見出せないリアスに代わって、やきもきしながら『さ、誘ってみようかしら、でも断られたら……』とか呟いていたリアスの矜持を鑑みて私が泥を被った。今回のはただそれだけのことですわ」

 「きっ、聞いていたの朱乃!? というかそれって独断専行、」

 「いいえ、貴女を悲しませたくないという、ひと些事ばかりの【友情】です」

 「いや、でも」

 「【友情】ですわ」

 

 

 殊更【友情】を前面に押し出して、自分の行為を正当化しようとしてる朱乃さんが其処に居た。

 傍から見てたらバレバレなのだけど、朱乃さんは朱乃さんでそらくんへの何某かをリアス部長だけには隠し通そうとしているような気が無きにしも非ず。

 ちなみに、連絡先云々に関しては単純に最近彼がグレイフィアさんから貰ったと宣っていたスマホが理由だったりする。

 彼、どうやら戸籍が無くてケータイの類も得られなかったらしいのだが、それを報酬に前回の会談では悪魔側の主賓として出席したとか。

 朱乃さんもその連絡先を教えて貰っていて、アーシア先輩他は未だだった、ということなのだろう、結局。

 ……私は着信拒否にされてるみたいだけど。

 それにしても、会談の報酬がケータイって、彼にしては色々と契約の天秤が傾きっぱなしな気もするなぁ……。

 

 

 「……あー、なんだ、ドラゴンってのは力とか金とか、時には女とかも多く引き寄せるって聞いたが、イッセーの場合は微妙に違うんだな」

 「云わんでください。ていうか、まだ負けじゃないっす……!」

 

 

 電車の隅でアザゼル先生が兵藤先輩を慰めていた。

 いや、もう確定かと。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 85件の不在着信がスマホに入っていたけど、もう見ないで破棄する方向で。

 幼女コワイ。怖いよ幼女。いや、落語的な意味では無くてガチで。

 

 事の終わりになんであーいうことをしたのかと、塔城に訊いてみたところ、猫又という動物系妖怪ならではの事情が背景にあると自ら語られた。

 要するに発情期である。

 

 そもそも動物には時期的な発情期があり、それは年齢や個体の成熟度合いによって変動するが、生物である以上は逃れられない宿命のようなモノだ。

 猫の場合、最低でも年に2回。

 そこが悪魔に転生した元妖怪でも変動は無かったらしく、姉自身によって近々来るんじゃね?と教えられていたらしい。

 

 発情期が訪れることで起こる懸念とは、身体の疼きに由来する体調の不良化。

 我慢すればいいとお思いの方がいらっしゃるかもしれんが、実際動物は其れが出来ないから厄介なのだ。年中発情期の人間と比べるんじゃねーよそもそもの前提が間違ってんだよ。

 抑えつけても隔離しても、抗えなくて子作りをするのが発情期。

 ちなみに犬猫の場合は雌のみに訪れるそうで、雌から発せられるフェロモンに誘導された雄が本能に導かれるままに雌の身体を慰める役処を果たせられる。なんか今回の事情に近いな。なんとも忌々しい。

 

 とにかく、その懸念を早々と解消するために塔城が起こしたのが、とりあえず男性に性的に慰めて貰ってバイオリズムを整える、とかいうぶっ飛んだ手段である。

 きがくるっとるとしかいいようがない。

 

 そもそも「見た目完全に小学生の癖して発情期来るとか、時期測定が間違ってんだろ」と言えば「姉の事情で自分を抑制していましたが『仙術を習った経緯で【気】を取り扱う以上はその心象的な抑制も利かなくなる』って教わりました」とか応えてくる。

 まあ、猫の妖怪で姉妹って時点で、普通に身体的な差が出てるのが一番あり得ねぇって思っていたけどさ。

 猫って基本、一匹の雌が雄を何匹も同時に囲って本能的に逆ハーを形成し、多様な子孫を残そうとするわけで。

 姉妹、となればそれは、ほぼ同時に生まれた順番的な意味合いしか持たず、明確に言うなら双子から五つ子くらいの割合で生まれるのだよね。

 それ以降の順序で生まれていっても、基本的に親の遺伝子が同列になることは無いから同じ胎から生まれたというだけで姉妹(きょうだい)扱いをする考え方は普通に有り得ないんだわ。

 つまり、参観に来ていた『あの姉』と塔城は【双子】ということになる。

 ……なるほど、成長不良で塔城はこの有様か。と憐憫の視線を向けたのは言うまでもない。

 

 それにしても、幼女を孕ませることがそもそも間違いである、っていう倫理観と母体と生まれる子に携わるであろうリスクに関する事前知識があったから、前後不覚にされた俺でも【精子自滅(メガ●テ)】を仕込んでいたから良いようなモノの、本当に妊娠していたらどうしていたのか。そう問うたところ、

 

 

 「……もちろん産む気でしたけど? そらくんなら何とかできましたよね? 産む方向で」

 

 

 ――と、おっそろしいことを平然と言い放ってきたのでイマコレ(着信拒否)である。

 塔城がノリノリになって来たころにはなんとか正気へ回復出来ていたが、放置気味であった為に精力が有り余っている無限の龍神やたっぷりねっとりと相手していたにも拘らず発情期が来ていると自覚しつつあった猫又は全然余裕であり、自己嫌悪に浸る間もなく幼女2号を交えての第5か6回戦目に突入したわけだが……。

 ……今の俺に取れる子供に子供を産ます手段何ぞ、帝王切開か太らすかして骨盤開くかしか思いつかんわ。そもそも子供が子作りするという時点で性機能的にも可笑しいんだよ。見た目人間に近づいてるからって常時発情も可能な機能備えてないでキチンと身体を整えてから出直して来やがれ。具体的に言うなら最低でも金色のヤミちゃんくらい尻と太腿むっちりさせてから。

 

 なんか最後本気で最低なこと口走った気もするが、そんな俺はこの夏ルーマニア。

 ヴラディのご実家が吸血鬼の坩堝だとかいう喜徳情報を覗ったので、ちょっとした調査と避暑に訪れたのである。

 なんか冥界とやらにも誘われていたけど、夏休みにまであの人らと一緒にいる道理もないし。

 俺の本分はそもそも研究ですし、世界線突破研究も行き詰ってるから、ちょっとしたリフレッシュも兼ねての吸血鬼研究に暇を飽かすぜ! 所謂一つの自由研究って感じ。

 

 ……え? パスポート? 密入国ですが、何か?

 

 

 




~スーパー猫又
 実は猫Showだったんだよ!なんだってー!!←原作
 でもShowの字が一発変換で出てこないしそもそも件の猫又の上位互換っぽい妖怪のデータが一般には出揃ってないので出始めた当時の読者にとっては正直置いてけ堀な設定暴露。もうこれで良いんじゃねーの?という感覚で小猫に代弁させました
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