※この作品はR-18です。

「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」   作:おーり

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番外編含めて43話目
ストーリーを進めなくちゃ…!(使命感


「後顧の憂いも無いはずなのに、この寒気はナニ…?」

 

 

 「キャッ!?」

 

 

 ぴらり、とスカートの丈が短いメイド服の裾を捲られて、太腿からお尻に当たる部分を撫ぞられたことを実感します。

 咄嗟の事で驚いてしまいましたが、しかしその感触は決して不快では無く、女性として見て貰えているという部分を知らせてくれるには充分過ぎる触れ合いでした。

 悲鳴に似た声を上げつつも、その手を出した人が誰なのかを知る私は、自分でもわかるちょっと困ったような笑顔で応えます。

 

 

 「も~ぅ、お掃除中ですよぅ、そらくん?」

 「はは、悪い。見ててちょっとシタくなっちゃったからさ」

 「んっ、あんっ」

 

 

 彼のお尻を揉みしだく手つきに身を捩らせ、箒を手にしたままですが甘い声が自分の喉から洩れました。

 そのまま自然な仕草で手は胸に廻り、私の小振りなおっぱいを隠している鎖骨下からお腹の上までの白い薄手の部分を、ぐいっと引っ張って露わにしてしまいます。

 そんな彼に私は依り掛かり、されるがままに顔を後ろへと傾けました。

 

 

 「そらくん、いつも言ってるじゃないですかぁ。先ずはキスから、って」

 「ん、そうだったよな。じゃあアーシア……」

 

 

 応えてくれる彼に、目を閉じたまま自然な仕草で接吻を――……、

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――っていう夢を見たんです」

 「それを私たちに告げられましても……」

 「アーシア、アンタどんな趣味してんのよ……」

 

 

 昨夜の淫夢を皆さんに語ったところ、ヴァレリーさんは困り顔で、ミッテルトさんはやや引き攣ったような表情で何とも言えない評価を下してくれました。

 残るテレアさんとロッテちゃんも似たような顔ですが、問題は其処では無いのです。

 

 

 「趣味がどうこうでは無く、此処からが重要なんです。そらくんはなんで私にエッチなことをしてくれないんでしょう」

 「知 る か ぁ !」

 

 

 ミッテルトさん、ちょっとトーン落としてください。いきなり叫ばれるとびっくりします。

 

 

 「えーと……、アーシア、ちゃん? 元とはいえキミ、シスターじゃなかったっけ? なんかすっごい爛れてるのはボクの気の所為?」

 「爛れてるとは何ですか、私は純粋にそらくんとイチャイチャしたいだけですっ」

 「爛れてるよ充分……!」

 

 

 ロッテちゃんが絞り出すような声で頭を抱えてしまいます。

 ところで、彼女何処かで見たような容姿なんですよね。

 でも見覚えがあるはずなのに見慣れない、というか……。

 ツインテールが似合わないと思ってしまうのも、理由のひとつなのでしょうか。普通に可愛い娘なのですけど。

 

 

 「そら様もその辺りは配慮しているのではないの? アーシア、貴女元々此処に来た理由が理由でしょう?」

 「それを慰めて貰うという名目で体験の上書をですね……」

 「やだ、この娘凄い姑息……!」

 

 

 色黒メガネのお姉さんテレアさんに姑息認定されてしまいました。

 恋する乙女は何時だって勝負時なんです!

 此処に来ることを堂々と表立てたときに、勝負下着だってキチンと用意したんです。

 男の人が脱がしやすいフロントが紐のぱんつだって持ってます!

 

 

 「覚悟だって完了してるのに、そらくんは朝帰りばっかりで全然エッチしてくれませんし……。お蔭でフラストレーションが溜まってあんな淫夢を……」

 「淫夢云うな」

 

 

 もうちょっとオブラートに包め、とミッテルトさんに窘められます。

 それでもエッチしたいんですけど。

 そらくんと蒸し暑い畳敷きの部屋でラブラブエッチしたいんですけど。

 あーあ、ここが彼の住んでるアパートだったらなぁー……。

 

 

 「……あの、アーシアちゃん、それそらさんに直接頼めばいいんじゃないんですか?」

 「え、やだヴァレリーさんはしたないですよ。男の人にそんなお願いできません……!」

 「アタシらはいいのかオイ」

 

 

 如何にしてそらくんに手を出させるのか、それが重要です。

 正面から攻めても中々に難攻不落、そんなイメージが彼にはあるんですよねぇ……。

 

 そうして本日もまた朝帰りのそらくんを出迎えて、1日が始まります。

 今日は昨日とは打って変わって晴れるみたいですね。

 さぁて、どうやって彼をその気にさせましょうかねぇー……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「マジかぁ……? まだ足りないってのかぁ……」

 

 

 頭を抱えて銀髪の少年が項垂れる。

 此処まで付き合ってくれたドクシャにはお察しの通り、リゼヴィム並びにクレオとネフレア一味が、ヴォ●デモートの弱点を探すポッ●ーズ(複数形)宜しくひとまとまりとなって山中にてキャンプに興じていた。

 少年少女計4名の目前には、焚き火に炙られる『異形の怪物』の四肢を捥ぎ捌かれて早贄のようにされた姿が。

 大体銀髪少女のグレイフィアモドキちゃん改めエレクトラちゃん(クレオ命名)が10分かけずに屠殺してくれたわけだが、変異を齎したネフレアの【托卵促す怪物の滴(エキドナ・ドロップ)】で『こうなった』大元がそこら(野棲)の蛙だったという事実の方がずっと思い悩ませる理由である。

 人間並みに肥大した腕とか指とかが垣間見える膜張ったその『肉』は、果たして食しても大丈夫な代物と呼んで宜しいのであろうか、と。

 そして、リゼヴィムが懊悩しているのは、そのような凡俗な事態とはまた別件の理由である。

 

 

 「まさか神器だけで足りねぇとはなぁ……」

 

 

 これまで彼らの行動指針を執り図っていたユーグリットが死んだことにより、『目的』への解析技術は大幅に遅延することはリゼヴィムにも予測は出来ていた。

 その上で、これまで纏めていた理論を基に『ひとまず』の試行を試みたところ、致命的な点が見つかってしまったのだ。

 

 

 「リゼヴィム、他に伝手とかないのか? ユーグリットさんの他の研究所とか、」

 「いやぁ、死んだ奴の研究所程危険な場所はねぇぜ? それを俺たちが『どう扱っていいのか』を理解できそうにない以上は、放置が適当さね。あとユーグリットくんを殺した奴が調べに来てないとも限らねぇ」

 「……ああ、確かに鉢合わせるのは嫌だな」

 

 

 程よく焼けた手足を噛み千切るネフレアを尻目に、色んな意味で辟易とした感情を隠せそうにも無いクレオが一緒になって項垂れる。

 元々、自分たちの目的は『邪龍という戦力を備えさせて英雄派並びに【禍の団(カオス・ブリゲード)】の戦力補充』とリゼヴィムからは耳にしているクレオ。

 テロリスト一派の行く末がどうなろうとあまり知ったこっちゃない彼であるが、自分の行く末だけでもなんとか確保したい将来設計であるので、出来ることなら『自分の戦力強化』に繋げたいという野心も備えていたりする。

 だが、それを為そうとする前に、思いがけずに待ったがかかった。

 

 元々、リゼヴィムとユーグリットの目的は【聖杯】を使って戦力の強化を図り、近い将来に冥界現政権の盤上を引っ繰り返そうという野心でもって形成していたものである。

 それも只の戦力では無い、『戦略的にも覆すことが不可能なレベル』の圧倒的な実力差を伴った戦力だ。

 悪魔が悪魔らしく生きられない為、という理由を建前としてはいるが、結局のところは誰も彼もがサーゼクスを筆頭とした現魔王の率いる政権に見限られたことが面白くないのだ。

 だから、先立って味方とするべき『冥界の住民(民意)』を一切気に懸けない、テロリスト(禍の団)へと旧魔王派は転じてしまっていたのであろう。

 その【我が侭】筆頭であるリゼヴィムもまた、己の我を通すためのステータスとして判り易い【龍】、それも誰もが従えることが出来なかった【邪龍】というカテゴリの怪物を戦力として備える。そういう予定を立てていたわけである。

 

 しかし、

 

 

 「【ドラゴン・ゲート】じゃあ契約した相手しか呼べそうにないし、貰っていたアジ・ダハーカ本体には下手な接触も難しい。【アヴェスタ】の連中も他の神話群同様、自分たちの『行く末』って奴を最後まで予定してやがるからにゃぁ」

 「【龍】ってやつらはやっぱりそこらの怪物とランクが違うんだなぁ。ネフレアが『改造』の神器を持っていても、俺が『身体を補える』性能を示しても、『因子』って奴? それが足りないみたいだ」

 

 

 先立って同盟を組めたと思っていた筈の【最強の邪龍】【クロウクルワッハ】には既に見限られてしまっていた。

 その彼の伝手で得られていた、【封印されし三つ首の邪龍】の『因子』はユーグリットが所持していたので、最早この世には無いのだろう。【本体】を探そうにも、『そうするだけの戦力』が足りない現状では明らかに不可能である。

 さてその上で、彼らが『戦力』として邪龍を造ろうとした際、其の為の材料が明らかに足りないことに行き着いてしまった。

 要するに、『魂がこの場に無い』のだ。

 

 

 「【オリオン(冥界)】の研究結果でも無理かぁ」

 「むしろそっちが裏付けになっちまった。技術の大元がどうなっていたかは知らないけど、好き勝手に弄る以前の『素体』がどうしたって必要な実験らしかったし。……かといって、楽に接触できるドラゴンとか知らねぇよ……」

 

 

 技術には原点がある。

 冥界で且つてあった『眷属改造の技術』である【グレイテストオリオン】もまたその例に漏れず、発想なり発見なり発明なり、他人から要求を得るだけに相応しい『技術の上限』があったはずなのだ。

 しかし、其処にまで至ることが出来ず、妥協を重ねて使い易い再現し易い方向へと、研究の指標水準が低下してゆくこともまた珍しくない。

 

 ちなみに、彼らが言っている『龍の因子』として実は【龍の手(トゥワイス・クリティカル)】という十把一絡げレベルの低性能神器の所持者が【禍の団(カオス・ブリゲード)】内の『英雄派』内に居たりするのだが、その点に関しては見事にスルーされているご様子。

 実際のところ、彼らは数が多くある時点で他のドラゴン種とはまた別種の因子を備えており、ドラゴニュートとリザードマンくらいの差異があるのでは、と筆者は見るのだがどうか。

 

 

 「よっし、そんならなんか神話勢が緩い日本でさがそうぜ! 八首の龍とかっているらしいじゃん?」

 「お言葉ですが、八岐大蛇は龍では無く蛇です。どちらかと云えば九頭竜が宜しいかと。まああちらはあちらで祀られておりますが」

 「あ、じゃあ駄目だ。流石に祀られてるモノを引っ張り出すには目立ちすぎる」

 

 

 空気を換える意味合いで声を張ったリゼヴィムだったが、エレクトラに駄目出しを喰らい、更に付け加えられたトリビアがクレオに待ったをかけていた。

 実のところ、原作ではその『悪目立ちする行為』を英雄派が率先して執り(未来予知)、更に日本神話勢が一切反応を見せなかった体たらくという『実績』も既にあるのだが(悪魔の仕事)、その辺りの事情を知らないクレオ君にとってはその選択は常識としては実に一般的なモノの観方でもあった。

 お蔭様で、この世界線上に置いてのバタフライエフェクトが起こったことは作者との秘密だぞ、みんな!

 

 

 「討伐されて封印もされてないくらい放置された過去がある、となるとやっぱり『邪龍』が筆頭になるのよなー。中国の邪龍は沢山いるぞー、キョウコウとかー、ソウリュウとかー。ちなみにインドのヴリトラって奴はアジダハーカと同体だ!」

 「あれ? そうなの?」

 「ちなみに中華系も今は帝釈天が見張ってるってもっぱらの噂だぜ。仕事しすぎだよインドラちんー、柴又ならわかんだけどな!」

 「(……あれ? タイシャクテンって、確か『英雄派(うち)』のスポンサーじゃなかったっけ?)」

 

 

 とリゼヴィムの講釈の中で、流石に悪魔側へと漏らすわけには行かない情報を持っていたクレオが心の中で疑問符を掲げる。

 仏法に帰依した帝釈天がインドではインドラという雷神であった事実は良く知られており、其れゆえかは知らないがこの世界では中華系の色んな分野に手を伸ばしているらしい。

 しかし闘将神仏である彼が十指に入る実力者として数えられることは認められるとしても、出身と起源が似通って古いがその実績には不安しかない梵天が入ることは何故なのか。いやインド神話上最高神らしいから含まれても問題はなさそうだが、それ持ってくるくらいなら立川在住のお兄さん☆らを導入した方がずっとマシでは無いのだろうか。等と、老婆心ながら余計なお世話を働かせて戴く。

 ちなみに帝釈天は確かに原作でもこちらでも英雄派を裏から支持しているが、其れも此れも全て聖書の陣営が目障りである弊害なので仕方がない。表立って言えないのも嫌がらせ改め策のひとつなのだろう。きっと。

 

 

 「……うっし、北欧行こう! 実はルーラヴァーダもちょいと睨み利かせてるけど、オーディンのジッサマもこえーけど、討伐されたけど放置されてる上に封印してる奴も今のところ見当たらないドラゴンに心当たりがある!」

 「なんで最初にその二柱の名前挙げた……! 不安しか湧かないわ、ホントに大丈夫か……!?」

 「あそこにはロキっつう奴もいるからな、神話群の隙は幾らでもある」

 

 

 ついでにフェンリルでも都合つけて貰おうぜー、と呑気なことを話しつつ、程よく焼けた怪物の手足を齧る。

 地球へ赴く前のサ●ヤ人宜しく、野趣溢れる肉の味付けには塩気が少々足りなかった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 さて、一方こちらはリゼヴィムらの会話内にも出て来た、十把一絡げの大して希少価値も無い神器を備えた人物の棲み処である。

 そんな十把一絡げ以下略のジークフリートくんは、なんとか生き延びたはいいが大幅な戦力低下に頭を抱えて唸っていた。

 

 

 「……結局、生き逃れたのは3人だけか……」

 「……なんで生き逃れられたのだろうねぇ、僕らは……」

 

 

 遠い目で、死んだはずのゲオルク・ファウストが空を見上げる。

 【絶霧(ディメンション・ロスト)】の神器を奪われ死したのであるが、命までは要らん、と【聖杯】で蘇生させられたのが真相である。命を采配したはずなのに、理由が随分と軽いのは気の所為では無い。流石烏丸。さすから!

 

 

 「腕はどうだ、曹操?」

 「……問題は無い、みたいだ」

 

 

 同じく、肩口からごっそりと槍と腕を諸共に抉り取られた漢服の青年が、割と平然とした様子で応えていた。

 しかし、問題はその『平然としていられる事実』であり、被害が甚大なはずなのに後遺症も無いくらいの蘇生を施されて、更に奪われても可笑しくなかった【黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)】も奪われることなく放置されたという事実。

 一番被害を蒙っていても可笑しくなかったはずのリーダーが一番無傷である点が、今回の襲撃の『最大の致命点』を露わとしているのは間違いが無かった。

 まあ、結局烏丸を襲撃した事実がそもそもの致命傷っぽいが。

 

 

 「整理するぞ。ジャンヌは逃走、俺たちに会いに来ない点から見ても、もう【禍の団(カオス・ブリゲード)】は抜けたと思った方が良かろう。抜けられて痛手を蒙ったのは確かだが、報復に動かすだけの戦力も余裕も無い。とりあえず、次に会った時には敵と見做すだけで良いと思う」

 「異議なし。まあ、彼女だってこういう世界で生きてる以上は甘えもないだろうしね。それでももう一度仲間に、とか口にしてきた時には容赦する必要はないと思うよ」

 

 

 シビアだが重要なことを摩り合わせるゲオルクとジーク。

 曹操は異論を備えている節も見受けられるが、現状の発言権は『一回瀕死に成った』以上彼には無い。

 それというのも、彼の『甘い見通し』の所為で『そういう事態』があったのだから、彼は決定権を備えられない【現状お飾りの頭目】という立場に甘んじるしかないのだろう。

 負け犬の遠吠え、とはよく慣用句に顕わとなるが実際の処、負けた時には次に勝つまで鳴くことも許可されないのが世の常である。

 

 

 「ヘラクレスは死亡。流石にアイツが自分から意図して殺した奴までは復活は許されていなかった。……蘇生の可能性がある時点で異常だな。悪魔転生でもないのに……」

 「遺品とかは無いの?」

 「……肉片も残さずに微塵にされたんだぞ……?」

 「ごめん……」

 

 

 青い顔でその時の状況を思い返すジークに、同じように俯くゲオルク。

 それにしたってなんであそこまでやる必要が、とはジークの内心であった。

 

 

 「と、いうわけで。現状禁手に至っている使い手を戦力として見れば、……俺と曹操くらいしか居ない。レオナルドも近いのだが、まだかかるだろうし……ヤバいな、このままじゃ旧魔王派に発言権を持っていかれるぞ」

 

 

 自分たちの身を守るためとはいえ、旧魔王派の主力であったユーグリットの居場所を烏丸へ伝えてしまった事実は実に痛い。

 旧魔王に連れられてテロリストに与した多数の悪魔であるが、彼らは旧魔王という冥界を手中にするだけの正当性があったことに惹かれて戦力として加担していた。

 しかし、旧魔王が軒並み鴨撃ちとされて、唯一のリゼヴィムは行方が知れず、生き残りを率いていたユーグリットも死亡。

 それでも現魔王派閥に戻ろうとすれば冥界で居場所が無いのは確定だろうし、このままテロリストとして敢行するほか逝き手は無い。……『勝ち目』とすらも言えないのが、実に憐れだ。

 

 そんな彼らであるが、英雄派と連携を取った点は首の皮で繋がっていることとほぼ同意でしか無かった。

 だが、其処で起こった英雄派の裏切りとも呼べる『ユーグリットの死』。

 加えて、『戦力の低下』は彼らへの抑止力足り得ない事実にも繋がる。

 いや、先に挙げられたレオナルドの神器である【魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)】を使えば、名の通り戦力足る『魔獣』を数多く輩出できるだろう。

 しかしそれが直接戦力になるからと言って、本当に思う通りに動くとは限らない。

 何より、使い手であるレオナルド本人はまだ子供であり、戦力の運用を明確に采配出来るかと云えば無理としか思えず、そんな彼を旧魔王派の者たちが一端の将と同等と見るかどうかなどは一目瞭然であった。戦争は(指示できる人の)数だよ兄貴! まあ質も大事なのだが。

 【禍の団(カオス・ブリゲード)】全体の主力が減っている現状では、数に合わせて戦略を立てるだけの実力が無いことと一緒である。

 表立って討伐すべき対象を『聖書陣営』としているお蔭で、まだ他神話勢よりスポンサーが在るので生き延びられているのだが、このままではその陰ながらの援助すらも打ち切られる予感がひしひしとしていた。

 

 

 「……いっそヘクセン・ナハトにも援助を申し出ようか……?」

 「え、嫌だぞ俺は」

 「選り好みしていられる立場か、曹操」

 

 

 ゲオルクの言に、真っ先に否定の意を示す曹操であったが、ジークのにべもない言葉で一蹴される。

 説明しよう! 【魔女の夜(ヘクセン・ナハト)】とは!?

 Wikiでググっても碌な情報が出てこない、はぐれ魔法使いの集団のことである!

 ゲオルクも元は別の魔術師集団に属していたが、こうしてはぐれた立場に居る以上は彼らと同等。故に、数を揃えようと云うのならば依り相応の集団を選別しなくては話も持って逝けないという事情なのだろう。

 

 

 「絶対嫌だ……。あの紫BBAを頼るとか、絶対に弱みを握られる……! 俺の事を見る目が異常なんだぞ、食肉植物に捕まった羽虫を見る目と同じように恍惚とした貌で眺めてくる……!」

 「き、気に入られてるんだよきっと」

 「声震えてるじゃないか……!」

 

 

 そんな【魔女の夜】の現首領であるヴァルブルガに碌なイメージを持っていない曹操が、声を震わせ必死で拒否する。

 しかし現実は非情であり、彼らにこれ以外に生き延びる道が今のところ提示されていないのは事実でもある。

 

 

 「曹操、諦めろ」

 「嫌だぁー……っ!」

 

 

 都市伝説扱いされた首領魔女……、一体ナニモノなのだ……!

 ――尚、烏丸は【魔女】という言葉にトラウマに近い忌避感を抱いているので、名乗った時点で今迄のどの『やられ役』よりもずっと手酷い最期を迎えること間違いなしである。具体的に言うならば『容赦も手加減もせず』に『正面から堂々』と『動かなくなる』まで『死ななくなる』まで『延々』と『殺し続け』られる。逃げてー、ヴァルブルガさん今すぐ逃げてぇー!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 少々覚束無い足取りで、リアス・グレモリーは一晩明けてようやく自分の部屋へと戻ってくることが出来た。

 いや、戻る事だけは簡単に出来たのだが、戻りたくなかった、と云う方が明確かもしれない。

 途中で買った真新しい服を自然な動作で脱ぎ去り、そう言えば下着を着ることを忘れていた、と服の直ぐ下が素肌であった事実に改めて思い至る。

 だが、誰も残っていない自室で全裸となり、服と一緒に購入した除臭剤(ファブ●ーズ)を一頻りベッドの上へと吹きかけると、エアコンを最大にして件のベッドへと座り込み、ようやく人心地付くことが出来た。

 そうして、――余韻に浸る。

 

 

 「~~っ、ふ、ふふっ、んふふっ」

 

 

 身を抱いて貰った感触を、彼の腕が撫ぜた肌の火照りを、雄の胸板に締め付けられた自身の膨らみに移った残り香を。

 記憶に刻まれたそれらを思い起こすたびに、自然と頬が緩む。

 自分が、ずっと求めていた相手に愛して貰ったという事実に、何もかもの柵が全てどうでもよくなってしまったような、そんな多幸感が彼女の脳を支配する。

 要するに、恋が実って浮かれていたわけである。この女は。

 

 

 「はぁんっ、ああ~、もうっ、大好きっ!」

 

 

 そして、リアスにはそれ以上に悦ぶべき、確信があった。

 イッセーがその若い衝動に任せて押し付けるように腰を振ったのに対して、烏丸の場合は浸み込むように一体となった感触を味わえた。

 痛みに対する、それ以上の快感。

 更に、イッセーの時には胎に届いていなかった絶頂が、烏丸の時には子宮の奥にまで届き脳髄をも痺れさせたという実感。

 ひょっとすれば、妊娠したかもしれない。

 それも、イッセーの痕跡を掻き消すようなあの衝撃が在ればこその確信だった。

 

 だが、ドロドロに自身を掻き毟る雌の歓びとは別に、逆に理性的な女としてのリアスが脳の奥で警鐘を鳴らす。

 このままで良いのか、と。

 自分の事情を片付けない限り、彼の証をそのまま残すことなど絶対に出来ない、と。

 

 暫くベッドの上でゴロゴロと余韻に浸っていたリアスであったが、徐に起き上がるとケータイを手に取った。

 短縮ダイヤルで、一番信頼できる『彼女』へ。

 

 

 「――あ、もしもし朱乃? イッセーは? ……、そう、祐斗に預けたのね。丁度いいわ、相談に乗ってくれるかしら?」

 

 

 胎を撫でながら、リアスは聖母も斯くやとも取れる母性溢れる笑みを浮かべる。

 だがそれは同時に女として何かを決意した、または、目標を狙い撃つかのような狩猟人種特有の鋭意な哄笑。

 リアス・グレモリーの躍進は、今から始まる――。

 

 

 





~八岐大蛇
 明確には龍では無く蛇。しかしファンタジーでは大体ドラゴン属性で、神話的形而上の分類でも蛇と竜は同等とされる場合が多いので実はその辺りの違いに問題は無かったりする。漫画でも八()とかって出てくるしね!
 原作では何かと居場所が無い日本神話勢なのに何故かこいつだけ引っ張り出された未来がある。しかし、この世界線では首の一つ多い九頭竜さんが諦められたので登場も見送り。なあに、平気平気、ちょっと誰かさんの出番も消えてヒロイン押しの一巻分が表に出ないだけだから!


~紫BBA
 都市伝説にその名があるが、京都には『なすび婆』という同等の外見を持つ妖怪が伝承に在るという
 現在では大阪なんかに髪の毛が紫のおばちゃんがいたりするが、ヴァルブルガさんは髪の色不明。とりあえず装いが紫一色なので曹操からはこんな認識。面識が原作でもあったかどうかは不明で色々捏造


~魔女
 烏丸からすれば元居た処(ネギま世界)での極大災厄としか認定されていない方々。本物と敵対したら執るべき手段を執る覚悟があるだけなのだが、本人としては決して敵対したくないので大体お蔵入りの筈の直戦闘
 先ず、『不意打ちが利かず』『殺しても死なない』のが『大前提』。彼女らは基本的に『自らのルールの中』で存在しており、『場』を整えられたら勝ち目なんて微塵も無い。言葉を交わすのも論外、意識を向けるのも論外、そもそも戦うことが間違い。それでも『魔女』を受け入れられないのが烏丸の『本領』なので、結局『敵対した場合』は『最大戦力』で迎え撃つ必要がある
 誰が勝てんだそんなもん関わってくるなよチクショウ、が烏丸の魔女らに対する第一認識なので、普段から容赦が無い烏丸が依り問答無用になる一因。魔女必ず殺すマシーンになるのも仕方がない。ヴァルブルガさんの死亡フラグがすっごい惨酷な形で聳え立ってるぅ…!



描き方に色々と不安が残るぅー…
ところどころ文章破綻してねぇかなぁ。更新のテンポって一回踏み外すとずるずる引き摺るよね…
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