「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」 作:おーり
アニメで云う処の総集編みたいな雰囲気で。50話ていう切りのいい数字だし
そう思って書いてたら別にそんなことなかった
「4姉妹かいぎー♪」
「姉妹じゃねーでしょーが」
「まあフインキということで」
何処かの中華系
それをまあまあと執り成すのはディオドラ・アスタロト改めアスタ・ロッテ。元々『聖女』と類別される敬虔な少女らを肉体的にも精神的にも貶めたり堕としたりすることを趣味としていた鬼畜少年だが、烏丸の手によってTSさせられて責め落とした少女らの記憶を追体験した所為か今ではすっかり角が取れた中学生くらいの体格を持つ中世的な美少女である。心が折れた、とも云う。
なお、4と銘打った割に
「夏休みが終わってしまってそら様もご多忙のご様子ですし、以前に提案されていた通り自己判断でこの先を乗り切りましょー」
「考えてみたら、夏休みの宿題みたいなノリで大体の暗躍を叩き折られたんだよね僕ら……」
ヴァレリーの科白に想起するように、ロッテは妙に具体的な解釈でげんなりと云い得ていた。
元々
そんな彼女はさておき、はい、とミッテルトが顔の横へあまりやる気の感じられなさそうに小さく手を挙げる。
「それは知ってるけど、具体的にどうすんの?」
「れっつ、平和への架け橋♪」
「……可笑しいな、何も影の無い科白のはずなのに、そら様に云われたみたいにうっすらと怖い内容を孕んでる風にしか聴こえない」
ヴァレリーの科白に追憶が連鎖でもしたのか、ロッテは呟きつつ背筋にうすら寒いモノが走るのを実感していた。
そもそも、烏丸にとって『この世界』で起こることなどは完全に二の次であった。
彼の目的は己のいた世界へ帰ることが主題であり、それ以外に手を出している理由は暇つぶしか趣味か、どちらにしろ場当たり的なモノでしかない。
しかしそこは彼個人の生き方からくる事前準備を須らく行う本領発揮が全力稼働し、彼よりも場当たり感の強い事前準備の足りない者たちが『積み重ねの足りなさ』が前提となって失敗や敗北へとつながっている。
前提条件が釣り合えば勝てない敵ではないのが『烏丸イソラ』というキチガイである。
これまで常勝無敗に見えていたのは、単純に敵方の努力不足でしかなかった。
そんな『世界』に対して、その想像を如何無く発揮した烏丸は基本的に容赦をしない。
確かに二の次でしかないが、だからこそ其処で抗おうとする者たちを積極的に排したりはしようとせず、むしろ『其処で生きているのだから』とご本人らにこそ責任を贖ってもらうべきだと手間を拡げるのが烏丸である。
その世界に遺されるヴァレリーを筆頭とした『彼に通じた者たち』の為に何某かを、と彼は『指標』として色々手をかけていた。
具体的に言うならば――、実行力や覚悟の足りない国家やテロリストの次の行動を必要なモノたちへと掌握させる準備、であった。
「それではミッテルトさんは天界へ。絶霧があるからシステムとやらの掌握もできますよね?」
「おーけー、なんで自分でこの神器使わないのかと思ってたけど、まあアイツは無くても問題ないのか」
某英雄派から命を奪うことなく拝借した空間系最高とされる神器・
現状あまり戦力を前面に押し出していない天界であるが、だからこそ戦力と地力の未把握は『その先』を想起するに結構危うい。
呑気に同盟を組んだ某魔王は想像もしてないのかもしれないが、そうやって『仲間内と見做し掛けた隣国』こそが自国にとっては『最大の敵』だ。背中を刺される覚悟もなしに多種族と易々と手を組めるのならば、これまで小競り合いを続けていた長い年月は重なっているはずもない。
そして、ヴァレリーにとって悪魔の陣営とは、幼馴染が現在世話になっている気心の知れた隣人である。
そんな方々が易々と滅亡してゆくことを見過ごすほど、ヴァレリーは薄情な娘ではなかった。
「ロッテさんは連絡係を。テレアさんの様子は如何ですか?」
続けざまに、この場にいない残る一人の名を呼べば、己の蟀谷を揉みつつロッテが唸るように応える。
「んー、順調かなぁ。なーんか、色々と画策してるっぽい」
「ではそれを下地に次の手を考えましょう。他神話の動きも見られればよろしいのですけど……」
「あ、なんか冥府……ギリシャのハーデス辺りが英雄派のスポンサーみたいだよ?」
「え、そうなのですか?」
「うん。英雄派に寝返った悪魔派閥を使って冥界を攻め落とすみたいな計画を練ってたみたい」
「なるほど……」
彼女たちでは本来知り得ぬことが明ら様となっている。
その事実になんら疑問も挟まず、ヴァレリーは告げた。
「それでは、そら様に最後にお願いすることは決まりましたね」
「うーん、僕が云うのもなんだけど、彼に頼り過ぎな気が……」
「直に戦っていただこうというわけでもないですし、平気ですよきっと」
この瞬間、
▽ ▽ ▽
一方、元
「おかえりなさいませカテレア様! ご帰還を心よりお待ちしておりました!」
「ええ。帰って早々、頭の痛い事態になっているようだけれどね」
冥界からすれば旧魔王などと揶揄され、新たに擁立された4大魔王に敵うのは血筋だけ、と陰で云われている者たちの一角である女性である。
だが逆に言えば、血筋は確かに正当な魔王のそれなのだ。
それだけを芯に添え、果てには悪魔としての格の高潔さを今の冥界にも通じるように、貴族らしさを追求していた彼女の容姿は、その血統ゆえかかなり良い。
焦げ茶色の髪に褐色の肌、そして蒼い瞳に豊満な乳房などが主張する姿は何処か
だが、髪型は小奇麗に纏めてあるし、インテリ系を思い起こさせる眼鏡は彼女自身のイメージを秘書か何かへと通じさせてしまう。
それは【王】としてのカリスマ性には到底及ばず、また自ら女性としての魅力を閉じ込めている風に見えなくもなかった。
そんな彼女であったが、烏丸の手による転生を果たした際、
纏めてあった髪はその長さのままに解け、時折肌に張り付くように揺れて肢体を覆う。
かけていた眼鏡は既に無く、垂れ目気味であった瞳に直接見通されれば得も言えぬ艶やかさで誘われているかのような錯覚を覚える。
組織より発って行った前と比べると、まるで傾国の美女のような妖艶さが彼女には備わっており、部下たちは感じなかったはずのカリスマ性に身震いし、改めて彼女に仕えることを至上の喜びへと転じさせていた。
最も、それは一度完全なる敗北を味わった上で、さらにその後復活させられるも、大して意味の無い拷問の数々に心が折れた弊害でもあるので、彼女自身にとっては有り難い話では決してないのであるが。
「私たちが発った後の顛末は把握したわ。それにしたって、リゼヴィム様は何も言わなかったの?」
烏丸の手により悪魔以上の何かに造り替えられている彼女たち(ロッテとテレア)に、さらに空間系神器を改造し複製し内蔵させることで発現に成功した『通信能力』により、ふたりの連携と連絡は誰に知られることも無く距離も関係なしに密に繋がっている。
同時に、烏丸という『なんか神話存在でも話が通じそうにない規格外』の被害に遭ったもの同士、という連帯感が相乗効果を発揮していそうでもあるが、その話は今はおいておく。
その諸々はさておき、これまでに聞いた旧魔王派の表看板3名が
話に応える部下たちも、まさか現魔王政権のセラフォルーなどに一番に反抗していた彼女が別角度からの新参陣営に寝返っているとは微塵も思わず、乞われるがまま全てを話していた。
「不明です。が、どうにも英雄派子飼いの神器使いを連れて国外へと向かった模様でして……。ユーグリット様が死亡したことも相俟って、戦力を確保しているという言い訳も通用しませんでした。我ら悪魔派の大多数は旗印が無いままですので、このままでは『傾き』ます……」
「そう。不便ね」
旧魔王改め真魔王と旗印を掲げていたリゼヴィムを初めとする四人の血族、シャルバ・ベルゼブブ、クルゼレイ・アスモデウス、そしてカテレア・レヴィアタン。彼らに率いられた悪魔だけの派閥は根本的に数が足りない。
そもそもが新体制の冥界に馴染めない者たちや、冥界にとって不必要な混乱を招くために排他されていた者たち、または『今の魔王』の下では自分が旨い蜜を吸えない者たちが中心となっており、基本的に自分本位であるがために主にリゼヴィムに連れられた者たちを除いて旧魔王に忠義を誓う者たちは驚くほどに少ない。
それは、駒王協定を結ぶ場へ襲撃した際に彼らが引き連れてきたのが『悪魔』よりも『魔法使い』らが多勢であったことにもよくわかる話だろう。当時烏丸の主観では【語り】が足りなかったが、協定の場への襲撃は『その外側から』もしっかりとあった。根本的にある種族としての
外側の概要を把握しきれなかった烏丸の話はさておき、元より【魔王の威光】よりも【主観と気分】が行動の指針であった悪魔陣営らは、上手い話にすぐ飛び乗る傾向が強い。それをなんとか纏めていたのが、実力者でありカリスマでもあるリゼヴィムそしてユーグリットなどの旧魔王派の生き残りだ。
これ以上の抑制が効かないと成れば、僅かであれど『多勢』に成り得る悪魔らは最大多数の生き残りでもある【英雄派】に上手く使い潰される未来しかないのであろう。
なお、テレアが不便と云ったのはリゼヴィムが生き残って消息不明な事実に関してである。
烏丸の『なんでもやれそう感』があれば見つけて狩ることも容易いかもしれないが、さすがに経験の深い実力者に本気で潜伏されると探すことは容易ではない。
そしてリゼヴィムは今の魔王たちにとっても実力者相応であり、討伐しても残党が烏合の衆になり得るかが賭けである事実に関しては、テレアにとっても懸念と云わざるを得なかった。
息を吐くとそれに、と彼女は付け加える。
「英雄派は
烏丸には完全に未知の話であるのだが、この世界の魔法において使用とされる『魔力』は【悪魔の力】が根源でしかなかったりする。己の魔力を呼び水に実存しない精霊を顕現させる【ネギま世界】とは、そこが相違点となっていた。
自ら悪魔や人外へと転じた魔法使いを除いて、『魔力』を行使するのは悪魔のみだ。
似た力を行使することで神族などに誂えられている者たちも確かにいるのだが、それよりは化生に当たる者の力を借りて術に転じる者を『魔法使い』と呼ぶ。
彼らは基本的に悪魔との契約で力を借りて術を行使するのだが、それもやはり知識の研鑽無くしては成功しえない。
先に述べた魔法使いの大量喪失は旧魔王派にとって確実に痛手であり、残った悪魔らは魔力
「そしてもう一つ、未確定の情報があります」
「何かしら」
「神器に関してです」
報告者の言葉に怪訝を覚える。
悪魔陣営にとって神器は未だ不明な領域が多分に在り、そもそもが人が中心となって得られる力でもある。
自分たちに扱えない力の情報を寄越されても、喜ぶのは神器研究者か烏丸くらいだ。
「冥府のハーデスから齎された情報のようでして、英雄派の幾人かが禁手化に至ろうと画策しています。齎された情報は禁手化への近道、かと」
「――ふぅん」
なんでも無さそうに答えるが、今のテレアにはそれを精査する余裕はない。
とりあえずその情報だけをロッテへ送り、自分たちの今後のために指示だけを置くことにした。
「ひとまず、私はもう一度『潜る』わ。あとは好きにしなさい」
「……は!? よ、よろしいのですか!?」
「云ったところで、今更通じやしないわ」
報告者が慌てたように引き留めにかかるが、テレアは取り継ごうとはしない。
完全に折れた今では、自分に最も足りないものが人を引く魅力であることをよく理解しているのだ。
イメチェンした今の姿が男性にとってかなり魅力的に見えていることを自覚していない彼女だが、それでも人心掌握には至れないと経験していたがために、『今回は』失敗せずに済みそうである。
「戦力も勝機も確かに惜しいけれど、今動くことの方が愚策よ。正しく甘露を得るためには、ハーデスと対立する方がずっとマシ」
「……っ、それは、敵対するということではありませんか……!?」
「そう聞こえなかったの? この組織にいつまでも執着する気はないのよ」
実質、冥府が英雄派の背後に控えている以上、スポンサー且つ
それぞれの派閥でやろうとしていることがちぐはぐでバラバラなテロリストであるが、旗印は現状大多数がお飾りでしかない以上、多勢を決めるのは『目的』を添えてしまった『誰か』へと転ずる。
出来るならば二重スパイでも、と動かされていたがハーデスの目的が分かった以上恭順していては悪手になる。
その事実に気が付き、テレアの矛先はようやく決定した。
「旧魔王派の大多数がいつまで『動いてくれるか』わからない。英雄派にステップアップのチャンスを溢して、
「何が、ですか……?」
予測はつきそうなものだが、明確な『それ』を知らない報告者は予測の裏切りを期待した。
しかし、それとは裏腹に、ひどく冷徹な声でテレアは告げる。
「――戦争よ」
▽ ▽ ▽
一方そのころ裏で割と冥界の先が危うい現状で、我らが主人公はというと。
「よし、じゃあイリナちゃんは黄色系の衣装で進めるか。膨張色で普通は避けるんだけど、キミの場合細いから充分グラマラスに見える。脱がせる楽しみを客層に楽しんでもらおう」
「あっあっあっ、んっ、ひゃぁんっ」
ちょっと真面目な顔つきで、黄色系のビキニで着飾ったイリナを後ろから突き上げつつ、次のお披露目に関して色々と『話し合い』に興じていた。
ツインテールのオレンジヘアが壁に手を付き腰を突き上げて、パンパンと突かれるたびにまさに特大オレンジのような二つの果実が豪勢に揺れる。
その姿は素晴らしいのだがお前もうちょっとシリアス持続させろよ、と天の声にツッコミを入れられそうな場面転換であった。
安定の烏丸
6巻書いてるはずなのに何故か12巻くらいの話になってきている不思議